JP3643079B2 - 連続鋳造設備のモールド振動装置 - Google Patents

連続鋳造設備のモールド振動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属をモールドに注ぎ込んで連続的に形材を鋳造する連続鋳造設備のモールドを振動させるモールド振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属をモールドに注ぎ込んで連続的に形材を鋳造する連続鋳造設備において、連続鋳造中におけるモールドと鋳片との間の焼付きを防止する必要がある。このようなモールドと鋳片との間の焼付きを防止する方法として、モールドを振動させて、モールドと鋳片との間に隙間を形成し、その隙間に潤滑剤を流し込む方法がある。
【0003】
図11は、特開昭63−63562号公報に開示される、連続鋳造機におけるモールドオシュレーション方法を用いる連続鋳造機0を示すブロック図である。この連続鋳造機0は、モールド1、四辺リンク2、ビーム3、揺動シリンダ4、モールド加速度検出器5、位置検出器6、圧力検出器7,8、サーボアンプ9、サーボ弁10および制御回路11から構成される。モールド1は、四辺リンク2およびビーム3によって支持され、ビーム3に接続されるアクチュエータである揺動シリンダ4によって上下に振動される。制御回路11は、モールド位置推定回路12、補償器13、アンバランスゲイン14、および演算回路15,16から構成される。
【0004】
モールド1を高い周波数で揺動させると、モールド1、四辺リンク2およびビーム3を含む系の固有振動数と一致して、共振が発生し、モールド1に所望の振動をさせることができない。
【0005】
そこで制御回路11は、位置検出器6によって検出された揺動シリンダ4のロッド位置と、圧力検出器7,8によって検出された揺動シリンダ4のシリンダ圧力とに基づいて、モールド位置推定回路12が推定したモールド1の位置と、モールド加速度検出器5によって検出されたモールド1の加速度とに基づく状態フィードバック制御によって、サーボアンプ9の制御を行う。これによって、モールド1を高い周波数で揺動させたときに、モールド1、四辺リンク2およびビーム3を含む系の固有振動数と一致して共振が発生することを防ぎ、モールド1に所望の振動をさせることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の連続鋳造機0において、揺動シリンダ4のロッド位置およびシリンダ圧力、ならびにモールド1の加速度を検出しており、これらを検出するための位置検出器6、圧力検出器7およびモールド加速度検出器5が必要となり、これらの検出器を設置する場所も必要となる。特にモールド加速度検出器5を設置する場所は、モールド1に流し込まれる1000℃以上の溶湯によって、高温雰囲気となっているだけでなく、モールド1から出てきた高温の鋳片を冷却するために鋳片に注いだ冷却水が蒸発して、非常に多湿の雰囲気となる。このような高温多湿の環境では、検出器が誤動作を起こしたり、破損する恐れがあり、検出器を設置する場所が制限される。
【0007】
また連続鋳造機0において、図11に示すように、揺動シリンダ4は、両側ロッド式複動シリンダであり、揺動シリンダ4のモールド1を一方向に変位させる動作における動特性と、前記一方向とは逆の方向である他方向に変位させる動作における動特性とが同じであるので、これら2つの動作時の補正に用いるアンバランスゲイン14は、1つでよい。しかし揺動シリンダ4が、片側ロッド式複動シリンダである場合には、揺動シリンダのモールド1を一方向および他方向のいずれか一方に変位させる第1動作における動特性と、一方向および他方向のいずれか他方に変位させる第2動作における動特性とが異なり、上述の連続鋳造機0における状態フィードバック制御では、このような揺動シリンダ4を制御することができない。このような揺動シリンダを制御するためには、2つの特性を同じ特性にする必要があり、揺動シリンダの第1動作時の補正に用いる第1制御ゲイン、および第2動作時の補正に用いる第2制御ゲインをそれぞれ設定しておく必要がある。
【0008】
また何らかの要因によって、モールド1に異常な荷重がかかるなどして、揺動シリンダ4に過負荷がかかり、モールド位置推定回路12が推定したモールド1の位置と実際の位置とが大きく異なる場合、連続鋳造機0の系におけるパラメータの変化によって制御回路11が発振した場合、および揺動シリンダ4のロッド位置を検出する位置検出器6が故障した場合などの異常が起こった場合、連続鋳造機0を破損させないように、揺動シリンダ4の動作を停止する必要がある場合がある。
【0009】
また制御回路11への入力信号を、歪んだ正弦波である非サイン波にして信号を発生させる場合、式(a)に示すような高次の正弦波を合成する方法で行われることが多い。
Figure 0003643079
【0010】
上式(a)におけるA1,A2,A3,…の値は、正弦波の歪み度合いである非サイン率によって異なり、比サイン率を変更するたびに計算して求める、または予め採取した多くのデータから選択して与える必要があり、このような方法では非サイン率を変更する場合、連続的に変更することが困難である。
【0011】
したがって本発明の目的は、モールドの状態量を検出することなく、制御対象の状態量を推定して、制御対象の各動特性の影響を排除して、指令値に対する最適な制御を行うとともに、異常が起こったときにその異常を検出できる連続鋳造設備のモールド振動装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、溶融金属をモールドに注ぎ込んで連続的に形材を鋳造する連続鋳造設備のモールドを振動させる装置であって、
モールドを一方向およびその逆の他方向に往復変位させるためのアクチュエータと、
アクチュエータへの作動流体の供給を制御する弁手段と、
弁手段に動作指令を与える弁駆動手段と、
アクチュエータの動作位置を検出する位置検出手段と、
位置検出手段による動作位置および弁駆動手段による動作指令に基づいて、モールドおよびアクチュエータの状態を表す状態量として、モールド変位、モールド速度、アクチュエータ変位、アクチュエータ速度、アクチュエータ加速度および弁手段の開度を含む要素群、モールド変位とアクチュエータ変位との差、モールド速度とアクチュエータ速度との差、アクチュエータ変位、アクチュエータ速度、アクチュエータ加速度および弁手段の開度を含む要素群、ならびにモールド変位とアクチュエータ変位との差、モールド速度とアクチュエータ速度との差およびアクチュエータ変位を含む要素群のうち、いずれか1つの要素群から成る状態量を推定し、この推状態量に基づいて、動作指令を補正する補正指令を与える補正指令手段とを含むことを特徴とする連続鋳造設備のモールド振動装置である。
【0013】
本発明に従えば、補正指令手段は、位置検出手段によって検出されたアクチュエータの動作位置と、弁駆動手段が弁手段に与える動作指令とに基づいて推定したモールドおよびアクチュエータの状態を表す状態量に基づいて、動作指令を補正する補正指令を与え、弁駆動手段は、補正指令に基づいて補正した動作指令を弁手段に与え、弁手段は、アクチュエータの作動流体の供給の制御を行い、モールドを往復変位させる。
【0014】
これによってモールドの、たとえば変位、速度および加速度などの状態量、ならびにアクチュエータの、たとえば動作速度、動作加速度および圧力などの状態量を検出することなく、補正指令手段によって、動作指令とアクチュエータの動作位置とに基づいて、モールドおよびアクチュエータの実際の状態量に等しい状態量を推測して、この推定状態量に基づいて弁手段に与える動作指令を補正するという最適制御を行うことによって、モールドおよびアクチュエータを含む制御対象の固有振動数の影響を低減するような補正波形を有する指令を与えることなく、固有振動数の影響を排除して、モールドに所望の振動をさせることができる。
【0015】
またモールドの変位、速度および加速度などの状態量を検出する必要がないので、高温および多湿など、検出器にとって厳しい環境であるモールドの付近に、モールドの状態量を検出するための検出器を設置したり、検出器を設置するための機構を設ける必要がない。またアクチュエータに関して、動作位置以外の状態量、たとえばアクチュエータの動作速度および動作加速度を検出する検出器が必要なく、このような検出器による検出に対する雑音の影響を低減するための手段を設ける必要がなく、装置を簡単な構成にすることができる。
【0016】
請求項2記載の本発明は、弁駆動手段は、
モールドを一方向および他方向のいずれか一方に変位させる第1動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、モールドおよびアクチュエータを含む制御対象の線形化した第1状態方程式が構築されるとともに、モールドを一方向および他方向のいずれか他方に変位させる第2動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、制御対象の線形化した第2状態方程式が構築され、
第1状態方程式に基づいて、第1動作時の補正に用いる第1制御ゲインが決定され、
第1および第2動作時における制御対象と弁駆動手段とによって構成される制御系の極配置が同一となるように、第2動作時の補正に用いる第2制御ゲインが決定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、弁駆動手段は、モールドを一方向および他方向のいずれか一方に変位させる第1動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、モールドおよびアクチュエータを含む制御対象の線形化した第1状態方程式が構築されるとともに、モールドを一方向および他方向のいずれか他方に変位させる第2動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、制御対象の線形化した第2状態方程式が構築され、第1状態方程式に基づいて、第1動作時の補正に用いる第1制御ゲインが決定され、第1および第2動作時における制御対象と弁駆動手段とによって構成される制御系の極配置が同一となるように、第2動作時の補正に用いる第2制御ゲインが決定されているので、アクチュエータの動特性が、第1動作と第2動作とにおいて異なっても、それぞれの動特性に応じた制御ゲインを用いて制御することによって、アクチュエータの動特性に起因して生じる、モールドの位置指令の波形に対するモールドの振動波形の歪みを可及的に低減して、モールドに所望の振動をさせることができる。
【0018】
請求項3記載の本発明は、制御系の特性を表す物理量と制御ゲインとの関係から、直接制御ゲインを調整することなく、各物理量を調整することによって、自動的に制御ゲインが決定されることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、制御系の特性を表す物理量と制御ゲインとの関係から、直接制御ゲインを調整することなく、各物理量を調整することによって、自動的に制御ゲインが決定されるので、複数の物理量のうち任意の物理量を個々に独立して調整することによって、複数の物理量が互いに影響し合うことなく、制御ゲインを容易に決定することができる。
【0020】
請求項4記載の本発明は、補正指令手段は、モールド変位を推定し、弁駆動手段は、推定されたモールド変位とアクチュエータ変位との差を監視して、装置の異常を検知することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、補正指令手段は、モールドの状態量の1つであるモールド変位を推定し、弁駆動手段は、推定されたモールド変位とアクチュエータの動作位置であるアクチュエータ変位との差を監視して、装置の異常を検知するので、このように推定されたモールド変位と検出されたアクチュエータ変位との差を監視することによって、早期かつ高精度にモールド振動装置における異常を検知することができる。これによって、たとえば異常を検知したときに、モールド振動装置が破損しないような制御、たとえばアクチュエータを停止するなどの制御を行うことによって、異常に起因するモールド振動装置の破損を防ぐことができる。
【0022】
請求項5記載の本発明は、位相によって周波数の異なる正弦波を連続させた非正弦波形でモールドの位置指令を与える指令発生手段を含み、
弁駆動手段は、指令発生手段による位置指令に基づく動作指令を与えることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、位相によって周波数の異なる正弦波を連続させた非正弦波形でモールドの位置指令を与える指令発生手段を含み、弁駆動手段は、指令発生手段による位置指令に基づく動作指令を与えるので、所望の非正弦波形を生成するために、複数の正弦波を重ね合わせて非正弦波を生成する方法と比較して、極めて小さい計算量で生成することができる。また状態量を推測して振動数および非正弦波形の正弦波に対する歪み度合いを、位置指令を与えながら連続的に変化させることを容易に行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態の連続鋳造設備のモールド振動装置20を示す制御ブロック図であり、図2は連続鋳造設備のモールド振動装置20の構成を模式的に示す図である。図3は連続鋳造設備80を模式的に示す断面図である。
【0025】
モールド振動装置20は、溶融金属を連続的に鋳造する連続鋳造設備80において、鋳型であるモールド28と未凝固鋳片との間の焼付きを防止するために、モールド28を振動させるための装置である。
【0026】
図3に示す連続鋳造設備80において、溶解炉(図示せず)において製造した溶融金属91は、レードル81によって連続鋳造設備80に運搬され、溶融金属91を一時的に貯留するタンディッシュ82に流し込まれる。その後、溶融金属91は、タンディッシュ82に設けられるスライディングノズル83によって、所定の流量でモールド28に流し込まれる。
【0027】
モールド28に流し込まれた溶融金属91は、モールド28によって冷却され、外周部の金属が凝固している未凝固鋳片92となる。未凝固鋳片92は、重力および矯正引抜装置86によって、モールド28の下方に設けられるガイドロール群84に排出される。未凝固鋳片92は、ガイドロール群84に設けられるガイドロール85によってガイドされて、矯正引抜装置86によって引抜方向Aに引き抜かれながら、ガイドロール群84を通過中に冷却水によって冷却されて鋳片となる。
【0028】
高温の未凝固鋳片92によるモールド28の焼付きを防ぐために、モールド28に潤滑剤が流し込まれるが、モールド28をモールド振動装置20によって振動させることによって、モールド28と未凝固鋳片92との間に隙間が形成され、その隙間に潤滑剤が入り込み、モールド28と未凝固鋳片92との間の潤滑が良好になり、モールド28の焼付きを防止することができる。
【0029】
モールド振動装置20は、大略的には制御装置21および制御対象22を含んで構成される。制御装置21は、信号発生器23、補償器24および状態観測器25を含んで構成される。制御対象22は、サーボ弁26、油圧シリンダ27、モールド28およびストロークセンサ29を含んで構成される。
【0030】
指令発生手段である信号発生器23は、モールド28の位置指令である目標指令値xrefを有する信号を発生し補償器24に与える。弁駆動手段である補償器24は、状態観測器25からの制御対象22の推定状態量xcに基づいて、目標指令値xrefを補正して、サーボ弁26への動作指令であるサーボ指令値vcを有する信号をサーボ弁26および状態観測器25に与える。
【0031】
補正指令手段である状態観測器25は、補償器24からのサーボ指令値vcおよびストロークセンサ29からの油圧シリンダ27のシリンダ変位xsに基づいて、制御対象22の状態量を推定し、補正指令である推定状態量xcを補償器24に与える。
【0032】
油圧ユニット30は、図示しない高圧の作動流体である作動油を供給する油圧ポンプおよび作動油を貯留するタンクで構成される。アクチュエータである油圧シリンダ27は、シリンダチューブ27a、ピストン27bおよびロッド27cを含んで構成され、略円筒状のシリンダチューブ27aに内包される略円柱状のピストン27bの一端面にロッド27cが立設する片側ロッド式複動シリンダである。弁手段であるサーボ弁26は、油圧ユニット30および油圧シリンダ27に接続され、作動油の方向および流量を制御する。
【0033】
サーボ弁26は、補償器24からのサーボ指令値vcに基づいて弁を開閉して、油圧ポンプと、油圧シリンダ27のシリンダチューブ27aのピストン27bの一端面が臨む空間および他端面が臨む空間のいずれかと接続する。このようにして作動油を油圧シリンダ27に供給して、弁の開閉を切換えることによって、ロッド27cを伸長および縮退する。位置検出手段であるストロークセンサ29は、油圧シリンダ27に設けられ、油圧シリンダ27の動作位置であるアクチュエータ変位、すなわちロッド27cの変位であるシリンダ変位xsを検出して、シリンダ変位xsを有する信号を状態観測器25に与える。
【0034】
4節リンク機構31は、モールド28、駆動アーム32、補助アーム33および略鉛直に設置される支柱34を含んで構成される。モールド28は、駆動アーム32および補助アーム33を介して、上下方向に変位可能にして支柱34に支持される。
【0035】
駆動アーム32は、一端部36がモールド28に対して回動自在にしてモールド28に連結され、他端部37は、油圧シリンダ27のロッド27cに対して回動自在にしてロッド27cに連結され、一端部36と他端部37との間の中央部35は、支柱34に対して回動自在にして支柱34に連結される。駆動アーム32は、中央部35を中心にして角変位自在である。駆動アーム32の他端部37から中央部35までの長さを第1アーム長aとし、中央部35から一端部36までの長さを第2アーム長bとする。a,bは正の実数である。
【0036】
補助アーム33は、一端部38がモールド28に対して回動自在にしてモールド28に連結され、他端部39は、支柱34に対して回動自在にして支柱34に連結される。補助アーム33は、駆動アーム32の少なくとも一端部36から中央部35までの部分と常に平行にして、他端部39を中心にして角変位自在である。これによって油圧シリンダ27のロッド27cが伸長すると、モールド28は下方に変位し、ロッド27cが縮退すると、モールド28は上方に変位する。
【0037】
図4は、モールド振動装置20における補償器24を示すブロック図である。補償器24は、ゲイン器40、制御ゲイン器41および演算器42を含んで構成される。
【0038】
ゲイン器40は、信号発生器23からの目標指令値xrefにゲインKaを乗算し、その値Ka xrefを演算器42に与える。制御ゲイン器41は、状態観測器25からの制御対象22の推定状態量xcに、制御ゲインFdを乗算し、その値Fd xcを演算器42に与える。演算器42は、ゲイン器40からの値Ka xrefから、制御ゲイン器41からの値Fd xcを差し引いた偏差をサーボ指令値vcとして出力する。
【0039】
油圧シリンダ27は、シリンダチューブ27aに内包されるピストン27bの一端面にロッド27cが立設する片側ロッド式複動シリンダであるので、ピストン27bの一端面の受圧面積と他端面の受圧面積とが異なる。このためにシリンダチューブ27aのピストン27bの一端面が臨む内空間および他端面が臨む内空間に、同じ流量の作動油が供給されても、ロッド27cが伸長する速度と縮退する速度とが異なる。
【0040】
このように片側ロッド式複動シリンダである油圧シリンダ27は、ロッド27cが伸長するときの動特性と縮退するときの動特性とが異なる。すなわち油圧シリンダ27のロッド27cが伸長して、モールド28が一方向である下方に変位する第1動作と、ロッド27cが縮退して、モールド28が他方向である上方に変位する第2動作とでは、制御対象22の動特性が異なる。
【0041】
このような動作によって動特性が異なる制御対象22を制御するための、補償器24における制御ゲイン器41の制御ゲインFdを決定する手順を以下に示す。
【0042】
まず第1動作および第2動作における制御対象22の第1および第2状態方程式を構築する。制御対象22の状態量をxc、補償器24から出力されるサーボ弁26への指令値をvcとし、駆動アーム32は弾性体としてモデル化し、計算を簡略化するために補助アーム33の弾性を無視する、すなわち補助アーム33は剛体としてモデル化して、第1動作における制御対象22の第1状態方程式は式(1)で表され、第2動作における制御対象22の第2状態方程式は式(2)で表される。
【0043】
【数1】
Figure 0003643079
【0044】
上式(1)において、Ac1は第1動作における制御対象22のシステム行列であり、Bc1は制御行列である。上式(2)において、Ac2は第2動作における制御対象22のシステム行列であり、Bc2は制御行列である。式(1)および式(2)の右辺のd/dtは、時間tに関する微分演算子である。
【0045】
次に第1状態方程式(1)に基づいて、第1動作時の補正に用いる第1制御ゲインである制御ゲインFdを決定する。ここで評価関数Jcを次式(3)で表す。
【0046】
【数2】
Figure 0003643079
【0047】
上式(3)において、Qcは非負定値対象行列であり、rcは正定値対象行列であり、これらの行列Qc,rcは、評価関数Jcの重み行列である。上付文字Tは、行列の転置を表す。
【0048】
上式(3)で表される評価関数Jcを最小にする最適ゲインを求める。この最適ゲインが、第1動作における制御ゲインFdである。このとき、リカッチ方程式は次式(4)で表される。
Figure 0003643079
【0049】
制御ゲインFdは、上式(4)の解Pを用いて、次式(5)で表される。
Fd=−r-1Bc1TP …(5)
【0050】
また制御装置21がデジタル制御による制御装置である場合には、制御対象22の第1および第2状態方程式(1)および式(2)を離散化して、離散化した制御対象22の第1動作における最適ゲインを求めることで、制御ゲインFdを決定する。詳細には、制御対象22の状態量をxd、補償器24から出力されるサーボ弁26への指令値をvdとし、ホールド方式を0次ホールドとして離散化すると、制御対象22の離散化した第1および第2状態方程式は、次の式(6)および式(7)で表される。
xd[i+1]=Ad1 xd[i]+Bd1 vd[i] …(6)
xd[i+1]=Ad2 xd[i]+Bd2 vd[i] …(7)
【0051】
上式(6)において、Ad1は第1動作における制御対象22のシステム行列であり、Bd1は制御行列である。上式(7)において、Ad2は第2動作における制御対象22のシステム行列であり、Bd2は制御行列である。またiは、0以上の整数である。これらの行列Ad1,Bd1,Ad2,Bd2は、次の式(8)〜式(11)で求められる。
【0052】
【数3】
Figure 0003643079
【0053】
上の式(8)〜式(11)において、Tdはデジタル演算の周期である。
次に第1状態方程式(6)に基づいて、第1動作時の補正に用いる第1制御ゲインを決定する。ここで評価関数Jdを次式(12)で表す。
【0054】
【数4】
Figure 0003643079
【0055】
上式(12)において、Qは非負定値対象行列であり、rは正定値対象行列であり、これらの行列Q,rは、評価関数Jdの重み行列である。
【0056】
上式(12)で表される評価関数Jdを最小にする最適ゲインを求める。この最適ゲインが、第1動作における制御ゲインFdである。このとき、リカッチ方程式は次式(13)で表される。
Figure 0003643079
【0057】
制御ゲインFdは、上式(13)の解Pを用いて、次式(14)で表される。
Fd=−(r+BdTP Bd)-1BdTP Ad …(14)
【0058】
上述の評価関数Jc,Jdの重み行列Qc,Qに関しては、モールド28の位置を制御するために、重み行列Qc,Qのモールド変位xmに関する対角要素を1とし、その他の要素を0とする。以下重み行列Qc,Qをまとめて、Qとする。
制御対象22の状態量xcが、次式(15)で表されるとする。
【0059】
【数5】
Figure 0003643079
【0060】
上式(15)において、asはサーボ弁26の弁の開き度合いである弁開度である。この場合、重み行列Qは、次式(16)で表される。
【0061】
【数6】
Figure 0003643079
【0062】
上式(16)において、モールド速度dxm/dtに関する対角要素βを、応答を見ながら調整することによって、モールド28の不要な振動を抑えることができる。
また、制御対象22の状態量を次式(17)で表されるxchとする。
【0063】
【数7】
Figure 0003643079
【0064】
上式(17)において、xhはひずみ量である。駆動アーム32が撓むことのない剛体であると仮定すると、油圧シリンダ27のロッド27cがxsだけ変位すると、モールド28がxm変位するので、シリンダ変位xsとモールド変位xmとの関係は、シリンダ変位xsとモールド変位xmとの比は、駆動アーム32の第1長さaと第2長さbとの比に等しいという関係があり、次式(18)で表される。
a xm=−b xs …(18)
【0065】
上式(18)において、シリンダ変位xsは、ロッド27cが伸長する方向を正とし、モールド変位xmは、モールド28が上方に向かう方向を正とする。
【0066】
駆動アーム32は弾性体であるので、撓むことがあり、その撓みによって式(18)の等号が成立しない場合がある。そこで、次式(19)で表される第1および第2アーム長a,bの比に基づくアーム比Gaを用いて、ひずみ量xhを次式(20)で定義する。
Ga=−b/a …(19)
xh=xm−Ga xs …(20)
【0067】
また制御対象22の状態量を、式(17)で表される状態量xchとする場合には、次式(21)によって、式(15)で表される状態量xcを変換するとともに、制御対象22の第1および第2状態方程式(1)および式(2)を相似変換する。
【0068】
【数8】
Figure 0003643079
【0069】
状態量をxchとする場合、重み行列Qは、次式(22)で表される。
【数9】
Figure 0003643079
【0070】
上式(22)において、ひずみの速度dxh/dtに関する対角要素γを、応答を見ながら調整することによって、駆動アーム32の弾性による撓みに起因するモールド28の不要な振動を抑えることができる。
【0071】
また評価関数Jc,Jdの重み行列rc,rに関しては、応答が所望の速応性を有するように重み行列rc,rを調節する。
【0072】
このようにして第1動作における制御ゲインFdが決定すると、続いて、制御装置21および制御対象22を含む閉ループ制御系における極を求める。第1動作における制御装置21および制御対象22を含む閉ループ制御系において、制御ゲイン器41によって推定状態量xcに制御ゲインFdを乗算し、目標指令値xrefを0とした状態フィードバック、すなわち演算器42によって演算して求めたサーボ指令値vc=−Fd xcを制御対象22に入力して制御を行うものと考えられるので、第1動作における制御装置21および制御対象22を含む閉ループ制御系の状態方程式は、次式(23)で表される。
【0073】
【数10】
Figure 0003643079
【0074】
上式(23)における行列(Ac1−Bc1 Fd)の固有値が、求めるべき第1動作における制御装置21および制御対象22を含む閉ループ制御系の極である。
【0075】
続いて、第2動作における制御装置21および制御対象22を含む閉ループ制御系の極が、上述のようにして求められた第1動作における制御装置21および制御対象22を含む閉ループ制御系の極と同一の極配置となるような、第2動作における制御装置21の補償器24の制御ゲインFdを決定する。
【0076】
補償器24は、第1動作時の制御対象22には、第1動作における制御ゲインFdを用いて制御を行い、第2動作時の制御対象22には、第2動作における制御ゲインFdを用いて制御を行う。
【0077】
本実施の形態のモールド振動装置20によれば、モールド28の、たとえば変位、速度および加速度などの状態量、ならびに油圧シリンダ27の、たとえば動作速度、動作加速度および圧力などの状態量を検出することなく、状態観測器25によって、サーボ指令値vcと油圧シリンダ27のシリンダ変位xsとに基づいて、モールド28および油圧シリンダ27の実際の状態量に等しい状態量を推測して、この推定状態量xcに基づいてサーボ弁26に与えるサーボ指令値vcを補正するという最適制御を行うことによって、モールド28および油圧シリンダ27を含む制御対象22の固有振動数の影響を低減するような補正波形を有する指令を与えることなく、固有振動数の影響を排除して、モールド28に所望の振動をさせることができる。
【0078】
またモールド28の変位、速度および加速度などの状態量を検出する必要がないので、高温および多湿など、検出器にとって厳しい環境であるモールド28の付近に、モールド28の状態量を検出するための検出器を設置したり、検出器を設置するための機構を設ける必要がない。また油圧シリンダ27に関して、シリンダ変位xs以外の状態量、たとえば油圧シリンダ27の動作速度および動作加速度を検出する検出器が必要なく、このような検出器による検出に対する雑音の影響を低減するための手段を設ける必要がなく、モールド振動装置20を簡単な構成にすることができる。
【0079】
また本実施の形態のモールド振動装置20によれば、油圧シリンダ27の動特性が、第1動作と第2動作とにおいて異なっても、それぞれの動特性に応じた制御ゲインFdを用いて制御することによって、油圧シリンダ27の動特性に起因して生じる、目標指令値xrefの波形に対するモールド変位xmの波形の歪みを可及的に低減して、モールド28に所望の振動をさせることができる。
【0080】
本実施の形態のモールド振動装置20において、推定状態量xcは式(15)に示す状態量としたが、これに限定することなく、制御対象22における各種状態量を用いてもよい。
【0081】
また本実施の形態のモールド振動装置20において、第1動作における制御装置21の補償器24の制御ゲインFdを決定してから、第2動作における制御ゲインFdを決定するとしたが、先に第2動作における制御ゲインFdを決定してから、第1動作における制御ゲインFdを決定してもよい。
【0082】
図5は、本発明の第2の実施の形態のモールド振動装置20Aの補償器24Aを示すブロック図である。本実施の形態のモールド振動装置20Aは、図1および図2に示される第1の実施の形態のモールド振動装置20の補償器24を除いては、第1の実施の形態のモールド振動装置20と同様の構成であるので、本実施の形態のモールド振動装置20Aに関しては、補償器24A以外の説明は省略する。本実施の形態のモールド振動装置20Aの補償器24Aは、ゲイン器40A、制御ゲイン器41A、演算器42Aおよび変換演算器43を含んで構成される。
【0083】
ゲイン器40Aは、信号発生器23からの目標指令値xrefにゲインKaを乗算し、その値Ka xrefを演算器42Aに与える。変換演算器43は、状態観測器25からの制御対象22の推定状態量xcに対して所定の演算を施し、推定状態量xcを相似変換したフィードバック状態量xctを演算器42に与える。制御ゲイン器41Aは、変換演算器43からのフィードバック状態量xctに、制御ゲインFdを乗算し、その値Fd xctを演算器42に与える。演算器42Aは、ゲイン器40Aからの値Ka xrefから、制御ゲイン器41からのフィードバック状態量xcを差し引いた偏差をサーボ指令値vcとして出力する。
【0084】
変換演算器43は、状態観測器25からの推定状態量xcに対して、推定状態量xcに含まれるモールド変位xmおよびシリンダ変位xsに基づいて演算し、上述の式(20)と同様の式(24)で表されるひずみ量xhを求め、さらにひずみ量xhを時間に関して微分するような変換を行い、式(25)で表されるフィードバック状態量xctを演算器42に与える。
xh=xm−Ga xs …(24)
【0085】
【数11】
Figure 0003643079
【0086】
本実施の形態において、制御ゲイン器41Aの制御ゲインFdは、次式(26)で表される。
Fd=[f1 f2 f3] …(26)
【0087】
このとき目標指令値xrefからモールド変位xmまでの伝達関数、すなわち制御装置21および制御対象22を含む系の伝達関数Xm/Xrefを、3次遅れ系の伝達関数であるとすると、次式(27)で表わされる。
【0088】
【数12】
Figure 0003643079
【0089】
上式(27)において、sはラプラス演算子であり、Xmはモールド変位xmをラプラス変換したものであり、Xrefは目標指令値xrefをラプラス変換したものであり、c1〜c10およびCb0は係数である。
【0090】
制御装置21および制御対象22を含む系の特性を示す固有の物理量である定数α、固有振動数ωnおよび減衰係数ζを基準とする3次遅れ系の伝達関数は、一般的に次式(28)で表される。
【0091】
【数13】
Figure 0003643079
【0092】
定数αは、上式(28)で表される伝達関数の極を複素平面上に表したときに、実軸上に存在する実数の極s=−αであり、式(28)で表される伝達関数となる系における固有の物理量の1つである時定数の逆数である。
【0093】
式(27)と式(28)とを係数比較して求めた制御ゲインFdの各要素f1,f2,f3を、次の式(29)〜式(31)に示す。
【0094】
【数14】
Figure 0003643079
式(29)〜式(31)において、k1〜k13は係数である。
【0095】
図6は、定数αだけを変化させたときの極の配置を示す極配置図であり、図7は、固有振動数ωnだけを変化させたときの極の配置を示す極配置図であり、図8は、減衰係数ζだけを変化させたときの極の配置を示す極配置図である。図6〜図8において、横軸は極の実部の値を表す実軸であり、縦軸は極の虚部を表す虚軸である。
【0096】
式(28)の関係から、固有振動数ωnおよび減衰係数ζを固定して、定数αを変化させると、制御装置21および制御対象22を含む系の伝達関数Xm/Xrefは、図6に示すように変化する。また定数αおよび減衰係数ζを固定して、固有振動数ωnを変化させると、伝達関数Xm/Xrefは、図7に示すように変化する。同様に定数αおよび固有振動数ωnを固定して、減衰係数ζを変化させると、伝達関数Xm/Xrefは、図8に示すように変化する。
【0097】
このように定数α、固有振動数ωnおよび減衰係数ζのいずれかを変化させ、それ以外を固定して、制御装置21および制御対象22を含む系の特性である極を、所望の特性となるように配置する。極の配置が決定すると、そのときの定数α、固有振動数ωnおよび減衰係数ζを式(29)〜式(30)に代入することで、制御ゲインFdの各要素f1,f2,f3が決定し、これによって制御装置21および制御対象22を含む系に最適な制御ゲインFdが決定する。
【0098】
本実施の形態のモールド振動装置20Aによれば、モールド28の、たとえば変位、速度および加速度などの状態量、ならびに油圧シリンダ27の、たとえば動作速度、動作加速度および圧力などの状態量を検出することなく、状態観測器25によって、サーボ指令値vcと油圧シリンダ27のシリンダ変位xsとに基づいて、モールド28および油圧シリンダ27の実際の状態量に等しい状態量を推測して、この推定状態量xcに基づいてサーボ弁26に与えるサーボ指令値vcを補正するという最適制御を行うことによって、モールド28および油圧シリンダ27を含む制御対象22の固有振動数の影響を低減するような補正波形を有する指令を与えることなく、固有振動数の影響を排除して、モールド28に所望の振動をさせることができる。
【0099】
またモールド28の変位、速度および加速度などの状態量を検出する必要がないので、高温および多湿など、検出器にとって厳しい環境であるモールド28の付近に、モールド28の状態量を検出するための検出器を設置したり、検出器を設置するための機構を設ける必要がない。また油圧シリンダ27に関して、シリンダ変位xs以外の状態量、たとえば油圧シリンダ27の動作速度および動作加速度を検出する検出器が必要なく、このような検出器による検出に対する雑音の影響を低減するための手段を設ける必要がなく、モールド振動装置20を簡単な構成にすることができる。
【0100】
また本実施の形態のモールド振動装置20Aによれば、たとえば定数α、固有振動数ωnおよび減衰係数ζなどの制御系の特性を表す物理量と制御ゲインFdとの関係から、直接制御ゲインFdを調整することなく、各物理量を調整することによって、自動的に制御ゲインFdが決定されるので、複数の物理量のうち任意の物理量を個々に独立して調整することによって、複数の物理量が互いに影響し合うことなく、制御ゲインFdを容易に決定することができる。
【0101】
本実施の形態のモールド振動装置20Aにおいて、フィードバック状態量xctは式(25)に示す状態量としたが、これに限定することなく、制御対象22における各種状態量を用いてもよい。また変換演算器43は、状態観測器25からの推定状態量xcに基づいて、任意のフィードバック状態量xctに変換するような演算を行ってもよい。
【0102】
また本実施の形態のモールド振動装置20Aにおいて、制御装置21および制御対象22を含む系の伝達関数Xm/Xrefは、式(27)に示すような3次遅れ系としたが、3次遅れ系に限定することなく、たとえば2次遅れ系および6次遅れ系など1次以上の任意の次数にしてもよい。
【0103】
図9は、モールド振動装置20,20Aにおいて、異常を検出して油圧シリンダ27を停止する手順を示すフローチャートである。ステップs0で手順が開始され、ステップs1に進む。ステップs1では、状態観測器25は、シリンダ変位xsおよびサーボ指令値vcに基づいて、モールド変位xmおよびシリンダ変位xsを含む制御対象22の状態量を推定し、ステップs2に進む。
【0104】
ステップs2では、補償器24,24Aは、モールド変位xmとシリンダ変位xsとを監視し、ステップs3に進む。ステップs3では、補償器24,24Aは、式(19)に基づいて、モールド変位xmとシリンダ変位xsとからひずみ量xhを計算し、ステップs4に進む。
【0105】
ステップs4では、補償器24,24Aは、ステップs3において計算したひずみ量xhが、予め定めるしきい値emax以上であるか否かを判断する。ステップs4において、ひずみ量xhがしきい値emax以上である、すなわちモールド振動装置20,20Aにおいて何らかの異常が発生したと判断されると、ステップs5に進む。ステップs5では、補償器24,24Aは、油圧シリンダ27の動作を停止させる非常停止処理を行い、ステップs6に進み、全ての手順を終了する。しきい値emaxは、駆動アーム32の弾性によって撓む弾性範囲に基づいて設定される。
【0106】
ステップs4において、ひずみ量xhがしきい値emax未満である、すなわちモールド振動装置20,20Aにおいて異常は発生していないと判断されると、ステップs1に戻る。
【0107】
本実施の形態のモールド振動装置20,20Aによれば、何らかの要因によって、モールド28に異常な荷重がかかるなどして、油圧シリンダ27に過負荷がかかり、状態観測器25が推定したモールド変位xmと実際の変位とが大きく異なる場合、制御装置21および制御対象22を含む系におけるパラメータの変化によって補償器24,24Aが発振した場合、およびストロークセンサ29が故障した場合などのモールド振動装置20,20Aにおける異常を、シリンダ変位xsと推定されたモールド変位xmとの差を監視して、これらの変位xm,xsに基づくひずみ量xhが予め定めるしきい値emax以上となるか否かを判断することによって、早期かつ高精度に検知することができる。これによって、たとえば異常を検知したときに、モールド振動装置20,20Aが破損しないような制御、たとえば油圧シリンダ27を停止するなどの制御を行うことによって、異常に起因するモールド振動装置20,20Aの破損を防ぐことができる。
【0108】
本実施の形態のモールド振動装置20,20Aにおいて、しきい値emaxに関しては、たとえば、モールド振動装置20が正常動作しているときのひずみ量を求めて、このひずみ量を基準ひずみ量とし、この基準ひずみ量の5%増および10%増とした値をしきい値emaxとして求めるとするが、これに限るものではない。
【0109】
また本実施の形態のモールド振動装置20,20Aにおいて、異常を検知すると、油圧シリンダ27を停止する制御を行うとしたが、これに限らずモールド振動装置20,20Aの破損を防ぐような制御、たとえば油圧シリンダ27を停止させることなくモールド28を振動させる周波数を変更するような制御、および補償器24,24Aの発信を防ぐような制御などを行うようにしてもよい。
【0110】
図10は、信号発生器23が生成する、目標指令値xrefを有する信号の波形f(t)を示す図である。波形f(t)は、位相θによって周波数の異なる正弦波を連続させた非正弦波形である。詳細に述べると、位相θがπ/2以上かつ3π/2未満のとき、周波数はω2であり、それ以外の位相θでは、周波数はω1であり、次式(32)で表される。
【0111】
【数15】
Figure 0003643079
【0112】
また制御装置21がデジタル制御による制御装置である場合には、時間tを用いて、連続してモールド振動装置20を稼動させると、位相θ=ωtがサイン関数の入力範囲を越える場合がある。そこで次式(33)に示すように、デジタル演算の1周期分での位相θの加算値dθ1,dθ2を求め、この加算値dθ1,dθ2を演算毎に加算していき、位相θnの値を2π毎にリセットすることで、サイン関数の入力範囲を越えるオーバーフローを回避できる。
【0113】
【数16】
Figure 0003643079
【0114】
本実施の形態のモールド振動装置20,20Aによれば、所望の非正弦波形を生成するために、式(32)における周波数ω1,ω2を変更するだけでよく、複数の正弦波を重ね合わせて非正弦波を生成する方法と比較して、極めて小さい計算量で生成することができる。
【0115】
制御対象の固有振動数の影響を低減させるために補正波形を入力するような制御方法では、式(32)および式(33)に示すような波形f(t)の信号を用いることができないが、本実施の発明のモールド振動装置20,20Aでは、制御対象22の状態量を推測する最適制御を行って、先述のような補正波形を入力することなく制御対象の固有振動数の影響を低減するので、式(32)および式(33)で示すような波形f(t)の信号を用いることができる。
【0116】
上述の第1および第2の実施の形態のモールド振動装置20,20Aにおいて、油圧シリンダ27は片側ロッド式複動シリンダとしたが、両側ロッド式複動シリンダであってもよい。
【0117】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、モールドの、たとえば変位、速度および加速度などの状態量、ならびにアクチュエータの、たとえば動作速度、動作加速度および圧力などの状態量を検出することなく、補正指令手段によって、動作指令とアクチュエータの動作位置とに基づいて、モールドおよびアクチュエータの実際の状態量に等しい状態量を推測して、この推定状態量に基づいて弁手段に与える動作指令を補正するという最適制御を行うことによって、モールドおよびアクチュエータを含む制御対象の固有振動数の影響を低減するような補正波形を有する指令を与えることなく、固有振動数の影響を排除して、モールドに所望の振動をさせることができる。
【0118】
またモールドの変位、速度および加速度などの状態量を検出する必要がないので、高温および多湿など、検出器にとって厳しい環境であるモールドの付近に、モールドの状態量を検出するための検出器を設置したり、検出器を設置するための機構を設ける必要がない。またアクチュエータに関して、動作位置以外の状態量、たとえばアクチュエータの動作速度および動作加速度を検出する検出器が必要なく、このような検出器による検出に対する雑音の影響を低減するための手段を設ける必要がなく、装置を簡単な構成にすることができる。
【0119】
請求項2記載の本発明によれば、弁駆動手段は、モールドを一方向および他方向のいずれか一方に変位させる第1動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、モールドおよびアクチュエータを含む制御対象の線形化した第1状態方程式が構築されるとともに、モールドを一方向および他方向のいずれか他方に変位させる第2動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、制御対象の線形化した第2状態方程式が構築され、第1状態方程式に基づいて、第1動作時の補正に用いる第1制御ゲインが決定され、第1および第2動作時における制御対象と弁駆動手段とによって構成される制御系の極配置が同一となるように、第2動作時の補正に用いる第2制御ゲインが決定されているので、アクチュエータの動特性が、第1動作と第2動作とにおいて異なっても、それぞれの動特性に応じたゲインを用いて制御することによって、アクチュエータの動特性に起因して生じる、モールドの位置指令の波形に対するモールドの振動波形の歪みを可及的に低減して、モールドに所望の振動をさせることができる。
【0120】
請求項3記載の本発明によれば、制御系の特性を表す物理量と制御ゲインとの関係から、直接制御ゲインを調整することなく、各物理量を調整することによって、自動的に制御ゲインが決定されるので、複数の物理量のうち任意の物理量を個々に独立して調整することによって、複数の物理量が互いに影響し合うことなく、制御ゲインを容易に決定することができる。
【0121】
請求項4記載の本発明によれば、推定されたモールド変位と検出されたアクチュエータ変位との差を監視することによって、早期かつ高精度にモールド振動装置における異常を検知することができる。これによって、たとえば異常を検知したときに、モールド振動装置が破損しないような制御、たとえばアクチュエータを停止するなどの制御を行うことによって、異常に起因するモールド振動装置の破損を防ぐことができる。
【0122】
請求項5記載の本発明によれば、位相によって周波数の異なる正弦波を連続させた非正弦波形でモールドの位置指令を与える指令発生手段を含み、弁駆動手段は、指令発生手段による位置指令に基づく動作指令を与えるので、所望の非正弦波形を生成するために、複数の正弦波を重ね合わせて非正弦波を生成する方法と比較して、極めて小さい計算量で生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の連続鋳造設備のモールド振動装置20を示す制御ブロック図である。
【図2】連続鋳造設備のモールド振動装置20の構成を模式的に示す図である。
【図3】連続鋳造設備80を模式的に示す断面図である。
【図4】モールド振動装置20における補償器24を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のモールド振動装置20Aの補償器24Aを示すブロック図である。
【図6】定数αだけを変化させたときの極の配置を示す極配置図である。
【図7】固有振動数ωnだけを変化させたときの極の配置を示す極配置図である。
【図8】減衰係数ζだけを変化させたときの極の配置を示す極配置図である。
【図9】モールド振動装置20,20Aにおいて、異常を検出して油圧シリンダ27を停止する手順を示すフローチャートである。
【図10】信号発生器23が生成する、目標指令値xrefを有する信号の波形f(t)を示す図である。
【図11】特開昭63−63562号公報に開示される、連続鋳造機におけるモールドオシュレーション方法を用いる連続鋳造機0を示すブロック図である。
【符号の説明】
20 モールド振動装置
21 制御装置
22 制御対象
23 信号発生器
24 補償器
25 状態観測器
26 サーボ弁
27 油圧シリンダ
28 モールド
29 ストロークセンサ
41 制御ゲイン器

Claims (5)

  1. 溶融金属をモールドに注ぎ込んで連続的に形材を鋳造する連続鋳造設備のモールドを振動させる装置であって、
    モールドを一方向およびその逆の他方向に往復変位させるためのアクチュエータと、
    アクチュエータへの作動流体の供給を制御する弁手段と、
    弁手段に動作指令を与える弁駆動手段と、
    アクチュエータの動作位置を検出する位置検出手段と、
    位置検出手段による動作位置および弁駆動手段による動作指令に基づいて、モールドおよびアクチュエータの状態を表す状態量として、モールド変位、モールド速度、アクチュエータ変位、アクチュエータ速度、アクチュエータ加速度および弁手段の開度を含む要素群、モールド変位とアクチュエータ変位との差、モールド速度とアクチュエータ速度との差、アクチュエータ変位、アクチュエータ速度、アクチュエータ加速度および弁手段の開度を含む要素群、ならびにモールド変位とアクチュエータ変位との差、モールド速度とアクチュエータ速度との差およびアクチュエータ変位を含む要素群のうち、いずれか1つの要素群から成る状態量を推定し、この推状態量に基づいて、動作指令を補正する補正指令を与える補正指令手段とを含むことを特徴とする連続鋳造設備のモールド振動装置。
  2. 弁駆動手段は、
    モールドを一方向および他方向のいずれか一方に変位させる第1動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、モールドおよびアクチュエータを含む制御対象の線形化した第1状態方程式が構築されるとともに、モールドを一方向および他方向のいずれか他方に変位させる第2動作におけるアクチュエータの動特性に基づいて、制御対象の線形化した第2状態方程式が構築され、
    第1状態方程式に基づいて、第1動作時の補正に用いる第1制御ゲインが決定され、
    第1および第2動作時における制御対象と弁駆動手段とによって構成される制御系の極配置が同一となるように、第2動作時の補正に用いる第2制御ゲインが決定されていることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造設備のモールド振動装置。
  3. 制御系の特性を表す物理量と制御ゲインとの関係から、直接制御ゲインを調整することなく、各物理量を調整することによって、自動的に制御ゲインが決定されることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造設備のモールド振動装置。
  4. 補正指令手段は、モールド変位を推定し、弁駆動手段は、推定されたモールド変位とアクチュエータ変位との差を監視して、装置の異常を検知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造設備のモールド振動装置。
  5. 位相によって周波数の異なる正弦波を連続させた非正弦波形でモールドの位置指令を与える指令発生手段を含み、
    弁駆動手段は、指令発生手段による位置指令に基づく動作指令を与えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連続鋳造設備のモールド振動装置。
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