JP3638651B2 - 波付鋼管鎧装ケーブル - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、波付鋼管鎧装ケーブルに関し、特に鋼管鎧装の波付加工時に鋼管表面に傷が付き難くした波付鋼管鎧装ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波付鋼管鎧装ケーブルは、内部のケーブル心線を保護するために金属シースが用いられている。この金属シースは鉄、銅、アルミ、ステンレス等の薄肉金属テープをケーブル心線の周囲に成形縦添えし、合わせ目を連続的に溶接した後、波付け加工されている。かかる金属シースには、完全水密性、防錆性、機械的強度、遮蔽効果等の種々の特性が要求される。
例えば特開平6−60751号公報には、ステンレス鋼帯の両面にポリエチレンフィルムをラミネートし、これにコルゲート加工した後、円筒状に丸めて重ね合わせ、その後、重なり部分を加熱して溶融させたポリエチレンフィルムで上下のステンレス鋼帯を接着するものの改良技術が開示されている。
【0003】
即ち、この改良技術は、上記ポリエチレンフィルムとステンレス鋼帯との密着性を高めるために、該ステンレス鋼帯を加熱する前に、所定の濃度のタンニン又はタンニン酸の水溶液で、あるいは所定の濃度のクロメート処理液で処理するようにしたものである。これによりポリエチレンフィルムとステンレス鋼帯との剥離が防止され外被からの水の侵入に対処できるとするものである。
【0004】
また、特開平3−25806号公報には、波付鋼管鎧装の表面に、従来のアスファルト系塗料から成る防食層に変えて一液性エポキシ樹脂塗料を使用して合成樹脂塗料層を形成し、これを防食層としたものが開示されている。この防食層は、シースを透過する水分あるいはシース外傷等に起因する浸水によってケーブル波付鋼管鎧装である金属層の腐食を低減させるという本来の目的と共に、従来のアルファルト系塗料のように、ケーブル端末部からの流れ出しを起こすことを防止しようとする目的で設けられている。
【0005】
ところで、通常の鋼帯を使用した波付金属シースの場合、経時変化による錆の発生や波付加工時の傷発生の問題があり、これらの問題を解決するため、従来では鋼帯の表面に多量の塗油を行っていた。一方、この塗油は溶接する際の障害となる。
即ち、多量の塗油の付着により、その部分にピンホールが発生してしまうおそれがある。そこで、従来では溶接前に、トリクロルエタン等の有機溶剤を用いて鋼帯表面を洗浄していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平6−60751号公報に示されたものは、ステンレス鋼帯にポリエチレンフィルムがラミネートされているために、波付加工時に該鋼帯表面に傷が発生するのを防止できるが、その製造工程が複雑であったり、また、ステンレス鋼帯との密着性を向上させるための処理を必要としたり等でケーブル製造原価を高くする難点がある。
また、特開平3−25806号公報に示されたものは、一液性エポキシ樹脂塗料から成る防食層により、シースを透過する水分あるいはシース外傷等に起因する浸水によってケーブル波付鋼管鎧装である金属層の腐食を低減させることができるが、波付加工時には上記エポキシ樹脂塗料は鋼管表面に塗布されておらず、波付加工後にその表面に塗装処理して塗層を形成するものであるため、波付加工時の鋼管表面への傷付は避けられない。
【0007】
一方、通常の鋼帯を使用した波付金属シースの場合、経時変化による錆の発生や波付加工時の傷発生の問題は常にあり、これらの問題を解決するため、従来では鋼帯の表面に多量の塗油を行っていた。この塗油は前記のように、その付着によりピンホールが発生してしまうおそれがあり、そのため、従来では溶接前に、トリクロルエタン等の有機溶剤を用いて鋼帯表面を洗浄する必要があり、洗浄後の廃液処理の問題があった。
本発明は、上記のような各課題を解決するためになされたもので、経時変化による錆の発生がなく、波付加工時の傷の発生の問題もなく、かつ、後に特別の処理工程を付加しないので、安価に製造することができ、さらに廃液処理の問題も解消できる波付鋼管鎧装ケーブルを提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
本発明の波付鋼管鎧装ケーブルは、薄肉金属テープをケーブル心線の周囲に成形縦添えし、合わせ目を連続的に溶接した後、波付け加工を施して成る金属シースを有する波付鋼管鎧装ケーブルにおいて、前記金属テープとして、クロム等の表面処理被膜層を有する鋼板を使用したことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の波付鋼管鎧装ケーブルは、クロム等の表面処理被膜層を有する鋼板を使用したので、経時変化による錆の発生がなく、波付加工時の傷の発生の問題もなく、かつ、後に特別の処理工程を付加しないので、安価に製造することができる。また、鋼板表面に多量の塗油を必要としないので、溶接時に洗浄が不要であり、廃液処理の問題が生じない。
【0010】
【実施例】
以下に、本発明の一実施例を図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の波付鋼管鎧装ケーブルの一部を示す縦断面図である。
図において、波付鋼管鎧装ケーブル1は、ケーブル心線2の周囲に金属シースとしての波付鋼管3が設けられている。この波付鋼管3には表面処理被膜層4が設けられている。この表面被膜層4は波付加工後に施されるものではなく、1枚の鋼板の状態の時に予め形成されているもので、所定幅の薄肉金属テープにしたときには、既にかかる表面処理被膜層4が存在する点で、後に形成される従来の塗層とは異なっている。
【0011】
また、この表面処理被膜層4の構造は、例えば図2に示すようなものが好適である。
即ち、図2において、表面処理被膜層4は下地である鋼板41上に金属クロム層42を有し、さらにこの金属クロム層42上に、錫層43、電解クロム酸処理層44及び塗油層45が順次重ね合わせて形成されている。
なお、上記の構造では鋼板41上に金属クロム層44が形成してあるが、必ずしも金属クロム層である必要はなく、これは、他の同等な金属層により置き換えることが可能である。
上記のような表面処理被膜層4を予め形成した薄肉金属テープを使用してケーブル心線2の周囲に成形縦添えし、合わせ目を連続的に溶接した後、波付加工を施して、金属シースとしての波付鋼管3を形成し、波付鋼管鎧装ケーブル1を得る。
【0012】
上記のように表面処理被膜層4を予め形成した薄肉金属テープを使用することにより、滑り性が著しく向上し、波付加工時に鋼管表面への傷付が防止される。
また、本発明者等の種々の実験の結果、鋼板の表面粗さの程度を2.0±1.5μmとすることにより、波付加工時に鋼板の削れによる傷が極端に付難いことが判明した。一方、かかる表面粗さの範囲を逸脱すると、鋼板への傷付の程度が目立った。
さらに、本発明では鋼板41上に表面処理被膜層4が設けられているので、該鋼板表面41への塗油量を従来と比較して著しく減少させることができた。
本発明者等の実験によれば、塗油量を10mg/m2以下としても充分波付加工を行うことができた。このため、溶接する前に従来では多量の塗油を洗い落とすべく洗浄を行っていたが、本発明ではその必要がなくなり、製造工程が簡略されると共に、洗浄後の廃液処理の問題も解消することができた。
【0013】
【発明の効果】
以上のように、本発明の波付鋼管鎧装ケーブルは、クロム等の表面処理被膜層を有する鋼板を使用して金属シースとしての波付鋼管を形成するようにしたので、経時変化による錆の発生がなく、波付加工時の傷の発生の問題もない。また、後に特別の処理工程を付加しないので、安価に製造することができる。さらに表面への塗油量を少なくすることができるので、溶接前に洗浄する必要がなく廃液処理の問題も解消できるなどの優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の波付鋼管鎧装ケーブルの一部を示す縦断面図である。
【図2】 上記ケーブルにおける表面処理被膜層の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 波付鋼管鎧装ケーブル
2 ケーブル心線
3 波付鋼管
4 表面処理被膜層
Claims (3)
- 薄肉金属テープをケーブル心線の周囲に成形縦添えし、合わせ目を連続的に溶接した後、波付け加工を施して成る金属シースを有する波付鋼管鎧装ケーブルにおいて、前記金属テープとして、表面処理被膜層を有する鋼板を使用したことを特徴とする波付鋼管鎧装ケーブル。
- 前記金属テープとして表面粗さが2.0±1.5μmである鋼板を使用したことを特徴とする請求項1に記載の波付鋼管鎧装ケーブル。
- 前記金属テープとして、鋼板表面への塗油量が10mg/m2以下とした鋼板を使用したことを特徴とする請求項1に記載の波付鋼管鎧装ケーブル。
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