JP3641542B2 - 画像記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体レーザより出射されたレーザビームを記録媒体上に照射することにより画像を記録する画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような画像記録装置としては、例えば米国特許第4743091号明細書に記載されたように、互いに対をなす半導体レーザとコリメートレンズとを二次元的に多数配置し、各半導体レーザより出射されコリメートレンズによりコリメートされたレーザビームを、中間レンズ群と結像光学系とを介して記録媒体上に照射するものが知られている。
【0003】
一方、近年、画像記録装置が使用される製版工程等においては、印刷版に直接記録を行うダイレクト製版やマスク用フィルムに微小熱加工技術を利用して直接描画を行うドライフィルムプロセス等の、製版工程の合理化のための技術が一般化されつつあり、これに伴って画像記録装置の高出力化の要請が高まっている。そして、画像記録装置を高出力化するためには、画像記録装置に使用される半導体レーザ自体を高出力なものとする必要が生ずる。
【0004】
このような高出力の半導体レーザとしては、その発光領域である活性層と基板半導体との接合面(この明細書において単に「接合面」という)に垂直な方向においてはシングルモードで発振し、接合面に平行な方向においてはマルチモードで発振するものが一般的である。このような半導体レーザにおける発光領域は、その接合面に垂直な方向の寸法が1μm程度と小さく、また、接合面に平行な方向の寸法が(例えば、1W級の半導体レーザならば100μm程度と)大きくなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した画像記録装置における半導体レーザとして、このような接合面に垂直な方向の寸法が1μm程度、また、接合面に平行な方向の寸法が100μm程度の発光領域を有する半導体レーザを使用した場合においては、その発光領域が線状であることから、半導体レーザから出射され記録媒体上に結像されるレーザビームの像も一方向のみに延びる線状となり、所望の形状の画像を記録することが困難となる。
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザを使用した場合においても、レーザビームの像を非線状とすると共に、強度分布を均一にすることができる画像記録装置提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザと、前記半導体レーザの後段に配設され、前記半導体レーザから出射されたレーザビームに対して、前記接合面に垂直な方向においては遠視野像を形成し、前記接合面に平行な方向においては近視野像を形成する前段光学系と、前記前段光学系の後段に配設され、前記前段光学系を通過したレーザビームを受け記録媒体上に所定の像を形成する後段光学系と、前記前段光学系の後段で前記後段光学系に関して前記記録媒体と共役な位置に配置され、前記前段光学系を通過したレーザビームを成形するアパーチャと、を備え、前記記録媒体上において、前記半導体レーザの発光領域における接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を形成することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザと、前記半導体レーザの後段に配設された軸対称なコリメートレンズと、前記コリメートレンズの後段に配設され、その母線の方向が前記接合面と垂直な方向に配置された前記接合面と平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズと、前記シリンドリカルレンズの後段に配設され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを受け記録媒体上に所定の像を形成する後段光学系と、前記シリンドリカルレンズの後段で前記後段光学系に関して前記記録媒体と共役な位置に配置され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを成形するアパーチャと、を備え、前記記録媒体上において、前記半導体レーザの発光領域における接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を形成することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する複数個の半導体レーザと、前記複数個の半導体レーザの後段に各々配設された軸対称なコリメートレンズと、前記コリメートレンズの後段に配設され、その母線の方向が前記接合面と垂直な方向に配置された前記接合面と平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズと、前記シリンドリカルレンズの後段に配設され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを受け記録媒体上に所定の像を形成する後段光学系と、前記シリンドリカルレンズの後段で前記後段光学系に関して前記記録媒体と共役な位置に配置され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを成形するアパーチャとを備え、前記接合面に平行な面内において、前記コリメートレンズと前記シリンドリカルレンズとによりアフォーカル光学系を構成し、前記記録媒体上において、前記半導体レーザの発光領域における接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を形成することを特徴とする画像記録装置。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記複数個の半導体レーザは二次元的に多数配置されており、前記後段光学系は前記複数個の半導体レーザから出射されたレーザビームを一括して受け記録媒体上に所定の像を形成する両側テレセントリック光学系から構成され、前記アパーチャは、単一の板状部材に二次元的に穿設された構成を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
先ず、この発明に使用する、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザについて説明する。図1はこのような半導体レーザ1における発光領域32と、この発光領域32から出射されたレーザビームにおける近視野像(Near Field Pattern)および遠視野像(Far Field Pattern)とを示す模式図である。なお、この図におけるY方向は半導体レーザ1の接合面に垂直な方向を示し、X方向は半導体レーザ1の接合面に平行な方向を示す。
【0012】
この半導体レーザ1は、その出力が1W程度の高出力のレーザビームを出射するものであり、その発光領域32における接合面に垂直な方向(図1におけるY方向)においてはシングルモードで発振し、接合面に平行な方向(図1におけるX方向)においてはマルチモードで発振する。そして、この発光領域32の大きさは、シングルモードで発振する方向、すなわちその接合面に垂直な方向で1μm程度(以下、この方向を必要に応じ「短辺方向」という)、また、マルチモードで発振する方向、すなわち接合面に平行な方向で100μm程度(以下、この方向を必要に応じ「長辺方向」という)となっている。従って、この半導体レーザ1における発光領域32は、極めて細い線状の形状を有する。また、この半導体レーザ1から出射されるレーザビームの発散角は、短辺方向においては約60°(1/e2 、全幅)、また、長辺方向においては約10°(半値、全幅)となっている。
【0013】
図1に示す符号33nは、半導体レーザ1から出射されるレーザビームの短辺方向の近視野像における強度分布を、また、符号33fはその遠視野像における強度分布を示す。同様に、図1に示す符号34nは、半導体レーザ1から出射されるレーザビームの長辺方向の近視野像における強度分布を、また、符号34fはその遠視野像における強度分布を示す。
【0014】
この図に示すように、短辺方向においては、近視野像における強度分布33n、遠視野像における強度分布33fともガウス分布をなし、長辺方向においては、近視野像における強度分布34nはいわゆるトップハット状の形状を成す。なお、この種の半導体レーザ1においては、レーザビームにおける長辺方向の遠視野像における強度分布34fは不均一であり、また、例えば図1において一点鎖線で示すように、各々の半導体レーザ1において個体間のばらつきが大きいという特性を有する。
【0015】
このような半導体レーザ1を画像記録装置に使用した場合において、レーザビームの近視野像を記録媒体上に投影した場合には、記録媒体上に結像される半導体レーザ1から出射されたレーザビームの像が一方向のみに延びる線状となり、所望の形状の画像を記録することが困難となる。
【0016】
一方、レーザビームの遠視野像を記録媒体上に投影した場合においては、その長辺方向の遠視野像における強度分布34fが不均一であることから、例えば記録媒体としての感光材料の感光のスレッシュホールドレベルによっては、画像に筋状のむらを生じる等の問題を生ずる。さらに、例えば半導体レーザ1を多数配置したマルチビーム方式の画像記録装置においては、各半導体レーザ1間の長辺方向の遠視野像における強度分布34fの個体間のばらつきから、個々のレーザビーム毎に画像の記録幅等が異なる等の問題を生ずる。
【0017】
次に、この発明の実施の形態に係る画像記録装置の構成について説明する。図2はこの発明の第1実施形態に係る画像記録装置の構成を示す概要図である。なお、図2(a)は画像記録装置の短辺方向に沿った(図1におけるX方向から見た)断面を示し、図2(b)は画像記録装置の長辺方向に沿った(図1におけるY方向から見た)断面を示す。
【0018】
この画像記録装置は、半導体レーザ1と、コリメートレンズ2およびシリンドリカルレンズ3からなる前段光学系4と、アパーチャ板5と、第1レンズ6、第2レンズ7およびズームレンズ8よりなる後段光学系9とを有する。
【0019】
前記半導体レーザ1は、図3に示すように、略3行3列の状態で9個配設されている。ここで、図3に示すY方向は記録媒体10上に画像を記録する際における主走査方向を示し、X方向は同じく副走査方向を示す。このため、図3に示すように、9個の半導体レーザ1から出射されたレーザビームを副走査軸上に投影した場合においては、各レーザビームは一定のピッチPで配置される。また、各半導体レーザ1は、長辺方向が互いに平行となり、かつ、長辺方向が副走査方向を向くように配置されている。
【0020】
この半導体レーザ1は、図示しない画像信号発生部より送信される画像信号に対応して変調されたレーザビームを出射することにより、感光材料等の記録媒体10上に所望の画像を記録する。
【0021】
再度図2を参照して、前記前段光学系4は、軸対称なコリメートレンズ2と、その母線の方向が半導体レーザ1の短辺方向に配置された長辺方向に平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズ3とを有する。
【0022】
図4は、この前段光学系4の構成を説明するための概要図である。なお、図4(a)は前段光学系4の短辺方向に沿った断面を示し、図4(b)は前段光学系4の長辺方向に沿った断面を示す。
【0023】
前段光学系4を構成するコリメートレンズ2およびシリンドリカルレンズ3は、半導体レーザ1に対応して、各々9個配設されている。
【0024】
半導体レーザ1は、コリメートレンズ2の前側焦点位置にその発光領域12の中心が一致するように配置されている。また、また、シリンドリカルレンズ3は、その前側焦線がコリメートレンズ2の後側焦点を通るように配置されている。
【0025】
上述したように、半導体レーザ1は短辺方向においてシングルモードで発振していることから、短辺方向においては、図4(a)に示すように、半導体レーザ1から出射されたレーザビームは、コリメートレンズ2により平行なレーザビームに変換されて伝播し、コリメートレンズ2の後側焦点面である第1面41において遠視野像を形成する。この遠視野像は、図1に示す強度分布33fを有する。
【0026】
そして、第1面41において形成された遠視野像は、半導体レーザ1の発光領域12が短辺方向においては実質的に点とみなすことができることから、短辺方向にパワーを有しないシリンドリカルレンズ3を通過した後においても、遠視野像がほとんど崩れることなく、シリンドリカルレンズ3の後側焦点面である第2面42まで伝播する。
【0027】
一方、長辺方向においては、図4(b)に示すように、半導体レーザ1はマルチモードで発振している。また、長辺方向においては、前段光学系4を構成するコリメートレンズ2とシリンドリカルレンズ3とは、両側テレセントリックな結像光学系として機能するアフォーカル光学系を構成する。このため、図4(b)に示すように、単一の発光領域32から出射されたレーザビームは、コリメートレンズ2を通過することによりコリメートレンズ2の後側焦点面である第1面41において遠視野像を形成した後、シリンドリカルレンズ3を通過することによってその後側焦点面である第2面42に近視野像を形成する。この近視野像は、図1に示す強度分布34nを有する。
【0028】
このため、この前段光学系4によれば、第2面42上において、短辺方向には図1に示す強度分布33fを有する遠視野像が、また、長辺方向には図1に示す強度分布34nを有する近視野像が形成されることになる。従って、レーザビームの像を非線状とすると共に、強度分布を均一にすることが可能となる。
【0029】
なお、この前段光学系4においては、上述したように、長辺方向において、コリメートレンズ2とシリンドリカルレンズ3とは、両側テレセントリックな結像光学系として機能するアフォーカル光学系を構成している。このため、長辺方向においてマルチモードで発振する半導体レーザ1の発光領域12における各発光点から光軸に平行に出射するレーザビームの主光線群は、前段光学系4を通過後に、再び光軸に平行な主光線群となる。従って、この前段光学系4を通過した後のレーザビームの発散角は最小となり、後段光学系9内で遮光される(ケラレる)光量を最小とすることができ、光学系全体として高い効率を確保することが可能となる。
【0030】
再度図2を参照して、前記アパーチャ板5は、シリンドリカルレンズ3の後側焦点面である第2面42上に配置される。このアパーチャ板5は、図5に示すように、遮光性の板状部材35と、この板状部材35に穿設された円形のアパーチャ36とから構成される。なお、円形のアパーチャ36は、図3に示す半導体レーザ1の配置に対応して、板状部材35に対し9個配置されている。
【0031】
また、このアパーチャ板5は、後述する後段光学系9に関して、画像を記録すべき記録媒体10表面と共役な位置関係となっている。このため、上述した第2面42において、各半導体レーザ1からのレーザビームの位置や形状に若干のばらつきが存在したとしても、このアパーチャ板5におけるアパーチャ36の配置や形状を精度よく構成しておけば、画像の記録に用いられるレーザビームの配列や形状の精度を高精度に維持することが可能となる。従って、複数の半導体レーザ1や前段光学系4の調整に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。また、後段光学系9においても、このアパーチャ板5を基準とすることにより、その調整を容易にすることができる。
【0032】
但し、半導体レーザ1から出射されたレーザビームをこのアパーチャ板5を介して記録媒体10上に効率的に照射するためには、前段光学系4において短辺方向と長辺方向とのバランスのよいレーザビームを形成することにより、アパーチャ36に入射するレーザビームの形状とアパーチャ36の形状とが比較的類似した形状となっている必要がある。なお、前段光学系4により、必要な記録精度を得るに十分な程度まで短辺方向と長辺方向とのバランスが向上したレーザビームを形成した場合においては、アパーチャ板5はこれを省略することも可能である。
【0033】
再度図2を参照して、前記後段光学系9は、第2面42に配置されたアパーチャ板5におけるアパーチャ36の像を記録媒体10表面に縮小結像するための結像光学系として機能する。
【0034】
この後段光学系9は、両側テレセントリック光学系を形成する第1レンズ6および第2レンズ7と、同じく両側テレセントリック光学系を形成するズームレンズ8とを縦列配置した両側テレセントリック光学系となっている。また、上述したように、前段光学系4を通過したレーザビームの主光線群は、互いに平行な状態でアパーチャ板5を介して後段光学系9に入射する。このため、記録媒体101に照射される複数のレーザビームの主光線群は互いに平行な状態となり、記録媒体10が後段光学系9の結像面に対して多少前後方向に移動しても各レーザビーム間の位置関係は一定であることから、記録される画像寸法が変更されることはなく、高精度で画像の記録を行うことが可能となる。
【0035】
また、この後段光学系9は、両側テレセントリック光学系を形成するズームレンズ8を含むことから、上述した条件を維持しながら、必要とされる記録解像度に応じて、レーザビームのピッチや大きさを変更することが可能となる。
【0036】
以上のように構成された画像記録装置においては、シリンドリカルレンズ3の後側焦点面である第2面42上において、前段光学系4を通過したレーザビームは、短辺方向には図1に示す強度分布33fを有する遠視野像を、また、長辺方向には図1に示す強度分布34nを有する近視野像を形成する。そして、第2面41上に形成されたこれらの短辺方向の遠視野像および長辺方向の近視野像を有するレーザビームは、そのままの状態を維持したまま、アパーチャ板5に入射する。
【0037】
このため、像が非線状であると共に、強度分布が均一なレーザビームをアパーチャ板5に入射することができ、強度分布の不均一に起因する筋状のむらを生じることなく、レーザビームを有効に利用しながら記録媒体10上に所望の形状の画像を記録することが可能となる。
【0038】
より具体的には、上述した構成において、先に説明した構成の半導体レーザ1を使用し、かつ、上述したコリメートレンズ2を焦点距離4mmの非球面単レンズ、また、シリンドリカルレンズ3を焦点距離130mmの単レンズとした場合、第2面42上において、短辺方向には幅4.6mmの遠視野像が、また、長辺方向には幅3.25mmの近視野像が形成される。
【0039】
また、各々の半導体レーザ1において個体間のばらつきが大きい長辺方向の遠視野像を使用しないことから、この実施の形態のようにマルチビーム方式で画像を記録した場合においても、個々のレーザビーム毎に画像の記録幅等が異なる等の問題が生ずることはない。
【0040】
なお、前段光学系4において、第2面42上におけるレーザビームの大きさを変更するためには、その長辺方向に関しては図4(a)に示すコリメートレンズ2の焦点距離f1を変更すればよく、また、その短辺方向に関してはコリメートレンズ2の焦点距離f1とシリンドリカルレンズ3の焦点距離f2との比を変更すればよい。
【0041】
このとき、長辺方向と短辺方向とのバランスのよいレーザビームを形成するためには、上述したようにコリメートレンズ2の焦点距離をf1、シリンドリカルレンズ3の焦点距離をf2とし、また、発光領域32における短辺方向の長さをw1、発光領域32における長辺方向の長さをw2、短辺方向の発散角(半角)をθ1としたとき、第2面42上におけるレーザビームの短辺方向のビーム径[2・f1・tanθ1]が第2面42上におけるレーザビームの長辺方向のビーム径[w2・(f2/f1)]の1〜2倍となるようにすることが好ましい。
【0042】
次に、この発明の他の実施の形態について説明する。図6はこの発明の第2実施形態に係る画像記録装置の構成を示す概要図である。なお、図2の場合と同様、図6(a)は短辺方向に沿った(図1におけるX方向から見た)断面を示し、図6(b)は長辺方向に沿った(図1におけるY方向から見た)断面を示す。
【0043】
この第2実施形態に係る画像記録装置においては、前段光学系4に対するアパーチャ板5および後段光学系9の配置関係と、後段光学系9におけるレンズ構成とが、上述した第1実施形態に係る画像記録装置と異なる。なお、上述した第1実施形態に係る画像記録装置と同一の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
この第2実施形態においては、アパーチャ板5が前段光学系4の直後に配置されている。このため、アパーチャ板5の位置におけるレーザビームの状態は、短辺方向においては、上述したように、ほぼ遠視野像となっているが、長辺方向においては不確定である。
【0045】
しかしながら、例えば上述したように、コリメートレンズ2を焦点距離4mmの非球面単レンズ、また、シリンドリカルレンズ3を焦点距離130mmの単レンズとした場合等、シリンドリカルレンズ3の焦点距離がコリメートレンズ2の焦点距離に比べて十分長く、かつ、半導体レーザ1から出射されるレーザビームの発散角がその長辺方向において小さい場合等においては、アパーチャ板5の位置におけるレーザビームは、その長辺方向において実質上近視野像に近い状態となる。このため、アパーチャ板5を前段光学系4の直後に配置した場合においても、画像記録装置の性能が実質的に低下することはない。
【0046】
なお、この実施形態に係る後段光学系9も、第1実施形態と同様、両側テレセントリック光学系で構成されており、アパーチャ板5と記録媒体10とがこの後段光学系9に対して共役な位置関係で配置されている。なお、この後段光学系9においては、第1レンズ6は第1実施形態同様凸レンズを使用しているが、第2レンズ17は凹レンズを使用していることから、凸レンズと凹レンズとの組合せにより光学系の収差を補正することが可能となる。
【0047】
また、この第2実施形態に係る画像記録装置においては、画像記録装置全体の光路長を短くすることが可能となる。すなわち、シリンドリカルレンズ3の焦点距離をf2とし、第1レンズの焦点距離をf3、また、凹レンズたる第2レンズ17の焦点距離をf4(負の値)とした場合、第2実施形態に係る画像記録装置の光路長は第1実施形態に係る画像記録装置の光路長より[f2+f3−4f4]だけ短くなる。従って、画像記録装置全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【0048】
上述した実施の形態においては、いずれも、半導体レーザ1を二次元的に多数配置した場合について説明したが、半導体レーザ1は平面的に複数配置してもよく、また、単一の半導体レーザ1を使用してもよい。
【0049】
また、上述した実施の形態においては、いずれも、前段光学系4をコリメートレンズ2とシリンドリカルレンズ3とで構成した場合について説明したが、これらのコリメートレンズ2やシリンドリカルレンズ3にかえて、ゾーンプレートやホログラフィクな素子等を使用してもよい。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザから出射されたレーザビームに対して接合面に垂直な方向においては遠視野像を形成し接合面に平行な方向においては近視野像を形成する前段光学系を備えることから、半導体レーザより出射されるレーザビームにおける接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を利用して画像を記録することができる。このため、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザを使用した場合においても、像が非線状であると共に、強度分布が均一なレーザビームを利用して、所望の形状の画像を記録することが可能となる。
【0051】
また、前段光学系の後段に当該前段光学系を通過したレーザビームを整形するアパーチャを配設するとともに、アパーチャ面と記録媒体とを後段光学系に関して共役な位置に配置していることから、半導体レーザからのレーザビームの位置や形状に若干のばらつきが存在したとしても、アパーチャの配置や形状を精度よく形成しておけば、画像の記録に用いられるレーザビームの配列や形状の精度を高精度に維持することができる。従って、画像記録装置の調整に要する時間を短縮することが可能となる。
【0052】
請求項に記載の発明によれば、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザの後段に配設された軸対称なコリメートレンズと、コリメートレンズの後段に配設されその母線の方向が接合面と垂直な方向に配置された接合面と平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズとを備えることから、半導体レーザより出射されるレーザビームにおける接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を利用して画像を記録することができる。このため、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザを使用した場合においても、像が非線状であると共に、強度分布が均一なレーザビームを利用して、所望の形状の画像を記録することが可能となる。
【0053】
また、シリンドリカルレンズの後段に当該シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを整形するアパーチャを配設するとともに、アパーチャ面と記録媒体とを後段光学系に関して共役な位置に配置していることから、半導体レーザからのレーザビームの位置や形状に若干のばらつきが存在したとしても、アパーチャの配置や形状を精度よく形成しておけば、画像の記録に用いられるレーザビームの配列や形状の精度を高精度に維持することができる。従って、画像記録装置の調整に要する時間を短縮することが可能となる。
【0054】
請求項に記載の発明によれば、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する複数個の半導体レーザの後段に各々配設された軸対称なコリメートレンズと、コリメートレンズの後段に配設されその母線の方向が接合面と垂直な方向に配置された接合面と平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズとを備え、接合面に平行な方向においてコリメートレンズとシリンドリカルレンズとによりアフォーカル光学系を構成したことから、半導体レーザより出射されるレーザビームにおける接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を利用して画像を記録することができる。このため、その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザを使用した場合においても、像が非線状であると共に、強度分布が均一なレーザビームを利用して、所望の形状の画像を記録することが可能となる。このとき、複数個の半導体レーザから出射されシリンドリカルレンズを通過したレーザビームの発散角は最小となり、後段光学系内で遮光される光量が最小になる。このため、光学系全体として高い効率を確保することが可能となる。
【0055】
また、シリンドリカルレンズの後段に当該シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを整形するアパーチャを配設するとともに、アパーチャ面と記録媒体とを後段光学系に関して共役な位置に配置していることから、半導体レーザからのレーザビームの位置や形状に若干のばらつきが存在したとしても、アパーチャの配置や形状を精度よく形成しておけば、画像の記録に用いられるレーザビームの配列や形状の精度を高精度に維持することができる。従って、画像記録装置の調整に要する時間を短縮することが可能となる。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、画像の記録に用いられるレーザビームの配列や形状の精度を高精度に維持できるとともに、記録媒体が後段光学系の結像面に対して多少前後方向に移動しても画像寸法が変更されないので、高精度で画像の記録を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 半導体レーザ1における発光領域32と、この発光領域32から出射されたレーザビームの近視野像および遠視野像とを示す模式図である。
【図2】 この発明の第1実施形態に係る画像記録装置の構成を示す概要図である。
【図3】 半導体レーザ1の配置を示す正面図である。
【図4】 前段光学系4の構成を説明するための概要図である。
【図5】 アパーチャ板5の正面図である。
【図6】 この発明の第2実施形態に係る画像記録装置の構成を示す概要図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 コリメートレンズ
3 シリンドリカルレンズ
4 前段光学系
5 アパーチャ板
6 第1レンズ
7 第2レンズ
8 ズームレンズ
9 後段光学系
10 記録媒体
17 第2レンズ
32 発光領域
36 アパーチャ
f1 コリメートレンズの焦点距離
f2 シリンドリカルレンズの焦点距離

Claims (4)

  1. その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザと、
    前記半導体レーザの後段に配設され、前記半導体レーザから出射されたレーザビームに対して、前記接合面に垂直な方向においては遠視野像を形成し、前記接合面に平行な方向においては近視野像を形成する前段光学系と、
    前記前段光学系の後段に配設され、前記前段光学系を通過したレーザビームを受け記録媒体上に所定の像を形成する後段光学系と、
    前記前段光学系の後段で前記後段光学系に関して前記記録媒体と共役な位置に配置され、前記前段光学系を通過したレーザビームを成形するアパーチャと、を備え
    前記記録媒体上において、前記半導体レーザの発光領域における接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を形成することを特徴とする画像記録装置。
  2. その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する半導体レーザと、
    前記半導体レーザの後段に配設された軸対称なコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズの後段に配設され、その母線の方向が前記接合面と垂直な方向に配置された前記接合面と平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズと、
    前記シリンドリカルレンズの後段に配設され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを受け記録媒体上に所定の像を形成する後段光学系と、
    前記シリンドリカルレンズの後段で前記後段光学系に関して前記記録媒体と共役な位置に配置され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを成形するアパーチャと、を備え
    前記記録媒体上において、前記半導体レーザの発光領域における接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を形成することを特徴とする画像記録装置。
  3. その発光領域における接合面に垂直な方向がシングルモードで発光し、接合面に平行な方向がマルチモードで発光する複数個の半導体レーザと、
    前記複数個の半導体レーザの後段に各々配設された軸対称なコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズの後段に配設され、その母線の方向が前記接合面と垂直な方向に配置された前記接合面と平行な面内でパワーを有するシリンドリカルレンズと、
    前記シリンドリカルレンズの後段に配設され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを受け記録媒体上に所定の像を形成する後段光学系と、
    前記シリンドリカルレンズの後段で前記後段光学系に関して前記記録媒体と共役な位置に配置され、前記シリンドリカルレンズを通過したレーザビームを成形するアパーチャとを備え、
    前記接合面に平行な面内において、前記コリメートレンズと前記シリンドリカルレンズとによりアフォーカル光学系を構成し
    前記記録媒体上において、前記半導体レーザの発光領域における接合面に垂直な方向の遠視野像および接合面に平行な方向の近視野像を形成することを特徴とする画像記録装置。
  4. 請求項3に記載の画像記録装置において、
    前記複数個の半導体レーザは二次元的に多数配置されており、
    前記後段光学系は前記複数個の半導体レーザから出射されたレーザビームを一括して受け記録媒体上に所定の像を形成する両側テレセントリック光学系から構成され、
    前記アパーチャは、単一の板状部材に二次元的に穿設された構成を有する画像記録装置。
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