JP3644366B2 - 蓋体の開閉機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、車両のセンタコンソール等に装備される音響機器、小物入れ等の蓋体の開閉機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の蓋体は、例えば図12に示すような構成のものが知られている。すなわち、車両のセンタコンソール101の開口部内に固定される基台部材としての枠体102と、その枠体102の前面を開閉可能に覆う蓋体103とからなっている。この枠体102の前面には開口部104が形成されており、この開口部104内に音響機器105等が収容されるようになっている。
【0003】
前記枠体102の上面上には、枠体102の前後方向に延びる一対のレール106が設けられている。そのレール106に係合するとともに、そのレール106に沿って枠体102の前後方向に摺動可能な移動体としてのスライダ107が設けられている。そのスライダ107の両側面における後方側部分には、連結アーム108の一端が回動可能に連結されている。
【0004】
前記蓋体103は、その裏面にビス止め固定された回動アーム109を介して、前記枠体102の側面のほぼ中央を中心として回動可能に連結されている。また、蓋体103の上端部には、前記連結アーム108の他端が回動可能に連結されている。また、蓋体103の表面の下端近傍には、その蓋体103の長手方向に延びる指かけ突条110が突設されている。
【0005】
前記スライダ107内には、そのスライダ107を枠体102の前方から後方に向かって常時付勢する渦巻きばね(図示略)が収容されている。さらに、そのスライダ107内には、前記蓋体103を、枠体102の前面を覆う閉止位置に配置された状態で保持するストッパ(図示略)が収容されている。
【0006】
ここで、操作性向上の目的で、前記音響機器105をその前面がわずかに上方を指向した傾斜状態で搭載させるために、前記枠体102は、その上面が前方から後方にかけて下がり勾配を有するように傾斜状態でセンタコンソール101内に固定されている。
【0007】
このような従来構成では、前記スライダ107内のストッパが解除されると、前記渦巻きばねの付勢作用により、スライダ107が枠体102の上面上を前方位置から後方位置側へと移動される。このスライダ107には、蓋体103の上端が連結アーム108を介して連結されている。このため、蓋体103は、スライダ107の移動に連動して、枠体102の前方の閉止位置から持ち上げられつつ、枠体102の側面上の回動アーム109の基端を回転中心として回動される。そして、スライダ107が所定の後方位置に達した状態では、蓋体103は、その大部分が前記枠体102の上面にほぼ重合するようにセンタコンソール101の開口部内に収容され、開放位置に配置される。この状態では、前記音響機器105の前面が露出した状態となり、その音響機器105に対するカセットテープ、コンパクト・ディスク等の挿脱が可能になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来構成では、前記渦巻きばねが、前記スライダ107が前方位置にあるときに最も巻き締められスライダ107に対する後方側への付勢力が最大となるように設定されている。スライダ107が後方側に移動するに従って、渦巻きばねは緩められスライダ107に対する後方側への付勢力が減少していく。そして、スライダ107が移動の終点である後方位置に達したときには、その付勢力はほとんどなくなるように設定されている。
【0009】
これにより、スライダ107の移動初期には、スライダ107の所定の移動速度を確保しつつ、大重量の蓋体103が引き上げることができる。スライダ107が後方に移動するに従って、蓋体103は枠体102の前面から上面側へと回動されるため、蓋体103の重量に基づいてスライダ107の移動速度を減少させる方向の力は小さくなっていく。
【0010】
ここで、枠体102が傾斜状態に固定されているとともに、スライダ107が移動の終点である後方位置に達したときには、連結アーム108がスライダ107の移動線とほぼ平行になるように配置されている。このため、スライダ107が後方位置に近づくと、前記蓋体103の慣性重量に基づいてスライダ107の移動速度を上昇させる力が生じ始める。これにより、図10に破線で示すように、蓋体103の移動速度が開放位置付近で跳ね上がってしまうことがあった。
【0011】
また、蓋体103の下端近傍には、指かけ突条110が設けられているものの、極めて単純な形状であるために、滑ったりしやすいものであった。特に、その蓋体103の前面に、例えばシフトノブ等の障害物が存在するような場合には、蓋体103の確実な開閉操作が行いにくくなる。また、その指かけ突条110が蓋体103開放位置へ移動させるための操作部であることの識別性に乏しいものであった。このように、従来構成の蓋体の開閉機構では、良好な蓋体103の操作フィーリングが得られないという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、蓋体の開閉時における優れた操作フィーリングを実現可能な蓋体の開閉機構を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に記載の発明は、基台部材と、その基台部材の前方の閉止位置とその基台部材の上方の開放位置とに切替配置可能な蓋体と、前記閉止位置に蓋体を保持する保持機構と、前記基台部材の上面前方に設定された前方位置と同基台部材の上面後方に前記前方位置から所定の落差をもって設定された後方位置との間を移動する移動体と、その移動体と前記蓋体の閉止状態における上端部とを連結する連結体と、その移動体を前記後方位置側に付勢する付勢機構とを備え、前記保持機構における蓋体の保持が解除されたとき、前記付勢機構の付勢力により前記移動体が前方位置から後方位置に移動され、その移動体の移動に連動して前記蓋体が前記閉止位置から開放位置へと回動されるようにした蓋体の開閉機構において、前記蓋体が開放位置に配置された状態で、前記連結体と前記移動体とを連結する第1の支点と、前記連結体と前記蓋体の上端部とを連結する第2の支点とを結ぶ直線が、前記移動体の移動線に対して交差するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
また、本願請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記蓋体が開放位置に配置された状態で、前記第2の支点が前記移動体の移動線から所定の距離をおいて上方に配置されるようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本願請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、前記蓋体が開放位置に配置された状態で、前記第1の支点と第2の支点とを結ぶ直線と、前記基台部材の側面上に配置された前記蓋体の回転中心と前記第2の支点とを結ぶ直線とのなす角の角度が115°〜125°の範囲内であることを特徴とするものである。
【0016】
これらの発明の下では、移動体が移動の終点である後方位置に近づいても、蓋体の慣性重量に基づいて移動体の移動速度を上昇させる力が生じるのが抑制され、蓋体の移動速度が開放位置付近で跳ね上がるのが抑制される。
【0017】
また、本願請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記蓋体の表面には、その下端の近傍に蓋体の長手方向に沿って延びる複数の突条を設けるとともに、その複数の突条の上方側に同突条に沿うように凹部を設けたことを特徴とするものである。
【0018】
この本願請求項4に記載の発明では、前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、突条が複数設けられているとともに、その突条に沿うように凹部が設けられている。このため、蓋体を開放させるために、この突条に指をかけやすいとともに、滑りにくくすることができる。また、凹部により突条の存在が強調されるため、その突条に蓋体を開放するための操作部であることの識別性が付与される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を車両のセンタコンソールに収容される音響機器の、いわゆる「プッシュ・オープン」タイプのカバーに具体化した一実施形態について図1〜図11に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図11に示すように、カバー21は、車両のセンタコンソール22の開口部内に固定される基台部材としての枠体23と、その枠体23の前面を開閉可能に覆う蓋体24とからなっている。この枠体23の前面には開口部25が形成されており(図4及び図5参照)、この開口部25内に音響機器26等が収容されるようになっている。
【0021】
図3〜図5に示すように、前記枠体23の上面には、その両側端の近傍にその枠体23の前後方向に延びる一対のレール31が突設されている。そのレール31には、移動体としてのスライダ32がそのレール31に沿って枠体23の前後方向に摺動可能に係合されている。この枠体23とスライダ32との間には、このスライダ32を常時枠体23の後方位置側に付勢する付勢機構33と、スライダ32を枠体23の前端近傍の前方位置において離脱可能に保持する保持機構34とが介装されている。
【0022】
前記付勢機構33は、前記枠体23の上面上に形成されたラック35と、スライダ本体32aの裏面側に装着された渦巻きばね36及びピニオン37とからなっている。
【0023】
前記ラック35は、前記レール31の間に、そのレール31と平行に延びるように形成されている。ピニオン37は、スライダ本体32aに対して回転可能に、かつラック35に対して咬合状態で転動可能に装着されている。渦巻きばね36は、ピニオン37とスライダ本体32aとの間に介装され、ピニオン37を一定の回転方向、つまりラック35上を枠体23の後端側への転動方向に常時付勢している。この渦巻きばね36は、スライダ32が枠体23の前端の前方位置に配置されたときに最も巻き締められるとともに、同スライダ32が枠体23の後端の後方位置に配置されたときに最も緩められるようになっている。すなわち、渦巻きばね36によりスライダ32に作用する付勢力は、そのスライダ32が前方位置にあるときに最大となり、後方位置にあるときに最小となる。
【0024】
前記レール31の間に、前記ラック35に沿うようにガイド溝38が設けられている。このガイド溝38には、スライダ本体32aの裏面に突設された円柱状のガイドピン39が係合するようになっている。スライダ32が、枠体23上をその前後方向に移動する際に、その移動方向と直交する方向へのがたつきが抑制されるようになっている。
【0025】
また、枠体23の上面の後端の近傍には、一対の規制突部40が突設されている。これに対して、スライダ本体32aの裏面の後端部には、この規制突部40に対応するように一対の緩衝突部41が設けられている。この緩衝突部41は、スライダ32が枠体23の後方位置に移動されたときに、前記規制突部40に当接してスライダ32の移動の終点を位置決めするとともに、その当接の際の衝撃を吸収して騒音の抑制及び自然な停止感を実現する役割を担っている。
【0026】
図3、図6及び図7に示すように、前記保持機構34は、枠体23の上面の前端近傍に設けられた一対のガイド突条44及びハートカム45と、スライダ本体32aの裏面に設けられた回動ピン46とからなっている。前記ガイド突条44には、第1斜壁面47、第1収容凹部48、直壁面49、突出壁面50、第2斜壁面51及び第2収容凹部52が形成されている。
【0027】
また、ハートカム45には、保持凹部53、第1斜めカム面54、直カム面55、第2斜めカム面56及び第3斜めカム面57が形成されている。一方、回動ピン46は、回動保持アーム58と、回動軸59と、摺動ピン60とからなっている。回動軸59は、回動保持アーム58の基端部をスライダ本体32aに対し所定の角度範囲内で回動可能に支持している。摺動ピン60は、前記ガイド突条44とハートカム45との間に進入してハートカム45の保持凹部53に係合して、蓋体24を後述の閉止位置に保持するようになっている。
【0028】
図1〜図5に示すように、前記蓋体24の裏面には、回動アーム63がビス止め固定されている。この回動アーム63の基端は、前記枠体23の側面のほぼ中央に回動可能に固定されている。また、蓋体24の上端部には、一端が前記スライダ本体32aの両側面に第1連結軸64aを介して回動可能に連結された連結体としての連結アーム64の他端が、対をなすように第2連結軸64bを介して回動可能に連結されている。
【0029】
これにより、蓋体24が、前記スライダ32の前記枠体23の前後方向の移動に連動して、回動アーム63の基端を回転中心として、枠体23の前方の閉止位置と枠体23の上方の開放位置との間で回動されるようになっている。すなわち、スライダ32が前方位置に配置されると蓋体24は閉止位置に配置され、スライダ32が後方位置に配置されると蓋体24は開放位置に配置されるようになっている。
【0030】
そして、このカバー21では、枠体23は、その上面が前方から後方にかけて下がり勾配を有するように傾斜状態でセンタコンソール22内に固定される。蓋体24が開放位置に配置された状態では、その枠体23の開口部25内に装着された音響機器26が、その前面がわずかに上方を指向した傾斜状態で露出される。そして、音響機器26に対するカセットテープ、コンパクト・ディスク等の挿脱が可能になる。一方、このような挿脱操作を必要としないときは、蓋体24を閉止位置に配置させることで、音響機器26の前面を蓋体24で覆って、センタコンソール22部分における意匠性を向上するようになっている。
【0031】
また、図1、図4及び図9に示すように、蓋体24の表面の下端近傍には、その蓋体24の長手方向に延びる複数(本実施形態では3本)の突条としての指かけ突条65が互いに平行に突設されている。そして、その蓋体24の表面における指かけ突条65の上方側には、その指かけ突条65に沿うように凹部66が形成されている。
【0032】
次に、本実施形態のカバー21における蓋体24の開閉動作について、図2、図3及び図6〜図8に基づいて説明する。このカバー21では、その蓋体24が図8に実線で示す閉止状態に配置されたとき、蓋体24のみが車両の乗員側に表出されることになる。この状態では、付勢機構33の渦巻きばね36の付勢力により、スライダ32が前方位置に配置され、保持機構34の摺動ピン60がハートカム45の保持凹部53に係合している。
【0033】
この状態で、乗員が蓋体24の指かけ突条65に指をかけ、蓋体24が前記渦巻きばね36の付勢力に抗してわずかに枠体23側に押し込まれると、摺動ピン60はハートカム45の第1斜めカム面54及びガイド突条44の第1斜壁面47に沿って摺動される。そして、摺動ピン60がガイド突条44の第1収容凹部48内に落とし込まれると、それ以上のスライダ32の前方への移動が規制されて、蓋体24の枠体23側への移動も規制され、蓋体24が図8に一点鎖線で示す係脱位置に達する。
【0034】
この状態で、乗員が指かけ突条65から指を離すと、第1収容凹部48におけるスライダ32の移動線に沿う方向にはハートカム45が存在しないため、スライダ32が渦巻きばね36の付勢力により枠体23の後方側に移動する。この移動に際して、摺動ピン60は、ガイド突条44の直壁面49とハートカム45の直カム面55との間を通って、ガイド突条44の突出壁面50に当接する。この当接により、摺動ピン60がこの突出壁面50に沿って枠体23の中央側に移動され、回動保持アーム58が回動軸59を中心に回動される。そして、スライダ32の後方への移動に伴って、摺動ピン60がガイド突条44及びハートカム45から完全に離脱する。やがて、スライダ32が枠体23後端の後方位置に到達すると、スライダ本体32aの緩衝突部41が枠体23の規制突部40に当接して、蓋体24が図8に二点鎖線で示す開放位置に保持される。
【0035】
また、乗員がこの開放位置に配置された蓋体24の指かけ突条65に指をかけ、その蓋体24を前記渦巻きばね36の付勢力に抗して乗員自身の方向に回動させると、蓋体24の回動に連動してスライダ32が枠体23の前方位置側に移動される。このスライダ32の移動に際し、スライダ32が前記前方位置に近づくと、保持機構34の摺動ピン60がガイド突条44の第2斜壁面51またはハートカム45の第2斜めカム面55に当接し、第2斜壁面51または第2斜めカム面55に沿って枠体23の前方側に移動する。そして、摺動ピン60は、ガイド突条44の第2収容凹部52内に導かれ、スライダ32の前方への移動が規制されるとともに、蓋体24の回動も規制される。
【0036】
この状態で、乗員が指かけ突条65から指を離すと、スライダ32の前方への移動に伴って巻き締められた渦巻きばね36の付勢力により、スライダ32が枠体23の後方側に戻ろうとする。ここで、第2収容凹部52の開口部におけるスライダ32の移動線に沿う方向には、ハートカム45の第3斜めカム面57が対向するように配置されている。このため、摺動ピン60は、第3斜めカム面57に当接するとともにその第3斜めカム面57に沿って摺動され、保持凹部53に導かれる。そして、スライダ32が、摺動ピン60が保持凹部53と係合した状態で、渦巻きばね36の付勢力により枠体23の後方側に付勢され、前方位置に保持される。このため、蓋体24は、枠体23を覆うように閉止位置に保持される。
【0037】
次に、蓋体24が前記開放位置に配置された状態における、連結アーム64とスライダ32とを連結する第1連結軸64aの中心(第1の支点P1)と、連結アーム64と蓋体24の上端部とを連結する第2連結軸64bの中心(第2の支点P2)と、回動アーム63の軸支部の中心(蓋体24の回転中心P3)との位置関係について説明する。
【0038】
図8に示すように、本実施形態のカバー21では、蓋体24が開放された状態、すなわちスライダ32が後方位置に配置された状態において、前記第1の支点P1と第2の支点P2とを結ぶ直線L1が、スライダ32の移動線L2に対して交差するように、第1及び第2の支点P1,P2が配置されている。より具体的に言えば、第2の支点P2がスライダ32の移動線L2から所定の距離をおいて上方に配置されるようになっている。このとき、第1の支点P1と第2の支点P2とを結ぶ直線L1と、蓋体24の回転中心P3と第2の支点P2とを結ぶ直線L3とのなす角θの角度を、115°〜125°の範囲内とすることが好ましく、118°〜120°の範囲内とすることがさらに好ましい。
【0039】
このような構成のカバー21では、保持機構34による蓋体24の閉止位置での保持が解除されると、渦巻きばね36の付勢力により、スライダ32が前方位置から後方位置側へと移動する。このスライダ32には、蓋体24の上端が連結アーム64を介して連結されている。このため、蓋体24は、スライダ32の移動に連動して、枠体23前方の閉止位置から持ち上げられつつ、枠体23の側面上の回転中心P3周りに回動される。そして、スライダ32が枠体23の後方位置に達した状態では、蓋体24は、その大部分が枠体23の上面にほぼ重合するようにセンタコンソール22の開口部内に収容され、開放位置に配置される。
【0040】
このスライダ32の前方位置から後方位置側へ移動するに従って、渦巻きばね36は徐々に緩められ、そのスライダ32に対する付勢力も小さくなっていく。この付勢力の低下に伴って、蓋体24の移動速度も低下していく。
【0041】
ここで、本実施形態のカバー21では、枠体23、スライダ32及び蓋体24を連結する各支点及び回転中心P1〜P3を上述のように配置した。このため、傾斜状態に固定された枠体23上において、スライダ32が移動の終点である後方位置に近づいても、蓋体24の慣性重量によりスライダ32の移動速度を上昇させる力が生じるのが抑制される。これにより、図10に実線で示すように、蓋体24の移動速度は、開放位置付近で跳ね上がることがほとんどなく、ほぼ一定の移動速度に収束される。
【0042】
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(イ) このカバー21では、蓋体24を開放する際に、その蓋体24の移動速度が開放位置付近で跳ね上がるのを抑制することができる。これにより、蓋体24の開放操作時における操作フィーリングを向上することができる。
【0043】
(ロ) このカバー21では、蓋体24の表面の下端近傍に、蓋体24の長手方向に沿って延びる複数の指かけ突条65が設けられている。そして、その上方側には、同指かけ突条65に沿うように凹部66が設けられている。
【0044】
このため、蓋体24の開閉操作時に、この指かけ突条65に指をかけやすいとともに、かけた指が滑りのを抑制することができる。これにより、蓋体24をより確実に係脱位置まで押し込むことができて、その蓋体24の前方にシフトノブ等の障害物があるような場合であっても、蓋体24の開放を容易に行うことができる。また、凹部66により指かけ突条65の存在が強調されるため、その指かけ突条65に蓋体24を開閉するための操作部であることの識別性が付与される。従って、蓋体24の開閉時における良好な操作フィーリングを実現することができる。
【0045】
(変更例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態では、本発明の蓋体の開閉機構を車両のセンタコンソール22に収容される音響機器26のカバー21に具体化したが、例えばセンタコンソール、インストルメントパネル等に装備される小物入れ等における蓋体の開閉機構に具体化してもよい。
【0046】
・ 指かけ突条65の数を、前記実施形態に記載したものとは異なるようにしてもよい。すなわち、指かけ突条65を、2本あるいは4本以上設けてもよい。
・ 指かけ突条65に対して、例えば表面を粗くする、表面に指との摩擦係数を大きくするような物質の層を形成する等のさらなる滑り止め加工を行ってもよい。また、指かけ突条65を一本とし、その表面に同様の滑り止め加工を行ってもよい。あるいは、指かけ突条65自体を、指との摩擦係数が大きな物質で形成してもよい。
【0047】
このようにしても、前記実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願各請求項に記載の発明によれば、蓋体の移動速度が開放位置付近で跳ね上がるのを抑制することができる。また、突条に指をかけやすく滑りにくくすることができるとともに、突条の存在が強調されて蓋体を開閉するための操作部であることの識別性を付与することができる。これにより、蓋体の前方に障害物があるか否かを問わず、蓋体の開閉を容易に行うことができる。従って、蓋体の開閉時における良好な操作フィーリングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蓋体の開閉機構を車載用音響機器のカバーに具体化した一実施形態を示す斜視図。
【図2】 図1のカバーの一部破断側面図。
【図3】 図1のカバーの平面図。
【図4】 図1のカバーの正面図。
【図5】 図3の5−5線断面図。
【図6】 保持機構のガイド突条及びハートカムを示す斜視図。
【図7】 図3の7−7線断面図。
【図8】 蓋体の開閉状態に関する説明図。
【図9】 指かけ突条を拡大して示す断面図。
【図10】 蓋体の移動速度に関するグラフ。
【図11】 図1のカバーの装着状態を示す斜視図。
【図12】 従来のカバーを示す側面図。
【符号の説明】
21…カバー、23…基台部材として枠体、24…蓋体、32…移動体としてスライダ、33…付勢機構、34…保持機構、64…連結体としての連結アーム、65…突条としての指かけ突条、66…凹部、L1…第1の支点と第2の支点とを結ぶ直線、L2…移動線、L3…蓋体の回転中心と第2の支点とを結ぶ直線、P1…第1の支点、P2…第2の支点、θ…第1の支点と第2の支点とを結ぶ直線と蓋体の回転中心と第2の支点とを結ぶ直線とのなす角。

Claims (4)

  1. 基台部材と、その基台部材の前方の閉止位置とその基台部材の上方の開放位置とに切替配置可能な蓋体と、前記閉止位置に蓋体を保持する保持機構と、前記基台部材の上面前方に設定された前方位置と同基台部材の上面後方に前記前方位置から所定の落差をもって設定された後方位置との間を移動する移動体と、その移動体と前記蓋体の閉止状態における上端部とを連結する連結体と、その移動体を前記後方位置側に付勢する付勢機構とを備え、
    前記保持機構における蓋体の保持が解除されたとき、前記付勢機構の付勢力により前記移動体が前方位置から後方位置に移動され、その移動体の移動に連動して前記蓋体が前記閉止位置から開放位置へと回動されるようにした蓋体の開閉機構において、
    前記蓋体が開放位置に配置された状態で、前記連結体と前記移動体とを連結する第1の支点と、前記連結体と前記蓋体の上端部とを連結する第2の支点とを結ぶ直線が、前記移動体の移動線に対して交差するようにしたことを特徴とする蓋体の開閉機構。
  2. 前記蓋体が開放位置に配置された状態で、前記第2の支点が前記移動体の移動線から所定の距離をおいて上方に配置されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の蓋体の開閉機構。
  3. 前記蓋体が開放位置に配置された状態で、前記第1の支点と第2の支点とを結ぶ直線と、前記基台部材の側面上に配置された前記蓋体の回転中心と前記第2の支点とを結ぶ直線とのなす角の角度が115°〜125°の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓋体の開閉機構。
  4. 前記蓋体の表面には、その下端の近傍に蓋体の長手方向に沿って延びる複数の突条を設けるとともに、その複数の突条の上方側に同突条に沿うように凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の蓋体の開閉機構。
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