JP3639513B2 - オープンノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、鋼の連続鋳造においてタンディッシュノズルの底に取り付けて使用するオープンノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造において、浸漬ノズルなどの導管を用いないで、タンディッシュからモールドヘ注入する溶鋼量を制御するための簡便な方法として、溶鋼をタンディッシュ底部に形成した面積一定の開口から、大気中或いは雰囲気ガス中をモールドヘ向けて落下させるいわゆるオープンノズル方式が、ビレット連鋳機、ビームブランク連鋳機などに広く採用されている。
【0003】
このオープンノズル方式においては、単位時間当りの溶鋼流出量は、ノズル開口面積とタンディッシュ内溶鋼深さに比例するので、開口面積一定とするときタンデイッシュ内の溶鋼量を一定に保てば流出量も一定となって流量計測ができ、簡便に流量制御ができる。
【0004】
図4は、従来のオープンノズル方式に使用されているオープンノズル40を示す。オープンノズル40は、タンディッシュの底の鉄皮2の上に配置された羽口れんが3の内孔にモルタル4を介してセットされている。オープンノズルの内孔は、上部はタンディッシュ内の溶鋼がオープンノズル内部に均一に流れ込みやすくするため上部が広がったラッパ部13が形成され、さらにオープンノズル内の流線を直線的にしてオープンノズルから流出する溶鋼を安定させるためにラッパ部13より下の内孔は断面一定のストレート部12があり、その下端には開放孔14が形成されている。そして、このオープンノズルの構成材としては、耐スポーリング性、耐食性及び強度に優れたジルコンやジルコニア質の耐火物が使用されている。
【0005】
このオープンノズルは、溶鋼から化学的、機械的なアタックを受け、通常10数時間から20数時間程度で、内孔が溶損しノズル開口面積が拡大する。そのため、溶鋼流出量が増大し、これが許容最大流出量よりも多くなると鋳造を終了して取り替える必要がある。
【0006】
このように、オープンノズルを使用する連続鋳造の時間は、オープンノズルの耐用性がネックになっており、連続鋳造時間をさらに延ばすため、オープンノズルの耐用性の向上が望まれる。従来、このオープンノズルの耐用性の向上のためには、使用するジルコニア原料の種類や粒度構成等が検討されてきたが、まだ、長時間安定して鋳造するためのオープンノズルは現れていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、長時間安定して鋳造することができる耐用性に優れたオープンノズルを得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の使用された後のオープンノズルの損傷状況の解析の結果得られたもので、タンディッシュの底に配置された羽口れんがの内孔にセットされ、上部が広がったラッパ部を上部に形成した内孔を有するオープンノズルであって、第1の発明は、ラッパ部の下方には、内径が下方向に向かって縮小するテーパー部が形成され、このテーパー部は、内孔の下端面から下端面における内孔径の3倍以上5倍以下の長さに渡って形成され、且つ、その傾斜角度は、内孔の軸線に対して0.5゜以上3.0゜以下であることを特徴とする。また、第2の発明は、前記ラッパ部の下方には、内径が下方向に向かって縮小するテーパー部と断面が一定のストレート部が連続して形成された内孔を有するオープンノズルであって、前記テーパー部は、下端面における内孔径の2倍以上5倍以下の長さに渡って形成され、且つ、その傾斜角度は内孔の中心軸に対して0.5°以上3.0゜以下であり、前記ストレート部は、内孔下端面から下端面における内孔径の1/3倍〜1.5倍の範囲に形成されていることを特徴とする。
【0009】
図5は、図4に示す従来の上方ラッパ部より下に断面一定のストレート部を有する内孔1の損傷状況を示すもので、内孔中心部に球状の損傷Fが見られる。この損傷Fのメカニズムは、以下の通りと考えられる。
【0010】
まず、オープンノズルの構造設計は以下の考え方に基づいて設計されている。すなわち、オープンノズルからの溶鋼流出速度vは、gを重力加速度、hを溶鋼ヘッドとして、
【数1】
によって求められる。
また、溶鋼流量Qは、Aをオープンノズルの内孔面積として
【数2】
によって求められる。そして、Dをオープンノズル内径とすると、オープンノズル内孔面積Aは、
【数3】
となるように、オープンノズル内径が決定される。そして、オープンノズルの耐用性や、オープンノズル内孔での溶鋼流線を直線にする目的から、オープンノズルの長さ方向にオープンノズル内径が一定な範囲、すなわち、ストレート部を確保していた。そして、係るオープンノズルは、(1)式から解るように、溶鋼が通過するとき、位置エネルギーの溶鋼ヘッドhは増大し、内孔でも溶鋼速度は増大する。そして、溶鋼流量Qを一定にするためには、(2)式において、オープンノズル内孔面積、すなわち、内孔径を小さくする必要がある。しかし、従来は内孔がストレートになっているので、図6に示すように、オープンノズルの下方では溶鋼流Sにより、オープンノズル内孔面に負圧が発生し、そこに下方から大気Aを巻き込むことによって、図5に示す損傷Fが発生すると考えられる。
【0011】
本発明は、上記特定条件の下で内孔1を縮孔することによって、溶鋼流による内孔壁への負圧の発生を低減したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のオープンノズルの実施の形態を実施例によって説明する。
【0013】
実施例1
図1は本発明のオープンノズル10の第1の実施例を垂直断面図によって示す。
【0014】
同図において、オープンノズル10の高さHは120mm、下端面の外径Dが58mm、下端面の内径d1は19mmである。内孔1は、下方からテーパー部11、ストレート部12、それに、ラッパ部13とからなる。テーパー部11は内孔1の下端面から上方向にその長さhが70mmにかけて形成され、そのノズル内孔の軸線X−Xに対して下方向に傾斜角度αが1度で傾斜し、この内径は縮小している。ストレート部12はテーパー部11の上方に長さが20mmに形成され、さらに、その上方30mmにその内面は広がったラッパ部13が形成されている。テーパー部11の長さhは、内径が下方向に縮小しその範囲は下端部内径の3倍以上5倍以下の長さであることが好ましい。テーパー部11の長さが下端部内径の3倍未満ではオープンノズル内の溶鋼流線が直線的にならないため隙間が発生する問題があり、下端部内径の5倍を超えるとオープンノズルの長さが長くなり、コスト高となる。
【0015】
内孔1のテーパー部11の断面の傾斜角度は内径が下方向に縮小しており、その断面の内孔の軸線X−Xに対する傾斜角αは、0.5゜以上3.0゜以下が好ましく、0.5゜未満では従来と同様にオープンノズル内の下部で隙間が生じる問題があり、3.0゜を超えると溶損の問題からオープンノズル内孔径が拡大しやすくなるため好ましくない。
【0016】
なお、この実施例においては、ラッパ部13とテーパー部11との間にストレート部12を形成しているが、このストレート部12はなくても特に問題はなく、ラッパ部13から直接テーパー部11を形成することもできる。
【0017】
上記図1に示す本発明のオープンノズル10をタンディッシュで使用し、図3に示す従来のオープンノズルとの鋳込み速度の変化を比較した。ともに、6個のオープンノズルを直線状に配置し13回溶鋼を受け、中央の2つのオープンノズルについて,各回の鋳込み速度の変化を調べた。その結果を図3に示す。同図において、従来例と実施例A、Bはそれぞれのオープンノズルの位置を示すもので、Aは3番目、Bは4番目のオープンノズルを意味する。
同図に見られるとおり、実施例と従来例を対比すると、鋳込み回が6chあたりから本発明の実施例と従来例との間に大きい差が現れ、従来例における増大に対し、本発明の実施例に変化がないことが分かる。これは、従来例においては、内孔の溶損が大きくなり内孔径の拡大により鋳込み速度の増加に対して、本発明の場合は内孔の溶損が小さいことにより、鋳込み速度の増加傾向が極端に減少したものである。事実、使用後、オープンノズルを切断して観察してみると従来例のものは、図5のように内孔に球状の溶損が観察されたが、実施例のものは球状の内孔溶損がほとんど観察されなかった。
【0018】
実施例2
図2は、下端面から上方向にストレート部12を有し、ストレート部12から上が内径が下方向に縮小したテーパー部11を有する本発明のオープンノズル20の第2の実施例を示す。
【0019】
このストレート部12は、溶鋼が流れているときの溶鋼と内孔面との隙間をより減らす目的で設けており、その範囲は下端面から上方向に内径の1/3倍〜1.5倍の範囲であることが好ましい。
【0020】
この実施例の場合も、実炉試験を上記実施例1で行った結果、実施例1と同等以上の効果が確認できた。
【0021】
【発明の効果】
本発明によって、安定した損耗形態が保つことができ、耐用性を格段に向上でき、その結果、安定した長時間の操業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係るオープンノズルの断面構造を示す。
【図2】 本発明の第2の実施例に係るオープンノズルの断面構造を示す。
【図3】 実炉における本発明と従来例との鋳込み速度の変化を比較した図である。
【図4】 従来のオープンノズルを示す。
【図5】 従来のオープンノズルにおける溶損状況を示す。
【図6】 従来のオープンノズルにおける溶損の発生状態の説明図を示す。
【符号の説明】
1 内孔 2 鉄皮 3羽口れんが 4 モルタル
11 テーパー部 12 ストレート部 13 ラッパ部 14 開放孔10 、20 本発明の実施例に係るオープンノズル
40 従来のオープンノズル
F 球状の損傷 S 溶鋼流 A 大気
Claims (2)
- タンディッシュの底に配置された羽口れんがの内孔にセットされ、上部が広がったラッパ部を上部に形成した内孔を有するオープンノズルであって、
前記ラッパ部の下方には、内径が下方向に向かって縮小するテーパー部が形成され、
このテーパー部は、内孔の下端面から下端面における内孔径の3倍以上5倍以下の長さに渡って形成され、且つ、その傾斜角度は、内孔の軸線に対して0.5゜以上3.0゜以下であることを特徴とするオープンノズル。 - タンディッシュの底に配置された羽口れんがの内孔にセットされ、上部が広がったラッパ部を上部に形成した内孔を有するオープンノズルであって、
前記ラッパ部の下方には、内径が下方向に向かって縮小するテーパー部と断面が一定のストレート部が連続して形成された内孔を有するオープンノズルであって、
前記テーパー部は、下端面における内孔径の2倍以上5倍以下の長さに渡って形成され、且つ、その傾斜角度は内孔の中心軸に対して0.5°以上3.0゜以下であり、
前記ストレート部は、内孔下端面から下端面における内孔径の1/3倍〜1.5倍の範囲に形成されていることを特徴とするオープンノズル。
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