JP3642342B2 - 湿式二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は湿式二次電池に関するものであり、特に、高寿命化を得ることのできる湿式二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動式車両の駆動モータのエネルギ源、又は内燃機関を搭載した車両の内燃機関始動用、若しくは灯火用等の電源として、化学的作用により再充電を行い、繰り返して電源として利用することのできる湿式二次電池が用いられている。
【0003】
このような湿式二次電池には、例えば陽極としてニッケル(Ni)を用い、陰極として亜鉛(Zn)を用いたニッケル−亜鉛電池がある。この電池の通常の反応を化1に示す。
【0004】
【化1】
Figure 0003642342
また、充電末期においては、化2のような反応となる。
【0005】
【化2】
Figure 0003642342
この充電末期にニッケル極より発生する酸素ガスは、極間電位の上昇に伴うものであり、このようにニッケル極に流れる電気量が酸素ガス発生に費やされた分だけ、充電電気量が減少する。一方、ニッケル極で発生した酸素ガスを亜鉛極が吸収しない場合には、亜鉛極は充電電気量が流れた分だけ、充電を受け入れるためにニッケル極より過充電となる。これにより亜鉛極活物質が消費され、当該湿式二次電池が短寿命となる。
【0006】
このような不具合を解消するためには、当該湿式二次電池を密閉式として、ニッケル極で発生した酸素ガスを亜鉛極で吸収させれば良い。このような構成により、過充電によってできた充電活物質が放電活物質に変更され、そして、ニッケル、亜鉛両極での充電量が同一値にバランスし、これにより高寿命化を図ることができる。
【0007】
しかし、このような構成でも、亜鉛極で発生する析出物が成長してニッケル極にまで達すると、セル内短絡を生じ、当該湿式二次電池がその機能を果たすことができなくなる。
【0008】
したがって、このようなセル内短絡を防止するために、イオンは透過しながらも亜鉛析出物質の透過は防ぐような物理的強度を有し、かつガス透過性には乏しい、親水性イオン透過膜により形成されたセパレータを、ニッケル極及び亜鉛極間に配置している。このような湿式二次電池は、例えばPCTに基づく国際公開WO84/00642号に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、セパレータはガス透過性に乏しいので、酸素ガスの吸収反応は、亜鉛極の、ケース内で露出している外周部分でのみ行われることになる。これにより亜鉛極の反応分布の偏りを起こし、放電活物質及び充電活物質が亜鉛極板上で偏在することになって、対向するニッケル極に対して実質的に放電面積が減少することになり、これにより放電容量が減少し、寿命が低下する。
なお、このような問題点を解決するために、特開昭58−163142号公報では、イオンは透過しながらも亜鉛析出物質の透過は防ぐ親水性イオン透過膜と、ガス透過性を有するポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系の多孔膜とを組み合わせてセパレータを構成する技術が開示されている。しかしながら、このようなセパレータ構造では、セパレータ材を2種類用意しなければならず、またセパレータの厚みが増して電池の小型化が妨げられるという問題が新たに発生する。
【0010】
また、極板(例えば陽極)を、電解液を含浸させた保液紙で巻回することにより、両極板に対して電解液を供給するタイプの湿式二次電池においては、充放電を繰り返すことにより、電解液が保液紙から漏出し、該保液紙とセルケースの間に移動することがある。この電解液の移動により、電極の表面に部分的に電解液の枯れが生じることがあり、これによっても寿命が低下する。
【0011】
本発明は、前述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、放電容量の減少や電解液の枯れ等を防止し、これにより高寿命を得ることのできる湿式二次電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の問題点を解決するために、本発明は、親水性イオン透過膜により形成されたセパレータの複数箇所に、撥水性ガス透過膜を配置するようにした点に特徴がある。
【0014】
【作用】
親水性イオン透過膜により形成されたセパレータの複数箇所に撥水性ガス透過膜を配置することにより、陽極で発生される酸素ガスがセパレータ自身をほぼ均一に通過して陰極に達し、陰極での酸素ガス吸着反応が平準化する。
【0016】
【実施例】
以下に図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図3は本発明の一実施例の一部破断斜視図である。同図において、セルケース42内には、複数の亜鉛極(陰極)105及びニッケル極(陽極)106が交互に配置されている。同図では、亜鉛極105及びニッケル極106は、それぞれ3枚及び2枚示されているが、それ以上の枚数であっても良い。
【0017】
ニッケル極106には、電解液を含浸させた保液紙107が2層以上となるように巻回されていて、最外層の保液紙107の内側にはセパレータ101が巻回されている。前記セパレータ101、及び必要に応じて保液紙107は、それぞれニッケル極106の集電極106Aのみが露出するように、その上下部分が溶着等により固着されている。なお、前記上下部分の溶着は省略されても良い。
【0018】
符号112はセルケース42を密封するセルカバー、53は該セルカバー112に設けられ、セルケース42内で発生したガスを排出する圧力排気弁である。また符号105Aは亜鉛極105の集電極である。
【0019】
図1はセパレータ101の平面図、図2はセパレータ101の要部拡大断面図である。各々の図において、セパレータ101は、親水性イオン透過膜102と、該親水性イオン透過膜102に部分的に形成された複数の開口部102Aお塞ぐように固着された撥水性(疎水性)ガス透過膜103とより構成されている。
【0020】
親水性イオン透過膜102は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を発泡又は機械的な引き伸しによりスポンジ状に形成された耐アルカリ性を有する微孔性ポリオレフィン系の多孔膜であり、界面活性材が塗付又は充填されている。撥水性ガス透過膜103もスポンジ状の耐アルカリ性を有する多孔膜であるが、界面活性材は用いられていない。
【0021】
前記親水性イオン透過膜102には小径(例えば6[mm]程度)の開口部102Aが形成されていて、該開口部102Aに撥水性ガス透過膜103が、例えば熱溶着により固着されている。符号104は溶着部である。
【0022】
このように形成されたセパレータ101を用いれば、親水性イオン透過膜102の作用により電極反応上重要なイオン透過性を十分に確保でき、また過充電時にニッケル極で発生する酸素ガスが撥水性ガス透過膜103を通過することによりガス反応も平準化し、亜鉛極105の反応面積の縮小防止を図ることができる。また、撥水性ガス透過膜103は電解液を近付けず、亜鉛析出物も成長しないので、親水性イオン透過膜102と同様に、亜鉛析出物によるセル内短絡を防止できる。
【0023】
なお、セパレータ101は、親水性イオン透過膜102と撥水性ガス透過膜103との複合構造であれば、それらの材料や断面の構造、あるいは親水性イオン透過膜102に形成される開口部102Aの形状、径あるいはその個数(換言すれば撥水性ガス透過膜103の形状、大きさや個数)等は、前記の実施例のみに限定されない。また、このセパレータは、ニッケル−亜鉛電池以外の電池に用いられても良いことは当然である。
【0024】
ところで、図3に示したような、セパレータを有し、保液紙を電極の周囲に巻回することにより電極群に対して電解液を供給するタイプの湿式二次電池においては、セパレータが微孔膜でH2 Oの透過が困難であるため、充放電時におけるH2 Oの生成あるいは消費は電極ごとに行われるようになる。したがって、特に充電末においては、ニッケル極側では生成されたH2 Oによって湿潤状態となり、電解液の水素イオン濃度が低下する。一方、亜鉛極側ではH2 Oが消費され、主に電極板の外周部が乾燥状態となって水素イオン濃度が高くなる。
【0025】
このような現象が起こると、ニッケル極においては、極板周辺に溶解した亜鉛イオンが析出し易くなったり、O2 ガス、H2 ガスが多量に発生したりする。また、亜鉛極側では、ニッケル極で発生したO2 ガスの直接吸収反応が乾燥状態の電極外周部で起こって活物質の偏在が発生したり、電解液、活物質、O2 ガスの入ってくる三相界面が活性状態となり、他の部分と比較して電気化学的にアンバランスが生じたり、更には、電解液の水素イオン濃度が上昇するために亜鉛の溶解が加速され、電極から活物質が溶出するので電極が物理的に薄くなって電極間の構成圧力が減少し、ニッケル極、亜鉛極の集電能力の低下、活物質の脱落、内部抵抗の増加、温度上昇といった、電池容量の低下を助長する現象が複合的に発生してしまう。
【0026】
これに対して、図4に示されるように、電極群及びセルケース42及びセルカバー112の間に補液層109,110を設けることにより、電解液の移動が緩和でき、電解液の枯れを防止することができる。
【0027】
図4は本発明の他の実施例の断面図である。同図において、図1と同一の符号は、同一又は同等部分をあらわしているので、その説明は省略する。この実施例は、図3に示された湿式二次電池の、亜鉛極105及びニッケル極106(保液紙107及びセパレータ101が巻かれたニッケル極106)とセルケース42及びセルカバー112との間に、補液層109及び110を設けたものである。この補液層109及び110としては、例えばセルロースに電解液を充填したものを用いることができる。
【0028】
なお、図4では、各電極とセルカバー112との間に空隙部42Zがあるが、該空隙部42Zが生じないように補液層110を形成しても良い。また、圧力排気弁53による酸素ガス排出を容易にするために、該圧力排気弁53と各電極との間に空隙部を形成するようにしても良い。
【0029】
ここで、図4に示したような補液層を有する湿式2次電池の、さらに具体的な構成およびその優位性について詳細に説明する。図18は本発明のセパレータの部分縦断面図、図19は図1のA矢視図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0030】
親水性イオン透過膜102は微孔性多孔膜であり、ここでは商品名「セルガード#3401」(ダイセル化学工業株式会社製)を2枚重ねて用いている。「セルガード#3401」は、ポリプロピレン製の多孔膜であり、厚さ25μm、空孔率38%、孔径0.05〜0.125μmのものである。即ち、親水性イオン透過膜102の厚みは50μmとなっている。そして、この親水性イオン透過膜102には界面活性剤処理が施されている。
【0031】
親水性イオン透過膜102の表面全面にはイオン透過性樹脂であるセルロース201が塗布されている。図示していないが、セルロース201の塗布は、親水性イオン透過膜102の表面全面にビスコースを塗布し、減圧含浸、凝固させることにより行われる。
【0032】
撥水性ガス透過膜103は微孔性多孔膜であり、ここでは商品名「ハイポア2100」(旭化成工業株式会社製)を用いている。「ハイポア2100」は、ポリエチレン製の多孔膜である。撥水性ガス透過膜103の厚みは100μmとなっている。この撥水性ガス透過膜103には界面活性剤処理は施されていない。即ち、撥水性ガス透過膜103は撥水性(疎水性)を有している。
【0033】
撥水性ガス透過膜103は平面四角形状のものであり、開口部102Aを塞ぐよう親水性イオン透過膜102表面に熱又は超音波による溶着により貼り付けられている。符号104aは溶着部であり、符号104bは親水性イオン透過膜102の被溶着部である。
【0034】
1個の撥水性ガス透過膜103の面積は20mm2 以下に設定されており、ここでは撥水性ガス透過膜103として1辺が4mmのものを用いている。なお、開口部102Aの直径は3mmに設定されている。1個の撥水性ガス透過膜103は1個の開口部102Aを塞いでおり、撥水性ガス透過膜103は極板面と相対する面において20%以下の面積を占めて均一に分布するように設けられている。即ち、開口部102Aは撥水性ガス透過膜103が上記のように分布するように予め考慮されて形成されている。
【0035】
上記構成のセパレータ101の性能を次のようにして調べた。まず、上記した構成のセパレータ101を用いた蓄電池A、単なるポリプロピレンの微孔性多孔膜からなるセパレータを用いた蓄電池B、単なるポリプロピレンの微孔性多孔膜と半透膜であるセロハンとを重ねてなるセパレータを用いた蓄電池Cを、それぞれ2セルずつ用意した。蓄電池を構成する電極、補液層、電解液は全て同じである。即ち、負極である亜鉛極は、多数の孔が形成された銅パンチング集電体を芯金とし、その両面に亜鉛活性物シートを圧着して作製したものである。また正極であるニッケル極は、焼結式ニッケル多孔体に水酸化ニッケルを主成分とする活物質を化学含浸法により充填してなるものである。保液層としてはポリプロピレン製不織布を用いた。電解液は、比重1.35のKOH水溶液である。そして蓄電池の公称容量は10Ahである。
【0036】
そして上記蓄電池A、B、Cを、次の条件で充電・放電を繰り返して、その容量変化を調べた。放電は2Aで、セル当りの電圧が1Vになる時点まで行った。充電は1Aで、充電量は放電量の105%とした。なお上記蓄電池A、B、Cの閉路電圧は1.70V、50%放電時の電圧は1.65Vである。この結果を図20に示す。
【0037】
図20からわかるように、蓄電池Aではサイクルを繰り返しても容量減少が少ない。蓄電池Bでは、ポリプロピレンの微孔性多孔膜からなるため、ガス吸収が良好に行われ容量低下は蓄電池Aと略同等であるが、多孔であるため、亜鉛のデンドライトにより短絡が生じて急激に容量が低下している。蓄電池Cでは、セロハンを用いているため、ガス吸収が行われにくく、容量が低下している。
【0038】
以上のように、セパレータ101では、親水性イオン透過膜102の表面全面にセルロース201(イオン透過性樹脂)が塗布されているので、単に界面活性剤処理を施しただけのものに比してイオン透過性の持続性に優れている。従って、撥水性ガス透過膜103が貼り付けられていない親水性イオン透過膜102の部分では、ZnOの析出は抑制され、蓄電池におけるデンドライトショートが充分に防止される。
【0039】
一方、撥水性ガス透過膜103は界面活性剤処理が施されていないので、撥水性を有している。このため、撥水性ガス透過膜103の貼り付けられた部分では、O2 ガスは開口部102Aおよび撥水性ガス透過膜103を通って良好に透過され、電池容量の低下が抑制される。しかも撥水性ガス透過膜103を極板面と相対する面において均一に分布させたので、O2 ガス吸収が均一に行われ、負極の形状変化も少なくできる。
【0040】
なお、撥水性ガス透過膜103の1個の面積が20mm2 より大きく、また全ての撥水性ガス透過膜103の占める面積が極板面と相対する面において20%より大きいと、亜鉛極の有効面積が減少するため、不適切である。
【0041】
なお、上記した実施例では、撥水性ガス透過膜103を親水性イオン透過膜102の片面のみに設けているが、両面に設けても良い。
【0042】
また、上記した実施例では、1個の撥水性ガス透過膜103で塞がれる開口部102Aを1個の断面円形状の孔としたが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、例えば図22に示したような複数個の断面円形状の孔102C、図23に示したような複数個のスリット状の孔102Cでも良い。もちろん断面円形状に限らず、断面多角形状であっても良い。
【0043】
また、親水性イオン透過膜102に用いる微孔性多孔膜としては、ポリプロピレン製のものの代わりに、ポリエチレン製、ナイロン製のものを、またイオン透過性樹脂としては、セルロースの代わりにポバールを用いても良い。
【0044】
なお、図4に示した実施例では補液層109が各極板に共通であったが、補液層内部での亜鉛の結晶成長による短絡を防止するためには、以下に詳述するように、補液層を各補液紙ごとに独立して設けるようにすることが望ましい。
【0045】
図21は、補液層を各補液紙ごとに独立して設けた実施例の内部構造を示した図であり、前記と同一の符号は同一または同等部分を表している。
【0046】
同図において、セパレータ101はセルケース底部42Yまで延長され、当該セルケース底部42Yにおいて液密に固着されている。セパレータ101で仕切られた各領域内に収容された各極板105、106は、適宜の支持部材301によってセルケース底部42Yから予定の間隙を保って支持されている。なお、各極板105,106は、集電帯302によって支持されるようにしても良い。
【0047】
極板105が収容された領域では、セルケース底部42Yと極板105との間隙部が補液層109Aとなり、極板106が収容されてセパレータ101の一部を底とする領域では、当該セパレータ101と極板106との間隙部が補液層109Bとなっている。
【0048】
支持部材301は、各極板105、106の一方の主面が露出した領域と他方の主面が露出した領域との間での電解液の移動が可能となるように、電解液の通路となる貫通孔を有している。
【0049】
さて、以上の構成を有する湿式二次電池を、電動式自動二輪車に適用した例を説明する。図5は本発明が適用される電動式自動二輪車の一例の側面図である。同図において、当該電動式自動二輪車の車体フレームは、前部フレーム1、中央フレーム2及び後部フレーム3より構成され、その外側はレッグシールド4、ステップフロア5、後部カバー6及びアンダーカバー7より構成される樹脂製のボディによって覆われている。
【0050】
前部フレーム1に取り付けられたヘッドパイプ11は、その上端に操向ハンドル12を備えると共に、その下端にフロントクッション13を介して前輪15を軸架したフロントフォーク14が枢支されている。中央フレーム2の後部には、後端に後輪16を軸架したスイング式のパワーユニット17の前端がピボット17Aで上下揺動自在に枢支され、そのパワーユニット17の後部上面と後部フレーム3とは、リヤクッション18を介して連結されている。
【0051】
パワーユニット17とシート19との間には、ヘルメット等を収容するための物入れ20が設けられている。この物入れ20は、当該電動式自動二輪車の駆動モータより発生される磁気の影響を受けないように、導電性樹脂等の磁気シールド材で形成されている。
【0052】
前記ステップフロア5の下方には、パワーユニット17内に配置された駆動モータ(図示せず)に電力を供給するバッテリ装置21が配置されている。このバッテリ装置21は、その内部に複数のセル(湿式二次電池)を横向きに複数備えることにより構成され、中央フレーム2に対して適宜の手法により取り付けられている。このバッテリ装置21は、図6に関して後述するように当該電動式自動二輪車の左右両側面に開口部を有すると共に、その後側にファンモータ25及びファン26を有するダクト24が接続されている。このファンモータ25は、特に充電中に駆動され、これにより前記開口部からバッテリ装置21内に空気が取り込まれ、前記ダクト24の後端部より排出される。この空気の通過によりバッテリ装置21が冷却される。
【0053】
前記ヘッドパイプ11の前部には、前記駆動モータを制御するコントローラ22、及び前記バッテリ装置21に対して充電を行うための充電器23が取り付けられている。これらのコントローラ22及び充電器23は、図示された位置以外の位置(例えばシート19の下方あるいは後方等)に取り付けることも可能である。
【0054】
図6は図5のA−A断面図である。まず、中央フレーム2の所定位置にはウェルディングナット2Bが溶着されていて、該ナット2Bにボルト2Aを螺合させることにより、ステップフロア5が中央フレーム2に固定されている。バッテリ装置21は、ステップフロア5の下方部分に固定されたバッテリケース31と、当該電動式自動二輪車の左右に位置するように前記バッテリケース31内に固定された2組のバッテリ群30A及び30Bとより構成されている。前記ステップフロア5は、バッテリ群30A及び30Bの上方を覆う蓋としても機能する。
【0055】
前記バッテリ群30A及び30Bと、バッテリケース31及びステップフロア5との間には、支持体35及び36が配置されている。符号37は、シール材として機能するスポンジである。
【0056】
当該電動式自動二輪車の左右両側面に位置する、前記バッテリケース31とステップフロア5との間の接合部には、所定の開口部33が形成されていて、前記ファンモータ25(図5)の駆動により該開口部33から空気が流入し、バッテリ群30A及び30Bが冷却される。
【0057】
前記バッテリ群30A及び30Bは、それぞれ16個のセル41を直列に接続することにより構成されている。次に、当該電動式自動二輪車の左側に配置されたバッテリ群30Aの構成を詳細に説明する。
【0058】
図7はバッテリ群30Aの一部破断正面図、図8は図7の要部拡大図、図9は図7の一部破断平面図、図10は図7の一部破断右側面図、図11はセルケース42の斜視図、図12は第1連結板43の斜視図、図13〜図15はそれぞれ第2連結板44の正面図、平面図及び右側面図である。なお、カバー50及びカバー51又は52は、図3及び図4に示されたセルカバー112に対応している。また、バッテリ群30Aは、その正面が当該電動式自動二輪車の左側面側に位置するように配置されている。
【0059】
まず、図11に示されるように、セルケース42は、開口部42Fを有する筐体であり、その外周(底面42P及び上面42Q並びに両側面42R)には、該開口部42Fから奥に向かうように、リブ42A及びリブ42Bが形成されている。また、セルケース42の底面42P及び上面42Qには環状突起42C、及び該環状突起42Cの内径とほぼ同一径の突起42Dとが形成され、またその両側面42Rには、突起42Eが形成されている。
【0060】
セルケース42の底面42Pに形成される環状突起42Cは、その上面42Qに形成される突起42Dに対応する位置に形成され、同様に、前記底面42Pに形成される突起42Dは、前記上面42Qに形成される環状突起42Cに対応する位置に形成されている。
【0061】
このような構成を有するセルケース42を、突起42Dが環状突起42Cの内径部に嵌合するように、縦方向(図11の矢印D方向)に4つ重ね合わせる。この重ね合わせにより、図8に示されたように、隣接するセルケース42間に空気通路91が形成される。そして、この重ね合わされた4つのセルケース42を4組用意し、それらの側面を3つの第2連結板44を用いて横方向(図11の矢印L方向)に密着させる。
【0062】
第2連結板44は、図13〜図15に示されるように、その両端にフランジ44Kを有する帯状部44Jと、前記フランジ44Kに設けられたボルト44Lとより構成されている。前記帯状部44Jの板厚は、前記突起42E(図11)の突出高さのほぼ2倍であり、また該帯状部44Jには、前記突起42Eとほぼ同径の穴部44Eが穿設されている。そして、この穴部44Eを各セルケース42の側面に形成された突起42Eに嵌合させることにより、重ね合わされた4つのセルケース42がその横方向に4組密着される。
【0063】
また、最側部(左右両側)に位置するセルケース42には、第2連結板44とはフランジ44Kの形状が異なる第3連結板45が密着される。
【0064】
この後、その底面42Pが露出した最底部の4つのセルケース42、及びその上面42Qが露出した最上部の4つのセルケース42のそれぞれに、図12の第1連結板43を装着する。この第1連結板43には、横方向に密着されたセルケース42の底面42P又は上面42Qに形成されたリブ42Aと同様のリブ43Aが形成されると共に、前記各セルケース42の環状突起42C及び突起42Dと対応する位置に、突起43D及び環状突起43Cが形成されている。
【0065】
前記装着は、第1連結板43の突起43D及び環状突起43Cを、セルケース42の環状突起42C及び突起42Dに嵌合させることにより行い、またこの際、第2連結板44のフランジ44K、及び第3連結板45のフランジを、第1連結板43の開口部43G及び凹部43Hより露出させる。前記装着により、第1連結板43とセルケース42と間には、図8に示されるように、空気通路92が形成される。
【0066】
その後、上下それぞれに配置された一対の第1連結板43に、細長形状のアングル48を横架し、第2連結板44のボルト44L、及び第3連結板45のボルトに、前記アングル48を介してナット49を螺合することにより、アングル48で2枚の第1連結板43及び12個のセルケース42を押さえ付け、それらを固定する。
【0067】
さて、前記セルケース42のそれぞれには、図3に関して説明したように、複数の亜鉛極(陰極)105、及び電解液を含浸させた保液紙107及びセパレータ101が巻回されたニッケル極(陽極)106が交互に配置され、セル41が形成される。図10の例では、亜鉛極105及びニッケル極106は、1セルケース42内に、それぞれ15枚及び14枚配置されている。そして、16個のセル41を直列に接続すべく、隣接するセル41の各集電極105A及び105B(図3参照)が集電部47により連結される(図7及び図10参照)。
【0068】
この後、セルケース42の開口部42F(図11)には、圧力排気弁53が取り付けられたカバー50、及びカバー51又は52が取り付けられ、これにより該セルケース42が閉塞される。なお、セルケース42、並びにカバー50、及びカバー51又は52と、亜鉛極105及びニッケル極106との間に補液層109(図4参照)が配置される。
【0069】
コネクタ46Aは、直列に接続されたセル41の、最終端の陽極及び陰極にリード線46Rを接続するためのものであり、適宜のセル41に取り付けられている。
【0070】
図6に示されたバッテリ群30Bも、前述の構成を有するバッテリ群30Aとほぼ同様の構成を有しており、そのコネクタ46Bは、コネクタ46Aと対称型である。前記バッテリ群30A及びバッテリ群30Bの出力線、すなわちコネクタ46A及び46Bより引き出されたリード線は、バッテリケース31及びステップフロア5の内部あるいは外部でさらに直列に接続されていて、その陽極側及び陰極側は、図16に示されるように、充電器23に接続されている。なお、符号28は当該電動式自動二輪車のメインスイッチである。
【0071】
図16に示されるように、充電器23はさらにファンモータ25及びプラグ27に接続されていて、プラグ27を家庭用あるいは充電スタンド等に設置されているコンセントに接続して充電を行っているときにのみ、ファンモータ25が駆動される。前記ファンモータ25の駆動により、図6の開口部33より空気がバッテリケース31及びステップフロア5内に導入される。導入された空気は、空気通路91及び空気通路92を通過し、そしてバッテリ装置21後部に配置されたダクト24(図5)より排出される。なお、さて、バッテリ群30A及び30Bは、適宜の連結用部材で連結されても良い。
【0072】
また、この実施例では、セルケース42の外周部にリブ42Aを形成すると共に、第1連結板43にも前記リブ42Aと同様のリブ43Aを形成したので、セルケース42同士の接合部には空気通路91が、またセルケース42と第1連結板43との接合部には空気通路92が形成される。このように、リブを形成するだけで各セルケース42の周囲に空気通路を形成できるので、セルケース42の金型製作が容易であるが、特にこのようなリブを形成せずとも、図17に示したようにセルケース42に直接、空気通路115を形成しても良い。
【0073】
また本発明の電池は、車両用以外の各種用途に用いられても良いことは当然である。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、つぎのような効果が達成される。
【0075】
(1) 請求項1記載の湿式二次電池によれば、陽極で発生される酸素ガスが、セパレータをほぼ均一に通過して陰極に達するために、陰極での酸素ガス吸着反応が平準化する。この結果、陰極の、陽極と対向する放電面積があまり減少せず、これにより放電容量の減少が防止され、寿命が延びる。
【0076】
(2) 請求項2記載の湿式二次電池によれば、極板間の電解液の保持が、極板に巻回された保液紙により行われるので、当該湿式二次電池を横向きにしても使用することができる。すなわち、当該湿式二次電池の利用範囲が拡大する。
【0077】
(3) 請求項3記載の湿式二次電池によれば、充放電を繰り返しても、電極の表面に部分的な電解液の枯れ領域が生じるおそれが少ないので、従来の湿式二次電池に比較して、その寿命が延びる。
【0078】
(4) 請求項4記載の湿式二次電池によれば、補液層内部での亜鉛の結晶成長による短絡が防止され、寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セパレータ101の平面図である。
【図2】 セパレータ101の拡大断面図である。
【図3】 本発明の一実施例の一部破断斜視図である。
【図4】 本発明の他の実施例の断面図である。
【図5】 本発明が適用される電動式自動二輪車の一例の側面図である。
【図6】 図5のA−A断面図である。
【図7】 バッテリ群30Aの一部破断正面図である。
【図8】 図7の要部拡大図である。
【図9】 図7の一部破断平面図である。
【図10】 図7の一部破断右側面図である。
【図11】 セルケース42の斜視図である。
【図12】 第1連結板43の斜視図である。
【図13】 第2連結板44の正面図である。
【図14】 第2連結板44の平面図である。
【図15】 第2連結板44の右側面図である。
【図16】 バッテリ装置21、充電器23及びファンモータ25の接続例を示す回路図である。
【図17】 セルケースに空気通路を直接形成した湿式二次電池を示す概略図である。
【図18】 本発明によるセパレータの平面図である。
【図19】 図18のA矢視図である。
【図20】 本発明の湿式二次電池と従来の湿式二次電池とのサイクル寿命特性を示した図である。
【図21】 本発明の他の実施例である湿式二次電池の一部破断平面図である。
【図22】 セパレータに形成される開口部の例を示した平面図である。
【図23】 開口部の他の例を示した平面図である。
【符号の説明】
42…セルケース、101…セパレータ、102…親水性イオン透過膜、102A…開口部、103…撥水性ガス透過膜、104…溶着部、105…亜鉛極、105A…集電極、106…ニッケル極、106A…集電極、107…保液紙、109,110…補液層、112…セルカバー

Claims (1)

  1. 陽極板、陰極板、並びに該陽極板及び陰極板間に介在され、極板からの析出物の生成による極板間ショートを防止するセパレータよりなる極板群と、
    前記陽極板及び陰極板間で電解液を保持する電解液保持手段とを具備し、
    前記セパレータが、
    複数の開口部を有する多孔性の親水性イオン透過膜と、
    前記親水性イオン透過膜に溶着され、前記開口部をそれぞれ覆う複数の多孔性の撥水性ガス透過膜とを含むことを特徴とする湿式二次電池。
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