JP3640538B2 - スターリングエンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリーピストン形のスターリングエンジンに関するものであり、特に、シリンダ内で往復運動するピストン、ディスプレーサを支持するスプリングやスターリングエンジンの防振として機能するスプリングの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から極低温の小型冷凍機の一種として用いられているフリーピストン形のスターリングエンジンの模式図を図1に示す。
【0003】
図1に示すように、圧力容器10内にシリンダ1が形成され、このシリンダ1内をピストン4とディスプレーサ2とが往復運動しており、各々スプリング(5、6)に支持されている。更にこれらのスプリング(5、6)は、圧力容器10本体に固定されている。ピストン4は図示しないピストン駆動体により所定の周波数で往復運動し、ディスプレーサ2とディスプレーサロッド3はディスプレーサスプリング6の共振効果を利用して往復運動をしている。
【0004】
スターリングエンジン内のシリンダ1とピストン4により形成された作動空間8は、ディスプレーサ2を挟んで圧縮空間8a、膨張空間8bが形成されている。この圧縮空間8aと膨張空間8bとは、再生器9を介して連結されている。この膨張空間8bで圧力容器10内に充填した冷媒ガスが冷却され、膨張空間8bの外部に設けられた熱伝達板21を介し、冷熱を外部に伝達することができる構造となっている。
【0005】
上記の圧縮空間8aと膨張空間8bとの間には圧力差が生じ、ディスプレーサ2はピストン4とある一定の位相差で往復運動をする。これらのピストン4とディスプレーサ2との運動関係を図9に示す。
【0006】
図9に示すように、ピストン4とディスプレーサ2の往復運動のピークは時間に対して異なっており、これらがすなわち位相差である。これらの往復運動は、バネの共振現象を利用している。ピストン4に関しては主にピストンスプリング5と作動空間8内の作動媒体のバネ効果による共振であり、ディスプレーサ2に関しては、主にディスプレーサスプリング6による共振である。従って、ピストン4を往復動させる場合、ピストン4のバネ系を考慮した駆動周波数に設定されているのと同時に、ディスプレーサ2のバネ系はこのピストン駆動周波数にあわせて設定されている。
【0007】
また、圧力容器10外側には、シリンダ1内でピストン4とディスプレーサ2が往復運動することにより生じる振動を吸収するために、防振スプリング7aと質量体7bから構成される動吸振器7が設けられている。この動吸振器7が圧力容器10に生じている運動エネルギを吸収して、振動を低減させている。
【0008】
次に、スターリングエンジンの出力を制御する方式について説明する。例えば、冷却領域の温度を急速に低下させたい場合は出力を大きくする。そのためには、ピストン駆動体への入力を増加させ、ピストン4の往復運動の振幅を増大させる。これにより、作動空間8の圧力変動も増大し、それに伴いディスプレーサ2の往復運動の振幅も増大し、スターリングエンジンの出力は大きくなる。さらに冷却領域の温度を一定に保持するため、エンジンを低出力にしたい場合については、ピストン駆動体への入力を低減させる。このような制御方式を採用することにより、ピストン4やディスプレーサ2は一定の周波数で往復運動し、その際の往復運動の振幅を変化させることにより、エンジン出力を制御している。
【0009】
このようなフリーピストン型スターリングエンジンに用いられているスプリングを図10に示す。このスプリングはピストン4とディスプレーサ2の運転の位相差や往復運動の振幅を決定する際に重要な因子である。
【0010】
図10に示すスプリング構造は、薄板円状の材料に複数箇所に螺旋状の溝11を形成し、この溝11間の腕12によってアキシャル方向への変形を可能としており、所定のバネ定数及びバネの線形性を得ている。なお、このバネの線形性とは、スプリングの中心部11aに負荷されるアキシャル方向の応力とアキシャル方向変位量が比例関係を有していることを意味する。
【0011】
図10とは異なる、他のスプリング構造に関しては、特開平4―347460号公報に開示されている。
【0012】
これは図11に示すように、薄板円状の材料にマススプリング中心部18と外周部19とを連結する腕20を半径方向に対して腕を線対称(図中C)に湾曲させる構造となっている。このような構造にすることで、スプリング回転方向に力が生じず、アキシャル方向のみの変位が可能であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フリーピストン形のスターリングエンジンに上記従来の技術に記載した図10に示す線形スプリングを適応した場合、以下の問題がある。
【0014】
▲1▼運転条件によりピストンとディスプレーサの位相差が一定とならず、運転効率が低下する。
【0015】
▲2▼スプリングをスプリング固定用穴11bで圧力容器に固定し、スプリングの中心部11aにアキシャル方向に応力が働いた時、アキシャル方向の変位と共に、図中の矢印の方向へ回転が生じ、スプリングの中心部に固定されたピストン4やディスプレーサ2にも回転運動が伝達される。その結果、スプリングの固定部11bにも、スプリングの中心部が回転することによる反力により圧力容器10に捻りを発生させ、新たに振動や騒音を発生する場合があり、またピストン4、ディスプレーサ2とシリンダ1間やピストン4とディスプレーサロッド3間の軸心がずれ、摺動部に激しい摩擦を生じさせる場合がある。
【0016】
▲3▼この構造のスプリングを圧力容器の外側の振動吸収として使用した場合(図1参照)、防振スプリング7aの中心部には回転が生じ、それに取付けられている質量体7bも同時に回転運動が生じる。その回転運動がエンジン全体にねじりを発生させ、新たに振動や騒音が発生する。
【0017】
一方、特開平4−347460号公報、すなわち図11に示すスプリング構造の場合については以下の問題がある。
【0018】
▲4▼腕20は互いに隣り合う腕と干渉しない必要があり、腕長さには制約があった。そのため、腕の長さが十分でなく、スプリングのアキシャル方向へ十分なストロークがとれないという問題があり、エンジンの性能を十分に発揮することができない。
【0019】
そこで、本発明は、ピストン駆動体への入力変化により生じるピストン4とディスプレーサ2の位相差変化を抑制することにより運転効率を向上させる。更に運転中にスプリングの構造に起因するスプリング中心部での回転運動を低減させることにより振動や騒音を抑制し、更にバネのアキシャル方向へのストロークを大きくすることができ、運転効率を向上させることを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成させるためになされたものであって、請求項1記載の発明は、圧力容器内に形成されているシリンダ内を同軸で往復運動するピストンとディスプレーサとを有し、ピストンとディスプレーサの少なくとも一方はスプリングに支持されて往復運動するスターリングエンジンにおいて、前記スプリングは、円形の内周部、円形の中間部、円形の外周部を有し、前記内周部と中間部とは螺旋形状に弾性変形する第1の腕により複数箇所で連結され、中間部と外周部とは前記第1の腕と逆回転方向の螺旋形状に弾性変形する第2の腕により連結されて成ることを特徴とするスターリングエンジンである。
【0021】
また、請求項2記載の発明は、圧力容器の振動を吸収する動吸振器が設けられて成るスターリングエンジンにおいて、前記動吸振器を構成する防振スプリングに、円形の内周部、円形の中間部、円形の外周部を有し、前記内周部と中間部とは螺旋形状に弾性変形する第1の腕により複数箇所で連結され、中間部と外周部とは前記第1の腕と逆回転方向の螺旋形状に弾性変形する第2の腕により連結されて成るスプリングを用いることを特徴とするスターリングエンジンである。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、前記スプリングは、変位の増加に対してバネ定数が低下する非線形挙動を示すことを特徴とする請求項1又は2記載のスターリングエンジンである。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、前記スプリングは、超弾性材料を含むことを特徴とする請求項3記載のスターリングエンジンである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図を用いて説明する。フリーピストン型スターリングエンジンの主要構造は従来技術で説明した図1と同様であるので、ここでは従来との相違点のみ述べることとし、スターリングエンジンについての詳細な説明を割愛する。
【0025】
図1において、ピストン4はピストンスプリング5に支持されており、ピストン4は図示しないピストン駆動体によりリニア駆動され、作動空間8内で圧縮、膨張されるガスの圧力変動によるバネ効果とピストンスプリング5によって決定される共振周波数でシリンダ1内を往復運動している。
【0026】
また、ディスプレーサ2とディスプレーサロッド3はディスプレーサスプリング6の共振効果を利用して、ある位相差を持って往復運動をしている。
【0027】
本発明のピストンスプリング5、ディスプレーサスプリング6のスプリング構造は、図2に示すように、内周部13、中間部14、外周部15にドーナツ状の連結部材を有しており、内周部13と中間部14とは螺旋形状の第1の腕16により複数箇所で連結されており、中間部14と外周部15とは第1の腕16と逆回転の螺旋形状をした第2の腕17により連結している。
【0028】
このように形成されたスプリングは、スプリング固定用穴19にて圧力容器10内に固定されている。
【0029】
図2では、第1の腕16、第2の腕17の両方とも4本ずつ形成している。この腕の本数は、内周部13、中間部14、外周部15が力学的に安定して支持されていれば特に何本でも問題はない。
【0030】
また、このような形状のスプリングは、プレス加工やレーザ加工により容易に形成することができる。
【0031】
このような構造で形成されたスプリングは、スプリングの内周部13にアキシャル方向の力が加えられた時、第1の腕16と第2の腕17にはアキシャル方向の変位と同時に、ラジアル方向への変位も生じる。この各々の腕に生じたラジアル方向の変位は、腕を支持している内周部13と中間部14に図2中の矢印の向きに互いに反対方向の回転を生じさせる。従ってこれらの回転角度が互いに等しくなるように、力学的な算出を行い、腕の長さや、螺旋形状を決定する。
【0032】
また、このような構造にすることにより、スプリングの中心部にアキシャル方向の変位が生じた場合においても、内周部13と中間部14、中間部14と外周部15に発生する回転角度は等しいため、スプリング内に生じる回転方向の変位は相殺され、内周部13はアキシャル方向の変位のみ生じる。
【0033】
そのため、スプリングに支持されているピストン4、ディスプレーサ2に図示しないピストン駆動体にてアキシャル方向に駆動した場合においても、スプリングのアキシャル方向の変位に伴う回転が発生しないため、スプリングを固定している圧力容器10には、不要な力の発生を抑制できるため、エンジンの新たな振動や騒音の発生を抑制可能となる。
【0034】
更に、ピストン4やディスプレーサ2のシリンダ1に対する軸心のズレの可能性が減少し、摺動部での激しい摩擦の可能性を低減させることが可能である。
【0035】
また作動ガスの流動に複雑な動きが生じさせず効率の向上につながる。
【0036】
また、バネの耐疲労性に関しては、第1、第2の腕(16、17)の長さが十分であり問題が無く、更にアキシャル方向のストロークを大きくすることができるため、性能の向上につながる。
【0037】
さらに、本発明では図1に示すように、従来技術と同様に、本スターリングエンジンは、圧力容器10内部で往復運動しているピストン4、ディスプレーサ2を有しているために、圧力容器10にはピストン4、ディスプレーサ2の往復運動の反作用力として振動が生じる。そこで、この振動を抑制するために、圧力容器10外部に振動吸収用として防振スプリング7aを設け、エンジン本体と反対側のバネの一端に、力学的な関係から決定された質量を有する質量体7bを形成する。これにより、エンジン本体で生じている振動を動吸振器7が全ての運動エネルギを吸収し、エンジン本体の振動を低減することができる。
【0038】
本発明では、防振スプリング7aの構造を、図2に示すスプリング構造とする。これにより、動吸振器7はアキシャル方向へのみ変形し、新たな振動や騒音が発生するのを抑制する。
【0039】
このスプリングは、例えば図1に示すように圧力容器の後端部に配置するのが、質量体7bを容易に取り付けられるために良い。
【0040】
この様なスターリングエンジンの運転中にこの防振スプリングは、2〜3mmの振幅をして振動し、従来の螺旋状に溝が形成されているスプリングに比較して、騒音が低減した。
【0041】
なお、今回の発明においてスプリングの腕を連結するために設けた中間部14は1つであるが、この中間部は複数個設けても腕のアキシャル方向変位による回転を抑制するように構成されていれば、同等の効果を得ることができるのは明白である。
【0042】
次に、図2に示すスプリングの材料について説明する。
【0043】
スターリングエンジンの冷却性能を決定する重要な要素として成績係数があり、COP値(Coefficient Of Performance)で表される。図3には、ピストン4とディスプレーサ2の運動位相差φとCOP値の関係を示す。
【0044】
この位相差は90度付近にCOP値がピークになる曲線であり、位相差φ0でピークを示し、位相差が大きくなり、φ1になるとCOP値は低下する。そのため、エンジンの位相差はこのCOP値が最大となる位相差φ0(特にφ≒90度付近にピーク)を理想状態として設計されている。
【0045】
しかしながら運転条件によりピストン及びディスプレーサの振幅が変化すると位相差も変化することを実験により確認した。
【0046】
図4にピストン駆動体への入力とピストン4とディスプレーサ2との位相差の関係を示す。
【0047】
この結果ではピストン駆動体への入力、すなわちピストンの往復運動の振幅を増加させるとピストン4、ディスプレーサ2の位相差は増加している。このことは、エンジンをピストン駆動体に入力W0を加え位相差φ0を示す(図中A点)ように設計した場合、運転条件によっては位相差にずれが生じるため、理想的な一定の位相差での運転が困難になり、その結果COP値が低下することになる。
【0048】
図5には駆動周波数/ディスプレーサスプリングの共振周波数とピストンとディスプレーサの位相差の関係を示す。
【0049】
例えば、ここで用いたエンジンの駆動周波数は一定であるため、ディスプレーサスプリング6の共振周波数が低下した場合、図中の横軸(駆動周波数/ディスプレーサスプリングの共振周波数)の値は大きくなる。それに伴い縦軸に示す位相差は小さくなる。従って、ピストン4の往復運動の振幅を変化させた際の位相差の変化は、ディスプレーサスプリング6の共振周波数を変化させることにより制御可能である。すなわちディスプレーサスプリング6のバネ定数を変化させることにより可能である。
【0050】
従って、ピストン駆動体への入力を増加させ、ピストンの往復運動の振幅が増加したことによるピストン4とディスプレーサ2の位相差の上昇を低減させるためには、図5で示すようにディスプレーサスプリング6の共振周波数が低下するという非線形特性を有するスプリングであれば、位相差を理想状態のφ0(図中A点)に近づけることが可能となる。
【0051】
上記で説明した理由により、この非線形特性を得るために超弾性材料のTi―Ni系合金をスプリング材料に適用した。この超弾性材料は、図6の応力―変位曲線に示すように応力を加えると、ある応力で伸びが著しく増加し、除荷すると歪みがゼロの状態に戻る現象を示す。
【0052】
ここで、図6中で応力に対する変位が著しく増加する点を、位相差が理想的な状態A点として設定する。従来の変位の大きさによらず一定のバネ定数を有する線形バネは、ピストンの移動量を増加させるとディスプレーサスプリング6の共振を利用して往復運動するディスプレーサ2はそれに伴いB点へ移動する。超弾性特性を有する材料にした場合においてはB1点に移動し、バネ定数(=応力/変位)は線形バネに対して低下する。
【0053】
以上のようにして変位の増加に対してバネ定数が低下傾向を示すという非線形特性を有する材料を用いて、位相差を理想状態からかけ離れずに運転することができる。
【0054】
なお、このスプリングに用いたTi―Ni系合金のNiがほぼ51〜52at%のNi―Ti合金であり、十分硬化させて、所定の形状に加工し、そのままの形に固定し、400〜600℃の温度範囲で数十分から数時間熱処理することによって超弾性を示すものとなり、この時のNi含有率が高いほど超弾性の特性を示す温度が低くなる。
【0055】
また、本エンジンを使用する環境は、圧力容器内のスプリングの存在する空間の温度は、モータによる発熱や圧縮空間からのガスからの発熱により室温〜40℃程度まで温度が変化する。そこで、室温よりも高い温度で超弾性を示すスプリングとすることにより、本エンジンの入力に対するピストン4とディスプレーサ2の位相差の変化を緩和し、理想的な状態での運転を行う。
【0056】
ここで、一般的に超弾性材料の剛性は低いため、所定のバネ定数を得るために、2枚重ね合わせて使用する、或いは、図7に示すように所定形状のバネ鋼に超弾性材料を溶接して一体化する、ことにより高剛性のスプリングでかつ非線形特性を有する。この様に超弾性材料をバネ鋼に溶接して作製されたスプリングにおいても、図8に示すように線形特性を有するバネ鋼と非線形特性を有する材料の組合せによって応力と変位曲線の特性が決定されるため、非線形性特性を有するスプリングを得ることができる。材料の厚さの比を変えることで所望の非線形特性をもつスプリングを得ることができる。
【0057】
また、上記2枚の積層バネ構造を3層構造にし、異種材料間にかかる応力を低減できるため信頼性が向上できる。
【0058】
次に、上記3層構造のスプリングをエンジンに組込み、ピストン駆動体の入力変化に対する位相差とCOP値の変動を測定した結果を表1に示す。ピストン駆動体への入力変化は、それぞれ同じ条件とした。
【0059】
【表1】
【0060】
この結果から明らかなように、ピストンスプリング5とディスプレーサスプリング6に線形特性を有する材料を用いた場合、入力変化に伴い約10度の位相差の変化があったのに対して、ディスプレーサスプリング6のみ非線形特性を有するスプリングに交換したところ、入力変化に対して位相差はほとんど変化が無かった。更にCOP値に関しても入力変化に対して性能が減少することが無く、ディスプレーサスプリング6に非線形特性を配したことの効果を確認することができた。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明で明らかにしたように、請求項1記載の発明では、圧力容器内に形成されているシリンダ内を同軸で往復運動するピストンとディスプレーサとを有し、ピストンとディスプレーサの少なくとも一方はスプリングに支持されて往復運動するスターリングエンジンにおいて、前記スプリングは、円形の内周部、円形の中間部、円形の外周部を有し、前記内周部と中間部とは螺旋形状に弾性変形する第1の腕により複数箇所で連結され、中間部と外周部とは前記第1の腕と逆回転方向の螺旋形状に弾性変形する第2の腕により連結されて成る構造、つまり、スプリング形状をスプリングのアキシャル方向の変位に対してスプリング中心部での回転を抑制する構造にすることにより、作動空間のガスに複雑な動きが生じることを低減させ、更に、振動や騒音を低減することができる。また、本スプリング構造は腕の長さが十分長く、アキシャル方向に大きく変位することが可能であり、COPの向上につながる。
【0062】
また、請求項2記載の発明では、圧力容器の振動を吸収する動吸振器が設けられて成るスターリングエンジンにおいて、前記動吸振器を構成する防振スプリングに、円形の内周部、円形の中間部、円形の外周部を有し、前記内周部と中間部とは螺旋形状に弾性変形する第1の腕により複数箇所で連結され、中間部と外周部とは前記第1の腕と逆回転方向の螺旋形状に弾性変形する第2の腕により連結されて成るスプリングを用いることにより、エンジンに回転方向の変形が生じることを抑制し、振動や騒音の低減につながる。
【0063】
また、請求項3記載の発明では、前記スプリングは、変位の増加に対してバネ定数が低下する非線形挙動を示す、請求項4記載の発明では、前記スプリングは、超弾性材料を含むので、エンジンのCOP値に大きく影響を及ぼすピストン、ディスプレーサの位相差の変動を抑制することが可能であり運転効率の変動を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スターリングエンジンの概略図である。
【図2】本発明のスプリング形状の説明図である。
【図3】ピストンとディスプレーサの位相差とCOP値の関係の説明図である。
【図4】線形スプリングを用いた場合の入力と位相差の関係の説明図である。
【図5】ピストンとディスプレーサの位相差と共振周波数の関係の説明図である。
【図6】本発明の超弾性特性の説明図である。
【図7】本発明の超弾性材料をスプリングに適応した図である。
【図8】本発明のの線形バネと非線形バネの一体化時の特性を示す図である。
【図9】ピストンとディスプレーサの位相差の説明図である。
【図10】従来のスプリング構造の概略図である。
【図11】従来のスプリング構造の概略図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ディスプレーサ
3 ディスプレーサロッド
4 ピストン
5 ピストンスプリング
6 ディスプレーサスプリング
7 動吸振器
7a 防振スプリング
7b 質量体
10 圧力容器
13 内周部
14 中間部
15 外周部
16 第1の腕
17 第2の腕
21 熱伝達板
Claims (4)
- 圧力容器内に形成されているシリンダ内を同軸で往復運動するピストンとディスプレーサとを有し、ピストンとディスプレーサの少なくとも一方はスプリングに支持されて往復運動するスターリングエンジンにおいて、
前記スプリングは、円形の内周部、円形の中間部、円形の外周部を有し、前記内周部と中間部とは螺旋形状に弾性変形する第1の腕により複数箇所で連結され、中間部と外周部とは前記第1の腕と逆回転方向の螺旋形状に弾性変形する第2の腕により連結されて成ることを特徴とするスターリングエンジン。 - 圧力容器の振動を吸収する動吸振器が設けられて成るスターリングエンジンにおいて、
前記動吸振器を構成する防振スプリングに、円形の内周部、円形の中間部、円形の外周部を有し、前記内周部と中間部とは螺旋形状に弾性変形する第1の腕により複数箇所で連結され、中間部と外周部とは前記第1の腕と逆回転方向の螺旋形状に弾性変形する第2の腕により連結されて成るスプリングを用いることを特徴とするスターリングエンジン。 - 前記スプリングは、変位の増加に対してバネ定数が低下する非線形挙動を示すことを特徴とする請求項1又は2記載のスターリングエンジン。
- 前記スプリングは、超弾性材料を含むことを特徴とする請求項3記載のスターリングエンジン。
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