JP3641760B2 - トロコイド歯形を備えた流体機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸入孔を有する回転盤と吐出孔を有する回転盤とを軸方向に並設し、両回転盤間に回転により容積が変化するトロコイド歯形の一対の歯付きロータを介装し、該ロータの容積変化により流体を圧送あるいは該流体を介して回転力を伝達するトロコイド歯形を有する流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一対のロータの回転により流体を圧送する回転流体機械にあって、近年トロコイド歯形を有するロータを備えたトロコイド式圧縮機が、気体圧送用の圧縮機、液体圧送用のポンプとして多用されてきている。
【0003】
このトロコイド歯形を有するロータを備えた流体圧送用のトロコイド歯形流体機械は、トロコイド歯形を有するインナロータとアウタロータとを組合せて、カム軸に公転、自転自在に嵌合されたインナロータを該カム軸により回転駆動し、インナ・アウタロータの軸端両側に吸入孔を有する回転盤及び吐出孔を有する回転盤を並設し、吸入孔から吸入された流体をインナロータとアウタロータとのトロコイド歯間の容積内に導入し、両ロータの相対回転による容積変化(縮小)により流体を加圧し、吐出孔から使用先に送出するように構成されている。
【0004】
前記トロコイド歯形流体機械は、カム軸とインナロータとが軸心に非対称な構造となっている。この非対称構造による不平衡重量は前記流体機械の全重量に対して大きな重量比を占め、このため該流体機械の高速運転時には過大な振動及び騒音の発生を伴ない、高速化による容量増加が阻害されるとともに、耐久性の低下が引き起こされている。
【0005】
かかる不平衡重量による不具合点を解消するため、インナロータの両側面で回転する吸入孔付きの吸入側回転盤及び吐出孔付きの吐出側回転盤を利用し、これら回転盤に前記不平衡重量による不平衡力を打ち消す力を発生する平衡用重量(バランサ)を取り付ける技術が、本願出願人らによって先願技術として提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術にて提供された平衡用重量を吸入・吐出回転盤を利用して設ける手段にあっては、不平衡力の低減あるいは解除は可能となるが、前記のように、トロコイド歯形流体機械にあっては、不平衡重量の機械全体に占める割合が大きいことからこれのバランサの重量も必然的に大きくなり、機械の重量が増加するとともに機体が大型化し、流体機械の高回転化、大容量化の障害となる。
【0007】
本発明の目的は、機械の重量増加なしに、あるいは重量増加を最小限にとどめて、回転系の非対称構造に伴なう不平衡力を除去し、小型、軽量で以って高速化、大容量化がなされたトロコイド歯形を備えた流体機械を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トロコイド歯形を有するインナロータとアウタロータとを組合せ、噛み合い容積の変化により流体を圧送するトロコイド歯形を備えた流体機械において、カム軸に軸方向に沿って180°の位相を存する第1、第2カムを設け、該第1、第2カムに第1,第2インナロータを公転、自転可能に嵌合するとともに、該第1、第2インナロータを第1、第2アウタロータに噛合せしめ、さらに吸入孔を有する回転吸入孔盤及び吐出孔を有する回転吐出孔盤をカム軸に互いに180°の位相で取付けて、カム軸と同期回転させ、第1、第2インナロータ及び回転吸入孔盤、回転吐出孔盤により不平衡力の動的釣合いを成したことを要旨としている。
【0009】
即ち、本発明の第1の手段は、トロコイド歯形の外歯を有し、カム軸に公転及び自転可能に嵌挿されたインナロータを、トロコイド歯形の内歯を有するアウタロータに噛合し、前記両ロータの相対回転による噛み合い容積の変化により吸入口からの流体を吐出口に送出するように構成するとともに、前記カム軸をハウジングに軸支する軸受がカム軸の両側に位置するトロコイド式流体機械において、
前記カム軸に円周方向に180°の位相を存して第1カムと第2カムとを設け、
前記インナロータを、軸方向に第1インナロータと第2インナロータとに分設して、該第1インナロータを前記第1カムに、第2インナロータを前記第2カムに、夫々公転、自転自在に嵌合し、
前記アウタロータを軸方向に第1アウタロータと第2アウタロータとに分設して、両アウタロータの内歯に前記第1インナロータ及び第2インナロータをこの順に嵌合し、
作動流体の吸入孔が設けられるとともに不平衡重量を有する回転吸入孔盤及び作動流体の吐出孔が設けられるとともに不平衡重量を有する回転吐出孔盤を前記カム軸に双方の不平衡重量が互いに180°の位相をなすように、かつカム軸と同期して回転可能に取付け、
前記第1、第2インナロータ部分、並びに回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤の不平衡力を釣り合わせるように構成するとともに、
前記回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤は前記軸受側に設けたカム軸の切欠部に夫々嵌合され、前記回転吐出孔盤は第1インナロータ及び第1アウタロータの側面に接しながら、又前記回転吸入孔盤は第2インナロータ及び第2アウタロータの側面に接しながら前記カム軸と一体となって回転するように構成したことを特徴とするトロコイド歯形を備えた流体機械にある。
【0010】
また第2の手段は、上記第1の手段に加えて、前記第1インナロータと第2インナロータとの間に、カム軸にこれと同期回転可能に嵌合されるとともに、前記第1インナロータと第1アウタロータとの前記噛み合い容積と、前記第2インナロータと第2アウタロータとの前記噛み合い容積とを連通する回転連通孔盤を介装したことを特徴としている。
【0011】
そして第3の手段は、前記第1、第2の手段における、前記第1アウタロータと第2アウタロータとが、両ロータの間に介装された結合環とともにハウジングに固定されたことにある。
【0012】
さらに第4の手段は、前記第1、第2の手段における、前記第1アウタロータと第2アウタロータと結合環とが、前記カム軸の軸方向反対側に設けられた第2回転軸に連結され、該第2回転軸とともに回転可能にされたことにある。
【0013】
前記トロコイド歯形を備えた流体機械において、第3の手段のように、第1、第2アウタロータ及び結合環をハウジングに固定したものは、気体を圧縮するための圧縮機や液体を圧送するためのポンプに好適であり、第4の手段のように第1、第2アウタロータ及び結合環を回転せしめてこれを出力端となすものは、流体変速機として好適である。
【0014】
また、前記流体機械において、好ましくは、前記回転連通孔盤は前記結合環の内周部位に位置せしめられてカム軸に取付けられ、常時第1インナ、アウタロータ側と第2インナ、アウタロータ側の噛み合い容積間を連通するように構成される。
【0015】
さらに前記流体機械において、好ましくは、180°の位相でカム軸に取付けられた前記第1、第2インナロータが同一形状とされるとともに、前記回転吸入孔盤の吸入孔と回転吐出孔盤の吐出孔とが回転軸心から偏位し、かつ180°の位相をなして設けられて、回転吸入孔盤と回転吐出孔盤とが回転軸に関して対称な形状とされ、前記2個の回転盤の不平衡力を第1、第2インナロータの不平衡力即ち慣性偶力と逆向きに作用させて完全に打ち消すように構成する。
【0016】
本発明は上記のように構成されているので、第1、第2、第3の手段によれば、カム軸の回転により第1、第2インナロータが互いに180°の位相で以って公転、自転するが、該両ローラの慣性力は両ローラが互いに180°の位相で回転することにより打ち消される。
また、回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤も互いに180°の位相で以って回転し、両者の慣性力は打ち消される。
【0017】
一方両ローラの慣性偶力が残存するが、これは、両ローラの前後に配置されて180°の位相で以って回転する回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤の慣性偶力が前記両ローラの慣性偶力と逆方向に作用するので、これも打ち消される。これによって流体機械の完全な動的バランスがなされる。
【0018】
即ち、インナロータを軸方向に2分割して180°の回転位相を存して配置するとともに、回転吸入孔盤と回転吐出孔盤とを180°の回転位相を存して配置して、回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤本来の非対称構造による不平衡力を利用し、流体機械自体の機能部材の構造、及び配置を適切に設定するのみで、重量の増加や流体機械の機能の低下を伴なうことなく、機械の完全な動的バランスを達成することができる。
【0019】
また、第4の手段によれば、第1、第2アウタロータを結合環とともに回転させ、これに出力軸を連結し、インナロータ、アウタロータ間で作動する流体の量を制御することにより、出力軸の回転数を制御することができ、前記のように完全な動的バラスンがなされた可変速の流体変速機が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図6を参照して本発明の実施例につき詳細に説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図1は本発明の実施例に係るトロコイド歯形を備えた圧縮機の回転軸心線に沿う断面図、図2は前記圧縮機のカム軸の外観図、図3は前記圧縮機の回転連通孔盤の作用説明図、図4はインナロータ及びアウタロータの正面外形図を示す。
【0022】
図1、2において、3は電動モータ、エンジン等の駆動源により回転駆動されるカム軸であり、該カム軸3には軸方向に第1カム31、第2カム32の2個の偏心カムが180°の位相で並設されている。
【0023】
前記カム軸3の第1カム31には第1インナロータ1aが、第2カム32には前記第1インナロータ1aと同一形状の第2インナロータ1aが夫々回転自在に嵌挿されている。前記両インナロータ1a,1bの外周は図4(A)に示されるような、公知のトロコイド外歯(サイクロイド歯)61が形成され、該第1、第2インナロータ1a,1bは、前記のように回転軸心3aに対して180°の位相で偏心された第1、第2カム31,32に回転自在に嵌合されることにより、カム軸3の回転によってカム軸心3aに対して公転しつつ、第1カムの軸心31a及び第2カムの軸心32aに対しては自転するようになっている。
【0024】
2aは第1アウタロータ、2bは該第1アウタロータと同一形状の第2アウタロータであり、図4(B)に示されるようなトロコイド形の内歯62を有し、両ロータ2a,2bはその歯数が前記インナロータ1a,1bよりも1枚多く、また、これらの間に設置され前記アウタロータ2a,2bの歯底径よりもやや大きな外径を有する結合環4にボルト41により一体に結合される。
【0025】
前記第1インナロータ1aと第1アウタロータ2a、並びに第2インナロータ1bと第2アウタロータ2bとは、上記のように公知のトロコイド歯62(サイクロイド歯)の噛み合いとなっており、カム軸3によって公転あるいは自転せしめられることにより、容積が変化し流体を圧縮するようになっている。
【0026】
11は前記結合環4の内周に回転自在に嵌合された回転連通孔盤であり、該回転連通孔盤11の内周はカム軸3中央部の切欠部3aに嵌合され第1、2インナロータ1a,1b及び第1、2アウタロータ2a,2bの側面に接しながらカム軸3とともに回転可能となっている。
【0027】
5はハウジングであり、前記第1、2アウタロータ2a,2b及び結合環4が内蔵される。
上記第1、2アウタロータ2a,2b及び結合環4は、気体圧縮機及び液体圧送ポンプ等の場合は、これらがハウジング75に固定され一体化されて静止体となる。また流体変速機の場合は、後述するように、上記第1、2アウタロータ2a,2b及び結合環4は3部材が一体となってハウジング5内で回転する回転体となる。
【0028】
7は回転吸入孔盤、6は回転吐出孔盤であり、該回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6はカム軸3の切欠部3c,3bに夫々嵌合され、カム軸3と一体となって、第1、2インナロータ1a,1b及び第1、2アウタロータ2a,2bの側面に接しながら回転するようになっている。
尚、上記回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6はカム軸3の回転方向によっては互いに入れ替えて組み付けてもよい。
【0029】
図3(A)、(C)には、前記回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6の平面図が示されている。
図3(C)に示される回転吸入孔盤7は外周に溝72が形成され、内周に勾玉状の底部を有する吐出孔71が形成されている。上記外周の溝72は、図2に示されるように、ハウジングの吸入口10に連通される一方、該外周の溝72には前記勾玉状の吐出孔71も連通されて、軸心3aに対して非対称な重量構成となっている。
【0030】
これにより、吸入口10からの流体は、回転吸入孔盤7の溝72及び吐出孔71を経て第2アウタロータ2bと第2インナロータ1bとの噛み合い容積部に吸入されることとなる。
【0031】
また図3(A)に示される回転吐出孔盤6も、前記回転吸入孔盤7と同様に、ハウジング5の吐出口9に連通される外周の溝62と、この溝72に連通される勾玉状の底部を有する吐出孔61を備えた、軸心3aに関して非対称な形状となっている。これにより、第1インナロータ1aと第2アウタロータ2aとの噛み合い容積から吐出された流体は、吐出孔61、外周溝62を経てハウジング5の吐出口9に吐出されることとなる。
【0032】
さらに前記回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6とは、これらの吸入孔71及び吐出孔61が互いに180°の位相で設けられた、軸心3aに関して対称な形状をしている。これにより、該回転吸入孔盤7と回転吐出孔盤6とは、それらの不平衡重量部、即ち吸入孔71及び吐出孔61の対称側の部分が互いに180°の位相になるように、カム軸3に取付けられることとなる。
【0033】
さらに、回転吸入孔盤7の上記不平衡重量部と第2インナロータ1b及び第2カム32の不平衡重量側即ち偏心側とが180°の位相で、回転吐出孔盤6の上記不平衡重量部と第1インナロータ1a及び第1カム31の不平衡重量側即ち偏心側とが180°の位相で夫々配置される。
【0034】
従って、上記第1、2インナロータ1a,1b及び第1、2カム31,32と、回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6との上記のような不平衡重量の180°位相での配置により、回転系の動的平衡を完全にとることができることとなる。
【0035】
図3(B)には前記回転連通孔盤11の正面図が示されている。該回転連通孔盤11の両面には前記回転吸入孔盤7の吸入孔71及び回転吐出孔盤6の吐出孔61に対応して有底の勾玉状の吐出通路孔611,612及びこれらの裏側に吸入通路711,712が180°の位相差で設けられ、各吐出通路孔611と612とは連通路613にて連通され、各吸入通路孔711と712は連通路713にて連通されている。
【0036】
従って、上記のように180°の位相で形成された第1カム31及び第2カム32の一対のカムに夫々嵌合されて公転及び自転する第1、第2インナロータ1a,1bと該インナロータ1a,1bにトロコイド歯で噛み合う第1、第2アウタロータ2a,2bの噛み合い容積部を、前記回転連通孔盤11はカム軸3の回転中においても常時連通せしめることとなる。
8,8はカム軸3をハウジング5に軸支する軸受である。
【0037】
前記のように構成されたトロコイド歯形を有する回転圧縮機の運転時において、カム軸3の回転により第1インナロータ1a及び第2インナロータ1bが互いに180°の位相をなしてカム軸心3a上を公転しながら第1カム31及び第2カム32の中心31a、32a上を自転し、これらの外歯61とハウジング5に固定された第1アウタロータ2a及び第2アウタロータ2bの内歯62との間に形成される容積を変化せしめる。
【0038】
一方、カム軸3に固定された回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6もカム軸3と同期しかつ互いに180°の位相で以って回転し、上記容積が最大となる近傍で吸入孔71からと上記容積に流体を吸い込み、これを圧縮し、上記容積が最小となる近傍で吐出孔61に圧縮流体を吐出する。
【0039】
前記作動時において、第1カム31とこれに嵌合される第1インナロータ1a、及び第2カム32とこれに嵌合される第2インナロータ1bとは互いに180°の位相をなして回転する。
【0040】
従って、第1インナロータ1a側と第2インナロータ1b側との慣性力は完全に打ち消されるが慣性偶力が残存する。
【0041】
一方、回転吸入孔盤7の吸入孔71及び回転吐出孔盤6の吐出孔61の偏心配置による回転吸入孔盤7側の不平衡重量部は第2インナロータ1b側と180°の位相をなすとともに、回転吐出孔6側の不平衡重量部は第1インナロータ1a側と180°の位相をなして回転する。
【0042】
従って、この回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6の回転により、上記インナロータ側に残存した慣性偶力は打ち消される。
これにより、全ての不平衡力は完全に打ち消され、完全な動的バランスが得られる。
【0043】
また前記作動時において、第1、2インナロータ1a、1bの高速回転時には、該インナロータ1a、1bの外歯61と第1、2アウタロータ2a,2bの内歯62との間に形成される噛み合い容積を通過する流体の流れは、カム軸3とともに回転する回転連通孔盤11を通して第1、第2の両ロータ間が連通されるので、該連通孔盤11を介して同一方向の流れとなる。
【0044】
また第1、2インナロータ1a,1bは互いに180°の位相をもって公転、自転を行うため、両者は前記回転連通孔盤11の吸入、吐出連絡孔711,712,611,612及び連通路713,613を通して常時連通された状態で回転する。
【0045】
従って、前記作動時における流体の軸方向の流れは、吸入口10→回転吸入孔盤7→第2インナロータ1bと第2アウタロータ2bとの噛み合い容積部→回転連通孔盤11→第1インナロータ1aと第1アウタロータ2aとの噛み合い容積部→回転吐出孔盤6→吐出口9となり、高速回転に適した一方向流となる。
【0046】
前記回転吸入孔盤7及び回転吐出孔盤6は、前記のように、流体の吸入、吐出の切り換え機能を備えるが、これとともに、該両盤7,6の側面は、アウタロータ2a,2b及びインナロータ1a,1bの側面との密封シール作用もなすので両ロータ側部からの流体の漏洩が防止される。
【0047】
図5、図6には本発明の第2実施例が示されている。
この実施例においてはトロコイド歯を有する流体機械を流体変速機に適用しており、図5、6において、第1アウタロータ2aの端部には結合部材12が固着され、該結合部材12には第2回転軸が固着されている。これにより、第1アウタロータ2a、第2アウタロータ2b、両ロータを結合する結合環4、結合部材12及び第2回転軸13は、ハウジング5、5a内で一体となって回転可能となる。
【0048】
図5、6において、カム軸3が回転せしめられると、吸入孔10から導入された流体は、回転吸入孔盤75→第2インナロータ1bと第2アウタロータ2bとの噛み合い容積部→回転連通孔盤11→第1インナロータ1aと第1アウタロータ2aとの噛み合い容積部→回転吐出孔盤65→吐出口9へと流れるが、アウタロータ2a,2b側が回転自在となっているので、該流体によりアウタロータ側が駆動され、第1、第2アウタロータ2a,2b、結合環4、結合部材12及び第2回転軸13が被駆動体となって、第2回転軸13の軸端から回転力を取り出すことができる。
【0049】
この場合、前記吸入口10と吐出口9との間に外部配管を設け、この配管中に流量調整弁を設けて流体機内部の上記流路を流れる流体量を調整することにより、第2回転軸13から出力される回転数を変化させることができる。
【0050】
また、第1インナロータ1aと第2インナロータ1b、及び回転吐出孔盤6と回転吸入孔盤7を互いに180°の位相を持たせて配置し、不平衡力を打ち消すようにした構成は、前記第1実施例と全く同一である。
【0051】
上記以外の構成は図1〜図4に示される第1実施例と同様であり、同一の部材は同一の符号で示す。
【0052】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、請求項1〜3の発明によれば、トロコイド歯形を備えた流体機械において、カム軸に軸方向に沿って180°の位相を存する第1、第2カムを設け、該第1、第2カムに第1、第2インナロータを公転、自転可能に嵌合するとともに該第1、第2インナロータを第1、第2アウタロータに噛合せしめ、さらに吸入孔を有する回転吸入孔盤及び吐出孔を有する回転吐出孔盤をカム軸に互いに180°の位相で取付けて、カム軸と同期回転させ、第1、第2インナロータ及び回転吸入孔盤、回転吐出孔盤により不平衡力の動的釣合いをなすように構成したので、インナロータを軸方向に2分割して180°の回転位相を存して配置するとともに、回転吸入孔盤と回転吐出孔盤とを180°の回転位相を存して配置して、回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤本来の非対称構造による不平衡力を利用し、流体機械自体の機能部材の構造、及び配置を適切に設定するのみで、重量の増加や流体機械の機能の低下を伴なうことなく、機械の完全な動的バランスを達成することができる。
【0053】
これにより、小型、軽量の構造で以って完全に動的平衡がなされ、高速化、大容量化が実現できるトロコイド歯形方式の流体機械を得ることができる。
【0054】
また、請求項4の発明によれば、2個のアウタロータを結合環とともに回転させ、これに出力軸を連結し、インナロータ、アウタロータ間で作動する流体の量を制御することにより、出力軸の回転数を制御することができ、前記のように完全な動的バランスがなされた可変速の流体変速機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るトロコイド歯形を備えた流体圧縮機の回転軸心線に沿う断面図。
【図2】前記実施例におけるカム軸の外観図。
【図3】前記実施例における各回転盤の正面図。
【図4】前記実施例におけるインナロータ、アウタロータの正面図。
【図5】本発明の第2実施例の図1応当図。
【図6】本発明の第2実施例のカム軸及び回転軸の外観図。
【符号の説明】
1a 第1インナロータ
1b 第2インナロータ
2a 第1アウタロータ
2b 第2アウタロータ
3 カム軸
31 第1カム
32 第2カム
4 結合環
5 ハウジング
6,65 回転吐出孔盤
61 吐出孔
7,75 回転吸入孔盤
71 吸入孔
9 吐出口
10 吸入口
11 回転連通孔盤
12 結合部材
13 第2回転軸
Claims (4)
- トロコイド歯形の外歯を有し、カム軸に公転及び自転可能に嵌挿されたインナロータを、トロコイド歯形の内歯を有するアウタロータに噛合し、前記両ロータの相対回転による噛み合い容積の変化により吸入口からの流体を吐出口に送出するように構成するとともに、前記カム軸をハウジングに軸支する軸受がカム軸の両側に位置するトロコイド式流体機械において、
前記カム軸に円周方向に180°の位相を存して第1カムと第2カムとを設け、
前記インナロータを、軸方向に第1インナロータと第2インナロータとに分設して、該第1インナロータを前記第1カムに、第2インナロータを前記第2カムに、夫々公転、自転自在に嵌合し、
前記アウタロータを軸方向に第1アウタロータと第2アウタロータとに分設して、両アウタロータの内歯に前記第1インナロータ及び第2インナロータをこの順に嵌合し、
作動流体の吸入孔が設けられるとともに不平衡重量を有する回転吸入孔盤及び作動流体の吐出孔が設けられるとともに不平衡重量を有する回転吐出孔盤を前記カム軸に双方の不平衡重量が互いに180°の位相をなすように、かつカム軸と同期して回転可能に取付け、
前記第1、第2インナロータ部分、並びに回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤の不平衡力を釣り合わせるように構成するとともに、
前記回転吸入孔盤及び回転吐出孔盤は前記軸受側に設けたカム軸の切欠部に夫々嵌合され、前記回転吐出孔盤は第1インナロータ及び第1アウタロータの側面に接しながら、又前記回転吸入孔盤は第2インナロータ及び第2アウタロータの側面に接しながら前記カム軸と一体となって回転するように構成したことを特徴とするトロコイド歯形を備えた流体機械。 - 前記第1インナロータと第2インナロータとの間に、カム軸にこれと同期回転可能に嵌合されるとともに、前記第1インナロータと第1アウタロータとの前記噛み合い容積と、前記第2インナロータと第2アウタロータとの前記噛み合い容積とを連通する回転連通孔盤を介装したことを特徴とする請求項1記載のトロコイド歯形を備えた流体機械。
- 前記第1アウタロータと第2アウタロータとが、両ロータの間に介装された結合環とともにハウジングに固定されてなる請求項1若しくは2記載のトロコイド歯形を備えた流体機械。
- 前記第1アウタロータと第2アウタロータと結合環とが前記カム軸の軸方向反対側に設けられた第2回転軸に連結され、該第2回転軸とともに回転可能にされた請求項1若しくは2記載のトロコイド歯形を備えた流体機械。
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