JP3639296B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

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本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関する。更に詳しくは、高感度で低被りであるハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
ハロゲン化銀写真感光材料は、主に支持体上に感光性のハロゲン化銀粒子を含んだ分散媒を含んである。ハロゲン化銀感光材料の感度を高めるために膨大な研究が行われてきた。ハロゲン化銀感光材料の感度を高くするためには、ハロゲン化銀粒子固有の感度を高めることが非常に重要であり、ハロゲン化銀粒子ハロゲン化銀固有の感度を高めるために様々な方法が用いられている。例えば、イオウ、金および第VIII族金属化合物などの化学増感剤による高感度化、イオウ、金および第VIII族金属化合物などの化学増感剤とそれらの増感効果を促進させる添加剤との組み合わせによる高感度化、およびハロゲン化銀乳剤種により増感効果をもつ添加剤の添加による高感度化などが行われている。これらに関しては、例えば非特許文献1及び2並びに特許文献1〜8に記載されている。さらに、ハロゲン化銀粒子を還元増加する方法も感度を高める手段として用いられている。ハロゲン化銀粒子の還元増感に関しては例えば特許文献9〜13に記載されており、還元剤の使用方法に関しては、例えば特許文献14〜16に記載されている。また、最近になって特許文献17〜22に記載されたような、電子供与基と脱離基からなる有機電子供与化合物を用いた増感技術が報告されている。この方法は、これまでにない新しい増感技術であり高感度化に有効である。ただし、この化合物を用いると高感度化はするものの、同時に被り(Dmin)が高くなるという欠点があり改善が強く要望されていた。
リサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008 リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452 米国特許第2,642,361号明細書 米国特許第3,297,446号明細書 米国特許第3,772,031号明細書 米国特許第3,857,711号明細書 米国特許第3,901,714号明細書 米国特許第4,266,018号明細書 米国特許第3,904,415号明細書 英国特許第1,315,755号明細書 米国特許第2,518,698号明細書 米国特許第3,201,254号明細書 米国特許第3,411,917号明細書 米国特許第3,779,777号明細書 米国特許第3,930,867号明細書 特公昭57−33572号公報 特公昭58−1410号公報 特開昭57−179835号公報 米国特許第5,747,235号明細書 米国特許第5,747,236号明細書 欧州特許第786692A1号明細書 欧州特許893731A1号明細書 欧州特許893732A1号明細書 国際公開WO99/05570号パンフレット
本発明は上記従来技術の有する課題を解決するものであり、高感度でかつ被りの低いハロゲン化銀写真感光材料を提供することある。
本発明の課題は、下記手段によって達成することが出来た。
(1)支持体上に少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、下記一般式(I)の化合物を含み、かつ該ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤が増感色素を含有し、該増感色素の1モル%以上50モル%以下の一般式(IV)で表される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(I)
(X)k−(L)m−(A−B)n
式中、XはN、S、P、SeおよびTeからなる群から選択される少なくとも1つの原子を有するハロゲン化銀吸着基または光吸収基を表す。LはC、N、SおよびOからなる群から選択される少なくとも1つの原子を有する2価の連結基を表す。Aは電子供与基を表し、Bは脱離基または水素原子を表し、酸化後、脱離または脱プロトンされてラジカルA・を生成する。kおよびmは各々独立して0〜3の整数を表し、nは1もしくは2を表す。
一般式(IV)
Figure 0003639296
式中、QはNまたはP原子を表す。Ra1、Ra2、Ra3、Ra4は各々、アルキル、アリール、複素環を表すが、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4はこの内の二つが連結して飽和環を形成してもよく、あるいはRa1、Ra2、Ra3、Ra4はこの内の三つが共同で不飽和環を形成してもよい。Yはアニオン基を表すが、分子内塩の場合はYは存在しない。
(2)前記の一般式(IV)で表される化合物が一般式(V)で表されることを特徴とする(1)項に記載のハロゲン化銀感光材料。
一般式(V)
Figure 0003639296
式中、Ra5、Ra6、Ra7は各々、アルキル、アリール、複素環を表すが、Ra5、Ra6、Ra7はこの内の二つが共同で飽和環を形成してもよく、あるいはRa5、Ra6、Ra7は三つが共同で不飽和環を形成してもよい。Ra8はアルキレン、アリーレン、−O−、−S−、−CO2−を単独又は組み合わせで構成されるものを表す。ただし、−O−、−S−、−CO2−はそれぞれアルキレンあるいはアリーレンと隣接して連結する。Ra9、Ra10、Ra11はRa5、Ra6、Ra7と同義である。Yは一般式(IV)でのYと同義である。
(3)前記の感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記(a)ないし(d)を満たすことを特徴とする(1)又は(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(a)平行な主平面が(111)面
(b)アスペクト比が2以上
(c)転位線を1粒子当り少なくとも10本以上含む
(d)塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
(4)前記の感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記の(a)、(d)および(e)を満たすことを特徴とする(1)又は(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(a)平行な主平面が(111)面
(d)塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
(e)六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部および/または側面部および/または主平面部に1粒子当り少なくとも1個のエピタキシャル接合を有する
(5)前記の感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記(d)、(f)および(g)を満たすことを特徴とする(1)又は(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(d)塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
(f)平行な主平面が(100)面
(g)アスペクト比が2以上
(6)前記の感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が(g)、(h)および(i)を満たすことを特徴とする(1)又は(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(g)アスペクト比が2以上
(h)平行な主平面が(111)面もしくは(100)面
(i)少なくとも80モル%以上の塩化銀を含有する平板状粒子
)前記ハロゲン化銀写真感光材料が、下記一般式(VI)、(VII)、(VIII-1)、(VIII-2)、(IX-1)、(IX-2)、(X)および(XI)で表される化合物から選ばれる少なくとも1を含有することを特徴とする(1)ないし()のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(VI)
Figure 0003639296
式中、Rb1、Rb2、Rb3およびRb4は各々独立して水素原子、アリール基、鎖状または環状のアルキル基、鎖状または環状のアルケニル基、またはアルキニル基を表し、Rb5は鎖状または環状のアルキル基、鎖状または環状のアルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。
一般式(VII)
Figure 0003639296
式中、Hetはハロゲン化銀への吸着基である。Mは炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のうち少なくとも1種を含む原子または原子団からなる2価の連結基を表す。HyはRb6Rb7N−NRb8Rb9で表されるヒドラジン構造を有する基を表す。Rb6、Rb7、Rb8およびRb9は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb6とRb7、Rb8とRb9、Rb6とRb8またはRb7とRb9が互いに結合して環を形成していてもよい。但し、Rb6、Rb7、Rb8およびRb9の少なくとも1つは一般式(VII)における−(M)k2(Het)k1が置換するためのアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基または2価の複素環残基である。k1及びk3は各々独立して1、2、3または4を表し、k2は0または1を表す。
一般式(VIII−1)、(VIII−2)
Figure 0003639296
式(VIII−1)中、Rb10、Rb11、Rb12およびRb13は各々独立して水素原子または置換基を表す。但し、Rb10とRb13あるいはRb11とRb12がそれぞれアルキル基の場合、全く同じ炭素数の置換基をとらない。式(VIII−2)中、Rb14、Rb15およびRb16は各々独立して水素原子または置換基を表す。Zは4〜6員環を形成する非金属原子群を表す。
一般式(IX−1)
Figure 0003639296
式(IX−1)中、Rc1は置換または無置換のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、Rc2は水素原子または、Rc1で示した基を表す。Rc3は水素原子または炭素数1〜10の置換または無置換のアルキル基またはアルケニル基を表す。Rc1とRc2、Rc1とRc3もしくはRc2とRc3が互いに結合して、5〜7員環を形成していてもよい。
一般式(IX−2)
Figure 0003639296
式中、G1、及びG2は各々、水素原子、又は1価の置換基を表す。また、互いに結合して環を形成しても良い。
一般式(X)
Figure 0003639296
式中、Rb17、Rb18およびRb19は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、またはNRb21Rb22を表し、Jは−CO−または−SO2−を表し、nは0または1を表す。Rb21は水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb22は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Rb17とRb18、Rb17とRb19、Rb19とRb20またはRb20とRb18は連結して環を形成していてもよい。
一般式(XI)
Figure 0003639296
式中X2およびY2は、それぞれ独立に、水酸基、-NRi23Ri24または-NHSO2Ri25を表す。Ri21およびRi22は、それぞれ独立に、水素原子または任意の置換基を表す。Ri21とRi22とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していても良い。Ri23およびRi24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環を表す。Ri23とRi24とは互いに結合して複素環を形成しても良い。Ri25はアルキル基、アリール基、アミノ基または複素環を表す。
(8)前記ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀粒子が還元増感を施されていることを特徴とする(1)ないし(7)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(9)前記ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀乳剤が、その調製時に、下記一般式(3)で表される化合物および下記一般式(4)で表される化合物から選ばれる化合物のうち少なくとも1種を添加されたものであることを特徴とする(1)ないし(8)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
Figure 0003639296
一般式(3)および(4)において、W 51 、W 52 はスルホ基または水素原子を表す。但し、W 51 、W 52 の少なくとも1つはスルホ基を表す。
(10)前記ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀粒子が、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、PbおよびBiからなる群から選択される金属のイオン少なくとも1種を粒子内部に含有することを特徴とする(1)ないし(9)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤は、臭化銀、塩化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、等が好ましい。ハロゲン化銀粒子の形態としては、八面体、立方体、十四面体の如き正常晶でも良いが、平板状粒子がより好ましい。
まず本発明に関する第1の乳剤であるハロゲン化銀粒子が平行な主平面が(111)面である塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子について説明する。
この乳剤は対向する(111)主平面と該主平面を連結する側面からなる。平板粒子乳剤は沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀より成る。塩化銀を含んでも良いが、好ましくは塩化銀含率は8モル%以下、より好ましくは3モル%以下もしくは、0モル%である。沃化銀含有率については、0.5モル%以上40モル%以下、好ましくは1.0モル%以上20モル%以下である。
沃化銀含有率に拘わらず、粒子間の沃化銀含量の分布の変動係数は20%以下が好ましく、特に10%以下が好ましい。
沃化銀分布について粒子内で構造を有していることが好ましい。この場合、沃化銀分布の構造は2重構造、3重構造、4重構造さらにはそれ以上の構造があり得る。また、粒子内部で沃化銀含有量が連続的に変化していても良い。
全投影面積の50%以上がアスペクト比2以上の粒子で占められる。ここで平板粒子の投影面積ならびにアスペクト比は参照用のラテックス球とともにシャドーをかけたカーボンレプリカ法による電子顕微鏡写真から測定することができる。平板粒子は上から見た時に、通常6角形、3角形もしくは円形状の形態をしているが、該投影面積と等しい面積の円の直径を厚みで割った値がアスペクト比である。平板粒子の形状は6角形の比率が高い程好ましく、また、6角形の各隣接する辺の長さの比は1:2以下であることが好ましい。
平板粒子は、投影面積径で0.1μm以上20.0μm以下が好ましく、0.2μm以上10.0μm以下がさらに好ましい。投影面積径とは、ハロゲン化銀粒子の投影面積と等しい面積の円の直径である。また、平板粒子の厚みは、0.01μm以上0.5μm以下、好ましくは0.02μm以上0.4μm以下が好ましい。平板粒子の厚みとは二つの主平面の間隔である。球相当径では0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.2μm以上3μm以下がさらに好ましい。球相当径とは、個々の粒子の体積と等しい体積を有する球の直径である。また、アスペクト比は、1以上100以下が好ましく、2以上50以下がさらに好ましい。アスペクト比とは粒子の投影面積径をその粒子の厚みで割った値である。
本発明に関する第1および第2の乳剤が含有するハロゲン化銀粒子は単分散性であることが好ましい。本発明に関する第1および第2の乳剤が含有する全ハロゲン化銀粒子の球相当径の変動係数は30%以下、好ましくは25%以下である。また、平板状粒子の場合は投影面積径の変動係数も重要であり、本発明の全ハロゲン化銀粒子の投影面積径の変動係数は30%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下であり、更に好ましくは20%以下である。また、平板状粒子の厚みの変動係数は、30%以下が好ましく、より好ましくは25%以下であり、更に好ましくは20%以下である。変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子の投影面積径の分布の標準偏差を平均投影面積径で割った値、もしくは、個々のハロゲン化銀平板状粒子の厚みの分布の標準偏差を平均厚みで割った値である。
本発明に関する第1及び第2の乳剤が含有する平板粒子の双晶面間隔は米国特許第5,219,720号に記載のように0.012μm以下にしたり、特開平5−249585号に記載のように(111)主平面間距離/双晶面間隔を15以上にしても良く、目的に応じて選んで良い。
アスペクト比が高い程、著しい効果が得られるので、平板粒子乳剤は全投影面積の50%以上が好ましくはアスペクト比5以上の粒子で占められることが好ましい。さらに好ましくはアスペクト比8以上である。アスペクト比があまり大きくなりすぎると、前述した粒子サイズ分布の変動係数が大きくなる方向になるために、通常アスペクト比は100以下が好ましい。
平板粒子の転位線は、例えばJ.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11、57、(1967)やT.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35、213、(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真より、主平面に対して垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数を求めることができる。
転位線の数は、好ましくは1粒子当り平均10本以上である。より好ましくは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることができない場合がある。しかしながら、これらの場合においても、おおよそ10本、20本、30本という程度には数えることが可能であり、明らかに、数本しか存在しない場合とは区別できる。1粒子当りの転位線の平均数については、100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求める。
転位線は、例えば平板粒子の側面近傍に導入することができる。この場合転位は側面にほぼ垂直であり、平板状粒子の中心から辺(側面)までの距離の長さのx%の位置から始まり側面に至るように転位線が発生している。このxの値は好ましくは10以上100未満であり、より好ましくは30以上99未満であり、最も好ましくは50以上98未満である。この時、この転位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形と相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことがある。この型の転位数は粒子の中心領域には見られない。転位線の方向は結晶学的におおよそ(211)方向であるがしばしば蛇行しており、また互いに交わっていることもある。
また平板粒子の側面近傍の全域に渡ってほぼ均一に転位線を有していても、側面近傍の局所的な位置に転位線を有していてもよい。すなわち六角形平板ハロゲン化銀粒子を例にとると、6つの頂点の近傍のみに転位線が限定されていてもよいし、そのうちの1つの頂点近傍のみに転位線が限定されていてもよい。逆に6つの頂点近傍を除く辺のみに転位線が限定されていることも可能である。
また平板粒子の平行な2つの主平面の中心を含む領域に渡って転位線が形成されていてもよい。主平面の全域に渡って転位線が形成されている場合には転位線の方向は主平面に垂直な方向から見ると結晶学的におおよそ(211)方向の場合もあるが(110)方向またはランダムに形成されている場合もあり、さらに各転位線の長さもランダムであり、主平面上に短い線として観察される場合と、長い線として辺(外周)まで到達して観察される場合がある。転位線は直線のこともあれば蛇行していることも多い。また、多くの場合互いに交わっている。
転位線の位置は以上のように外周上または主平面上または局所的な位置に限定されていても良いし、これらが組み合わされて、形成されていても良い。すなわち、外周上と主平面上に同時に存在していても良い。
この平板粒子乳剤の粒子表面のヨウ化銀含有量は、好ましくは10モル%以下で、特に好ましくは5モル%以下である。本発明の粒子表面のヨウ化銀含有量はXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて測定される。ハロゲン化銀粒子表面付近のヨウ化銀含量の分析に使用されるXPS法の原理に関しては、相原らの、「電子の分光」(共立ライブラリ−16、共立出版発行,昭和53年)を参考にすることができる。XPSの標準的な測定法は、励起X線としてMg−Kαを使用し、適当な試料形態としたハロゲン化銀から放出される沃素(I)と銀(Ag)の光電子(通常はI−3d5/2、Ag−3d5/2)の強度を観測する方法である。沃素の含量を求めるには、沃素の含量が既知である数種類の標準試料を用いて沃素(I)と銀(Ag)の光電子の強度比(強度(I)/強度(Ag))の検量線を作成し、この検量線からもとめることができる。ハロゲン化銀乳剤ではハロゲン化銀粒子表面に吸着したゼラチンを蛋白質分解酵素などで分解、除去した後にXPSの測定をおこなわなければならない。粒子表面のヨウ化銀含有量が10モル%以下の平板粒子乳剤とは、1つの乳剤に含まれる乳剤粒子を、XPSで分析したときにヨウ化銀含量が10モル%以下であるものをさす。この場合、明瞭に2種以上の乳剤が混合されているときには、遠心分離法、濾別法など適当な前処理を施した上で同一種類の乳剤につき分析を行なう必要がある。
本発明の平板粒子乳剤の構造は例えば臭化銀/沃臭化銀/臭化銀からなる3重構造粒子ならびにそれ以上の高次構造も好ましい。構造間の沃化銀含有率の境界は明確なものであっても、連続的になだらかに変化しているものであっても、いずれでも良い。通常、粉末X線回折法を用いた沃化銀含有量の測定では沃化銀含有量の異なる明確な2山を示す様なことはなく、高沃化銀含有率の方向にすそをひいたようなX線回折プロフィールを示す。
表面よりも内側の層の沃化銀含有率が高いことが好ましく、表面よりも内側の層の沃化銀含有率は好ましくは3モル%以上高く、より好ましくは5モル%以上高い。
次に、本発明に関する第2の乳剤である平行な主平面が(111)面であり、最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が2以下である六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部、および/または側面部、および/または主平面部に1粒子当り少なくとも一個以上のエピタキシャル接合を有する粒子について説明する。エピタキシャル接合した粒子とは、ハロゲン化銀粒子本体の他に該粒子と接合した結晶部(すなわち、エピタキシャル部)を持つ粒子であり、接合した結晶部は通常ハロゲン化銀粒子本体から突出している。接合した結晶部(エピタキシャル部)の粒子全銀量に対する割合は1%以上30%以下が好ましく、2%以上15%以下がより好ましい。エピタキシャル部は粒子本体のどの部分に存在しても良いが、粒子主平面部、粒子側面部、粒子頂点部が好ましい。エピタキシャルの個数は、少なくとも一つ以上が好ましい。また、エピタキシャル部の組成は、AgBr、AgCl、AgBrCl、AgBrClI、AgBrI、AgI、AgSCN等が好ましい。エピタキシャル部が存在する場合、粒子内部には転位線が存在しても良いが、存在しなくても良い。また、エピタキシャル部、ハロゲン化銀粒子本体とエピタキシャルの接合部およびエピタキシャル部には転位線が存在しなくても良いが、転位線が存在することが好ましい。
次に、本発明に関する、第1の乳剤および第2の乳剤ハロゲン化銀粒子の調製方法について説明する。
本発明の調製工程としては、(a)基盤粒子形成工程と、それに引き続く粒子形成工程((b)工程)から成る。基本的に(a)工程に引き続き(b)工程を行うことがより好ましいが、(a)工程のみでもよい。(b)工程は、(b1)転位導入工程、(b2)頂点部転位限定導入工程、または(b3)エピタキシャル接合工程、のいずれでも良く、少なくとも一つでもよければ、二つ以上組み合わせても良い。
まず、(a)基盤粒子形成工程について説明する。基盤部は、粒子形成に使用した全銀量に対して少なくとも50%以上が好ましく、さらに好ましくは60%以上である。また、基盤部の銀量に対するヨードの平均含有率は0mol%以上30%mol以下が好ましく、0mol%以上15mol%以下がさらに好ましい。また、基盤部は必要に応じてコアシェル構造を取っても良い。この際、基盤部のコア部は基盤部の全銀量に対して50%以上70%以下であることが好ましく、コア部の平均ヨード組成は0mol%以上30mol%以下が好ましく、0mol%以上15mol%以下が更に好ましい。シェル部のヨード組成は0mol%以上3mol%以下が好ましい。
ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、ハロゲン化銀核を形成した後、更にハロゲン化銀粒子を成長させて所望のサイズの粒子を得る方法が一般的であり、本発明も同様であることに変りはない。また、平板状粒子の形成に関しては、少なくとも核形成、熟成、成長の工程が含まれる。この工程は、米国特許第4,945,037号に詳細に記載されている。以下に、核形成、熟成、成長、各工程について説明する。
1.核形成工程
平板粒子の核形成は、一般には保護コロイドの水溶液を保持する反応容器に、銀塩水溶液とハロゲン化アルカリ水溶液を添加して行われるダブルジェット法、あるいはハロゲン化アルカリを含む保護コロイド溶液に銀塩水溶液を添加するシングルジェット法が用いられる。また、必要に応じて銀塩を含む保護コロイド溶液にハロゲン化アルカリ水溶液を添加する方法も用いることができる。さらに、必要に応じて特開昭2−44335号に開示されている混合器に保護コロイド溶液と銀塩溶液とハロゲン化アルカリ水溶液を添加し、ただちにそれを反応容器に移すことによって平板粒子の核形成を行うこともできる。また、米国特許第5,104,786号に開示されているように、ハロゲン化アルカリと保護コロイド溶液を含む水溶液をパイプに通しそこに銀塩水溶液を添加することにより核形成を行うこともできる。
保護コロイドとしては、ゼラチンが用いられるが、ゼラチン以外の天然高分子や合成高分子も同様に用いられる。ゼラチンの種類としては、アルカリ処理ゼラチン、ゼラチン分子中のメチオニン基を過酸化水素等で酸化した酸化処理ゼラチン(メチオニン含量40μmol/g以下)、本発明のアミノ基修飾ゼラチン(例えば、フタル化ゼラチン、トリメリット化ゼラチン、コハク化ゼラチン、マレイン化ゼラチン、エステル化ゼラチン)、および低分子量ゼラチン(分子量:3000〜4万)が用いられる。酸化処理ゼラチンに関しては、特公平5−12696号を、アミノ基修飾ゼラチンに関しては、特開平8−82883号、同11−143002号の記載を参考に出来る。また、必要に応じて特開平11−237704号に記載されているパギー法によって測定された分子量分布において、分子量28万以上の成分を20%以上、好ましくは30%以上含む石灰処理骨ゼラチンを用いても良い。また、例えば、欧州特許第758758号、および米国特許第5,733,718号に記載されている澱粉を用いても良い。その他、天然高分子は特公平7−111550号、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されている。
核形成における、過剰ハロゲン塩は、Cl-、Br-、I-が好ましく、これらは単独でも良く、複数で存在しても良い。トータルのハロゲン塩濃度は、3×10-5mol/L以上0.1mol/L以下、好ましくは3×10-4mol/L以上0.01mol/L以下である。
核形成時に添加されるハロゲン化物溶液中のハロゲン組成は、Br-、Cl-、I-が好ましく、これらは単独でも良く、複数で存在しても良い。特開平10−293372号に記載されているように塩素含有量が核形成に使用した銀量に対して10モル%以上であるような核形成を用いても良く、この際Cl-の濃度はトータルのハロゲン塩濃度に対して、10mol%以上100mol%以下が好ましく、20mol%以上80mol%以下がさらに好ましい。
核形成時に添加されるハロゲン化物溶液に該保護コロイドを溶解させても良いし、ハロゲン化物溶液とは別に該ゼラチン溶液を核形成時に同時に添加しても良い。
核形成時の温度は、5〜60℃が好ましいが、平均粒径が0.5μm以下の微粒子平板粒子を作る場合は5〜48℃がより好ましい。
分散媒のpHは、アミノ基修飾ゼラチンを用いる場合は、4以上8以下が好ましいが、それ以外のゼラチンを用いる場合は2以上8以下が好ましい。
2.熟成工程
1.における核形成では、平板粒子以外の微粒子(特に、八面体および一重双晶粒子)が形成される。次に述べる成長過程に入る前に平板粒子以外の粒子を消滅せしめ、平板粒子となるべき形状でかつ単分散性の良い核を得る必要がある。これを可能とするために、核形成に引き続いてオストワルド熟成を行うことがよく知られている。
核形成後直ちにpBrを調節した後、温度を上昇させ六角平板粒子比率が最高となるまで熟成を行う。この時に、保護コロイド溶液を追添加しても良い。その際の分散媒溶液に対する保護コロイドの濃度は、10質量%以下であることが好ましい。この時使用する追添加保護コロイドは、上述したアルカリ処理ゼラチン、本発明のアミノ基修飾ゼラチン、酸化処理ゼラチン、低分子量ゼラチン、天然高分子、または合成高分子が用いられる。また、必要に応じて特開平11−237704号に記載されている パギー法によって測定された分子量分布において、分子量28万以上の成分を30%以上含む石灰処理骨ゼラチンを用いても良い。また、例えば、欧州特許第758758号、および米国特許第5733718号に記載されている澱粉を用いても良い。
熟成の温度は、40〜80℃、好ましくは50〜80℃であり、pBrは1.2〜3.0である。また、pHはアミノ基修飾ゼラチンが存在する場合は4以上8以下が好ましいが、それ以外のゼラチンの場合は2以上8以下が好ましい。
また、この時平板粒子以外の粒子を速やかに消失せしめるために、ハロゲン化銀溶剤を添加しても良い。この場合のハロゲン化銀溶剤の濃度としては、0.3mol/リットル以下が好ましく、0.2mol/リットル以下がより好ましい(以下、リットルを「L」とも表記する。)。
このように熟成して、ほぼ100%平板状粒子のみとする。
熟成が終わった後、次の成長過程でハロゲン化銀溶剤が不要の場合は次のようにしてハロゲン化銀溶剤を除去する。
(i) NH3のようなアルカリ性ハロゲン化銀溶剤の場合は、HNO3のようなAg+との溶解度積の大きな酸を加えて無効化する。
(ii) チオエーテル系ハロゲン化銀溶剤の場合は、特開昭60-136736号に記載のごとくH2O2等の酸化剤を添加して無効化する。
本発明の乳剤の製造方法において、熟成工程の終了とは、主平面が6角形または3角形の平板状粒子であって、双晶面を少なくとも2面有するもの以外の粒子(レギュラーおよび一重双晶粒子)が消失した時点をいう。主平面が6角形または3角形の平板状粒子であって、双晶面を少なくとも2面有するもの以外の粒子の消失は、粒子のレプリカのTEM像を観察することにより確認することができる。
熟成工程において、必要に応じて特開平11−174606号記載の過熟成工程を設けても良い。過熟成工程とは、六角平板粒子比率が最高となるまで熟成(熟成工程)した後、更に平板状粒子自身をオストワルド熟成させることで、異方成長スピードの遅い平板状粒子を消去する工程である。熟成工程で得られた平板状粒子数を100とした場合、該過熟成工程により、平板状粒子数を90以下にまで減少させることが好ましく、更に60以上、80以下まで減少させることがより好ましい。
本発明の乳剤の製造方法において、過熟成工程におけるpBr、温度等の条件は、熟成工程と同じに設定することができる。また、過熟成工程においては、ハロゲン化銀溶剤についても熟成工程と同様に添加することができ、その種類、濃度等も熟成工程のものと同じに設定することができる。
3.成長工程
熟成工程に続く結晶成長期のpBrは1.4〜3.5に保つことが好ましい。成長工程に入る前の分散媒溶液中の保護コロイド濃度が低い場合(1質量%以下)に、保護コロイドを追添加する場合がある。さらに、成長工程中に保護コロイドを追添加する場合がある。追添加の時期は成長工程中のどの時期でも良い。分散媒溶液中の保護コロイド濃度は、1〜10質量%にすることが好ましい。この時使用する保護コロイドは、上述したアルカリ処理ゼラチン、本発明のアミノ基修飾ゼラチン、酸化処理ゼラチン、天然高分子、または合成高分子が用いられる。また、必要に応じて特開平11−237704号に記載されているパギー法によって測定された分子量分布において、分子量28万以上の成分を20%以上、好ましくは30%以上含む石灰処理骨ゼラチンを用いても良い。また、例えば、欧州特許第758758号、および米国特許第5,733,718号に記載されている澱粉を用いても良い。成長時のpHはアミノ基修飾ゼラチンが存在する場合は4〜8以下が好ましく、それ以外は2〜8が好ましい。結晶成長期におけるAg+、およびハロゲンイオンの添加速度は、結晶臨界成長速度の20〜100%、好ましくは30〜100%の結晶成長速度になるようにする事が好ましい。この場合、結晶成長とともに銀イオンおよびハロゲンイオンの添加速度を増加させていくが、その場合、特公昭48-36890号、同52-16364号記載のように、銀塩およびハロゲン塩水溶液の添加速度を上昇させても良く、水溶液の濃度を増加させても良い。
銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液を同時に添加するダブルジェット法で行う際、ヨードの不均一による成長転位の導入を防ぐ為、反応容器の攪拌を良くすることや、添加溶液の濃度を希釈することが好ましい。
銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液の添加と同時に反応容器外で調製したAgI微粒子乳剤を添加する方法は更に好ましい。この際、成長の温度は、50℃以上90℃以下が好ましく、60℃以上85℃以下が更に好ましい。また、添加するAgI微粒子乳剤は、あらかじめ調製したものでも良く、連続的に調製しながら添加しても良い。この際の調製方法は特開平10−43570号を参考に出来る。
添加するAgI乳剤の平均粒子サイズは0.01μm以上0.1μm以下、好ましくは0.02μm以上0.08μm以下である。基盤粒子のヨード組成は、添加するAgI乳剤の量により変化させることが出来る。
また、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液の添加の代わりに、ヨウ臭化銀微粒子を添加しても良い。この際、微粒子のヨード量を所望する基盤粒子のヨード量と等しくすることで、所望のヨード組成の基盤粒子が得られる。ヨウ臭化銀微粒子はあらかじめ調製したものでも良いが、連続的に調製しながら添加する方が好ましい。添加するヨウ臭化銀微粒子サイズは、0.005μm以上0.05μm以下、好ましくは0.01μm以上0.03μm以下である。成長時の温度は60℃以上90℃以下、好ましくは70℃以上85℃以下である。
さらに、上記イオン添加法、AgI微粒子添加法、AgBrI微粒子添加法を組み合わせても良い。
本発明において、平板粒子は好ましくは転位線を有するが、圧力減感の低減のため基盤部には転位線が存在しないことが好ましい。平板粒子の転位線は、例えば、J. F. Hamilton, Phot. Sci. Eng., 11, 57(1967)、T. Shiozawa, J. Soc. Phot. Sci. Japan, 35, 213(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真より、主平面に対して垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数を求めることができる。
次に、(b)工程について説明する。
まず、(b1)工程について説明する。(b1)工程は第1シェル工程と第2シェル工程から成る。上述した基盤に第1シェルを設ける。第1シェルの比率は好ましくは全銀量に対して1%以上30%以下であって、その平均沃化銀含有率20モル%以上100モル%以下である。より好ましくは第1シェルの比率は全銀量に対して1%以上20%以下であって、その平均沃化銀含有率25モル%以上100モル%以下である。基盤への第1シェルの成長は基本的には硝酸銀水溶液と沃化物と臭化物を含むハロゲン水溶液をダブルジェット法で添加する。もしくは硝酸銀水溶液と沃化物を含むハロゲン水溶液をダブルジェット法で添加する。もしくは沃化物を含むハロゲン水溶液をシングルジェット法で添加する。
以上のいずれの方法でも、それらの組み合わせでも良い。第1シェルの平均沃化銀含有率から明らかなように、第1シェル形成時には沃臭化銀混晶の他に沃化銀が析出しえる。いずれの場合でも通常は、次の第2シェルの形成時に、沃化銀は消失し、すべて沃臭化銀混晶に変化する。
第1シェルの形成の好ましい方法として沃臭化銀もしくは沃化銀微粒子乳剤を添加して熟成し溶解する方法がある。さらに、好ましい方法として沃化銀微粒子乳剤を添加して、その後硝酸銀水溶液の添加もしくは硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液を添加する方法がある。この場合、沃化銀微粒子乳剤の溶解は、硝酸銀水溶液の添加により促進されるが、添加した沃化銀微粒子乳剤の銀量を用いて第1シェルとし、沃化銀含有率100モル%とする。そして添加した硝酸銀水溶液の銀量を用いて第2シェルとして計算する。沃化銀微粒子乳剤は急激に添加されることが好ましい。
沃化銀微粒子乳剤を急激に添加するとは、好ましくは10分以内に沃化銀微粒子乳剤を添加することをいう。より好ましくは7分以内に添加することをいう。この条件は添加する系の温度、pBr、pH、ゼラチン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、濃度等により変化しうるが、上述したように短い方が好ましい。添加する時には実質的に硝酸銀等の銀塩水溶液の添加は行なわれない方が好ましい。添加時の系の温度は40℃以上90℃以下が好ましく、50℃以上80℃以下が特に好ましい。
沃化銀微粒子乳剤は実質的に沃化銀であれば良く、混晶となり得る限りにおいて臭化銀および/または塩化銀を含有していても良い。好ましくは100%沃化銀である。沃化銀はその結晶構造においてβ体、γ体ならびに米国特許第4,672,026号に記載されているようにα体もしくはα体類似構造があり得る。本発明においては、その結晶構造の制限は特にはないが、β体とγ体の混合物さらに好ましくはβ体が用いられる。沃化銀微粒子乳剤は米国特許第5,004,679号等に記載の添加する直前に形成したものでも良いし、通常の水洗工程を経たものでもいずれでも良いが、本発明においては好ましくは通常の水洗工程を経たものが用いられる。沃化銀微粒子乳剤は、米国特許第4,672,026号等に記載の方法で容易に形成できうる。粒子形成時のpI値を一定にして粒子形成を行う、銀塩水溶液と沃化物塩水溶液のダブルジェット添加法が好ましい。ここでpIは系のI-イオン濃度の逆数の対数である。温度、pI、pH、ゼラチン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、濃度等に特に制限はないが、粒子のサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.07μm以下が本発明に都合が良い。微粒子であるために粒子形状は完全には特定できないが粒子サイズの分布の変動係数は25%以下が好ましい。特に20%以下の場合には、本発明の効果が著しい。ここで沃化銀微粒子乳剤のサイズおよびサイズ分布は、沃化銀微粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、カーボンレプリカ法ではなく直接、透過法によって観察して求める。これは粒子サイズが小さいために、カーボンレプリカ法による観察では測定誤差が大きくなるためである。粒子サイズは観察された粒子と等しい投影面積を有する円の直径と定義する。粒子サイズの分布についても、この等しい投影面積円直径を用いて求める。本発明において最も有効な沃化銀微粒子は粒子サイズが0.06μm以下0.02μm以上であり、粒子サイズ分布の変動係数が18%以下である。
沃化銀微粒子乳剤は上述の粒子形成後、好ましくは米国特許第2,614,929号等に記載の通常の水洗およびpH、pI、ゼラチン等の保護コロイド剤の濃度調整ならびに含有沃化銀の濃度調整が行われる。pHは5以上7以下が好ましい。pI値は沃化銀の溶解度が最低になるpI値もしくはその値よりも高いpI値に設定することが好ましい。保護コロイド剤としては、平均分子量10万程度の通常のゼラチンが好ましく用いられる。平均分子量2万以下の低分子量ゼラチンも好ましく用いられる。また上記の分子量の異なるゼラチンを混合して用いると都合が良い場合がある。乳剤1kgあたりのゼラチン量は好ましくは10g以上100g以下である。より好ましくは20g以上80g以下である。乳剤1kgあたりの銀原子換算の銀量は好ましくは10g以上100g以下である。より好ましくは20g以上80g以下である。ゼラチン量および/または銀量は沃化銀微粒子乳剤を急激に添加するのに適した値を選択することが好ましい。
沃化銀微粒子乳剤は、通常あらかじめ溶解して添加するが、添加時には系の撹拌効率を十分に高める必要がある。好ましくは撹拌回転数は、通常よりも高めに設定される。撹拌時の泡の発生を防じるために消泡剤の添加は効果的である。具体的には、米国特許第5,275,929号の実施例等に記述されている消泡剤が用いられる。
第1シェル形成のさらに好ましい方法として、従来の沃化物イオン供給法(フリーな沃化物イオンを添加する方法)のかわりに米国特許第5、496、694号に記載の沃化物イオン放出剤を用いて、沃化物イオンを急激に生成せしめながら沃化銀を含むハロゲン化銀相を形成することができる。
沃化物イオン放出剤は沃化物イオン放出調節剤(塩基および/または求核試薬)との反応により沃化物イオンを放出するが、この際に用いる求核試薬としては好ましくは以下の化学種が挙げられる。例えば、水酸化物イオン、亜硫酸イオン、ヒドロキシルアミン、チオ硫酸イオン、メタ重亜硫酸イオン、ヒドロキサム酸類、オキシム類、ジヒドロキシベンゼン類、メルカプタン類、スルフィン酸塩、カルボン酸塩、アンモニア、アミン類、アルコール類、尿素類、チオ尿素類、フェノール類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、セミカルバジド類、ホスフィン類、スルフィド類が挙げられる。
塩基や求核試薬の濃度、添加方法、また反応液の温度をコントロールすることにより沃化物イオンの放出速度、タイミングをコントロールすることができる。塩基として好ましくは水酸化アルカリが挙げられる。
沃化物イオンを急激に生成せしめるのに用いる沃化物イオン放出剤及び沃化物イオン放出調節剤の好ましい濃度範囲は1×10-7〜20Mであり、より好ましくは1×10-5〜10M、さらに好ましくは1×10-4〜5M、特に好ましくは1×10-3〜2Mである
濃度が20Mを上回ると、分子量の大きい沃化物イオン放出剤及び沃化物イオン放出剤の添加量が粒子形成容器の容量に対して多くなり過ぎるため好ましくない。
また、1×10-7Mを下回ると沃化物イオン放出反応速度が遅くなり、沃化物イオン放出剤を急激に生成せしめるのが困難になるため好ましくない。
好ましい温度範囲は30〜80℃であり、より好ましくは35〜75℃、特に好ましくは35〜60℃である。
温度が80℃を上回る高温では一般に沃化物イオン放出反応速度が極めて速くなり、また30℃を下回る低温では一般に沃化物イオン放出反応速度が極めて遅くなるため、それぞれ使用条件が限られ好ましくない。
沃化物イオンの放出の際に塩基を用いる場合、液pHの変化を用いても良い。この時、沃化物イオンの放出速度、タイミングをコントロールするのに好ましいpHの範囲は2〜12であり、より好ましくは3〜11、特に好ましくは5〜10、最も好ましくは調節後のpHが7.5〜10.0である。pH7の中性条件下でも水のイオン積により定まる水酸化物イオンが調節剤として作用する。
また、求核試薬と塩基を併用しても良く、この時もpHを上記の範囲でコントロールし、沃化物イオンの放出速度、タイミングをコントロールしても良い。
沃化物イオン放出剤から沃素原子を沃化物イオンの形で放出させる場合、全沃素原子を放出させても良いし、一部は分解せずに残っていても良い。
上述した基盤および第1シェルを有する平板粒子上に第2シェルを設ける。第2シェルの比率は好ましくは全銀量に対して10モル%以上40モル%以下であって、その平均沃化銀含有率が0モル%以上5モル%以下である。より好ましくは第2シェルの比率は全銀量に対して15モル%以上30モル%以下であって、その平均沃化銀含有率が0モル%以上3モル%以下である。基盤および第1シェルを有する平板粒子上への第2シェルの成長は該平板粒子のアスペクト比を上げる方向でも下げる方向でも良い。基本的には硝酸銀水溶液と臭化物を含むハロゲン水溶液をダブルジェット法で添加することにより第2シェルの成長は行なわれる。もしくは臭化物を含むハロゲン水溶液を添加した後、硝酸銀水溶液をシングルジェット法で添加しても良い。系の温度、pH、ゼラチン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、濃度等は広範に変化しうる。pBrについては、本発明においては該層の形成終了時のpBrが該層の形成初期時のpBrよりも高くなることが好ましい。好ましくは該層の形成初期のpBrが2.9以下であり該層の形成終了時のpBrが1.7以上である。さらに好ましくは該層の形成初期のpBrが2.5以下であり該層の形成終了時のpBrが1.9以上である。最も好ましくは該層の形成初期のpBrが2.3以下1以上である。最も好ましくは該層の終了時のpBrが2.1以上4.5以下である。
(b1)工程の部分には転位線が存在することが好ましい。転位線は平板粒子の側面部近傍に存在することが好ましい。側面部近傍とは、平板粒子の六辺の側面部とその内側部分、すなわち(b1)工程で成長させた部分のことである。側面部に存在する転位線は1粒子当り平均10本以上が好ましい。より好ましくは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることができない場合がある。しかしながら、これらの場合においても、おおよそ10本、20本、30本という程度には数えることが可能であり、明らかに数本しか存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数については100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求める。
本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒子の100ないし50%を占めることが好ましく、より好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは100ないし90%を占める。
50%を下回ると粒子間の均質性の点で好ましくない。
本発明において転位線を含む粒子の割合及び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子について転位線を直接観察して求めることが好ましく、より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300粒子以上について観察して求める。
次に、(b2)工程について説明する。
一つ目の態様としては、頂点近傍のみをヨウ化物イオンにより溶解する方法、二つ目の態様としては、銀塩溶液とヨウ化物塩溶液を同時に添加する方法、三つ目の態様としては、ハロゲン化銀溶剤を用いて頂点近傍のみを実質的に溶解する方法、四つ目の態様としてはハロゲン変換を介する方法がある。
一つ目の態様であるヨウ化物イオンにより溶解する方法について説明する。
基盤粒子にヨウ化物イオンを添加することで基盤粒子の各頂点部近傍が溶解して丸みを帯びる。続けて、硝酸銀溶液と臭化物溶液、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に添加すると粒子は更に成長して頂点近傍に転位が導入される。この方法に関しては、特開平4−149541号、および特開平9−189974号を参考に出来る。
本態様において添加されるヨウ化物イオンの総量は、該ヨウ化物イオン総モル数を基盤粒子の総銀量モル数で除した値に100を掛けた値をI2(モル%)とした時、基盤粒子のヨウ化銀含有率I1(モル%)に対して、(I2−I1)が0以上8以下を満たすことが本発明に従う効果的な溶解を得る上で好ましく、より好ましくは0以上4以下である。
本態様において添加されるヨウ化物イオンの濃度は低い方が好ましく、具体的には0.2モル/L以下の濃度であることが好ましく、更に好ましくは0.1モル/L。
また、ヨウ化物イオン添加時のpAgは8.0以上が好ましく、更に好ましくは8.5以上である。
基盤粒子へのヨウ化物イオンの添加による該基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に添加して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
二つ目の態様である銀塩溶液とヨウ化物塩溶液との同時添加による方法について説明する。基盤粒子に対して銀塩溶液とヨウ化物塩溶液を急速に添加することで粒子の頂点部にヨウ化銀もしくはヨウ化銀含率の高いハロゲン化銀をエピタキシャル生成させることが出来る。この際、銀塩溶液とヨウ化物塩溶液の好ましい添加速度は0.2分〜0.5分であり、更に好ましくは0.5分から2分である。この方法に関しては、特開平4−149541号に詳細に記載されているので、参考にすることが出来る。
基盤粒子へのヨウ化物イオンの添加による該基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に添加して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
三つ目の態様であるハロゲン化銀溶剤を用いる方法について説明する。
基盤粒子を含む分散媒にハロゲン化銀溶剤を加えた後、銀塩溶液とヨウ化物塩溶液を同時添加すると、ハロゲン化銀溶剤により溶解した基盤粒子の頂点部にヨウ化銀もしくはヨウ化銀含率の高いハロゲン化銀が優先的に成長することになる。この際、銀塩溶液およびヨウ化物塩溶液は急速に添加する必要はない。この方法に関しては、特開平4−149541号に詳細に記載されているので、これを参考に出来る。
基盤粒子へのヨウ化物イオンの添加による該基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に添加して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
次に、四つ目の態様であるハロゲン変換を介する方法について説明する。
基盤粒子にエピタキシャル成長部位指示剤(以下、サイトダイレクターと呼ぶ)、例えば特開昭58−108526号記載の増感色素や、水溶性ヨウ化物を添加することで基盤粒子の頂点部に塩化銀のエピタキシャルを形成した後ヨウ化物イオンを添加することで塩化銀をヨウ化銀もしくはヨウ化銀含率の高いハロゲン化銀へハロゲン変換する方法である。サイトダイレクターは増感色素、水溶性チオシアン酸イオン、および水溶性ヨウ化物イオンが使用できるが、沃化物イオンが好ましい。ヨウ化物イオンは基盤粒子に対して0.0005〜1モル%、好ましくは0.001〜0.5モル%が好ましい。最適な量の沃化物イオンを添加した後、銀塩溶液と塩化物塩溶液の同時添加すると塩化銀のエピタキシャルを基盤粒子の頂点部に形成できる。
塩化銀のヨウ化物イオンによるハロゲン変換について説明する。溶解度の大きいハロゲン化銀は溶解度のより小さいハロゲン化銀を形成し得るハロゲンイオンを添加することにより、溶解度のより小さいハロゲン化銀に変換される。この過程はハロゲン変換と呼ばれ、例えば米国特許第4142900号に記載されている。基盤の頂点部にエピタキシャル成長した塩化銀をヨウ化物イオンにより選択的にハロゲン変換することで基盤粒子頂点部にヨウ化銀相を形成させる。詳細は、特開平4−149541号に記載されている。
基盤粒子の頂点部にエピタキシャル成長した塩化銀をヨウ化物イオンの添加によるヨウ化銀相へのハロゲン変換に引き続き、硝酸銀溶液の単独添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に添加して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
(b2)工程の部分には転位線が存在することが好ましい。転位線は平板粒子の頂点部近傍に存在することが好ましい。頂点部近傍とは、粒子の中心と各頂点を結ぶ直線の中心からx%の位置の点から、各頂点を作る辺に垂線を下した時に、その垂線とその辺とで囲まれた三次元の部分のことである。このxの値は好ましくは50以上100未満、さらに好ましくは75以上100未満である。側面部に存在する転位線は1粒子当り平均10本以上が好ましい。より好ましくは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることができない場合がある。しかしながら、これらの場合においても、おおよそ10本、20本、30本という程度には数えることが可能であり、明らかに数本しか存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数については100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求める。
本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒子の100ないし50%を占めることが好ましく、より好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは100ないし90%を占める。
50%を下回ると粒子間の均質性の点で好ましくない。
本発明において転位線を含む粒子の割合及び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子について転位線を直接観察して求めることが好ましく、より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300粒子以上について観察して求める。
次に、(b3)工程について説明する。
基盤粒子へのハロゲン化銀のエピタキシャル形成に関しては、米国特許第4,435,501号に記載されているように、基盤粒子表面に吸着したヨウ化物イオン、アミノアザインデン、もしくは分光増感色素等のサイトダイレクターによって銀塩エピタキシャルが選択された部位、例えば基盤粒子の頂点部、もしくは側面部に形成できることが示されている。また、特開平8−69069号には極薄平板粒子基盤の選択された部位に銀塩エピタキシャルを形成させ、このエピタキシャル相を最適な化学増感することで高感化を達成している。
本発明においても、これらの方法を用いて本発明の基盤粒子を高感化することは非常に好ましい。サイトダイレクターは、アミノアザインデン、もしくは分光増感色素を用いても良いし、ヨウ化物イオン、もしくはチオシアン酸イオンを用いることができ、目的に応じて使い分けることも出来るし、組み合わせても良い。
増感色素量、ヨウ化物イオン、およびチオシアン酸イオンの添加量を変化させることで、銀塩エピタキシャルの形成部位を、基盤粒子の主平面部、側面部、もしくは頂点部にのみ限定することも出来るし、それらの組み合わせも可能である。サイトダイレクターに用いるアミノアザインデン、沃化物イオン、チオシアン酸イオン、分光増感色素の添加量は、用いるハロゲン化銀基盤粒子の銀量、表面積、およびエピタキシャルの限定部位に応じて適宜選択することが好ましい。銀塩エピタキシャルを形成する温度は、40〜70℃が好ましく、45〜60℃が更に好ましい。また、この際のpAgは9.0以下が好ましく、8.0以下が更に好ましい。このようにサイトダイレクターの種類、添加量、エピタキシャル沈積条件(温度、pAgなど)を適宜選択することで、基盤粒子の主平面部、側面部、もしくは頂点部に銀塩のエピタキシャルを選択的に形成することができる。こうして得た乳剤を、特開平8−69069号のようにエピタキシャル相に選択的に化学増感を施して高感化させても良いが、銀塩エピタキシャル形成に引き続き、銀塩溶液とハロゲン塩溶液を同時添加して更に成長させても良い。この際添加するハロゲン塩水溶液は、臭化物塩溶液、もしくは、臭化物塩溶液とヨウ化物塩溶液との混合液が好ましい。またこの際の温度は、40〜80℃が好ましく、45〜70℃が更に好ましい。また、この際のpAgは5.5以上9.5以下が好ましく、6.0以上9.0以下が好ましい。さらに、エピタキシャル組成とは異なるハロゲン溶液を添加して、エピタキシャルのハロゲン変換しても良い。エピタキシャル形成およびその後の成長、またはハロゲン変換は、ハロゲン化銀基盤粒子形成後引き続いて行っても良いし、基盤粒子形成後一旦水洗/再分散した後でも良いし、化学増感前でも良い。エピタキシャル形成とその後の成長またはハロゲン変換を水洗/再分散前後に分けても良い。
(b3)工程において形成されるエピタキシャルは、(a)工程で形成した基盤粒子の外部に突出して形成されていることを特徴とする。エピタキシャルの組成は、AgBr、AgCl、AgBrCl、AgBrClI、AgBrI、AgI、AgSCN等が好ましい。また、エピタキシャル層に特開平8−69069号に記載されているような「ドーパント(金属錯体)」を導入することはさらに好ましい。エピタキシャル成長の位置は、基盤粒子の頂点部、側面部、主平面部の少なくとも一部分でも良く、複数の個所にまたがっても良い。頂点部とは、三角形や六角状平板粒子の各頂点(六角形であれば6つ、三角形であれば3つ)のことを言い、各頂点のうち少なくとも1つエピタキシャルが存在することが好ましい。側面部とは、六角平板粒子の場合、6辺の辺上、および2つの主平面部をつなぐ面、すなわち側面部のことを言い、エピタキシャルは6辺の辺上および側面部のどの部分に存在しても良く、少なくとも1個以上存在すれば良い。三角形平板粒子の場合も同様である。主平面部とは平板粒子で言う2枚の主平面のことを言い、エピタキシャルは主平面のどの位置に存在しても良く、少なくとも1個以上存在すれば良い。エピタキシャルの形状は、{100}面、{111}面、{110}面が単独で出現していても良く、複数出現していても良い。また、高次の面が出現した不定形をしていても良い。
(b3)工程の部分には転位線が存在しなくても良いが、転位線が存在することはさらに好ましい。転位線は基盤粒子とエピタキシャル成長部との接合部、もしくはエピタキシャル部に存在することが好ましい。接合部、もしくはエピタキシャル部に存在する転位線は1粒子当り平均10本以上が好ましい。より好ましくは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることができない場合がある。しかしながら、これらの場合においても、おおよそ10本、20本、30本という程度には数えることが可能であり、明らかに数本しか存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数については100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均として求める。
エピタキシャル部の形成時に6シアノ金属錯体がドープされているのが好ましい。6シアノ金属錯体のうち、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又はクロムを含有するものが好ましい。金属錯体の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10-9乃至10-2モルの範囲であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10-8乃至10-4モルの範囲であることがさらに好ましい。金属錯体は、水または有機溶媒に溶かして添加することができる。有機溶媒は水と混和性を有することが好ましい。有機溶媒の例には、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、及びアミド類が含まれる。
本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当たり5本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒子の100ないし50%を占めることが好ましく、より好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは100ないし90%を占める。
50%を下回ると粒子間の均質性の点で好ましくない。
本発明において転位線を含む粒子の割合及び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子について転位線を直接観察して求めることが好ましく、より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300粒子以上について観察して求める。
本発明の乳剤の調製時に用いられる保護コロイドとして、及びその他の親水性コロイド層のバインターとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。
例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新しく用意した保護コロイドに分散にすることが好ましい。保護コロイドとしては、ゼラチンが用いられるが、ゼラチン以外の天然高分子や合成高分子も同様に用いられる。ゼラチンの種類としては、アルカリ処理ゼラチン、ゼラチン分子中のメチオニン基を過酸化水素等で酸化した酸化処理ゼラチン(メチオニン含量40μmol/g以下)、本発明のアミノ基修飾ゼラチン(例えば、フタル化ゼラチン、トリメリット化ゼラチン、コハク化ゼラチン、マレイン化ゼラチン、エステル化ゼラチン)が用いられる。また、必要に応じて特開平11−237704号に記載されているパギー法によって測定された分子量分布において、分子量28万以上の成分を20%以上、好ましくは30%以上含む石灰処理骨ゼラチンを用いても良い。また、例えば、欧州特許第758758号、および米国特許第5733718号に記載されている澱粉を用いても良い。その他、天然高分子は特公平7−111550号、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIX項に記載されている。水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAg も目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法、限外濾過法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
本発明の粒子形成時において、例えば、特開平5−173268号、同5−173269号、同5−173270号、同5−173271号、同6−202258号、同7−175147号に記載されたポリアルキレンオキサイドブロックコポリマー、または、例えば、日本国特許第3089578号に記載されたポリアルキレンオキサイドコポリマーが存在させても良い。該化合物が存在する時期は粒子調製中のどの時期でも良いが、粒子形成の早い段階で用いるとその効果が大きい。
本発明に関する第3の乳剤のハロゲン化銀粒子が平行な主平面が(100)面塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子について以下説明する。
本発明の{100}平板状粒子は全投影面積の50〜100%、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%が主平面が{100}面である平均アスペクト比が2以上の平板状粒子からなる。粒子厚みは0.01〜0.10μm、好ましくは0.02〜0.08μm、より好ましくは0.03〜0.07μmであり、アスペクト比は2〜100、好ましくは3〜50、より好ましくは5〜30である。粒子厚みの変動係数(「分布の標準偏差/平均粒子厚み」の100分率、以下COV.と記す)は30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。このCOV.が小さいほど、粒子厚みの単分散度が高いことを示している。
平板状粒子の投影面積径ならびに厚みは、レプリカ法による透過電子顕微鏡(TEM)写真を撮影して個々の粒子の投影面積径と厚みを求める。この場合、厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。本発明におけるCOV.の測定は、少なくとも600個以上の粒子について測定した結果である。
本発明の{100}平板状粒子の組成は塩化銀含有率10モル%未満の塩沃臭化銀あるいは沃臭化銀である。また、その他の銀塩、例えばロダン銀、硫化銀、セレン化銀、テルル化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀等が別粒子として、あるいはハロゲン化銀粒子の一部分として含まれていても良い。
AgX結晶中のハロゲン組成を調べる方法としては、X線回折法が知られている。X線回折法については基礎分析化学講座24「X線回折」等に詳しく記載されている。標準的には、CuのKβ線を線源としてAgX(420)面の回折角度を粉末法により求める。
回折核2θが求まるとブラッグの式から格子定数aが以下のように求まる。
2 d sinθ =λ
d = a /( h2 + k2 + l21/2
ここで、2θは( h k l )面の回折角、λはX線の波長、dは( h k l )面の面間隔である。ハロゲン化銀固溶体のハロゲン組成と格子定数aの関係は既に知られているので(例えば、T.H.James編 「The Theory of Photographic Process. 4thEd」Macmillian New Yorkに記載されている)、格子定数が分かるとハロゲン組成が決定できる。
本発明の{100}平板状粒子のハロゲン組成構造は、どのようなものでも良い。例えばコアとシェルのハロゲン組成の異なる(コア/シェル)2構造を有する粒子やコアと2つ以上のシェルを有する多重構造の粒子が例として挙げられる。コアの組成としては臭化銀が好ましいがこれに限られるものではない。また、シェルの組成はコアよりも沃化銀含有率が高い方が好ましい。
本発明の{100}平板状粒子は、平均沃化銀含有率2.3モル以上、かつ表面の平均沃化銀含有率は8モル%以上であることが好ましい。また、沃化銀含有率の粒子間の変動係数は20%未満であることがより好ましい。表面沃化銀含有率は先述したXPSを用いて測定することができる。
本発明の{100}平板状粒子を形状で分類すると、次の6つを挙げることができる。(1)主平面の形状が直角平行四辺形である粒子。(2)該直角平行四辺形の4つの角の内、1個以上、好ましくは1〜4個が非等価的に欠落した粒子。即ち〔(最大欠落部の面積)/最少欠落部の面積=K1が2〜∞の粒子)〕、(3)該4つの角が等価的に欠落した粒子(該K1が2より小の粒子)、(4)該欠落部の側面の面積の5〜100%、好ましくは20〜100%が{111}面である粒子。(5)主平面を構成する4つの辺の内の少なくとも相対する2つの辺が外側に凸の曲線である粒子、(6)該直角平行四辺形の4つの角のうちの1つ以上、好ましくは1〜4個が直角平行四辺形状に欠落した粒子。これらは電子顕微鏡を用いた観察により確認できる。
本発明の{100}平板状粒子の表面の晶癖に占める{100}面比率は、80%以上、好ましくは90%以上であるが、それについては粒子の電子顕微鏡写真を用いて統計的に見積もることができる。乳剤中のAgX粒子における{100}平板比率が100%にほぼ近い場合には、以下の方法にて上記見積もりを確認することもできる。その方法とは、日本化学会紙1984、No.6、942pに記載してある方法であり、一定量の該{100}平板状粒子にベンゾチアシアニン色素を量を変えて40℃で17時間吸着させ、625nmでの光吸収より単位乳剤あたりの全粒子の表面積の総和(S)及び{100}面の面積の総和(S1)を求め、これらの値をもとに、式:S1/S×100(%)よって{100}面比率を算出する方法である。
本発明の{100}平板状粒子の平均球相当直径は好ましくは0.35μm未満である。粒子サイズの見積もりはレプリカ法によって、投影面積と厚みの測定により求めることができる。
本発明に関する第4の乳剤のハロゲン化銀粒子が平行な主平面が(111)面あるいは(100)面でありアスペクト比が2以上であって、少なくとも80モル%以上の塩化銀を含有する平板状粒子について以下説明する。
高塩化銀で(111)粒子を製造するためには特別の工夫が必要である。Weyの米国特許第4,399,215号でアンモニアを用いて高塩化銀平板粒子を製造する方法を用いてもよい。Maskaskyの米国特許第5,061,617号明細書でチオシアン酸塩を用いて高塩化銀平板粒子を製造する方法を用いてもよい。以下に示した高塩化銀粒子において(111)面を外表面とする粒子を形成するために粒子形成時に添加剤(晶相制御剤)を添加する方法を用いてもよい。以下に示す。
特許番号 晶相制御剤 発明者
米国特許第4,400,463号 アザインデン類+ マスカスキー
チオエーテルペプタイザ−
米国特許第4,783,398号 2−4−ジチアゾリジノン 御舩等
米国特許第4,713,323号 アミノピラゾロピリミジン マスカスキー
米国特許第4,983,508号 ビスピリジニウム塩 石黒等
米国特許第5,185,239号 トリアミノピリミジン マスカスキー
米国特許第5,178,997号 7−アザインドール系化合物 マスカスキー
米国特許第5,178,998号 キサンチン マスカスキー
特開昭64−70741号 色素 西川等
特開平3−212639号 アミノチオエーテル 石黒
特開平4−283742号 チオ尿素誘導体 石黒
特開平4−335632号 トリアゾリウム塩 石黒
特開平2−32号 ビスピリジニウム塩 石黒等
特開平8−227117号 モノピリジニウム塩 大関等
(111)平板粒子形成に関しては、前記表中に記載されているように種々の晶相制御剤を用いる方法が知られているが、特開平2−32号に記載された化合物(化合物例1〜42)が好ましく、特開平8−227117号に記載されている晶相制御剤1〜29が特に好ましい。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
(111)平板粒子はふたつの平行な双晶面を形成することにより得られる。双晶面の形成は温度、分散媒(ゼラチン)、ハロゲン濃度等により左右されるのでこれらの適当な条件を設定しなければならない。晶相制御剤を核形成時に存在させる場合にはゼラチン濃度は0.1%〜10%が好ましい。塩化物濃度は0.01モル/L以上、好ましくは0.03モル/L以上である。
また、粒子を単分散化するためには、核形成に際して晶相制御剤を用いないのが好ましいことが特開平8−184931号に開示されている。晶相制御剤を核形成時に用いない場合にはゼラチン濃度は0.03%〜10%、好ましくは0.05%〜1.0%である。塩化物濃度は0.001モル/L〜1モル/L、好ましくは0.003モル/L〜0.1モル/Lである。核形成温度は2℃〜90℃まで任意の温度を選べるが5℃〜80℃が好ましく、特に5℃〜40℃が好ましい。
最初の核形成段階で平板粒子の核が形成されるが、核形成直後には反応容器内には平板粒子以外の核も多数含まれる。そのため、核形成後、熟成を行い、平板粒子のみを残存させ他を消滅させる技術が必要となる。通常のオストワルド熟成を行うと、平板粒子核も溶解消滅するため、平板粒子核が減少し、結果として得られる平板粒子のサイズが増大してしまう。これを防止するために、晶相制御剤を添加する。特にフタル化ゼラチンを併用することで、晶相制御剤の効果を高め、平板粒子の溶解を防止できる。熟成中のpAgは特に重要であり、銀塩化銀電極に対して60〜130mVが好ましい。
次に、形成した核を物理熟成及び銀塩とハロゲン化物の添加により、晶相制御剤存在下に成長させる。この際には、塩化物濃度は5モル/L以下、好ましくは0.05〜1モル/Lである。粒子成長時の温度は10℃〜90℃の範囲で選択できるが、30℃〜80℃の範囲が好ましい。
晶相制御剤の全使用量は完成乳剤中のハロゲン化銀1モルあたり、6×10-5モル以上、特に3×10-4モル〜6×10-2モルが好ましい。晶相制御剤の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子の核形成時から物理熟成、粒子成長途中のどの時期でもよい。添加後より(111)面が形成を開始する。晶相制御剤は予め反応容器内に添加してもよいが、小サイズ平板粒子形成する場合には、粒子成長とともに反応容器内に添加し、その濃度を増大させるのが好ましい。
核形成時に使用した分散媒量が成長にとって不足の場合には添加により補う必要がある。成長には10g/L〜100g/Lのゼラチンが存在するのが好ましい。補うゼラチンとしてはフタル化ゼラチンあるいはトリメリットゼラチンが好ましい。
粒子形成時のpHは任意であるが中性から酸性領域が好ましい。
次に(100)平板粒子について説明する。(100)平板粒子は(100)面を主平面とした平板状粒子である。該主平面の形状は、直角平行四辺形形状または、該直角平行四辺形のある一つの角が欠落した3〜5角形形状(欠落した形状とは、その角を頂点とし、その角をなす辺によって形成される直角三角形部分)、または該欠落部分が2つ以上4つ以下存在する4〜8角形形状等がある。
欠落した部分を補った直角平行四辺形形状を、補充四辺形とすると、該直角平行四辺形および該補充四辺形の隣接辺比率(長辺の長さ/短辺の長さ)は1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤粒子の形成法としては、ゼラチン水溶液のような分散媒中に銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を攪拌しながら添加、混合することにより行うが、この時、例えば、特開平6−301129号、同6−347929号、同9−34045号、同9−96881号では、ヨウ化銀またはヨウ化物イオンを、あるいは、臭化銀または臭化物イオンを存在させ、塩化銀との結晶格子の大きさの違いから核に歪みを生じさせ、螺旋転位の様な異方成長性を付与する結晶欠陥を導入する方法が開示されている。該螺旋転位が導入されると、低過飽和条件ではその面での2次元核の形成が律速ではなくなるため、この面での結晶化が進み、螺旋転位を導入することによって平板状の粒子が形成される。ここで低過飽和条件とは臨界添加時の好ましくは35%以下、より好ましくは2〜20%を示す。該結晶欠陥が螺旋転位であると確定されたわけでは無いが、転位の導入された方向、あるいは粒子に異方成長性が付与される事から螺旋転位である可能性が高いと考えられている。平板粒子をより薄くする為には、導入された該転位保持が好ましい事が特開平8−122954号、同9−189977号に開示されている。
また、特開平6−347928号ではイミダゾール類、3,5−ジアミノトリアゾール類を用いたり、特開平8−339044号ではポリビニルアルコール類を用いるなどして、(100)面形成促進剤を添加して(100)平板粒子を形成する方法が開示されている。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
高塩化銀粒子とは塩化銀含有量が80モル%以上の粒子をいうが、95モル%以上が塩化銀であることが好ましい。本発明の粒子はコア部とコア部を取り巻くシェル部よりなる、いわゆるコア/シェル構造をしていることが好ましい。コア部は90モル%以上が塩化銀であることが好ましい。コア部はさらに、ハロゲン組成の異なる二つ以上の部分からなっていてもよい。シェル部は全粒子体積の50%以下であることが好ましく、20%以下であることが特に好ましい。シェル部はヨウ塩化銀もしくは沃臭塩化銀であることが好ましい。シェル部は0.5モル%から13モル%のヨードを含有することが好ましく、1モル%から13モル%で含有することが特に好ましい。ヨウ化銀の全粒子中の含有量は5モル%以下が好ましく、1モル%以下が特に好ましい。
臭化銀含有率もコア部よりもシェル部が高いことが好ましい。臭化銀含有率は20モル%以下が好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
ハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(体積換算球相当直径)に特に制限はないが、好ましくは0.1μm〜0.8μm、特に好ましくは0.1μm〜0.6μmである。
ハロゲン化銀の平板粒子は、投影面積径は好ましくは0.2〜1.0μmである。ここでハロゲン化銀粒子の投影面積径とは、電子顕微鏡写真における粒子の投影面積に等しい面積の円の直径を云う。また、厚みは0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.06μm以下である。本発明において全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上が、平均アスペクト比(その直径/厚みの比)2以上であり、好ましくは5以上20以下である。
一般に平板粒子は、2つの平行な面を有する平板状であり、したがって本発明における「厚み」とは平板粒子を構成する2つの平行な面の距離で表される。
本発明のハロゲン化銀粒子の粒子サイズの分布は、多分散でも単分散でもよいが、単分散であることがより好ましい。特に全投影面積の50%以上を占める平板粒子の投影面積径の変動係数が20%以下が好ましい。理想的には0%である。
晶相制御剤が粒子形成後も粒子表面に存在すると、増感色素の吸着や現像に影響を与える。そのため、晶相制御剤は粒子形成後に除去することが好ましい。ただし、晶相制御剤を除去した場合、高塩化銀(111)平板粒子は、通常の条件では(111)面を維持するのが困難である。したがって、増感色素等写真的に有用な化合物で置換して粒子形態を保持することが好ましい。この方法については、特開平9−80656号、特開平9−106026号、米国特許第5,221,602号明細書、同第5,286,452号、同第5,298,387号、同第5,298,388号、同第5,176,992号等に記載されている。
上記方法により晶相制御剤は粒子から脱着するが、脱着した晶相制御剤を水洗により乳剤外へ除去するのが好ましい。水洗温度としては、保護コロイドとして通常用いられるゼラチンが凝固しない温度で行うことができる。水洗方法としては、フロキュレーション法や限外ろ過法等の種々の公知技術を用いることができる。水洗温度は40℃以上が好ましい。
また、晶相制御剤は低pHで粒子より脱着が促進される。従って、水洗工程のpHは粒子が過度に凝集しない限りの低いpHが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤をその乳剤が用いられる層によってさらにハロゲン化銀乳剤に特徴を出してもよい。特に青感性層に用いる場合においては、ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子は、ヨウ化銀含有量が3モル%以上が好ましく、5モル%以上が更に好ましい。また、高感度層に用いる場合には投影面積径は1μm以上が好ましく、2μm以上が更に好ましい。
また、感材の圧力耐性付与を持たせるためにハロゲン化銀乳剤に以下のような特徴を持たせてもよい。ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子は、主平面の中心から面積で50%以内、好ましくは80%以内の部分に、透過電子顕微鏡で観察した際に転位線が存在しない粒子が全粒子の80%以上を占めることが好ましく、90%以上を占めることが更に好ましい。主平面の中心とは、主平面の面積における重心位置のことである。
以下に、本発明の乳剤全般に関わる内容について説明する。
本発明で好ましく用いられる還元増感とは、ハロゲン化銀に対して還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAg雰囲気下でハロゲン化銀粒子を成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気下で成長あるいは熟成させる方法のいずれかを選ぶこともできる。また、これらのうち2つ以上の方法を併用することもできる。
特に、還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
還元増感剤として第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、ハイドロキノンおよびその誘導体、カテコールおよびその誘導体、ヒドロキシルアミンおよびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジンおよびその誘導体、パラフェニレンジアミンおよびその誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸(二酸化チオ尿素)、シラン化合物、ボラン化合物を挙げることができる。本発明の還元増感にはこれら還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感の方法に関しては米国特許第2,518,698号、同第3,201,254号、同第3,411,917号、同第3,779,777号、同第3,930,867号に開示された方法や、還元剤の使用方法に関しては、特公昭57−33572、同58−1410、特開昭57−179835に開示された方法を使用することができる。還元増感剤としてカテコールおよびその誘導体、ヒドロキシルアミンおよびその誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸(二酸化チオ尿素)、が好ましい化合物である。また、下記一般式(3)および(4)も好ましい還元増感剤である。
Figure 0003639296
一般式(3)および(4)において、W51、W52はスルホ基または水素原子を表す。但し、W51、W52の少なくとも1つはスルホ基を表す。スルホ基は一般にはナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属塩、またはアンモニウム塩等の水可溶性塩である。好ましい化合物として具体的には、3,5−ジスルホカテコ−ルジナトリウム塩、4−スルホカテコ−ルアンモニウム塩、2,3−ジヒドロキシ−7−スルホナフタレンナトリウム塩、2,3−ジヒドロキシ−6,7−ジスルホナフタレンカリウム塩等があげられる。
還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-1モルの範囲が適当である。還元増感剤は水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類などの溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。
本発明で用いることができるハロゲン化銀溶剤としては、米国特許第3,271,157号、同第3,531,289号、同3,574,628号、特開昭54−1019号、同54−158917号等に記載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−82408号、同55−77737号、同55−2982号等に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−144319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載された(d)イミダゾール類、(e)アンモニア、(f)チオシアネート等があげられる。
特に好ましい溶剤としては、チオシアネート、アンモニアおよびテトラメチルチオ尿素がある。また用いられる溶剤の量は種類によっても異なるが、例えばチオシアネートの場合、好ましい量はハロゲン化銀1モル当り1×10-4モル以上1×10-2モル以下である。
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。先述したように、粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみ、あるいはエピタキシャル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加できる。例えば、CdBr2、CdCl2、Cd(NO32、Pb(NO32、Pb(CH3COO)2、K4[Fe(CN)6]、(NH44[Fe(CN)6]、K2IrCl6、(NH43RhCl6、K4Ru(CN)6があげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのなかから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
金属化合物は水またはメタノール、アセトンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ましい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えることもできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)あるいはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、KBr、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を組み合せるのも好ましい。
米国特許第3,772,031号に記載されているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セレン増感及びテルル増感等のようなカルコゲン増感、金増感及びパラジウム増感等のような貴金属増感、並びに還元増感の少なくとも1つをハロゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工程で施こすことができる。2種以上の増感法を組み合せることは好ましい。どの工程で化学増感するかによって種々のタイプの乳剤を調製することができる。粒子の内部に化学増感核をうめ込むタイプ、粒子表面から浅い位置にうめ込むタイプ、あるいは表面に化学増感核を作るタイプがある。本発明の乳剤は目的に応じて化学増感核の場所を選ぶことができるが、一般に好ましいのは表面近傍に少なくとも一種の化学増感核を作った場合である。
本発明で好ましく実施しうる化学増感の一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、The Theory of the Photographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67−76頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号に記載されるようにpAg 5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。
金増感においては、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号などに記載されている金塩を用いる事が出来る。
具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネートにくわえて、米国特許第2,642,361号(硫化金やセレン化金など)、同3,503,749号(水溶性基を持つチオレート金など)、同5,049,484号(ビス(メチルヒダントイナート)金錯体など)、同5,049,485号(メソイオニックチオレート金錯体、例えば1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート金錯体など)、同5,252,455号や同5,391,727号の大環状複素環金錯体、同5,620,841号、同5,700,631号、同5,759,760号、同5,759,761号、同5,912,111号、同5,912,112号、同5,939,245号、特開平1−147537号、8−69074号、同8−69075号、同9−269554号、特公昭45−29274号、ドイツ特許DD−264524A、同264525A、同265474A、同298321A、特開2001−75214号、同2001−75215号、同2001−75216号、同2001−75217号、特開2001−75218号などに記載の金化合物も用いることが出来る。
パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。
具体的には、K2PdCl4、(NH42PdCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著、Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure誌307巻307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。
具体的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N’−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、ジカルボキシメチル−ジメチルチオ尿素、カルボキシメチル−トリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4ーオキソーオキサゾリジンー2ーチオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、ヘキサチオカンーチオン)、メルカプト化合物(例えば、システイン)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。特にチオ硫酸塩、チオ尿素類、フォスフィンスルフィド類とローダニン類が好ましい。
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109340号、同4−271341号、同5−40324号、同5−11385号、同6−51415号、同6−180478号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−92599号、同7−98483号、同7−140539号などに記載されているセレン化合物を用いる事が出来る。
具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアミド,N,N−ジエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類(例えば、メトキシフェニルセレノカルボキシ−2,2−ジメトキシシクロヘキサンエステル)、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさらに、特公昭46−4553号、同52−34492号などに記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン酸類(例えば、セレノシアン酸カリウム)、セレナゾール類、セレニド類なども用いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレノ尿素類、セレノエステル類とセレノシアン酸類が好ましい。
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4−224595号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号、同6−27573号、同6−180478号、同6−208186号、同6−208184号、同6−317867号、同7−140539号などに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出来る。
具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシージフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N´−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N´−ジフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミド類、テルロエステル類などを用いれば良い。
有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第3,411,914号、同第3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
本発明で用いられる金増感剤やカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子や化学増感条件などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いることが出来る。
本発明における化学増感の条件としては、特に制限は無いが、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、pHは4〜10、好ましくは5〜8、温度としては40℃〜95℃、好ましくは45℃〜85℃である。
本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na427・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K228)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O2)C24]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242]・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
また、有機の酸化剤としては、p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
本発明の好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることができる。
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)チトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許第3,954,474号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
本発明に用いられる写真乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されることが本発明の効果を発揮するのに好ましい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核の5〜6員複素環核を適用することができる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。
増感色素を乳剤中に添加する時期は、これまで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969号、および同第4,225,666号に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感と同時に行なうことも、特開昭58−113928号に記載されているように化学増感に先立って行なうことも出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開始することも出来る。更にまた米国特許第4,225,666号に教示されているようにこれらの前記化合物を分けて添加すること、即ちこれらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第4,183,756号に開示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。
添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×10-6〜8×10-3モルで用いることができる。
次に本発明の感光材料において用いる化合物について説明する。
まず、本発明の一般式(I)で表される化合物について説明する。
一般式(I)で表される本発明の化合物は、乳剤調製時、感材製造工程中のいかなる場合にも使用しても良い。例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前などである。またこれらの工程中の複数回に分けて添加することも出来る。本発明の化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。
一般式(I)で表される本発明の化合物は、乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1×10-9〜5×10-2モル、更に好ましくは1×10-8〜2×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有する。
一般式(I)中、Xで表されるハロゲン化銀吸着基としては、N、S、P、SeおよびTeからなる群から選択される少なくとも1つを有し、好ましくは銀イオンリガンド構造のものである。kが2以上の場合、複数個のXは、同じでも異なっていてもよい。銀イオンリガンド構造のものとしては以下が挙げられる。
一般式(X−1)
−G1−Z1−R1
式中、G1は2価の連結基であり、2価の複素環基、または2価の複素環基と置換もしくは無置換のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、SO2基のいずれかとが結合した2価の基を表す。Z1は、S、SeまたはTe原子を表す。R1は水素原子またはZ1の解離体となった場合に必要な対イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンおよびアンモニウムイオンを表す。
一般式(X−2a)、(X−2b)
Figure 0003639296
一般式(X−2a)、(X−2b)は環形成されており、その形態は、5〜7員の複素飽和環、複素不飽和環、不飽和炭素環である。Zaは、O、N、S、SeまたはTe原子を表し、n1は0〜3の整数を表す。R2は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基を表す。n1が2以上のとき、複数個のZaは同じでも異なっていてもよい。
一般式(X−3)
−R3−(Z2)n2−R4
式中、Z2はS、SeまたはTe原子を表し、n2は1〜3の整数を表す。R3は2価の連結基であり、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価の複素環基、または2価の複素環基とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、SO2基のいずれかとが結合した2価の基を表す。R4はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。n2が2以上のとき、複数のZ2は、同じでも異なっていてもよい。
一般式(X−4)
Figure 0003639296
式中、R5およびR6は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
一般式(X−5a)、(X−5b)
Figure 0003639296
式中、Z3は、S、SeまたはTe原子を表し、E1は水素原子、NH2、NHR10、N(R102、NHN(R102、OR10またはSR10を表す。E2は2価の連結基であり、NH、NR10、NHNR10、OまたはSを表す。R7、R8およびR9は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表し、R8とR9は互いに結合して環を形成していてもよい。R10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
一般式(X−6a)、(X−6b)
Figure 0003639296
式中、R11は2価の連結基であり、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基または2価の複素環基を表す。G2およびJは各々独立して、COOR12、SO212、COR12、SOR12、CN、CHOまたはNO2を表す。R12はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
一般式(X−1)について詳細に説明する。式中、G1で表される連結基としては、それぞれ炭素数1〜20の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、3−オキサペンチレン、2−ヒドロキシトリメチレン)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキレン基(例えばシクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン)、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアルケニレン基(例えばエテン、2−ブテニレン)、炭素数2〜10のアルキニレン基(例えばエチン)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば無置換p−フェニレン、無置換2,5−ナフチレン)が挙げられる。
式中、G1で表されるSO2基としては、−SO2−基の他に、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキレン基、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキレン基あるいは炭素数2〜10のアルケニレン基と結合した−SO2−基が挙げられる。
さらに、G1で表される2価の連結基としては、2価の複素環基、または2価の複素環基とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、SO2基のいずれかとが結合した2価の基、またはこれらの基の複素環部分がベンゾ縮合またはナフト縮合されたもの(例えば、2,3−テトラゾールジイル、1,3−トリアゾールジイル、1,2−イミダゾールジイル、3,5−オキサジアゾールジイル、2,4−チアゾールジル、1,5−ベンゾイミダゾールジイル、2,5−ベンゾチアゾールジイル、2,5−ベンゾオキサゾールジイル、2,5−ピリミジンジイル、3−フェニル−2,5−テトラゾールジイル、2,5−ピリジンジイル、2,4−フランジイル、1,3−ピペリジンジイル、2,4−モルホリンジイル)が挙げられる。
上記式中、G1には可能な限り置換基を有していてもよい。置換基を以下に示すが、これら置換基をここでは置換基Yと称する。
置換基としては例えばハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル)、アルケニル基(例えばアリル、2−ブテニル)、アルキニル基(例えばプロパルギル)、アラルキル基(例えばベンジル)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル、4−メチルフェニル)、複素環基(例えばピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジニル、モルホリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、エトキシエトキシ、メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、2−ナフチルオキシ)、アミノ基(例えば無置換アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、ウレイド基(例えば無置換ウレイド、N−メチルウレイド)、ウレタン基(例えばメトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ)、スルフォニルアミノ基(例えばメチルスルフォニルアミノ、フェニルスルフォニルアミノ)、スルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(例えば無置換カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル,N−フェニルカルバモイル)、スルホニル基(例えばメシル、トシル)、スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル、フェニルスルフィニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、リン酸アミド基(例えばN,N−ジエチルリン酸アミド)、シアノ基、スルホ基、チオスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基、アンモニオ基、ホスホニオ基、ヒドラジノ基、チアゾリノ基が挙げられる。また、置換基が2つ以上ある時は同じでも異なっていてもよく、置換基はさらに置換基を有していてもよい。
一般式(X−1)の好ましい例を示す。
好ましい一般式(X−1)としては、G1は炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のアルキレン基またはアリーレン基と結合された、もしくはベンゾ縮合またはナフト縮合された5〜7員環を形成する複素環基が挙げられる。Z1としてはS、Seが挙げられ、R1としては、水素原子、ナトリウムイオン、カリウムイオンが挙げられる。
さらに好ましくは、G1は、炭素数6〜8の置換もしくは無置換のアリーレン基と結合された、またはベンゾ縮合された5〜6員環を形成する複素環基であり、最も好ましくは、アリーレン基と結合された、もしくはベンゾ縮合された5〜6員環を形成する複素環基である。さらに好ましいZ1はSであり、R1は、水素原子、ナトリウムイオンである。
一般式(X−2a)および(X−2b)について詳細に説明する。
式中、R2で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、n−ブトキシプロピル、メトキシメチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えばアリル、2−ブテニル、3−ペンテニル)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えばプロパルギル、3−ペンチニル)、炭素数6〜12のアラルキル基(例えばベンジル)等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えば無置換フェニル、4−メチルフェニル)等が挙げられる。
上記R2はさらに置換基Y等を有してもよい。
一般式(X−2a)および(X−2b)の好ましい例を示す。
式中、好ましくはR2が水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基であり、ZaはO、NまたはSであり、n1が1〜3の整数である。
さらに好ましくは、R2が水素原子および炭素数1〜4のアルキル基であり、ZaはNまたはSであり、n1が2もしくは3である。
次に一般式(X−3)について詳細に説明する。
式中、R3で表される連結基としては、それぞれ炭素数1〜20の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、イソプロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、3−オキサペンチレン、2−ヒドロキシトリメチレン)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキレン基(例えばシクロプロピレン、シクロペンチニレン、シクロへキシレン)、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアルケニレン基(例えばエテン、2−ブテニレン)、炭素数2〜10のアルキニレン基(例えばエチン)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば無置換p−フェニレン、無置換2,5−ナフチレン)が挙げられ、複素環基としては、置換もしくは無置換の複素環基、およびアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、又はさらに複素環基が結合されたもの(例えば2,5−ピリジンジイル、3−フェニル−2,5−ピリジンジイル、1,3−ピペリジンジイル、2,4−モルホリンジイル)が挙げられる。
式中、R4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖、または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチル、n−ブトキシメチル、メトキシメチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えば無置換フェニル、2−メチルフェニル)が挙げられる。
複素環基としては、無置換もしくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、又は、さらに複素環基が置換されたもの(例えばピリジル、3−フェニルピリジル、ピペリジル、モルホリル)が挙げられる。
上記R4はさらに置換基Y等を有してもよい。
一般式(X−3)の好ましい例を示す。
式中、好ましくはR3は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリーレン基であり、R4は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基であり、Z2はSまたはSeであり、n2は1〜2である。
さらに好ましくは、R3は炭素数1〜4のアルキレン基であり、R4は炭素数1〜4のアルキル基であり、Z2はSであり、n2は1である。
次に一般式(X−4)について詳細に説明する。
式中、R5およびR6で表されるアルキル基、アルケニル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖、または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチル、n−ブトキシメチル、n−ブトキシプロピル、メトキシメチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えばアリル、2−ブテニル、3−ペンテニル)が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えば無置換フェニル、4−メチルフェニル)が挙げられ、複素環基としては無置換もしくはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、又はさらに複素環基が置換されたもの(例えばピリジル、3−フェニルピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリル)が挙げられる。
上記式中、R5およびR6にはさらに置換基Y等を有していてもよい。
一般式(X−4)の好ましい例を示す。
式中、好ましくはR5およびR6が炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基である。
さらに好ましくはR5およびR6が、炭素数6〜8のアリール基である。
次に一般式(X−5a)および(X−5b)について詳細に説明する。
式中、E1で表される基としてはNH2、NHCH3、NHC25、NHPh、N(CH32、N(Ph)2、NHNHC37、NHNHPh、OC49、OPh、SCH3、等が挙げられ、E2としては、NH、NCH3、NC25、NPh、NHNC37、NHNPh等が挙げられる(ここで、Ph=フェニル基(以下、同じ。))。
一般式(X−5a)および(X−5b)中、R7、R8およびR9で表されるアルキル基、アルケニル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖または、分岐のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチル、n−ブトキシメチル、n−ブトキシプロピル、メトキシメチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル)が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、無置換フェニル、4−メチルフェニル)が挙げら、複素環基としては無置換もしくはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、又はさらに複素環基が置換されたもの、(例えば、ピリジル、3−フェニルピリジル、フリル、ピペリジル、モルホリル)が挙げられる。
7、R8およびR9はさらに置換基Y等を有していてもよい。
一般式(X−5a)および(X−5b)の好ましい例を示す。
式中、好ましくはE1はアルキル置換もしくは無置換のアミノ基またはアルコキシ基であり、E2はアルキル置換もしくは無置換のアミノ連結基であり、R7、R8およびR9は炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基であり、Z3はSまたはSeである。
さらに好ましくは、E1はアルキル置換もしくは無置換のアミノ基であり、E2はアルキル置換もしくは無置換のアミノ連結基であり、R7、R8およびR9は炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、Z3はSである。
次に一般式(X−6a)および(X−6b)について詳細に説明する。
式中、G2及びJで表される基としてはCOOCH3、COOC37、COOC613、COOPh、SO2CH3、SO249、COC25、COPh、SOCH3、SOPh、CN、CHO、NO2等が挙げられる。
式中、R11で表される連結基としては、それぞれ炭素数1〜20の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、3−オキサペンチレン、2−ヒドロキシトリメチレン)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキレン基(例えばシクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン)、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアルケニレン基(例えばエテン、2−ブテニレン)、炭素数2〜10のアルキニレン基(例えばエチン)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば無置換p−フェニレン、無置換2,5−ナフチレン)が挙げられる。
さらに、R11で表される2価の連結基としては、2価の複素環基、又は2価の複素環基とアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、SO2基のいずれかとが結合した2価の基(例えば2,5−ピリジンジイル、3−フェニル−2,5−ピリジンジイル、2,4−フランジイル、1,3−ピペリジンジイル、2,4−モルホリンジイル)が挙げられる。
式中、R11はさらに置換基Y等を有していてもよい。
一般式(X−6a)および(X−6b)の好ましい例を示す。
式中、好ましくはG2およびJが炭素数2〜6のカルボン酸エステル類又はカルボニル類であり、R11が炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリーレン基である。
さらに好ましくは、G2およびJが炭素数2〜4のカルボン酸エステル類であり、R11が炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキレン基または炭素数6〜8の置換もしくは無置換のアリーレン基である。
Xで表されるハロゲン化銀吸着基の好ましい一般式の序列は(X−1)>(X−2a)>(X−2b)>(X−3)>(X−5a)>(X−5b)>(X−4)>(X−6a)>(X−6b)である。
次に、一般式(I)中、Xで表される光吸収基について詳細に説明する。
一般式(I)中、Xで表される光吸収基としては以下が挙げられる。
一般式(X−7)
Figure 0003639296
式中、Z4は5または6員の含窒素複素環を形成するために必要な原子群を表し、L2、L3、L4およびL5はメチン基を表す。p1は0または1を表し、n3は0〜3の整数を表す。M1は電荷均衡対イオンを表し、m2は分子の電荷を中和するために必要な0〜10の整数を表す。Z4が形成する含窒素複素環には、ベンゼン環のような不飽和炭素環が縮合していてもよい。
式中、Z4で表される5または6員の含窒素複素環としては、チアゾリジン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば、3,3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核等が挙げられる。
4で表される5または6員の含窒素複素環は前述の置換基Yを有していてもよい。
式中、L2、L3、L4およびL5はそれぞれ独立したメチン基を表す。L2、L3、L4およびL5で表されるメチン基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、置換もしくは無置換の炭素数1〜15のアルキル基(例えばメチル、エチル、2−カルボキシエチル)、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、o−カルボキシフェニル)、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の複素環基(例えばN,N−ジエチルバルビツール酸から水素原子1個を除いて1価の基にしたもの)、ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素、沃素)、炭素数1〜15のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)、炭素数1〜15のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えばフェニルチオ)、炭素数0〜15のアミノ基(例えばN,N−ジフェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−メチルピペラジノ)等が挙げられる。
また、他のメチン基と環を形成してもよい。あるいは、その他の部分と環を形成することもできる。
式中、M1は光吸収基のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオン叉は陰イオンの存在を示すために式の中に含まれている。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)等の無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン)等の有機陽イオンが挙げられる。陰イオンも無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン、沃素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマーまたは逆電荷を有する光吸収基を用いてもよい。
本発明では例えば、スルホ基をSO3 -、カルボキシ基をCO2 -と表記しているが、対イオンが水素イオンである時は各々SO3H、CO2Hと表記することができる。
式中、m2は電荷を均衡させるために必要な数を表し、分子内で塩を形成する場合は0である。
一般式(X−7)の好ましい例を示す。
好ましい一般式(X−7)としては、Z4がベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ベンゾイミダゾール核またはキノリン核であり、L2、L3、L4およびL5が無置換のメチン基であり、p1が0であり、n3が1もしくは2である。
さらに好ましくは、Z4がベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核であり、n3が1である。特に好ましいZ4はベンゾチアゾール核である。
一般式(I)中、好ましいkは0もしくは1であり、さらに好ましくは1である。
以下に本発明に用いられるX基の具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物はこれに限定されるものではない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
次に一般式(I)中、Lで表される連結基について詳細に説明する。
一般式(I)中、Lで表される連結基としては、それぞれ炭素数1〜20の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、3−オキサペンチレン、2−ヒドロキシトリメチレン)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキレン基(例えば、シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロへキシレン)、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアルケニレン基(例えば、エテン、2−ブテニレン)、炭素数2〜10のアルキニレン基(例えば、エチン)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、無置換p−フェニレン、無置換2,5−ナフチレン)、複素環連結基(例えば、2,6−ピリジンジイル)、カルボニル基、チオカルボニル基、イミド基、スルホニル基、2価のスルホン酸基、エステル基、チオエステル基、2価のアミド基、エーテル基、チオエーテル基、2価のアミノ基、2価のウレイド基、2価のチオウレイド基、チオスルホニル基、等が挙げられる。また、これらの連結基が、互いに連結して新たに連結基を形成してもよい。mが2以上の場合、複数個のLは同じでも異なっていてもよい。
Lはさらに前述の置換基Y等を有していてもよい。
好ましい連結基Lとしては、炭素数1〜10の無置換のアルキレン基とアミノ基、アミド基、チオエーテル基、ウレイド基またはスルホニル基と連結した炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられ、さらに好ましくは炭素数1〜6の無置換のアルキレン基とアミノ基、アミド基またはチオエーテル基と連結した炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられる。
一般式(I)中、好ましいmは0もしくは1であり、さらに好ましくは1である。
次に電子供与基Aについて詳細に説明する。
A−B部が酸化及びフラグメント化を受けて電子を発生してラジカルA・が生成し、さらにラジカルA・が酸化を受けて電子を発生させ、高感度化する反応過程を以下に示す。
Figure 0003639296
Aは電子供与基であるので、いずれの構造のものでも芳香基上の置換基はAが電子過多である状態にするように選定するのが好ましい。例えば、芳香環が電子過多でない場合は、電子供与性基を導入し、逆にアントラセンのように非常に電子過多となっているような場合は、電子吸引性基を導入してそれぞれ酸化電位を調節するのが好ましい。
好ましい、A基は次の一般式を有するものである。
一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)
Figure 0003639296
一般式(A−1)および(A−2)中、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、アルキレン基又はアリーレン基を表し、R14はアルキル基、COOH、ハロゲン、N(R152、OR15、SR15、CHO、COR15、COOR15、CONHR15、CON(R152、SO315、SO2NHR15、SO2NR15、SO215、SOR15、CSR15を表す。Ar1はアリーレン基、複素環連結基を表す。R12とR13およびR12とAr1は結合して環を形成していてもよい。Q2はO、S、Se又はTeを表し、m3およびm4は0もしくは1を表し、n4は1〜3の整数を表す。L2はN−R(ここで、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。)、N−Ar、O、S、Seを表す。R12とR13、R12とAr1がそれぞれ結合して形成する環状形態は、5〜7員の複素環基もしくは不飽和環を表す。R15は水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。一般式(A−3)の環状形態は、置換もしくは無置換の5〜7員環の不飽和環または複素環基を表す。
一般式(A−1)、(A−2)および(A−3)について詳細に説明する。
式中、R12およびR13で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖、または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチル、n−ブトキシメチル、メトキシメチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えば無置換フェニル、2−メチルフェニル)が挙げられる。
アルキレン基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖、または分岐のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、メトキシエチレン)が挙げられ、アリーレン基としては炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば無置換フェニレン、2−メチルフェニレン、ナフチレン)が挙げられる。
一般式(A−1)および(A−2)中、R14で表される基としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、n−ブトキシメチル)、COOH基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、OH、N(CH32、NPh2、OCH3、OPh、SCH3、SPh、CHO、COCH3、COPh、COOC49、COOCH3、CONHC25、CON(CH32、SO3CH3、SO337、SO2NHCH3、SO2N(CH32、SO225、SOCH3、CSPh、CSCH3が挙げられる。
一般式(A−1)および(A−2)で表されるAr1としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン、2−メチルフェニレン、ナフチレン)、置換もしくは無置換の複素環基(例えば、ピリジル、3−フェニルピリジル、ピペリジル、モルホリル)から水素原子1つ又は2つを除いた2価又は3価の基が挙げられる。
一般式(A−1)で表されるL2としては、NH、NCH3、NC49、NC37(i)、NPh、NPh−CH3、O、S、Se、Teが挙げられる。
一般式(A−3)の環状形態としては、不飽和の5〜7員炭素環、飽和又は不飽和の5〜7員複素環(例えば、フリル、ピペリジル、モルホリル)が挙げられる。
一般式(A−1)および(A−2)中のR12、R13、R14、Ar1、L2、および一般式(A−3)中の環状上には前述の置換基Y等をさらに有してもよい。
一般式(A−1)、(A−2)および(A−3)の好ましい例を示す。
一般式(A−1)および(A−2)中、好ましくはR12、R13が炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、アルキレン基、または炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基であり、R14が炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基でモノ置換またはジ置換されたアミノ基、カルボン酸、ハロゲンまたは炭素数1〜4のカルボン酸エステルであり、Ar1が炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリーレン基であり、Q2がO、SまたはSeであり、m3及びm4が0もしくは1であり、n4が1〜3であり、L2が、炭素数0〜3のアルキル置換されたアミノ基である。
一般式(A−3)中、好ましい環状形態は5〜7員環の飽和又は不飽和複素環である。
一般式(A−1)および(A−2)中、さらに好ましくは、R12、R13が炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基またはアルキレン基であり、R14が炭素数1〜4の無置換のアルキル基、炭素数1〜4のモノアミノ置換もしくはジアミノ置換されたアルキル基であり、Ar1が炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリーレン基であり、Q2がOまたはSであり、m3及びm4が0であり、n4が1であり、L2が炭素数0〜3のアルキル置換されたアミノ基である。
一般式(A−3)中、さらに好ましい環状形態は5〜6員環の複素環である。
A基がL基(m=0の場合は、X基)と結合する部分はAr1およびR12またはR13である。
以下に本発明に用いられるA基の具体例を挙げるが、本発明に用いられる化合物はこれに限定されるものではない。
Figure 0003639296
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次にB基について詳細に説明する。
Bが水素原子の場合は酸化後、分子内塩基によって脱プロトンされてラジカルA・を生成する。
好ましい、B基は水素原子および次の一般式を有するものである。
一般式(B−1)、(B−2)、(B−3)
Figure 0003639296
一般式(B−1)、(B−2)および(B−3)中、WはSi、SnまたはGeを表し、R16は各々独立してアルキル基を表し、Ar2は各々独立してアリール基を表す。
一般式(B−2)および(B−3)は吸着基Xと結合させることができる。
一般式(B−1)、(B−2)および(B−3)について詳細に説明する。式中、R16で表されるアルキル基としては、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖、または分岐のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル,2−エチルヘキシル,2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、n−ブトキシエチル、メトキシメチル)、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル、2−メチルフェニル)が挙げられる。
一般式(B−2)および(B−3)中のR16およびAr2は前述の置換基Y等をさらに有していてもよい。
一般式(B−1)、(B−2)および(B−3)の好ましい例を以下に示す。
一般式(B−2)および(B−3)中、好ましくは、R16が炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基であり、Ar2が炭素数6〜10の置換もしくは無置換のアリール基であり、WはSiまたはSnである。
一般式(B−2)および(B−3)中、さらに好ましくは、R16が炭素数1〜3の置換もしくは無置換のアルキル基であり、Ar2が炭素数6〜8の置換もしくは無置換のアリール基であり、WはSiである。
一般式(B−1)、(B−2)および(B−3)中、最も好ましいのは、一般式(B−1)のCOO-および一般式(B−2)におけるSi−(R163である。
一般式(I)中、好ましいnは1である。
なお、一般式(I)において、nが2の場合、2つの(A−B)は、同じでも異なっていてもよい。
以下に本発明で用いられるA−B基の例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0003639296
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上記化合物A−Bの電荷バランスに必要な対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ジイソプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、およびテトラメチルグアニジニウムイオンが挙げられる。
A−Bの好ましい酸化電位は0〜1.5Vであり、より好ましくは0〜1.0Vであり、さらに好ましくは0.3〜1.0Vの範囲である。
結合開裂反応から生じるラジカルA・(E2)の好ましい酸化電位は−0.6〜−2.5Vであり、より好ましくは−0.9〜−2Vであり、さらに好ましくは−0.9〜−1.6Vの範囲である。
酸化電位の測定法は以下の通りである。
E1はサイクリックボルタンメトリー法で行うことができる。電子供与体Aをアセトニトリル/0.1Mか塩素酸リチウムを含有する水80%/20%(容量%)の溶液に溶解させる。ガラス状のカーボンディスクを動作電極に用い、プラチナ線を対電極に用い、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極に用いる。25℃で、0.1V/秒の電位走査速度で測定する。サイクリックボルタンメトリー波のピーク電位の時に酸化電位対SCEをとる。これらA−B化合物のE1値は欧州特許第93,731A1に記載されている。
ラジカルの酸化電位測定は過度的な電気化学およびパルス放射線分解法によって行われる。これらはJ.Am.Chem.Soc.,1988,110,132、同1974,96,1287、同1974,96,1295で報告されている。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を記すが、本発明に用いられる化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
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次に一般式(II)で表される写真性有用基放出化合物について詳しく説明する。
一般式(II)
COUP1−D1
(式中、COUP1は現像主薬酸化体とのカップリング反応によりD1を放出するとともに、水溶性もしくはアルカリ可溶性の化合物を生成するカプラー残基を表す。D1はCOUP1のカップリング位で連結する写真性有用基又はその前駆体を表す。)。
一般式(II)で表される写真性有用基放出化合物について説明する。
詳しくは、一般式(II)で表される写真性有用基放出化合物は下記一般式(IIa)または(IIb)で表される。
式(IIa) COUP1−(TIME)m−PUG
式(IIb) COUP1−(TIME)i−RED−PUG
式中、COUP1は現像主薬の酸化体とのカップリング反応により、(TIME)m−PUGまたは(TIME)i−RED−PUGを離脱するとともに、水溶性もしくはアルカリ可溶性の化合物を生成するカプラー残基を表し、TIMEはカップリング反応によりCOUP1より離脱した後にPUG又はRED−PUGを開裂するタイミング基を表し、REDはCOUP1またはTIMEより離脱した後に現像主薬酸化体と反応してPUGを開裂する基を表し、PUGは写真性有用基を表し、mは0乃至2の整数を表し、iは0または1を表す。mが2であるとき2個のTIMEは同じものまたは異なるものを表す。
COUP1がイエローカプラー残基を表すとき、例えば、ピバロイルアセトアニリド型、ベンゾイルアセトアニリド型、マロンジエステル型、マロンジアミド型、ジベンゾイルメタン型、ベンゾチアゾリルアセトアミド型、マロンエステルモノアミド型、ベンゾオキサゾリルアセトアミド型、ベンゾイミダゾリルアセトアミド型、キナゾリン−4−オン−2−イルアセトアニリド型またはシクロアルカノイルアセトアミド型のカプラー残基が挙げられる。
COUP1がマゼンタカプラー残基を表すとき、例えば5−ピラゾロン型、ピラゾロ〔1,5−a〕ベンズイミダゾール型、ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール型、ピラゾロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール型、イミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール型、ピロロ〔1,2−b〕〔1,2,4〕トリアゾール型、ピラゾロ〔1,5−b〕ピラゾール型またはシアノアセトフェノン型のカプラー残基が挙げられる。
COUP1がシアンカプラー残基を表すとき、例えばフェノール型、ナフトール型、ピロロ〔1,2−b〕〔1,2,4〕トリアゾール型、ピロロ〔2,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール型または2,4−ジフェニルイミダゾール型が挙げられる。
さらにCOUP1は実質的に色画像を残さないカプラー残基であってもよい。この型のカプラー残基としては、例えばインダノン型、アセトフェノン型などのカプラー残基が挙げられる。
COUP1の好ましい例は下記式(Cp−1)、(Cp−2)、(Cp−3)、(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−6)、(Cp−7)、(Cp−8)、(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)または(Cp−12)で表わされるカプラー残基である。これらのカプラーはカップリング速度が大きく好ましい。
Figure 0003639296
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上式においてカップリング位より派生している自由結合手は、カップリング離脱基の結合位置を表わす。
上式においてはR51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65およびR66のそれぞれの炭素数は10以下が好ましい。
COUP1で表されるカプラー残基はR71OCO−基、HOSO2−基、HO−基、R72NHCO−基またはR72NHSO2−基の少なくとも1個を置換基に有することが好ましい。すなわち、式(Cp−1)においてはR51またはR52の少なくとも1個が、式(Cp−2)においてはR51、R52またはR53の少なくとも1個が、式(Cp−3)においてはR54またはR55の少なくとも1個が、式(Cp−4)および(Cp−5)においてはR56またはR57の少なくとも1個が、式(Cp−6)においてはR58またはR59の少なくとも1個が、式(Cp−7)においてはR59またはR60の少なくとも1個が、式(Cp−8)においてはR61またはR62の少なくとも1個が、式(Cp−9)および(Cp−10)においては少なくとも1個のR63が、式(Cp−11)および(Cp−12)においてはR64、R65またはR66の少なくとも1個がR71OCO−基、HOSO2−基、HO−基、R72NHCO−基またはR72NHSO2−基の少なくとも1個を置換基に有することが好ましい。R71は水素原子、炭素数6以下のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル)またはフェニル基を表し、R72はR71で表される基、R74CO−基、R74N(R75)CO−基、R73SO2−基またはR74N(R75)SO2−基を表し、R73は炭素数6以下のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル)またはフェニル基を表し、R74およびR75はR71で表される基を表し、これらはさらに置換基を有していてもよい。
以下にR51〜R66、a、b、d、eおよびfについて詳しく説明する。以下でR41は脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表わし、R42はアリール基または複素環基を表し、R43、R44およびR45は水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表す。
51はR41と同じ意味を表わす。aは0または1を表す。R52およびR53は各々R43と同じ意味を表す。式(Cp−2)においてR52が水素原子でないとき、R52とR51が結合して5〜7員の環を形成してもよい。bは0または1を表す。
54はR41と同じ意味の基、R41CON(R43)−基、R41SO2N(R43)−基、R41N(R43)−基、R41S−基、R43O−基またはR45N(R43)CON(R44)−基を表す。R55はR41と同じ意味の基を表す。
56およびR57は各々独立してR43基と同じ意味の基、R41S−基、R43O−基、R41CON(R43)−基、R41OCON(R43)−基またはR41SO2N(R43)−基を表す。
58はR43と同じ意味の基を表す。R59はR41と同じ意味の基、R41CON(R43)−基、R41OCON(R43)−基、R41SO2N(R43)−基、R43N(R44)CON(R45)−基、R41O−基、R41S−基、ハロゲン原子またはR41N(R43)−基を表わす。dは0ないし3を表す。dが複数のとき複数個のR59は同じ置換基または異なる置換基を表す。
60はR43と同じ意味の基を表す。
61はR43と同じ意味の基、R43OSO2−基、R43N(R44)SO2−基、R43OCO−基、R43N(R44)CO−基、シアノ基、R41SO2N(R43)CO−基、R43CON(R44)CO−基、R43N(R44)SO2N(R45)CO−基、R43N(R44)CON(R45)CO−基、R43N(R44)SO2N(R45)SO2−基、R43N(R44)CON(R45)SO2−基を表す。
62はR41と同じ意味の基、R41CONH−基、R41OCONH−基、R41SO2NH−基、R43N(R44)CONH−基、R43N(R44)SO2NH−基、R43O−基、R41S−基、ハロゲン原子またはR41N(R43)−基を表す。式(Cp−8)においてeは0ないし4の整数を表し、eが2以上のとき、複数個のR62は各々同じものまたは異なるものを表わす。
63はR41と同じ意味の基、R43CON(R44)−基、R43N(R44)CO−基、R41SO2N(R43)−基、R41N(R43)SO2−基、R41SO2−基、R43OCO−基、R43OSO2−基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基またはR43CO−基を表わす。式(Cp−9)においてeは0ないし4の整数を表し、eが2以上のとき、複数個のR63は各々同じものまたは異なるものを表わす。式(Cp−10)においてfは0ないし3の整数を表し、fが2以上のとき、複数個のR63は各々同じものまたは異なるものを表わす。
64、R65およびR66は各々独立してR43基と同じ意味の基、R41S−基、R43O−基、R41CON(R43)−基、R41SO2N(R43)−基、R41OCO−基、R41OSO2−基、R41SO2−基、R41N(R43)CO−基、R41N(R43)SO2−基、ニトロ基またはシアノ基を表す。
上記においてR41、R43、R44またはR45で表される脂肪族炭化水素基は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の飽和または不飽和、鎖状または環状、直鎖または分岐、置換または無置換の脂肪族炭化水素基である。代表的な例としては、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、t−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、n−デシル、アリルが挙げられる。
41、R42、R43、R44またはR45で表されるアリール基とは炭素数6〜10のアリール基で、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル、または置換もしくは無置換のナフチルである。
41、R42、R43、R44またはR45で表される複素環基とは炭素数1〜10、好ましくは1〜6の複素原子として窒素原子、酸素原子もしくはイオウ原子から選ばれる、好ましくは3員ないし8員環の置換もしくは無置換の複素環基である。複素環基の代表的な例としては2−ピリジル、2−ベンズオキサゾリル、2−イミダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、1−インドリル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−2−イル基または1−インドリニルが挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基、アリール基および複素環基が置換基を有するとき代表的な置換基としては、ハロゲン原子、R43O−基、R41S−基、R43CON(R44)−基、R43N(R44)CO−基、R41OCON(R43)−基、R41SO2N(R43)−基、R43N(R44)SO2−基、R41SO2−基、R43OCO−基、R41SO2O−基、R41と同じ意味の基、R43N(R44)−基、R41CO2−基、R41OSO2−基、シアノ基またはニトロ基が挙げられる。
次にR51〜R66、a、b、d、eおよびfの好ましい範囲について説明する。
51は脂肪族炭化水素基またはアリール基が好ましい。aは1が特に好ましい。R52およびR55はアリール基が好ましい。R53はbが1のときアリール基、bが0のとき複素環基が好ましい。R54はR41CON(R43)−基またはR41N(R43)−基が好ましい。R56およびR57は脂肪族炭化水素基、アリール基、R41O−基またはR41S−基が好ましい。R58は脂肪族炭化水素基またはアリール基が好ましい。
式(Cp−6)においてR59はクロール原子、脂肪族炭化水素基またはR41CON(R43)−基が好ましく、dは1または2が好ましい。R60はアリール基が好ましい。式(Cp−7)においてR59はR41CON(R43)−基が好ましく、dは1が好ましい。
61はR43OSO2−基、R43N(R44)SO2−基、R43OCO−基、R43N(R44)CO−基、シアノ基、R41SO2N(R43)CO−基、R43CON(R44)CO−基、R43N(R44)SO2N(R45)CO−基、R43N(R44)CON(R45)CO−基が好ましい。式(Cp−8)においてeは0または1が好ましく、R62としてはR41OCON(R43)−基、R41CON(R43)−基またはR41SO2N(R43)−基が好ましく、これらの置換位置はナフトール環の5位が好ましい。
式(Cp−9)においてR63としてはR41CON(R43)−基、R41SO2N(R43)−基、R41N(R43)SO2−基、R41SO2−基、R41N(R43)CO−基、ニトロ基またはシアノ基が好ましい。eは1または2が好ましい。
式(Cp−10)においてR63はR43N(R44)CO−基、R43OCO−基またはR43CO−基が好ましい。fは1または2が好ましい。
式(Cp−11)および(Cp−12)において、R64およびR65はR41OCO−基、R41OSO2−基、R41SO2−基、R44N(R43)CO−基、R44N(R43)SO2−基またはシアノ基が好ましく、R41OCO−基、R44N(R43)CO−基またはシアノ基が特に好ましい。R66はR41と同じ意味の基が好ましい。R51〜R66はそれぞれ置換基も含めた総炭素数が18以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下である。
次にPUGで表される写真性有用基について説明する。
PUGで表される写真性有用基は、当該技術分野で公知のいずれのPUGであってもよい。
それらの例には、現像抑制剤、漂白促進剤、現像促進剤、色素、漂白抑制剤、カプラー、現像主薬、現像補助薬、還元剤、ハロゲン化銀溶剤、銀錯形成剤、定着剤、画像トナー、安定化剤、硬膜剤、タンニング剤、カブリ剤、紫外線吸収剤、カブリ防止剤、造核剤、化学増感剤もしくは分光増感剤、減感剤、および蛍光増白剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
好ましくは、PUGは現像抑制剤(例えば、米国特許第3,227,554号、同第3,384,657号、同第3,615,506号、同第3,617,291号、同第3,733,201号、同第5,200,306号および英国特許第1450479号に記載の現像抑制剤)、漂白促進剤(例えば、Research Disclosure 1973年Item No.11449号や欧州特許第193389号に記載の漂白促進剤、特開昭61−201247、特開平4−350848、同4−350849、同4−350853に記載のもの)、現像補助薬(例えば米国特許第4859578号や特開平10−48787に記載の現像補助薬)、現像促進剤(例えば米国特許第4390618や特開平2−56543に記載の現像促進剤)、還元剤(例えば特開昭63−109439や同63−128342に記載の還元剤)、蛍光増色剤(例えば米国特許4,774,181や同5,236,804に記載の蛍光増色剤)であり、PUGの共役酸のpKaは13以下、より好ましくは11以下であることが好ましい。
PUGはより好ましくは現像抑制剤または漂白促進剤である。
好ましい現像抑制剤としてはメルカプトテトラゾール誘導体、メルカプトトリアゾール誘導体、メルカプトチアジアゾール誘導体、メルカプトオキサジアゾール誘導体、メルカプトイミダゾール誘導体、メルカプトベンズイミダゾール誘導体、メルカプトベンズチアゾール誘導体、メルカプトベンズオキサゾール誘導体、テトラゾール誘導体、1,2,3-トリアゾール誘導体、1,2,4-トリアゾール誘導体もしくはベンゾトリアゾール誘導体等を挙げることができる。
より好ましい現像抑制剤は下記一般式DI-1〜DI-6で示される。
Figure 0003639296
式中、R31はハロゲン原子、R46O−基、R46S−基、R47CON(R48)−基、R47N(R48)CO−基、R46OCON(R47)−基、R462(R47)−基、R47N(R48)SO2基、R46SO2−基、R47OCO−基、R47N(R48)CON(R49)−基、R47CON(R48)SO2−基、R47N(R48)CON(R49)SO2−基、R46と同じ意味の基、R47N(R48)−基、R46CO2−基、R47OSO2−基、シアノ基またはニトロ基が挙げられる。
46は脂肪族炭化水素基、アリール基、または複素環基を表わし、R47、R48およびR49は各々脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基または水素原子を表わす。R46、R47、R48またはR49で表される脂肪族炭化水素基は炭素数1〜32、好ましくは1〜20の飽和または不飽和、鎖状または環状、直鎖または分岐、置換または無置換の脂肪族炭化水素基である。代表的な例としては、メチル、シクロプロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、t−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、n−デシル、アリル、エチニルが挙げられる。
46、R47、R48またはR49で表されるアリール基とは炭素数6〜32のアリール基で、好ましくは置換もしくは無置換のフェニル、または置換もしくは無置換のナフチルである。
46、R47、R48またはR49で表される複素環基とは炭素数1〜32、好ましくは1〜20の複素原子として窒素原子、酸素原子もしくはイオウ原子から選ばれる、好ましくは3員ないし8員環の置換もしくは無置換の複素環基である。複素環基の代表的な例としては2−ピリジル、2−ベンズオキサゾリル、2−イミダゾリル、2−ベンズイミダゾリル、1−インドリル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−トリアゾール−2−イル基または1−インドリニルが挙げられる。
32はR46と同じ意味の基を表す。
kは1ないし4の整数、gは0または1、hは1または2を表す。
Vは酸素原子、イオウ原子または−N(R46)−を表す。
31およびR32はさらに置換基を有していてもよい。
また、好ましい漂白促進剤を以下に示す。
Figure 0003639296
次にTIMEで表される基について説明する。
TIMEで表される基は、現像処理時COUP1より開裂した後、PUG又はRED−PUGを開裂することが可能な連結基であればいずれでもよい。例えば、米国特許第4,146,396号、同4,652,516号または同4,698,297号に記載のあるヘミアセタールの開裂反応を利用する基、米国特許第4,248,962号、同4,847,185号または同4,857,440号に記載のある分子内求核置換反応を利用して開裂反応を起こさせるタイミング基、米国特許第4,409,323号もしくは同4,421,845号等に記載のある電子移動反応を利用して開裂反応を起こさせるタイミング基、米国特許第4,546,073に記載のあるイミノケタールの加水分解反応を利用して開裂反応を起こさせる基、または西独公開特許第2626317 号に記載のエステルの加水分解反応を利用して開裂反応を起こさせる基が挙げられる。TIMEはそれに含まれるヘテロ原子、好ましくは酸素原子、イオウ原子または窒素原子において、一般式(IIa)または(IIb)におけるCOUP1と結合する。好ましいTIMEとしては下記一般式(T−1)、(T−2)または(T−3)が挙げられる。
一般式(T−1) *−W−(X=Y)j−C(R21)R22−**
一般式(T−2) *−W−CO−**
一般式(T−3) *−W−LINK−E1−**
式中、*は一般式(IIa)または(IIb)においてCOUP1と結合する位置を表し、**はPUG、TIME(mが複数の時)又はRED(一般式(IIa)の場合)と結合する位置を表し、Wは酸素原子、イオウ原子または>N−R23を表し、XおよびYは各々メチンまたは窒素原子を表し、jは0、1または2を表し、R21、R22およびR23は各々水素原子または置換基を表す。ここで、XおよびYが置換メチンを表すときその置換基、R21、R22およびR23の各々の任意の2つの置換基が連結し環状構造(例えばベンゼン環、ピラゾール環)を形成する場合、もしくは形成しない場合の何れであっても良い。一般式(T−3)においてE1は求電子基を表し、LINKはWとE1とが分子内求核置換反応することができるように立体的に関係づける連結基を表す。
一般式(T−1)で示されるTIMEの具体例として例えば以下のものを挙げることができる。
Figure 0003639296
一般式(T−2)で示されるTIMEの具体例として例えば以下のものを挙げることができる。
Figure 0003639296
一般式(T−3)で示されるTIMEの具体例として例えば以下のものを挙げることができる。
Figure 0003639296
一般式(IIa)においてmが2の時の(TIME)mの具体例として例えば以下のものを挙げることができる。
Figure 0003639296
式(IIb)においてREDで示される基について以下に説明する。REDはCOUP1またはTIMEより開裂してRED−PUGとなり、現像時存在する酸化性物質、例えば現像主薬酸化体、によりクロス酸化されうる基である。RED−PUGは酸化されるとPUGを開裂する物であればいずれでもよい。REDとしては例えばハイドロキノン類、カテコール類、ピロガロール類、1,4−ナフトハイドロキノン類、1,2−ナフトハイドロキノン類、スルホンアミドフェノール類、ヒドラジド類またはスルホンアミドナフトール類が挙げられる。これらの基は具体的には例えば特開昭61−230135号、同62−251746号、同61−278852号、米国特許第3,364,022号、同3,379,529号、同4,618,571号、同3,639,417号、同4,684,604号または J.Org.Chem., 29巻、588頁(1964)に記載されているものがあげられる。
上記の中で好ましいREDとしては、ハイドロキノン類、1,4−ナフトハイドロキノン類、2(または4)−スルホンアミドフェノール類、ピロガロール類またはヒドラジド類である。これらの中でフェノール性水酸基を有する酸化還元基では、そのフェノール基の酸素原子においてCOUP1またはTIMEと結合する。
一般式(IIa)または(IIb)で表される化合物を含むハロゲン化銀写真感光材料を現像処理するまでの間、一般式(IIa)または(IIb)で表される化合物を添加した感光性層もしくは非感光性層に固定する目的のために、一般式(IIa)または(IIb)で表される化合物は耐拡散基を有していることが好ましく、耐拡散基がTIMEまたはREDに含まれる場合が特に好ましい。この場合の好ましい耐拡散基としては炭素数8〜40、好ましくは12〜32のアルキル基またはアルキル基(炭素数3〜20)、アルコキシ基(炭素数3〜20)もしくはアリール基(炭素数6〜20)を少なくとも1個以上有する炭素数8〜40の、好ましくは12〜32のアリール基が挙げられる。
一般式(IIa)または(IIb)で表される化合物の合成法についてはTIME、REDおよびPUGについて説明のために引用した公知の特許もしくは文献、特開昭61−156127号、同58−160954号、同58−162949号、同61−249052号、同63−37350号、米国特許第5,026,628号、ヨーロッパ公開特許第443530A2号および同第444501A2号明細書等に示されている。
次に一般式(III)で表される写真性有用基放出化合物について説明する。
一般式(III) COUP2−C−E−D2
式中COUP2は現像主薬酸化体とカップリング可能なカプラー残基を表し、Eは求電子部位を表し、Cは、COUP2と現像主薬酸化体とのカップリング生成物における現像主薬由来でカップリング位に直接結合した窒素原子と求電子部位Eとの分子内求核置換反応により4乃至8員の環形成をともなってD2を放出させることが可能な2価の連結基または単結合を表し、COUP2のカップリング位でCOUP2と結合していてもよいし、COUP2のカップリング位以外でCOUP2と結合していてもよい。D2は写真性有用基またはその前駆体を表す。
COUP2で表されるカプラー残基は、写真用カプラーとして一般的に知られているイエローカプラー残基(例えばアシルアセトアニリド、マロンジアニリドなどの開鎖ケトメチン型カプラー残基)、マゼンタカプラー残基(例えば、5-ピラゾロン型またはピラゾロトリアゾール型などのカプラー残基)、シアンカプラー残基(例えばフェノール型、ナフトール型またはピロロトリアゾール型などのカプラー残基)や米国特許第5,681,689号、特開平7-128824号、同7-128823号、同6-222526号、同9-258400号、同9-258401号、同9-269573号、同6-27612号等に記載されている新規な骨格を有するイエロー、マゼンタあるいはシアン色素形成用カプラー残基であってもよいし、その他のカプラー残基(例えば、米国特許第3,632,345号、同3,928,041号等に記載の芳香族アミン系現像主薬酸化体と反応して無色の物質を形成するカプラー残基や、米国特許第1,939,231号、同2,181,944号等に記載の芳香族アミン系現像主薬酸化体と反応して黒色もしくは中間色の物質を形成するカプラー残基)であってもよい。
COUP2で表されるカプラー残基は、モノマーであっても、ダイマーカプラー、オリゴマー又はポリマーカプラーの一部であってもよく、この場合にはカプラー内に1個より多くのPUGが含有されていてもよい。
以下に本発明のCOUP2の好ましい例を示すがこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
式中*はCとの結合位置を表す。X’は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、クロロ原子、臭素原子、ヨウ素原子)、R131-、R131O-、R131S-、R131OCOO-、R132COO-、R132(R133)NCOO-、R132CON(R133)-を表し、Y’は酸素原子、硫黄原子、R132N=またはR132ON=を表す。ここで、R131は脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素基とは飽和または不飽和、鎖状または環状、直鎖または分岐、置換または無置換の脂肪族炭化水素基を表し、以後同義で脂肪族炭化水素基を用いる)、アリール基または複素環基を表す。
R131で表される脂肪族炭化水素基は好ましくは炭素数1〜32、さらに好ましくは1〜22の脂肪族炭化水素基であり、具体例としては、メチル、エチル、ビニル、エチニル、プロピル、イソプロピル、2-プロペニル、2-プロピニル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、t-アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、2-エチルヘキシル、オクチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシルおよびオクタデシルが挙げられる。ここで、「炭素数」とは、脂肪族炭化水素基が置換された脂肪族炭化水素基である場合、当該置換基の炭素数も含む全炭素数をいう。脂肪族炭化水素基以外の基についても同様に、置換基の炭素数も含む全炭素数をいう。
R131で表されるアリール基は好ましくは炭素数6〜32、さらに好ましくは6〜22の置換または無置換のアリール基であり、具体例としては、フェニル、トリルおよびナフチルが挙げられる。
R131で表される複素環基は好ましくは炭素数1〜32、さらに好ましくは1〜22の置換または無置換の複素環基であり、具体例としては、2-フリル、2-ピロリル、2-チエニル、3-テトラヒドロフラニル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、2-(1,3,4-チアジアゾリル)、2-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾセレナゾリル、2-キノリル、2-オキサゾリル、2-チアゾリル、2-セレナゾリル、5-テトラゾリルおよび2-(1,3,4オキサジアゾリル)、2-イミダゾリル等が挙げられる。
R132およびR133はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表す。R132およびR133で表される脂肪族炭化水素基、アリール基および複素環基はR131と同義である。
好ましくは、X’は水素原子、脂肪族炭化水素基、脂肪族炭化水素オキシ基、脂肪族炭化水素チオ基またはR132CON(R133)-を表し、Y’は酸素原子を表す。
上記および以下に説明する基に適した置換基および以下で述べる「置換基」としては例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、フルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、ナフチル)、複素環基(例えば、R131で述べた複素環基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アミノ基(例えば、アミノ、N-メチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N-フェニルアミノ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、N-メチルアミノカルボニル、N,N-ジメチルアミノカルボニル、N-フェニルアミノカルボニル)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル、N-メチルアミノスルホニル、N,N-ジメチルアミノスルホニル、N-フェニルアミノスルホニル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N-メチルアミノカルボニルオキシ、N-フェニルアミノカルボニルオキシ)、アミノカルボニルアミノ基(例えば、N-メチルアミノカルボニルアミノ、N-フェニルアミノカルボニルアミノ)が挙げられる。
R111、R112はそれぞれ独立に、R132CO-、R131OCO-、R132(R133)NCO-、R131SOn-、R132(R133)NSO2-またはシアノ基を表す。ここで、R131、R132およびR133は上記と同義であり、nは1または2を表す。
R113は上述のR131と同義の基を表す。
R114はR132-、R132CON(R133)-、R132(R133)N-、R131SO2N(R132)-、R131S-、R131O-、R131OCON(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R131OCO-、R132(R133)NCO-またはシアノ基を表す。ここで、R131、R132およびR133は上記と同義であり、R134はR132と同義の基を表す。
R115とR116はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはR132-、R132CON(R133)-、R131SO2N(R132)-、R131S-、R131O-、R131OCON(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R131OCO-、R132(R133)NCO-、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、さらに好ましくはR131で表される基である。ここで、R131、R132、R133およびR134は上記と同義である。
R117は置換基を表し、pは0乃至4の整数を表し、qは0乃至3の整数を表す。R117の好ましい置換基としては、R131-、R132CON(R133)-、R131OCON(R132)-、R131SO2N(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R131S-、R131O-、ハロゲン原子が挙げられる。ここで、R131、R132、R133およびR134は上記と同義である。また、pおよびqが2以上の場合、それぞれのR117は同じであっても異なっていてもよいし、隣接するR117同士で結合して環を形成してもよい。一般式(III-1E)、(III-2E)の好ましい態様は、水酸基のオルト位の少なくとも一方がR132CONH-、R131OCONH-またはR132(R133)NCONH-で置換されたものである。
R118は置換基を表し、rは0乃至6の整数を表し、sは0乃至5の整数を表す。R118の好ましい置換基としては、R132CON(R133)-、R131OCON(R132)-、R131SO2N(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R131S-、R131O-、R132(R133)NCO-、R132(R133)NSO2-、R131OCO-、シアノ基またはハロゲン原子が挙げられる。ここで、R131、R132、R133およびR134は上記と同義である。rおよびsが2以上の場合、それぞれのR118は同じであっても異なっていてもよいし、隣接するR118同士で結合して環を形成してもよい。一般式(III-1F)、(III-2F)、(III-3F)の好ましい態様は、水酸基のオルト位がR132CONH-、R132HNCONH-、R132(R133)NSO2-またはR132NHCO-で置換されたものである。
R119は置換基を表し、好ましくは、R132-、R132CON(R133)-、R131SO2N(R132)-、R131S-、R131O-、R131OCON(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R131OCO-、R132(R133)NSO2-、R132(R133)NCO-、ハロゲン原子またはシアノ基を表し、さらに好ましくはR131で表される基である。ここで、R131、R132、R133およびR134は上記と同義である。
R120とR121はそれぞれ独立に置換基を表し、好ましくはR132-、R132CON(R133)-、R131SO2N(R132)-、R131S-、R131O-、R131OCON(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R132(R133)NCO-、R132(R133)NSO2-、R131OCO-、ハロゲン原子およびシアノ基を表し、さらに好ましくは、R132(R133)NCO-、R132(R133)NSO2-、トリフルオロメチル基、R131OCO-およびシアノ基を表す。ここで、R131、R132、R133およびR134は上記と同義である。
Eは-CO-、-CS-、-COCO-、-SO-、-SO2-、-P(=O)(R151)-、-P(=S)(R151)- {R151は脂肪族炭化水素基、アリール基、脂肪族炭化水素オキシ基、アリールオキシ基、脂肪族炭化水素チオ基、アリールチオ基を表す。}等の求電子基又は-C(R152)(R153)-{R152、R153はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基を表す。それぞれの脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基は、R131で説明したものと同義である。}を表し、好ましくは-CO-である。
CはCOUP2と現像主薬酸化体とのカップリング生成物における現像主薬由来でカップリング位に直接結合した窒素原子と求電子部位Eとの分子内求核置換反応により、(好ましくは4乃至8員の、より好ましくは5乃至7員の、さらに好ましくは6員の)環形成をともなってD2を放出させることが可能な2価の連結基又は単結合を表す。
Cで表される連結基としては例えば以下のものが挙げられる。
×−(CO)n1−(Y’)n2−{C(R141)(R142)}n4−××
×−(CO)n1−{N(R143)}n3−{C(R141)(R142)}n4−××
×−(Y’)n2−(CO)n1−{C(R141)(R142)}n4−××
×−{N(R143)}n3−(CO)n1−{C(R141)(R142)}n4−××
×−(CO)n1−{C(R141)(R142)}n4−(Y’)n2−××
×−(CO)n1−{C(R141)(R142)}n4−{N(R143)}n3−××
×−(Y’)n2−××、×−{N(R143)}n3−××
式中、×はCOUP2と結合する部位を表し、××はEと結合する部位を表し、Y’は酸素原子または硫黄原子を表し、R141、R142およびR143はそれぞれ、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基(それぞれの脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基はR131で説明したものと同義である。)を表し、それぞれのR141、R142およびR143はお互いにあるいはCOUP2と結合して環を形成してもよい。
141及びR142は好ましく水素原子または脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは水素原子である。
143は好ましくは水素原子または脂肪族炭化水素基である。
n1およびn3は0乃至2の整数を表し、n2は0または1を表し、n4は1から5の整数を表し(n3およびn4が2以上の整数を表すとき、それぞれのN(R143)およびC(R141)(R142)は同じであっても異なっていてもよい。)、かつ、COUP2と現像主薬酸化体とのカップリング生成物における現像主薬由来でカップリング位に直接結合した窒素原子と求電子部位Eとの分子内求核置換反応により4乃至8員の環を形成するようにn1+n2+n4、n1+n3+n4、n2およびn3が選ばれる。ただし、−N(R143)−がEと直接結合するときR143は水素原子でないことが好ましい。また、連結基CがCOUP2のカップリング位で連結するとき、COUP2と直接連結する部分が−Y’−であることはない。
COUP2と連結基Cとの結合位置は、カプラーと現像主薬酸化体とがカップリング反応した後、カップリング生成物における現像主薬由来の窒素原子と求電子部位Eとの分子内求核置換反応により(好ましくは4乃至8員の、より好ましくは5乃至7員の、さらに好ましくは6員の)環形成をともなってD2を放出させることが可能であればいずれでもよいが、好ましくはCOUP2のカップリング位またはその近傍位(カップリング位の隣の原子またはその隣の原子)である。
連結基CがCOUP2で表されるカプラー残基の1)カップリング位、2)カップリング位の隣の原子および3)カップリング位の隣の隣の原子に結合した場合の本発明のカプラーおよび本発明のカプラーとArNH2で表される芳香族アミン系現像主薬の酸化体(Ar’=NH)との反応は下式で表すことができる。
Figure 0003639296
一般式(III−1){ここで、好ましくはCOUP2は、(III−1A)、(III−1B)、(III−1C)、(III−1D)、(III−1E)、(III−1F)又は(III−1G)で表される。}に対して好ましいCとして例えば以下のものを挙げることができ、
×−CO−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−××、
×−C(R141)(R142)−N(R143)−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−O−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−S−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−N(R143)−××、
より好ましくは、
×−C(R141)(R142)−N(R143)−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−O−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−N(R143)−××
である。
式中、×、××、R141、R142、R143は上記と同義である(一つの連結基中に二つ以上の−C(R141)(R142)−が存在するときそれぞれのR141およびR142は同じであっても異なっていてもよい。)。
一般式(III−2){ここで、好ましくは、COUP2は、(III−2A)、(III−2B)、(III−2C)、(III−2D)、(III−2E)、(III−2F)又は(III−2G)で表される。}に対して好ましいCとしては例えば以下のものを挙げることができ、
×−C(R141)(R142)−××、
×−C(R141)(R142)−C(R141)(R142)−××、
×−O−××、×−S−××、×−N(R143)−××、
×−C(R141)(R142)−O−××、
×−C(R141)(R142)−S−××、
×−C(R141)(R142)−N(R143)−××
より好ましくは、
×−O−××、×−N(R143)−××、
×−C(R141)(R142)−O−××、
×−C(R141)(R142)−N(R143)−××
である。
式中、×、××、R141、R142、R143は上記と同義である(一つの連結基中に二つ以上の−C(R141)(R142)−が存在するときそれぞれのR141およびR142は同じであっても異なっていてもよい。)。
一般式(III−3){ここで、好ましくはCOUP2は、(III−3F)で表される。}に対して、好ましいCは、
×−C(R141)(R142)−××、×−O−××、×−S−××、
×−N(R143)−××であり、より好ましくは×−O−××、
×−N(R143)−××であり、×−N(R143)−××が特に好ましい。
式中、×、××、R141、R142、R143は上記と同義である。
D2は写真性有用基またはその前駆体を表す。D2の好ましい態様は下記一般式(III-B)で表される。
# -(T)k-PUG (III-B)
式中、#はEと連結する部位を表し、TはEから放出された後PUGを放出することができるタイミング基を表し、kは0乃至2の整数を、好ましくは0又は1を表し、PUGは写真性有用基を表す。
Tで表されるタイミング基として例えば米国特許第4,146,396号、同4,652,516号または同4,698,297号に記載のあるヘミアセタールの開裂反応を利用してPUGを放出する基、特開平9-114058号、米国特許第4,248,962号、同5,719,017号または同5,709,987号等に記載の分子内閉環反応を利用してPUGを放出する基、特公昭54-39727号、特開昭57-136640号、同57-154234号、特開平4-261530号、同4-211246号、同6-324439号、同9-114058号、米国特許第4,409,323号または同4,421,845号等に記載のπ電子を介した電子移動によってPUGを放出する基、特開昭57-179842号、特開平4-261530号、同5-313322号等に記載の二酸化炭素を生成してPUGを放出する基、米国特許第4,546,073に記載のイミノケタールの加水分解反応によってPUGを放出する基、西独公開特許第2626317号に記載のエステルの加水分解反応によってPUGを放出する基、あるいは、欧州特許第572084号に記載の亜硫酸イオンとの反応を利用してPUGを放出する基等を挙げることができる。
本発明のTで表されるタイミング基の好ましい例として例えば、以下のタイミング基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
式中、#は求電子部位Eまたは##と結合する部位を表し、##はPUGまたは#と結合する位置を表す。Zは酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは酸素原子を表す。R161は置換基を表し、好ましくはR131-、R132CON(R133)-、R131SO2N(R132)-、R131S-、R131O-、R131OCON(R132)-、R132(R133)NCON(R134)-、R132(R133)NCO-、R132(R133)NSO2-、R131OCO-、ハロゲン原子、ニトロ基およびシアノ基を表す。ここで、R131、R132、R133およびR134は上記と同義である。R161はR162、R163、R164のいずれかと結合して環を形成してもよい。n1は0〜4の整数を表す。n1が2以上の整数を表すときそれぞれのR161は同じであっても異なっていてもよく、R161同士で結合して環を形成してもよい。
R162、R163およびR164はR132と同義の基を表し、n2は0または1を表す。R162とR163とが結合してスピロ環を形成してもよい。R162およびR163は好ましくは水素原子または(炭素数1〜20、好ましくは1〜10の)脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子である。R164は好ましくは(炭素数1〜20、好ましくは1〜10の)脂肪族炭化水素基または(炭素数6〜20、好ましくは6〜10の)アリール基である。R165はR132-、R132(R133)NCO-、R132(R133)NSO2-、R131OCO-、R132CO-を表す。ここで、R131、R132およびR133は上記と同義である。R165は好ましくはR132を表し、さらに好ましくは炭素数6 〜20のアリール基を表す。
PUGで表される写真性有用基は、上記と同義である。
本発明のカプラーの好ましい態様は上記一般式(III-2)または(III-3)で表されるものであり、(III-3)がより好ましい(一般式(III-2)、(III-3)において、C、E、D2及びそれらの好ましい範囲は、上記で説明したものと同義である。)。
一般式(III-3)の更に好ましい態様は下記一般式(III-3a)で表され、より好ましくは下記一般式(III-3b)で表され、特に好ましくは一般式(III-3c)で表される。また、一般式(III-3c)とArNH2で表される現像主薬の酸化体(Ar’=NH)との反応で得られる環化体の構造は一般式(III-C)で表すことができる。
Figure 0003639296
式中Q1、Q2はそれぞれ5または6員の環を形成し、かつ、X’のつけ根の原子で現像主薬酸化体とカップリング反応を引き起こすのに必要な非金属原子群であり、X’、T、k、PUG、R118、s、R132はそれぞれ上記と同義である。R144は水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基を表し、好ましくは脂肪族炭化水素基、アリール基又は複素環基を表し、より好ましくは脂肪族炭化水素基を表す(それぞれの脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基は、R131で説明したものと同義である。)。
なお、本発明においては、少なくとも以下の基はD1、D2ではない。
Figure 0003639296
式中、***は、前記Eで表される求電子部位又はTで表されるタイミング基と連結する部位を表し、R71は、置換又は無置換の脂肪族炭化水素基を表し、R72は無置換の脂肪族炭化水素基を表す。
以下に本発明の感光材料において用いるカプラーの具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
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一般式(II)で表される化合物の合成法は例えば特開昭58-162949、特開昭63-37350、特開平4-356042、特開平5-61160、特開平6-130594、US5234800に記載されている。
一般式(III)で表される化合物の合成例を以下に示す。
Figure 0003639296
化合物62a(50g)とo-テトラデシルオキシアニリン(51.1g)のN,N-ジメチルアセトアミド(250ミリリットル(以下、「mL」と表記する)溶液に30℃にてジシクロヘキシルカルボジイミド(41.3g)のN,N-ジメチルアセトアミド(60mL)溶液を滴下した。反応液を50℃にて1時間撹拌した後、酢酸エチル(250mL)を加えて20℃まで冷却した。反応液を吸引ろ過後、ろ液に1N塩酸水(250mL)を加え分液した。有機層にヘキサン(100mL)を加え、析出した結晶をろ過、アセトニトリルで洗浄後、乾燥することにより化合物62b(71g)を得た。
化合物62cの合成
化合物62b(71g)のメタノール(350mL)/テトラヒドロフラン(70mL)溶液に水酸化ナトリウム(30g)水溶液(150mL)を滴下し、窒素雰囲気下、60℃にて1時間撹拌した。反応液を20℃まで冷却後、濃塩酸を系が酸性になるまで滴下した。析出した結晶をろ過、水洗、アセトニトリルで洗浄後、乾燥することにより化合物62c(63g)を得た。
化合物62dの合成
化合物62c(20g)、コハク酸イミド(5.25g)および37%ホルマリン水溶液4.3mLのエタノール溶液(150mL)を5時間撹拌、還流した。20℃まで冷却後、析出した結晶をろ過、乾燥することにより化合物62d(16g)を得た。
化合物62eの合成
化合物62d(7g)のジメチルスルホキシド(70mL)溶液に60℃にて水素化ホウ素ナトリウム(1.32g)を70℃を越えない程度にゆっくり加えた後、その温度で15分撹拌 した。反応液を1N塩酸水(100mL)にゆっくり加えた後、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧にて濃縮した。ショートパスカラム(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/1)で原点成分を除去後、酢酸エチル/ヘキサン系から再結晶することにより化合物62e(3.3g)を得た。
化合物(62)の合成
炭酸ビス(トリクロロメチル)(1.98g)のジクロロメタン(80mL)溶液にフェノキシカルボニルベンゾトリアゾール(4.78g)およびN,N-ジメチルアニリン(2.42g)のジクロロメタン(100mL)/酢酸エチル(200mL)溶液を滴下し、20℃で2時間撹拌した(溶液S)。
化合物62e(2.0g)およびジメチルアニリン(0.60g)のテトラヒドロフラン(20mL)/酢酸エチル(20mL)溶液に10℃にて上記溶液Sを120mL滴下後、20℃にて2時間撹拌した。反応液を1N塩酸水(200mL)にゆっくり加えた後、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧にて濃縮した。カラム(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/5)精製後、酢酸エチル/ヘキサン系から再 結晶することにより1.3g(m.p.=138-140℃)の例示化合物(62)を得た(化合物の同定は元素分析、NMRおよびMassスペクトルより行った。)。
本発明において用い得る界面活性剤は、臨界ミセル濃度が4.0×10-3mol/L以下であればいかなるものでもよいが、高沸点有機溶媒の分散剤として機能するものが好ましい。本発明で使用される界面活性剤としてより好ましくは、スルホアルキルあるいはスルホアリールなどのアニオン性界面活性剤、アルキルポリエチレンオキシドなどのノニオン界面活性剤およびスルホアルキルアンモニウムなどのベタイン界面活性剤である。また、ポリマーに官能基が結合したポリマー界面活性剤も使用できる。ここで、臨界ミセル濃度とは、界面活性剤の濃度を変化させた溶液を用意し、共和科学(株)製SURFACE TENSIOMETER A3を用いて測定した各濃度での表面張力の値を、濃度対数を軸に取りプロットして濃度−表面張力曲線を得、この曲線の最低表面張力に到達する濃度を臨界ミセル濃度とした。臨界ミセル濃度は界面活性剤がミセルを形成する最低濃度であり、この値が低いほど界面活性能が優れている。
本発明において界面活性剤の感材中の含有量は、当該界面活性剤を含有する乳剤層に含有される全ての成分に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上である。界面活性剤の感材中の含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
本発明において用いられる界面活性剤の具体例だけを以下に示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
本発明において用い得る高沸点有機溶媒としては、誘電率7.0以下の高沸点有機溶媒が好ましく、常圧で沸点が約175℃以上の高沸点有機溶媒、たとえばフタル酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、安息香酸エステル類、脂肪酸エステル類、アミド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、カルボン酸類、N,N‐ジアルキルアニリン類、トリアルキルアミン類、炭化水素類、オリゴマーないしポリマー類の中から選ぶことができる。ただし、高沸点有機溶媒が、2種類以上混合して使用される場合、混合後の誘電率が7.0以下であれば、前記誘電率7.0以下の高沸点有機溶媒に該当する。
また、これらの誘電率が7.0以下の高沸点有機溶媒を、誘電率が7.0より大きい高沸点有機溶媒と混合して用いることも可能であり、この場合も混合後の誘電率が7.0以下であれば、前記誘電率7.0以下の高沸点有機溶媒に該当する。ここで誘電率とは、安藤電気製TRS‐10T型誘電率測定装置を用い、変成器ブリッジ法により測定温度25℃、測定周波数10kHzで測定した、真空に対する比誘電率のことである。有機溶媒の誘電率は有機溶媒分子の双極子モーメントの2乗に相関し、すなわち分子の極性の大きさを表す。一般に誘電率の高い分子は極性が高い。
本発明において好ましく用いられる高沸点有機溶媒は、誘電率が7.0以下であり、かつ下記一般式[S−1]〜[S−8]により表わされる高沸点有機溶媒である。
Figure 0003639296
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Figure 0003639296
Figure 0003639296
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式[S−1]においてR1、R2およびR3はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基またはアリール基を表わす。式[S−2]においてR4およびR5はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、またはアリール基を表わし、R6はハロゲン原子(F、Cl、Br、I以下同じ)、脂肪族炭化水素基、脂肪族炭化水素オキシ基、アリールオキシ基または脂肪族炭化水素オキシカルボニル基を表わし、aは0〜3の整数を表す。aが複数のとき複数のR6は同じでも異なっていてもよい。
式[S−3]においてArはアリール基を表わし、bは1〜6の整数を表し、R7はb価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表わす。式[S−4]において、R8は脂肪族炭化水素基または環状脂肪族炭化水素基を表わし、cは1〜6の整数を表わし、R9はc価の炭化水素基またはエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表わす。式[S−5]においてdは2〜6の整数を表わし、R10はd価の炭化水素基(ただしアリール基を除く)を表わし、R11は脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基またはアリール基を表わす。式[S−6]においてR12、R13およびR14はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基またはアリール基を表わす。R12とR13またはR13とR14は互いに結合して環を形成してもよい。
式[S−7]においてR15は脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、脂肪族炭化水素オキシカルボニル基、脂肪族炭化水素スルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基またはシアノ基を表わし、R16はハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表わし、eは0〜3の整数を表わす。eが複数のとき複数のR16は同じでも異なっていてもよい。
式[S−8]においてR17およびR18はそれぞれ独立に脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基またはアリール基を表わし、R19はハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、アリールオキシ基、脂肪族炭化水素オキシ基を表わし、fは0〜4の整数を表わす。fが複数のとき複数のR19は同じでも異なっていてもよい。式[S−1]〜[S−8]においてR1からR6、R8、R11〜R19が脂肪族炭化水素基または脂肪族炭化水素基を含む基であるとき、アルキル基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよく、また不飽和結合を含んでいても置換基を有していてもよい。置換基の例として、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、エポキシ基等がある。
式[S−1]〜[S‐8]においてR1からR6、R8、R11〜R19が環状脂肪族炭化水素基または環状脂肪族炭化水素基を含む基であるとき、環状脂肪族炭化水素基は3〜8員の環内に不飽和結合を含んでよく、また置換基や架橋基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基、アルキル基等があり、架橋基の例としてメチレン、エチレン、イソプロピリデン等がある。
式[S−1]〜[S−8]においてR1からR6、R8、R11〜R19がアリール基またはアリール基を含む基であるとき、アリール基はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換されていてもよい。
式[S−3]、[S−4]、[S−5]においてR7、R9またはR10が炭化水素基であるとき炭化水素基は環状構造(例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)や不飽和結合を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基等がある。
式[S−1]においてR1、R2およびR3の例には、総炭素原子数(以下C数と略す)1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族炭化水素基(例えばn−ブチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル)、C数5〜24(好ましくは6〜18)の環状脂肪族炭化水素基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)またはC数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が含まれる。
式[S−2]においてR4およびR5の例にはC数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族炭化水素基(例えば前記R1について挙げた脂肪族炭化水素基と同じ基、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル基、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル)、C数5〜24(好ましくは6〜18)の環状脂肪族炭化水素基(例えば前記R1について挙げた環状脂肪族炭化水素基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニル、1−メチルシクロヘキシル)またはC数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R1について挙げたアリール基、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル)が含まれ、R6の例にはハロゲン原子(好ましくはCl)、C数1〜18の脂肪族炭化水素基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、C数1〜18の脂肪族炭化水素オキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、C数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ4−t−ブチルフェノキシ)またはC数2〜19の、脂肪族炭化水素オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)が含まれ、aは0〜3(好ましくは0または1)である。
式[S−3]においてArの例にはC数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル)が含まれ、bは1〜6(好ましくは1〜3)の整数であり、R7の例にはb価のC数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R4について挙げた脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、アリール基、−(CH22−、
Figure 0003639296
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〕、またはb価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基〔例えば、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2(OCH2CH23−、−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−、
Figure 0003639296
〕が含まれる。
式[S−4]において、R8の例にはC数1〜24(好ましくは1〜17)の脂肪族炭化水素基(例えばメチル、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル)またはC数3から24(好ましくは6〜18)の環状脂肪族炭化水素基(例えばシクロプロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)が含まれ、cは1〜6(好ましくは1〜3)の整数であり、R9の例にはc価のC数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基またはc価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基(例えば前記R7について挙げた基)が含まれる。
式[S−5]においてdは2〜6(好ましくは2または3)であり、R10の例にはd価の炭化水素基〔例えば、
Figure 0003639296
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〕が含まれ、R11の例にはC数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族炭化水素基、C数5〜24(好ましくは6〜18)の環状脂肪族炭化水素基またはC数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R4について挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アリール基)が含まれる。
式[S−6]においてR12の例にはC数1〜24(好ましくは3〜20)の脂肪族炭化水素基〔例えばn−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル〕、C数5〜24(好ましくは6〜18)の環状脂肪族炭化水素基(例えばシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)またはC数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記Arについて挙げたアリール基)が含まれ、R13およびR14の例にはC数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族炭化水素基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル)、C数5〜18(好ましくは6〜15)の環状脂肪族炭化水素基(例えばシクロペンチル、シクロプロピル)またはC数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が含まれる。R13とR14とが互いに結合し、Nとともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R12とR13とが互いに結合してピロリドン環を形成してもよい。
式[S−7]においてR15の例にはC数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族炭化水素基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル)、C数3〜18(好ましくは5から12)の環状脂肪族炭化水素基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、C数2〜24(好ましくは5から17)の脂肪族炭化水素オキシカルボニル基(例えばn−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル)、C数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族炭化水素スルホニル基(例えばメチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ドデシルスルホニル、)、C数6〜30(好ましくは6〜24)のアリールスルホニル基(例えばp−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニル、p−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニル)、C数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)またはシアノ基が含まれ、R16はハロゲン原子(好ましくはCl)、C数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族炭化水素基(例えば前記R15について挙げた脂肪族炭化水素基)、C数3〜18(好ましくは5から17)の環状脂肪族炭化水素基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、C数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、C数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族炭化水素オキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)またはC数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)が含まれ、eは0〜3(好ましくは1または2)の整数である。
式[S−8]においてR17およびR18は前記R13およびR14と同じであり、R19は前記R16と同じである。fは0〜4(好ましくは0〜2)の整数である。
一般式[S−1]〜[S−8]で表わされる高沸点有機溶媒のうち、一般式[S−1](R1、R2、R3はアルキル基が好ましい)、[S−2]、[S−3](bは1が好ましい)、[S−4]、[S−5]および[S−7]で表わされる高沸点有機溶媒が特に好ましく、一般式[S−1]、[S−2]、[S−4]および[S−5]で表わされる高沸点有機溶媒が最も好ましい。以下に本発明において用いられる高沸点有機溶媒の具体例を示す。
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これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、2種以上の混合[例えばジ(2−エチルヘキシル)フタレートとトリオクチルホスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケートとトリイソノニルホスフェート、ジブチルフタレートとジ(2−エチルヘキシル)アジペート]で使用してもよい。ここで2種以上の高沸点有機溶媒を混合して用いる場合、混合後の前記誘電率が7.0以下であることが好ましい。
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例および/またはこれら高沸点有機溶媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,929号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、欧州特許第276、319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−277921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−106228号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号に記載されている。
本発明において、高沸点有機溶媒は乳化物(微小分散物)として含有されることが好ましい。乳化物の平均粒径は、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは2μm以下、最も好ましくは0.5μm以下である。乳化物の調製に際しては、機械的な攪拌のみで分散させることもできるが、界面活性剤を使用することも好ましい。また乳化物にゼラチンなどの高分子を添加して調製することも好ましい。
高沸点有機溶媒の乳剤中の含有量は質量%(乳剤100g中に含まれる有機溶媒質量)で好ましくは0.05%〜10%であるが、より好ましくは0.1%〜10%であり、更に好ましくは0.2%〜10%である。
一般式(IV)、一般式(V)について詳細に説明する。一般式(IV)中、QはN又はP原子を表す。Ra1、Ra2、Ra3、Ra4は各々、好ましくは、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル(例えば、メチル、ブチル、ヘキシル、ドデシル、ヒドロキシエチル及びトリメチルアンモニオエチル、並びにベンジル、フェネチル及びp−クロロベンジルのような炭素数7〜20のアリール置換アルキル)、好ましくは、炭素数6〜20の置換あるいは無置換のアリール(例えば、フェニル、p−クロロフェニル)、置換あるいは無置換の複素環(例えば、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル)を表すが、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4はこの内の二つが連結して飽和環(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環)を形成してもよく、あるいはRa1、Ra2、Ra3、Ra4はこの内の三つが共同で不飽和環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環)を形成してもよい。Ra1、Ra2、Ra3、Ra4の置換アルキルの例として4級アンモニウム塩、4級ピリジニウム塩、4級ホスホニウム塩を置換基として有してもよい。
Yはアニオン基を表すが、分子内塩の場合はYは存在しない。Yの例として、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、オギザラートを表す。
一般式(V)中、Ra5、Ra6、Ra7は各々、好ましくは、炭素数1〜20の置換あるいは無置換のアルキル(例えば、メチル、ブチル、ヘキシル、ドデシル及びヒドロキシエチル、並びにベンジル、フェネチル及びp−クロロベンジルのような炭素数7〜20のアリール置換アルキル)、炭素数6〜20の置換あるいは無置換のアリール(例えば、フェニル、p−クロロフェニル)、置換あるいは無置換の複素環(例えば、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル)を表すが、Ra5、Ra6、Ra7はこの内の二つが連結して飽和環(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環)を形成してもよく、あるいはRa5、Ra6、Ra7は三つが共同で不飽和環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環)を形成してもよい。
Ra8はアルキレン、アリーレン、−O−、−S−、−CO2−を単独又は組み合わせて構成されるものを表す。ただし、−O−、−S−、−CO2−はそれぞれアルキレンあるいはアリーレンと隣接して連結する。アルキレンの置換基としてヒドロキシ基などの置換基が置換してもよい。アルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましいく、例えば、トリメチレン、ペンタメチレン、ヘプタメチレン、ノナメチレン、−CH2CH2OCH2CH2−、−(CH2CH2O)2−CH2CH2−、−(CH2CH2O)3−CH2CH2−、−(CH2CH2S)3−CH2CH2−、−CH2CH2COOCH2CH2OCOCH2CH2−を挙げることができる。
Ra9、Ra10、Ra11はRa5、Ra6、Ra7と同義である。
本発明の一般式(IV)の化合物として、好ましくは、一般式(V)の化合物である。
本発明の一般式(IV)、一般式(V)で表される化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。
本発明の一般式(IV)、一般式(V)で表わされる化合物の添加時期は増感色素の添加時期の前後を問わず、それぞれ好ましい添加量は増感色素の1モル%〜50モル%、更に好ましくは2モル%〜25モル%の割合でハロゲン化銀乳剤中に含有する。本発明において用いる一般式(IV)、一般式(V)で表される化合物の添加量が多くなりすぎると乳剤粒子に吸着できる増感色素量が少なくなる場合があり、上記の添加量が好ましい。
本発明の一般式(IV)、一般式(V)で表される化合物は、Quart. Rev., 16, 163(1962)に記載の合成法と同様の方法により容易に合成することができる。
本発明に用いられる一般式(IV)、一般式(V)で表わされる化合物の代表例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
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次に一般式(VI)〜(XI)について詳細に説明する。
本発明の一般式(VI)〜(XI)で表される化合物は、いずれも還元性化合物であり、その酸化電位を、藤嶋昭著「電気化学測定法」(150〜208頁、技報堂出版)や日本化学会編著「実験化学講座」第4版(9巻282〜344頁、丸善)に記載の測定法を用いて測定することができる。例えば回転ディスクボルタンメトリーの技法で、具体的には試料をメタノール:pH6.5 ブリトン−ロビンソン緩衝液(Britton-Robinson buffer)=10%:90%(容量%)の溶液に溶解し、10分間窒素ガスを通気した後、グラッシーカーボン製の回転ディスク電極(RDE)を作用電極に用い、白金線を対極に用い、飽和カロメル電極を参照電極に用いて、25℃、1000回転/分、20mV/秒のスイープ速度で測定できる。得られたボルタモグラムから半波電位(E1/2)を求めることができる。
本発明の還元性化合物は上記測定法で測定した場合、その酸化電位が約−0.3V〜約1.0Vの範囲にあることが好ましい。より好ましくは約−0.1V〜約0.8Vの範囲であり、特に好ましくは約0〜約0.6Vの範囲である。
一般式(VI)中、Rb1およびRb2で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチル、n−ブトキシプロピル、メトキシメチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル、2−シクロヘキセニル)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル、3−ペンチニル)、炭素数7〜12のアラルキル基(例えば、ベンジル)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のフェニル基(例えば無置換フェニル、4−メチルフェニル)等が挙げられる。
一般式(VI)中、Rb3およびRb4で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜10の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル、ジブチルアミノエチル、メトキシエチル、エトキシエトキシエチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル、2−シクロヘキセニル)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル、3−ペンチニル)、炭素数7〜12のアラルキル基(例えば、ベンジル)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のフェニル基(例えば無置換フェニル、4−メチルフェニル)、および炭素数10〜16の置換もしくは無置換のナフチル(例えば無置換ナフチル)が挙げられる。
また、Rb1またはRb2と、Rb3またはRb4は、連結して環を形成しても良い。
一般式(VI)中、Rb5で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数1〜8の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、2−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシエチル、ジエチルアミノエチル)、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素数2〜10のアルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル、2−シクロヘキセニル)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル、3−ペンチニル)、炭素数7〜12のアラルキル基(例えば、ベンジル)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜16の置換もしくは無置換のフェニル基(例えば無置換フェニル、4−メチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル、4−スルフォフェニル、4−クロロフェニル、4−トリフロロメチルフェニル、3−トリフロロメチルフェニル、4−カルボキシフェニル、2,5−ジメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−(3−カルボキシプロピオニルアミノ)−フェニル、4−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル)、および炭素数10〜16のナフチル(例えば無置換ナフチル基、4−メチルナフチル)が挙げられ、複素環基としては、例えばピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジル、モルホリルが挙げられる。
さらに、上記一般式(VI)中の、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4およびRb5にはさらに以下に示す置換基Yyを有していてもよい。置換基Yyとしては例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、t−ブチル)、アルケニル基(例えば、アリル、2−ブテニル)、アルキニル基(例えば、プロパルギル)、アラルキル基(例えば、ベンジル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル、4−メチルフェニル)、複素環基(例えば、ピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジニル、モルホリル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、エトキシエトキシ、メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−ナフチルオキシ)、アミノ基(例えば、無置換アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、エチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド、N−メチルウレイド)、ウレタン基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ)、スルフォニルアミノ基(例えば、メチルスルフォニルアミノ、フェニルスルフォニルアミノ)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、スルホニル基(例えば、メシル、トシル)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、フェニルスルフィニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、リン酸アミド基(例えば、N,N−ジエチルリン酸アミド)、シアノ基、スルホ基、チオスルホン酸基、スルフィン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基、アンモニオ基、ホスホニオ基、ヒドラジノ基、チアゾリノ基が挙げられる。また、置換基が2つ以上ある時は同じでも異なっていてもよく、置換基はさらに置換基を有していてもよい。
一般式(VI)中、Rb1およびRb2が、各々独立に炭素数1〜4の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基であり、Rb3およびRb4が、各々独立に水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、もしくは炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基であり、Rb5は炭素数6〜12の置換もしくは無置換のフェニル基であり、且つ、一般式(VI)で表される化合物の分子量が350以下である事が好ましい。
さらに、一般式(VI)中、Rb1およびRb2が、炭素数1〜3の置換もしくは無置換の直鎖アルキル基であり、Rb3およびRb4が水素原子であり、Rb5は炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基であり、且つ、一般式(VI)で表される化合物の分子量が300以下である事がより好ましい。さらに、一般式(VI)中、Rb1ないしRb5の炭素数の総和が11以下であることが最も好ましい。
以下に一般式(VI)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
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一般式(VI)で表される化合物は、市販の薬品として、あるいは市販の薬品から既知の方法によって合成される化合物として、容易に入手可能である。一般式(VI)の合成方法としては、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ(J.Chem.Soc.)408頁(1954年)、米国特許2,743,279(1953年)、米国特許2,772,282(1953年)等に記載の方法、あるいはそれに準じた方法で容易に合成する事ができる。
一般式(VI)で表される化合物は好ましくは塗布液を塗布する前または塗布時に乳剤層の隣接層または他層に添加して該乳剤層に拡散させて添加される。乳剤調製時に化学増感前、化学増感中または化学増感終了後に添加することもできる。一般式(VI)で表される化合物は、感性層に添加することも、非感光性層に添加することもできる。
好ましい添加量は上述した添加法および添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり5×10-6モルから0.05モル、より好ましくは1×10-5モルから0.005モルが用いられる。上記の添加量より多い場合、カブリの増加を招くなどの悪影響が現れ好ましくない。
一般式(VI)で表される化合物は水可溶性の溶媒に溶解して添加することが好ましい。酸または塩基によってpHを低くしても高くしてもよく、あるいは界面活性剤を共存してもよい。また乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできるし、公知の分散法で微結晶分散体として添加してもよい。
一般式(VII)で表される化合物についてさらに詳細に説明する。まず、Hyとして好ましく用いられる、Rb6Rb7N−NRb8Rb9で表わされるヒドラジン構造について詳細に説明する。
Rb6、Rb7、Rb8およびRb9はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表わす。また、Rb6とRb7、Rb8とRb9、Rb6とRb8、およびRb7とRb9が互いに結合して環を形成してもよいが、芳香族複素環(例えば、ピリダジン、ピラゾール)を形成することはない。ただし、Rb6、Rb7、Rb8およびRb9の少なくとも1つは一般式(VII)における−(M)k2−(Het)k1が置換するためのアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基または二価の複素環残基である。
Rb6、Rb7、Rb8およびRb9としては、例えば炭素原子数1〜18、さらに好ましくは1〜8の無置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、アリル、2−ブテニル)、炭素原子数1〜18、さらに好ましくは1〜8の置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
また、Rb6とRb7、Rb8とRb9、Rb6とRb8、およびRb7、Rb9が互いに結合して環を形成してもよい。ただし、芳香族複素環を形成することはない。これらの環は、例えば、前述の置換基Yyにより置換されていてもよい。
Rb6、Rb7、Rb8およびRb9としてさらに好ましくは、無置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびRb6とRb7、Rb8、Rb9、Rb6とRb8、およびRb7とRb9が互いに結合して、環を構成する原子に炭素原子以外(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子)を含まないアルキレン基{アルキレン基は置換(例えば前述の置換基Yy)されていてもよい}を形成する場合である。
Rb6、Rb7、Rb8およびRb9としてさらに好ましくは、ヒドラジンの窒素原子に直接結合している炭素原子が、無置換メチレン基の場合である。Rb6、Rb7、Rb8、Rb9として特に好ましくは炭素原子数1〜6の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素原子数1〜8の置換アルキル基{例えばスルホアルキル基(例えば2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−スルホブチル)、カルボキシアルキル基(例えばカルボキシメチル、2−カルボキシエチル)、ヒドロキシアルキル基(例えば2−ヒドロキシエチル)}およびRb6とRb7、Rb8とRb9、Rb6とRb8、およびRb7とRb9がアルキレン鎖により互いに結合して、5員環、6員環および7員環を形成する場合である。
Rb6Rb7N−NRb8Rb9で表わされるヒドラジン基には少なくとも1つの−(M)k2−(Het)k1が置換している。その置換位置はRb6、Rb7、Rb8およびRb9のいずれでもよい。
更に、本発明において用いるRb6Rb7N−NRb8Rb9で表わされる化合物は、下記一般式(Hy−1)、(Hy−2)および(Hy−3)から選択される化合物であるとき、特に好ましい。
Figure 0003639296
式中、Rb39、Rb40、Rb41およびRb42は各々独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表わす。また、Rb39とRb40、Rb41とRb42が互いに結合して環を形成していてもよい。
4は炭素原子数4、5または6のアルキレン基を表わす。Z5は炭素原子数2のアルキレン基を表わす。Z6は炭素原子数1または2のアルキレン基を表わす。Z7およびZ8は炭素原子数3のアルキレン基を表わす。L3およびL4はメチン基を表わす。
また、一般式(Hy−1)、(Hy−2)および(Hy−3)には、それぞれ少なくとも1つの−(M)k2−(Het)k1が置換している。さらに好ましくは、一般式(Hy−1)および(Hy−2)から選択される化合物であり、特に好ましくは一般式(Hy−1)から選択される化合物である。
以下に一般式(Hy−1)について詳細に説明する。Rb39およびRb40はRb6、Rb7、Rb8およびRb9と同義であり、好ましい範囲も同様である。特に好ましくは、アルキル基およびRb39とRb40が互いに結合して、無置換テトラメチレン基またはペンタメチレン基を形成する場合である。
4は炭素原子数4、5または6のアルキレン基を表わし、好ましくは炭素原子数4または5のアルキレン基の場合である。ただし、ヒドラジンの窒素原子に直接結合している炭素原子にオキソ基が置換していることはない。また、このアルキレン基は無置換でも置換されていても良い。置換基としては例えば前述の置換基Yyが挙げられるが、ヒドラジンの窒素原子に直接結合している炭素原子は無置換メチレン基である場合が好ましい。Z4として特に好ましくは、無置換テトラメチレン基または無置換ペンタメチレン基である。一般式(Hy−1)で表わされるヒドラジン基には少なくとも1つの−(M)k2−(Het)k1が置換している。その置換位置はRb39、Rb40およびZ4のいずれでもよい。好ましくは、Rb39およびRb40である。
以下に一般式(Hy−2)について詳細に説明する。Rb41およびRb42はRb6、Rb7、Rb8およびRb9と同義であり、好ましい範囲も同様である。特に好ましくは、アルキル基およびRb41とRb42が互いに結合してトリメチレン基を形成する場合である。Z5は炭素原子数2のアルキレン基を表わす。Z6は炭素原子数1または2のアルキレン基を表わす。また、これらのアルキレン基は無置換でも置換されていても良い。置換基としては、例えば前述の置換基Yyが挙げられる。Z5としてさらに好ましくは、無置換エチレン基である。Z6としてさらに好ましくは、無置換メチレン基およびエチレン基である。L3およびL4は置換および無置換のメチン基を表わす。置換基としては、例えば前述の置換基Yyが挙げられ、好ましくは無置換アルキル基(例えばメチル基、t−ブチル基)である。さらに好ましくは無置換メチン基である。一般式(Hy−2)で表わされるヒドラジン基には少なくとも1つの−(M)k2−(Het)k1が置換している。その置換位置はRb41、Rb42、Z5、Z6、L3およびL4のいずれでもよい。好ましくはRb41およびRb42である。
一般式(Hy−3)について詳細に説明する。Z7およびZ8は各々独立に炭素原子数3のアルキレン基を表わす。ただしヒドラジンの窒素原子に直接結合している炭素原子にオキソ基が置換していることはない。また、これらのアルキレン基は無置換でも置換されていても良い。置換基としては例えば前述の置換基Yyが挙げられるが、ヒドラジンの窒素原子に直接結合している炭素原子は、無置換メチレン基である場合が好ましい。Z7およびZ8として特に好ましくは、無置換トリメチレン、無置換アルキル基が置換したトリメチレン基(例えば2,2−ジメチルトリメチレン)である。一般式(Hy−3)で表わされるヒドラジン基には少なくとも1つの−(M)k2−(Het)k1が置換している。その置換位置はZ7およびZ8いずれでもよい。
一般式(VII)において、Hetで示される基は、下記の(i)〜(v)のいずれかの構造を持つことが好ましい。
(i)ヘテロ原子を2つ以上持つ5、6または7員の複素環
(ii)4級窒素原子を持つ下記Aで表わされる5、6または7員の含窒素複素環
(iii)チオキソ基を持つ下記Bで表わされる5、6または7員の含窒素複素環
(iv)下記Cで表わされる5、6または7員の含窒素複素環
(v)下記DおよびEで表わされる5、6または7員の含窒素複素環
Figure 0003639296
Raとして好ましくは前述のRb6、Rb7、Rb8およびRb9のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の例として示したものが挙げられる。
Zcを環構成原子として含む含窒素複素環は、少なくとも1個の窒素原子を含み、他に窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子)を含んでいてもよい5員、6員または7員の複素環であり、好ましくはアゾール環(例えばイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ベンゾセレナゾール、ピラゾール、ナフトチアゾール、ナフトイミダゾール、ナフトオキサゾール、アザベンゾイミダゾール、プリン)、ピリミジン環、トリアジン環、アザインデン環(例えば、トリアザインデン、テトラザインデン、ペンタアザインデン)などが挙げられる。
ただし、Hetで示される基には少なくとも1つの−(M)k2−(Hy)が置換している。
Hetとしてさらに好ましいものは、下記の一般式(Het−a)、(Het−b)、(Het−c)、(Het−d)および(Het−e)で表わされる化合物である。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
式中、Rb43、Rb44、Rb45、Rb46、Rb47およびRb48は各々独立に水素原子または1価の置換基を表わす。Rb49はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表わす。X1は水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基またはブロック基を表わす。Y1は酸素原子、硫黄原子、>NH、>N−(L4)p3−Rb53であり、L3、L4は2価の連結基を表わし、Rb50、Rb53は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表わす。X2はX1と同義である。p2およびp3は各々独立に0〜3の整数である。好ましくは、p2およびp3は1である。
9は5員または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な原子群を表わす。Rb51はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表わす。Rb52は水素原子またはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表わす。ただし、一般式(Het−a)〜(Het−e)には、それぞれ少なくとも1つの−(M)k2−(Hy)が置換している。ただし、一般式(Het−c)、(Het−d)のX1、X2に置換することはない。一般式(Het−a)〜(Het−e)のうち、好ましくは一般式(Het−a)、(Het−c)および(Het−d)であり、さらに好ましくは一般式(Het−c)である。
次に、一般式(Het−a)〜(Het−e)について更に詳細に説明する。
Rb43、Rb44、Rb45、Rb46、Rb47およびRb48は各々独立に水素原子または1価の置換基を表わす。1価の置換基としては、前述のRb6、Rb7、Rb8、Rb9および置換基Yyなどを挙げることができる。さらに好ましくは、低級アルキル基(好ましくは置換または無置換の炭素数1〜4個のもの、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、メトキシエチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、ビニル、アリル)、カルボキシ基、アルコキシ基(好ましくは置換または無置換の炭素数1〜5個のもの、例えばメトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ)、アラルキル基(好ましく置換または無置換の炭素数7〜12個のもの、例えばベンジル、フェネチル、フェニルプロピル)、アリール基(好ましくは置換または無置換の炭素数6〜12個のもの、例えばフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル)、複素環基(例えば2−ピリジル)、アルキルチオ基(好ましくは置換または無置換の炭素数1〜10のもの、例えばメチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくは置換または無置換の炭素数6〜12のもの、例えばフェニルチオ)、アリールオキシ基(好ましくは置換または無置換の炭素数6〜12のもの、例えばフェノキシ)、炭素原子数3以上のアルキルアミノ基(例えば、プロピルアミノ、ブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、アニリノ)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、または下記置換基が挙げられる。
Figure 0003639296
ここで、L5、L6およびL7はアルキレン基(好ましくは、炭素数1〜5のもの、例えばメチレン、プロピレン、2−ヒドロキシプロピレン)で示す連結基を表わす。Rb54とRb55はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基(好ましくは置換または無置換の炭素数1〜10のもの、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、メトキシエチル、ヒドロキシエチル、アリル、プロパルギル)、アラルキル基(好ましくは、置換または無置換の炭素数7〜12のもの、例えばベンジル、フェネチル、ビニルベンジル)、アリール基(好ましくは置換または無置換の炭素数6〜12個のもの、例えばフェニル、4−メチルフェニル)、または複素環基(例えば2−ピリジル)を表わす。
Rb49のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基は無置換でも置換されていてもよい。好ましくはRb6、Rb7、Rb8、Rb9およびYyとして挙げた置換基などを挙げることができる。
さらに好ましくは、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アリール基(例えばフェニル)、アシルアミノ基(例えばプロピオニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ)、ウレイド基、アミノ基、複素環基(例えば2−ピリジル)、アシル基(例えばアセチル)、スルファモイル基、スルホンアミド基、チオウレイド基、カルバモイル基、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、複素環チオ基(例えば2−ベンゾチアゾリルチオ)、カルボン酸基、スルホ基またはそれらの塩などを挙げることができる。上記のウレイド基、チオウレイド基、スルファモイル基、カルバモイル基、アミノ基はそれぞれ無置換のもの、N−アルキル置換のもの、N−アリール置換のものを含む。アリール基の例としてはフェニル基や置換フェニル基があり、この置換基としては前述のRb6、Rb7、Rb8、Rb9および置換基Yyなどを挙げることができる。
1およびX2で表わされるアルカリ金属原子とは、例えばナトリウム原子、カリウム原子であり、アンモニウム基とは、例えばテトラメチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウムである。またブロック基とは、アルカリ条件下で開裂しうる基のことで、例えばアセチル、シアノエチル、メタンスルホニルエチルを表わす。
3、L4で表わされる2価の連結基の具体例として以下に示す連結基を挙げることができる。これらの連結基は単独が好ましいが、これらを組み合わせてもよい。組み合わせた場合の総炭素数は0〜20個が好ましい。
Figure 0003639296
Rb56、Rb57、Rb58、Rb59、Rb60、Rb61、Rb62、Rb63、Rb64およびRb65は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基(好ましくは、置換または無置換の炭素数1〜4個のもの、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、メトキシエチル、ヒドロキシエチル、アリル)またはアラルキル基(好ましくは置換または無置換の炭素数7〜12個のもの、例えばベンジル、フェネチル、フェニルプロピル)を表す。
Rb50およびRb53は、前述のRb49で示したものと同様のものが好ましい。
9を環構成原子として有する複素環基として好ましくは、チアゾリウム類{例えばチアゾリウム、4−メチルチアゾリウム、ベンゾチアゾリウム、5−メチルベンゾチアゾリウム、5−クロロベンゾチアゾリウム、5−メトキシベンゾチアゾリウム、6−メチルベンゾチアゾリウム、6−メトキシベンゾチアゾリウム、ナフト〔1,2−d〕チアゾリウム、ナフト〔2,1−d〕チアゾリウム}、オキサゾリウム類{例えばオキサゾリウム、4−メチルオキサゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、5−クロロベンゾオキサゾリウム、5−フェニルベンゾオキサゾリウム、5−メチルベンゾオキサゾリウム、ナフト〔1,2−d〕オキサゾリウム}、イミダゾリウム類{例えば1−メチルベンゾイミダゾリウム、1−プロピル−5−クロロベンゾイミダゾリウム、1−エチル−5,6−シクロロベンゾイミダゾリウム、1−アリル−5−トリフロロメチル−6−クロロ−ベンゾイミダゾリウム)、セレナゾリウム類{例えばベンゾセレナゾリウム、5−クロロベンゾセレナゾリウム、5−メチルベンゾセレナゾリウム、5−メトキシベンゾセレナゾリウム、ナフト〔1,2−d〕セレナゾリウム}などが挙げられる。特に好ましくはチアゾリウム類(例えば、ベンゾチアゾリウム、5−クロロベンゾチアゾリウム、5−メトキシベンゾチアゾリウム、ナフト〔1,2−d〕チアゾリウム)である。
Rb51およびRb52として好ましくは、水素原子、炭素数1〜18の無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル)、または炭素数2〜18の置換アルキル基{置換基として例えば、ビニル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素である。)、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル)、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、炭素数6〜10の単環式のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ)、炭素数1〜3のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、プロピオニルオキシ)、炭素数1〜8のアシル基(例えばアセチル、プロピオニル、ベンゾイル、メシル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、モルホリノカルボニル、ピペリジノカルボニル)、スルファモイル基(例えばスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、モルホリノスルホニル、ピペリジノスルホニル)、炭素数6〜10のアリール基(例えばフェニル、4−クロルフェニル、4−メチルフェニル、α−ナフチル)で置換された炭素数1〜18のアルキル基}が挙げられる。ただし、Rb51が水素原子であることはない。さらに好ましくは、Rb51は無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル)、アルケニル基(例えばアリル基)であり、Rb52は水素原子および無置換低級アルキル基(例えば、メチル、エチル)である。
M1、m1は、一般式(Het−e)で表わされる化合物のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオンまたは陰イオンの存在または不存在を示すために式の中に含められている。ある色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷をもつかどうかは、その助色団および置換基に依存する。典型的な陽イオンは無機または有機のアンモニウムイオンおよびアルカリ金属イオンであり、一方陰イオンは具体的に無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、例えばハロゲン陰イオン(例えば弗素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン)、1,5−ナフタレンジスルホン酸イミド、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。好ましくは、アンモニウムイオン、沃素イオン、臭素イオン、p−トルエンスルホン酸イオンである。
一般式(Het−a)〜(Het−e)で表わされる含窒素複素環には、それぞれ少なくとも1つの−(M)k2−(Hy)が置換している。その置換位置は、Rb43、Rb44、Rb45、Rb46、Rb47、Rb48、Rb49、Rb50、Rb51、Y1、L3およびZ9などである。
一般式(VII)において、Mは炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のうち、少なくとも1種を含む原子または原子団からなる2価の連結基を表わす。好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、炭素数6〜12のアリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン)、炭素数2〜8のアルケニレン基(例えば、エチニレン、プロペニレン)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、−N(R0)−(R0は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)、2価の複素環残基(例えば、6−クロロ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル、ピリミジン−2,4−ジイル、キノキサリン−2,3−ジイル)を1つまたはそれ以上組合せて構成される炭素数4〜20の2価の連結基を表わす。さらに好ましくはウレイド基、エステル基、アミド基である。
一般式(VII)において、k1およびk3は好ましくは1または2である。より好ましくは、k1、k2およびk3がいずれも1の場合である。k1またはk3が2以上のとき、Hy、Hetはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明の一般式(VII)で表される化合物において、より好ましい化合物は下記一般式(VII−A)、(VII−B)、(VII−C)、(VII−D)および(VII−E)で表される。
Figure 0003639296
更に、本発明において特に好ましい化合物は下記一般式(VII−F)で表わされる。
Figure 0003639296
式中、Maは一般式(VII)のMと同義である。Zdは一般式(Hy−1)のZ4と同義である。Rb69は1価の置換基を表わす。Rb66はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Rb67およびRb68は各々独立に水素原子または1価の置換基を表わす。n1は0〜4の整数を表わす。n2は0または1を表わす。n3は1〜6の整数を表わす。X1は一般式(Het−c)のX1と同義である。Y1、L3、p2は一般式(Het−d)のY1、L3、p2とそれぞれ同義である。Rb51は一般式(Het−e)のRb51と同義である。n1およびn3が2以上のとき、Rb69およびC(Rb67)(Rb68)がくり返されるが同一である必要はない。
更に、詳述すると、Maは一般式(VII)のMと同様のものが好ましく、さらに好ましくは、ウレイド基、エステル基またはアミド基である。Zdは一般式(Hy−1)のZ4と同様のものが好ましく、さらに好ましくは無置換テトラメチレン基、ペンタメチレン基である。Rb69はRb43と同様のものが好ましい。Rb66はRb6、Rb7、Rb8およびRb9と同様のものが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜4の無置換アルキル基(例えばメチル、エチル)である。Rb67およびRb68はRb43と同様のものが好ましく、特に好ましくは水素原子である。n1として好ましくは0または1である。n2として好ましくは1である。n3として好ましくは2〜4である。
次に、本発明において用いる化合物の典型的な例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
本発明に用いられる一般式(VII)のHetは、米国特許第3,266,897号、ベルギー特許第671,402号、特開昭60−138548号、特開昭59−68732号、特開昭59−123838号、特公昭58−9939号、特開昭59−137951号、特開昭57−202531号、特開昭57−164734号、特開昭57−14836号、特開昭57−116340号、米国特許第4,418,140号、特開昭58−95728号、特開昭55−79436号、OLS2,205,029号、OLS1,962,605号、特開昭55−59463号、特公昭48−18257号、特公昭53−28084号、特開昭53−48723号、特公昭59−52414号、特開昭58−217928号、特公昭49−8334号、米国特許第3,598,602号、米国特許第887,009号、英国特許第965,047号、ベルギー特許第737809号、米国特許第3,622,340号、特開昭60−87322号、特開昭57−211142号、特開昭58−158631号、特開昭59−15240号、米国特許3,671,255号、特公昭48−34166号、特公昭48−322112号、特開昭58−221839号、特公昭48−32367号、特開昭60−130731号、特開昭60−122936号、特開昭60−117240号、米国特許3,228,770号、特公昭43−13496号、特公昭43−10256号、特公昭47−8725号、特公昭47−30206号、特公昭47−4417号、特公昭51−25340号、英国特許1,165,075号、米国特許3,512,982号、米国特許1,472,845号、特公昭39−22067号、特公昭39−22068号、米国特許3,148,067号、米国特許3,759,901号、米国特許3,909,268号、特公昭50−40665号、特公昭39−2829号、米国特許3,148,066号、特公昭45−22190号、米国特許1,399,449号、英国特許1,287,284号、米国特許3,900,321号、米国特許3,655,391号、米国特許3,910,792号、英国特許1,064,805号、米国特許3,544,336号、米国特許4,003,746号、英国特許1,344,525号、英国特許972,211号、特公昭43−4136号、米国特許3,140,178号、仏国特許2,015,456号、米国特許3,114,637号、ベルギー特許681,359号、米国特許3,220,839号、英国特許1,290,868号、米国特許3,137,578号、米国特許3,420,670号、米国特許2,759,908号、米国特許3,622,340号、OLS2,501,261号、DAS1,772,424号、米国特許3,157,509号、仏国特許1,351,234号、米国特許3,630,745号、仏国特許2,005,204号、独国特許1,447,796号、米国特許3,915,710号、特公昭49−8334号、英国特許1,021,199号、英国特許919,061号、特公昭46−17513号、米国特許3,202,512号、OLS2,553,127号、特開昭50−104927号、仏国特許1,467,510号、米国特許3,449,126号、米国特許3,503,936号、米国特許3,576,638号、仏国特許2,093,209号、英国特許1,246,311号、米国特許3,844,788号、米国特許3,535,115号、英国特許1,161,264号、米国特許3,841,878号、米国特許3,615,616号、特開昭48−39039号、英国特許1,249,077号、特公昭48−34166号、米国特許3,671,255号、英国特許1459160号、特開昭50−6323号、英国特許1,402,819号、OLS2,031,314号、リサーチディスクロージャー13651号、米国特許3,910,791号、米国特許3,954,478号、米国特許3,813,249号、英国特許1,387,654号、特開昭57−135945号、特開昭57−96331号、特開昭57−22234号、特開昭59−26731号、OLS2,217,153号、英国特許1,394,371号、英国特許1,308,777号、英国特許1,389,089号、英国特許1,347,544号、独国特許1,107,508号、米国特許3,386,831号、英国特許1,129,623号、特開昭49−14120号、特公昭46−34675号、特開昭50−43923号、米国特許3,642,481号、英国特許1,269,268号、米国特許3,128,185号、米国特許3,295,981号、米国特許3,396,023号、米国特許2,895,827号、特公昭48−38418号、特開昭48−47335号、特開昭50−87028号、米国特許3,236,652号、米国特許3,443,951号、英国特許1,065,669号、米国特許3,312,552号、米国特許3,310,405号、米国特許3,300,312号、英国特許952,162号、英国特許952,162号、英国特許948,442号、特開昭49−120628号、特公昭48−35372号、特公昭47−5315号、特公昭39−18706号、特公昭43−4941号、特開昭59−34530号などに記載されており、これらを参考にして合成することができる。
本発明の一般式(VII)におけるHyは種々の方法で合成できる。例えば、ヒドラジンをアルキル化する方法により合成できる。アルキル化の方法としては、ハロゲン化アルキルおよびスルホン酸アルキルエステルを用いて置換アルキル化する方法、カルボニル化合物と水素化シアノホウ素ナトリウムを用いて還元的にアルキル化する方法、およびアシル化した後水素化リチウムアルミニウムを用いて還元する方法などが知られている。例えば、エス・アール・サンドラー(S. R. Sandler)、ダブリュー・カロ(W. Karo)、「オーガニック・ファンクショナル・グループ・プレパレーションズ(Organic Fanctional Group Preparation)」第1巻、第14章、434〜465頁(1968年)、アカデミック・プレス(Academic Press)社刊、イー・エル・クレナン(E. L. Clennan)等ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイェティー(Journal of The American Chemical Society)第112巻第13号5080頁(1990年)などに記載されおり、それらを参照すれば合成できる。
また、−(M)k2−(Hy)部分のアミド結合形成反応およびエステル結合形成反応をはじめとする結合形成反応は有機化学において知られている方法を利用することができる。すなわちHetとHyを連結せしめる方法、Hetの合成原料および中間体にHyを連結せしめてからHetを合成する方法、逆にHyの合成原料および中間体をHet部分に連結せしめた後にHyを合成する方法などいずれの方法でもよく、適宜選択して合成できる。これらの連結のための合成反応については、例えば日本化学会編、新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応、I−V巻、丸善、東京(1977年)、小方芳郎、有機反応論、丸善、東京(1962年)L.F.Fieser and M.Fieser, Advanced Organic Chemistry、丸善、東京(1962年)など、多くの有機合成反応における成書を参考にすることができる。より具体的には、特開平7−135341号の実施例1〜2に示した方法などで合成することができる。
乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げる事ができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。本発明の一般式(VII)で表される化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物については、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加してもよい。
一般式(VII)で表わされる化合物は、乳剤層に使用するのが好ましいが、乳剤層とともに保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させてもよい。本発明の一般式(VII)で表わされる化合物の添加時期は増感色素の前後を問わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当たり、1×10-9〜5×10-2モル、さらに好ましくは1×10-8〜2×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤中に含有する。
以下に一般式(VIII−1)および(VIII−2)で表される化合物について詳細に説明する。一般式(VIII−1)において、Rb10、Rb11、Rb12およびRb13で表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばメチル、エチル、iso-プロピル。)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは7〜20。例えばフェニルメチル。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜10。例えばアリル。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜10。例えばメトキシ、エトキシ。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20。例えばアセチルアミノ。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばメタンスルホニルアミノ。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばメチルウレイド。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20。例えばメトキシカルボニルアミノ。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは7〜20。例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20。例えばフェニルオキシ。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは0〜20。例えばメチルスルファモイル。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばカルバモイル、メチルカルバモイル。)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばメチルチオ、カルボキシメチルチオ。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20。例えばフェニルチオ。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばメタンスルホニル。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜20。例えばメタンスルフィニル。)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは1〜20。例えばメチルアミノ。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは7〜20。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20。例えばアセチル、ベンゾイル。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20。例えばメトキシカルボニル。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは2〜20。例えばアセトキシ。)、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、複素環基(例えばピリジル、フリル、チエニル)などが挙げられる。また、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。
Rb10、Rb11、Rb12およびRb13で表される置換基として好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基である。
Rb10、Rb11、Rb12およびRb13のうち、好ましくは1個以上3個以下が水素原子であり、より好ましくは2個以上3個以下が水素原子である場合である。特に好ましくは、3個水素原子の場合である。Rb10とRb13は、同時にアルキル基の場合、全く同じ炭素数の置換基をとることはない。例えば、Rb10=t−C817、Rb13=n−C1531は有り得るが、同時にRb10、Rb13ともt−C817であることはない。同じ種類の置換基となる場合、Rb10とRb13の置換基の炭素数の差が、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上である。Rb11とRb12もRb10とRb13の場合と同様である。
一般式(VIII−1)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(VIII-1-a)であり、より好ましくは一般式(VIII-1-b)であり、特に好ましくは(VIII-1-c)で表される化合物である。
Figure 0003639296
式中、Rb31およびRb34は、一般式(VIII−1)のRb10及びRb13とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同じである。
Figure 0003639296
式中、Rb31は、一般式(VIII−1)のRb10と同義であり、好ましい範囲も同じである。
Figure 0003639296
式中、Rb70は、置換基を有してもよいアルキル基である。このアルキル基の有してもよい置換基としては、Rb31で表わされる置換基として挙げたものが適用できる。
一般式(VIII−2)において、Rb14、Rb15およびRb16で表される置換基としては、例えばRb10、Rb11、Rb12およびRb13で表される置換基が有してもよい置換基を挙げることができる。Rb14で表される置換基として好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基である。
Rb15で表される置換基として好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基である。
Rb16で表される置換基として好ましいものは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基である。
Zは、4〜6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。非金属原子としては好ましくは炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子であり、より好ましくは炭素原子、酸素原子であり、特に好ましくは炭素原子である。また、好ましい環員数は5または6であり、より好ましくは6員環である。この環上には置換基を有してもよく、置換基としては例えばRb14で表される置換基として挙げたものが適用できる。置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基である。これらの置換基はさらに置換基を有してもよい。
一般式(VIII−2)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(VIII-2-a)であり、より好ましくは一般式(VIII-2-b)で表される化合物である。
Figure 0003639296
式中、Rb14、Rb15およびRb16は、一般式(VIII−2)のそれらと同義であり、好ましい範囲も同じである。nは、1または2を表す。Rb71およびRb72は、それぞれアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基を表す。
Figure 0003639296
式中、Rb14、Rb15およびRb16は、一般式(VIII−2)のそれらと同義であり、好ましい範囲も同じである。Rb71は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基を表す。nは、好ましくは2である。Rb71およびRb72で表されるアルキル基およびアルケニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖または分岐である。また、好ましい炭素数は1〜30であり、より好ましくは1〜20である。アルキル基としては、例えばメチル、エチル、iso-プロピルが挙げられ、アルケニル基としてはアリルが挙げられる。Rb71およびRb72で表されるアルコキシ基は、アルキルの部分が直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、スピロクロマン類のようにRb71とRb72が環を形成してもよい。好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは1〜10である。例えばメトキシ、エトキシが挙げられる。
以下に一般式(VIII−1)および(VIII−2)で表される化合物の具体例を示すがこれらに限定されるものではない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
一般式(VIII-1)、一般式(VIII-2)で表される化合物は、例えば米国特許2,728,659号、同2,549,118号、同2,732,300号、ジャーナル オブ アメリカ ケミカルソサイエティ 111巻、20号、1989年、7932頁(Journal of American Chemical Society, 111, 20, 1989, 7932)、シンセシス、12巻、1995年、1549頁(Synthesis, 12, 1995, 1549)、Q. J. Pharm, Pharmacol., 17, 1944, 325、Chem. Pharm, Bull., 14, 1966, 1052、Chem. Pharm, Bull., 16, 1968, 853等に記載されている方法によって合成することができる。
また、一般式(VIII-1)、一般式(VIII-2)で表される化合物は、例えば米国特許2,421,811、同2,421,812,同2,411,967、同2,681,371、J. Amer. Chem. Soc., 65, 1943, 1276、 J. Amer. Chem. Soc., 65, 1943, 1281、J. Amer. Chem. Soc., 63, 1941, 1887、J. Amer. Chem. Soc., 107, 24, 1985, 7053、Helv. Chim. Acta., 21, 1938, 939、Helv. Chim. Acta., 28, 1945, 438、Chem. Ber., 71, 1938, 2637、J. Org. Chem., 4, 1939, 311、J. Org. Chem., 6, 1941, 229、J. Chem. Soc., 1938, 1382、Helv. Chim. Acta., 21, 1931, 1234、Tetrahedron Lett., 33, 26, 1992, 3795、J. Chem. Soc. Perkin. Trans. 1, 1981, 1437、Synthesis, 6, 1995, 693等に記載されている方法によって合成することができる。
本発明の式(VIII−1)および(VIII−2)で表される化合物は公知の分散法により乳化分散物として添加することが好ましい。乳化分散する場合、色素形成カプラーまたは高沸点有機溶媒など写真業界で一般的に用いられる添加剤と共存させることができる。また微結晶分散物として添加することもできる。
本発明の式(VIII−1)および(VIII−2)で表される化合物の添加量は添加乳剤層のハロゲン化銀1モル当たり、5×10-4〜1モル、さらに好ましくは1×10-3〜5×10-1モルである。
一般式(VII)と一般式(VIII−1)または(VIII−2)の化合物の組み合わせでは、一般式(VII−F)と一般式(VIII−1−b)もしくは(VIII−2)で表される化合物の組み合わせが好ましい。
本発明において、一般式(VII)で表される化合物、一般式(VIII−1)および(VIII−2)で表される化合物からなる群から選択される化合物、並びに一般式(IX−1)、(IX−2)および(X)で表される化合物からなる群から選択される化合物は、それぞれ同一層に添加することも別層に添加することもできる。
一般式(IX−1)で表される化合物をさらに詳細に説明する。式中、アルキル基とは、直鎖、分岐、環状のアルキル基であり、置換基を有していてもよい。一般式(IX−1)において、Rc1はアルキル基(好ましくは炭素数1〜13のアルキル基で例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)、置換又は無置換のアルケニル基(好ましくは炭素数2〜14のアルケニル基で例えば、アリル、2−ブテニル、イソプロペニル、オレイル、ビニル)、置換又は無置換のアリール基(好ましくは炭素数6〜14のアリール基で例えばフェニル、ナフチル)を表す。Rc2は水素原子またはRc1で示した基を表す。Rc3は、水素原子または炭素数1〜10の置換または無置換のアルキル基(例えばメチル、i−ブチル、シクロヘキシル)または置換又は無置換のアルケニル基(例えばビニル、i−プロペニル)を表す。Rc1、Rc2およびRc3に含まれる炭素数の総和は20以下であり、12以下がより好ましい。Rc1〜Rc1が置換基を有する場合の置換基としては例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基、シリルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアミノ基、複素環基などが挙げられる。Rc1とRc3もしくはRc2とRc3が互いに結合して、5〜7員環を形成しても良い。
一般式(IX−1)で表される化合物のうち、化合物の炭素数の総和が20以下のものが好ましく、12以下がさらに好ましい。
以下に本発明の一般式(IX−1)で表される化合物の具体例を挙げるが、これによって本発明が制限されることはない。
Figure 0003639296
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本発明において用いるこれらの化合物は、J. Org. Chem., 27, 4054('62), J. Amer. Chem. Soc., 73, 2981('51)、特公昭49−10692号等に記載の方法またはそれに準じた方法によって容易に合成することができる。
本発明において、一般式(IX−1)で表される化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒または、これらの混合溶媒に溶解して添加しても、乳化分散により添加してもよい。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がるものについては、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良いし、界面活性剤を共存させることもできる。
本発明において、一般式(IX−1)で表される化合物は好ましくは乳剤調製時に添加される。乳剤調製時に添加する場合、その工程中のいかなる場合に添加することも可能であり、その例を挙げると、ハロゲン化銀の粒子形成工程、脱塩工程の開始前、脱塩工程、化学熟成の開始前、化学熟成の工程、完成乳剤調製前の工程などを挙げる事ができる。またこれらの工程中の複数回にわけて添加することもできる。好ましくは化学増感前、化学増感中または化学増感終了後に添加される。また塗布液を塗布する前に添加することもできるし、塗布時に隣接層または他層に添加して該乳剤層に拡散させて添加することもできる。さらには乳化物中に分散溶解させたものを該乳剤と混合して用いることもできる。
本発明において、一般式(IX−1)で表される化合物の添加量は、好ましい添加量は上述した添加法および添加する化合物種に大きく依存するが、感光性ハロゲン化銀1モル当たり1×10-6モル〜5×10-2モルが好ましく、1×10-5モル〜5×10-3モルがより好ましい。
次に本発明の一般式(IX−2)で表わされる化合物について詳細に説明する。G1、およびG2は水素原子、又は1価の置換基を表す。また、互いに結合して環を形成しても良い。1価の置換基としてはいずれでも良いが、好ましくは前述のYyが挙げられる。好ましくは下記一般式(A-I)、(A-II)、(A-III)、(A-IV)、及び(A-V)から選ばれた化合物である。
Figure 0003639296
一般式(A−I)において、Rd1はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基を表わし、Rd2は水素原子またはRd1で示した基を表わす。ただし、Rd1がアルキル基、アルケニル基またはアリール基の時、Rd2はアシル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基である。Rd1とRd2が互いに結合して、5〜7員環を形成しても良い。一般式(A−II) において、Xは複素環基を表わし、Re1はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表わす。XとRe1が互いに結合して、5〜7員環を形成しても良い。一般式(A−III)において、Yは−N=C−とともに5員環を形成するのに必要な非金属原子群を表わす。Yはさらに−N=C−基とともに6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表わし、かつ−N=C−基の炭素原子と結合するYの末端が-N(Rf1)-、-C(Rf2)(Rf3)-、-C(Rf4)=、−O−、−S−の中から選択された基(各基の左側で−N=C−の炭素原子と結合する)を表わす。Rf1〜Rf4は水素原子または置換基を表わす。一般式(A−IV)において、Rg1およびRg2は同一でも異なってもよく、それぞれアルキル基またはアリール基を表わす。ただし、Rg1とRg2が同時に無置換アルキル基であって、かつRg1とRg2が同一の基である時、Rg1とRg2は炭素数8以上のアルキル基である。一般式(A−V)において、Rh1およびRh2は同一でも異なってもよく、それぞれ、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル基またはアリール基を表わす。ただし、Rh1とRh2は同時に-NHRh3(Rh3はアルキル基またはアリール基)であることはない。Rd1とRd2、XとRe1が互いに結合して、5〜7員環を形成しても良い。本発明者らは、感材の保存による写真性の変動や撮影後、現像処理までの写真性の変動の原因の1つに酸素が関係しているこ
とを見い出した。感材中の何らかの化合物が酸素と反応し、これが写真性に影響を与えるが、上記一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物が、これを捕捉しているのではないかと推定している。ゼラチン塗布量を増やすことによって写真性の変動が大きくなることがある。これは、ゼラチン中の微量な不純物などが酸素と反応し、これが写真性に影響を与えると推定している。また、一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物によって、圧力耐性を向上させることができることがわかった。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
一般式(A−I)〜(A−V)で表わされる化合物をさらに詳細に説明する。
これらの式において、アルキル基とは、直鎖、分岐、環状のアルキル基であり、置換基を有していてもよい。一般式(A−I)において、Rd1はアルキル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル基で例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、シクロヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜36のアルケニル基で例えば、アリル、2−ブテニル、イソプロペニル、オレイル、ビニル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40のアリール基で例えばフェニル、ナフチル)、アシル基(好ましくは炭素数2〜36のアシル基で例えばアセチル、ベンゾイル、ピバロイル、α−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル、ミリストイル、ステアロイル、ナフトイル、m−ペンタデシルベンゾイル、イソニコチノイル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル又は炭素数6〜36のアリールスルホニル基で例えばメタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40のアルキル又は炭素数6〜40のアリールスルフィニル基で例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル)、カルバモイル基(N−置換カルバモイル基をも含み、好ましくは炭素数0〜40のカルバモイル基で例えばN−エチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−ブチル−N−フェニルカルバモイル)、スルファモイル基(N−置換スルファモイル基をも含み、好ましくは炭素数1〜40のスルファモイル基で例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシル−N−フェニルスルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜36のアルコキシカルボニル基で例えばメトキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、イソアミルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)またはアリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40のアリールオキシカルボニル基で、例えばフェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル)を表わす。Rd2は水素原子またはRd1で示した基を表わす。
一般式(A−II)において、Xは、複素環基(環構成原子として窒素原子、イオウ原子、酸素原子またはリン原子の少なくとも一つ有する5〜7員環状の複素環を形成する基であり、複素環の結合位置(1価基の位置)は好ましくは炭素原子であり、例えば1,3,5−トリアジン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、ピリジン−2−イル、ピラジニル、ピリミジニル、プリニル、キノリル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、チエニル、フリル、イミダゾリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフリル、モルホリニル、フォスフィノリン−2−イル)を表わす。Re1は一般式(A−I)のRd1と同じ意味でのアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表わす。
一般式(A−III)において、Yは−N=C−とともに5員環を形成するのに必要な非金属原子群(例えば形成される環基がイミダゾリル、ベンズイミダゾリル、1,3−チアゾール−2−イル、2−イミダゾリン−2−イル、プリニル、3H−インドール−2−イル)を表わす。Yはさらに−N=C−基とともに6員環を形成するのに必要な非金属原子群であって、かつ−N=C−基の炭素原子と結合するYの末端が-N(Rf1)-、-C(Rf2)(Rf3)-、-C(Rf4)=、−O−、−S−の中から選択された基(各基の左側で−N=C−の炭素原子と結合する)を表わす。Rf1〜Rf4は同一でも異なっても良く、水素原子または置換基(例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ハロゲン原子)を表わす。Yによって形成される6員環基としては例えばキノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、1,3,5−トリアジン−5−イル、6H−1,2,5−チアジアジン−6−イルが挙げられる。
一般式(A−IV)において、Rg1およびRg2はアルキル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル基で、例えばメチル、エチル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、t−オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、ベンジル)またはアリール基(好ましくは炭素数6〜40のアリール基で、例えばフェニル、ナフチル)を表わす。ただし、Rg1とRg2が同時に無置換のアルキル基であり、かつRg1とRg2が同一の基である時、Rg1とRg2は炭素数8以上のアルキル基である。
一般式(A−V)において、Rh1およびRh2は、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜50のアルキルアミノ基で、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、t−オクチルアミノ、ドデシルアミノ、ヘキサデシルアミノ、ベンジルアミノ、ベンジルブチルアミノ)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜50のアリールアミノ基で、例えばフェニルアミノ、フェニルメチルアミノ、ジフェニルアミノ、ナフチルアミノ)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36のアルコキシ基で、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、シクロヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、オクチルオキシ、トリデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40のアリールオキシ基で、例えばフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜36のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオ、ブチルチオ、シクロヘキシルチオ、ベンジルチオ、t−オクチルチオ、ドデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜40のアリールチオ基で、例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36のアルキル基で、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、i−アミル、sec −ヘキシル、t−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜40のアリール基で、例えばフェニル、ナフチル)を表わす。ただし、Rh1とRh2は同時に−NHR(Rはアルキル基またはアリール基)であることはない。
Rd1とRd2、XとRe1が互いに結合して5〜7員環を形成しても良く、例えばスクシンイミド環、フタルイミド環、トリアゾール環、ウラゾール環、ヒダントイン環、2−オキソ−4−オキサゾリジノン環が挙げられる。一般式(A−I)〜(A−V)で表わされる化合物の各基はさらに置換基で置換されていてもよい。これらの置換基としては例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、ヒドロキシアミノ基などが挙げられる。
一般式(A−I)において、Rd2が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基があり、かつRd1がアシル基、スルホニル基、スルフィニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基であるものが好ましく、さらに好ましくは、Rd2がアルキル基、アルケニル基であり、かつRd1がアシル基、スルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基である化合物である。Rd2がアルキル基で、かつRd1がアシル基であるものが最も好ましい。
一般式(A−II)において、Re1はアルキル基、アルケニル基ものが好ましく、アルキル基のものはさらに好ましい。一方、一般式(A−II)は下記一般式(A−II−1)で表わされるものが好ましく、さらに好ましくはXは1,3,5−トリアジン−2−イルであり、下記一般式(A−II−2)で表わされる化合物である場合が最も好ましい。
Figure 0003639296
一般式(A−II−1)において、Re1は一般式(A−II)のRe1を表わし、X1は5〜6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表わす。一般式(A−II−1)で表わされる化合物のうち、X1が5〜6員ヘテロ芳香環を形成する場合がより好ましい。
Figure 0003639296
一般式(A−II−2)において、Re1は一般式(A−II)のRe1と同義である。
Re2およびRe3は同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子または置換基を表わす。一般式(A−II−2)で表わされる化合物のうち、Re2およびRe3がヒドロキシアミノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル基またはアリール基である場合が特に好ましい。
一般式(A−III)で表わされる化合物のうち、Yが5員環を形成するのに必要な非金属原子群である場合が好ましく、−N=C−基の炭素原子と結合するYの末端原子が窒素原子である場合さらに好ましい。Yがイミダゾリン環を形成する場合が最も好ましい。このイミダゾリン環はベンゼン環で縮環されていてもよい。
一般式(A−IV)で表わされる化合物のうち、Rg1およびRg2がアルキル基のものが好ましい。一方、一般式(A−V)においてはRh1およびRh2がヒドロキシアミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基から選ばれた基が好ましい。特に好ましくはRh1がヒドロキシルアミノ基であり、かつRh2がアルキルアミノ基の場合である。
一般式(A−I)〜(A−V)で表わされる化合物のうち、化合物の炭素数の総和が15以下のものは添加層以外の層にも作用させる点で好ましく、逆に化合物の炭素数の総和が16以上のものは添加層にのみ作用させる目的で好ましい。一般式(A−I)〜(A−V)で表わされる化合物のうち、一般式(A−I)、(A−II)、(A−IV) 、(A−V)で表わされるものが好ましく、より好ましくは一般式(A−I)、(A−IV)、(A−V)で表わされるものであり、さらに好ましくは一般式(A−I)、(A−V)で表わされるものである。以下に本発明の一般式(A−I)〜(A−V)で表わされる化合物の具体例を挙げるが、これによって本発明が制限されることはない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
これらの化合物と、前記一般式(A−I)〜(A−V)との対応関係は、以下の通り。
一般式(A−I):A−33〜A−55
一般式(A−II):A−5〜A−7、A−10、A−20、A−30
一般式(A−III):A−21〜A−29、A−31、A−32
一般式(A−IV):A−8、A−11、A−19
一般式(A−V):A−1〜A−4、A−9、A−12〜A−18
本発明のこれらの化合物は、J. Org. Chem., 27, 4054('62), J. Amer. Chem. Soc., 73, 2981('51),特公昭49−10692号等に記載の方法またはそれに準じた方法によって容易に合成することができる。本発明において、一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物は、水、メタノール、エタノールなどの水可溶性溶媒または、これらの混合溶媒に溶解して添加しても、乳化分散により添加してもよい。更に、乳剤調製時にあらかじめ添加しても良い。水に溶解する場合、pHを高くまたは低くした方が、溶解度が上がるものについては、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添加しても良い。本発明において、一般式(A−I)〜(A−V)で表される化合物のうち2種類以上を併用しても良い。たとえば、水可溶性のものと油溶性のものを併用することは、写真性能上有利である。
化合物(A−I)〜(A−V)の塗布量は、10-4mmol/m2〜10mmol/m2が好ましく、10-3mmol/m2〜1mmol/m2がより好ましい。
次に、一般式(X)で表される化合物について説明する。一般式(X)において、Rb17、Rb18、およびRb19は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または複素環基、NRb21Rb22を表し、Jは−CO−または−SO2−を表し、nは0または1を表す。Rb21は水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または複素環基を表し、Rb22は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または複素環基を表す。
Rb17、Rb18およびRb19においてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は、好ましくは炭素数1〜30のものであって、特に炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基としては、たとえばメチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、アリル、プロパギル、ベンジルである。Rb17、Rb18およびRb19においてアリール基は、好ましくは炭素数6〜30のものであって、特に炭素数6〜12の単環または縮環のアリール基であって、例えばフェニル、ナフチルなどである。Rb17、Rb18およびRb19において複素環基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つを含む3〜10員環の飽和もしくは不飽和の複素環基である。これらは単環であっても、更に他の芳香環と縮合環を形成してもよい。複素環としては、好ましくは5〜6員環の芳香族複素環であり、たとえば、ピリジル、イミダゾリル、キノリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジル、ピラゾリル、イソキノリル、チアゾリル、チエニル、フリル、ベンゾチアゾリルなどである。
Rb20において、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基はRb17、Rb18およびRb19と同義である。Rb20のNRb21Rb22において、Rb21およびRb22のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基はRb17、Rb18およびRb19と同義である。一般式(X)のRb17、Rb18、Rb19、Rb20、Rb21およびRb22で表される各基は前述の置換基Yyで置換されていてもよい。
一般式(X)において、Rb17とRb18、Rb17とRb19、Rb19とRb20、またはRb20とRb18は連結して環を形成してもよい。
一般式(X)において、nが0のとき、好ましくはRb17、Rb18およびRb19は炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数2から10のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基であり、Rb20は水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数2から10のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基であり、より好ましくはRb17、Rb18およびRb19は炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数2から10のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基であり、Rb20は水素原子である。nが1のとき、好ましくはRb17、Rb18およびRb19は水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数2から10のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基であり、Jは−CO−であり、Rb20は水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数2から10のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基、NRb21Rb22であり、Rb21は水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、炭素数2から10のアルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基であり、Rb22は水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から10のアルケニル基、アルキニル基、炭素数6から10のアリール基、含窒素複素環基であり、より好ましくはRb17は炭素数6から10のアリール基であり、Rb18、Rb19は水素原子であり、Jは−CO−であり、Rb20はNRb21Rb22であり、Rb21は水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1から10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
以下に一般式(X)で表される具体的な化合物を示すが、本発明はこれらに限られるものでない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
一般式(X)で表される化合物は、市販の薬品として、あるいは市販の薬品から既知の方法によって合成される化合物として、容易に入手可能である。
一般式(X)で表される化合物は好ましくは塗布液を塗布する前または塗布時乳剤層の隣接層または他層に添加して該乳剤層に拡散させて添加される。乳剤調製時に化学増感前、化学増感中または化学増感終了後に添加することもできる。好ましい添加量は上述した添加法および添加する化合物種に大きく依存するが、一般には感光性ハロゲン化銀1モル当たり5×10-6モルから0.05モル、より好ましくは1×10-5モルから0.005モルが用いられる。上記の添加量より多い場合、カブリの増加を招くなどの悪影響が現れ好ましくない。一般式(X)で表される化合物は水可溶性の溶媒に溶解して添加することが好ましい。酸または塩基によってpHを低くしても高くしてもよく、あるいは界面活性剤を共存してもよい。また乳化分散物として高沸点有機溶媒に溶解させて添加することもできるし、公知の分散法で微結晶分散体として添加してもよい。一般式(X)の化合物は2種以上併用して用いてもよい。2種以上併用する場合、同一層に添加してもよく、別々の層に添加してもよい。
ここで、前記一般式(XI)を更に詳細に説明する。
前記一般式(XI)中、X2及びY2は、それぞれ独立に、水酸基、−NRi23Ri24、又は−NHSO2Ri25を表す。Ri21及びRi22は、それぞれ独立に、水素原子又は任意の置換基を表す。該任意の置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えばメチル、エチル、オクチル、ヘキサデシル、t−ブチル)、アリール基(炭素数6〜20のものが好ましく、例えばフェニル、p−トリル)、アミノ基(炭素数0〜20のものが好ましく、例えば無置換アミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ヘキサデシルアミノ)、アミド基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、オクタデカノイルアミノ、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシ基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、ヘキサデシロキシ)、アルキルチオ基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えばメチルチオ、ブチルチオ、オクタデシルチオ)、アシル基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えばアセチル、ヘキサデカノイル、ベンゾイル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えば無置換カルバモイル、N−ヘキシルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜20のものが好ましく、例えばメトキシカルボニル、オクチロキシカルボニル)、水酸基、ハロゲン原子(F、Cl、Brなど)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基などが挙げられる。
これらの置換基は、更に別の置換基(例えばYyとして挙げたもの)により置換されていてもよい。
また、Ri21とRi22とは、互いに結合して炭素環や複素環(いずれも好ましくは5〜7員環)を形成していてもよい。Ri23及びRi24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜10のものが好ましく、例えばエチル、ヒドロキシエチル、オクチル)、アリール基(炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル、ナフチル)又は複素環基(炭素数2〜10のものが好ましく、例えば2−フラニル、4−ピリジル)を表し、これらは更に置換基で置換されていてもよい。
Ri23とRi24とは、互いに結合して含窒素複素環(好ましくは5〜7員環)を形成していてもよい。Ri25は、アルキル基(炭素数1〜20のものが好ましく、例えばエチル、オクチル、ヘキサデシル)、アリール基(炭素数6〜20のものが好ましく、例えばフェニル、p−トリル、4−ドデシロキシフェニル)、アミノ基(炭素数0〜20のものが好ましく、例えばN,N−ジエチルアミノ、N,N−ジフェニルアミノ、モルホリノ)又は複素環基(炭素数2〜20のものが好ましく、例えば3−ピリジル)を表し、これらは更に置換されていてもよい。
前記一般式(XI)中、X2としては、−NRi23Ri24又は−NHSO2Ri25が好ましい。Ri21及びRi22としては、水素原子、アルキル基又はアリール基が好ましく、これら互いに結合して炭素環や複素環を形成していてもよい。なお、これらの基の詳細は、Ri23及びRi24と同様である。
以下に一般式(XI)で表される具体的な化合物を示すが、本発明はこれらに限られるものではない。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
一般式(VI)〜(XI)で表される化合物の中で、一般式(IX−1)、(IX−2)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VII)、(VI)、(X)で表される化合物が好ましく、一般式(IX−1)、(IX−2)、(VIII−1)、(VIII−2)、(VII)で表される化合物がより好ましく、一般式(IX−1)、(IX−2)、(VIII−1)、(VIII−2)で表される化合物がさらに好ましい。特に好ましいのは一般式(IX−1)、(IX−2)で表される化合物である。
本発明の感光性層は、支持体上に一層もしくはそれ以上設けることができる。また、支持体の片側に限らず両面に設けることができる。本発明の感光性層は、黒白ハロゲン化銀写真感光材料(例えば、Xレイ感材、リス型感材、黒白撮影用ネガフィルムなど)やカラー写真感光材料(例えば、カラーネガフィルム、カラー反転フィルム、カラーペーパー等)に用いることができる。さらに、拡散転写用感光材料(例えば、カラー拡散転写要素、銀塩拡散転写要素)、熱現像感光材料(黒白、カラー)等にも用いることができる。
以下、カラー写真感光材料について詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
感光材料は、支持体上に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよく、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感色性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挾まれたような設置順をもとり得る。
上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設けてもよい。
該中間層には、特開昭61−43748号、同59−113438号、同59−113440号、同61−20037号、同61−20038号に記載されるようなカプラー、DIR化合物が含まれていてもよく、通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよい。
各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号あるいは英国特許第923,045号に記載されるように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いることができる。通常は、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤層の間には非感光性層が設けられていてもよい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
具体例として支持体から最も遠い側から、例えば低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
また特公昭55−34932号公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号明細書に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に設置することもできる。
また特公昭49−15495号に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。
また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
上記のように、それぞれの感光材料の目的に応じて種々の層構成、配列を選択することができる。
本発明に関する感光材料には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ・ディスクロージャー Item 17643(1978年12月)、同 Item 18716(1979年11月)および同 Item 308119(1989年12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表にまとめて示した。
添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1 化学増感剤 23頁 648 頁右欄 996 頁
2 感度上昇剤 同 上
3 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄〜 996 右〜998 右
強色増感剤 649 頁右欄
4 増 白 剤 24頁 647 頁右欄 998 右
5 かぶり防止剤、 24〜25頁 649 頁右欄 998 右〜1000右
および安定剤
6 光吸収剤、 25〜26頁 649 頁右欄〜 1003左〜1003右
フィルター染料、 650 頁左欄
紫外線吸収剤
7 ステイン防止剤 25頁右欄 650 左〜右欄 1002右
8 色素画像安定剤 25頁 1002右
9 硬 膜 剤 26頁 651 頁左欄 1004右〜1005左
10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右
11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 1006左〜1006右
12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左
表面活性剤
13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左
防 止 剤
14 マット剤 1008左〜1009左
また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止するために、米国特許4,411,987号や同第4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加することが好ましい。
本発明には種々のカラーカプラーを使用することができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスクロージャーNo.17643、VII−C〜G、および同No.307105、VII−C〜Gに記載された特許に記載されている。
イエローカプラーとしては、例えば米国特許第3,933,501号、同第4,022,620号、同第4,326,024号、同第4,401,752号、同第4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許第1,425,020号、同第1,476,760号、米国特許第3,973,968号、同第4,314,023号、同第4,511,649号、欧州特許第249,473A号、等に記載のものが好ましい。
マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特許第4,310,619号、同第4,351,897号、欧州特許第73,636号、米国特許第3,061,432号、同第3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許第4,500,630号、同第4,540,654号、同第4,556,630号、国際公開WO88/04795号に記載のものが特に好ましい。
シアンカプラーとしては、フェノール系及びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,228,233号、同第4,296,200号、同第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号、同第3,758,308号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許第121,365A号、同第249,453A号、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,775,616号、同第4,451,559号、同第4,427,767号、同第4,690,889号、同第4,254,212号、同第4,296,199号、特開昭61−42658号等に記載のものが好ましい。
ポリマー化された色素形成カプラーの典型例は、米国特許第3,451,820号、同第4,080,211号、同第4,367,282号、同第4,409,320号、同第4,576,910号、英国特許第2,102,137号、欧州特許第341,188A号に記載されている。
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,570号、西独特許(公開)第3,234,533号に記載のものが好ましい。
発色色素の不要吸収を補正するためのカラード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo.17643のVII−G項、同No.307105のVII−G項、米国特許第4,163,670号、特公昭57−39413号、米国特許第4,004,929号、同第4,138,258号、英国特許第1,146,368号に記載のものが好ましい。また、米国特許第4,774,181号に記載のカップリング時に放出された蛍光色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、米国特許第4,777,120号に記載の現像主薬と反応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基として有するカプラーを用いることも好ましい。
カップリングに伴って写真的に有用な残基を放出する化合物もまた本発明で好ましく使用できる。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD17643、VII−F項及び同No.307105、VII−F項に記載された特許、特開昭57−151944号、同57−154234号、同60−184248号、同63−37346号、同63−37350号、米国特許第4,248,962号、同第4,782,012号に記載されたものが好ましい。
現像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカプラーとしては、英国特許第2,097,140号、同第2,131,188号、特開昭59−157638号、同59−170840号に記載のものが好ましい。また、特開昭60−107029号、同60−252340号、特開平1−44940号、同1−45687号に記載の現像主薬の酸化体との酸化還元反応により、かぶらせ剤、現像促進剤、ハロゲン化銀溶剤等を放出する化合物も好ましい。
その他、本発明の感光材料に用いることのできる化合物としては、米国特許第4,130,427号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同第4,338,393号、同第4,310,618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950号、特開昭62−24252号等に記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A号、同第313,308A号に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、RD.No.11449、同24241、特開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許第4,555,477号等に記載のリガンド放出カプラー、特開昭63−75747号に記載のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許第4,774,181号に記載の蛍光色素を放出するカプラーが挙げられる。
本発明に使用するカプラーは、種々の公知の分散方法により感光材料に導入できる。
水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は、例えば、米国特許第2,322,027号に記載されている。
水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が175℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)フタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート);リン酸またはホスホン酸のエステル類(例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロプロピルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスホネート);安息香酸エステル類(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート);アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド、N−テトラデシルピロリドン);アルコール類またはフェノール類(例えば、イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール);脂肪族カルボン酸エステル類(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルアゼレート、グリセロールトリブチレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート);アニリン誘導体(例えば、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン);炭化水素類(例えば、パラフィン、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン)を例示することができる。また補助溶剤としては、例えば、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上かつ約160℃以下の有機溶剤が使用でき、典型例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミドが挙げられる。
ラテックス分散法の工程、効果および含浸用ラテックスの具体例は、例えば、米国特許第4,199,363号、西独特許出願(OLS)第2,541,274号および、同第2,541,230号に記載されている。
本発明のカラー感光材料中には、フェネチルアルコールや特開昭63−257747号、同62−272248号、および特開平1−80941号に記載の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添加することが好ましい。
本発明は種々のカラー感光材料に適用することができる。例えば、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよびカラー反転ペーパーを代表例として挙げることができる。本発明は、カラーデュープ用フィルムにも特に好ましく使用できる。
本発明に使用できる適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されている。
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2が30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。ここでの膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味する。また、膜膨潤速度T1/2は当該技術分野において公知の手法に従って測定することができ、例えばエー・グリーン(A.Green)らによりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng.)、19巻、2号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。なお、T1/2は発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、飽和膜厚の1/2に到達するまでの時間と定義する。
膜膨潤速度T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、例えば、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
本発明に従ったカラー写真感光材料は、前述のRD.No.17643の28〜29頁、同No.18716の651頁左欄〜右欄、および同No.307105の880〜881頁に記載された通常の方法によって現像処理することができる。
本発明の感光材料の現像処理に用いる発色現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現像主薬としては、アミノフェノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、その代表例としては3−メチル−4−アミノ−N,Nジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−β−メトキシエチルアニリン、及びこれらの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの中で、特に、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリンの硫酸塩が好ましい。これらの化合物は目的に応じ2種以上併用することもできる。
発色現像液は、例えば、アルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、塩化物塩、臭化物塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類もしくはメルカプト化合物のような現像抑制剤またはかぶり防止剤を含むのが一般的である。また必要に応じて、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、N,N−ビスカルボキシメチルヒドラジンの如きヒドラジン類、フェニルセミカルバジド類、トリエタノールアミン、カテコールスルホン酸類の如き各種保恒剤;エチレングリコール、ジエチレングリコールのような有機溶剤;ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム塩、アミン類のような現像促進剤;色素形成カプラー、競争カプラー、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような補助現像主薬;粘性付与剤;アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカルボン酸に代表されるような各種キレート剤を用いることができる。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリル三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N,N−テトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)及びそれらの塩を代表例として挙げることができる。
また、反転処理を実施する場合は、通常黒白現像を行なってから発色現像する。この黒白現像液には、例えば、ハイドロキノンのようなジヒドロキシベンゼン類、例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような3−ピラゾリドン類、または例えば、N−メチル−p−アミノフェノールのようなアミノフェノール類の公知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせて用いることができる。これらの発色現像液及び黒白現像液のpHは、9〜12であることが一般的である。また、これらの現像液の補充量は、処理するカラー写真感光材料にもよるが、一般に感光材料1平方メートル当たり3L以下であり、補充液中の臭化物イオン濃度を低減させておくことにより500mL以下にすることもできる。補充量を低減する場合には、処理液の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。
処理槽での写真処理液と空気との接触面積は、以下に定義する開口率で表わすことができる。即ち、
開口率=[処理液と空気との接触面積(cm2)]÷[処理液の容量(cm3)]
上記の開口率は0.1以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05である。このように開口率を低減させる方法としては、処理槽の写真処理液面に、例えば浮き蓋のような遮蔽物を設ける方法に加えて、特開平1−82033号に記載された可動蓋を用いる方法、特開昭63−216050号に記載されたスリット現像処理方法を挙げることができる。開口率を低減させることは、発色現像及び黒白現像の両工程のみならず、後続の諸工程、例えば、漂白、漂白定着、定着、水洗、安定化の全ての工程において適用することが好ましい。また、現像液中の臭化物イオンの蓄積を抑える手段を用いることにより、補充量を低減することもできる。
発色現像処理の時間は通常2〜5分の間で設定されるが、高温高pHとし、かつ発色現像主薬を高濃度に使用することにより、更に処理時間の短縮を図ることもできる。
発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理される。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理の迅速化を図るため、漂白処理後に漂白定着処理する処理方法でもよい。さらに、二槽の連続した漂白定着浴で処理すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、又は漂白定着処理後に漂白処理することも目的に応じ任意に実施できる。漂白剤としては、例えば、鉄(III)のような多価金属の化合物、過酸類(特に、過硫酸ソーダは映画用カラーネガフィルムに適する)、キノン類、ニトロ化合物が用いられる。代表的漂白剤としては、鉄(III)の有機錯塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸のようなアミノポリカルボン酸類との錯塩、または、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸との錯塩を用いることができる。これらのうち、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯塩、及び1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)錯塩をはじめとするアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩は、迅速処理と環境汚染防止の観点から好ましい。さらに、アミノボリカルボン酸鉄(III)錯塩は、漂白液においても、漂白定着液においても特に有用である。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩を用いた漂白液又は漂白定着液のpHは通常4.0〜8であるが、処理の迅速化のためにさらに低いpHで処理することもできる。
漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴には、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されている:例えば、米国特許第3,893,858号、西独特許第1,290,812号、同第2,059,988号、特開昭53−32736号、同53−57831号、同53−37418号、同53−72623号、同53−95630号、同53−95631号、同53−104232号、同53−124424号、同53−141623号、同53−18426号、リサーチ・ディスクロージャーNo.17129号(1978号7月)に記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物;特開昭51−140129号に記載のチアゾリジン誘導体;特公昭45−8506号、特開昭52−20832号、同53−32735号、米国特許第3,706,561号に記載のチオ尿素誘導体、西独特許第1,127,715号、特開昭58−16235号に記載の沃化物塩;西独特許第966,410号、同第2,748,430号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特公昭45−8836号に記載のポリアミン化合物;その他特開昭49−40943号、同49−59644号、同53−94927号、同54−35727号、同55−26506号、同58−163940号記載の化合物;臭化物イオン等が使用できる。なかでも、メルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物が促進効果が大きい観点で好ましく、特に米国特許第3,893,858号、西独特許第1,290,812号、特開昭53−95630号に記載の化合物が好ましい。更に、米国特許第4,552,884号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白促進剤は感材中に添加してもよい。撮影用のカラー感光材料を漂白定着するときに、これらの漂白促進剤は特に有効である。
漂白液や漂白定着液には上記の化合物の他に、漂白ステインを防止する目的で有機酸を含有させることが好ましい。特に好ましい有機酸は、酸解離定数(pKa)が2〜5である化合物で、具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸を挙げることができる。
定着液や漂白定着液に用いられる定着剤としては、例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩を挙げることができる。このなかではチオ硫酸塩の使用が一般的であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用できる。また、チオ硫酸塩と、例えば、チオシアン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素の併用も好ましい。定着液や漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、カルボニル重亜硫酸付加物あるいは欧州特許第294,769A号に記載のスルフィン酸化合物が好ましい。更に、定着液や漂白定着液には、液の安定化の目的で、各種アミノポリカルボン酸類や有機ホスホン酸類の添加が好ましい。
本発明において、定着液または漂白定着液には、pH調整のためにpKaが6.0〜9.0の化合物、好ましくはイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールの如きイミダゾール類を0.1〜10モル/L添加することが好ましい。
脱銀工程の時間の合計は、脱銀不良が生じない範囲で短い方が好ましい。好ましい時間は1分〜3分、更に好ましくは1分〜2分である。また、処理温度は25℃〜50℃、好ましくは35℃〜45℃である。好ましい温度範囲においては脱銀速度が向上し、かつ処理後のステイン発生が有効に防止される。
脱銀工程においては、撹拌ができるだけ強化されていることが好ましい。撹拌強化の具体的な方法としては、特開昭62−183460号に記載の感光材料の乳剤面に処理液の噴流を衝突させる方法や、特開昭62−183461号に回転手段を用いて撹拌効果を上げる方法が挙げられる。更には、液中に設けられたワイパーブレードと乳剤面を接触させながら感光材料を移動させ、乳剤表面を乱流化することによってより撹拌効果を向上させる方法や、処理液全体の循環流量を増加させる方法が挙げられる。このような撹拌向上手段は、漂白液、漂白定着液、定着液のいずれにおいても有効である。撹拌の向上は、乳剤膜中への漂白剤および、定着剤の供給を速め、結果として脱銀速度を高めるものと考えられる。また、前記の撹拌向上手段は漂白促進剤を使用した場合により有効であり、促進効果を著しく増加させたり、漂白促進剤により定着阻害作用を解消させることができる。
本発明の感光材料の現像に用いられる自動現像機は、特開昭60−191257号、同60−191258号、同60−191259号に記載の感光材料搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭60−191257号に記載のとおり、このような搬送手段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減でき、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このような効果は、各工程における処理時間の短縮や処理液補充量の低減に特に有効である。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えば、カプラーのような使用素材による)、用途、更には、例えば、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、順流のような補充方式、その他種々の条件に応じて広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers 第64巻、P.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で求めることができる。
前記文献に記載の多段向流方式によれば、水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の滞留時間の増加によりバクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着するというような問題が生じる。本発明のカラー感光材料の処理おいては、このような問題の解決策として、特開昭62−288838号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号に記載の、例えば、イソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウムのような塩素系殺菌剤、その他、例えば、ベンゾトリアゾールのような、堀口博著「防菌防黴剤の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
本発明の感光材料の処理おける水洗水のpHは、4〜9、好ましくは5〜8である。水洗水温および水洗時間も、例えば感光材料の特性、用途に応じて種々設定し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜10分、好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が選択される。更に、本発明の感光材料は、上記水洗に代えて、直接安定液によって処理することもできる。このような安定化処理においては、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号に記載の公知の方法はすべて用いることができる。
また、前記水洗処理に続いて、更に安定化処理する場合もある。その例として、撮影用カラー感光材料の最終浴として使用される、色素安定化剤と界面活性剤を含有する安定浴を挙げることができる。色素安定化剤としては、例えば、ホルマリンやグルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、N−メチロール化合物、ヘキサメチレンテトラミンあるいはアルデヒド亜硫酸酸付加物を挙げることができる。この安定浴にも、各種キレート剤や防黴剤を加えることができる。
上記水洗及び/又は安定液の補充に伴うオーバーフロー液は脱銀工程のような他の工程において再利用することもできる。
例えば自動現像機を用いた処理において、上記の各処理液が蒸発により濃縮化する場合には、水を加えて濃縮補正することが好ましい。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、処理の簡略化及び迅速化の目的で発色現像主薬を内蔵させても良い。内蔵させるためには、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例えば、米国特許第3,342,597号記載のインドアニリン系化合物、例えば、同第3,342,599号、リサーチ・ディスクロージャーNo.14,850及び同No.15,159に記載のシッフ塩基型化合物、同No.13,924に記載のアルドール化合物、米国特許第3,719,492号に記載の金属塩錯体、特開昭53−135628号に記載のウレタン系化合物を挙げることができる。
本発明のハロゲン化銀カラー感光材料は、必要に応じて、発色現像を促進する目的で、各種の1−フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵しても良い。典型的な化合物は、例えば、特開昭56−64339号、同57−144547号、および同58−115438号に記載されている。
本発明における各種処理液は、10℃〜50℃において使用される。通常は33℃〜38℃の温度が標準的であるが、より高温にして処理を促進し処理時間を短縮したり、逆により低温にして画質の向上や処理液の安定性の改良を達成することができる。
また、本発明のハロゲン化銀感光材料は、米国特許第4,500,626号、特開昭60−133449号、同59−218443号、同61−238056号、欧州特許第210,660A2号などに記載されている熱現像感光材料にも適用できる。
また、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、特公平2−32615号、実公平3−39784号などに記載されているレンズ付きフィルムユニットに適用した場合に、より効果を発現しやすく有効である。
[実施例]
以下に本発明の実施例を示す。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−A1からA11を調製した。
(Em−A1)
フタル化率97%のフタル化した分子量15000の低分子量ゼラチン31.7g,KBr31.7gを含む水溶液42.2Lを35℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,316.7gを含む水溶液1583mLとKBr,221.5g,分子量15000の低分子量ゼラチン52.7gを含む水溶液1583mLをダブルジェット法で1分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr52.8gを加えて,AgNO3,398.2gを含む水溶液2485mLとKBr,291.1gを含む水溶液2581mLをダブルジェット法で2分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr,47.8gを添加した。その後、40℃に昇温し、充分熟成した。熟成終了後、フタル化率97%のフタル化した分子量100000のゼラチン923gとKBr,79.2gを添加し、AgNO3,5103gを含む水溶液15947mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.4倍になるように流量加速して12分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。水洗した後、ゼラチンを加えpH,5.7、pAg,8.8、乳剤1kg当たりの銀換算の質量131.8g、ゼラチン質量64.1gに調整し、種乳剤とした。
フタル化率97%のフタル化ゼラチン46g、KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカー株式会社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加した後、AgNO3,144.5gを含む水溶液,410mLとKIを7mol%含むKBrとKIの混合水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位を−80mVに調整した後、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直ちに、AgNO3,66.4gを含む水溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに保った。水洗した後、PAGI法に従って測定した際に分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH,5.8、pAg,8.7に調整した。化合物11および12を添加した後、60℃に昇温した。増感色素11および12を添加した後に、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および化合物14を添加した。ここで、最適に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合物をハロゲン化銀1molあたり10-1から10-8molの添加量範囲から選択したことを意味する。
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得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、粒子側面近傍には一粒子当たり10本以上の転位線が観察された。
(Em−A2)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、(Em−A1)と同様にして乳剤Em−A2を得た。
(Em−A3)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外は(Em−A2)と同様にして乳剤Em−A3を得た。
(Em−A4)
前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカー株式会社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加した後、AgNO3,134.4gを含む水溶液,381mLとKBrの水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分間に渡り添加した。この時、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が7mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位を−80mVに調整した後、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直ちに、AgNO3,66.4gを含む水溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに保った。水洗した後、PAGI法に従って測定した際に分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH,5.8、pAg,8.7に調整した。その後の工程はEm-A1と同様の処理を施した。
得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、粒子側面近傍には一粒子当たり10本以上の転位線が観察された。
(Em−A5)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-A4と同様にして乳剤Em-A5を得た。
(Em−A6)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−Aと同様にして乳剤Em−A6を得た。
(Em−A7)
前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加した後、AgNO3,134.4gを含む水溶液,381mLとKBrの水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分間に渡り添加した。この時、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が7mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。40℃に降温し、KBrを添加して銀電位を−40mVに調整した後、p-ヨードアセトアミドベンゼンスルフォン酸ナトリウム(1水和物)を14.5g含む水溶液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液57mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御しながら沃化物イオンを生成せしめ、2分後に55℃まで15分かけて昇温してからpHを5.5にもどした。その後、AgNO3,66.4gを含む水溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加中はKBr水溶液で銀電位を−50mVに保った。水洗した後、PAGI法に従って測定した際に分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH,5.8、pAg,8.7に調整した。その後の工程はEm-A1と同様の処理を施した。
得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、粒子側面近傍には一粒子当たり10本以上の転位線が観察された。この時、側面近傍に存在する転位は、平板状粒子の頂点部近傍に局在していた。
(Em−A8)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg、および化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-A7と同様にして乳剤Em−A8を得た。
(Em−A9)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−Aと同様にして乳剤Em−A9を得た。
(Em−A10)
前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカー株式会社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加した後、AgNO3,134.4gを含む水溶液,381mLとKBrの水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分間に渡り添加した。この時、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が7mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,102.4gを含む水溶液330.8mLとKBr水溶液をダブルジェット法で60分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して最初の50分間は+20mVに、残りの10分間は120mVに保った。50℃に降温した後、0.3%KI水溶液55mLを10分かけて添加した。その後直ちに、AgNO314.2gを含む水溶液100mLとNaCl2.1g、KBr4.17g含む水溶液120mLとAgI微粒子0.0133molを含む溶液を同時に添加した。この際、添加されるAgNO31molに対して9.4×10-4molのK4[RuCN6]を存在させた。その後、増感色素を添加した(エピタキシャルの安定化のために)。水洗した後、PAGI法に従って分子量分布を測定した際に分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH,5.8、pAg,8.7に調整した。その後の工程はEm-A1と同様の処理を施した。
得られた粒子を走査電子顕微鏡で観察したところ、平板状粒子の頂点部にエピタキシャル層が付着していた。
(Em−A11)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg、および化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-A10と同様にして乳剤Em-A11を得た。
(Em−A12)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−A1と同様にして乳剤Em−A12を得た。
(Em−A13)
前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカー株式会社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した後、AgNO3,7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加した後、 反応容器外に設置した攪拌装置にAgNO3,134.4gを含む水溶液,762mLとKBr90.1gとKI9.46gおよび分子量20000のゼラチンを38.1g含んだ水溶液762mLを同時に添加してヨウ化銀含量7mol%のAgBrI微粒子乳剤(平均サイズ:0.015μm)を調製しながら反応容器内にこのAgBrI乳剤を90分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。82℃に昇温し,KBrを添加して銀電位を−80mVに調整した後、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直ちに,AgNO3,66.4gを含む水溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに保った。水洗した後、PAGI法に従って測定した際に分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH,5.8、pAg,8.7に調整した。その後の工程はEm-A1と同様の処理を行った。
得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、粒子側面近傍には一粒子当たり10本以上の転位線が観察された。
(Em−A14)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg、および化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em−A13と同様にして乳剤Em−A14を得た。
(Em−A15)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−3)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−A1と同様にして乳剤Em−A15を得た。
(Em−B)(低感度青感性層用乳剤)
低分子量ゼラチン0.96g,KBr,0.9gを含む水溶液1192mLを40℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO3,1.49gを含む水溶液37.5mLとKBrを1.5g含む水溶液37.5mLをダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。KBrを1.2g添加した後、75℃に昇温し熟成した。充分熟成した後、アミノ基をトリメリット酸で化学修飾した分子量100000のトリメリット化ゼラチン,30gを添加し、pHを7に調整した。二酸化チオ尿素6mgを添加した。AgNO3,29gを含む水溶液116mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3倍になるように流量加速して添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。AgNO3,110.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して30分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して0mVに保った。AgNO3,24.1gを含む水溶液96.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3分間に渡り添加した。この時、銀電位を0mVに保った。エチルチオスルホン酸ナトリウム,26mgを添加した後、55℃に降温し、KBr水溶液を添加し銀電位を−90mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,57gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添加した。この時、添加終了時の電位が+20mVになるようにKBr水溶液で調整した。Em−A1とほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−C)(低感度青感性層用乳剤)
1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン1.02g,KBr0.97gを含む水溶液1192mLを35℃に保ち,激しく攪拌した。AgNO3,4.47gを含む水溶液,42mLとKBr,3.16g含む水溶液,42mLをダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。KBrを2.6g添加した後、66℃に昇温し、充分熟成した。熟成終了後、Em−Bの調製で使用した分子量100000のトリメリット化ゼラチン41.2gとNaCl,18.5gを添加した。pHを7.2に調整した後、ジメチルアミンボラン,8mgを添加した。AgNO3,26gを含む水溶液203mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.8倍になるように添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。AgNO3,110.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して24分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.3mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。1Nのチオシアン酸カリウム水溶液10.7mLを添加した後、AgNO3,24.1gを含む水溶液153.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で2分30秒間に渡り添加した。この時、銀電位を10mVに保った。KBr水溶液を添加して銀電位を−70mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.4g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,57gを含む水溶液404mLを45分間に渡り添加した。この時、添加終了時の電位が−30mVになるようにKBr水溶液で調整した。Em−A1とほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−D)(低感度青感性層乳剤)
Em−Cの調製において核形成時のAgNO3添加量を2.0倍に変更した。そして,最終のAgNO3,57gを含む水溶液404mLの添加終了時の電位が+90mVになるようにKBr水溶液で調整するように変更した。それ以外はEm−Cとほぼ同様にして調製した。
(Em−E)(480〜550nmに分光感度ピークを有するマゼンタ発色層)
(赤感性層に重層効果を与える層)
分子量15000の低分子量ゼラチン,0.71g,KBr、0.92g,Em−A1の調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1200mLを39℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく攪拌した。AgNO3,0.45gを含む水溶液と1.5mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で17秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。56℃に昇温し熟成した。充分熟成した後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン20gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.9gを添加した。AgNO3,28.8gを含む水溶液288mLとKBr水溶液をダブルジェット法で53分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。KBr,2.5gを添加した後、AgNO3,87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.2倍になるように流量加速して63分間に渡り添加した。この時、上述のAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が10.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−70mVに保った。二酸化チオ尿素,1mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で25分間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、pHを7.3に調整した。KBrを添加して銀電位を−70mVに調整した後、上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,66.4gを含む水溶液609mLを10分間に渡り添加した。添加初期の6分間はKBr水溶液で銀電位を−70mVに保った。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg,8.2に調整した。化合物1および2を添加した後、56℃に昇温した。上述したAgI微粒子乳剤を銀1molに対して0.0004mol添加した後、増感色素13および14を添加した。チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
Figure 0003639296
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(Em−F)(中感度緑感性層用乳剤)
Em−Eの調製において核形成時のAgNO3添加量を3.1倍に変更した以外はEm−Eとほぼ同様にして調製した。但しEm−Eの増感色素を増感色素15、16および17に変更した。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
(Em−G)(低感度緑感性層用乳剤)
分子量15000の低分子量ゼラチン0.70g、KBr,0.9g、KI,0.175g、Em−A1の調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1200mLを33℃に保ち、pHを1.8に調製し激しく攪拌した。AgNO3,1.8gを含む水溶液と3.2mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。69℃に昇温し熟成した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン27.8gを添加した。pHを6.3に調製した後、KBr,2.9gを添加した。AgNO3,27.58gを含む水溶液270mLとKBr水溶液をダブルジェット法で37分間に渡り添加した。この時、分子量15000の低分子量ゼラチン水溶液とAgNO3水溶液とKI水溶液を特開平10−43570号に記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有する別のチャンバ−内で添加前直前混合して調製した粒子サイズ0.008μmのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。KBr,2.6gを添加した後、AgNO3,87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.1倍になるように流量加速して49分間に渡り添加した。この時、上述の添加前直前混合して調製したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が7.9mol%になるように同時に流量加速し,かつ銀電位を−70mVに保った。二酸化チオ尿素,1mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で20分間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。78℃に昇温し、pHを9.1に調整した後、KBrを添加して電位を−60mVにした。Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,66.4gを含む水溶液321mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間はKBr水溶液で銀電位を−60mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−H)(低感度緑感性層用乳剤)
イオン交換した分子量100000のゼラチン17.8g,KBr,6.2g,KI,0.46gを含む水溶液を45℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,11.85gを含む水溶液とKBrを3.8g含む水溶液をダブルジェット法で47秒間に渡り添加した。63℃に昇温後、イオン交換した分子量100000のゼラチン24.1gを添加し、熟成した。充分熟成した後、AgNO3,133.4gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.6倍になるように20分間に渡って添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+40mVに保った。また添加開始10分後にK2IrCl6を0.1mg添加した。NaClを7g添加した後、AgNO3を45.6g含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で12分間に渡って添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。また添加開始から6分間に渡って黄血塩を29mg含む水溶液100mLを添加した。KBrを14.4g添加した後、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.3g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,42.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で11分間に渡り添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−I)(低感度緑感性層用乳剤)
Em−Hの調製において核形成時の温度を38℃に変更した以外はほぼ同様にして調製した。
(Em−J1)(高感度赤感性層用乳剤)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン,0.38g、KBr,0.99gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,1.97g、KI,0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99g、NaCl6.2gを添加した。AgNO3,27.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で35分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO3,65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em−A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。二酸化チオ尿素,1.5mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、KBrを添加して銀電位を−100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3,88.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡り添加した。添加終了時の電位が+60mVになるようにKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5,pAg,8.2に調整した。化合物11および12を添加した後、61℃に昇温した。増感色素18、19、20および21を添加した後、K2IrCl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
Figure 0003639296
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Figure 0003639296
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(Em−J2)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em−J1と同様にして乳剤Em−J2を得た。
(Em−J3)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em−Jと同様にして乳剤Em−J3を得た。
(Em−J4〜J8)
化学増感時に本発明の化合物(IV-2)を化学増感時に添加した増感色素に対して(表1)の如き含有量になるように添加した以外はEm-J1と同様にして乳剤Em-J4〜J8を得た。
(Em-J9〜J13)
化学増感時に本発明の化合物を(IV-2)を添加した化学増感時に添加した増感色素に対して(表1)の如き添加した以外は、Em−J2と同様にしてEm−J9〜J13を得た。
(Em−J14)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン,0.38g、KBr,0.99gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,1.97g、KI,0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99g,NaCl6.2gを添加した。AgNO3,27.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で35分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO3,65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em-A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。二酸化チオ尿素,1.5mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後、40℃に降温し、KBrを添加して銀電位を−40mVに調整した。40℃に保温しながら、p-ヨードアセトアミドベンゼンスルフォン酸ナトリウム(1水和物)を14.2g含む水溶液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液57mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御しながら沃化物イオンを生成せしめ、2分後に55℃まで15分かけて昇温してからpHを5.5にもどした。その後、直ちにAgNO3,88.5gを含む水溶液300mLを20分間に渡り添加した。添加中はKBr水溶液で-50mVに保った。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5,pAg,8.2に調整した。その後の工程はEm-J1と同様の処理をした。
(Em-J15)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-J14と同様にしてEm-J15を得た。
(Em-J16)
化学増感時に本発明の化合物(IV-2)を添加した増感色素に対して25mol%になるように添加した以外はEm-J15と同様にしてEm-J16を得た。
(Em-J17)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−J16と同様にして乳剤Em−J17を得た。
(Em-J18)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン,0.38g,KBr,0.99gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち,pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,1.97g,KI,0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99g、NaCl6.2gを添加した。AgNO3,27.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で35分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO3,65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em-A1の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。二酸化チオ尿素,1.5mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後50℃に降温した。50℃に保温したまま、0.3%KI水溶液55mLを10分かけて添加した。その後直ちに、AgNO314.2gを含む水溶液100mLとNaCl2.1g、KBr4.17g含む水溶液120mLとAgI微粒子0.0133molを含む溶液を同時に添加した。この際、添加されるAgNO31molに対して9.4×10-4molのK4[RuCN6]を存在させた。その後、増感色素を添加した(エピタキシャルの安定化のために)。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg,8.2に調整した。その後の工程はEm-J1と同様の処理をした。
(Em-J19)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-J18と同様にしてEm-J19を得た。
(Em-J20)
化学増感時に本発明の化合物(IV-2)を添加した増感色素に対して25mol%になるように添加した以外はEm-J19と同様にしてEm-J20を得た。
(Em-J21)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−J20と同様にして乳剤Em−J21を得た。
(Em-J22)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン,0.38g,KBr,0.99gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO3,1.96gを含む水溶液とKBr,1.97g、KI,0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr,2.99g、NaCl6.2gを添加した。反応容器外に設置した攪拌装置にAgNO3 92.9gを含む水溶液,762mLとKBr 60.8g、KI 5.9g、および分子量20000のゼラチンを38.1g含んだ水溶液762mLを同時に添加してヨウ化銀含量6.5mol%のAgBrI微粒子乳剤(平均サイズ:0.015μm)を調製しながら反応容器内にこのAgBrI乳剤を90分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。二酸化チオ尿素,1.5mgを添加した後、AgNO3,41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,2mgを添加した後50℃に降温した。40℃に降温し、KBrを添加して銀電位を−40mVに調整した。40℃に保温しながら、p-ヨードアセトアミドベンゼンスルフォン酸ナトリウム(1水和物)を14.2g含む水溶液を添加してから0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液57mLを1分間定量で添加し、pHを9.0に制御しながら沃化物イオンを生成せしめ、2分後に55℃まで15分かけて昇温してからpHを5.5にもどした。その後、直ちにAgNO3,88.5gを含む水溶液300mLを20分間に渡り添加した。添加中はKBr水溶液で-50mVに保った。水洗した後、PAGI法に従って測定した際分子量28万以上の成分を30%含むゼラチンを添加し40℃でpH6.5,pAg,8.2に調整した。その後の工程はEm-J1と同様の処理をした。
(Em-J23)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-J22と同様にしてEm-J23を得た。
(Em-J24)
化学増感時に本発明の化合物(IV-2)を添加した増感色素に対して25mol%になるように添加した以外はEm-J23と同様にしてEm-J24を得た。
(Em-J25)
化学増感時に本発明の化合物(I−13)を1×10-4mol/molAg、および化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-J24と同様にしてEm-J25を得た。
Figure 0003639296
(Em−K)(中感度赤感性層用乳剤)
分子量15000の低分子量ゼラチン4.9g,KBr,5.3gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち激しく攪拌した。AgNO3,8.75gを含む水溶液27mLとKBr,6.45gを含む水溶液36mLを1分間に渡りダブルジェット法で添加した。77℃に昇温した後、AgNO3,6.9gを含む水溶液21mLを2.5分間に渡り添加した。NH4NO3,26g,1N,NaOH,56mLを順次、添加した後、熟成した。熟成終了後pHを4.8に調製した。AgNO3,141gを含む水溶液438mLとKBrを102.6g含む水溶液458mLをダブルジェット法で最終流量が初期流量の4倍になるように添加した。55℃に降温した後、AgNO3,7.1gを含む水溶液240mLとKIを6.46g含む水溶液をダブルジェット法で5分間に渡り添加した。KBrを7.1g添加した後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム,4mgとK2IrCl6,0.05mg添加した。AgNO3,57.2gを含む水溶液177mLとKBr,40.2gを含む水溶液,223mLを8分間に渡ってダブルジェット法で添加した。Em−Jとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−L)(中感度赤感性層用乳剤)
Em−Kの調製において核形成時の温度を42℃に変更した以外は,ほぼ同様にして調製した。
(Em−M、N、O)(低感度赤感性層用乳剤)
Em−HまたはEm−Iとほぼ同様にして調製した。但し化学増感はEm−J1とほぼ同様の方法で行った。
(Em-P1)(高感度緑感性層用乳剤)
Em-J1に対して、増感色素を15、16および17に変更して化学増感を最適に行ってEm-P1を得た。
(Em-P2)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-P1と同様にしてEm-P2を得た。
(Em-P3)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−P2と同様にして乳剤Em−P3を得た。
(Em-P4)
Em-J14に対して、増感色素を15、16および17に変更して化学増感を最適に行ってEm-P4を得た。
(Em-P5)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-P4と同様にしてEm-P5を得た。
(Em-P6)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−P5と同様にして乳剤Em−P6を得た。
(Em-P7)
Em-J18に対して、増感色素を15、16および17に変更して化学増感を最適に行ってEm-P7を得た。
(Em-P8)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-P7と同様にしてEm-P8を得た。
(Em-P9)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−P8と同様にして乳剤Em−P9を得た。
(Em-P10)
Em-J22に対して、増感色素を15、16および17に変更して化学増感を最適に行ってEm-P10を得た。
(Em-P11)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-P10と同様にしてEm-P11を得た。
(Em-P12)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−P11と同様にして乳剤Em−P12を得た。
このようにして得られたハロゲン化銀乳剤Em-A〜Pの特性を(表2)に示す。
Figure 0003639296
また、本発明の乳化物の調製処方の概略を以下に示す。
10%のゼラチン溶液に、カプラーを酢酸エチルに溶解した溶液、高沸点有機溶媒、および界面活性剤を添加し、混合したホモジナイザー(日本精機)を用いて乳化し、乳化物を得る。
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成した。
ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100質量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社製)2質量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを得た。なお、このPENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI−1、I−4、I−6、I−24、I−26、I−27、II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cmのステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
2)下塗層の塗設
上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼラチン0.1g/m2、ソウジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2、サリチル酸0.04g/m2、p−クロロフェノール0.2g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH20.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒドリン重縮合物 0.02g/m2の下塗液を塗布して(10mL/m2、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となっている)。
3)バック層の塗設
下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
3−1)帯電防止層の塗設
平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m2、ゼラチン0.05g/m2、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH2 0.02g/m2、ポリ(重合度10)オキシエチレン−p−ノニルフェノール 0.005g/m2及びレゾルシンと塗布した。
3−2)磁気記録層の塗設
3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆処理されたコバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89Am2/kg、Fe+2/Fe+3=6/94、表面は酸化アルミ酸化珪素で酸化鉄の2質量%で処理されている)0.06g/m2をジアセチルセルロース1.2g/m2(酸化鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施した)、硬化剤としてC25C(CH2OCONH−C63(CH3)NCO)30.3g/m2を、溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いてバーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層を得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で処理被覆された研磨剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録層のDBの色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層の飽和磁化モーメントは4.2Am2/kg、保磁力7.3×104A/m、角形比は65%であった。
3−3)滑り層の調製
ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/m2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,9mg/m2)混合物を塗布した。なお、この混合物は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、アセトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆された酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であった。
4)感光層の塗設
次に、前記で得られたバック層の支持体に対して反対側に、下記の組成の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料を作成した。試料は(表3)、(表4)、および(表5)に示すような乳剤、乳化物およびカプラーを使用して作成した。乳剤、カプラー、高沸点有機溶媒、界面活性剤は等量置き換えした。また複数を用いる場合はその合計が等量置き換えになるように置き換えた。具体的には、2つの場合は1/3づつ、3つの場合は1/3づつ置き換えた。
(感光層の組成)
各層に使用する素材の主なものは下記のように分類されている;
ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤
ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤
ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤
(具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付けられ、後ろに化学式が挙げられている)
各成分に対応する数字は、g/m2単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
第1層(第1ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.155
0.07μmの表面かぶらせAgBrI(2) 銀 0.01
ゼラチン 0.87
ExC−1 0.002
ExC−3 0.002
Cpd−2 0.001
HBS−1 0.004
HBS−2 0.002
第2層(第2ハレーション防止層)
黒色コロイド銀 銀 0.066
ゼラチン 0.407
ExM−1 0.050
ExF−1 2.0×10-3
HBS−1 0.074
固体分散染料 ExF−2 0.015
固体分散染料 ExF−3 0.020
第3層(中間層)
0.07μのAgBrI(2) 0.020
ExC−2 0.022
ポリエチルアクリレートラテックス 0.085
ゼラチン 0.294
第4層(低感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤M 銀 0.065
沃臭化銀乳剤N 銀 0.100
沃臭化銀乳剤O 銀 0.158
ExC−1 0.109
ExC−3 0.044
ExC−4 0.072
ExC−5 0.011
ExC−6 0.003
Cpd−2 0.025
Cpd−4 0.025
HBS−1 0.17
ゼラチン 0.80
第5層(中感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤K 銀 0.21
沃臭化銀乳剤L 銀 0.62
ExC−1 0.14
ExC−2 0.026
ExC−3 0.020
ExC−4 0.12
ExC−5 0.016
ExC−6 0.007
Cpd−2 0.036
Cpd−4 0.028
HBS−1 0.16
ゼラチン 1.18
第6層(高感度赤感乳剤層)
沃臭化銀乳剤J 銀 1.67
ExC−1 0.18
ExC−3 0.07
ExC−6 0.047
Cpd−2 0.046
Cpd−4 0.077
HBS−1 0.25
HBS−2 0.12
ゼラチン 2.12
第7層(中間層)
Cpd−1 0.089
固体分散染料ExF−4 0.030
HBS−1 0.050
ポリエチルアクリレートラテックス 0.83
ゼラチン 0.84
第8層(重層効果ドナー層(赤感層へ重層効果を与える層))
沃臭化銀乳剤E 銀 0.560
Cpd−4 0.030
ExM−2 0.096
ExM−3 0.028
ExY−1 0.031
ExG−1 0.006
HBS−1 0.085
HBS−3 0.003
ゼラチン 0.58
第9層(低感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤G 銀 0.39
沃臭化銀乳剤H 銀 0.28
沃臭化銀乳剤I 銀 0.35
ExM−2 0.36
ExM−3 0.045
ExG−1 0.005
HBS−1 0.28
HBS−3 0.01
HSB−4 0.27
ゼラチン 1.39
第10層(中感度緑感乳剤層)
沃臭化銀乳剤F 銀 0.20
沃臭化銀乳剤G 銀 0.25
ExC−6 0.009
ExM−2 0.031
ExM−3 0.029
ExY−1 0.006
ExM−4 0.028
ExG−1 0.005
HBS−1 0.064
HBS−3 2.1×10-3
ゼラチン 0.44
第11層(高感度緑感乳剤層)
実施例1の乳剤Em−P1 銀 1.200
ExC−6 0.004
ExM−1 0.016
ExM−3 0.036
ExM−4 0.020
ExM−5 0.004
ExY−5 0.008
ExM−2 0.013
Cpd−4 0.007
HBS−1 0.18
ポリエチルアクリレートラテックス 0.099
ゼラチン 1.11
第12層(イエローフィルター層)
黄色コロイド銀 銀 0.047
Cpd−1 0.16
ExF−5 0.010
固体分散染料ExF−6 0.010
HBS−1 0.082
ゼラチン 1.057
第13層(低感度青感乳剤層)
沃臭化銀乳剤B 銀 0.18
沃臭化銀乳剤C 銀 0.20
沃臭化銀乳剤D 銀 0.07
ExC−1 0.041
ExC−8 0.012
ExY−1 0.035
ExY−2 0.71
ExY−3 0.10
ExY−4 0.005
Cpd−2 0.10
Cpd−3 4.0×10-3
HBS−1 0.24
ゼラチン 1.41
第14層(高感度青感乳剤層)
沃臭化銀乳剤A 銀 0.75
ExC−1 0.013
ExY−2 0.31
ExY−3 0.05
ExY−6 0.062
Cpd−2 0.075
Cpd−3 1.0×10-3
HBS−1 0.10
ゼラチン 0.91
第15層(第1保護層)
0.07μmのAgBrI(2) 銀 0.30
UV−1 0.21
UV−2 0.13
UV−3 0.20
UV−4 0.025
F−11 0.009
F−18 0.005
F−19 0.005
HBS−1 0.12
HBS−4 5.0×10-2
ゼラチン 2.3
第16層(第2保護層)
H−1 0.40
B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2
B−2(直径1.7μm) 0.15
B−3 0.05
S−1 0.20
ゼラチン 0.75
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、B−4ないしB−6、F−1ないしF−17及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム塩が含有されている。また、第8層の塗布液にハロゲン化銀1モル当たり8.5×10-3グラム、第11層に7.9×10-3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水溶液で添加し、試料を作製した。更に帯電防止性を良くするためにW−1、W−6、W−7、W−8を少なくとも1種含有しており、塗布性を良くするためW−2、W−5を少なくとも1種含有している。
有機固体分散染料の調製
下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水21.7mL及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエーテル(重合度10)0.5gとを700mLのポットミルに入れ、染料ExF−3を5.0gと酸化ジルコニウムビーズ(直径1mm)500mLを添加して内容物を2時間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.44μmであった。
同様にして、ExF−4の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径はそれぞれ、0.24μmであった。ExF−2は欧州特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均粒径は0.06μmであった。
ExF−6の固体分散物を以下の方法で分散した。
水を18%含むExF−6のウェットケーキ2800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を376g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラリーとした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5L/minで8時間粉砕した。平均粒径は0.45μmであった。
上記各層の形成に用いた化合物は、以下に示すとおりである。
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
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Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
Figure 0003639296
試料の評価法は以下の通り。富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。現像は富士写真フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以下により行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排出する様に改造を行った。このFP−360Bは発明協会公開技法94−4992号に記載の蒸発補正手段を搭載している。
処理工程及び処理液組成を以下に示す。
(処理工程)
工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量
発色現像 3分 5秒 37.8 ℃ 20 mL 11.5L
漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L
定着 (1) 50秒 38.0 ℃ − 5L
定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 mL 5L
水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 mL 3L
安定 (1) 20秒 38.0 ℃ − 3L
安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 mL 3L
乾 燥 1分 30秒 60.0 ℃
*補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)
安定液及び定着液は(2)から(1)への向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0mLであった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
上記処理機の開口面積は発色現像液で100cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約100cm2であった。
以下に処理液の組成を示す。
(発色現像液) タンク液(g) 補充液(g)
ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0
カテコール−3,5−ジスルホン酸
ジナトリウム 0.3 0.3
亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3
炭酸カリウム 39.0 39.0
ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル
ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0
臭化カリウム 1.3 0.3
沃化カリウム 1.3mg −
4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,
3a,7−テトラザインデン 0.05 −
ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3
2−メチル−4−〔N−エチル−N−
(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕
アニリン硫酸塩 4.5 6.5
水を加えて 1.0L 1.0L
pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18
(漂白液) タンク液(g) 補充液(g)
1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二
鉄アンモニウム一水塩 113 170
臭化アンモニウム 70 105
硝酸アンモニウム 14 21
コハク酸 34 51
マレイン酸 28 42
水を加えて 1.0L 1.0L
pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0
(定着(1)タンク液)
上記漂白タンク液と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液
(pH6.8)
(定着(2)) タンク液(g) 補充液(g)
チオ硫酸アンモニウム水溶液 240mL 720 mL
(750g/L)
イミダゾール 7 21
メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15
メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30
エチレンジアミン四酢酸 13 39
水を加えて 1.0L 1.0L
pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45
(水洗水)
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
(安定液) タンク液、補充液共通 (単位g)
p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03
ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2
(平均重合度10)
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05
1,2,4−トリアゾール 1.3
1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−
イルメチル)ピペラジン 0.75
水を加えて 1.0L
pH 8.5
試料101〜125に対して前記処理を施した。また、試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。処理済の試料を青色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。得られた結果を(表6)に示す。
本発明の乳剤において、本発明の一般式(I)の化合物と一般式(II)又は(III)との組み合わせ、本発明の一般式(I)と本発明の界面活性剤および本発明の高沸点有機溶媒との組み合わせ、および本発明の一般式(I)と本発明の一般式(IV)又は(V)との組み合わせによって、低被りで高感度な感光材料を達成できた。さらに、上記のように本発明の一般式(VI)〜(X)の化合物を組み合わせることで保存被り耐性の強い感光材料が達成できた。
Figure 0003639296
試料201〜216に対して前記処理を施した。また、試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。処理済の試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。得られた結果を(表7)に示す。
本発明の乳剤において、本発明の一般式(I)の化合物と一般式(II)又は(III)との組み合わせ、本発明の一般式(I)と本発明の界面活性剤および本発明の高沸点有機溶媒との組み合わせ、および本発明の一般式(I)と本発明の一般式(IV)又は(V)との組み合わせによって、低被りで高感度な感光材料を達成できた。さらに、上記のように本発明の一般式(VI)〜(X)の化合物を組み合わせることで保存被り耐性の強い感光材料が達成できた。
Figure 0003639296
試料301〜330に対して前記処理を施した。また、試料を50℃80%RHの条件下で3日間経時したものも同様の処理を施した。処理済の試料を赤色フィルターで濃度測定することにより写真性能の評価を行った。得られた結果を(表8)に示す。
本発明の乳剤において、本発明の一般式(I)の化合物と一般式(II)又は(III)との組み合わせ、本発明の一般式(I)と本発明の界面活性剤および本発明の高沸点有機溶媒との組み合わせ、および本発明の一般式(I)と本発明の一般式(IV)又は(V)との組み合わせによって、低被りで高感度な感光材料を達成できた。さらに、上記のように本発明の一般式(VI)〜(X)の化合物を組み合わせることで保存被り耐性の強い感光材料が達成できた。
Figure 0003639296
以上の結果から、本発明の化合物の組み合わせにより高感度かつ低かぶり、およびサーモ後の減感が少なく、被りの増加が少ないハロゲン化銀写真感光材料が得られることが分かる。
(実施例2)
乳剤Em-X1:(100)沃臭化銀平板乳剤
反応容器にポリビニルアルコール(酢酸ビニルの重合度1700で、そのアルコールへの平均鹸化率98%のポリビニルアルコール、以下ポリマー(PV))とゼラチン水溶液(水1200mLにポリマー(PV)5gと脱イオンしたアルカリ処理ゼラチン8gを含む)を準備し、pHを11に調整し、温度を55℃に維持する。撹拌しながらAg-1液(AgNO3 0.58mol/L含有)200mLとX-1液(KBr 0.58mol/L含有)200mLを40分かけて添加した。添加は、精密送液ポンプを用いてダブルジェット法にて行った。
5分経過後にpHを6に調節し、Ag-2液(AgNO3 1.177mol/L含有)とX-2液(KBr 1.177mol/L含有)を用い、pBrを3.1に保ちながら、それぞれ流量12mL/分で600mL定量ダブルジェット添加した。次にゼラチン水溶液(水200mLにゼラチン30g含む)と分光増感色素22、23、および24を添加し、Ag-3液(AgNO3 2.94mol/L含有)とX-3液(KBr 2.7mol/L、KI 0.24mol/L 含有)をそれぞれ5mL/分で100mL添加し、粒子形成を終えた。その後、35℃に降温し、沈殿水洗法で水洗した。ゼラチン水溶液を添加して乳剤を再分散し、pHを6、pAgを8.3に調節した。
Figure 0003639296
以上の方法により調製された粒子は、乳剤粒子のレプリカTEM像から求めた結果、全投影面積の93%が以下の粒子であった。主平面が(100)面、球相当径0.4μm以上、粒子厚み0.08μm、アスペクト比9.5以上であった。
上記乳剤を、増感色素以外は実施例1に示したEm-J1を参考に最適に化学増感を行ってEm-X1を得た。
(Em-X2)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-X1と同様にしてEm-X2を得た。
(Em-X3)
化学増感時に本発明の化合物(IV−2)を添加した増感色素に対して10モル%添加した以外はEm-X2と同様にしてEm-X3を得た。
(Em-X4)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−X3と同様にして乳剤Em−X4を得た。
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に、各乳剤を40℃で30分間溶解経時した後、下記表9に示すような塗布条件で、前記の乳剤Em-X1〜X4の塗布を行った。
Figure 0003639296
塗布する乳剤を表10のように代えることにより、試料401〜405を作成した。
Figure 0003639296
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、下記の現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定することにより写真感度と長期保存前のカブリ濃度を求めた。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の相対値で表示した。感材の保存カブリの評価として、40℃、相対湿度60%の条件下で14日間保存した後、1 /100 秒間露光を行い、下記の現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定し長期保存後のカブリ濃度を求め、保存前後のカブリ濃度差を求めた。
現像は富士写真フイルム社製自動現像機FP−362Bを用いて以下により行った。
処理工程及び処理液組成を以下に示す。
(処理工程)
工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量
発色現像 3分5秒 38.0℃ 15mL 10.3L
漂白 50秒 38℃ 5mL 3.6L
定着(1) 50秒 38℃ − 3.6L
定着(2) 50秒 38℃ 7.5mL 3.6L
安定(1) 30秒 38℃ − 1.9L
安定(2) 20秒 38℃ − 1.9L
安定(3) 20秒 38℃ 30mL 1.9L
乾燥 1分30秒 60℃
*補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)
安定液は(3)→(2)→(1)への向流方式であり、定着液も(2)から(1)へ向流配管で接続されている。また、安定液(2)のタンク液を定着液(2)へ補充量相当15mLを流入している。更に、発色現像液は下記処方の発色現像液(A)補充液及び発色現像液(B)補充液をそれぞれ補充量相当12mLと3mLに分割して合計15mLとして補充している。なお、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の定着工程への持ち込み量及び定着液の水洗工程への持ち込み量は何れも感光材料35mm幅1.1m当たり2.0mLであった。また、クロスオーバーの時間は何れも6秒であり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
以下に処理液の組成を示す。
(発色現像液(A)) <タンク液> <補充液>
ジエチレントリアミン五酢酸 2.0g 4.0g
4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸ナトリウム
0.4g 0.5g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン
10.0g 15.0g
亜硫酸ナトリウム 4.0g 9.0g
ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.0g −
臭化カリウム 1.4g −
ジエチレングリコール 10.0g 17.0g
エチレン尿素 3.0g 5.5g
2−メチル−4−[N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ]
アニリン硫酸塩 4.7g 11.4g
炭酸カリウム 39g 59g
水を加えて 1.0L 1.0L
pH(硫酸とKOHで調製) 10.05 10.50
上記タンク液は下記(発色現像液(B))混合後の組成を示す。
(発色現像液(B)) <タンク液> <補充液>
ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.0g 4.0g
水を加えて 1.0L 1.0L
pH(硫酸とKOHで調製) 10.05 4.0
上記タンク液は前記(発色現像液(A))混合後の組成を示す。
(漂白液) <タンク液> <補充液>
1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二鉄アンモニウム塩−水塩
120g 180g
臭化アンモニウム 50g 70g
コハク酸 30g 50g
マレイン酸 40g 60g
イミダゾール 20g 30g
水を加えて 1.0L 1.0L
pH(アンモニア水と硝酸で調整) 4.6 4.0
(定着液) <タンク液> <補充液>
チオ硫酸アンモニウム(750g/L) 280mL 1000mL
重亜硫酸アンモニウム水溶液(72%) 20g 80g
イミダゾール 5g 45g
1−メルカプト−2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−テトラゾール
1g 3g
エチレンジアミン四酢酸 8g 12g
水を加えて 1L 1L
pH(アンモニア水と硝酸で調整) 7.0 7.0
(安定液) <タンク液、補充液共通>
p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03g
p−ノニルフェノキシポリグリシドール(グリシドール平均重合度10)
0.4g
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05g
1,2,4−トリアゾール 1.3g
1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)
ピペラジン 0.75g
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.10g
水を加えて 1.0L
pH 8.5
前記の方法で評価を行った結果を、表11に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の相対値で表示した。本発明の乳剤において、本発明の一般式(I)の化合物と一般式(II)または(III)との組み合わせ、本発明の一般式(I)と本発明の界面活性剤および本発明の高沸点有機溶媒との組み合わせ、および本発明の一般式(I)と本発明の一般式(IV)との組み合わせによって、低被りで高感度な感光材料を達成できた。さらに、上記に本発明の一般式(VI)〜(X)の化合物を組み合わせることで保存被り耐性の強い感光材料が達成できた。
Figure 0003639296
(実施例3)
乳剤Em-Y1:(111)塩化銀平板粒子
水1.2L中に塩化ナトリウム2.0gおよび不活性ゼラチン2.8gを添加し、35℃に保った容器中へ撹拌しながらAg-1液60mL(硝酸銀9g含む)とX-1液60mL(塩化ナトリウム3.2g含む)をダブルジェット法により1分間で添加した。添加終了後1分後にN-ベンジル−4−フェニルピリジニウムクロリドを0.8ミリモル添加した。さらに1分後に塩化ナトリウム3.0gを添加した。次の25分間で反応容器の温度を60℃に昇温した。60℃で16分間熟成した後、10%フタル化ゼラチン水溶液560gとチオスルフォン酸ナトリウムを1×10-5モルを加えた。この後Ag-2液317.5mL(硝酸銀127g含む)、X-2液(塩化ナトリウム54.1g含む)、および晶相制御剤1水溶液(M/50)160mLを20分かけて加速された流量で添加した。さらに、2分間後から5分間でAg-3液(硝酸銀34g含む)とX-3液(塩化ナトリウム11.6gと黄血塩1.27mg含む)とを添加した。次に、0.1Nのチオシアン酸溶液33.5mLおよび増感色素25を0.32ミリモル、増感色素26を0.48ミリモル、および増感色素27を0.05ミリモルを加えた。
Figure 0003639296
温度を40℃に降温し、沈殿水洗法で水洗した。ゼラチン水溶液を添加して乳剤を再分散し、pHを6.2、pAgを7.5に調節した。
以上の方法により調製された粒子は、乳剤粒子のレプリカTEM像から求めた結果、全投影面積の50%以上が以下の粒子であった。主平面が(111)面、球相当径0.56〜0.66μm、投影面積径0.95〜1.15μm、粒子厚み0.12〜0.16μmであった。
上記乳剤を、増感色素以外は実施例1に示したEm-J1を参考に最適に化学増感を行ってEm-Y1を得た。
(Em-Y2)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-Y1と同様にしてEm-Y2を得た。
(Em-Y3)
化学増感時に本発明の化合物(IV−2)を添加した増感色素に対して10モル%添加した以外はEm-Y2と同様にしてEm-Y3を得た。
(Em-Y4)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−Y3と同様にして乳剤Em−Y4を得た。
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に、各乳剤を40℃で30分間溶解経時した後、前記の表9に示すような塗布条件で、前記の乳剤Em-Y1〜Y4の塗布を行った。
塗布する乳剤を表12のように代えることにより、試料501〜505を作成した。
Figure 0003639296
実施例3と同様の方法で評価を行った結果を、表13に示す。感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の相対値で表示した。本発明の乳剤において、本発明の一般式(I)の化合物と一般式(II)または(III)との組み合わせ、本発明の一般式(I)と本発明の界面活性剤および本発明の高沸点有機溶媒との組み合わせ、および本発明の一般式(I)と本発明の一般式(IV)との組み合わせによって、低被りで高感度な感光材料を達成できた。さらに、上記に本発明の一般式(VI)〜(X)の化合物を組み合わせることで保存被り耐性の強い感光材料が達成できた。
Figure 0003639296
(実施例4)
乳剤Em-Z1:シェル部に全銀量に対して0.4モル%のヨードを含む(100)塩化銀平板粒子
反応容器に水1200mL、ゼラチン25g、塩化ナトリウム0.4g、1N硝酸水溶液4.5mLを入れ(pHは4.5)、40℃に保持した。次にAg-1液(硝酸銀0.2g/mL)とX-1液(塩化ナトリウム0.069g/mL)とを激しく撹拌しながら48mL/分で4分間添加混合した。その15秒後にポリビニルアルコール水溶液(酢酸ビニルの平均重合度は1700で、アルコールへの平均鹸化率98%以上のポリビニルアルコール(以下PVA-1)を6.7g、水1Lに含む)を150mL加え、pH3.5に調節した。15分間で75℃に昇温し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液23mLを加えpH6.5にし、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(0.05%)を4.0mL、N,N’−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン(1%水溶液)を4.0mL添加した。
塩化ナトリウムを4g加え、銀電位(対 室温飽和カロメル電極)を100mVに調整した後、成長過程としてAg-1液とX-1液を流速40mL/分から42mL/分へ直線的に増加させながら15分間、銀電位を100mVに保ちながら同時添加した。さらに、1N硝酸水溶液12.5mLを加えpH4.0とした。塩化ナトリウムを28.8g加え、銀電位を60mVとした後、増感色素25を0.38ミリモル、増感色素26を0.56ミリモル、および増感色素27を0.06ミリモル加え、Ag-2液(硝酸銀 0.1/mL)とX-2液(ヨードの総量が総銀量の0.4モル%となるように、1L中塩化ナトリウム33.8g、ヨウ化カリウム1.95gを含む水溶液)を流速40mL/分で10分間添加後、その後75℃で10分間放置した。
温度を40℃に降温し、沈殿水洗法で水洗した。ゼラチン水溶液を添加して乳剤を再分散し、pHを6.0、pAgを7.3に調節した。
以上の方法により調製された粒子は、乳剤粒子のレプリカTEM像から求めた結果、全投影面積の50%以上が以下の粒子であった。主平面が(100)面、球相当径0.4〜0.5μm、粒子厚み0.10〜0.12μm、アスペクト比6.5以上、隣接辺比1.1〜1.3であった。
上記乳剤を、増感色素以外は実施例1に示したEm-J1を参考に最適に化学増感を行ってEm-Z1を得た。
(Em-Z2)
化学増感時に本発明の化合物(I-13)を1×10-4mol/molAg添加した以外は、Em-Z1と同様にしてEm-Z2を得た。
(Em-Z3)
化学増感時に本発明の化合物(IV−2)を添加した増感色素に対して10モル%添加した以外はEm-Z2と同様にしてEm-Z3を得た。
(Em-Z4)
化学増感時に本発明の化合物(IX−2−50)を1×10-4mol/molAg添加した以外はEm−Z3と同様にして乳剤Em−Z4を得た。
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に、各乳剤を40℃で30分間溶解経時した後、前記の表9に示すような塗布条件で、前記の乳剤Em-Z1〜Z4の塗布を行った。
塗布する乳剤を表14のように変えることにより、試料601〜605を作成した。
Figure 0003639296
実施例3と同様の方法で評価を行った結果を、表15に示す。
Figure 0003639296
感度はかぶり濃度プラス0.2の濃度に到達するのに必要な露光量の逆数の相対値で表示した。
本発明の乳剤において、本発明の一般式(I)の化合物と一般式(II)または(III)との組み合わせ、本発明の一般式(I)と本発明の界面活性剤および本発明の高沸点有機溶媒との組み合わせ、および本発明の一般式(I)と本発明の一般式(IV)または(V)との組み合わせによって、低被りで高感度な感光材料を達成できた。さらに、上記に本発明の一般式(VI)〜(X)の化合物を組み合わせることで保存被り耐性の強い感光材料が達成できた。

Claims (10)

  1. 支持体上に少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、下記一般式(I)の化合物を含み、かつ該ハロゲン化銀乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳剤が増感色素を含有し、該増感色素の1モル%以上50モル%以下の一般式(IV)で表される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
    一般式(I)
    (X)−(L)−(A−B)
    式中、XはN、S、P、SeおよびTeからなる群から選択される少なくとも1つの原子を有するハロゲン化銀吸着基または光吸収基を表す。LはC、N、SおよびOからなる群から選択される少なくとも1つの原子を有する2価の連結基を表す。Aは電子供与基を表し、Bは脱離基または水素原子を表し、酸化後、脱離または脱プロトンされてラジカルA・を生成する。kおよびmは各々独立して0〜3の整数を表し、nは1もしくは2を表す。
    一般式(IV)
    Figure 0003639296
    式中、QはNまたはP原子を表す。Ra1、Ra2、Ra3、Ra4は各々、アルキル、アリール、複素環を表すが、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4はこの内の二つが連結して飽和環を形成してもよく、あるいはRa1、Ra2、Ra3、Ra4はこの内の三つが共同で不飽和環を形成してもよい。Yはアニオン基を表すが、分子内塩の場合はYは存在しない。
  2. 前記の一般式(IV)で表される化合物が一般式(V)で表されることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    一般式(V)
    Figure 0003639296
    式中、Ra5、Ra6、Ra7は各々、アルキル、アリール、複素環を表すが、Ra5、Ra6、Ra7はこの内の二つが共同で飽和環を形成してもよく、あるいはRa5、Ra6、Ra7は三つが共同で不飽和環を形成してもよい。Ra8はアルキレン、アリーレン、−O−、−S−、−CO2−を単独又は組み合わせで構成されるものを表す。ただし、−O−、−S−、−CO2−はそれぞれアルキレンあるいはアリーレンと隣接して連結する。Ra9、Ra10、Ra11はRa5、Ra6、Ra7と同義である。Yは一般式(IV)でのYと同義である。
  3. 前記の感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記(a)ないし(d)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    (a)平行な主平面が(111)面
    (b)アスペクト比が2以上
    (c)転位線を1粒子当り少なくとも10本以上含む
    (d)塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
  4. 前記感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記の(a)、(d)および(e)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    (a)平行な主平面が(111)面
    (d)塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
    (e)六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部および/または側面部および/または主平面部に1粒子当り少なくとも1個のエピタキシャル接合を有する
  5. 前記感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記(d)、(f)および(g)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    (d)塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
    (f)平行な主平面が(100)面
    (g)アスペクト比が2以上
  6. 前記感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が(g)、(h)および(i)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    (g)アスペクト比が2以上
    (h)平行な主平面が(111)面もしくは(100)面
    (i)少なくとも80モル%以上の塩化銀を含有する平板状粒子
  7. 前記ハロゲン化銀写真感光材料が、下記の一般式(VI)、(VII)、(VIII-1)、(VIII-2)、(IX-1)、(IX-2)、(X)および(XI)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    Figure 0003639296
    式(VI)中、Rb1、Rb2、Rb3およびRb4は各々独立して水素原子、アリール基、鎖状または環状のアルキル基、鎖状または環状のアルケニル基、またはアルキニル基を表し、Rb5は鎖状または環状のアルキル基、鎖状または環状のアルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。
    Figure 0003639296
    式(VII)中、Hetはハロゲン化銀への吸着基である。Mは炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子のうち少なくとも1種を含む原子または原子団からなる2価の連結基を表す。HyはRb6Rb7N−NRb8Rb9で表されるヒドラジン構造を有する基を表す。Rb6、Rb7、Rb8およびRb9は各々独立してアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb6とRb7、Rb8とRb9、Rb6とRb8またはRb7とRb9が互いに結合して環を形成していてもよい。但し、Rb6、Rb7、Rb8およびRb9の少なくとも1つは一般式(VII)における−(M)k2(Het)k1が置換するためのアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基または2価の複素環残基である。k1及びk3は各々独立して1、2、3または4を表し、k2は0または1を表す。
    Figure 0003639296
    式(VIII−1)中、Rb10、Rb11、Rb12およびRb13は各々独立して水素原子または置換基を表す。但し、Rb10とRb13あるいはRb11とRb12がそれぞれアルキル基の場合、全く同じ炭素数の置換基をとらない。式(VIII−2)中、Rb14、Rb15およびRb16は各々独立して水素原子または置換基を表す。Zは4〜6員環を形成する非金属原子群を表す。
    Figure 0003639296
    式(IX−1)中、Rc1は置換または無置換のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、Rc2は水素原子または、Rc1で示した基を表す。Rc3は水素原子または炭素数1〜10の置換または無置換のアルキル基またはアルケニル基を表す。Rc1とRc2、Rc1とRc3もしくはRc2とRc3が互いに結合して、5〜7員環を形成していてもよい。
    Figure 0003639296
    式(IX−2)中、G1、及びG2は各々、水素原子、又は1価の置換基を表す。また、互いに結合して環を形成しても良い。
    Figure 0003639296
    式(X)中、Rb17、Rb18およびRb19は各々独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb20は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、またはNRb21Rb22を表し、Jは−CO−または−SO 2 −を表し、nは0または1を表す。Rb21は水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表し、Rb22は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を表す。Rb17とRb18、Rb17とRb19、Rb19とRb20またはRb20とRb18は連結して環を形成していてもよい。
    Figure 0003639296
    式(XI)中X 2 およびY 2 は、それぞれ独立に、水酸基、-NRi23Ri24または-NHSO 2 Ri25を表す。Ri21およびRi22は、それぞれ独立に、水素原子または任意の置換基を表す。Ri21とRi22とは、互いに結合して炭素環または複素環を形成していても良い。Ri23およびRi24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基または複素環を表す。Ri23とRi24とは互いに結合して複素環を形成しても良い。Ri25はアルキル基、アリール基、アミノ基または複素環を表す。
  8. 前記ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀粒子が還元増感を施されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  9. 前記ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀乳剤が、その調製時に、下記一般式(3)で表される化合物および下記一般式(4)で表される化合物から選ばれる化合物のうち少なくとも1種を添加されたものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
    Figure 0003639296
    一般式(3)および(4)において、W 51 、W 52 はスルホ基または水素原子を表す。但し、W 51 、W 52 の少なくとも1つはスルホ基を表す。
  10. 前記ハロゲン化銀写真感光材料に含まれるハロゲン化銀粒子が、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、PbおよびBiからなる群から選択される金属のイオン少なくとも1種を粒子内部に含有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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