JP3644631B2 - シールドケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両の電装品の電気的接続に用いるシールドケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両では、各種電装品等への電気的接続のため、シールドケーブルが使用されている。従来のシールドケーブルの構成を図1に断面図で示す。
図1において、参照符号10はシールドケーブルであり、複数の信号線11とドレイン線12を撚合わせたものの周りをシールド層13で被覆し、さらにその周りを絶縁性シース14で被覆した構造となっている。信号線11は導線11aとその周りを被覆する絶縁被覆11bから構成されている。
【0003】
このような構成において、外部ノイズはシールド層13により遮蔽され、その遮蔽されたノイズはドレイン線12を通じて外部のアースへ落とされる。そして各種電装品には信号線11を介して良好な信号が供給されるようになっている。
【0004】
ところで、従来から、この種のシールドケーブル10で一般に用いられいるものの仕様は、信号線11の断面積が0.3mm2、信号線11の導線11aの外径が1.4mmφ、絶縁被覆11bの材料がポリ塩化ビニル(PVC)、シールド層13の材料が銅又はアルミニウム、絶縁シース14の材料がポリ塩化ビニル、ポリエチレン等であった。
【0005】
一方、最近ではカーナビゲーションやDVD機器の急速な開発により、自動車においてもモニターやDVDユニット等が搭載されてきている。しかしながら、自動車に新しく搭載されるこれらの電気・電子機器は画像、音声等がより高精細、高品質になっているため、例えばカーナビゲーションのモニターでは、道路地図等の拡大画像においてにじみが生じる現象がでてきており、何らかの対策を講じることが望まれている。
【0006】
また、従来のシールドケーブルでは、信号線11とドレイン線12が集合撚線構造となっているため、端末加工(コネクタ端子との接続)がやりにくく、端末加工に時間がかかっていた。また、端末加工長として絶縁シース14とシールド層13の剥ぎ取り長が80mm程度必要なことから、シールド性能が悪化する問題があった。
【0007】
さらに、自動車に新たに搭載される電気・電子機器のコネクタの規格のため、信号線12の外径は1.3mmφであることが要求され、従来のコネクタ規格は信号線外径1.4〜1.6mmφが主流であった。従って、新たに搭載される機器のコネクタには不適合なことから信号線外径を細くせざるを得なかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消し、シールド性能を維持し、端末加工が容易で、新たに自動車等の車両に搭載される最新の電子・電気機器に十分対応しうるシールドケーブルを提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、次のような知見を得て、本発明を完成するに至った。
自動車において新たに搭載された上記電子・電気機器における不具合は、信号線の特性インピーダンスが大きく関与しており、従来のものの値は50Ω程度であった。DVDユニットや、モニター等の機器に従来のシールドケーブルを使用して接続した場合、インピーダンスのアンマッチングにより、信号供給側と機器側との間で反射が起こり、上記のような不具合が生じると考えられる。そこで、信号線の特性インピーダンスを75Ω(±10%)程度まで大きくすればマッチングがとれ、上記のような不具合が解消できることを確認した。一方、新たな電子・電気機器のコネクタとの規格との関係から信号線の外径は1.3mmφとする必要がある。これらのことを考慮して、信号線の導線の断面積のサイズと信号線の絶縁被覆の誘電率を調整することにより所要の特性インピーダンスが得られることを確認した。ちなみに従来の信号線の絶縁被覆に使用されているポリ塩化ビニルの誘電率は5.0程度であった。
【0010】
本発明によれば、上記課題を解決するため、複数の絶縁被覆付信号線とドレイン線とを密着させて並列し、これらの周りをシールド層及び絶縁性シースで順次被覆してなるフラットタイプのシールドケーブルであって、該信号線の外径が1.3mm、該信号線の導線の断面積が0.03〜0.08mm2であり、該信号線の絶縁被覆が誘電率1.7〜2.8の絶縁材料から構成され、かつ該信号線の特性インピーダンスが75Ω(±10%)であることを特徴とするシールドケーブルが提供される。
また、本発明によれば、上記構成において、該信号線の絶縁被覆が、発泡ポリエチレンであることを特徴とするシールドケーブルが提供される。
また、本発明によれば、上記構成において、該ドレイン線の断面積が0.22〜0.5mm2であることを特徴とするシールドケーブルが提供される。
また、本発明によれば、上記構成において、該ドレイン線が、複数の並列した絶縁被覆付信号線のいずれか一端側に設けられていることを特徴とするシールドケーブルが提供される。
さらに、本発明によれば、上記構成において、該ドレイン線が、複数の並列した絶縁被覆付信号線の間に設けられていることを特徴とするシールドケーブルが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1において、参照符号20は本発明に従うフラットタイプのシールドケーブルを示す。このシールドケーブル20は、複数の信号線21とドレイン線22とを密着させて並列し、これらの周りをシールド層23で被覆し、さらにその周りを絶縁シース24で被覆して構成される。信号線21は導線21aとその絶縁被覆21bから構成される。
【0012】
各信号線21において、その外径は1.3mmφに設定されるが、これは公称誤差を含んでいてもよい。
本発明では信号線21の特性インピーダンスは75Ω(±10%)、すなわち67.5〜82.5Ωに設定される。この特性インピーダンスが上記範囲からはずれると、アンマッチングが発生する場合がある。
信号線21の導線21aの断面積(以下、導体サイズとも称する)は0.03〜0.08m2である。導体サイズが上記範囲より小さいと、良好な信号伝達が行えず、また信号線21の強度が不足する。また、導体サイズが上記範囲より大きいと、所要の特性インピーダンスを得ることが困難になる。導線21aとしては、軟銅撚線(圧縮撚線を含む)、軟銅単芯線、錫メッキ軟銅撚線等を用いることができる。
信号線21の絶縁被覆21bは、誘電率1.7〜2.8の絶縁材料から構成される。このような材料としては、発泡ポリエチレン、テトラフロロエチレン等を挙げることができるが、コスト、耐久性等の点から特に発泡ポリエチレンが好ましい。発泡ポリエチレンはその発泡倍率を調整することにより、上記の範囲の誘電率をとりうる。絶縁被覆21bの誘電率が1.7未満であると電線製造が極めて困難であり、誘電率が大きすぎると所要の特性インピーダンスを得ることが困難となる。絶縁被覆21bの厚さは導線21aの導体サイズに応じて設定される(信号線21の外径が決められているため)。
並列させる信号線21の本数は用途に応じて任意に設定することができる。
【0013】
ドレイン線22は軟銅線、Snメッキ軟銅線等の材料で構成される。ドレイン線22の導体サイズは0.22〜0.5mm2であることが好ましい。導体サイズが上記範囲より小さいと信号線21の強度不足を補うことができず、導体サイズが上記範囲より大きいとコネクタの端子寸法の不適合となる。ドレイン線22の配置は、図2では複数の信号線21を並列したものの一端であるが、図3に示すように信号線21間に設けてもよい。
【0014】
シールド層23にはシールド効果を有する材料が使用され、具体的にはSnメッキ銅箔PETテープ、Snメッキ銅箔/PETテープ、アルミニウムPETテープ等が使用でき、その厚さは10〜30μm程度である。
【0015】
絶縁性シース24には、絶縁性、耐油性、耐薬品性を有するものが使用され、具体的にはポリ塩化ビニルや、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂などの絶縁性材料が使用でき、その厚さは0.3mm程度である。
【0016】
ここで本発明によるシールドケーブル20の一例を述べる。
導線21aとしてSnメッキ付軟銅撚線(導体サイズ0.08mm2)、絶縁被覆21bとして発泡ポリエチレン(誘電率1.7、厚さ0.46mm)、ドレイン線22としてSnメッキ付軟銅撚線(導体サイズ0.22mm2)、シールド層23としてCu−PETテープ(厚さ16μm)、絶縁性シース24としてハロゲンフリー材(厚さ0.3mm)を用い、信号線数5本として図2の構造のシールドケーブル20を作製したところ、その特性インピーダンスは71Ωであった。
【0017】
本発明によるシールドケーブル20の端末加工は図4のようにして行うことができる。すなわち、その端末のシールド層と絶縁性シースを20mm程度剥ぎ取り、機器側のコネクタピッチに合わせて先端をフォーミングさせて一括接続する。これにより、端末でのシールド性能の劣化が防止されるとともに、端末加工が容易となる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、前記構成を採用したので、自動車に搭載されるDVDユニット、モニター等の機器への適用が可能となり、かつこれら機器とのインピーダンスのマッチングがとれるため、モニター画像のにじみ等の不具合の発生がなくなる。
また、本発明のフラットケーブルは、フラット化されているので、コネクタへの一括接続が可能となり、端末加工時間の短縮が可能となる。
また、端末加工長として絶縁性シースとシールド層の剥ぎ取り長が20mm程度で済むことから、シールド性能の確保が可能となる。
さらに、本発明のフラットケーブルは、従来のものより軽量化され、かつ配置空間が少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のシールドケーブルの構造を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例のシールドケーブルの構造を示す断面図である。
【図3】別の実施例のシールドケーブルの構造を示す断面図である。
【図4】本発明のシールドケーブルの端末加工の説明図である。
【符号の説明】
20 シールドケーブル
21 信号線
21a 導線
21b 絶縁被覆
22 ドレイン線
23 シールド層
24 絶縁性シース
Claims (5)
- 複数の絶縁被覆付信号線とドレイン線とを密着させて並列し、これらの周りをシールド層及び絶縁性シースで順次被覆してなるフラットタイプのシールドケーブルであって、該信号線の外径が1.3mm、該信号線の導線の断面積が0.03〜0.08mm2であり、該信号線の絶縁被覆が誘電率1.7〜2.8の絶縁材料から構成され、かつ該信号線の特性インピーダンスが75Ω(±10%)であることを特徴とするシールドケーブル。
- 該信号線の絶縁被覆が、発泡ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のシールドケーブル。
- 該ドレイン線の断面積が0.22〜0.5mm2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドケーブル。
- 該ドレイン線が、複数の並列した絶縁被覆付信号線のいずれか一端側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドケーブル。
- 該ドレイン線が、複数の並列した絶縁被覆付信号線の間に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールドケーブル。
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