JP3643956B2 - 人工低透水層の構築方法 - Google Patents

人工低透水層の構築方法 Download PDF

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  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)
  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下水位が高い砂地盤又は砂礫地盤における大深度の地下工事に際し、ドライワークを可能にし、或いは盤ぶくれを防止する等の目的で実施される地下水位低下工法の一種として採用される人工低透水層の構築方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地下水位が高い砂地盤又は砂礫地盤における大深度の地下工事に際しては、ドライワークを可能にし、或いは盤ぶくれを防止する等々の目的で地下水位低下工法が多く実施されている。通例は、施工対象地盤を取り囲む遮水壁を難透水層へ根入れして周辺の地下水系との縁を切った上で、揚水井戸などを設置し、湧き水を排除している。
【0003】
ところが、施工対象地盤を取り囲む遮水壁を根入れすべき適当な地盤深度に難透水層が存在しない場合には、揚水量の軽減、或いは周辺の地下水系へ及ぼす影響の緩和を目的として人工的に難透水地盤層(難透水層)を構築する工法が実施される。人工難透水層は地盤の掘削底(根切り深度)より下層の位置に構築される。平面的な構築範囲は、通例、遮水壁で囲まれた地盤領域の全域とされる。そうした従来技術は、例えば、
【0004】
(1)特開平7−71029号公報に開示された「人工難透水層の構築方法」が公知である。これは地盤中の透水層に到達する深度まで遮水壁を構築し、前記透水層に到達する注入管と回収管を設置し、注入管から透水層へ薬液を注入し、これを回収管で吸引して薬液を浸透させ、薬液の反応により、薬液が浸透した範囲を難透水層に形成すると説明されている。但し、薬液の種類、作用、浸透性などに関する具体的な説明は見あたらない。
【0005】
(2)また、特開平7−34443号公報に開示された「砂質地盤に対する保水構造施工方法」は、一例として砂漠の緑化を目的としたもので、砂質地盤の一定領域に所定の間隔で注入パイプを所定深度まで挿入し、前記パイプから液状化した防水剤、例えばアスファルト乳剤を注入して地盤中に浸透させ、固化した防水剤による不透水膜を連ねることにより地中に保水可能な保水槽を形成すると説明されている。
【0006】
(3)従来、湧水防止又は軟弱地盤の改良を目的として地盤の透水性を低下させる方法、或いは山留め壁の不良部分からの漏水防止、或いは透水性の良い砂地盤又は砂礫地盤が地中深くまで続く場所での開削工事における掘削底部からの湧き水防止などの対策としては、薬液注入工法を実施する場合が多い。注入する薬液材料としては、水ガラスを主成分とするもの、又はセメントを主成分とするものが主に使用されている。
【0007】
因みに、水ガラス系材料の場合は粘性があるため、地盤への注入径は最大でも2m程度である。よって広範囲に止水層を構築する場合には、注入孔(ボーリング孔)を1m〜2m程度の間隔で多数設置しなければならず、施工に多くの労力を要し、コストが非常に高くなる。水ガラス系でも有機系の材料は、地盤中の嫌気性微生物の影響でメタンガスを発生する場合があり、地下水を汚染するので、使用が制限される。
【0008】
セメント系の材料は、セメント粒子の大きさの故に砂地盤又は砂礫地盤への注入径が小さい。そのため上記水ガラス系材料の場合と同じく、注入孔(ボーリング孔)を1m〜2m程度の間隔で多く設置しなければならず、施工のコストが非常に高くなる。
【0009】
従って、従来の薬液注入工法によって人工的に低透水層を構築するには、多大な労力と施工コスト及び長い工期を必要とする欠点があった。
【0010】
そこで最近の開発成果として、例えば
(4)特開2000−104066号公報に開示された「地盤の止水材及び地盤の止水方法」は、混合することにより不溶性の沈殿物を生成する2種以上の水溶液で構成された止水剤、及び前記混合することにより不溶性の沈殿物を生成する2種以上の水溶液を別々に注入して地盤の止水を行う方法である。
【0011】
更に具体的にいえば、前記2種の水溶液は、カルシウム塩水溶液と、炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液であり、不溶性の沈殿物は炭酸カルシウムであると説明されている。また、前記2種の水溶液は、注入する前には混合せず別々に注入し、地盤の空隙内で互いに混合して不溶性の沈殿物を生成させる。そして、2種の水溶液の注入順序に制約はなく、同時注入であっても良く、更に同一箇所からの注入、又は1m〜10m程度離れた場所から別々に注入しても良いとの説明も認められる。
【0012】
(5) 次に、特許第2821049号公報(平成10年11月5日発行)に開示された「地盤注入工法」は、いわゆる流水地盤の止水を対象とするもので、注入材として水膨潤性繊維を水に分散させた繊維分散水溶液を使用すること、場合によっては前記水溶液に電解質を添加することが説明されている。
【0013】
要するに、繊維分散水溶液を注入すると、水膨潤性繊維が、水流によって地盤中を移動する間に周囲の砂や礫に絡み付きつつ膨潤して地盤中の間隙(流水路)を遮断して止水効果を発揮する。電解質の量を増減することにより、前記水膨潤性繊維が膨潤し始めるまでの時間、即ちゲルタイムを調整できるとの説明がなされている。
【0014】
【本発明が解決しようとする課題】
I)上記(1)の「人工難透水層の構築方法」は、注入管から透水層へ薬液を注入し、これを回収管で吸引して薬液を浸透させる旨の説明を認められるが、それ以上の具体的な説明は見あたらない。例えば注入管の注入孔の目詰まりの対策とかは何も説明されていない。しかし、目詰まりによって薬液の注入範囲、注入速度が制約を受けることは明らかで、目詰まりの解消策が無ければ、耐久性が無いことになる。注入管が目詰まり傾向を示すと、2液目を有効に注入出来なくなる。注入管と回収管とは明らかに構造が異なるから、両者の兼用により逆洗効果を期待することも無理である。薬液として、上記(3)の水ガラス系材料又はセメント系材料、或いは(4)のカルシウム塩水溶液と、炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液を使用するとか、上記(5)の水膨潤性繊維を水に分散させた繊維分散水溶液を使用することを検討しても、いずれの水溶液も地盤への注入径は小さく制限される。よって広範囲に低透水層を構築する場合には、注入孔(ボーリング孔)を例えば2mないし4m程度の狭い間隔で多数設置しなければならず、施工の労力とコストが非常に多くかかり、工期も長い。
【0015】
II)アスファルト乳剤を使用する上記(2)の施工方法にも、同様な欠点が認められる。
【0016】
III)次に、薬液の性能について検討を進める。例えば上記(4)に開示された2種の水溶液、即ち、カルシウム塩水溶液と炭酸塩又は炭酸水素塩水溶液を混合すると、不溶性の炭酸カルシウム(CaCO)が析出するが、更にその副産析出物として塩化ナトリウム(NaCl)が生成される。この塩化ナトリウム(NaCl)は水溶性であり、透水性の低下には寄与しないことに注意を要する。水溶性の副産析出物は、地盤中の細菌類の効果も期待できないから、地盤の透水性を低下させる効果、及び耐久性の向上に多くを期待できない。その上、第1の水溶液の濃度は、塩化カルシウム(CaCl)を1リットル当たり500g混ぜたもの、第2の水溶液濃度は炭酸ナトリウム(NaCO)を0.92リットル当たり80g混ぜたものとされ、いずれも比較的高濃度な水溶液の組み合わせである。2種の水溶液が比較的高濃度であると、注入材料が多く必要でコスト高になるばかりか、地下水の硬度、塩分濃度が上昇する懸念がある。
【0017】
IV)上記(5)に開示されたように、注入材として水膨潤性繊維を水に分散させた繊維分散水溶液を使用する対象は流水地盤に限られ、透水性の良い砂地盤又は砂礫地盤には適用性に欠ける。即ち、水膨潤性繊維が存在するが故に地盤への注入径は小さく制限され、広範囲に低透水層を構築する場合には、注入孔(ボーリング孔)を狭い間隔で多く設置しなければならず、施工の労力とコストが非常に多くかかり、ひいては工期が長引くことになる。
【0018】
本発明の目的は、耐久性に優れた注水井戸兼揚水井戸を使用して注入管と揚水管の兼用を可能にすると共に少なくとも2種の水溶液の浸透性を高めて、広範囲に低透水層を構築する場合でも、注水井戸兼揚水井戸を大きな間隔で少数設置すれば足り、高品質の人工低透水層を少ない労力と費用で、しかも短工期で実現できる人工低透水層の構築方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る人工低透水層の構築方法は、
施工対象地盤の周囲を、構築するべき人工透水層の深度よりも深い位置まで構築した遮水壁で取り囲み、前記遮水壁に囲まれた透水性の砂地盤又は砂礫地盤中に少なくとも2種の水溶液を注入し浸透させて反応させ、地盤中に微細粒を生成させて人工低透水層を構築する方法において、
前記施工対象地盤において工事を開始するエリアの開始側に注水井戸を一定の間隔で複数設置し、工事を進める側には注水井戸兼揚水井戸を一定の間隔で複数設置すること、
前記の注水井戸を使用して、比重差が有る2種の水溶液を、比重が大きい水溶液は上層から、比重が小さい水溶液は下層から同時期に地盤中へ注入し、前記工事を進める側の注水井戸兼揚水井戸を揚水井戸に使用して揚水を行い、両井戸間の地盤中に局所的な動水勾配を形成して地下水流れを生じさせ浸透を促進すること、
地盤中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって地盤中に微細で水に難溶性の析出物を生成させ地盤の透水性を低下させること、
工事の進行方向に次なるエリアには、前記注水井戸兼揚水井戸の位置から更に工事を進める側に次なる注水井戸兼揚水井戸を一定の間隔で複数設置し、今度は先の注水井戸兼揚水井戸を注水井戸に使用して、比重差が有る2種の水溶液を、比重が大きい水溶液は上層から、比重が小さい水溶液は下層から同時期に地盤中へ注入し、前記次なる注水井戸兼揚水井戸を揚水井戸に使用して揚水を行い、両井戸間の地盤中に局所的な動水勾配を形成して地下水流れを生じさせ浸透を促進し、地盤中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって地盤中に微細で水に難溶性の析出物を生成させ地盤の透水性を低下させる工程を以下順に繰り返すことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施形態】
以下に、本発明に係る人工低透水層の構築方法の実施形態を説明する。
本発明の要旨は、透水性の砂地盤又は砂礫地盤中に少なくとも2種の水溶液を注入し浸透させて反応させ、地盤中に微細粒を生成させて人工低透水層を構築する方法である。図3に例示したように、施工対象地盤1の一方に注水井戸3A又は注水井戸兼揚水井戸3を設置し、他方にも注水井戸兼揚水井戸3を設置する。そして、前記の注水井戸3A又は注水井戸兼揚水井戸3から少なくとも2種の比重差がある水溶液を、比重が大きい水溶液は上層から、比重が小さい水溶液は下層から同時期に地盤1中へ注入し、揚水井戸3Bからは揚水を行い、地盤1中の地下水に動水勾配θを局所的に形成して地下水に流れを生じさせ水溶液の浸透を促進する。かくして地盤1中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって、地盤1中の特定領域に微細で水に難溶性の析出物を生成させ、もって地盤1の特定領域の透水性を低下させた人工低透水層を構築することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る人工低透水層の構築方法の実施形態は極めて広い自由度を有するが、その具体的な一実施形態を、図示例に基づいて説明する。
【0029】
図1は、施工対象地盤1の周囲を、構築するべき人工低透水層の位置よりも深い位置まで構築した遮水壁2で取り囲み(図6を参照)、前記遮水壁2に囲まれた地盤中に、注水井戸兼揚水井戸3…を一定の間隔で複数設置した平面配置図を示している。
【0030】
前記注水井戸兼揚水井戸3の構造の一実施形態を図2に示す。
この注水井戸兼揚水井戸3は、下部に多孔構造のスクリーン30を形成したケーシングパイプ31を、前記スクリーン30が地盤1中の人工低透水層の構築深度(帯水層33)に到達する深さに設置する。因みに、スクリーン30の高さ範囲は約2m程度に構成されている。前記ケーシングパイプ31は、地盤に削孔した穴32の中へ挿入して設置される。前記ケーシングパイプ31の外周部には、人工低透水層を構築する帯水層33の範囲に礫石等によるフィルター層34を充填し、その他の部位には粘土のようなシール材35を充填する。また、前記ケーシングパイプ31の中に、水溶液の注入管36、及び先端に揚水ポンプ38を備えた揚水管37を併設する。従って、前記の注入管36と揚水管37を使い分けることにより、水溶液を注入する注水井戸と、揚水を行う揚水井戸とに使い分けることが可能である。
【0031】
人工低透水層の構築手順としては、例えば図1のエリア1から工事を開始し、エリア2、エリア3へと工事を進める。したがって、先ずエリア1の右側に縦列に位置する各注水井戸兼揚水井戸3を注水井戸3Aに選択し使用する。一方、同左側の縦列に位置する隣接の注水井戸兼揚水井戸3を揚水井戸3Bとして選択し使用する。
【0032】
その関係は、図3に概念図を示したように、右側の注水井戸3Aから少なくとも2種の水溶液X、Yを同時に若しくは別々に地盤1中へ注入し、左側の揚水井戸3Bから揚水を行うことにより、地盤1中の地下水に局所的な動水勾配θを形成して地下水の流れ4を生じさせ、前記水溶液の浸透を促進する。そして、地盤1中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって、前記二つの井戸3Aと3Bの間の地盤領域に微細で水に難溶性の析出物を生成させて透水性を低下させた人工低透水層をエリア1に部分的に造成する。
【0033】
図4は、第1の水溶液Xの注入段階を示しており、符号xは同水溶液の浸透状況を示している。
【0034】
図5は、続く第2の水溶液Yの注入段階を示し、符号yは同水溶液の浸透状況及び前記第1の水溶液Xとの接触、反応領域5を示している。時間の経過と共に反応領域5が左方へ拡大して、遂にはエリア1の全域に人工低透水層が造成される。
【0035】
本発明の構築方法は、上記したように、水溶液を注入する注水井戸3Aと、揚水井戸3Bを併用して、地盤1中に局所的な動水勾配を形成して一定方向への限定された地下水の流れ(いわゆる局所地下水流れ領域6=図3を参照)を生じさせるから、水溶液X、Yが人工低透水層の構築予定地盤領域以外へ分散、流出することを抑制する作用効果が奏され、水溶液の無駄な消費を防止でき、人工低透水層の確実な造成に寄与する。
【0036】
上記の要領でエリア1の造成工事を終了した後は、エリア2の工事に進む。この場合には、先に揚水井戸3Bとして使用したエリア1の左側の注水井戸兼揚水井戸3を、今度は注水井戸3Aとして使用する。そして、エリア2において隣接する左側の注水井戸兼揚水井戸3を揚水井戸3Bとして使用する。前記注水井戸3Aから少なくとも2種の水溶液X、Yを同時に若しくは別々に地盤中へ注入し、揚水井戸3Bから揚水を行い、地盤中の地下水に局所的な動水勾配θを形成して地下水の流れ6を生じさせ、地盤1中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって、二つの井戸3A、3B間の地盤領域に微細で水に難溶性の析出物を生成させて透水性を低下させた人工低透水層をエリア2に部分的に造成することは、図4及び図5に基づいて説明した通りである。
【0037】
以下、同様な手法による工事をエリア3についても実施して、施工対象地盤1の全域に人工低透水層を構築するのである。
【0038】
かくして構築した人工低透水層8を利用して地下水位低下工法を実施する一例を図6に示した。人工低透水層8が完成した後は、既往の地下水位低下工法を実施することにより、地下水位が高い砂地盤又は砂礫地盤における大深度の地下工事に際して、ドライワークを可能にし、或いは盤ぶくれを防止する等の目的を容易に達成できるのである。図6において符号9は地下水位低下工法の揚水井戸を示している。
【0039】
本発明の構築方法は、先に揚水井戸3Bとして使用した注水井戸兼揚水井戸3を、次には注水井戸3Aとして使い分けるから、スクリーン30の目詰まりを逆洗作用で解消する結果となる。よって、目詰まりに対する耐久性を有する構築方法である。
【0040】
本発明の構築方法は、少なくとも2種の水溶液のうち、第1の水溶液Xを地盤中へ注入し浸透させた後に、第2の水溶液Yを注入し浸透させることにより、2種の水溶液を地盤中で広範囲に効率よく接触させ反応させることができる。よって、注水井戸3Aと揚水井戸3Bの間の地盤領域に微細で水に難溶性の析出物を高効率に生成させて透水性を低下させた人工低透水層を高品質に確実に構築することができる。
【0041】
因みに、本発明の構築方法で使用する水溶液X、Yとしては、鉄塩基を含む水溶液とこれを酸化させる酸化剤水溶液の組み合わせ、又はカルシウム塩基を含む水溶液と炭酸塩水溶液の組み合わせ、若しくはマグネシウム塩基を含む水溶液と炭酸塩水溶液の組み合わせ等である。
【0042】
本発明の構築方法は、注水井戸3A内の水位を一定の高さに保ちながら水溶液X、Yの注入を行い、揚水井戸3B内は揚水ポンプ38で一定以下の水位を保つように揚水することで、地盤1中の地下水に局所的な動水勾配θを効果的に形成して地下水の流れ4を生じさせる。
【0043】
また、後から注入する水溶液は、注入開始直後は低濃度のものを注入し、次第にその濃度を高めながら注入を行い、もって地盤中で2種の水溶液X、Yを効果的に接触させ反応させる。
【0044】
最後に、図7は、本発明に係る人工低透水層の構築方法の一実施形態として、2種の水溶液X、Yに比重差が有る(例えば水溶液Yの比重は水溶液Xの比重よりも大きい。)場合の工事例を示している。この場合には、比重が大きい水溶液Yを上層から、比重が小さい水溶液Xを下層から同時に注入する。具体的には、図2に示す注入管36を2種の水溶液X、Y用として2本に増やし、水溶液X用の注入管の先端開口を深く設置し、水溶液Y用の注入管の先端開口を浅く設置して注入を行う。かくすると、2種の水溶液XとYは地盤1の中へ浸透してゆく過程で接触が進み、中間層に反応領域5が効率良く造成される。
【0045】
【本発明が奏する効果】
請求項1に記載した発明に係る人工低透水層の構築方法によれば、耐久性に優れた注水井戸兼揚水井戸を使用して注入管と揚水管の兼用を可能にすると共に少なくとも2種の水溶液の浸透性を高めるから、広範囲に低透水層を構築する場合でも、注水井戸兼揚水井戸は大きな間隔で少数設置すれば足りる。よって、高品質の人工低透水層を少ない労力と費用で、しかも短工期で実現できる。ひいては地下水位が高い砂地盤又は砂礫地盤における大深度の地下工事に際して、ドライワークを可能にし、或いは盤ぶくれを防止する等の目的を容易に達成できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】注水井戸兼揚水井戸の配置例を示した平面図である。
【図2】注水井戸兼揚水井戸の構造を示した断面図である。
【図3】本発明に係る人工低透水層の構築方法の実施形態を示した断面図である。
【図4】本発明に係る人工低透水層の構築方法の実施形態の進捗状況を示した断面図である。
【図5】本発明に係る人工低透水層の構築方法の実施形態の更なる進捗状況を示した断面図である。
【図6】本発明の構築方法で造成した人工低透水層を利用した地下水位低下工法の実施要領の一例を示した断面図である。
【図7】本発明に係る人工低透水層の構築方法の他の実施形態を示した断面図である。
【符号の説明】
1 地盤
X、Y 水溶液
3A 注水井戸
3B 揚水井戸
3 注水井戸兼揚水井戸

Claims (1)

  1. 施工対象地盤の周囲を、構築するべき人工透水層の深度よりも深い位置まで構築した遮水壁で取り囲み、前記遮水壁に囲まれた透水性の砂地盤又は砂礫地盤中に少なくとも2種の水溶液を注入し浸透させて反応させ、地盤中に微細粒を生成させて人工低透水層を構築する方法において、
    前記施工対象地盤において工事を開始するエリアの開始側に注水井戸を一定の間隔で複数設置し、工事を進める側には注水井戸兼揚水井戸を一定の間隔で複数設置すること、
    前記の注水井戸を使用して、比重差が有る2種の水溶液を、比重が大きい水溶液は上層から、比重が小さい水溶液は下層から同時期に地盤中へ注入し、前記工事を進める側の注水井戸兼揚水井戸を揚水井戸に使用して揚水を行い、両井戸間の地盤中に局所的な動水勾配を形成して地下水流れを生じさせ浸透を促進すること、
    地盤中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって地盤中に微細で水に難溶性の析出物を生成させ地盤の透水性を低下させること、
    工事の進行方向に次なるエリアには、前記注水井戸兼揚水井戸の位置から更に工事を進める側に次なる注水井戸兼揚水井戸を一定の間隔で複数設置し、今度は先の注水井戸兼揚水井戸を注水井戸に使用して、比重差が有る2種の水溶液を、比重が大きい水溶液は上層から、比重が小さい水溶液は下層から同時期に地盤中へ注入し、前記次なる注水井戸兼揚水井戸を揚水井戸に使用して揚水を行い、両井戸間の地盤中に局所的な動水勾配を形成して地下水流れを生じさせ浸透を促進し、地盤中で前記2種の水溶液を接触させ反応させることによって地盤中に微細で水に難溶性の析出物を生成させ地盤の透水性を低下させる工程を以下順に繰り返すことを特徴とする、人工低透水層の構築方法。
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