JP3642907B2 - 電子管用パルス電源装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は,X線管等の高電圧電子管にパルス電圧を供給する電子管用パルス電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年,X線用高電圧電源装置は高周波化され,1ms以下の高速立ち上がり,低リプルを目指している。高速立ち上がりにより,1ms以下の撮影も原理的に可能になった。このような高速撮影はX線管電流が数100mAの大電流時には実現するが,数10mAの小電流時には管電圧波形の立ち下がり時間が長くなり,設定時間に対して実際の撮影時間が延びる問題が生じる。その原因は,高電圧フィルタコンデンサと高電圧ケーブルの静電容量の放電時間が小電流時には長くなるためである。
【0003】
図9は,撮影設定時間Txが一定における大電流時の管電圧波形と小電流時の管電圧波形の変化を示す図である。有効撮影電圧を管電圧の75%とすると,実際の撮影時間と設定時間との誤差は,大電流時には小さい(Te)が,小電流時には立ち下がり時間が長くなって,非常に大きくなり(Te´),正確な撮影時間の設定が困難になる。撮影時間の誤差は,撮影者が意図しているレントゲン写真と異なる写真をつくり,正確な医療診断業務を妨げる要因となる。また,立ち下がり波尾の低い電圧により発生するX線は軟X線と呼ばれ,人体にとって有害であるといわれている。さらに,X線透視においても近年パルス透視が行われるようになり,透視時の高速立ち下げも重要な課題である。
【0004】
X線電源装置の高周波化により高電圧フィルタコンデンサが小容量化し,このような問題は徐々に少なくなってきているが,高電圧ケーブルをなくすことはできないので完全な解決とはならない。また,高電圧ケーブルを着脱するとき,作業者が残留電荷で感電する事故もあり,静電容量の放電対策が望まれている。
【0005】
この問題の解決手段として,本発明者は図10に示す回路を提案した。同図において,1はX線装置を作動させるための高電圧オン信号による設定時間の間,高周波電圧を発生する高周波インバータ,2は内部が絶縁油で充填されている接地された金属製の高電圧タンク,3は高周波インバータ1の出力に接続される高電圧トランス,4は高電圧トランス3の2次巻線に接続される高電圧整流器,5,6は高電圧整流器4の出力に接続される高電圧フィルタコンデンサ,7,8は,正負各極の出力端子9,10とX線管11とを接続する高電圧ケーブルの静電容量であり,普通,ケーブル1mあたり約250pFである。
【0006】
この例では,高電圧フィルタコンデンサ5,6と高電圧ケーブルの静電容量7,8に蓄積された電荷を速やかに放電する高電圧スイッチ12と電流制限インピーダンス,例えば電流制限抵抗13の直列回路が,正極出力端子9と負極出力端子10間に接続される。14は高電圧スイッチ12の駆動回路である。この駆動回路14は,高周波インバータ1をオンさせて正負各極出力端子9,10間に高電圧を出力させる高電圧オン信号とは逆の位相の逆対応信号を利用しており,高周波インバータ1のオフ時に高電圧スイッチ12のオン命令を出力する。この駆動回路14は,駆動信号回路と負極出力電圧との絶縁手段を兼ねたパルストランス等の信号絶縁手段を含んでいる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は,さらに一歩進め,高電圧スイッチのオンオフ信号の特別な信号絶縁伝達手段を設けることなく,X線管電圧の終了タイミングで高電圧スイッチをオンして残留電荷を放電することのできる電子管用パルス電源装置を提案する。
【0008】
X線装置では,通常,待機時にはフィラメント加熱を停止する方法,又は撮影時のフィラメント加熱時間を短縮するために,フィラメント加熱電圧レベルを低い予備レベルに維持する予備加熱方法が採用されている。そしてX線撮影時又は透視時には,X線撮影又は透視の数秒ないし直前にフィラメントを設定管電流に対応した比較的高いフィラメント加熱電圧レベルに予備加熱し,X線撮影又は透視中はフィラメントはその比較的高いフィラメント加熱電圧レベルに維持して設定管電流を流し,X線撮影又は透視終了でフィラメント加熱を停止又は予備レベルに戻すのが一般的である。
【0009】
本発明では,このようなX線装置の運転パターンに着目し,X線撮影時又は透視時とX線オフ時のフィラメント加熱電圧又は電流の有無若しくはフィラメント加熱電圧又は電流のレベル差を利用して高電圧スイッチをオンオフするものであり,特別な信号絶縁伝送手段を不必要にしたものである。
【0010】
請求項1に記載の発明は,上記課題を解決するために,高電圧オン信号により動作する高周波インバータの出力高周波電圧を昇圧,整流し,電子管のアノード・カソード間に供給する高電圧発生手段と,電子管のフィラメントをフィラメントトランスを介して加熱するフィラメント駆動用インバータを備えた電子管用パルス電源装置において,上記電子管のアノード・カソード間に高電圧スイッチを接続すると共に,上記フィラメントトランスよりフィラメント加熱電圧又は電流の有無を検出し,フィラメント加熱電圧又は電流を検出しなくなったときに上記高電圧スイッチをオンさせることを特徴とする電子管用パルス電源装置を提供するものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は,上記課題を解決するために,高電圧オン信号により動作する高周波インバータの出力高周波電圧を昇圧,整流し,電子管のアノード・カソード間に供給する高電圧発生手段と,電子管のフィラメントをフィラメントトランスを介して加熱するフィラメント駆動用インバータを備えた電子管用パルス電源装置において,上記電子管のアノード・カソード間に高電圧スイッチを接続すると共に,上記フィラメントトランスよりフィラメント加熱電圧又は電流を検出し,該フィラメント加熱電圧又は電流のレベルが設定値より低いときに上記高電圧スイッチをオンさせることを特徴とする電子管用パルス電源装置を提供するものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は,上記課題を解決するために,上記高電圧スイッチが,複数個のスイッチング素子の縦続回路で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子管用パルス電源装置を提供するものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は,上記課題を解決するために,上記高電圧スイッチが,正極側高電圧スイッチと負極側高電圧スイッチとに分割され,それぞれが異なる信号により制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子管用パルス電源装置を提供するものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は,上記高電圧オン信号の終了前に,フィラメント加熱信号が終了することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子管用パルス電源装置を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明の第1の実施の形態を説明するための図であり,図10で示した符号と同一の符号は相当する部材を示す。同図において,15は,X線管11の大焦点フィラメントL,小焦点フィラメントSの2個のフィラメントに,端子Mを共通にして,高周波電圧を供給するフィラメント駆動用インバータである。フィラメント駆動用インバータ15の大焦点フィラメントL駆動用,小焦点フィラメントS駆動用のそれぞれの出力は,大焦点フィラメントL用のフィラメントトランス16,小焦点フィラメントS用のフィラメントトランス17で絶縁されながら,端子18,19を介して,X線管11の大焦点フィラメントL,小焦点フィラメントSの2個のフィラメントに供給される。
【0016】
この実施の形態では,高電圧フィルタコンデンサ5,6と高電圧ケーブルの静電容量7,8に蓄積された電荷を速やかに放電する高電圧スイッチ12としてスイッチング素子の縦続回路,例えばFETの縦続回路が,正極出力端子9と負極出力端子10間に接続される。高電圧スイッチ12は,端子9,10間に縦続接続された複数個のFETQ1〜Qnと,オフ時の電圧分担のバランスを図るための電圧分担バランス用抵抗Ra1〜Ranと,ターンオン,ターンオフの過渡電圧のアンバランスを小さくするための過渡特性改善用の抵抗Rb1〜Rbn,コンデンサC1〜Cnと,FETQ1〜Qnのゲート・ソース間の過電圧保護用のツェナダイオードDZ1〜DZnとで構成される。高電圧スイッチ12を構成するFETの縦続個数はFET1個あたりの耐電圧で定まる。例えば,最高電圧150kVの装置に耐電圧が1500VのFETを使用する場合には,この装置の耐電圧試験が180kVで行われるので,FETが120個以上必要となる。
【0017】
初段のFETQ1のソースには電流帰還用抵抗Rfが直列接続される。フィラメントトランス16,17の2次巻線は,それぞれダイオードD1,D2を介してコンデンサCs及び抵抗Rsに接続されており,コンデンサCsに充電された電圧により,抵抗Rsを介してFETQ1を制御する補助スイッチング素子Qsのベース電流が供給される。抵抗RsはコンデンサCsの放電抵抗と補助スイッチング素子Qsのベース抵抗を兼ねている。後述するように,コンデンサCs,抵抗Rsの値は,フィラメント駆動用インバータ15の変換周波数により,適正に選定される。
【0018】
20はX線制御回路で,高周波インバータ1,フィラメント駆動用インバータ15に,それぞれ適切なタイミングで高電圧オン信号S1,フィラメント加熱信号S2を与えると共に,フィラメント駆動用インバータ15に大焦点フィラメントL,小焦点フィラメントSのいずれのフィラメントを加熱するかの選択信号S3を与える。
【0019】
先ず,高電圧スイッチ12の基本動作を説明する。高電圧スイッチ12を構成するFETの縦続回路において,初段のFETQ1には抵抗Ra1〜Ranが順バイアス抵抗として機能する。FETの縦続回路のゲート電圧源を出力端子9,10間の電圧からとるので,FETの縦続回路がオンして出力端子9,10間の電圧が低下するとFETのゲートに負帰還がかかり,FETのゲート閾値電圧とドレイン電圧が釣り合うところまで飽和電圧が下がる。ゲート閾値電圧を4V,FETの直列数を160個とすると飽和電圧が640Vとなり,実用上は問題とならない。補助スイッチング素子Qsがオフしていれば,FETQ1は抵抗Ra1〜Ranでオンバイアスされる。また補助スイッチング素子Qsがオンすれば,FETQ1はゲート・ソース間が短絡され,オフする。初段FETQ1がオン,オフすると,全FETQ1〜Qnが抵抗Ra1〜Ranの作用によりオン,オフする。
【0020】
図2は高電圧オン信号S1,フィラメント加熱信号S2,フィラメント加熱電圧Vf,コンデンサCsの電圧Vcs,高電圧スイッチ12のオンオフ状態,管電圧HVを示す図であり,この図を用いて,期間毎に動作を説明する。尚,フィラメント加熱電圧Vf,コンデンサCsの電圧Vcsの状態が理解しやすいように,フィラメント駆動用インバ−タ15の動作周期を拡大している。
【0021】
(1)期間t1
高電圧オン信号S1とフィラメント加熱信号S2がない待機状態である。X線制御回路20は,高周波インバータ1とフィラメント駆動用インバータ15に信号S1,S2を送らない。この結果,フィラメント駆動用インバータ15は大焦点フィラメントL駆動用,小焦点フィラメントS駆動用共に出力せず,大焦点フィラメントL,小焦点フィラメントSの両者共に加熱されない。フィラメントトランス16,17の2次電圧がないので,ダイオードD1,D2はオンせず,コンデンサCsは充電されない。この結果,補助スイッチング素子Qsはオフし,初段FETQ1のゲート・ソース間は解放され,FETの縦続回路で構成される高電圧スイッチ12は,正極出力端子9と負極出力端子10間に高電圧が印加されればオンする状態にある。
【0022】
(2)期間t2
次に,例えば大焦点撮影準備のため,X線制御回路20は,高周波インバータ1に高電圧オン信号S1を送らないまま,フィラメント駆動用インバータ15にフィラメント加熱信号S2と大焦点フィラメントL,小焦点フィラメントSのいずれのフィラメントを加熱するかの選択信号,この場合は,大焦点フィラメント選択信号S3を送る。信号S2,S3を受けて,フィラメント駆動用インバータ15は,フィラメントトランス16を駆動するように動作し,フィラメントトランス16は,大焦点フィラメントLを先加熱する。このときのフィラメント加熱電圧Vfは大容量のX線管で5〜15Vであり,ダイオードD1が半波整流してコンデンサCsをピーク値に充電する。このコンデンサCsの電圧Vcsにより,補助スイッチング素子Qsはオンし,初段FETQ1のゲートを短絡し,高電圧スイッチ12をオフ状態に待機させる。
【0023】
ここで,抵抗Rsは,コンデンサCsとの時定数がフィラメント駆動用インバータ15の半波周期に対し,半波周期中補助スイッチング素子Qsをオン状態に維持できる値とする。但し,後述する理由で,この放電時定数は高速立ち下げ時間の遅れ時間となるので,高速立ち下げ時間に対しては充分に小さい値としなければならない。例えば,フィラメント駆動用インバータ15の周波数を20kHzとすると,半波周期は50μsであり,コンデンサCsを1000pF,抵抗Rsを100kΩとすると,放電時定数は100μsとなる。
【0024】
(3)期間t3
次に,大焦点撮影のため,X線制御回路20は,フィラメント駆動用インバータ15にフィラメント加熱信号S2と大焦点フィラメント選択信号S3を送りながら,高周波インバータ1に高電圧オン信号S1を送る。この結果,高周波インバータ1の出力に接続される高電圧トランス3,高電圧整流器4の動作で,高電圧が正極出力端子9と負極出力端子10間に発生するが,高電圧スイッチ12がオフ状態にあるので,X線管11に電圧が印加され,加熱レベルに応じた管電流が流れ,所定時間t3の撮影を行う。
【0025】
(4)期間t4
次に,大焦点撮影終了のため,X線制御回路20は,高周波インバータ1への高電圧オン信号S1と,フィラメント駆動用インバータ15へのフィラメント加熱信号S2の送付を同時に停止する。高周波インバータ1への高電圧オン信号S1の送付を停止した結果,高周波インバータ1が停止し,高電圧の発生は終了するが,高電圧フィルタコンデンサ5,6,高電圧ケーブルの静電容量7,8に蓄積された電荷が残る。従来は,この電荷はX線管11を介して緩やかに放電し,上述したように,不要なX線を発生した。しかし,ここでは,高周波インバータ1への高電圧オン信号S1の送付と,フィラメント駆動用インバータ15へのフィラメント加熱信号S2の送付を同時に停止するので,高周波インバータ1と同時にフィラメント駆動用インバータ15も停止し,大焦点フィラメントLの加熱が停止する。大焦点フィラメントLの加熱が停止することにより,コンデンサCsの充電電源が無くなり,コンデンサCsは抵抗Rsを介して放電する。コンデンサCsの充電電圧が補助スイッチング素子Qsのベース電圧Vb,通常0.6V以下になると,補助スイッチング素子Qsがオフし,FETQ1がオンし,縦続してFETQ2〜Qnがオンする。このようにして,高電圧スイッチ12がオンして静電容量の残留電荷が放電し,高速立ち下げが行われる。この高速立ち下げの高電圧オン信号S1の終了に対する時間遅れTdは,コンデンサCs(1000pF)と抵抗Rs(100kΩ)との時定数100μsにより決定される。
【0026】
尚,フィラメント加熱信号S2が終了しても,X線管11のフィラメントの熱容量で数100μsは管電流が流れるので,フィラメント加熱信号S2の終了タイミングを高電圧オン信号S1の終了より遅れ時間Tdだけ早くして,遅れ時間を相殺することも可能である。また,放電時間Tcは,高電圧フィルタコンデンサ5,6と,高電圧ケーブルの静電容量7,8との総合静電容量値CとFETの制限電流値Isにより決定される。
【0027】
次に,電流制限について述べる。放電電流値はFETの電流容量,オン抵抗,ゲート電圧,ソース抵抗等で決定される。FET縦続回路はゲート電圧源をドレイン電圧より得ているため定格オン抵抗値まで完全にオンすることはなく,電流は制限されるが,全オン期間中制限することはできない。確実な方法として次の方法がある。
【0028】
(1)少なくとも初段のFETQ1のゲート・ソース間のツエナーダイオードDZ1の電圧を数Vに設定し,FETの定電流特性を利用する。FETはゲート電圧に応じて,ドレイン電圧が変化しても定電流となる特性がある。初段のFETQ1のオン電圧は他のFETのオン電圧と等しくなるので,初段のみでよいが,全FETQ1〜Qnのゲート・ソース間にツエナーダイオードDZ1〜DZnを設けてもよい。
【0029】
(2)ソース抵抗Rfを適当に選定する。ソース抵抗Rfを接続すると,電流負帰還がかかり,電流制限される。即ち,FETのソース電流が増加すると,ソース電圧も上昇し,ゲート・ソース間電圧は減少し,ある電流以上流せない。尚,必要に応じて,FET縦続回路に直列抵抗を接続して電流制限することも可能である。例えば制限電流値Isを3Aとすれば,高電圧ケーブル各10mで正負極間は2500pFの1/2,高電圧フィルタコンデンサも1000pFの1/2で計1750pFのとき,下式より100μs以下で立ち下がる。
【0030】
図3は,本発明の第2の実施の形態を説明するための図であり,図1で示した符号と同一の符号は相当する部材を示す。これは,駆動回路が図1で説明した実施の形態とは異なり,補助スイッチング素子Qsとしてバイポーラトランジスタの代わりにFETを用いたものである。FETはバイポーラトランジスタに比較して閾値が高いのでコンデンサCsの電圧Vcsを上げる必要がある。このため,フィラメント加熱電圧をダイオードD3,D4,コンデンサCb1,或いは,ダイオードD5,D6,コンデンサCb2で構成される倍電圧整流回路で昇圧整流し,例えばコンデンサCsの電圧Vcsを10V以上にするようにしたものである。
【0031】
図4は,本発明の第3の実施の形態を説明するための図であり,図1で示した符号と同一の符号は相当する部材を示す。これも,第2の実施の形態と同様に,補助スイッチング素子Qsとしてバイポーラトランジスタの代わりにFETを用いたものであるが,駆動回路が図3で説明した実施の形態とは異なる。フィラメントトランス16,17に,大焦点フィラメントL,小焦点フィラメントSに電力を供給する第1の2次巻線161,171より巻数の多い,より高い電圧を発生する第2の2次巻線162,172を設け,ブリッジ整流器21,22により全波整流した電圧でコンデンサCsを充電するようにしたものである。全波整流電圧なので,20kHzのとき充電サイクルが25μsと速く,抵抗Rsの抵抗値を小さく選定して遅れ時間を小さくすることができる。
【0032】
図5は,本発明の第4の実施の形態を説明するための図であり,図1で示した符号と同一の符号は相当する部材を示す。これは,補助スイッチング素子Qsのゲート電圧源として,フィラメント加熱電流を変流器で検出してものであり,大焦点フィラメントL側に変流器CT1,小焦点フィラメントS側に変流器CT2が挿入され,抵抗Rf1,Rf2に発生した2次電圧をダイオードD3,D5でOR接続して補助スイッチング素子Qsのゲート電圧としたものである。
【0033】
図6は,本発明の第5の実施の形態を説明するための図であり,図1で示した符号と同一の符号は相当する部材を示す。これは,高電圧スイッチとしてSCRの縦続回路を採用したものであり,図7はその動作説明図である。高電圧スイッチ12は,端子9,10間に縦続接続された複数個のSCRQ1〜Qnと,オフ時の電圧分担のバランスを図るための電圧分担バランス用抵抗Ra1〜Ranと,ターンオン,ターンオフの過渡電圧のアンバランスを小さくし,且つ縦続トリガエネルギ源となる過渡特性改善用の抵抗Rb1〜Rbn,コンデンサC1〜Cnとで構成される。
【0034】
駆動回路の電源はフィラメント加熱電圧VfをダイオードD1,D2により半波整流して得る。この電源は先加熱で高電圧発生(期間t3)前の期間t2で立ち上がる。フィラメント加熱電圧がダイオード順電圧と補助スイッチング素子Qsのベース電圧の和,約1.2V以上になると,補助スイッチング素子Qsがオンし,コレクタがHからLとなり,フィラメント加熱電圧の負の半波期間に補助スイッチング素子QsがオフしてLからHとなる。23はこのL→Hの変化でトリガされる単安定マルチバイブレータで,フィラメント周期50μs以上,例えば60μsのLパルスを発生する。図7でのコレクタ電圧Vkの矢印はトリガポイントを示す。フィラメント加熱電圧がある間は,60μsのLパルスが無くなる前に単安定マルチバイブレータ23が次のフィラメント半波電圧で再度トリガされるので,出力VmはLのまま連続する。フィラメント加熱電圧Vfがなくなると,トリガがなくなり,最終トリガから60μsで出力電圧VmはHとなる。このHレベルをトランジスタQmで増幅して初段のSCRQ1をトリガする。この結果,全SCRが縦続トリガされ,高電圧出力を短絡する。高電圧出力短絡はフィラメント加熱電圧Vfの消失より最大60μs遅れるが,この程度の遅れは実用上は問題ない。またSCRのトリガエネルギ源はフィラメント加熱電圧Vfのあるときに充電されるコンデンサCsであり,充分な静電容量が必要である。このコンデンサCsの電圧Vcsはフィラメント加熱電圧がなければ,自然に低下し,次のフィラメント加熱電圧サイクルで再度充電される。SCRの場合,電流制限機能がないので,ピーク電流値がSCR定格を超える場合,直列インピーダンス,例えば抵抗が必要である。
【0035】
図8は,本発明の第6の実施の形態を説明するための図であり,図1で示した符号と同一の符号は相当する部材を示す。これは,高電圧スイッチ12を正極側高電圧スイッチ121と負極側高電圧スイッチ122とに分割したものであり,負極側高電圧スイッチ122は第1の実施の形態と同様にフィラメント加熱信号S2によりフィラメント駆動用インバータ15を介して制御するが,正極側高電圧スイッチ121は初段のFETが接地レベルなので,X線制御回路20からの信号で直接制御する。即ち,正極側高電圧スイッチ121は,高電圧オン信号S1の逆対応信号S'1により直接制御され,高電圧オン時にオフする。
【0036】
このように,高電圧スイッチ12を正極側高電圧スイッチ121と負極側高電圧スイッチ122とに分割することにより,それぞれの高電圧スイッチを構成する縦続回路の段数が少なくなるので,制御が容易になると共に,配置の自由度が大きくなる。
【0037】
以上説明した本発明の実施の形態では,フィラメント加熱電圧又は電流の有無で高電圧スイッチを制御したが,フィラメント加熱電圧又は電流のレベルを下げて常時予備加熱するX線システムでは,加熱レベル検出の閾値を上げるか,X線オフ直後に予備加熱を放電に充分な時間,例えば1ms休止すればよい。尚,本発明の高電圧スイッチ12はIGBT,バイポーラトランジスタ等の縦続回路を用いてもよい。又,本発明の実施の形態では,中性点接地の高電圧発生回路にて説明したが,電子管のアノードを接地し,負極性高電圧をカソードに加えるアノード接地方式にも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように,本発明は,X線装置の運転パターンに着目し,X線撮影時又は透視時とX線オフ時のフィラメント加熱電圧又は電流の有無若しくはフィラメント加熱電圧又は電流のレベル差を利用して,高電圧スイッチを制御し,高電圧回路の残留電荷を放電し,管電圧の波尾を高速化するものであって,特別な信号絶縁手段が不要な構成で,高電圧スイッチを制御でき,管電圧波形の立ち下がり時間を,大電流,小電流にかかわらず短くでき,撮影時間の設定誤差を小さくできる等の効果がある。また,静電容量が必ず放電されるので,高電圧ケーブルを着脱する場合に,残留電荷で感電する事故がなくなり,安全である。特に,管電圧の波尾で発生する人体に有害な軟X線を除去できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】図1の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を説明するための図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態を説明するための図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態を説明するための図である。
【図7】図6の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態を説明するための図である。
【図9】従来のX線電源装置の管電圧波形を説明するための図である。
【図10】従来のX線電源装置を説明するための図である。
【符号の説明】
1…高周波インバータ 2…高電圧タンク
3…高電圧トランス 4…高電圧整流器
5,6…高電圧フィルタコンデンサ 7,8…高電圧ケーブルの静電容量
9…正極出力端子 10…負極出力端子
11…X線管 12…高電圧スイッチ
13…抵抗 14…駆動回路
15…フィラメント駆動用インバータ 16,17…フィラメントトランス
18,19…端子 20…X線制御回路
21,22…ブリッジ整流器 23…単安定マルチバイブレータ
Q1〜Qn…FET又はSCR Qs…補助スイッチング素子
Qm…トランジスタ DZ1〜DZn…ツェナダイオード
D1〜D6…ダイオード C1〜Cn,Cs…コンデンサ
Ra1〜Ran,Rb1〜Rbn,Rc,Rd,Rf,Rs…抵抗
Rf1,Rf2…抵抗 CT1,CT2…変流器
Claims (5)
- 高電圧オン信号により動作する高周波インバータの出力高周波電圧を昇圧,整流し,電子管のアノード・カソード間に供給する高電圧発生手段と,電子管のフィラメントをフィラメントトランスを介して加熱するフィラメント駆動用インバータを備えた電子管用パルス電源装置において,
上記電子管のアノード・カソード間に高電圧スイッチを接続すると共に,上記フィラメントトランスよりフィラメント加熱電圧又は電流の有無を検出し,フィラメント加熱電圧又は電流を検出しなくなったときに上記高電圧スイッチをオンさせることを特徴とする電子管用パルス電源装置。 - 高電圧オン信号により動作する高周波インバータの出力高周波電圧を昇圧,整流し,電子管のアノード・カソード間に供給する高電圧発生手段と,電子管のフィラメントをフィラメントトランスを介して加熱するフィラメント駆動用インバータを備えた電子管用パルス電源装置において,
上記電子管のアノード・カソード間に高電圧スイッチを接続すると共に,上記フィラメントトランスよりフィラメント加熱電圧又は電流を検出し,該フィラメント加熱電圧又は電流のレベルが設定値より低いときに上記高電圧スイッチをオンさせることを特徴とする電子管用パルス電源装置。 - 上記高電圧スイッチが,複数個のスイッチング素子の縦続回路で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子管用パルス電源装置。
- 上記高電圧スイッチが,正極側高電圧スイッチと負極側高電圧スイッチとに分割され,それぞれが異なる信号により制御されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子管用パルス電源装置。
- 上記高電圧オン信号の終了前に,フィラメント加熱信号が終了することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子管用パルス電源装置。
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