JP3642132B2 - 採便装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は家庭などの日常生活環境において健康管理を行うための、採便装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
日常生活環境において、生体排泄物中の成分を測定することは、成人病疾患などの早期発見および予防につながり、非常に重要なことになってきている。また、便中の潜血検査は、大腸ガンや消化器系疾患の早期発見および治療のために多くの公共機関、医療機関で実施されている。便潜血の検査法としては、過酸化水素の存在下でヘモグロビンのペルオキシダーゼ反応を利用して発光させるベンジジン法、オルトトリジン法、グアヤック法などの化学法や、抗体に感作したラテックス粒子によるラテックス凝集法や抗体に結合させた色素を用いるクロマト法などが特開平7−333222号公報、特開平6−324037号公報に記載されている。
【0003】
これらの便潜血検査方法において便の採取は、使用者は水洗トイレの便器内にトイレットペーパ等の紙を敷いた後、洋式トイレの場合後ろ向きに腰掛けトイレットペーパー上に排便し、排便した便を搬送容器の採便棒でこすり取るものである。
【0004】
しかし、洋式トイレでは便が便器の水封部に没入しやすく尿と混ざってしまうなど便鉢内での便の採取が困難であり、さらに便を採便棒に取る際に便が手に付くことなどもあり不快で不衛生であった。
【0005】
そこで、使用者に負担をかけず衛生的にトイレ内で便潜血検査を行うものとして特開平3−96537号公報、特開平5−126826号公報に記載されている健康判定便器がある。これらは、便器の水封部に回転羽根を設け、回転羽根をモータで回転駆動することにより、便器の水封部で便を粉砕攪拌し、水封部に直接潜血を検査する試薬を添加し、試薬による色変化を人が直接判定するものであった。
【0006】
また、特公平6−52266号公報に記載されている排泄物の採取検査装置は、排泄物を採取する凹部を形成した採取具と、採取具を洗浄する洗浄手段を備えたものであって、採取具は便鉢内の検査位置に進退自在に設けられると共に、検査位置で洗浄するときには、採取具の凹部を上下反転自在に回転するように設け、洗浄手段は採便具の外側から回転中の採取具に洗浄水を放射するように設けて、採取部に採取した排泄物にセンサを接触させるか試薬などを入れ検査を行うものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、排便した便を搬送容器の採便棒でこすり取る方法では、便が便器の水封部に没入しやすく尿と混ざってしまうなど便鉢内での便の採取が困難であり、さらに便を採便棒に取る際に便が手に付くことなどもあり不快で不衛生という課題があった。
【0008】
また、便器水封部で便を粉砕攪拌する方法では、尿便の分離採取が難しく、便のみでなく尿が混入してしまうため、尿潜血と便潜血の区別がつかないという課題や、化学法による検査では、水道水で便の溶解を行っているため、水道水中の残留塩素や鉄分などの成分が検査に影響を及ぼすため検査結果に偽陰性や偽陽性が多くなると言う課題や、試薬による色変化を直接人が判定する際に尿の色が混じってしまうため、正確に測定できないという課題があった。
【0009】
また、希釈液中に便を希釈する時の希釈が不十分で希釈液中の便の濃度が不均一になった場合や、滴下量にばらつきがでた場合には、偽陰性や偽陽性が多くなるという課題があった。
【0010】
また、痔出血、経血などの大量の血液が混入した場合や粘性の高い便が回収されたとき、特に免疫法などの高感度の検査法を用いる場合には、水のみの洗浄では完全に洗浄を行うことが出来ず、回収した便や便希釈液が前回の便で汚染されている可能性があり、良好な検体を得ることが出来ない場合があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の採便装置は、前記する課題を解決するために便を希釈するための希釈液を備えた希釈容器と、便を回収する回収部と、回収部に回収した便を希釈液に攪拌する攪拌手段を備えた構成としたものである。
【0012】
そして上記構成により、回収部に生体から排泄された便を水封部に没入する前に回収し、攪拌手段によって希釈容器に備えた希釈液に回収部の便を希釈することにより、均一な便希釈液を得ることが出来、希釈液の濃度不均一による偽陰性や偽陽性を防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の採便装置は、便を希釈するための希釈液を備えた希釈容器と、希釈容器を貫通するように設けた採便棒と、採便棒に設けた便を回収する回収部と、回収部に回収した便を希釈液に攪拌する攪拌手段と、採便棒を駆動する駆動手段と、採便棒と駆動手段を着脱自在に接続する接続部と、便希釈液を検査容器に滴下する滴下手段を備えた構成にして実施することができる。
【0014】
そして、上記構成により、希釈容器と希釈容器を貫通するように設けた採便棒を、接続部を介して駆動手段に着脱自在に接続する。回収部に生体から排泄された便を水封部に没入する前に回収し、駆動手段により採便棒を駆動して、回収部を希釈容器内に収納する。攪拌手段によって希釈容器に備えた希釈液に回収部の便を希釈し、滴下手段によって便希釈液を検査容器に滴下することにより、使用者は便に触れることなく、便座に座ったまま排便を行うだけで、採便を行うことが出来る。
【0015】
また、攪拌手段は希釈容器内に空気を吹き込む空気供給手段とし、空気供給手段で吹き込んだ空気により希釈液を攪拌する構成にすることが出来る。
【0016】
また、滴下手段は採便棒の先端部に設けた突起部と、希釈容器に突起部による押圧により移動する封止部と滴下孔を備える構成にすることが出来、これにより採便棒の駆動により突起部で封止部を移動させ、滴下孔から便希釈液を滴下することが出来る。
【0017】
また、突起部と封止部に結合部を設け、検査終了時に採便棒を駆動すことにより希釈容器から封止部を移動させる構成にすることが出来、これにより希釈容器内に収納した希釈液を便槽内に廃棄することができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0019】
図において、1は便を希釈するための生理食塩水、緩衝液などの希釈液2を内部に備えた希釈容器、3は希釈容器1を貫通させて設けた採便棒、4は採便棒3に設けた便を回収する回収部、5は採便棒3を駆動する駆動手段である。駆動手段5は、板バネ6、板バネ6を巻き取るモーター駆動のドラム7、板バネ6のガイド8で構成されている。
【0020】
9は採便棒3と板バネ6を着脱自在に接続する接続部、10は採便棒3の先端に設けた突起部、11は突起部10による押圧により移動する封止部、12は便希釈液を検査容器13に滴下する滴下孔である。14は希釈容器1の内部に設けた封止部11の位置決め突起部、15は接続部9と採便棒3と回収部4とを貫通する貫通孔、16は接続部9に設けた貫通孔15の終端から空気を吹き込むエアーポンプ、17は貫通孔15に備えた逆止弁、18は採便棒3の先端に設けた突起部10と封止部11を結合させる結合部である。
【0021】
上記構成により、使用者は希釈容器1と希釈容器1を貫通するように設けた採便棒3を、採便棒3に設けた回収部4が便器内に突出するよう、接続部9を介して駆動手段5の板バネ6と接続する。
【0022】
使用者が便座に座って排便を行うと、便器内に突出した採便棒3に設けた回収部4に便を回収する。回収部4に便を回収した後、モーター駆動のドラム7に板バネ6を巻き取り、接続部9を介して板バネ6と接続されている採便棒3を移動し、回収部4を希釈液2に浸漬する。
【0023】
図2、図3、図4は本発明の実施例の動作状態を示す図である。図2に示すように、回収部4が希釈液2に浸漬している状態で、貫通孔15の接続部9の終端部から、エアーポンプ16により空気を希釈液2内に吹き込むことにより、回収部4に回収された便は、貫通孔15と逆止弁17を通してエアーポンプ16から吹き込まれる空気により希釈液中に押し出され、希釈液2内に攪拌される。回収部4に回収された便が希釈液2に溶解した後、さらにドラム7に板バネ6を巻き取り、採便棒3を移動して、採便棒3の先端に設けた突起部10で封止部11を位置決め突起部14まで移動させる。封止部11の移動により希釈容器1内の希釈液2が押し上げられ滴下孔12から検査容器13に滴下される。
【0024】
検査容器13に便の希釈液2を滴下した後、ドラム7を逆転させ、採便棒3を便器の方向に押し出す。このとき、図4に示すように封止部11は結合部18によって採便棒3の先端の突起部10と結合しているため、採便棒3とともに封止部11も押し出され、希釈容器1内の便の希釈液2は便器内に廃棄される。
【0025】
以上のように本発明の実施例によれば、希釈容器1を貫通するように設けた採便棒3を便器内に突出するよう駆動手段5に着脱自在に接続し、採便棒3の先端の回収部4に生体から排泄された便を回収することで、使用者は便に触れることなく、便座に座ったまま排便を行うだけで、採便を行うことが出来る。
【0026】
また、接続部9に設けた貫通孔15の終端からエアーポンプ16により空気を吹き込むことで、回収部4に回収した便を希釈液2中に押し出し、希釈液を攪拌することが出来、濃度の不均一による偽陰性や偽陽性のない、精度の高い採便を行うことが出来る。
【0027】
また、希釈液に磁性体を収納し、磁性体を希釈液内で移動させる移動手段を備えることで、磁性体を移動させ希釈液を攪拌することが出来る。
【0028】
また、希釈液2の封止部11を採便棒3の先端の突起部10による押圧で位置決め突起部14まで移動させ、滴下孔12から便の希釈液を滴下することで、一定量の便の希釈液を滴下することが出来る。
【0029】
また、貫通孔15に逆止弁17を備えることで希釈容器1内の希釈液が貫通孔15内に流れ込むことを防止出来、滴下量の精度を高めることが出来る。
【0030】
また、突起部10と封止部11に結合部18を設け、採便棒3の駆動により希釈液2を便槽内に廃棄することができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の採便装置によれば、攪拌手段により希釈液を攪拌することで、濃度が均一な便希釈液を得ることが出来、濃度の不均一による偽陰性や偽陽性のない、精度の高い採便を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における採便装置の断面図
【図2】同採便装置の動作を示す要部断面図
【図3】同採便装置の他の動作を示す要部断面図
【図4】同採便装置の別の動作を示す要部断面図
【符号の説明】
1 希釈容器
2 希釈液
3 採便棒
4 回収部
5 駆動手段
9 接続部
10 突起部
11 封止部
12 滴下孔
15 貫通孔
16 エアーポンプ
17 逆止弁
18 結合部
Claims (4)
- 便を希釈するための希釈液を備えた希釈容器と、前記希釈容器を貫通するように設けた採便棒と、前記採便棒に設けた便を回収する回収部と、前記回収部に回収した便を希釈液に攪拌する攪拌手段と、前記採便棒を駆動する駆動手段と、前記採便棒と前記駆動手段を着脱自在に接続する接続部と、便希釈液を検査容器に滴下する滴下手段を備えた採便装置。
- 攪拌手段は、希釈容器内に空気を吹き込む空気供給手段とし、空気供給手段は、接続部と採便棒と回収部とを貫通する貫通孔を設け、前記接続部に設けた貫通孔の終端から空気を吹き込むエアーポンプを備え、吹き込んだ空気により前記回収部に回収した便を希釈液中に押し出し、希釈液を攪拌することを特徴とする請求項1記載の採便装置。
- 滴下手段は、採便棒の先端部に設けた突起部と、希釈容器に前記突起部による押圧により移動する封止部と滴下孔を備え、前記採便棒の駆動により前記突起部で前記封止部を移動させ、前記滴下孔から便希釈液を滴下する請求項1または2に記載の採便装置。
- 突起部と封止部に結合部を設け、検査終了時に採便棒を駆動することにより希釈容器から封止部を移動させ、希釈容器内に収納した希釈液を便槽内に廃棄する構成とした請求項3記載の採便装置。
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JP32812296A JP3642132B2 (ja) | 1996-12-09 | 1996-12-09 | 採便装置 |
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