JP3641509B2 - 血液試料採取装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は血液試料採取装置、特に採血管から封止栓を取り外すことなく血液試料を採取する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体から血液を採取する場合、真空採血管等の採血管が利用される。その採血管は例えば試験管状のガラス容器として構成され、その頭部(上部)の開口は封止栓によって封止される。その封止栓としては、全体がゴム材で構成されたもののほか、アルミキャップの中央部のみがゴム材で構成されたもの等が用いられている。いずれにしても、封止栓においては、注射針が差し込まれる中央部があまり厚くないゴム材すなわち弾性体で構成される。
【0003】
採血管は、遠心分離機にかけられて血球(上部)と血清(下部)とが分離された後、血液分析のために血清のみが吸引・採取される。なお、血液採取後に血液試料として血漿が吸引・採取される場合もある。
【0004】
従来、そのような血液試料の採血管からの採取は、封止栓を人為的に除去してから、分注装置等に当該採血管をセットして自動吸引を実行させていた。しかし、多数の採血管に対して封止栓を除去するのは煩雑であって効率が悪い。そこで、封止栓を取り外すことなく、採血管内部の血液試料を自動的に吸引・採取する装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人が先に提案した特開平7−77527号公報及び特開平7−83807号公報では、1本の採取針を封止栓に突き通した後に採血管を逆さにし、その内部へのエアの送り込みと血液試料の排出とを繰り返し行うことが開示されている。しかし、採血管の内部の加圧と血液試料の流出とを繰り返し行わなければならないため、一般に時間がかかるという問題がある。
【0006】
米国特許番号第5,163,582号に開示された装置では、採血管の封止栓に穿刺される採取針の外壁に溝が形成されており、当該溝が通気路として機能することによって、採取針の中央孔から血液試料が採取されている。
【0007】
しかし、そのような構成の場合、通気路としての溝が封止栓のゴム弾性によって塞がれることが危惧され、その溝が塞がれた場合には血液試料の採取を円滑に行うことができないという問題がある。また、採取針を保持しているベース部材と封止栓の周囲との単なる当接によって空気を前記溝へ供給するための空間が形成されているため、採取針が封止栓に突き通された後に反作用によって採取針が若干でも引き戻されると、前記空間の気密状態が破られて、空気の加圧供給ができなくなるという問題がある。
【0008】
特開平1−135544号には、採血管に対して2本の針を刺し、その内で一方の針の開口を指で押さえながら空気の流量を調整し、他方の針を介して採血管内の血液試料を外部に流出させる構成が開示されている。しかし、用手法のため指で押さえる側の通路から血液試料が逆流して作業者が感染するおそれがあり、また基本的に自然な流出を行わせるものであるため、血液試料の採取に時間がかかるという問題がある。
【0009】
さらに、採血管内部を加圧する従来の血液試料採取装置では、もし採血管内部が加圧状態にある時に採取針が抜けたりあるいは採取針を備えたカプラーがカプラー台から外れたりした場合には、採血管内部の血液試料が外部へ吐出・飛散し、汚染や感染が生じてしまうという問題がある。
【0010】
なお、本願に関連する出願としては、特願平7−105291号(本願出願後に特開平8−304387号で公開されている)がある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、採血管内部の血液試料を効率的かつ安全に採取できる血液試料採取装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、上部開口が封止栓によって封止された密閉式の採血管から、その封止栓を取り外すことなく血液試料を採取容器へ採取する装置であって、前記採血管を倒立させた状態でその頭部を受け入れる部材であって、試料通路とエア通路とが形成された採取針を備えたカプラーと、前記カプラーと前記採取容器との間に介在配置される部材であって、前記カプラーを着脱自在に保持しつつそのカプラーに気密接合しかつ前記採取容器の上縁に気密接合する弾性部材で構成されたパッキングと、前記気密接合した採取容器の内部に連通するエア吸引路と、を備えたカプラー台と、前記エア吸引路に接続された吸引機構と、を含み、前記試料通路の一方側開口は前記採取針の先端部に形成され、前記試料通路の他方側開口は前記採取容器の内部空間へ臨む採取針下端部に形成され、前記エア通路の一方側開口は前記採取針の先端部に形成され、前記エア通路の他方側開口は前記採取容器の内部空間以外の外界に連通する位置に形成され、前記吸引機構によって前記採取容器内部のエアが吸引され、これにより前記エア通路が通気路として機能しつつ前記試料通路を介して前記採血管から前記採取容器へ血液試料が採取されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記構成において、前記エア通路は、前記採取針の先端部に形成された一方側開口から下方へ伸びる非貫通型の垂直路と、前記垂直路の下端から前記他方側開口まで水平方向に伸びる水平路と、で構成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記構成において、前記水平路は、前記採取針を保持するカプラー底壁内部に形成され、前記エア通路の他方側開口は、前記カプラー底壁の側面に形成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記構成において、前記カプラーは一体成形されてなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記構成において、前記パッキングは、カプラー台本体と前記カプラーとの間に介在される上部シール部と、前記カプラー台本体と前記採取容器との間に介在される下部シール部と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記構成において、前記下部シール部は、使用可能な採取容器の上部開口の大きさに適合して水平方向に広がっていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記構成において、前記カプラーは、前記採取針を取り囲んで、その採取針よりも高く筒状に形成されたガイドと、前記採取針下端部を取り囲んで、その採取針下端部よりも下方へ伸長し、かつ前記気密接合した採取容器の内部へ進入する筒状のカバーと、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記構成において、前記カプラー台には、前記カバーを挿通させる挿通孔が形成され、その挿通孔に前記パッキングが着脱自在に装着されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記構成において、前記カプラー台を昇降自在に保持する昇降機構を含み、前記カプラー台に前記カプラーが装着された状態において、前記倒立した採血管の頭部を前記カプラーに差し入れることにより、前記採取針が前記封止栓に突き通されると共に、前記カプラーが前記パッキングに対して押圧されて気密接合し、かつ前記カプラー台の下方に固定配置された前記採取容器の上縁が前記パッキングに押圧されて気密接合することを特徴とする。
【0021】
【作用】
上記構成によれば、カプラー台にはカプラーが装着され、そのカプラーには、倒立した状態の採血管が差し込まれる。この場合、カプラー台には、パッキングが配置され、そのパッキングによって、カプラーとカプラー台との間がシールされ、これと共にカプラー台と採取容器との間がシールされる。すなわち、パッキングは弾性部材で構成され、そのパッキングには、上方からカプラーが気密接合し、かつ下方から採取容器の上縁が気密接合する。
【0022】
このようなパッキングを介した気密接合状態においては、試料通路を介して採血管内部と採取容器内部とが連通することになり、また、エア通路を介して採血管内部が外界と連通することになる。
【0023】
すなわち、試料通路及びエア通路のいずれもその一方側開口は、採取針の先端部に形成されているが、試料通路の他方側開口は採取容器の内部空間へ臨む採取針下端部に形成され、一方、エア通路の他方側開口は、採取容器の内部空間以外の外界に連通する位置に形成されており、このような構成によって、採血管から採取容器への血液試料の流路と、採血管内部へエアを導入するための通気路と、が形成される。
【0024】
従って、カプラー台に形成されたエア吸引路に連通する吸引機構によって吸引を行うことにより、採取容器内部のエアが吸引されて、採取容器内部が負圧となり、この圧力勾配によって血液試料が採血管から試料通路を介して採取容器内部へ落ち込むことになる。この際、エア通路を介して外界からエアが採血管内部に取り込まれることになる。吸引機構によって、吸引を続行すれば、採血管内部からほぼ全ての血液試料を採取容器に移すことが可能となる。
【0025】
本発明によれば、パッキングによって採血管と採取容器との間が確実にシールされるため、吸引機構による吸引を確実に行うことができる。すなわち、パッキングは弾性部材で構成され、採取容器の上縁がパッキングへ押圧されると、パッキングが変形して採取容器との間が確実にシールされ、これと同様に、パッキングとカプラーとの間においても、両者の押圧によりパッキングが変形して両者間が確実にシールされる。
【0026】
また、本発明によれば、加圧と減圧とを繰り返す必要はなく、迅速に血液試料の採取を行うことができ、またそのような血液試料の採取に当たって、採血管の内部が常に大気圧以下に維持されるため、仮に採血管がカプラーから外れてしまったり、あるいはカプラーがカプラー台から外れてしまったりする場合においても、採血管から血液試料が外部へ吐出・飛散することが防止される。また、採血管内部が加圧されないため、エア通路を介して血液試料が外部へ流出する問題も回避できる。
【0027】
本発明の好適な態様においては、エア通路は垂直路と水平路とで構成され、その水平路はカプラー底壁内部に形成され、水平路の開口(他方側開口)は、カプラー底壁の側面に形成される。このような構成によれば、部材の接合を必要とせずに、カプラー自体に通気路を形成しておくことができる。よって、シールする部分の数を少なくできる。
【0028】
以上のように、本発明の好適な態様においては、カプラーは一体成形され、血液試料の採取後においては、採血管がカプラーに差し込まれた状態において両者が共に廃棄される。すなわち、本発明ではカプラーがディスポーザブル型として用いられ、一方、カプラー台は繰り返し使用される。なお、もちろんパッキングを交換可能としてもよい。
【0029】
本発明において、パッキングは上部シール部と下部シール部とを有し、上部シール部がカプラー台本体とカプラーとの間とのシールを行い、一方、下部シール部がカプラー台本体と採取容器の上縁との間とのシールを行う。これらの上部シール部及び下部シール部は弾性部材であり、上述したように、その弾性作用によって、シール効果が発揮されている。
【0030】
ここで、下部シール部は、使用可能な採取容器の上部開口の大きさに適合して、水平方向に広がって形成されており、このような構成によれば、パッキングやカプラー台を交換することなく、各種の大きさの採取容器に対応することが可能となる。
【0031】
本発明において、カプラーには、その上部に筒状のガイドが形成され、その下方に筒状のカバーが形成される。ここで、そのガイドは、採取針を取り囲んで、その採取針よりも高く形成されるものであり、このような構成によれば、倒立した採血管の頭部を案内して採取針への簡易かつ迅速な位置決めを行うことができると共に、採取針に不用意に指が触れてしまうことを防止できる。また、上記の筒状のカバーによって、採取針下端部から血液試料が下方に流出する際に、その血液試料が横方向に飛散しても、その飛散を阻止してパッキングに血液試料が接触・付着することを防止できる。これによって、パッキングを繰り返し使用することができる。もちろん、パッキングはその劣化により交換可能である。
【0032】
パッキングは、カプラー台に形成された挿通孔に着脱自在に装着され、磨耗などが生じた場合には、そのパッキングを交換することが可能である。よって、シール機能を常に良好な状態に維持して、安定かつ確実な血液試料の採取を行うことができる。
【0033】
本発明の好適な態様においては、昇降機構によってカプラー台が昇降自在に保持されている。従って、まず、カプラー台にカプラーを装着し、その状態において倒立させた採血管の頭部をカプラーに差し込むと、採取針が封止栓に突き通されると共に、カプラーがパッキングに気密接合し、これと同時に採取容器の上縁がパッキングに気密接合する。すなわち、採血管を上方から下方へ押圧することのみによって、採取針による封止栓の穿刺、カプラーとパッキングとの間とのシール、及びパッキングと採取容器との間とのシールの3つを同時に行うことができる。
【0034】
もちろん、カプラー台を固定して、上方から採血管を下方へ押圧すると共に、採取容器を下方から上方へ押圧しても同様の結果を得られるが、昇降機構によれば採血管の上方から下方への押圧のみによって、上述した3つの作用を同時に得られるので、装置の構成を複雑にすることなく容易に血液試料の採取を行うことができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0036】
図1及び図2には、本発明に係る血液試料採取装置の好適な実施例が示されており、図1はその要部構成を示す図であり、図2は装置の斜視図である。
【0037】
図1において、水平方向に配置されたカプラー台10には、カプラー12が着脱自在に配置される、ここで、カプラー台10は、後述する昇降機構によって、昇降自在に保持されている。
【0038】
カプラー12には、遠心分離処理後の採血管14が倒立した状態で上方から差し込まれる。遠心分離処理後においては、分離剤16を介して血球18が下方に位置し、血清20が上方に位置するが、図1においては採血管14が倒立した状態が示されているため、血清20は採血管14の下方に落ち込んでいる。なお、分離剤16は極めて粘性が高いため、それが下方へ落ち込むことはない。採血管14の頭部である上部開口は、封止栓であるゴム栓22によって封止されている。図1に示す例では、全体がゴム材で構成されたゴム栓22が示されているが、もちろん、中央部のみがゴム材で構成されたアルミシール栓などにも本発明を適用できる。
【0039】
カプラー台10の下方には、採取容器24が本実施例において固定的に配置されている。この採取容器24は、採血管14から流出する血清20を取り込むものであり、その上部開口は開放されている。
【0040】
ここで、カプラー12について詳述すると、カプラー12は、採取針26を中央部に起立保持する底壁28と、その底壁28の周縁から上方に起立した筒状のガイド30と、底壁28の下面側から下方へ伸長した筒状のカバー32と、で構成される。ガイド30は、その上部開口側にかけてやや広がっており、採血管14の頭部を受け入れやすくなっている。そして、そのガイド30の高さは、採取針26の高さよりも高く設定されており、操作者の指などが直接この採取針26の先端に触れることが防止されている。採血管14を倒立させた状態でその頭部をカプラー12に差し入れる際に、このカプラー12によって、採血管14の頭部が案内され、これによって繁雑な位置決めを行うことなくゴム栓22の中心を採取針26に位置決めすることができる。
【0041】
採取針26には、試料通路34とエア通路36とが形成されている。ここで、試料通路34は、採取針26を上下方向に貫通しており、具体的には、採取針26の先端部側面には、試料通路34の一方側開口34Aが形成され、カバー32内に収納された下方に突出する下端部38には、試料通路34の他方側開口34Bが形成されている。試料通路34の一方側開口34Aは、採取針26がゴム栓22に完全に突き通された状態において、ゴム栓22の裏面(図において上方側の面)よりも高く、かつその裏面近傍に設定されている。これは採取容器24へ血液試料を採取する際に採血管14内に残存する血清20の量を極力少なくするためである。
【0042】
図1に示されるように、試料通路34の他方側開口34Bを有する下端部38は、その高さがカバー32よりも低い位置に設定されており、換言すれば、この他方側開口34Bは完全にカバー32によって包み込まれている。ここで、カバー32は、採取容器24内へその一部が進入して、採取容器24内部を臨む位置まで伸長しており、他方側開口34Bから血清20が下方に流出して、その際に血清20が横方向へ飛散しても、カバー32によってその飛散を阻止できる。よって、後述するパッキング40やカプラー台本体42にその飛散した血清20が接触したり付着したりすることはない。
【0043】
上述したエア通路36は、垂直路36A及び水平路36Bで構成され、エア通路36の一方側開口36C、すなわち、垂直路36Aの上部開口は、採取針26の先端部に形成されている。また、エア通路36の他方側開口36D、すなわち、水平路36Bの端部開口は、カプラー12の底壁28の側面に形成されている。このように、エア通路36は、図1に示されるように、L字型に形成され、垂直路36Aの下端と、水平路の一方端とが連通している。
【0044】
本実施例において、カプラー12は一体成形されており、その採取針の直径は例えばφ1.5mmであり、試料通路34及びエア通路36の内径は、例えばφ0.5mmである。なお、各通路34及び36の内径は同一である必要はない。カプラー台10は、上述したカプラー台本体42とパッキング40とで構成され、カプラー台本体42に形成された挿通孔42Aにパッキング40が装着される。パッキング40は、上下方向に貫通孔を有しており、その貫通孔に上記のカバー32が挿通されている。パッキング40は、筒状の胴部40Aと、その胴部40Aの上縁から水平方向に広がるリング状の上部シール部40Bと、胴部42Aの下縁から水平方向にリング状に広がる下部シール部40Cと、で構成される。
【0045】
図1に示されるように、上部シール部40Bは、カプラー台本体42の上面とカプラー12の底壁28の下面との間に介在して両者間のシールを行うものである。また、下部シール部40Cは、カプラー台本体42の下面と採取容器24の上縁24Aとの間に介在してシールを行うものである。
【0046】
パッキング40は、ゴム材などの弾性部材で構成されるため、上部シール部40B及び下部シール部40Cは、押圧によって若干の弾性変形を生じ、これによってシール性が向上されている。
【0047】
下部シール部40Cの下面である下部当接面40Eは、使用可能な各種の採取容器24の大きさに合わせて水平方向に広がっており、すなわち一定のリング幅で形成されており、かかる構成によって、パッキング40を交換することなく各種の採取容器24に対応することが可能である。なお、カプラー12の底壁28の下面と上部シール部40Bの上面とのシール性を高めるため、底壁28の下面に円環状の突起を形成することも好適である。すなわち、その2つの面間にごみなどが存在した場合にシール性が低下することが危惧されるため、そのような円環状の突起によってパッキング40の弾性を有効利用しつつシール性を高めるものである。
【0048】
本実施例では、カバー32の外径よりも、パッキング40の貫通孔の内径がやや大きく設定されており、これによってパッキング40とカバー32との間に隙間46が形成されて、この隙間46は、胴部40Aに形成された開口40Fを介して、カプラー台本体42に形成されたエア吸引路48に連通している。
【0049】
このエア吸引路48は、吸引機構(図示せず)に連通するものであり、吸引機構によってエア吸引路48、開口40F及び隙間46を介して採取容器24内部のエアが吸引される。
【0050】
もちろん、パッキング40において、その貫通孔の内径をカバー32の外径に実質的に一致させて、その両者間においてシールを達成することもできる。この場合には、隙間46の代わりに、パッキング40に切り欠きなどを形成し、上述したエアの吸引経路を確保する。本実施例では、上述したように、カバー32の外径よりもパッキング40の貫通孔の内径の方が大きく設定されているため、パッキング40の内面における磨耗は基本的に生じず、上部シール部40Bの上面及び下部シール40Cの下面(下部当接面)においてのみシールが行われて、磨耗によるシール性の低下を低減できる。
【0051】
以上のように、本実施例によれば、パッキング40によって、カプラー台10とカプラー12との間のシール及びカプラー台10と採取容器24との間のシールを確実に行うことができ、このような前提の下で、吸引機構によって採取容器24内のエアが吸引され、エア通路36が通気路として機能しつつ、採血管14内部の血清20が試料通路34を介して採取容器24内へ採取されることになる。この場合において、本実施例では、採血管14内部は常に大気圧以下に維持され、すなわち採血管14内部の加圧が行われないため、エア通路36からの血清20の逆流を防止できる。また、採血管14が突発的にカプラー12から外れた場合などにおいて、採血管14から血清20が外部へ吐出・飛散することを防止でき、これによって汚染や感染という問題を回避できる。
【0052】
次に、図2を用いて本実施例の血液試料採取装置の全体構成について説明する。装置本体50のベース52上には、ラック54をスライドさせるためのレール56が形成されている。ここで、ラック54には採取容器24が起立保持され、この採取容器24の上下方向の高さは固定されている。
【0053】
装置本体50には、水平方向に飛び出たテラス状のカプラー台10が昇降自在に保持される。具体的には、装置本体50の内部には、このカプラー台10を昇降させるための昇降機構が内蔵されており、装置本体50に形成されたスリット50Aを通過するカプラー台10のアームが前記昇降機構に保持されている。なお、この昇降機構によって、カプラー台10は、常時上方へ付勢されており、人為的な押圧力を作用させることによって、カプラー台10を下方へ下降させることができる。
【0054】
カプラー台10には、上述したように、カプラー12が装着され、そのカプラー12には採血管14が倒立した状態で差し込まれる。
【0055】
装置本体50には、カプラー台10の適正な下降位置、すなわち、採取容器24の上縁がパッキング40に適切に押圧されて、各シール及び穿刺が確実に行われた状態が検出するためのリミットスイッチ56が設けられている。このリミットスイッチ56がONすると、その出力信号に基づいて吸引制御部が吸引ポンプを駆動することによりエア吸引が開始される。
【0056】
なお、この装置本体50には、上述した吸引機構を構成する吸引ポンプや吸引制御部などが内蔵されている。
【0057】
次に、図1及び図2を参照しながら、図3及び図4を用いて本実施例の血液試料採取装置の動作について説明する。
【0058】
図3(A)に示すように、まず、カプラー台10の下方にラック54によって起立保持された採取容器24が位置決めされる。この状態では、図2に示したように、カプラー台10が上方にはねあげられているため、採取容器24の上縁とパッキング40とが離れている。
【0059】
次に、図3(B)に示すように、操作者によって、カプラー台10にカプラー12が装着される。これは、図1に示したように、パッキング40に形成された貫通孔内にカプラー12のカバー32を差し込むことによって行われる。
【0060】
図3(C)に示すように、カプラー台10にカプラー12が装着された後、遠心分離処理がなされた後の採血管14が倒立した状態で上方から差し込まれる。この場合、筒状のガイド30によって、採血管14の頭部が案内されつつゴム栓22の中心が採取針26に位置決めされる。
【0061】
図4(D)に示すように、採血管14を更に下方に押し下げると、採取針26がゴム栓20に突き通され、これと同時にパッキング40によって、カプラー台10とカプラー12との間がシールされ、かつカプラー台10と採取容器24との間がシールされる。すなわち、カプラー台10は昇降自在に保持されており、採血管14の上方から下方への押圧力が採取針26の穿刺作用及び2つのシール作用に転換される。
【0062】
以上のような採血管14の差し込みが完了した後、吸引機構によって、採取容器24内部のエアが吸引される。この状態が図4(E)に示されている。このような血清20の採取時には、それが完了されるまで操作者によって採血管14が下方へ押圧される。
【0063】
吸引機構によって吸引を開始すると、採取容器24内部のエアが吸引され、その採取容器24内部が大気圧以下となり、これによって、採血管14内部の血清20が図1に示した試料通路34を通って、下方へ流出することになる。この際、図1に示したエア通路36が通気路として機能し、外部から採取容器24の内部へエアが導入される。採取容器24内部のエア吸引を続行すれば、これらの一連の作用が連続的に継続され、最終的にほぼ全ての血清20が採取容器24内に取り込まれることになる。本実施例では、採血管14を差し込んでから血清20の採取が完了するまで、例えば10秒程度である。
【0064】
血清の採取が完了した後、図4(F)に示すように、採血管14が差し込まれたままのカプラー12を操作者がつまみ上げ、これらの両者を互いに分離させることなくそのまま廃棄する。この場合、昇降機構によってカプラー台10は上方にはね上げられる。血清20が採取された採取容器24は、新しいものに交換され、これと同様に新しいカプラー12がカプラー台10にセットされる(図3(A)及び(B)参照)。
【0065】
本実施例においては、図1に示したように、カバー32によって試料流路34の他方側開口34Bが完全に包み込まれているため、そこから飛散する血清がパッキング40やカプラー台本体42に付着することはなく、カプラー台10自体を繰り返し利用することが可能である。もちろん、パッキング40は、カプラー台本体42に形成された挿通孔42Aに単に嵌め込まれているだけであるので、容易にそのパッキング40を新たなものに交換して気密性を維持することができる。このように、本実施例では、汚染される部材の物量を削減してコストダウンを図ることができる。
【0066】
図2に示した実施例においては、操作者によって採血管14がカプラー12に差し込まれ、かつ押圧されていたが、これらは自動化することも可能である。本実施例では、このような人為的な手法によって、採血管14からの血清の採取を行う場合においても、上述したように採血管14の内部は常に負圧に維持されるため、たとえ突発的に採血管14がカプラー12から外れても採血管14から血清が外部に噴出することはなく、操作者の感染などを防止して安全性を高めることができる。また、パッキングによって、各部材間のシールを簡単かつ確実に達成することができるので、血清の採取を確実に行うことができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、パッキングによって、カプラーとカプラー台とのシール性を高めることができ、かつカプラー台と採取容器との間のシール性を高めることができる。従って、確実な血液試料の採取を達成できる。
【0068】
また、本発明では、採血管内部が常に大気圧以下に維持されるため、仮にトラブルが生じてカプラーから採血管が外れた場合においても、その採血管には外部からエアが吸い込まれるだけであり、採血管から血液試料が外部へ噴出したりすることはなく、汚染や感染の問題を回避できる。また、本発明によれば、各種の大きさの採取容器に適合したパッキング構造が採用されているため、採取容器の形状が異なるごとにカプラー台やパッキングなどを交換する繁雑さを回避できる。
【0069】
また、本発明によれば、倒立した採血管を上方から下方へ押圧することのみによって、穿刺及び2つのシールを同時に達成できるので、簡単かつ確実な血液試料の採取を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る血液試料採取装置の要部構成を示す図である。
【図2】 本発明に係る血液試料採取装置の斜視図である。
【図3】 本発明に係る血液試料採取装置の動作を説明するための図である。
【図4】 本発明に係る血液試料採取装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
10 カプラー台、12 カプラー、14 採血管、20 血清、22 ゴム栓、24 採取容器、26 採取針、28 底壁、30 ガイド、32 飛散防止カバー、34 試料通路、36 エア通路、40 パッキング、42 カプラー台本体。
Claims (9)
- 上部開口が封止栓によって封止された密閉式の採血管から、その封止栓を取り外すことなく血液試料を採取容器へ採取する装置であって、
前記採血管を倒立させた状態でその頭部を受け入れる部材であって、試料通路とエア通路とが形成された採取針を備えたカプラーと、
前記カプラーと前記採取容器との間に介在配置される部材であって、前記カプラーを着脱自在に保持しつつそのカプラーに気密接合しかつ前記採取容器の上縁に気密接合する弾性部材で構成されたパッキングと、前記気密接合した採取容器の内部に連通するエア吸引路と、を備えたカプラー台と、
前記エア吸引路に接続された吸引機構と、
を含み、
前記試料通路の一方側開口は前記採取針の先端部に形成され、前記試料通路の他方側開口は前記採取容器の内部空間へ臨む採取針下端部に形成され、
前記エア通路の一方側開口は前記採取針の先端部に形成され、前記エア通路の他方側開口は前記採取容器の内部空間以外の外界に連通する位置に形成され、
前記吸引機構によって前記採取容器内部のエアが吸引され、これにより前記エア通路が通気路として機能しつつ前記試料通路を介して前記採血管から前記採取容器へ血液試料が採取されることを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記エア通路は、
前記採取針の先端部に形成された一方側開口から下方へ伸びる非貫通型の垂直路と、
前記垂直路の下端から前記他方側開口まで水平方向に伸びる水平路と、
で構成されたことを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項2記載の装置において、
前記水平路は、前記採取針を保持するカプラー底壁内部に形成され、
前記エア通路の他方側開口は、前記カプラー底壁の側面に形成されたことを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項3記載の装置において、
前記カプラーは一体成形されてなることを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記パッキングは、
カプラー台本体と前記カプラーとの間に介在される上部シール部と、
前記カプラー台本体と前記採取容器との間に介在される下部シール部と、
を有することを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項5記載の装置において、
前記下部シール部は、使用可能な採取容器の上部開口の大きさに適合して水平方向に広がっていることを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記カプラーは、
前記採取針を取り囲んで、その採取針よりも高く筒状に形成されたガイドと、
前記採取針下端部を取り囲んで、その採取針下端部よりも下方へ伸長し、かつ前記気密接合した採取容器の内部へ進入する筒状のカバーと、
を有することを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記カプラー台には、前記カバーを挿通させる挿通孔が形成され、その挿通孔に前記パッキングが着脱自在に装着されることを特徴とする血液試料採取装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記カプラー台を昇降自在に保持する昇降機構を含み、
前記カプラー台に前記カプラーが装着された状態において、前記倒立した採血管の頭部を前記カプラーに差し入れることにより、前記採取針が前記封止栓に突き通されると共に、前記カプラーが前記パッキングに対して押圧されて気密接合し、かつ前記カプラー台の下方に固定配置された前記採取容器の上縁が前記パッキングに押圧されて気密接合することを特徴とする血液試料採取装置。
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