JP3643448B2 - 伸縮性不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエラストマー系弾性繊維からなる伸縮性不織布に関する。更に詳しくは、本発明は、エラストマー系弾性繊維固有のゴム状触感が可及的に軽減された風合を有し、しかも実用に供し得る弾性、伸縮性並びに強度を併有する伸縮性不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性と伸縮性とを兼備する弾性不織布として次のようなものが知られている。
【0003】
(1)ポリエステル系のエラストマーをスパンボント法により紡糸し、吐出されたフィラメント群からシート状物を形成した後、フィラメント間に絡合処理を施したもの(特開昭57―82553号公報)。
【0004】
(2)ポリエーテルエステル系のエラストマーをジェット紡糸法により紡糸し、吐出されたフィラメント群からシート状物を形成すると同時にフィラメント同志の交差点(接触点)を接合させたもの(特開昭57―95362号公報)。
【0005】
(3)ブロックコーポリエーテルエステルをメルトブロー法により紡糸し、吐出されたフィラメントからシート状物を形成したもの(特開昭60―239553号公報、米国特許第4,910,064号および同第4,803,117号明細書)。
【0006】
以上に述べた弾性不織布においては、元々、その構成フィラメントがゴム状弾性を呈するエラストマーから構成されているため、以下のような不利益が未解決のまま残されている。
【0007】
▲1▼不織布自体がゴム状弾性を示すフィラメントからなるため、風合的に忌み嫌われる“ゴム状感”は避けられない。さらに、“柔らかい風合”も要求特性の一つである。このためには、構成フィラメントを細くすればよいが、一方ではフィラメントの破断強伸度が極端に低下し、以下の▲2▼項で述べる不織布強度(布帛強度)が不足してくる、という二律背反の問題が生じる。
【0008】
▲2▼不織布を構成する弾性フィラメントの破断強度が低いため、不織布強度が十分でない。この不織布強度を上げるために、前掲の(1)の技術では、事後にフィラメント間交絡、フィラメント交差点の融着処理が行われている。しかし、不織布の形成後にこれらの操作をすることは、工程が繁雑化するばかりでなく、接触点の接着によって接触点間の繊維の長さが短くなり、布帛の風合いが悪化する原因にもなる。
【0009】
他方前掲(2)の技術では、不織布形成時にフィラメント同志の交差点を自己接合させること(すなわち、不織布に点接着部を付与すること)が開示されているが、このような点接着では、実用に供し得る不織布強度を得ることは甚だ困難である。
【0010】
▲3▼前項▲2▼で述べたことから当然に推測されることであるが、弾性不織布は事後の取扱性(ハンドリング性)が悪い。特に、絡合、融着(接合)処理が施されていないものの取扱性は想像するに難くなく、ましてや点接着されたものにおいても左程改善されるものでない。
【0011】
▲4▼最後に挙げられるのが、不織布の総合的外観すなわち品位である。構成フィラメントの配列状態が均質で、見た目に違和感がないことが品位としての要求特性である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記▲1▼〜▲4▼で述べたように、弾性不織布の諸要求特性間の二律背反性を克服し、柔軟にしてゴム状感のない風合、実用に供し得る布帛強度と取扱性、および品位のある外観を兼備した不織布を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等の研究によれば、不織布に柔軟な風合を実現するには、ジェット紡糸法およびスパンポンド法に比べて、超極細フィラメントを紡出可能なメルトブロー法による不織布が最も適していること;フィラメントの超極細化に伴う不織布強度の低下は、不織布中に以下に特定する特定の接合部(融着部)を導入することによって防止し得且つ該融着部の存在によって、不織布のゴム状風合が可及的に低減されること;そして該不織布の取扱性と品位に影響する因子としての、弾性フィラメントの“ちぢれ”部分の存在が新たに本発明者等によって確認された結果、ここに本発明に到達したのである。
【0014】
かくして、本発明によれば、平均直径が0.1〜30μの弾性連続単繊維がランダムに配列されてなる、メルトブロー方法によって得られた伸縮性不織布において、該不織布中には、
(a)該単繊維の2本〜50本が互いに並行状態で融着・結合され且つその長さが該単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にある線状融着部と
(b)該線状融着部同志の交差点、および該線状融着部と単繊維との交差点が夫々に融着されてなる点状融着部
とが混在し、そして
(c)単繊維の“ちぢれ”部分が不織布の単位面積1cm2当たり、400個以上は存在せず、もって実質的に“ちぢれ”部分から解放されており、
かつ線状融着部が不織布の単位面積1cm 2 当たり、500個〜3,000個存在することを特徴とする伸縮性不織布
が提供される。
【0015】
以下、本発明を添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1はメルトブロー法によって得られた、本発明の伸縮性不織布の部分拡大平面図であり、1は該不織布を構成する直径が0.1μ〜30μの弾性連続単繊維(以下、単に、弾性単繊維又は構成単繊維と称する)である。この弾性単繊維は周知のようにランダムに配列されて伸縮性不織布を構成するが、その際本図にあっては該弾性単繊維の5本が並行状態で融着・結合してなる線状融着部2、該単繊維の3本が融着してなる線状融着部3、前記2種の線状融着部2および3がそれらの交差点でさらに融着・接合してなる点状融着部4および弾性単繊維同志の交差点が融着・接合してなる点状融着部5(いずれも単繊維が吐出後冷却される間の自己接着により形成される。)が散在しているのが特徴的である。
【0017】
ここで、点状融着部4は、点状融着部5に比べてそのサイズが大きいことから、点状融着部5との関係では準線状融着部とも言うことができる。
【0018】
本発明においては、上述の線状融着部、点状融着部および準線状融着部を不織布中に散在させることによって、所望の性状を具備する不織布が実現されたわけであるが、その際弾性単繊維、融着部についてさらに以下の要件が満足されることが肝要である。
【0019】
・弾性単繊維の平均直径が0.1〜30μであること;
この直径の範囲は、不織布の柔軟性と強度を両立させるのに必要な範囲であり、0.1μ未満では風合はより柔軟な方向に向うものの、強度的に実用性が消失する。他方この直径が30μを越えると、十分な強度は確保されるものの、最早柔軟な風合は望むべくもない。この直径の好ましい範囲は1μ〜20μである。なお、ここで言う直径とは、弾性単繊維の断面が異形(例えば、楕円、多葉系、多角形等)の場合は、それらを相当する太さ(デニール)の丸断面に見做した場合の直径をも意味する。
【0020】
・線状融着部においては、弾性単繊維の2〜50本が互いに並行状態で融着し、且つその長さが構成単繊維の平均直径の10〜1,000倍の範囲にあること;ここに述べた要件は、準線状融着部共々弾性単繊維からなる不織布固有のゴム状感を低減すると共に、不織布の強度向上に寄与する。
【0021】
融着本数が2本未満(つまり、並行融着部が存在しない場合)、融着部の長さが、構成単繊維の平均直径の10倍未満である場合は、不織布のゴム状感を消失できないばかりか、強度向上も図れない。他方、融着本数が50本を越えたり、融着部の長さが構成単繊維の平均直径の1,000倍を越えると、融着部が目立ち過ぎて地合が悪化し、同時に不織布強度も左程向上しなくなる。融着本数の好ましい範囲は5本〜20本であり、融着部の長さの倍率の範囲は50倍〜500倍である。
【0022】
・準線状融着部4、および点状融着部5が存在すること;
このような融着部は、不織布のゴム状感を緩和するのに寄与するが、併せて、不織布の強度、特に形態保持性を改善する。
【0023】
・不織布の単位面積1cm2 当たり、“ちぢれ”部分が400個を越えて存在しないこと。
【0024】
この“ちぢれ”部分とは図1中の6で示される。不織布を構成する単繊維は、直線状、なだらかな曲線状にある。これに対して、“ちぢれ”部分とは、単繊維が切断されているか、いないに関わらず、単繊維あるいは、線状に融着した単繊維束が、繊維軸方向にその直径の5倍以内の距離で、単繊維断面の法線の向きが大きく変わり、微小部分において数回のループまたは螺旋または折り返している状態の繊維部分をいい、繊維軸方向にその直径の5倍以上の距離で繊維断面の法線の向きが変っていない、いわゆる真直な部分とは構造が全く異なる部分である。そして、この“ちぢれ”部分が不織布の強度、取扱性に悪影響を及ぼしていたことが確認された。
【0025】
すなわち、熱可塑性ポリマーをメルトブローすると、溶融ポリマーが口金より吐出された際、ポリマーの細化、牽引に使用される高温高圧気体流により、単繊維が切断して幾重かに折りたたまれた微少な“ちぢれ”部分が生じる。特に熱可塑性エラスマトーは、溶融弾性が大きく、単繊維が切断しないまでも上記“ちぢれ”が生じやすい。“ちぢれ”部分は単繊維が微小面積に固まって存在する状態であり、いうまでもなく布帛の風合いを悪化させる原因の一つとなる。そして、上記“ちぢれ”部分が不織布の単位面積当たり、400個以上を越えて存在するとき、上述の不利益が生じることが判明したのである。
【0026】
このことから、本発明においては、“ちぢれ”部分を不織布の単位面積1cm2 当たり、400個以下に抑制したものである。この“ちぢれ”部分は特に、200個以下であることが好ましい。
【0027】
更に、上記した線状融着部、準線状融着部、および点状融着部について、追加説明する。
【0028】
まず、線融着部は、不織布の単位面積1cm2 当たり、500〜3,000個存在し、線融着に関与する単繊維本数が、不織布を構成する全単繊維本数の20〜100%の範囲にあるのが好ましい。これにより、構成単繊維は細径でありながら、強伸度の大きい、より太い繊径の繊維が混在するのと同等の効果を効率的に得ることができる。線状融着部が不織布の単位面積1cm2 当たり500個未満であると、上記効果は得られ難く、3000個を越えて存在すると、ゴムライクな風合いが発現し易くなる。好ましい範囲は、不織布の単位面積1cm2 当たり、1,000〜2,500個である。
【0029】
また、準線状融着部と点状融着部とは、両者の総計で、不織布の単位面積1cm2 当たり、1,000〜5,000個存在することが、布帛強度と伸縮性を保つために必要である。1,000個未満であると、強度、伸縮性を良好に保つことはできず、5,000個を越えると逆にゴム状感が強調される。好ましい範囲は、1,500〜4,000個である。
【0030】
以上に述べた本発明の不織布は、その特異な構造故に、下記のような実用的な伸長回復特性(d)〜(g)を呈する。
【0031】
(d)目付100g/m2 当たりの50%伸長応力が100〜1,000g/cm
(e)目付100g/m2 当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力が50〜500g/cm
(f)目付100g/m2 当たりの50%伸長回復後の30%回復応力が20〜400g/cm
(g)50%伸長弾性回復率が80%以上100%以下
上記の特性の意義は以下のように説明できる。すなわち、本発明の不織布を利用した、包帯やサージカルテープで保護されている身体部分は、その部分が滞りなく動くと共に、その動きに該包帯やテープが良く追随し、さらにその動き自体がある程度制限される必要がある。よって、伸縮性不織布には十分な伸度と弾性回復率のみならず、伸縮時に適度な応力をもって動きを制限し、形態を保持することが要求される。また、上記部位に接する伸縮性不織布は、伸長時に必要以上に伸び過ぎないことも必要とされる。
【0032】
叙上のことを踏まえて、本発明の伸縮性不織布の伸長回復曲線は、図2のように示される。
【0033】
ここで、本発明の不織布の50%伸長応力(d)は、100〜1,000g/cmである。100g/cm未満の場合、該不織布を伸長する際伸び過ぎて使用し難くなり、他方1,000g/cmを越えると伸ばすこと自体が困難となる。好ましい範囲は、100〜300g/cmである。
【0034】
また、一旦50%まで伸長された不織布のその後の伸長回復曲線については、50%伸長時の応力曲線(ABC)と、戻すときの回復応力曲線とでは大差はないが、50%伸長に至る伸長応力曲線は、図2のBおよびCを通る。よって、30%伸長応力(e)および30%回復応力(f)は、例えば伸縮性不織布の例えば人体への装着時に、50%伸長した後に30%伸長まで戻したときの繰返し応力、すなわち、実際の装着時における応力を表す指標となるものである。30%伸長応力(e)は、50〜500g/cm、30%回復応力(f)は、20〜400g/cmとなる。30%伸長応力(e)が50g/cm未満あるいは、30%回復応力(f)が20g/cm未満では、装着時にずれやすく、また十分なフィット性、形態保持性が発揮されない。一方、30%伸長応力(e)が500g/cmを越えるか、あるいは30%回復応力(f)が400g/cmを越えると、装着時の締めつけ感が過度に大きくなる。好ましくは、30%伸長応力(e)においては50〜300g/cm、30%回復応力(f)においては50〜200g/cmである。
【0035】
さらに本発明の不織布は、50%伸長弾性回復率(g)が80%以上100%以下となる。80%未満であれば伸長回復後の永久歪が大きすぎて、伸縮性不織布としての機能を十分に発揮することができない。
【0036】
本発明の不織布の、さらに好ましい態様においては、上記(d)〜(g)の特性範囲に加えて、30%回復応力(f)に対する30%伸長応力(e)の比が上記応力範囲において、1.2〜4.0倍にある。1.2倍未満であると伸長応力と回復応力の値が近すぎてフィット性はあっても、締めつけ感が過度に大きくなり、他方4倍を越えるものは、伸長応力に対する回復応力の値が大きすぎてフィット感が満足されない懸念がある。
【0037】
また、上述の(d)〜(g)の伸長応力特性を充足するためには、不織布の見掛密度も関係してくる。この意味で伸縮性不織布の見掛密度は0.10g/cm3 〜0.45g/cm3 の範囲にあることが好ましい。該密度が0.1g/cm3 未満であると、上記伸長応力や回復応力を不織布の縦方向および横方向共に得ることは困難になり、また0.45g/cm3 を越えると、柔らかさがなくなりゴムライクな風合いとなる。より好ましくは、0.15〜0.35g/cm3 である。
【0038】
本発明の伸縮性不織布は、メルトブロー法を利用して得られる。メルトブロー法は、溶融ポリマーを通常、T―ダイのような口金の幅方向に多数並設した紡糸孔から吐出すると同時に、口金の両側面に隣接して設けられた、スリットから高温高速の気体流を噴射して吐出されたポリマーを細化することによって形成される極細繊維群を移動している空気透過性の捕集面上に堆積してシート状物を得る方法である。この方法では細径の繊維を容易に得ることが出来るうえ、溶融ポリマーを直接的にシート化することが可能なため、該熱可塑性エラストマーの不織布を最も好適に得ることができる。
【0039】
さらに製糸条件について詳述すると、ポリマーの溶融粘度としては、100ポイズ以上3,000ポイズ以下であり、より好ましくは500ポイズ以上2,000ポイズ以下である。溶融粘度が低すぎると、糸切れしやすく、同時にポリマー玉も発生しやすくなり、また繊維径の均一性も悪くなる。一方溶融粘度が高すぎると繊維径を細かくすることが困難となる。
【0040】
ポリマーの紡糸温度は、ポリマーの融点+(10℃以上100℃以下)が好ましく、ポリマーが熱分解しない範囲および工程調子が安定な範囲でできるだけ高い温度で粘度を下げることが好ましい。温度が高すぎると溶融粘度が高くなって好ましくなく、高すぎると熱分解しやすくなるため長時間の操業安定性が低下する。
【0041】
ところで、本発明で特定した構造の不織布を得るためには、溶融ポリマーが紡糸孔から吐出される際の吐出線速度(m/分)を0.5〜10m/分、好ましくは1〜5m/分に調整するのが有用であることが判明した。この吐出線速度(m/分)は紡糸孔の吐出面積(cm2 )、単孔当たりの吐出量(cc/分)
から、以下の式で求められる。
【0042】
吐出線速度(m/分)=単孔当たりの吐出量/吐出面積/100
吐出されたポリマーを牽引細化する高温高圧気体は空気または水蒸気が好適である。牽引気体の温度が、ポリマーの紡糸温度とあまり離れていると吐出ポリマーの温度に影響を及ぼすため、[ポリマーの紡糸(溶融)温度−10℃]以上で[ポリマーの融点+100℃]以下、より好ましくは[ポリマーの紡糸温度+10〜50℃]である。また、気体流量は目的とする繊維径や吐出量、接着状態によって適宜決定すればよい。このとき、気体流の噴出スリット幅にもよるが、好ましい流量は口金幅1cm当たり0.01〜0.2Nm3 /分である。0.01Nm3 /分より小さいと細化が十分進まず、得られる不織布の斑も大きくなり、0.2Nm3 /分を越えるとスリットの幅および吐出量によって繊維切れが過大に起こり、また、切断しないまでも“ちぢれ”部分が多数発生し、好ましくない。
【0043】
吐出され、高温高圧気体により牽引細化された繊維群は、サクションを有するネットなどの捕集面上に堆積され、シート状物すなわち不織布として得られる。この場合、口金下面〜捕集面間の距離は繊維が固化する位置より下方にすることによって繊維同士が上記融着・結合状態より必要以上に接着せず、不織布風合いが粗硬にならないという点で好ましい。捕集面があまり下方に位置すると、噴出気体流や随伴流により繊維流が乱されることとなり、繊維同士が束状に絡まって不繊布斑の原因となる。好ましい距離は10〜80cmである。
【0044】
本発明の伸縮性不織布を構成する熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーなどゴム弾性を有するものであれば特にその種類を問わないが、繊維形成時の熱安定性、布帛形成後の耐光性、耐黄変性などからポリエステル系エラストマーが好ましい。
【0045】
ポリエステル系エラストマーとしては、結晶性を有するポリエステルハードセグメントと、ポリエーテルまたはポリエステルから選ばれた少なくとも一種類からなる、柔軟なソフトセグメントからなるブロック共重合体が一般的である。
【0046】
ハードセグメントを構成するポリエステルとして、酸成分の50モル%以上、好ましくは70モル%以上がテレフタル酸またはそのエステル形成誘導体であり、ジオール成分の50モル%以上好ましくは70モル%以上が1,4―ブタンジオールまたはそのエステル形成誘導体である成分単位を重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート系ポリエステルは結晶化速度が速いことから、好適に用いられる。すなわちハードセグメントは結晶性芳香族ポリエステルセグメントであることが好ましい。
【0047】
ここで、テレフタール酸以外のジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、1,5―ナフタレンジカルボン酸、2,7―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸等を挙げることができ、また、1,4―ブタンジオール以外のジオールとしてはエチレングリコール、トリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5―ペンタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。このような酸成分およびジオール成分は、それぞれ単独あるいは併用して用いてもよいが、そのときハードセグメントを構成する結晶性ポリエステル単独での固有粘度が0.6〜2.0、かつ融点が120℃以上(好ましくは150℃以上)で280℃以下(好ましくは220℃以下)であることが肝要である。固有粘度が0.6未満であると得られる共重合ポリエステルの溶融成形性が大幅に低下し、更に不織布としての性能も劣るものとなる。逆に固有粘度が2.0を越えると共重合ポリエステル製造時に溶融混練温度を高く設定しなければならず、該ポリエステルの熱劣化の面から好ましくない。また融点については、これに対して、ソフトセグメントは、ジオール成分がポリアルキレングリコールからなるポリエーテルエステルまたは、後述する柔軟なポリエステルからなるものである。
【0048】
ポアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドグリコールが好適に用いられ、それらを単独あるいは複数組み合わせて用いることができる。その分子量(数平均)は、300〜10,000の範囲にあればよいが、繊維の弾性性能、成形時の耐熱性の面から好ましくは、500〜5,000のものが好ましい。
【0049】
上記ポリエーテルエステルの酸成分としては、前述のハードセグメントの形成に用いられるジカルボン酸を用いればよい。
【0050】
その際、最終的に得られるポリエーテルエステル型ブロック共重合体エラストマーに占めるポリアルキレングリコールの割合が、全体の30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%の範囲にあるとき、不織布の弾性回復率と、50%伸長応力、30%伸長および回復応力のバランスと、成型加工性とを両立される。
【0051】
上記ポリエーテルエステル型ブロック共重合体エラストマーは、斯界でよく知られた方法、すなわち、ジカルボン酸誘導体、アルキレンジオール、ポリアルキレンジオールをエステル交換させた後、重合反応させることによって得ることができる。
【0052】
一方、不織布原料ポリマーとして、ソフトセグメントに柔軟なポリエステルを用いた、ポリエステルエステルブロック共重合体を用いる場合、ソフト成分を構成するポリエステルとしては、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルまたは以下の(I)〜(III )の要件を同時に満足するポリエステルが好適に用いられる。
【0053】
(I)炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として0〜50モル%占めること。
【0054】
(II)炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸成分が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として50〜100モル%を占めること。
【0055】
(III )炭素数3〜20の脂肪族ジオール化合物が、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全ジオール成分を基準として50〜100モル%を占めること。
【0056】
ここで、(I)の脂肪族ジカルボン酸成分の炭素数が4未満では、カルボキシル基間に存在する炭素原子の数が少ないので、得られるブロック共重合ポリエステルは加水分解を受けやすく、また溶融紡糸時の熱安定性に劣る。逆に該炭素数が20を越えると該脂肪族ジカルボン酸が高価、入手困難などの問題が生じる。好ましい該炭素数は、7〜15である。好ましく用いることのできる脂肪族ジカルボン酸としては、例えばアゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
【0057】
上述の脂肪族ジカルボン酸の共重合量は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として0〜50モル%であるが得られるブロック共重合ポリエステルの耐熱性の面から共重合割合が5〜30モル%であることが好ましい。
【0058】
次に、(II)の炭素数8〜16の芳香族ジカルボン酸成分は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全酸成分を基準として50〜100モル%、好ましくは70〜95モル%を占めていることが好ましい。この芳香族ジカルボン酸成分は、ソフトセグメントポリエステルの耐加水分解性、耐熱性を低下させることなく、得られるブロック共重合ポリエステル内でソフトセグメントとして機能させるために、結晶性を低下させる目的で上述の量を占めている必要がある。この種の芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などが好ましい。
【0059】
また、(III )の炭素数3〜20の脂肪族ジオール化合物は、ソフトセグメントを構成するポリエステルの全ジオール成分を基準として50〜100モル%を占めることが好ましい。炭素数が3未満では、単位重量当りの反復構造単位数が増えてしまい、耐加水分解性が劣る。逆にこの炭素数が20を越えると反応性に欠ける。そして、この脂肪族ジオール成分が50モル%未満になると、(共)重合ポリエステルの柔軟性が不足してくる。
【0060】
このようなジオール化合物としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5―ペンタンジオール、3―メチル―1,5―ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,9―ノナンジオール、エイコサンジオール、トリエチレングリコールを挙げることができる。その中でも、ソフトセグメントの結晶性を低下させるために、特に側鎖ににアルキル基を有するものが好ましい。勿論、上記のジオール化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0061】
さらにソフトセグメントを構成するポリエステル単独での固有粘度は0.6〜1.0の範囲であることが好ましい。この固有粘度が0.6未満の場合には、得られるブロック共重合ポリエステルの溶融成形性が大幅に低下し、更に不織布としての性能も劣るものとなる。逆に固有粘度が1.0を越えると、ブロック共重合ポリエステル製造時に溶融混練温度を高く設定しなければならず、ポリマーの熱劣化の面から好ましくない。
【0062】
この種のポリエステルエステル型ブロック共重合エラストマーは、上述のハードセグメントを構成するポリエステルと、ソフトセグメントを構成するポリエステルとを溶融混練し、ブロック化反応させることによって得ることができる。その際、該ブロック化反応におけるそれぞれの共重合割合(重量比率)を、(ハードセグメントを構成するポリエステル):(ソフトセグメントを構成するポリエステル)=(10〜70):(90〜30)とする。ハードセグメントを構成するポリエステルの共重合割合が10重量%未満となると、得られるブロック共重合ポリエステル中のハードセグメント部が少なすぎて、耐熱性、成形加工性、不織布製造時の作業性等が低下するばかりか、不織布の伸長応力が不足してくる。逆に90重量%を越えるとブロック共重合ポリエステルの伸長弾性回復率が不十分となる。ブロック化反応は、バッチ式、連続式、いずれの方法を用いてもよく、例えばそれぞれのポリエステル成分を所望とする固有粘度まで個別に重縮合反応させてから、混合してブロック化反応させる方法などを挙げることができる。
【0063】
勿論、上記エラストマーには、難燃剤、および所望に応じて鎖延長剤、充填剤、酸化防止剤、滑剤などの添加剤が含まれてもよい。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例を掲げて更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
【0065】
なお、実施例中の「部」は重量部を示し、また各物性値は以下の方法を用いて測定を行った。
【0066】
(1)平均単繊維径
不織布の断面について、×500倍の電子顕微鏡写真から、100本の単繊維径を求め、平均することにより算出する。
【0067】
(2)線状融着部の融着単繊維の本数、線状融着部の長さ、数、点状融着部の数、ちぢれ部分の数
不織布の表面について、×50倍の電子顕微鏡写真から、線状融着部の融着単繊維の本数を求めた。線状融着部の長さも求め、平均単繊維径に対する倍率を算出した。また、4.8mm2 の面積について線状融着部の数m、点状融着部の数およびちぢれ部分の数を求めて1cm2 当たりの数に換算し、全単繊維数nに対する、線状融着に関与する単繊維本数として、線状融着部の割合を次式にて算出した。
【0068】
線状融着部の割合(%)=m/n×100
(3)目付100g/m2 当たりの50%伸長応力(d)
不織布の縦方向(捕集ネットの流れ方向)並びに横方向(捕集ネットの幅方向)の50%伸長応力について以下の通り測定した。
【0069】
不織布から長さ8cm、幅2.5cmの長方形状の試料片と作成した後、向かい合う二辺のうち短片をチャックでそれぞれつかんでチャック間の距離を5cmとし、伸長速度200%/分にて元のチャック間隔を基準として50%伸長させた時の応力をX1とし、不織布の目付Yg/m2 に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
【0070】
目付100g/m2 当たりの50%伸長応力(g/cm)=X1/Y×100(4)目付100g/m2 当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力(e)
不織布を縦または横方向に、長方形の長辺として、長さ8cm、幅2.5cmに切り取り、チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、直ちに同速度で元のチャック間隔まで戻した。伸長速度と同じ速さで再度不織布を伸長させ、元のチャック間隔を基準として30%伸長させた時の応力をX2とし、不織布の目付Yg/m2 に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
【0071】
目付100g/m2 当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力(g/cm)=X2/Y×100
(5)目付100g/m2 当たりの50%伸長回復後の30%回復応力(f)
不織布を縦または横方向に、長方形の長辺として、長さ8cm、幅2.5cmに切り取り、チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、直ちに同速度で元のチャック間隔まで戻した。伸長速度と同じ速さで再度不織布を元のチャック間隔を基準として30%伸長させた後、その状態を保持することなく、直ちに同速度で戻していき、元のチャック間隔を基準として30%伸長まで回復させた時の応力をX3とし、不織布の目付Yg/m2 に対して短辺1cm当たりの応力として、次式により算出した。
【0072】
目付100g/m2 当たりの50%伸長回復後の30%回復応力(g/cm)=X3/Y×100
(6)50%伸長弾性回復率(g)
チャック間隔を5cmとして長辺の方向に伸長速度200%/分で試料長に対して50%伸長し、該間隔を試料長L(7.5cm)とした後、その状態を保持することなく伸長速度と同じ速さでもとのチャックをつかみ間隔まで戻した。その直後に再度不織布を伸長させていき、応力が0より大きくなりはじめるときの試料長をL′cmとして、次式により算出した。
【0073】
50%伸長弾性回復率(%)=(L−L′)/(L−5)×100
(7)見掛け密度
得られた不織布の目付および厚みから算出した。
【0074】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル167重量部、テトラメチレングリコール105重量部、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール325重量部を反応器でエステル交換反応させた後、内温を245℃に昇温し、20mmaqの弱真空下で60分間反応させ、引き続き0.4mmaqの高真空下で200分間反応させた。得られた、ポリエステルとポリエーテルエステルとのブロック共重合体の融点は190℃、固有粘度は1.52であった。
【0075】
該共重合体を1mmHgの減圧下115℃で16時間乾燥し、メルトブロー法により260℃で溶融させてから、丸断面で吐出孔が口金幅方向に1mm間隔で単列で設置された口金を用い、吐出線速度1.7m/分で吐出してから引き続き300℃に加熱された圧空を、口金幅1cm当たりの流量を0.06Nm3 /分として吐出ポリエステルを延伸細化後、口金より32cm下方に設けられた、1.2m/分で走行する捕集ネット上に目付100g/m2 の不織布として捕集した。
【0076】
得られた不織布の平均単繊維径は7μ、不織布の見掛け密度は0.19g/cm3 、厚さは0.3mmであり、線状融着部の長さが70ミクロン以上の距離で2本以上50本以下の範囲で融着しているものが、全単繊維数に対して55%含まれており、融着本数は、3〜8本のものが圧倒的に多かった。不織布の単位面積1cm2 当たりの線状融着部の数は1500個、点状融着部は2300個、ちぢれ部分の数は210個であり、ゴム状感のない柔らかい風合いの不織布である。
【0077】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力はそれぞれ縦方向/横方向が、256/160g/cm、144/88g/cm、112/64g/cmで、50%弾性回復率(g)は、89/89%であり、縦/横方向共に良好な弾性回復率を示すと共に、適度な伸長応力および回復応力を有する伸縮性不織布として好適に使用し得るものであった。また(e)/(f)は縦/横方向で1.8/1.4であった。
【0078】
さらにこの不織布を上下直径200mmφのクロームメッキされたフラットローラーを用い、ローラー温度をそれぞれ160℃、ローラー間のクリアランスを0.25mmとして速度2m/分でカレンダー加工を行ったところ、破断伸度は、それぞれ1,100g/cm、480%となり、50%伸長応力、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力はそれぞれ縦方向/横方向が、272/152g/cm、140/88g/cm、116/66g/cmで、50%弾性回復率は、98/97%の不織布を得た。この不織布を幅3cmに細長く切断し、包帯として使用したところ、適度な緊縛感とフィット性に優れるものであった。
【0079】
[比較例1]
実施例1のポリマーを用いて、メルトブロー法によって目付100g/m2 の不織布を得た。この際、ポリマーの吐出線速度を12.2m/分とし、圧空流量を口金幅1cm当たり0.15Nm3 /分とした以外は実施例1と同様の方法で行った。得られた不織布の平均単繊維径は15μ、不織布の見掛け密度は0.18g/cm3 、厚さは0.3mmであり、繊維軸方向に沿って150ミクロン以上の距離で2本以上50本以下の範囲で融着しているものが、全単繊維数に対して70%含まれており、融着本数は、3〜10本のものが殆んどであった。不織布の単位面積1cm2 当たりの線融着部の数は4,000個、点融着部は5,500個である他、ちぢれ部分の数は780個と本発明の上限をはるかに越えており、表面斑の多いものであった。
【0080】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力(e)および(f)はそれぞれ縦方向/横方向が、220/160g/cm、110/63g/cm、98/55g/cmで、50%伸長弾性回復率(g)は、90/88%であった。また、(e)/(f)は縦/横方向で1.1/1.1であった。
【0081】
さらに、この不織布を実施例1と同様の方法でカレンダー加工したところ、破50%伸長応力、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力はそれぞれ縦方向/横方向が、295/182g/cm、138/92g/cm、109/63g/cmで、50%弾性回復率は、97/95%の不織布を得たが、不織布の目付斑が大きく、ローラーに融着する部分が生じた。
【0082】
また、実施例のポリマーを用いた時の、各吐出線速度に対する線状融着部、点状融着部、ちぢれ部分の数を表1に示す。
【0083】
【表1】
Figure 0003643448
【0084】
吐出線速度が0.5〜10m/分の範囲内のものは本発明における不織布の特徴を有するが、吐出線速度が上記範囲をはずれるものは、特にちぢれ部分が増加し、ハンドリング性、風合いの良くないものとなった。
【0085】
[実施例2]
テレフタル酸ジメチル194重量部、テトラメチレングリコール162部、およびチタニウムテトラブトキシサイド0.15重量部をエステル交換反応釜に仕込み、窒素ガス雰囲気下で190℃まで昇温し、生成するメタノールを系外に流出させながらエステル交換反応を行った。
【0086】
エステル交換反応終了後に減圧下、230℃で重縮合反応させて、固有粘度1.07、融点223℃のポリブチレンテレフタレート系ポリエステルポリマーを得た。
【0087】
一方で、ジメチルイソフタレート136重量部、ジメチルセバケート62重量部、1,6―ヘキサンジオール180重量部をジブチルスズアセテート0.3重量部と共に加熱し、副成するメタノールを反応系から除去した。反応生成物を減圧可能な反応釜に移し、255℃で減圧下反応させ、固有粘度0.80の非晶性ポリエステルを得た。
【0088】
上記ポリブチレンテレフタレート系ポリエステルとこの非晶性ポリエステルを重量比で35:65となるように添加し、1mmHgの減圧した、内温240℃で50分間反応させた後、触媒失活剤としてフェニルホスホン酸0.2重量部を添加し、更に10分間撹拌し、完全にブロック反応を停止させた。得られたポリエステルエステルブロック共重合体ポリマーの固有粘度は1.15で融点は、205℃であった。
【0089】
該共重合体を1mmHgの減圧下120℃で16時間乾燥し、メルトブロー法により270℃で溶融させてから、実施例1と同条件で吐出してから引き続き300℃に加熱された圧空により該ポリエステルを延伸細化後、捕集ネット上に目付100g/m2 の不織布として捕集した。
【0090】
得られた不織布の平均単繊維径は8μ、不織布の見掛け密度は0.20g/cm3 、厚さは0.3mmであり、布帛を構成する単繊維のうち、繊維軸方向に沿って100ミクロン以上の距離で2本以上融着している単繊維の割合は、78%であった。また融着本数は、8〜12本のものが殆んどであった。不織布の単位面積1cm2 当たりの線状融着部の数は2000個、点融着部は2100個、ちぢれ部分の数は70個であり、ゴム状感のない柔らかい風合いのものであった。また(e)/(f)は縦/横で1.5/1.5であった。
【0091】
また、得られた不織布の50%伸長応力(d)、50%伸長回復後の30%伸長応力および回復応力(e)および(f)はそれぞれ縦方向/横方向が、220/132g/cm、99/56g/cm、66/38g/cmで、50%弾性回復率(g)は、94/95%であり、縦/横方向共に良好な弾性回復率を示すと共に、適度な伸長応力および回復応力を有する伸縮性不織布として好適に使用し得るものであった。
【0092】
【発明の効果】
本発明の伸縮性不織布は、細径単繊維により発現される柔らかさと、ちぢれ部分のないことによる良好な品位、ハンドリング性を有し、さらに単繊維が繊維軸方向に多数本融着・結合した線融着部とそれらの交差点で融着した点融着部を混在させることにより、ゴム状感が消失し、しかも良好な伸長時の応力、弾性回復率を有するものである。したがって、バランスの良い伸縮特性をもつものであり、衣料用、および医療用途に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる伸縮性不織布の部分拡大平面図であって、本発明の実施例1で得られた伸縮性不織布の電子顕微鏡写真(×50)からトレースしたものである。
【図2】本発明に係る伸縮性不織布の伸長応力挙動を説明する伸長応力グラフである。
【符号の説明】
1 伸縮性不織布を構成する弾性連続単繊維
2,3 線状融着部
4 線状融着部2と3との交差点が融着した点状融着部(準線状融着部)
5 点状融着部
6 単繊維の“ちぢれ”部分

Claims (10)

  1. 平均直径が0.1〜30μの弾性連続単繊維がランダムに配列されてなる、メルトブロー方法によって得られた伸縮性不織布において、該不織布中には、
    (a)該単繊維の2本〜50本が互いに並行状態で融着・結合され且つその長さが該単繊維の平均直径の10倍〜1,000倍の範囲にある線状融着部と
    (b)該線状融着部同志の交差点、及び該線状融着部と単繊維との交差点が夫々に融着されてなる点状融着部とが混在し、そして
    (c)単繊維の“ちぢれ”部分が不織布の単位面積1cm2当たり、400個以上は存在せず、もって実質的に“ちぢれ”部分から解放されており、
    かつ線状融着部が不織布の単位面積1cm 2 当たり、500個〜3,000個存在することを特徴とする伸縮性不織布。
  2. 線状融着部が5〜20本の単繊維の融着により形成されている請求項1記載の伸縮性不織布。
  3. 線状融着部の長さが単繊維の平均直径の50倍〜500倍の範囲にある請求項1または請求項2の伸縮性不織布。
  4. 線状融着部に関与する単繊維本数が、不織布を構成する全単繊維本数の20%〜100%の範囲にある請求項1記載の伸縮性不織布。
  5. 点状融着部が不織布の単位面積1cm2当たり、500個〜5,000個存在する請求項1記載の伸縮性不織布。
  6. 点状融着部に関与する単繊維本数が、不織布を構成する全単繊維本数の20%〜100%の範囲にある請求項1記載の伸縮性不織布。
  7. 以下の(d)〜(g)の伸長特性を同時に満足する請求項1〜のいずれかに記載の伸縮性不織布。
    (d)目付100g/m2当たりの50%伸長応力が100〜1,000g/cm
    (e)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%伸長応力が50〜500g/cm
    (f)目付100g/m2当たりの50%伸長回復後の30%回復応力が20〜400g/cm
    (g)50%伸長弾性回復率が80%以上100%以下
  8. 伸長応力(e)/回復応力(f)が1.2〜4.0の範囲にある請求項記載の伸縮性不織布。
  9. 不織布の見掛密度が0.1g/cm3〜0.45g/cm3の範囲にある請求項7または8記載の伸縮性不織布。
  10. 弾性単繊維がポリエステル系ブロック共重合体を主成分とする熱可塑性エラストマーからなる請求項1〜のいずれかに記載の伸縮性不織布。
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