JP3642559B2 - 信号保持回路、半導体装置、ゲートアレイおよびicカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は信号保持回路等に関し、特に、強誘電体を用いた信号保持回路等に関する。
【0002】
【従来の技術】
クレジットカードや流通過程等で用いられる識別用タグとして、ICカードが利用されている。ICカードには、ロジックLSIを搭載したものや、マイクロコンピュータを搭載したもの等があるが、このようなロジックLSIやマイクロコンピュータ等に用いるシーケンス論理処理回路として、図26に示すような回路が知られている。
【0003】
図26に示す論理処理回路2は、NAND回路やOR回路等により構成される組合せ論理ブロックCBと、当該組合せ論理ブロックCBの出力をラッチするラッチブロックLTとにより構成されている。
【0004】
組合せ論理ブロックCBは、入力データINに対して所定の論理演算等を施し、演算結果OUTを出力する。ラッチブロックLTは、クロックパルスCpの立ち上がり時(または、立ち上がり時)における演算結果OUTをラッチする。出力Qには、ラッチした演算結果OUTが出力される。
【0005】
このように、論理処理回路2を用いると、クロックパルスCpの立ち上がり(または、立ち下がり)のタイミングで演算結果をラッチし、次のクロックパルスCpが来るまでの間、ラッチした当該演算結果を出力することができる。このため、演算結果からノイズを除去して、安定した出力を得ることができる。
【0006】
したがって、このような論理処理回路2を多数組合せて用いることで、信頼性の高いシーケンス論理処理などを行なうことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の論理処理回路2には、次のような問題点があった。従来の論理処理回路においては、処理中のデータを保持するために、回路に常に電圧を印加しておかなければならない。
【0008】
したがって、シーケンス論理処理の途中において電源が遮断されてしまったような場合、電源が回復しても、遮断前の演算結果は残っておらず、当該シーケンス論理処理を電源遮断直前の状態に戻すには、改めてシーケンス論理処理の最初からやり直さなければならなかった。これでは、無駄が多く、また、処理の信頼性に欠ける。
【0009】
また、非接触のICカード等においては、電波を介して電力を供給しているため、電力の供給が不安定になる。ことに、リアルタイムで多量のデータ処理が要求されるような場合には、電力の供給が止まると処理が困難になる。
【0010】
さらに、回路の消費電力を抑えるために、図27のような省電力型のラッチブロックLTが提案されている。しきい値電圧の高いトランジスタを用いれば消費電力を抑えることができる点に着目したものである。
【0011】
低しきい値回路部4は、消費電力は大きいが動作速度の速い低しきい値トランジスタを用いて構成したインバータ回路INV0およびINV1を備えた回路である。高しきい値回路部6は、動作速度は遅いが消費電力の小さい高しきい値トランジスタを用いて構成したインバータ回路INV2およびINV3を備えた回路である。
【0012】
電源制御部8は、動作時には、低しきい値回路部4に給電し、スタンバイ時には、低しきい値回路部4への給電を停止する。このようにすれば、動作時には、演算結果OUTは、動作速度の速いインバータ回路INV0およびINV1を介して出力され、スタンバイ時には、演算結果OUTは、消費電力の小さいインバータ回路INV2およびINV3により保持されるので、好都合である。
【0013】
しかしながら、図27に示す省電力型のラッチブロックLTにおいても、スタンバイ時には消費電力が小さくなるとはいえ、電力を消費することにはかわりない。
【0014】
この発明は、このような従来の論理処理回路の問題点を解消し、電源が遮断されても演算結果等を保持することができ、また、消費電力のより小さい信号保持回路等を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段、発明の作用および効果】
この発明の信号保持回路においては、信号を伝送する信号路と、当該信号路に結合され、動作時に信号路に現れた信号に対応した分極状態を動作停止後も保持するとともに、保持した分極状態に基づいて動作復帰時に信号路に信号を復元する強誘電体記憶部とを備えたことを特徴としている。
【0016】
したがって、信号路に現れる信号を、当該信号に対応した分極状態の形で強誘電体記憶部が保持している。このため、電源が遮断されても、強誘電体記憶部によってデータが保持されていることになる。
【0017】
この結果、電源が回復したときに、保持されている当該データを用いて、当該信号保持回路の状態を、電源が遮断される前の状態に、確実かつ速やかに復帰させることが可能となる。すなわち、電源が遮断されても演算結果等を保持することができる。
【0018】
この発明の信号保持回路においては、信号路の一部に、主信号路と帰還信号路とを有する環状信号路を設け、主信号路および帰還信号路のうち少なくとも一方に、強誘電体記憶部を結合したことを特徴としている。
【0019】
したがって、帰還信号路を設けることにより、通常の動作や電源復帰時の動作を、より安定化させることができる。
【0020】
この発明の信号保持回路においては、強誘電体記憶部として、強誘電体トランジスタを用いたことを特徴としている。
【0021】
したがって、非破壊読み出しを容易に実現することができるため、容易に長寿命の信号保持回路を実現することができる。
【0022】
この発明の信号保持回路においては、強誘電体トランジスタは、A)半導体基板に形成された第1導電型のソース領域およびドレイン領域、B)ソース領域とドレイン領域との間に配置された第2導電型のチャネル形成領域、C)チャネル形成領域の上に配置された絶縁層、D)前記絶縁層の上に配置された第1の導電体層、E)前記第1の導電体層の上に形成された強誘電体層、F)強誘電体層の上に形成された第2の導電体層、を有することを特徴としている。
【0023】
したがって、強誘電体トランジスタとして、上記構造のトランジスタを用いることで、通常のMOSFETの製造工程に、強誘電体層および第2の導電体層を積み上げる工程を追加するだけで、容易に、信号保持回路を得ることが可能となる。
【0024】
この発明の信号保持回路においては、主信号路および帰還信号路に、インバータ回路をそれぞれ挿入し、当該インバータ回路のうち少なくとも一方を、強誘電体トランジスタを用いた強誘電体記憶部としたことを特徴としている。
【0025】
したがって、インバータ回路を構成するトランジスタを強誘電体トランジスタとすることにより、信号路に現れる信号を、当該強誘電体トランジスタに保持することができる。
【0026】
この発明の信号保持回路においては、環状信号路より入力側において、信号路に、所定のゲート制御信号に基づいて継断動作を行なう入力側ゲートを設けたことを特徴としている。
【0027】
したがって、組合せ論理回路からの演算結果にノイズが含まれているような場合であっても、ノイズを除去して、安定した出力を得ることができる。
【0028】
この発明の信号保持回路においては、主信号路にインバータ回路を挿入し、当該インバータ回路の入力側と所定の基準電位とを、制御入力端子を備えたスイッチング回路を介して結合し、当該インバータ回路の出力側と当該制御入力端子とを、帰還信号路により結合するとともに、当該インバータ回路およびスイッチング回路のうち少なくとも一方を、強誘電体トランジスタを用いた強誘電体記憶部としたことを特徴としている。
【0029】
したがって、信号路がバスラインであるような場合、バスライン上の信号を当該信号に対応した分極状態の形で強誘電体記憶部が保持している。すなわち、電源が遮断されてもバスライン上の信号等を保持することができる。
【0030】
この発明の信号保持回路においては、強誘電体記憶部を、主信号路に設けないで、帰還信号路に設けるよう構成したことを特徴としている。
【0031】
したがって、主信号路に強誘電体記憶部を設けないことで、非ラッチ時における信号の伝送速度を高速化することができる。
【0032】
この発明の信号保持回路においては、主信号路を介して信号を伝送するときには帰還信号路を遮断し、帰還信号路を介して信号を帰還させるときには帰還信号路を接続する帰還ゲートを設けたことを特徴としている。
【0033】
したがって、帰還信号路を遮断することで、非ラッチ時における消費電力を低減することができる。
【0034】
この発明の信号保持回路においては、強誘電体記憶部として、強誘電体コンデンサを用いたことを特徴としている。
【0035】
したがって、安定した動作の得やすい強誘電体コンデンサを用いることで、より信頼性の高い信号保持回路を実現することができる。
【0036】
この発明の信号保持回路においては、所定のゲート制御信号に基づいて継断動作を行なう入力側ゲートと、当該ゲート制御信号に基づいて入力側ゲートと逆の継断動作を行なう出力側ゲートとを、信号路に直列に挿入し、強誘電体コンデンサの一端を、入力側ゲートと出力側ゲートとの間において信号路に結合するとともに、当該強誘電体コンデンサの他端に、ゲート制御信号に同期した電圧を印加するよう構成したことを特徴としている。
【0037】
したがって、たとえば、出力側ゲートを介して、信号路とバスラインとを結合することで、バスラインに接続可能な信号保持回路を容易に実現することができる。
【0038】
この発明の信号保持回路においては、信号路と強誘電体記憶部とを継断する記憶部ゲートを設けたことを特徴としている。
【0039】
したがって、必要に応じて、信号路と強誘電体記憶部とを記憶部ゲートにより遮断することができる。このため、信号路により不用意に強誘電体記憶部の分極状態が変化してしまうことを防止することが可能となる。
【0040】
この発明の信号保持回路においては、記憶部ゲートは、電源電圧の変動に対応して、信号路と強誘電体記憶部とを継断することを特徴としている。
【0041】
したがって、電源電圧の低下など、電源電圧の変動に起因して不用意に強誘電体記憶部の分極状態が変化してしまうことを防止することが可能となる。
【0042】
この発明の信号保持回路においては、当該信号保持回路に与える電力を、継断または調整する電源制御部を設けたことを特徴としている。
【0043】
したがって、動作していないブロックを構成する信号保持回路に与える電力を、電源制御部により遮断したり、極めて小さくすることで、電力消費を抑えることができる。この場合、たとえば、信号保持回路に与える電力を遮断したとしても、強誘電体記憶部の分極状態は維持され、動作の再開にともなって電力供給を再開すると、当該分極状態に対応した信号を信号路に与えることができるので、好都合である。
【0044】
この発明の信号保持回路においては、当該信号保持回路は、信号路を介して組合せ回路に接続されていることを特徴としている。
【0045】
したがって、組合せ回路と不揮発性の信号保持回路とを備えた論理処理回路を用いることで、信頼性の高いシーケンス論理処理などを行なうことができる。
【0046】
この発明の信号保持回路においては、組合せ回路は、省電力型の回路であることを特徴としている。
【0047】
したがって、省電力型の組合せ回路、たとえば、電力調整の可能な組合せ回路や素子数の少ない組合せ回路等を用いることで、省電力化をいっそう進めることができる。
【0048】
この発明の半導体装置は、信号保持回路および当該保持回路に接続された組合せ回路を用いたことを特徴としている。
【0049】
したがって、電源が遮断されても演算結果等を保持することができる半導体装置や、省電力型の半導体装置を実現することができる。
【0050】
この発明の半導体装置においては、さらに強誘電体メモリ回路を備えたことを特徴としている。
【0051】
したがって、メモリを要する半導体装置において、当該メモリも、不揮発性とすることができる。このため、さらに省電力効果の高い半導体装置を実現することができる。
【0052】
この発明の半導体装置においては、当該半導体装置が、マイクロコンピュータであることを特徴としている。
【0053】
したがって、電源が遮断されても演算結果等を保持することができるマイクロコンピュータや、省電力型のマイクロコンピュータを実現することができる。
【0054】
この発明の半導体装置においては、当該半導体装置が、ゲートアレイを用いて構成されたことを特徴としている。
【0055】
したがって、電源が遮断されても演算結果等を保持することができる半導体装置や省電力型の半導体装置を、容易に実現することができる。また、ゲートアレイの接続を変更することで、別の機能を有するハードウェアに、容易に変更することができる。
【0056】
この発明のゲートアレイは、トランジスタと、強誘電体により構成された素子とを備えたことを特徴としている。
【0057】
したがって、トランジスタと、強誘電体により構成された素子とを自由に組合せることで、電源が遮断されても演算結果等を保持することができる半導体装置や、省電力型の半導体装置を、容易に実現することができる。
【0058】
この発明のICカードは、上述のいずれかの半導体装置を用いたことを特徴としている。
【0059】
したがって、とくに電力供給が不安定で、かつ供給電力が小さい非接触型のICカードにおいて、電源が遮断されても演算結果等を保持することができ、また、電力消費量を低減することができるので好都合である。
【0060】
なお、請求項において「強誘電体記憶部」とは、強誘電体の履歴特性を用いて情報を記憶する部分をいい、強誘電体トランジスタや強誘電体コンデンサそのものの他、これらを組合せた回路をも含む概念である。実施形態では、図1に示すインバータ回路INV2が、これに該当する。
【0061】
「強誘電体トランジスタ」とは、強誘電体を用いたトランジスタをいい、いわゆるMFMIS構造のトランジスタやMFS構造のトランジスタ(後述)を含む概念である。実施形態では、図4に示すトランジスタNT、PTが、これに該当する。
【0062】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路50を示す回路図である。論理処理回路50は、組合せ回路である組合せ論理ブロックCBと、信号保持回路であるラッチブロックLTとを備えている。
【0063】
組合せ論理ブロックCBは、NAND回路やOR回路等により構成されており、入力データIN(たとえば、A,B,C,Dの4入力)に対して所定の論理演算等を施し、演算結果OUTを出力する。
【0064】
ラッチブロックLTは、演算結果OUTを伝送する信号路を構成するライン104を備えている。ライン104の一部は、主信号路を構成するライン106および帰還信号路を構成するライン108により構成されている。ライン106およびライン108により、環状信号路を構成している。
【0065】
環状信号路より入力側において、ライン104に、ゲート制御信号であるクロックパルスCpに基づいて継断動作を行なう入力側ゲートであるトランスミッションゲートGT1が挿入されている。トランスミッションゲートGT1は、クロックパルスCpが”H”のときにOFFになり、クロックパルスCpが”L”のときにONになるよう構成されている。
【0066】
ライン108には、帰還ゲートであるトランスミッションゲートGT2が挿入されている。トランスミッションゲートGT2は、トランスミッションゲートGT1と逆に、クロックパルスCpが”H”のときにONになり、クロックパルスCpが”L”のときにOFFになるよう構成されている。
【0067】
このように、トランスミッションゲートGT2を挿入して、ライン108を遮断することで、非ラッチ時における消費電力を低減することができる。
【0068】
ライン106には、インバータ回路INV1が挿入されている。インバータ回路INV1は、CMOSインバータ回路であり、PチャネルMOSFETとNチャネルMOSFETとを直列に接続した構成を備えている。
【0069】
このように、主信号路を構成するライン106に強誘電体トランジスタを設けないことで、非ラッチ時における信号の伝送速度を高速化することができる。
【0070】
ライン108には、強誘電体記憶部であるインバータ回路INV2が挿入されている。インバータ回路INV2は、インバータ回路INV1と同様に、CMOSインバータ回路であるが、図4に示すように、構成要素であるPチャネルMOSFETであるトランジスタPTとNチャネルMOSFETであるトランジスタNTが、ともに強誘電体トランジスタである点で、インバータ回路INV1と異なる。
【0071】
トランジスタNTおよびトランジスタPTは、いわゆるMFMIS構造の強誘電体トランジスタ(上から、メタル層、強誘電体層、メタル層、絶縁層、シリコン層をこの順に積層した構造を有するトランジスタ)である。
【0072】
図3Aに、トランジスタNTの構造を示す。半導体基板であるp型のシリコン基板20に、n型(第1導電型)半導体で構成されたソース領域22およびドレイン領域24が形成されている。p型(第2導電型)半導体で構成されたチャネル形成領域26の上には、酸化シリコン(SiO2)による絶縁層28が設けられている。絶縁層28の上にはPoly-Si,IrO2,Irをこの順に積層した下部導電体層(第1の導電体層)30が設けられている。
【0073】
その上にはPZT等により構成された強誘電体層32が設けられている。強誘電体層32は、後述するように、トランジスタNTの継断状態に対応した分極状態を保持する。
【0074】
さらにその上にはIrO2,Irをこの順に積層した上部導電体層(第2の導電体層)34が設けられている。
【0075】
なお、絶縁層28としては上記の他に、窒化シリコン(SiN)等を用いることもできる。また、下部導電体層30、上部導電体層34としては上記の他に、RuOx,ITO等の酸化物導電体や、Pt,Pb,Au,Ag,Al,Ni等の金属を用いることができる。
【0076】
図3AのトランジスタNTを記号で表すと、図3Bのようになる。上部導電体層34にはコントロールゲート電極CGが接続されている。下部導電体層30には電極が接続されておらずフローティング状態となっている。ソース領域22にはソース電極Sが接続され、ドレイン領域24にはドレイン電極Dが接続されている。
【0077】
コントロールゲート電極CG(インバータ回路INV2の入力側)は、図1に示すインバータ回路INV1の出力側に接続され、ドレイン電極D(インバータ回路INV2の出力側)は、トランスミッションゲートGT2に接続され、ソース電極Sは接地されている。
【0078】
トランジスタNTとトランジスタPTとは、一方が「Nチャネル型」のMOSFETであり、他方が「Pチャネル型」のMOSFETである点を除き、同様の構成である。すなわち、トランジスタPTも、MFMIS構造の強誘電体トランジスタである。
【0079】
組合せ論理ブロックCBからの演算結果OUTは、トランスミッションゲートGT1を介して入力され、インバータ回路INV1で反転された後、インバータ回路INV2で再反転され(すなわち、元に戻され)、ふたたび、インバータ回路INV1に入力される。つまり、インバータ回路INV2を有する帰還回路を用いて、データ保持の安定化を図っている。なお、インバータ回路INV1の出力は、ラッチブロックLTの出力Qとなる。
【0080】
図1のラッチブロックLTの動作は、図27に示す従来のラッチブロックLTの動作と類似しているが、後述するように、電源が遮断されてもデータを保持している点で、従来のラッチブロックLTと異なる。なお、この実施形態においては、クロックパルスCpの立ち上がりのタイミングで演算結果OUTをラッチするようにしている。
【0081】
図2に示すタイミングチャートを用いて、ラッチブロックLTの動作を説明する。クロックパルスCpが”L”から”H”になると(図2、(a)参照)、トランスミッションゲートGT1がOFF(断状態)になるとともに、トランスミッションゲートGT2がON(継状態)になる。したがって、クロックパルスCpの立ち上がり時の演算結果OUTに対応するデータ(出力Qは、演算結果OUTを反転した値になっている)がラッチブロックLTにラッチされるとともに、出力Qとして出力される。クロックパルスCpが”H”の間、ラッチした当該演算結果OUTに対応するデータが出力される。
【0082】
つぎに、クロックパルスCpが”H”から”L”になると(図2、(b)参照)、トランスミッションゲートGT1がON(継状態)になるとともに、トランスミッションゲートGT2がOFF(断状態)になる。したがって、出力Qには、現在の演算結果OUTに対応するデータ(出力Qは、演算結果OUTを反転した値になっている)が、そのまま出力される。
【0083】
つぎに、クロックパルスCpが”L”から”H”になると(図2、(c)参照)、再び、トランスミッションゲートGT1がOFF(断状態)になるとともに、トランスミッションゲートGT2がON(継状態)になる。したがって、クロックパルスCpの立ち上がり時の演算結果OUTに対応するデータ(出力Qは、演算結果OUTを反転した値になっている)がラッチブロックLTにラッチされるとともに、出力Qとして出力される。
【0084】
このように、ラッチブロックLTにおいては、クロックパルスCpの立ち上がりのタイミングで演算結果OUTをラッチし、クロックパルスCpが”H”の間、ラッチした当該演算結果OUTに対応するデータを出力することができる。したがって、クロックパルスCpが”H”の間の出力Qを用いるようにすれば、組合せ論理ブロックCBからの演算結果OUTにノイズが含まれているような場合であっても、ノイズを除去して、安定した出力を得ることができる。
【0085】
上述のように、図1に示す論理処理回路50を構成するラッチブロックLTは、図26に示す従来の論理処理回路2を構成するラッチブロックLTと異なり、電源が遮断されてもデータを保持している。データの保持および再生の動作について説明する。
【0086】
上述のように、クロックパルスCpの立ち上がり時、すなわち、クロックパルスCpが”L”から”H”になる直前の演算結果OUTに対応するデータがラッチブロックLTにラッチされる。説明の便宜のため、当該対応するデータが”H”(演算結果OUT自体は”L”)であるとする。
【0087】
クロックパルスCpの立ち上がり時におけるインバータ回路INV2の状態を、図4に示す。図4に示すように、インバータ回路INV2のトランジスタNTのソース電極Sには”L”電位が与えられており、トランジスタPTのソース電極Sには”H”電位が与えられている。
【0088】
トランジスタNT,PTのコントロールゲート電極CGは、ともに”H”電位になっている。コントロールゲート電極CGが”H”電位になると、トランジスタNTは”ON”となるとともにトランジスタPTは”OFF”となるように、トランジスタNT,PTそれぞれのしきい値Vthが設定されている。したがって、この場合、トランジスタNT,PTのドレイン電極Dは、ともに”L”電位になっている。
【0089】
このような状態において、トランジスタNT,PTの強誘電体層32には、後述するように、所定の分極状態が生じている。すなわち、データ”H”は、トランジスタNT,PTの強誘電体層32生ずる所定の分極状態として、ラッチブロックLTに書込まれる。
【0090】
このあと、クロックパルスCpが立ち上がって”H”になると、トランスミッションゲートGT1がOFFとなるが、インバータ回路INV1およびインバータ回路INV2による自己ラッチ機能により、トランジスタNTのON状態、およびトランジスタPTのOFF状態は保持される。すなわち、データ”H”がラッチブロックLTにラッチされた状態になる。
【0091】
データ”H”の書込みからラッチ状態にいたる間の、トランジスタNT、PTの状態について説明する。まず、トランジスタNTの状態について説明する。
【0092】
図3A,Bに示すように、トランジスタNTは、上部導電体層34と下部導電体層30との間に形成されたコンデンサである強誘電体容量Cferroと、下部導電体層30とチャネル領域26との間に形成されたコンデンサであるMOS容量CMOSとを、直列に接続したものと考えることができる。強誘電体容量CferroとMOS容量CMOSとを合成したコンデンサをGATE容量CGATEと呼ぶ。
【0093】
図5に、データ”H”を書込む場合におけるトランジスタNTの強誘電体容量CferroおよびMOS容量CMOSの電圧・電荷特性の一例を示す。
【0094】
上述のように、トランジスタNTがONになっているので(図4参照)、チャネル領域26(図3A参照)の電位は、ほぼ接地電位になっている。また、トランジスタNTのコントロールゲート電極CGに”H(VDD)”電位が与えられている。したがって、GATE容量CGATEには、チャネル領域26を基準として+VDDの電圧が印加される。
【0095】
このため、図5に示すように、強誘電体容量Cferroの状態は、P4になる。同様に、MOS容量CMOSの状態は、S4になる。なお、S4点で示される状態の電荷は、P4点で示される状態の電荷と同じ値である。このときMOS容量CMOSに発生する電圧、すなわち、下部導電体層30(フローティングゲート)に発生する電圧は、V2となっている。
【0096】
つぎに、トランジスタPTの状態について説明する。図6に、データ”H”を書込む場合におけるトランジスタPTの強誘電体容量CferroおよびMOS容量CMOSの電圧・電荷特性を示す。なお、図6においては、トランジスタNTとの対比が容易になるように、電圧軸(横軸)の極性を図5におけるそれと逆にしている。したがって、たとえば図6に示す電圧−V4は、実際には正電位となる。
【0097】
上述のように、図4に示すトランジスタPTがOFFになっているので、トランジスタPTのチャネル領域の電位は、ほぼ電源電位VDDの1/2になっている。また、トランジスタPTのコントロールゲート電極CGに”H(VDD)”電位が与えられている。したがって、GATE容量CGATEには、チャネル領域26を基準として、1/2・VDDの電圧が印加される。
【0098】
このため、図6に示すように、強誘電体容量Cferroの状態はP4になり、MOS容量CMOSの状態はS4になる。なお、S4点で示される状態の電荷は、P4点で示される状態の電荷と同じ値である。このときMOS容量CMOSに発生する電圧、すなわち、下部導電体層30(フローティングゲート)に発生する電圧は、−V4となっている。
【0099】
つぎに、ラッチブロックLTの電源(図示せず)を遮断し、その後、電源を再投入した場合の動作を説明する。まず、トランジスタNTの状態について説明する。
【0100】
ラッチブロックLTがデータ”H”を記憶した状態のまま電源を遮断すると、時間の経過に伴って、トランジスタNTの強誘電体容量CferroおよびMOS容量CMOSに現れる電圧・電荷は、それぞれ、図5のP4点およびS4点で示される状態から、P5点およびS5点で示される状態となる。強誘電体容量CferroとMOS容量CMOSとは直列に接続されているから、P5点およびS5点の電荷は等しくなる。また、P5点およびS5点の電圧の和は0Vとなっているはずである。したがって、P5点の電圧とS5点の電圧とは、絶対値が等しく極性が逆の関係になっている。
【0101】
ここで、ラッチブロックLTの電源を再投入すると、電源投入とともに、MOS容量CMOSに現れる電圧・電荷の状態は、S5点からS4点まで急変する。ここで、S4点で示される状態の電荷は、P4点で示される状態の電荷と同じ値である。
【0102】
このときMOS容量CMOSに発生する電圧、すなわち、フローティングゲートに発生する電圧は、V2となっている。つまり、トランジスタNTは、電源遮断前と同じ、ON状態となるのである。
【0103】
図5に示すように、強誘電体容量Cferroの状態は、P5からP4に戻ることになる。同様に、MOS容量CMOSの状態は、S5からS4に戻ることになる。
【0104】
つぎに、トランジスタPTの状態について説明する。ラッチブロックLTがデータ”H”を記憶した状態のまま電源を遮断すると、トランジスタPTの強誘電体容量CferroおよびMOS容量CMOSに現れる電圧・電荷は、それぞれ、図6のP4点およびS4点で示される状態から、P5点およびS5点で示される状態となる。
【0105】
ここで、ラッチブロックLTの電源を再投入すると、電源投入とともに、MOS容量CMOSに現れる電圧・電荷の状態は、S5点からS4点まで急変する。ここで、S4点で示される状態の電荷は、P4点で示される状態の電荷と同じ値である。
【0106】
このときMOS容量CMOSに発生する電圧、すなわち、フローティングゲートに発生する電圧、は−V4となっている。つまり、トランジスタPTは、電源遮断前と同じ、OFF状態となるのである。
【0107】
図6に示すように、強誘電体容量Cferroの状態は、P5からP4に戻ることになる。同様に、MOS容量CMOSの状態は、S5からS4に戻ることになる。
【0108】
つまり、ラッチブロックLTの電源を遮断し、その後、電源を再投入した場合、ラッチブロックLTは、電源を遮断する前の状態、すなわち、データ”H”をラッチした状態に復帰することがわかる。
【0109】
ラッチブロックLTにデータ”H”がラッチされている場合を例に説明したが、ラッチブロックLTにデータ”L”がラッチされている場合の動作も、ほぼ同様である。すなわち、ラッチブロックLTは、ラッチデータの内容にかかわらず、電源を遮断しても当該データを記憶しており、電源の復帰とともに、当該データを再生することができる。
【0110】
このように、このラッチブロックLTにおいては、強誘電体トランジスタにより構成されたインバータ回路INV2を備えている。したがって、組合せ論理ブロックCBからの演算結果OUTを、当該演算結果OUTに対応した分極状態の形でインバータ回路INV2が保持している。このため、電源が遮断されても、インバータ回路INV2によってデータが保持されていることになる。
【0111】
この結果、電源が回復したときに、保持されている当該データを用いて、組合せ論理ブロックCBからの演算結果OUTを、電源が遮断される前の値に、確実かつ速やかに復帰させることが可能となる。すなわち、不揮発性のラッチ回路を実現することができる。
【0112】
また、強誘電体の分極反転に要する時間は短いので、データの書込みに際し、インバータ回路INV2が演算結果OUTに対応した分極状態に至るまでの時間は短い。したがって、高速応答が可能となる。
【0113】
さらに、強誘電体の場合、データの書込み、消去時に高電圧を要することはない。したがって、チップ内に昇圧回路を設けたり、通常電源の他に高圧電源を別途用意したりする必要がない。このため、チップサイズの増大や製造コストの上昇を抑制することができる。
【0114】
なお、この実施形態においては、強誘電体記憶部として、一対のトランジスタを強誘電体トランジスタNT,PTとしたインバータ回路INV2を用いている。したがって、演算結果OUTに対応した分極状態の形で強誘電体トランジスタNT,PTが保持している。このため、電源が遮断されたあと回復したときに、保持されている当該信号を用いて、ラッチブロックLTの状態を、電源が遮断される前の状態に、より確実に復帰させることが可能となる。
【0115】
ただし、インバータ回路INV2を構成するトランジスタNT,PTのうち、いずれか一方のみを強誘電体トランジスタとすることができる。このようにすれば、処理速度がいっそう速くなる。
【0116】
また、上述の実施形態においては、ラッチブロックLTに含まれるインバータ回路INV1およびインバータ回路INV2のうち、帰還信号路に挿入されたインバータ回路INV2にのみ、強誘電体トランジスタを用いるよう構成したが、逆に、主信号路に挿入されたインバータ回路INV1にのみ、強誘電体トランジスタを用いるよう構成することも可能である。
【0117】
また、図7に示すこの発明の他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路52のように、ラッチブロックLTに含まれるインバータ回路INV1およびインバータ回路INV2の双方に強誘電体トランジスタを用いるよう構成することもできる。
【0118】
上述の各実施形態においては、強誘電体トランジスタとして、いわゆるMFMIS構造の強誘電体トランジスタを例に説明したが、強誘電体トランジスタはこれに限定されるものではない。強誘電体トランジスタとして、たとえば、図13Aに示すようなトランジスタNTを用いることもできる。
【0119】
図13Aに示すトランジスタNTは、nチャンネルMOSFETである。半導体基板であるp型のシリコン基板20に、n型半導体で構成されたソース領域22とドレイン領域24が形成されている。p型半導体で構成されたチャネル領域26の上には、PZT等の強誘電体材料で構成した強誘電体層32が設けられている。強誘電体層32の上には、導電体層40が設けられている。
【0120】
この構造のタイプのトランジスタを、MFS構造のトランジスタ(上から、メタル層、強誘電体層、シリコン層をこの順に積層した構造を有するトランジスタ)という。なお、強誘電体層とシリコン層(半導体基板)との間に絶縁物質を介在させたMFIS構造のトランジスタを用いることもできる。
【0121】
図13AのトランジスタNTを記号で表すと、図13Bのようになる。導電体層40にはゲート電極Gが接続されている。ソース領域22にはソース電極Sが接続され、ドレイン領域24にはドレイン電極Dが接続されている。
【0122】
このトランジスタNTは、通常のMOSFETの絶縁層を、シリコン酸化物ではなくPZT等の強誘電体材料で構成したトランジスタである。したがって、従来のSRAM等に用いる記憶用トランジスタの材料を一部変更するだけで、容易に不揮発性のラッチ回路を得ることができる。なお、pチャンネルMOSFETトランジスタPTについても、図13Aに示すトランジスタNTと同様の構成のものを用いることができる。
【0123】
また、強誘電体記憶部は、強誘電体トランジスタに限定されるものではない。たとえば、強誘電体コンデンサを用いることもできる。この場合、たとえば、図3に示す強誘電体トランジスタNTの代わりに、通常のMOSFETのゲート電極に強誘電体コンデンサを直列に接続したものを用いればよい。
【0124】
このように構成すれば、従来のラッチ回路に用いる通常のMOSFETをそのまま用いるとともに、新たに強誘電体コンデンサを追加するだけで、容易に不揮発性のラッチ回路を得ることができる。
【0125】
また、上述の各実施形態においては、ゲートとしてトランスミッションゲートを用いたが、ゲートはこれに限定されるものではない。ゲートとして、たとえば、トランジスタやクロックドCMOSインバータ等を用いることもできる。
【0126】
なお、上述の各実施形態においては、説明の便宜のため、信号保持回路としてラッチブロックを一つ用いた論理処理回路について説明したが、半導体装置等に実際に用いる回路としては、信号保持回路として、ラッチブロックを2つ直列に接続したフリップフロップ回路を用いることが多い。
【0127】
図23は、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路112を示す回路図である。論理処理回路112においては、信号保持回路として、ラッチブロックを2つ直列に接続したフリップフロップ回路FFが用いられている。
【0128】
図24は、図23に示すフリップフロップ回路FFの動作を示すタイミングチャートである。フリップフロップ回路FFは、ラッチブロックLT1(マスターラッチ回路)とラッチブロックLT2(スレーブラッチ回路)とを直列に接続して構成されている。なお、図24のPAは、ラッチブロックLT1の出力信号、すなわち、図23のPA点の信号を表す。
【0129】
クロックパルスCpが”H”から”L”になると(図24、(a)参照)、ラッチブロックLT1がラッチ状態となるとともにラッチブロックLT2がアンラッチ状態となる。したがって、クロックパルスCpの立ち下がり時のデータ(組合せ論理ブロックCBの演算結果OUT)Dn(現在のデータ)に対応するデータ(PA点の信号は、データDnを反転した値になっている)がラッチブロックLT1にラッチされるとともに、出力Qには、当該データDnが出力される。
【0130】
つぎに、クロックパルスCpが”L”から”H”になると(図24、(b)参照)、ラッチブロックLT1がアンラッチ状態となるとともにラッチブロックLT2がラッチ状態となる。したがって、データDnがラッチブロックLT2にラッチされるとともに、出力Qには、やはり当該データDnが出力される。
【0131】
つぎに、クロックパルスCpが”H”から”L”になると(図24、(c)参照)、再び、ラッチブロックLT1がラッチ状態となるとともにラッチブロックLT2がアンラッチ状態となる。したがって、クロックパルスCpの立ち下がり時のデータDn+1(つぎのデータ)に対応するデータ(PA点の信号は、データDnを反転した値になっている)がラッチブロックLT1にラッチされるとともに、出力Qには、当該データDn+1が出力される。
【0132】
このように、フリップフロップ回路FFを用いると、クロックパルスCpの立ち下がりのタイミングでデータをラッチし、クロックパルスCpの1サイクルに相当する時間の間、ラッチした当該データを出力することができる。このため、データ(組合せ論理ブロックCBからの演算結果OUT)にノイズが含まれているような場合であっても、ノイズを除去して、さらに安定した出力を得ることができる。
【0133】
したがって、このようなフリップフロップ回路FFと、論理ゲートなどにより構成された組合せ論理ブロックCBとを多数組合せて用いることで、より信頼性の高いシーケンス処理などを行なうことができるのである。
【0134】
なお、図23のフリップフロップ回路FFにおいては、ラッチブロックLT1を構成するインバータ回路INV2の一つのトランジスタ(NチャネルMOSFET)を強誘電体トランジスタとしたが、フリップフロップ回路FFを構成するいずれのラッチブロックのいずれのインバータ回路のいずれのトランジスタを強誘電体トランジスタとしてもよい。また、これら複数のトランジスタのうち2以上のトランジスタを強誘電体トランジスタとすることもできる。
【0135】
なお、上述の各バリエーションは、以下に述べる種々の他の実施形態においても、同様に適用することができる。
【0136】
つぎに、図8に、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路54の回路図を示す。図8の論理処理回路54は、ラッチブロックLTに与える電力を、継断または調整する電源制御部55を設けた点を除き、図1の論理処理回路50と同様である。
【0137】
電源制御部55は、PチャネルMOSFETおよびNチャネルMOSFETを備えており、電源制御信号SCに基づいて、ラッチブロックLTへの電源の供給を制御する。
【0138】
このように、電源制御部55を設けることにより、たとえば、動作していないラッチブロックLTに与える電力を電源制御部55により遮断することで、電力消費を抑えることができる。この場合、ラッチブロックLTに与える電力を遮断したとしても、インバータ回路INV2を構成する強誘電体トランジスタの分極状態は維持され、動作の再開にともなって電力供給を再開すると、当該分極状態に対応した信号をライン104に与えることができる。
【0139】
つぎに、図9に、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路56の回路図を示す。図9の論理処理回路56は、ライン108と当該ライン108に挿入されたインバータ回路INV2とを継断する記憶部ゲートであるトランスミッションゲートGT3を設け、当該トランスミッションゲートGT3を、電源電圧の変動に対応して動作させるようにした点を除き、図8の論理処理回路54と同様である。
【0140】
低電圧検出部84により電源電圧の低下が検出されると、トランスミッションゲートGT3がOFFとなるよう設定されている。このようにすれば、電源電圧の低下に起因して不用意にインバータ回路INV2を構成する強誘電体トランジスタの分極状態が変化してしまうことを防止することができる。
【0141】
この実施形態においては、低電圧検出部84により電源電圧の低下が検出されるとトランスミッションゲートGT3のみをOFFとするようにしたが、他のトランスミッションゲート、たとえばトランスミッションゲートGT2も、同時にOFFとするようにすることもできる。
【0142】
また、この実施形態においては、トランスミッションゲートGT3は、通常のクロックパルスCpによっても動作するよう構成してあり、トランスミッションゲートGT2と同じタイミングでON/OFFするようにしている。したがって、トランスミッションゲートGT3は、記憶部ゲートであると同時に帰還ゲートでもある。
【0143】
つぎに、図10に、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路58の回路図を示す。図10の論理処理回路58は、図7に示す論理処理回路52と異なり、トランスミッションゲートGT1およびトランスミッションゲートGT2を備えておらず、さらに、組合せ論理ブロックを2つ備えている。
【0144】
組合せ論理ブロックCB1および組合せ論理ブロックCB2は、入力データIN(たとえば、A,B,C,Dの4入力)に対して、それぞれ所定の論理演算等を施し、演算結果OUT1および演算結果OUT2を出力する。
【0145】
組合せ論理ブロックCB1の演算結果OUT1は、ライン104を介してインバータ回路INV1の入力側に入力され、インバータ回路INV1の出力が、ラッチブロックLTの出力Qとなる。組合せ論理ブロックCB2の演算結果OUT2は、ライン105を介してインバータ回路INV2の入力側に入力される。
【0146】
なお、演算結果OUT1と演算結果OUT2との関係は、特に限定されるものではないが、たとえば、演算結果OUT1と演算結果OUT2とが、相補的関係となるように組合せ論理ブロックCB1および組合せ論理ブロックCB2を設定することができる。
【0147】
上述のように、この論理処理回路58は、図7に示す論理処理回路52と異なり、トランスミッションゲートGT1およびトランスミッションゲートGT2を備えていないが、そのかわり、組合せ論理ブロックCB1、組合せ論理ブロックCB2に、トランスミッションゲートと同様の機能をも持たせている。なお、その他の構成は、図7に示す論理処理回路52と同様である。
【0148】
この論理処理回路58の場合も上述の各実施形態の場合と同様に、インバータ回路INV1およびインバータ回路INV2を構成する合計4つのトランジスタのうち、少なくとも一つが強誘電体トランジスタであればよい。インバータ回路INV1およびインバータ回路INV2に用いる強誘電体トランジスタの数が少ないほど、動作速度を上げることができる。
【0149】
つぎに、図11に、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路60の回路図を示す。図11の論理処理回路60を構成するラッチブロックLTは、バスライン上のデータをラッチするためのものである。
【0150】
信号路であるバスラインBUS1の一部に、主信号路であるライン106と帰還信号路であるライン108を備えた環状信号路が形成されている。
【0151】
ライン106にインバータ回路INV1を挿入し、当該インバータ回路の入力側と所定の基準電位である電源電位Vddとを、制御入力端子であるコントロールゲート電極CGを備えたスイッチング回路であるトランジスタPTを介して結合するようにしている。
【0152】
また、当該インバータ回路INV1の出力側と上記コントロールゲート電極CGとを、帰還信号路を構成するライン108により結合するようにしている。この実施形態においては、インバータ回路INV1を通常のMOSFETを用いたCMOSインバータ回路とするとともに、トランジスタPTを、強誘電体トランジスタとしている。したがって、トランジスタPTが強誘電体部に該当する。
【0153】
バスラインBUS1は、所定タイミングで生成されるプリチャージ信号PCにより、”H”(電源電位Vdd)にプリチャージされ、その後、トランジスタPTにより、”H”状態が維持される。
【0154】
論理処理回路60は、多数の組合せ論理ブロックCB1、CB2・・・を備えており、各組合せ論理ブロックCB1、CB2・・・からの演算結果OUT1,OUT2・・・に応じて、バスラインBUS1が”L”状態(接地電位Vss)になるよう、構成されている。このようにして、適当なタイミングで、各組合せ論理ブロックCB1、CB2・・・からの演算結果OUT1,OUT2・・・を、バスラインBUS1に出力することができる。
【0155】
上述のように、論理処理回路60においては、トランジスタPTを強誘電体トランジスタとしている。したがって、バスラインBUS1の状態、すなわち、バスラインBUS1上の信号は、当該信号に対応した分極状態の形でトランジスタPTに記憶されることになる。このため、電源が遮断されてもバスラインBUS1上の信号等を保持することができ、電源の復旧とともに、当該信号がバスライン上に再現される。
【0156】
この実施形態においては、ラッチブロックLTに含まれるインバータ回路INV1を通常のMOSFETを用いて構成することで、信号の伝送速度を上げるようにしたが、図12に示すこの発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路62のように、インバータ回路INV1を、強誘電体トランジスタを用いて構成することもできる。
【0157】
図12に示す論理処理回路62における他の構成は、図11に示す論理処理回路60と同様である。なお、図12に示す論理処理回路62において、トランジスタPTを、強誘電体トランジスタではなく通常のPチャネルMOSFETとしてもよい。
【0158】
つぎに、図14に、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路64の回路図を示す。論理処理回路64は、上述の各実施形態と同様に、組合せ回路である組合せ論理ブロックCBと、信号保持回路であるラッチブロックLTとを備えている。
【0159】
組合せ論理ブロックCBは、NAND回路やOR回路等により構成されており、入力データIN(たとえば、A,B,C,Dの4入力)に対して所定の論理演算等を施し、演算結果OUT(およびその反転出力)を出力する。
【0160】
ラッチブロックLTは、演算結果OUTを伝送する信号路を構成するライン104を備えている。所定のゲート制御信号であるクロックパルスCpに基づいて継断動作を行なう入力側ゲートであるトランジスタTR1と、当該クロックパルスCpに基づいてトランジスタTR1と逆の継断動作を行なう出力側ゲートであるトランジスタTR2とを、ライン104に直列に挿入している。
【0161】
強誘電体記憶部である強誘電体コンデンサC1の一端を、トランジスタTR1とトランジスタTR2との間においてライン104に結合するとともに、当該強誘電体コンデンサC1の他端に、クロックパルスCpに同期した電圧をプレートラインPLにより印加するようにしている。
【0162】
トランジスタTR2を介して、ライン104とバスラインBUS1とを結合するようにしている。したがって、演算結果OUTは、トランジスタTR1、トランジスタTR2を経て、バスラインBUS1に伝送される。
【0163】
強誘電体コンデンサC1は、2つの電極間にPZT等により構成された強誘電体層を挟み込むように形成したものである。強誘電体コンデンサC1は、後述するように、演算結果OUTに対応した分極状態を保持する。
【0164】
演算結果OUTの反転出力を伝送する信号路も、演算結果OUTを伝送する信号路と同様に構成されている。したがって、演算結果OUTの反転出力を伝送する信号路を構成するライン105は、トランジスタTR4を介して、バスラインBUS2に結合されることになる。
【0165】
一対のバスラインBUS1、BUS2には、プリチャージ回路PCCおよびセンスアンプSAが接続されている。なお、一対のバスラインBUS1、BUS2と、接地電位との間には、それぞれ負荷容量C3,C4が存在するものとする。
【0166】
このように構成することで、一対のバスラインBUS1、BUS2に接続可能なラッチブロックLTを容易に実現することができる。また、電源が遮断されても演算結果OUT(およびその反転出力)を保持することができる。
【0167】
図15に示すタイミングチャートを用いて、論理処理回路64を構成するラッチブロックLTの動作を説明する。説明の便宜のため、ラッチブロックLTのうち、演算結果OUTを伝送する信号路に着目して説明する。
【0168】
クロックパルスCpが”H”のとき(図15、(a)参照)、トランジスタTR1はONになり、トランジスタTR2はOFFになっている。
【0169】
この状態で、クロックパルスCpに同期した所定の電圧がプレートラインPLに印加される(図15、(b)参照)。これにより、強誘電体コンデンサC1の分極状態は、演算結果OUT(図15の例では”H”、図15、(c)参照)に対応した状態となる(図15、(d)参照)。一方、クロックパルスCpに同期して、プリチャージ回路PCCがONになる(図15、(e)参照)。これにより、負荷容量C3が接地電位にプリチャージされる。
【0170】
つぎに、クロックパルスCpが”L”になると(図15、(f)参照)、トランジスタTR1はOFFになり、トランジスタTR2はONになる。
【0171】
この状態で、クロックパルスCpに同期した所定の電圧が、再びプレートラインPLに印加される(図15、(g)参照)。これにより、強誘電体コンデンサC1の分極状態に対応した電圧が、バスラインBUS1に現れる(図15、(h)参照)。
【0172】
その後、クロックパルスCpに同期して、センスアンプSAがONになる(図15、(i)参照)。センスアンプSAは、上述の強誘電体コンデンサC1の分極状態に対応した電圧(図15、(h)参照)と、強誘電体コンデンサC2の分極状態に対応した電圧(図示せず)とを比較し、バスラインBUS1の電位を、所定の論理レベル(この場合は”H”)に引上げる(図15、(j)参照)(または、”L”に引下げる)。バスラインBUS1の電位が、所定の論理レベルになった状態で、クロックパルスCpに同期して、出力Qが検出される(図15、(k)参照)。
【0173】
このようにして、演算結果OUTがラッチされ、所定タイミングで出力される。演算結果OUTの反転出力も、演算結果OUTと同様に処理される。
【0174】
上述のように、このラッチブロックLTは、電源が遮断されてもデータを保持している。したがって、電源が復帰したときには、上述の読み出し時の動作と同様の動作で、保持されたデータを、ラッチブロックLTに読み出すことができる。
【0175】
データの書き込み動作および読み出し動作を、強誘電体コンデンサC1の分極状態に着目して説明する。なお、説明の便宜のため、ラッチブロックLTのうち、演算結果OUTを伝送する信号路について説明する。
【0176】
図16に、ラッチブロックLTのうち演算結果OUTを伝送する信号路に対応する部分の強誘電体コンデンサC1および負荷容量C3近傍の回路図を示す。図17に、強誘電体コンデンサC1に関する電圧(図16に示すプレートラインPLを基準電位とした場合のライン104の電位)と分極状態(図においては、”分極状態”と等価な”電荷”で表わしている)との関係を表わす履歴曲線(電圧・電荷特性)を示す。
【0177】
図17において、残留分極Z1を生じている状態を分極状態P1とし、残留分極Z2を生じている状態を分極状態P2とする。
【0178】
上述のように、書き込み時(クロックパルスCpが”H”のとき(図15、(a)参照)、トランジスタTR1はONになり、トランジスタTR2はOFFになっている。書き込み時において、クロックパルスCpに同期した所定の電圧がプレートラインPLに印加される(図15、(b)参照)が、図15の例では、プレートラインに印加された電圧が立ち下がった時に、強誘電体コンデンサC1に、データが書き込まれる。図16は、このときの強誘電体コンデンサC1および負荷容量C3近傍の信号の状態を示している。
【0179】
このとき、図16に示すように、強誘電体コンデンサC1の一端(ライン104)には、演算結果OUT(この例では、データ”H”)により”H”電位が与えられており、強誘電体コンデンサC1の他端(プレートラインPL)には”L”電位が与えられている。
【0180】
これにより、負荷容量C3とともに強誘電体コンデンサC1が充電される。このとき、強誘電体コンデンサC1は、図17に示す分極状態P3を呈する。
【0181】
つぎに、読み出し時(クロックパルスCpが”L”のとき(図15、(f)参照)においては、トランジスタTR1はOFFになり、トランジスタTR2はONになる。これにより、強誘電体コンデンサC1の分極状態は、P3からP1に移行し始める。
【0182】
読み出し時において、クロックパルスCpに同期した所定の電圧がプレートラインPLに印加されると(図15、(g)参照)、ライン104およびこれにつながったバスラインBUS1には、強誘電体コンデンサC1の分極状態に対応した電圧(図15、(h)参照)V1が生ずる。
【0183】
このときの強誘電体コンデンサC1の分極状態は、図17のP6点で表わされる。この電圧V1と、もう一方の強誘電体コンデンサC2の一端に結合されたライン105およびこれにつながったバスラインBUS2の電圧との差に基づいて、上述のように、バスラインBUS1の電位を、所定の論理レベル(この場合は”H”)に引上げる(図15、(j)参照)のである。この状態において、上述のように、出力Qを読取るようにしている。
【0184】
つぎに、図18に、この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路66の回路図を示す。図18の論理処理回路66は、トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4を、電源電圧の変動に対応して動作させるようにした点を除き、図14の論理処理回路54と同様である。
【0185】
低電圧検出部84により電源電圧の低下が検出されると、トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4が、すべてOFFとなるよう設定されている。このようにすれば、電源電圧の低下に起因して不用意に強誘電体コンデンサC1,C2の分極状態が変化してしまうことを防止することができる。すなわち、この実施形態においては、トランジスタTR1,TR2,TR3,TR4は、記憶部ゲートでもある。
【0186】
つぎに、図19Aに、この発明の各実施形態による半導体装置に用いられる種々の論理処理回路を構成する組合せ論理ブロックCBの一例を表わす回路図を示す。図19Bは、当該組合せ論理ブロックCBを論理ゲートを用いて表現したものである。
【0187】
図19Aに示す回路は、省電力型の論理ブロックCBの一つであり、電源制御部110を備えている。電源制御部110は、NチャネルMOSFETを備えており、電源制御信号SCに基づいて、組合せ論理ブロックCBへの電源の供給を制御する。
【0188】
このように、電源制御部110を設けることにより、たとえば、動作していない組合せ論理ブロックCBに与える電力を電源制御部110により遮断することで、電力消費を抑えることができる。
【0189】
つぎに、図20に、この発明の各実施形態による半導体装置に用いられる種々の論理処理回路を構成する組合せ論理ブロックCBの他の一例を表わす回路図を示す。
【0190】
図20に示す回路は、省電力型の論理ブロックCBの一つであり、パスロジックと呼ばれる回路構成法を用いて構成された回路である。この回路構成法を用いれば、素子数をかなり低く抑えることができる。
【0191】
図21Aは、図20に示す回路に対応する真理値表である。図21Bは、当該真理値表を、論理ゲートを用いて表現したものである。図22は、図21Aに示す真理値表に対応する回路を、従来のCMOS構成法を用いて構成した場合の一例である。
【0192】
図22に示す従来のCMOS構成法を用いて構成した回路(22素子)に比し、図20に示す回路(10素子)は、素子数がかなり少なくなっていることがわかる。これは、従来のCMOS構成法においては、論理処理経路として、FETの2端子(ドレインおよびゲート)のみを用いているのに対し、パスロジックと呼ばれる回路構成法においては、論理処理経路として、FETの3端子(ソース、ドレインおよびゲート)を、フルに活用するからである。
【0193】
このように、論理ブロックCBを構成する素子数を低減することにより、消費電力を低減することができる。
【0194】
つぎに、図25に、この発明の各実施形態による半導体装置を用いたICカードの一例を表わすブロック図を示す。ICカードは、クレジットカードや流通過程等で用いられる識別用タグ等として用いられる。ICカードには、接触型のICカードと非接触型のICカードとがあるが、ここでは、非接触型のICカード70を例に説明する。
【0195】
ICカード70は、アンテナ部72、アナログ処理部74、ディジタル処理部76および、メモリ部78を備えている。ICカード70は、ホストコンピュータ100に接続されたID番号リーダ102を介し、電波を用いて、電力の供給およびデータの授受を行なうよう構成されている。
【0196】
アナログ部74は、整流部80、電源供給部82、低電圧検出部84、検波部86、波形整形部88および変調部90を備えている。ディジタル部76は、エンコーダ92、プロトコルコントローラ94、デコーダ96およびメモリインターフェース98を備えている。
【0197】
メモリ部78は、強誘電体トランジスタまたは強誘電体コンデンサを用いた強誘電体メモリ回路を用いて構成されている。このため、データ保持に電源が不要で、かつ、書き込み速度なども速く、高電圧を必要としないので、このような非接触のICカード70に用いるのに好適である。
【0198】
アンテナ部72に入力された電波は、整流部80で整流されたのち電源供給部82に送られ、ICカード70の電力となる。低電圧検出部84は、電源電圧の低下を検出する。低電圧検出部84の出力に基づいて、上述のように、たとえば、トランスミッションゲートGT3(図9参照)が継断される。
【0199】
アンテナ部72に入力された電波は、また、検波部86において検波されたのち、波形整形部88において、波形が整えられる。
【0200】
波形整形部88の出力は、プロトコルコントローラ94の指示に基づいてエンコーダ92で解読され、解読された情報に基づいて、必要であれば、メモリインターフェース98を介して、メモリ部78に記憶されたデータに対する書き込みや読み出しを行なう。
【0201】
デコーダ96は、プロトコルコントローラ94の指示に基づいて、メモリ部78から読み出したデータなどをデコードして変調部90に送る。変調部90は、このデータを変調したのち、アンテナ部72から、電波として出力する。
【0202】
ホストコンピュータ100は、ID番号リーダ102を介し、電波にのせられたデータを読取る。このようにして、ホストコンピュータ100と、ICカード70との間で、データの授受が行なわれる。
【0203】
上述の各実施形態による半導体装置は、たとえば、ICカード70のディジタル部76を構成するために用いられる。ディジタル部76が、マイクロプロセッサにより構成されている場合には、マイクロプロセッサのシーケンス論理処理回路として、上述の各実施形態による半導体装置を用いることができる。
【0204】
また、ディジタル部76が、ロジックLSIにより構成されている場合には、ロジックLSIのシーケンス論理処理回路として、上述の各実施形態による半導体装置を用いることができる。
【0205】
ロジックLSIとして、専用のLSIを用いることもできるが、汎用のゲートアレイを用いて構成することもできる。この場合、汎用のゲートアレイとして、FET等のトランジスタと、強誘電体により構成された素子、たとえば強誘電体トランジスタや強誘電体コンデンサ、を備えたゲートアレイを用いればよい。
【0206】
なお、この実施形態においては、半導体装置を用いたICカードとして、非接触型のICカードを例に説明したが、本発明の適用される半導体装置を用いたICカードは、これに限定されるものではない。たとえば、本発明は、接触型のICカードや、接触型・非接触型兼用のICカード等にも適用することができる。
【0207】
また、本発明にかかる半導体装置は、ICカードに適用されるものに限定されるものではない。FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DPGA(ダイナミックプログラマブルゲートアレイ)など種々のゲートアレイや、専用LSI、マイクロプロセッサなどコンピュータのハードウェア等、半導体装置一般に適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路50を示す回路図である。
【図2】論理処理回路50のラッチブロックLTの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】図3Aは、トランジスタNTの構造を示す断面図である。図3Bは、トランジスタNTを記号で表した図面である。
【図4】クロックパルスCpの立ち上がり時におけるインバータ回路INV2の状態を示す図面である。
【図5】データ”H”を書込む場合におけるトランジスタNTの強誘電体容量CferroおよびMOS容量CMOSの電圧・電荷特性の一例を示す図面である。
【図6】データ”H”を書込む場合におけるトランジスタPTの強誘電体容量CferroおよびMOS容量CMOSの電圧・電荷特性を示す図面である。
【図7】この発明の他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路52を示す回路図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路54を示す回路図である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路56を示す回路図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路58を示す回路図である。
【図11】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路60を示す回路図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路62を示す回路図である。
【図13】図13Aは、トランジスタNTの他の構造の例を示す図面である。図13Bは、図13AのトランジスタNTを記号で表した図面である。
【図14】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路64を示す回路図である。
【図15】論理処理回路64を構成するラッチブロックLTの動作を表わすタイミングチャートである。
【図16】強誘電体コンデンサC1および負荷容量C3近傍の回路図である。
【図17】強誘電体コンデンサC1に関する電圧と分極状態との関係を表わす履歴曲線である。
【図18】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路66を示す回路図である。
【図19】図19Aは、この発明の各実施形態による半導体装置に用いられる種々の論理処理回路を構成する組合せ論理ブロックCBの一例を表わす回路図である。図19Bは、当該組合せ論理ブロックCBを論理ゲートを用いて表現した図面である。
【図20】この発明の各実施形態による半導体装置に用いられる種々の論理処理回路を構成する組合せ論理ブロックCBの他の一例を表わす回路図である。
【図21】図21Aは、図20に示すパス論理回路に対応する真理値表である。図21Bは、当該真理値表を、CMOS論理ゲートを用いて表現した図面である。
【図22】図21Aに示す真理値表に対応する回路を、従来のCMOS構成法を用いて構成した場合の一例を示す図面である。
【図23】この発明のさらに他の実施形態による半導体装置に用いられる論理処理回路112を示す回路図である。
【図24】図23に示すフリップフロップ回路FFの動作を表わすタイミングチャートである。
【図25】この発明の各実施形態による半導体装置を用いたICカードの一例を表わすブロック図である。
【図26】従来の論理処理回路2を表わすブロック図である。
【図27】省電力型のラッチブロックLTを備えた従来の論理処理回路2の具体的回路の一例を示す図面である。
【符号の説明】
55・・・・・電源制御部
56・・・・・論理処理回路
104・・・・ライン
106・・・・ライン
108・・・・ライン
CB・・・・・組合せ論理ブロック
INV2・・・インバータ回路
LT・・・・・ラッチブロック
Claims (20)
- 信号を伝送する信号路と、
信号路の一部に設けた、主信号路と帰還信号路とを有する環状信号路と、
当該信号路に結合され、動作時に信号路に現れた信号に対応した分極状態を動作停止後も保持するとともに、保持した分極状態に基づいて動作復帰時に信号路に信号を復元する強誘電体記憶部と、
を備えた、信号を所定期間保持する信号保持回路であって、
前記強誘電体記憶部を、主信号路に設けないで、帰還信号路に設けるよう構成したこと、
を特徴とする信号保持回路。 - 信号を伝送する信号路と、
信号路の一部に設けた、主信号路と帰還信号路とを有する環状信号路と、
当該信号路に結合され、動作時に信号路に現れた信号に対応した分極状態を動作停止後も保持するとともに、保持した分極状態に基づいて動作復帰時に信号路に信号を復元する強誘電体記憶部と、
を備え、主信号路および帰還信号路のうち少なくとも一方に、前記強誘電体記憶部を結合した、信号を所定期間保持する信号保持回路であって、
主信号路を介して信号を伝送するときには帰還信号路を遮断し、帰還信号路を介して信号を帰還させるときには帰還信号路を接続する帰還ゲートを設けたこと、
を特徴とする信号保持回路。 - 請求項1または請求項2の信号保持回路において、
前記強誘電体記憶部として、強誘電体トランジスタを用いたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項3の信号保持回路において、
前記強誘電体トランジスタは、
A)半導体基板に形成された第1導電型のソース領域およびドレイン領域、
B)ソース領域とドレイン領域との間に配置された第2導電型のチャネル形成領域、
C)チャネル形成領域の上に配置された絶縁層、
D)前記絶縁層の上に配置された第1の導電体層、
E)前記第1の導電体層の上に形成された強誘電体層、
F)強誘電体層の上に形成された第2の導電体層、
を有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項3ないし請求項4のいずれかの信号保持回路において、
前記主信号路および帰還信号路に、インバータ回路をそれぞれ挿入し、
当該インバータ回路のうち少なくとも一方を、前記強誘電体トランジスタを用いた強誘電体記憶部としたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項2ないし請求項5のいずれかの信号保持回路において、
前記環状信号路より入力側において、前記信号路に、所定のゲート制御信号に基づいて継断動作を行なう入力側ゲートを設けたこと、を特徴とするもの。 - 請求項3ないし請求項4のいずれかの信号保持回路において、
前記主信号路にインバータ回路を挿入し、
当該インバータ回路の入力側と所定の基準電位とを、制御入力端子を備えたスイッチング回路を介して結合し、
当該インバータ回路の出力側と当該制御入力端子とを、前記帰還信号路により結合したこと、
を特徴とするもの。 - 請求項1または請求項2の信号保持回路において、
前記強誘電体記憶部として、強誘電体コンデンサを用いたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項8の信号保持回路において、
所定のゲート制御信号に基づいて継断動作を行なう入力側ゲートと、当該ゲート制御信号に基づいて入力側ゲートと逆の継断動作を行なう出力側ゲートとを、前記信号路に直列に挿入し、
前記強誘電体コンデンサの一端を、入力側ゲートと出力側ゲートとの間において前記信号路に結合するとともに、当該強誘電体コンデンサの他端に、前記ゲート制御信号に同期した電圧を印加するよう構成したこと、
を特徴とするもの。 - 信号を伝送する信号路と、
信号路の一部に設けた、主信号路と帰還信号路とを有する環状信号路と、
当該信号路に結合され、動作時に信号路に現れた信号に対応した分極状態を動作停止後も保持するとともに、保持した分極状態に基づいて動作復帰時に信号路に信号を復元する強誘電体記憶部と、
を備え、主信号路および帰還信号路のうち少なくとも一方に、前記強誘電体記憶部を結合した、信号を所定期間保持する信号保持回路であって、
前記信号路と強誘電体記憶部とを継断する記憶部ゲートを設けたこと、
を特徴とする信号保持回路。 - 請求項10の信号保持回路において、
前記記憶部ゲートは、電源電圧の変動に対応して、前記信号路と強誘電体記憶部とを継断すること、
を特徴とするもの。 - 請求項1ないし請求項11のいずれかの信号保持回路において、
当該信号保持回路に与える電力を、継断または調整する電源制御部を設けたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項1ないし請求項12のいずれかの信号保持回路において、
当該信号保持回路は、前記信号路を介して組合せ回路に接続されていること、
を特徴とするもの。 - 請求項13の信号保持回路において、
前記組合せ回路は、省電力型の回路であること、
を特徴とするもの。 - 請求項13ないし請求項14のいずれかの信号保持回路および当該保持回路に接続された前記組合せ回路を用いたこと、
を特徴とする半導体装置。 - 請求項15の半導体装置において、
さらに強誘電体メモリ回路を備えたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項15ないし請求項16のいずれかの半導体装置において、
当該半導体装置が、マイクロコンピュータであること、
を特徴とするもの。 - 請求項15ないし請求項16のいずれかの半導体装置において、
当該半導体装置が、ゲートアレイを用いて構成されたこと、
を特徴とするもの。 - 請求項18の半導体装置に用いるためのゲートアレイであって、
トランジスタと、
強誘電体により構成された素子と、
を備えたこと、
を特徴とするゲートアレイ。 - 請求項15ないし請求項18のいずれかの半導体装置を用いたこと、
を特徴とするICカード。
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