JP3640914B2 - 自動給湯風呂装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽水位等の状態量の検出信号処理を簡易化した自動給湯風呂装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の全自動式の給湯風呂装置は、自動的に一定温度の湯を所望水位まで浴槽に注湯する機能を有しているので、手間がかからず快適な入浴が可能である。
【0003】
ところで、最近の住宅建築構造の多様化により、給湯器と浴槽との配置関係をその住宅建築構造に応じて設定する必要が出てきた。この点、前述の全自動式給湯風呂装置によれば、強力なポンプを備えているので、十分対応することができる。例えば、浴槽Bが二階で給湯器Whが一階というタイプ(図7参照)、浴槽Bが一階で給湯器Whが浴室外壁に埋設されたタイプ等が、新たに見受けられるようになってきた(図8参照)。
【0004】
このために、浴槽と給湯器との設置位置の落差が拡大化し、浴槽の水位を検出しなければならない範囲が概ね+4m〜−2mに拡がることとなった。かかる浴槽の水位を精度よく測定することは、運転機能上重要なことである。
【0005】
水位検出をするための具体的な手段としては、給湯器から浴槽に至る給湯配管に設けられた圧力センサSによって水圧を検出し、この水圧にかかる信号を増幅器Aにて増幅して制御回路Cに導入し、AD変換器によりディジタル信号に変換して制御処理を行う構成を挙げることができる(図9参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、問題になるのは検出精度である。圧力センサS及び増幅器Aは精度上問題はないが、ここでのAD変換器は8ビットであり、水位検出範囲のフルスケール(+4m〜−2m)をカバーしようとすると、分解能は、
6000(mm)/28 =23.4(mm)
となり、実用上要求される検出精度は±20(mm)であるから、このままでは使用不能である。
【0007】
この場合、高分解能のAD変換器を採用することが考えられるが、ビット数の増加とともに、回路構成も複雑になり、部品点数が大幅に増加して大型化するので、当然、製品価格が大幅に上昇し、実用的でない。
【0008】
そこで、本発明は、高分解能のAD変換器等を用いることなく水位等の状態量の検出精度を高めた自動給湯風呂装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動給湯風呂装置は、検出された水位、温度等の状態量に応じて所定の制御を行う自動給湯風呂装置(全自動給湯風呂装置1)であって、特定の検出範囲内にある状態量を検出し、その状態量を表す検出信号を発生する検出手段(例えば、圧力センサ13)と、この検出手段の前記検出範囲を一部に重複部分を持たせて複数の検出範囲に分割するとともに複数の増幅器を設け、各増幅器に前記検出範囲と対応する増幅範囲を割り当て、前記増幅範囲毎に前記検出信号を個別に増幅するとともに、ディジタル信号に変換し、このディジタル信号を処理して前記検出信号に応じた制御出力を発生する制御手段(給湯制御部14)とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このように状態量の検出範囲を分割するとともに複数の増幅器を設け、分割された各検出範囲に増幅器の増幅範囲を割り当て、増幅範囲毎にAD変換を行って検出信号を処理している。即ち、全体の検出範囲に比較して狭い分割された検出範囲毎に個別に信号処理するようにしたので、見かけ上の分解能を上げることができ、検出精度の向上とともに、質の高い制御を実現することができる。
【0011】
また、本発明の自動給湯風呂装置において、前記制御手段は、前記検出手段の前記検出範囲を一部に重複部分を持たせて複数の検出範囲に分割するとともに複数の増幅器(オペアンプ22、23、25、26)を設け、各増幅器に前記検出範囲と対応する増幅範囲を割り当て、前記増幅範囲毎に前記検出信号を個別に増幅して出力する増幅手段(増幅回路15、16)と、この増幅手段で得られた複数の前記出力信号をディジタル信号に変換し、このディジタル信号を処理して前記検出信号に応じた制御出力を発生する演算回路(17)とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の自動給湯風呂装置において、前記状態量が浴槽水位であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の自動給湯風呂装置において、前記検出範囲から分割された前記検出範囲の重複部分は、浴槽(3)の水位検出部からその浴槽の最高水位までの高さより大きく設定したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図4は自動給湯風呂装置の実施例を示し、図1はその全体構成、図2及び図3はその給湯制御部の構成、図4は増幅回路の構成を示している。
【0016】
全自動給湯風呂装置1は、給湯装置2から浴槽3に配管4a、4bを介して注湯、並びに浴槽水の追焚循環を行う構成である。
【0017】
給湯装置2は給湯器5と追焚熱交換器6とホッパ7とを具備し、給湯器5から冷水、温水が配管8を通り弁9を介してホッパ7に供給されるようになっており、ホッパ7から流路切換弁10、循環ポンプ11、流路切換弁12、追焚熱交換器6、配管4aを介して浴槽3に至るように構成されている。また、浴槽3から温水が配管4b、流路切換弁10、循環ポンプ11、流路切換弁12を介して追焚熱交換器6に至るように構成されている。さらに、給湯装置2内の配管4bには、浴槽水の水位を検知するための圧力センサ13が設けられている。
【0018】
そして、給湯装置2には、給湯装置2を構成する要素を操作制御するための給湯制御部14が設けられている。
【0019】
給湯制御部14は、圧力センサ13等、各種の検出手段による検出信号mを取り込み、リモコン手段(図示せず)からの操作指令信号VC を取り込んで信号処理を行い、操作制御信号VO を導出するものである。
【0020】
そこで、給湯制御部14は、図2に示すように、圧力センサ13による検知信号(電圧信号)を取り込んで信号増幅する第1、第2の増幅回路15、16を有し、これら増幅信号をディジタル信号に変換して、演算回路17にて信号処理を行う構成である。また、給湯制御部14は、例えば、図3に示すように、増幅回路15、16からの出力信号をアナログスイッチで切り換えて一つのAD変換器を用いて処理を行ってもよい。
【0021】
そして、増幅回路15は、図4に示すように、反転増幅回路18、19を2段に接続構成し、また、増幅回路16も、反転増幅回路20、21を2段に接続構成している。
【0022】
この増幅回路15において、第1段側の反転増幅回路18は、オペアンプ22と抵抗器R1 、R2 によって構成され、第2段側の反転増幅回路19は、オペアンプ23と抵抗器R3 、R4 によって構成される。第1段側の反転増幅回路18の出力側を第2段側の反転増幅回路19の抵抗器R3 に接続している。また、これらオペアンプ22、オペアンプ23の+入力端子を、シフト回路24を構成する可変抵抗器VR1 を介して接地している。
【0023】
また、増幅回路16において、反転増幅回路20は、オペアンプ25と抵抗器R1 、R2 によって構成され、反転増幅回路21は、オペアンプ26と抵抗器R3 、R4 によって構成される。また、これらオペアンプ25、26の+入力端子を、シフト回路27を構成する可変抵抗器VR2 を介して接地している。
【0024】
以上のように構成された各増幅回路15、16において、圧力センサ13からの検知信号(電圧信号)は、増幅回路15の反転増幅回路18におけるオペアンプ22に抵抗器R1 を介して印加されるとともに、さらに、増幅回路16の反転増幅回路20におけるオペアンプ25に、抵抗器R1 を介して印加されるようになっている。
【0025】
オペアンプ22、23の+入力端子の可変抵抗器VR1 と、オペアンプ25、26の+入力端子の可変抵抗器VR2 の抵抗値を調整することによって、検出範囲にかかる検知信号(電圧信号)を分割し、それぞれ、分割された検出範囲にかかる検知信号を増幅する構成である。
【0026】
即ち、増幅回路15のオペアンプ22のシフト回路24において、可変抵抗器VR1 を調整して、+入力端子にかかる電圧が1V(水位−2mに対応する)とし、増幅回路16のオペアンプ25のシフト回路27において、可変抵抗器VR2 を調整して、+入力端子にかかる電圧が2.5V(水位+1m)となるように調整している。
【0027】
次に、作用を説明すると、全自動給湯風呂装置1において、給湯装置2から浴槽3に配管4a、4bを介して浴槽3に設定水位まで注湯を行うと、給湯装置2内の配管4bを介して浴槽水が圧力センサ13まで導入され、圧力センサ13によって、浴槽水の圧力を検知することができる。
【0028】
給湯制御部14において、圧力センサ13からの検知信号(電圧信号)1〜4Vが増幅回路15の反転増幅回路18における抵抗器R1 を介してオペアンプ22に印加されるとともに、増幅回路16の反転増幅回路20における抵抗器R1 を介してオペアンプ23に印加される。
【0029】
ここで、増幅回路15のオペアンプ22のシフト回路24において、可変抵抗器VR1 を調整して+入力端子にかかる電圧が1V(水位−2mに対応する)とし、増幅回路16のオペアンプ25のシフト回路27において、可変抵抗器VR2 を調整して+入力端子にかかる電圧が2.5V(水位+1m)となるように調整すると、検知信号(電圧信号)が2.5Vで増幅回路15は飽和(出力5V)し、増幅回路16は検知信号2.5Vで出力が0Vで、検知信号4Vで飽和(出力5V)する。
【0030】
これによって検出範囲(−2m〜+4m)にかかる検知信号(1〜4V)を、検出範囲(−2m〜+1m)内の検知信号(1〜2.5V)を増幅回路15で増幅して取り出し、検出範囲(+1m〜+4m)内の検知信号(2.5V〜4V)を増幅回路16で増幅して取り出し、分割された検出範囲毎に増幅出力を個別に取り出すことができる。
【0031】
このようにして圧力センサ13からの検知信号は、検出範囲(−2m〜+1m)と検出範囲(+1m〜+4m)とに分割して出力を取り出すことができ、それぞれ、ディジタル信号に変換して、演算回路17にて信号処理が実行される。
【0032】
ここで、増幅回路15、16の入出力特性を図5に示す。増幅回路15により増幅される検出範囲(−2m〜+1m)にかかる検知信号(1〜2.5V)、増幅回路16により増幅される検出範囲(+1m〜+4m)にかかる検知信号(2.5V〜4V)において分解能は、
3000(mm)/28 ≒11.72(mm)
ということになり、実用上要求される分解能±20(mm)からすると、分解能が向上し、検出精度が向上したことがわかる。
【0033】
次に、本発明の自動給湯風呂装置では、検出された状態量に対して以下の通り検出範囲を分割処理することもできる。本実施例においても、信号処理装置は、前述の実施例と同構成であるので、構成説明を省略する。
【0034】
本実施例においても、全体の検出範囲を分割して処理を行うが、例えば、図6に示すように、全体の検出範囲の中から実際に必要な検出範囲を特性が重複するように構成して分割処理を行うようにしてもよい。図中、h2 は、図7又は図8に示す装置において、検出口から浴槽Bに設定した最高水位までの高さh1 より大きくなるように範囲を設定したものである。
【0035】
ここで、分割処理の具体例を挙げて説明する。高さh1 を例えば55cmとすると、図6に示す高さh2 を60cmと設定する。そして、全体の高さ(−2m〜+4m)の範囲の中間の+1mを中心として、ここより±30cmをh2 の範囲として設定する。
【0036】
増幅回路15において、可変抵抗器VR1 が1Vになるように調整し、増幅回路15の出力特性が+1.3mの点(2.65V)で飽和するように抵抗器R4 を調整する。
【0037】
一方、増幅回路16では、可変抵抗器VR2 を+0.7mの点(入力電圧2.35V)に調整し、増幅回路16の出力特性が+4mの点(4V)で飽和するように抵抗器R4 を調整する。
【0038】
浴槽Bの水位検出口の水位が増幅回路15、16の増幅範囲の重複部より下側に外れたa点であるときには、浴槽Bに設定した最高水位b点までの間隔が重複部中に包含されるため、増幅回路15で増幅してAD変換器に信号を送り、b−aの水位を検出する。
【0039】
また、浴槽Bの水位検出口の水位が増幅回路15、16の増幅範囲の重複部中にあるc点であるときには、浴槽Bに設定した最高水位d点までの間隔が重複部中を逸脱するため、増幅回路16で増幅してAD変換器に信号を送り、d−cの水位を検出するものである。
【0040】
以上のように検出信号を分割して処理すれば、重複部h2 の範囲を浴槽Bの水位検出口の位置から浴槽Bに設定した最高水位までの高さh1 より大きく設定することにより、信号検出を増幅回路15と、増幅回路16にそれぞれ依存させることができ、測定効率が良好となる。
【0041】
ところで、オペアンプ22、23、25、26は、動作中の周囲温度の変化や、抵抗器の発熱によって温度ドリフトが発生し、増幅回路15、16の出力特性は変動して図6の特性の傾きが変化するが、増幅はリニアに行っているから、a点、b点の位置関係は変わりがなく、温度補償回路を特別に設けなくても良好に水位を検出することができる。
【0042】
以上、実施例を挙げて説明したが、何れにしても検出範囲を分割して、それぞれ別に出力を取り出すようにし、AD変換を行って演算回路に導入し、信号処理を行うようにしたので、分解能を小さくすることができ、高分解能のAD変換器を使用しなくても検出精度を高めることができる。なお、実施例においては、検出範囲を二つに分けた実例を挙げて説明したが、必要に応じて三つ、四つに分割し、信号処理を行うことができる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次のような効果が得られる。
a 水位等の状態量を一部に重複部分を持たせて複数の検出範囲に分割して各増幅器の増幅範囲に割り当て、各増幅出力にAD変換を行い、ディジタル信号を処理して制御を行うので、見かけ上の分解能を高めることができ、高分解能のAD変換器を用いることなく検出精度を高めることができるとともに、コストアップを抑えることができ、簡易で制御性の良好な給湯制御等を実現することができる。
b 全体の検出範囲に対して、一部を重複させて分割すると、増幅回路の温度補償が不要となり、その調整が簡単になるとともに、良好な信号処理を行うことができる。
c 給湯装置と浴槽の設置位置関係に左右されることなく、精度の高い水位検出等の状態量の検出が可能となり、良好な水位制御等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動給湯風呂装置を示す系統図である。
【図2】給湯制御部の一例を示すブロック図である。
【図3】給湯制御部の他の例を示すブロック図である。
【図4】検出信号の分割範囲に対応して増幅範囲を割り当てた増幅回路の一例を示す図である。
【図5】増幅回路の検出信号と出力信号の関係特性を示す図である。
【図6】増幅回路の検出信号と出力信号の関係を示す特性グラフである。
【図7】浴槽と給湯器の配置関係の一例を示す説明図である。
【図8】浴槽と給湯器の配置関係のもう一つの例を示す説明図である。
【図9】水位検出の信号処理のための説明図である。
【符号の説明】
1 全自動給湯風呂装置
3 浴槽
22、23、25、26 オペアンプ(増幅器)
13 圧力センサ(検出手段)
14 給湯制御部(制御手段)
15、16 増幅回路(増幅手段)
17 演算回路
Claims (4)
- 検出された水位、温度等の状態量に応じて所定の制御を行う自動給湯風呂装置であって、
特定の検出範囲内にある状態量を検出し、その状態量を表す検出信号を発生する検出手段と、
この検出手段の前記検出範囲を一部に重複部分を持たせて複数の検出範囲に分割するとともに複数の増幅器を設け、各増幅器に前記検出範囲と対応する増幅範囲を割り当て、前記増幅範囲毎に前記検出信号を個別に増幅するとともに、ディジタル信号に変換し、このディジタル信号を処理して前記検出信号に応じた制御出力を発生する制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動給湯風呂装置。 - 前記制御手段は、
前記検出手段の前記検出範囲を一部に重複部分を持たせて複数の検出範囲に分割するとともに複数の増幅器を設け、各増幅器に前記検出範囲と対応する増幅範囲を割り当て、前記増幅範囲毎に前記検出信号を個別に増幅して出力する増幅手段と、
この増幅手段で得られた複数の前記出力信号をディジタル信号に変換し、このディジタル信号を処理して前記検出信号に応じた制御出力を発生する演算回路と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の自動給湯風呂装置。 - 前記状態量が浴槽水位であることを特徴とする請求項1記載の自動給湯風呂装置。
- 前記検出範囲から分割された前記検出範囲の重複部分は、浴槽の水位検出部からその浴槽の最高水位までの高さより大きく設定したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の自動給湯風呂装置。
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