JP3638201B2 - 制御型芳香出力装置および芳香シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,所定の制御信号に基づいて,香料の放出を行う制御型芳香出力装置および芳香シートに関し,より詳細には,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したり,止めたり,消したりできるようにして,香りの自在制御を行えるようにした制御型芳香出力装置および芳香シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に,人間は日常生活で様々な香りに接しながら暮らしている。香りによっては,心地よく感じる香りや,食欲をそそる香り,不愉快に感じる香りがあり,日本語では,人間がどの様に感じるかによって,香り・匂い・臭い等の文字を当てている。何れの場合も,その香りから人間は種々の情報を得ており,香りが情報伝達手段としての役割を果たしていることは明らかである。また,香りの情報が人間の感情に大きく働きかけることも知られている。
【0003】
一方,従来から香りにかかわる商品や,装置が数多く提供されている。例えば,臭いの打ち消し(消臭)を目的とするものとして,香水・オーデコロンのように好ましい香りを付けて身体の匂いを蔽い隠すものや,トイレ用芳香剤のように固体化した芳香剤から徐々に芳香を昇華させて,空気中の悪臭を蔽い隠すようにしたものや,トレイ用消臭剤のようにトイレの臭いの物質(例えば,アンモニア)を中和する物質を固体化し,使用時に昇華させて,空気中の臭気物質と反応させて中和させるもの等がある。換言すれば,付加した香りで元の香り(臭い)を感覚的に圧倒して蔽い隠す隠蔽剤と,化学的に反応させて元の香り(臭い)の分子のもつ働きをなくす脱臭剤とに大別できる。
【0004】
また,香りの情報が人間の感情に大きく働きかけることを利用したものとして,アロマテラピー等で知られるように,好ましい香りで環境(空気中)を満たしてリラクゼーション効果を促すようにしたものがある。例えば,香料を蒸発させたり,線香を焚くことで好ましい香りを空気中に放出するようにした商品や等が提供されている。また,『香りと環境』(空気調和・衛生工学会編,岩橋基行著,理工学図書株式会社発行)の空調接続型香りシステムに開示されるように,香り発生装置を持ち,発生させた香りを空調機のダクトに混入させて部屋全体に香りを流すようにしたシステムも提供されている。
【0005】
なお,上記空調接続型香りシステムにおいては,香り発生装置の電源スイッチのON・OFF信号や,数種類ある香りの切換信号を制御信号と捕らえた場合,該制御信号に基づいて,香料の放出を行う制御型芳香出力装置として定義することができる。
【0006】
さらに,古来より,香道においては,限られた数種類の元になる香りを調合(合成)して,種々の香りを発生させることが行われている。
【0007】
また,近年,一説として,匂い(香り)の元となる“原臭”は20ないし30ぐらいあるであろうと推定する説が提唱されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の技術によれば,それぞれの用途に応じて,好ましい香りを発生させる装置や,不愉快な香り(臭い)を打ち消したりする装置が個別に提供されているものの,あらかじめ定められた特定の好ましい香りを発生すること,または不愉快な香り(臭い)を打ち消すことを前提としているため,香りを情報として扱うことができないという問題点があった。
【0009】
換言すれば,従来の技術によれば,香りの情報に基づいて,香りの放出を制御したり,または香りの放出および香りの打ち消しを制御するようにした装置は提供されていなかった。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したりできるようにして,香りを情報として扱える制御型芳香出力装置を提供することを目的とする。
【0011】
また,本発明は上記に鑑みてなされたものであって,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したり,香りを止めたり,香りを消したりできるようにして,香りを情報として扱える制御型芳香出力装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために,請求項1に係る発明は、所定の制御信号に基づいて,香料の放出を行う制御型芳香出力装置において,複数の香料を格納する複数の香料格納手段と,前記複数の香料格納手段に対応して配置され,対応する前記香料格納手段に格納されている香料を取り出して瞬時に空気中に放出する複数の香料放出手段と,空気中に放出されて所望の合成香を得るために前記所定の制御信号に基づいて,選択された複数の香料放出手段を瞬時に作動させるよう制御する制御手段と,前記香料の香りを打ち消す消香材を格納する複数の消香材格納手段と,前記複数の消香材格納手段に対応して配置され,対応する前記消香材格納手段に格納されている消香材を取り出して空気中に放出する複数の消香材放出手段と,を備え,前記制御手段は,さらに前記所定の制御信号に基づいて,前記複数の香料放出手段を選択し,かつ複数の消香材放出手段を選択することを特徴とする。
【0013】
また、請求項2にかかる発明は,請求項1に記載の制御型芳香出力装置において,前記制御手段は,前記香料の放出または消香を行った後,前記マイナスイオン発生手段を制御することを特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の制御型芳香出力装置および芳香シートについて,〔実施の形態1〕〜〔実施の形態9〕の順で,図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
〔実施の形態1〕
図1は,実施の形態1の制御型芳香出力装置100のブロック構成図を示し,それぞれ異なる種類の香料を格納する複数の香料格納部101と,複数の香料格納部101に対応して配置され,対応する香料格納部101に格納されている香料を取り出して空気中に放出する複数の香料放出器102と,香料の香りを打ち消すための消香液(消香材)を格納する複数の消香液格納部103と,複数の消香液格納部103に対応して配置され,対応する消香液格納部103に格納されている消香液を取り出して空気中に放出する複数の消香液放出器104と,装置外部から所定の制御信号を入力するためのI/F(インターフェース)回路105と,I/F回路105を介して入力した制御信号に基づいて,複数の香料放出器102および複数の消香液放出器104を制御して,香料の放出および消香を行う制御部106と,複数の香料放出器102または複数の消香液放出器104から放出された香料または消香液を装置外部へ送出するための送風ファン107と,から構成される。なお,図において,108は香料または消香液を送り出すための送風口,109は装置外部から空気を取り込むための吸入口を示す。
【0047】
図2は,実施の形態1の香料放出器102および消香液放出器104の構成図を示す。なお,香料放出器102と消香液放出器104とは同一の構成であるため,ここでは香料放出器102を例として説明する。
【0048】
実施の形態1の香料放出器102は,ピエゾ素子を用いたオンデマンド型のインクジェットプリンターのヘッドと同じ構造にしたものであり,インクの替わりに香料(芳香液)を流入させて,香料を噴射するものである。図において,201,202はピエゾ素子,203,204はキャビティ,205は香料流入口,206はノズルを示し,香料を噴射させる場合には,ピエゾ素子201,202のピエゾ駆動信号を同期させて駆動し,停止する場合にはピエゾ駆動信号を停止させる。
【0049】
図3は,実施の形態1の香料放出器102,香料格納部101,消香液放出器104および消香液格納部103の具体的な配置例を示す説明図である。実施の形態1では,インクジェットタイプの液体放出器(A1〜A13およびB1〜B13)を26個配置し,それぞれに対応させて液体格納部(A1’〜A13’およびB1’〜B13’)を配置したものである。なお,ここで,液体格納部はインクジェットタイプのカートリッジから成るものとする。
【0050】
また,図において,液体放出器A1〜A13のそれぞれが香料放出器102に相当し,液体放出器B1〜B13のそれぞれが消香液放出器104に相当する。また,液体放出器A1〜A13に対応して配設された液体格納部A1’〜A13’のそれぞれが香料格納部101に相当し,液体放出器B1〜B13に対応して配設された液体格納部B1’〜B13’のそれぞれが消香液格納部103に相当する。
【0051】
液体放出器A1〜A13と液体放出器B1〜B13は,図示の如く,それぞれ交互に配置されており,同様に液体格納部A1’〜A13’と液体格納部B1’〜B13’も交互に配置されている。
【0052】
香料格納部101である液体格納部A1’〜A13’のうち,液体格納部A1’〜A5’には,原臭となる5種類の香料(例えば,楡の香り,杉の香り,檜の香り,松の香り,桜の香り)の何れか一つがそれぞれ格納されており,液体格納部A6’〜A13’には,単独の香りがそのものの香りとなる香料(例えば,リンゴの香り,レモンの香り,バナナの香り,パイナップルの香り等の匂いの元となる各種エステル)が格納されている。
【0053】
消香液格納部103である液体格納部B1’〜B13’には,対応する液体格納部A1’〜A13’に格納されている香料の成分を中和して香りの効果を消すための消香液がそれぞれ格納されている。例えば,液体格納部B1’には液体格納部A1’の香料を中和する消香液が格納されており,液体格納部B2’には液体格納部A2’の香料を中和する消香液が格納されている。
【0054】
ここで,さらに図22を参照して,実施の形態1の制御部106の具体的な構成例について説明する。制御部106は,図示の如く,液体放出器A1〜A5および液体放出器B1〜B5を駆動する駆動回路2201と,液体放出器A6〜A13および液体放出器B6〜B13を駆動する駆動回路2202と,駆動回路2201を制御する制御回路2203と,駆動回路2202および送風ファン107を制御する制御回路2204と,から構成される。なお,図示を省略するが,I/F回路105からの制御信号は制御回路2203,2204の両方に入力されている。
【0055】
制御回路2203および制御回路2204は,駆動回路2201および駆動回路2202を選択して,目的の芳香を放出すべく,制御を行う。
【0056】
制御回路2203は,駆動回路2201を介して液体放出器A1〜A5のどれか一つを選ぶか,または同時に複数選ぶことができ,これらを選択して駆動することにより,所望の香りの要素を単独または合成して放出することができる。これらを駆動することにより,所望の香りを効率的に調香(香りの調合)をしながら空気中に放出することができる。一旦,このように調香した香りを放出した後に,別の香りを調合して放出したい場合は,その前に駆動回路2201を介して先に放出した香りの液体放出器A1〜A5に対応する液体放出器B1〜B5を選び,それぞれに対応する消香液を放出するべく駆動する。この操作により,概略,直前の香りを消すことができるが,完全では無いことが多いので,図18のマイナスイオン発生器を働かせ空気中の香りの消臭効果を促進させる。
【0057】
制御回路2204は,駆動回路2202を介して液体放出器A6〜A13のどれか一つを選ぶか,または同時に複数選ぶことができ,これらを選択して駆動することにより,単独の香りとなる香料(例えば,リンゴの香り,レモンの香り,バナナの香り,パイナップルの香り等の匂いの元となる各種エステル)の一つを放出し,リンゴならリンゴの香り,バナナならバナナの香り,として味わせることができる。また,バナナとパイナップル等複数の香りを同時に放出して,果物屋さんの店先で感じるような匂いを放出することもできる。また,先に放出した香りとは別の香りを放出したいときは先に放出した液体放出器A6〜A13の香りに対応する消香液の液体放出器B6〜B13を駆動回路2202を介して駆動し,消香液を放出することにより,香りの中和(消臭)を行うことができる。やはり,この操作だけでは概略,香りを消すことができるが,完全では無いことが多いので,図18のマイナスイオン発生器を働かせ空気中の香りの消臭効果を促進させる。
【0058】
以上の構成において,制御部106は,I/F回路105を介して外部装置から入力した制御信号に基づいて,液体放出器A1〜A13および/または液体放出器B1〜B13を制御して,香料の放出あるいは消香を行う。
【0059】
例えば,原臭となる5種類の香料が格納されている液体格納部A1’〜A5’を用いて香りを発生させる場合,液体放出部A1〜A5の何れか一つを選ぶかまたは同時に複数選ぶことにより,香りを合成して放出させることができる。
【0060】
このようにn個(ここでは5個)の香料格納部101および香料放出器102を用意することにより,2n −1種類の香りを発生させることができる。すなわち,ここでは,25 −1=31種類の香りを発生させることができる。近年,香りの原臭は20ないし30ぐらいあるであろうと推定する説があるが,この説に従えば,20個ないし30個の香料格納部101および香料放出器102を用意することにより,所望の香りを合成することが可能となる。具体的には,楡の香り,杉の香り,檜の香り,松の香り,桜の香りの匂いを抽出した物質が液体格納部A1’〜A5’に格納されている場合には,所望の組み合わせで香りを発生させることができ,香りの情報によって森林浴のイメージを提供することができる。
【0061】
また,例えば,あらかじめ,単独で一つの香りがそのものの香りとなる香料を格納した液体格納部A6’〜A13’を用いて香りを発生させる場合,必要なときに対応する液体放出部A6〜A13を駆動して香りを放出することにより,所望の香り情報を出力することができる。具体的には,リンゴの香り,レモンの香り,バナナの香り,パイナップルの香り等を放出することにより,香りの情報によって果物屋の店先のイメージ等を提供することができる。
【0062】
また,香りを放出した後,必要に応じて該当する香りを消香する場合,制御部106は,液体放出器B1〜B13を制御して,消香液を放出して,香りを消香する。例えば,液体放出部A6,A8から香りを放出した後は,液体放出部B6,B8を駆動して対応する消香液を放出し,効率良く香りの消去を行うことができる。
【0063】
なお,実施の形態1では,図3に示したように13個の香料放出器102(液体放出部A1〜A13)を用いた場合を示したが,特にこれに限定するものではなく,香料放出器102の数をいくらでも増やすことができるもは勿論である。また,香料格納部101に格納する香料の香りも,例えば,昆布,蛤,秋刀魚,潮の香り等を用いて,磯辺の香り情報を提供することもできる。また,薔薇,菊,百合,梅等の花の香りを格納しても良い。さらには,消香用を一部あるいは全部取り除いた構成でも本発明の本質を変えるものではない。
【0064】
図4(a)は,制御型芳香出力装置100をパソコン(またはワークステーション)401の出力装置として接続した例を示し,図4(b)は制御型芳香出力装置100をネットワーク(例えば,インターネット,パソコン通信)に直接またはパソコン401を介して接続し,ホスト装置402の出力装置として接続した例を示す説明図である。なお,ホスト装置402は,ここに図示したネットワークの外部との通信が可能な機能(通信回線としては通常の電話回線でも専用回線でも可能)を持っている。その先は単に制御型芳香出力装置だけでもパソコン(またはワークステーション)の出力装置としてもよく,あるいは他のLANなどのネットワークでもよい。このようにすればどこでも誰でも香りの情報を送ることができる。
【0065】
例えば,ホスト装置402側で,WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)のホームページで仮想商店街を設定した場合,果物屋さん,花屋さん,パン屋さん等の香りを演出することができる。果物屋さんの場合,今日はバナナあるいはパイナップルをアピールしたいのであれば,その香りに対応する制御信号を送るように設定しておき,ユーザがそのサイトを訪問したとき,店内の紹介画面や,音楽等の信号と並行して香り情報の制御信号を送る。ユーザ側は,パソコン401のディスプレーで紹介画面を見ると同時に,制御型芳香出力装置100から放出されるバナナやパイナップルの香りを嗅ぐことができ,果物屋さんの店先にきた雰囲気を感じることができる。また,これらの香りを嗅いだことによって,欲しいという欲求がおき,注文を促すことができるかも知れない。
【0066】
また,インターネットのE−mail等の情報交換手段にもテキスト情報だけでなく,香りの情報(制御信号)をコード化しておいて,テキスト情報と共に送ることができ,送り手側と受け手側の両者で共通の香り出力装置(制御型芳香出力装置100)を保有すれば,共通の香りを楽しむことができ,より豊かな情報交換ができる。
【0067】
図5は,制御型芳香出力装置100をテレビ501の出力装置として接続した例を示す。換言すれば,テレビジョン放送の放送信号に香り情報の制御信号を組み込んで配信し,テレビ501で受信した香り情報の制御信号に基づいて,制御型芳香出力装置100から香りを放出するようにしたものである。
【0068】
香り情報の制御信号の情報量は,映像信号や音声信号に比べて非常に少なく,また文字放送の文字コードの情報量と比べても少ないので,既存の放送信号の中で,画像信号や音声信号の隙間に入れ込むことが極めて容易である。
【0069】
具体的な使用方法としては,森林内に入ったときの映像と共に木の香りを送りたいときや,海辺でのインタビューの場面で,磯の香りを送りたいとき等,映像や音声と共に,その場の雰囲気を伝えたいときに用いることができる。
【0070】
図6は,制御型芳香出力装置100をエアコン(空調機器)601の出力装置として接続した例を示し,冷房時,暖房時,単純送風時等のモード信号を利用して,それに相応しい香りを放出するようにする。例えば,冷房時にはハーブ系の香りを放出するようにし,暖房時には甘い香り(カルメラ等)や,南国系の香り(マンゴ,パパイヤ,パイナップル等)を放出するようにし,単純送風時には,木の香りを放出するようにする。
【0071】
なお,図6では,エアコン601と制御型芳香出力装置100を別体とした例を示したが,例えば,制御型芳香出力装置100をエアコン601の送風口に取り付ける構成でも良い。
【0072】
前述したように実施の形態1では,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したり,香りを止めたり,香りを消したりできるので,香りを情報として扱うことができる。
【0073】
また,実施の形態1の制御型芳香出力装置100によれば,香りの情報を制御信号として扱うことができるので,情報提供者が必要なときに制御信号を用いて香りの情報を提供することができる。また,自分の気分にしたがって,所望の香りを発生させたり,止めたりすることができる。例えば,落ち着きたいとき,活動的になりたいとき,ムードを演出したいとき等,香りを使い分けることができる。
【0074】
また,実施の形態1では,香料放出器102および消香液放出器104の構造として,図2で示したようにピエゾ素子を用いたオンデマンド型のインクジェットプリンターのヘッドと同じ構造を用いたが,バブルジェットタイプのヘッドを用いても良い。換言すれば,オンデマンド型であれば,放出方式(駆動方式)は何でもよい。この場合には,香料格納部101および消香液放出器104がバブルジェットタイプのカートリッジから成ることは勿論である。
【0075】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は,実施の形態1と同様の構成において,香料放出器102および消香液放出器104を,霧状に液体を噴霧する霧吹き装置で構成したものである。なお,その他の構成は実施の形態1と同様につき,説明を省略する。
【0076】
図7は,実施の形態2の霧吹き装置701(香料放出器102または消香液放出器104)の構造を示す説明図である。液体格納部702(香料格納部101または消香液格納部103)のノズル702aの口元に空気ノズル701aを取り付け,空気を噴出させて液体(香料または消香液)を霧状に放出させる。空気は,圧搾空気タンク701b中の圧搾空気を電磁バルブ701cを介して空気ノズル701aから噴出させる。なお,この場合,圧搾空気タンク701bの替わりに,圧搾ポンプを用いても良い。また,圧搾空気を液体格納部702の液体中に吹き込んでノズル702aから噴出させる構成でも良い。
【0077】
実施の形態2によれば,実施の形態1と比較して,一時に大量の香料または消香液を噴出させる場合に適している。
【0078】
〔実施の形態3〕
実施の形態3の制御型芳香出力装置は,香料または消香材は液状のものでも剤状のものでも用いることができ,ここでは説明の都合上液状のもので説明する。本発明の香料格納手段および消香材格納手段を,それぞれ香料または消香液を内包した複数の樹脂カプセルで構成し,さらに該複数の樹脂カプセルをシート上にかつスプライト状に塗布してロールシートとすると共に,該樹脂カプセルを塗布したロールシートの構成に対応させ,本発明の香料放出手段および消香材放出手段を,加圧または加熱によって該樹脂カプセルを破壊し,該樹脂カプセルに内包されている香料または消香液を空気中に放出する構成としたものである。
【0079】
なお,実施の形態3の機能的な構成は,図1で示した実施の形態1の制御型芳香出力装置のブロック構成図と同様であるため,ここでは異なる部分のみを説明する。また,ここでは加圧によって該樹脂カプセルを破壊する場合を例として説明する。
【0080】
図8(a),(b)は,実施の形態3の樹脂カプセルを塗布したロールシート(本発明の芳香シート)800の構造を示す説明図である。ここで,樹脂カプセル801が本発明の香料格納手段および消香材格納手段に相当し,樹脂カプセル801内には香料または消香液を内包されている。同図(a)において,802はテープ状のベース素材(シート)を示し,803はベース素材802上に塗布された樹脂カプセル801を固定するためのバインダーを示す。ベース素材802としては,紙や布,さらにはポリエステル等の樹脂でも良い。このように樹脂カプセル801が塗布されたベース素材802を巻き取ってロールシート800とする。
【0081】
また,同図(b)に示すように,ロールシート800は,複数のテープ状の領域A1’〜A13’および領域B1’〜B13’に分けられており,領域A1’〜A13’が香料格納部101に相当し,領域B1’〜B13’が消香液格納部103に相当する。換言すれば,香料格納部101と消香液格納部103の配置は,基本的に図3の液体格納部A1’〜A13’と液体格納部B1’〜B13’と同様の配置である。なお,ここでは,13種類の香料と13種類の消香液を塗布した例を示している。
【0082】
この構成は,一般的に使用されているノーカーボン紙タイプの複写紙において,通常塗布されているジアゾ染料の替わりに,香料または消香液を内包した樹脂カプセル801を配置したものであり,作製は容易である。
【0083】
このロールシート800上の樹脂カプセル801にある一定以上の圧力を加えると破壊され,内包物(香料または消香液)が放出される。
【0084】
図9は,実施の形態3の香料放出手段および消香材放出手段の構成を示す説明図である。樹脂カプセル801が塗布されたロールシート800の一端を,圧力受け台901と各コロ902との間を通して巻取り側のロールに巻き付けて巻取りモータ903で巻き取るように設定してある。
【0085】
各コロ902は,それぞれ対応するアーム904を介して支点905の反対側の電磁プランジャー906の作動により圧力受け台901側に押しつけられるように保持されている。なお,簡単のため図示を省略するが,ロールシート800を挟んで圧力受け台901と対向する位置には,上記コロ902,アーム904,支点905および電磁プランジャー906を1ユニットとして,図8(b)に示したロールシート800上の領域A1’〜A13’および領域B1’〜B13’に対応するように,A1〜A13およびB1〜B13の26ユニット配置されている。
【0086】
以上の構成において,香りを発生させる場合,所望の香りの情報を制御信号として,制御型芳香出力装置へ転送すると,制御部106が,制御信号に基づいて,ユニットA1〜A13のうちの対応するユニットの電磁プランジャー906を駆動して,コロ902を圧力受け台901へ押し当てることにより,ロールシート800上の該当する領域(複数のテープ状の領域A1’〜A13’の所望の領域)の樹脂カプセル801を破壊する。これによって,樹脂カプセル801に内包されていた香料が空気中に放出される。ただし,徐々に消香させようとする場合,必ずしも消香液を放出させなくても良い。
【0087】
また,香りを停止させる場合には,樹脂カプセル801を破壊して放出した香料と対応する消香液が格納されているユニット(B1〜B13の何れか)の電磁プランジャー906を駆動して,コロ902を圧力受け台901へ押し当てることにより,ロールシート800上の該当する領域(複数のテープ状の領域B1’〜B13’の所望の領域)の樹脂カプセル801を破壊する。これによって,樹脂カプセル801に内包されていた消香液が空気中に放出される。ただし,徐々に消香させようとする場合,必ずしも消香液を放出させなくてもよい。
【0088】
このようにして香料の放出および消香液の放出が終了すると,巻取りモータ903の回転によって使用済みのロールシート800が巻取り側のロールに巻き取られる。
【0089】
なお,コロ902を圧力受け台901へ押し当てることにより,コロ902とロールシート800の接触面積に応じた所定の数の樹脂カプセル801が破壊されるので,所定量の香料または消香液が放出された後,自動的に香料または消香液の放出が停止するが,例えば,コロ902を押し当てながら巻取りモータ903を回転させることにより,連続して所望の量の香料または消香液の放出が行えることは明らかである。先に述べた通り,香料あるいは消香液は香剤または消香剤を用いても同様の機能を得ることができる。
【0090】
前述したように実施の形態3によれば,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したり,香りを止めたり,香りを消したりできるので,香りを情報として扱うことができ,実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0091】
また,実施の形態3によれば,ロールシート(芳香シート)を用いるので,香料または/および消香材の取扱いが容易であり,さらに放出制御を容易に行うことができる。
【0092】
さらに,図9で示した実施の形態3の構成に加えて,樹脂カプセル801を破壊して使用した後の使用済みのロールシート800上を覆うためのシール部材を配置し,巻取り側のロールにロールシート800を巻き取る際に,該シール部材をロールシート800上へ貼付しながら巻き取ることにより,使用済みの樹脂カプセル801をシール部材で覆い,残留する香料または消香液を密封するようにしても良い。これによって,香料および消香液の放出停止を速やかに行うことができる。
【0093】
〔実施の形態4〕
実施の形態4の制御型芳香出力装置は,実施の形態1の液体の香料(芳香液)および消香液に替えて,熱昇華型の香料および熱昇華型の消香剤を用いたものである。また,実施の形態4の制御型芳香出力装置は,熱昇華型の香料および熱昇華型の消香剤を直接シート上にかつスプライト状に塗布して感熱タイプのロールシート(香料格納手段および消香剤格納手段)を形成すると共に,該感熱タイプのロールシートの構成に対応させ,本発明の香料放出手段および消香剤放出手段を,加熱によって前記熱昇華型の香料および熱昇華型の消香剤を溶かして,香料または消香剤を空気中に放出する構成としたものである。
【0094】
なお,基本的な構成および制御動作は実施の形態1と同様につき,ここでは異なる部分のみを説明する。
【0095】
図10は,実施の形態4の制御型芳香出力装置1000のブロック構成図を示し,それぞれ異なる種類の熱昇華型の香料を格納する複数の香料格納部1001と,複数の香料格納部1001に対応して配置され,対応する香料格納部1001に格納されている香料を加熱昇華させて空気中に放出する複数の香料放出器1002と,香料の香りを打ち消す昇華型の消香剤を格納する複数の消香剤格納部1003と,複数の消香剤格納部1003に対応して配置され,対応する消香剤格納部1003に格納されている消香剤を加熱昇華させて空気中に放出する複数の消香剤放出器1004と,装置外部から所定の制御信号を入力するためのI/F(インターフェース)回路1005と,I/F回路1005を介して入力した制御信号に基づいて,複数の香料放出器1002および複数の消香剤放出器1004を制御して,香料の放出および消香を行う制御部1006と,複数の香料放出器1002または複数の消香剤放出器1004から放出された香料または消香剤を装置外部へ送出するための送風ファン1007と,から構成される。なお,図において,1008は香料または消香剤を送り出すための送風口,1009は装置外部から空気を取り込むための吸入口を示す。
【0096】
図11(a),(b)は,実施の形態4の感熱タイプのロールシート(芳香シート)1100の構造を示す説明図である。ここで,1101が熱昇華型の香料(または消香剤)を示す。同図(a)において,1102はテープ状のベース素材(シート)を示し,1103はベース素材1102上に塗布された熱昇華型の香料(または消香剤)1101を固定するためのバインダーを示す。ベース素材1102としては,紙や布,さらにはポリエステル等の樹脂でも良い。このように熱昇華型の香料(または消香剤)1101が塗布されたベース素材1102を巻き取ってロールシート1100とする。
【0097】
また,同図(b)に示すように,ロールシート1100は,複数のテープ状の領域A1’〜A13’および領域B1’〜B13’に分けられており,領域A1’〜A13’が香料格納部1001に相当し,領域B1’〜B13’が消香剤格納部1003に相当する。換言すれば,香料格納部1001と消香剤格納部1003の配置は,基本的に図3の液体格納部A1’〜A13’と液体格納部B1’〜B13’と同様の配置である。なお,ここでは,13種類の香料と13種類の消香剤を塗布した例を示している。
【0098】
このロールシート1100上をある程度加熱すると,熱昇華型の香料(または消香剤)1101が昇華して,香料または消香剤が空気中に放出される。
【0099】
図12および図13は,実施の形態4の香料放出手段および消香剤放出手段であるサーマルヘッド1201の配置および構造を示す説明図である。ロールシート1100は,図示の如く,その一端をプラテンローラ1202とサーマルヘッド1201との間を通して巻取り側のロールに巻き付けられており,サーマルヘッド1201でロールシート1100を加熱して,香料または消香剤を放出させ,使用済みのロールシート1100を巻取りモータ(図示せず)で巻き取る構成である。
【0100】
サーマルヘッド1201による香料(または消香剤)の放出制御は,公知の技術を利用することができる。例えば,図13(a),(b)に示すように,共通電極1301と所望の電極(個別の電極)1302との間にパルス電圧を印加することによって,所望の位置の抵抗体1303を発熱させて,対応する位置のロールシート1100上の熱昇華型の香料(または消香剤)1101を溶かして,香りを放出させる。
【0101】
前述したように実施の形態4によれば,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したり,香りを止めたり,香りを消したりできるので,香りを情報として扱うことができ,実施の形態1と同様の効果を奏することができる。この実施の形態4の香料格納手段および消香剤(液)は実施の形態3の加熱破壊型カプセルを塗布したもの,すなわち,図8のカプセル801を熱で容易に破壊される樹脂で構成したものを用いることもできて,他は実施の形態4と同様の構成で同様の効果を得ることができる。
【0102】
また,実施の形態4によれば,香料格納手段および消香剤格納手段として,香料および消香剤を直接シート上にかつスプライト状に塗布した感熱タイプのロールシート(芳香シート)を用いるので,取扱いが容易であると共に,安価に形成することができる。
【0103】
さらに,香料放出手段および消香剤放出手段として,サーマルヘッドを用いることができるので,簡単かつ安価に構成することができる。
【0104】
〔実施の形態5〕
実施の形態5は,本発明の制御型芳香出力装置を卓上型環境コンデイショナーに適用した例を示す。実施の形態5では,香りの合成内容を記録した磁気カード(外部記録媒体)から香りの合成内容を制御信号として入力し,入力した制御信号に基づいて,該当する合成内容の香りを合成すると共に,温度センサー,湿度センサーまたは匂いセンサー等の環境を検知するセンサーから制御信号を入力して,該制御信号に基づいて香料の放出および消香を行うものである。
【0105】
図14は,実施の形態5の制御型芳香出力装置である卓上型環境コンデイショナー1401の外観図を示し,図15は,実施の形態5の制御型芳香出力装置である卓上型環境コンデイショナー1401の電気回路図を示す。磁気カード1402は,例えば,テレホンカードと同様の構成で良く,表面に絵や写真を印刷しておき,裏面には磁気皮膜が塗布してある。磁気皮膜には後述する磁気ヘッドで読み取るべく,香りの情報である制御信号が記録されている。
【0106】
卓上型環境コンデイショナー1401側には,吸気口1403と芳香放出口1404が配設されており,内部には送風ファン(図15参照)FNが配設されている。上部のカード挿入口1405の直後にはマイクロスイッチ(カード検知スイッチ)MSとカード搬送用ローラ(図示せず)が設けられており,磁気カード1402が挿入されると,モーターMが回転(正転)して磁気カード1402を内部に送り込む。このとき,カード搬送用ローラの直後に配置されている磁気ヘッドによって磁気カード1402に記録されている情報が読み取られる。
【0107】
磁気カード1402の終端がカード搬送用ローラを通過する直前に,磁気カード1402の先端がプランジャースイッチPSを切り換えるので,プランジャーPに通電がなされ,プランジャースイッチPSの切り換え状態が保持されると同時にモーターMが逆回転し,磁気カード1402を逆向きに搬送して磁気カード1402を排出する。
【0108】
磁気カード1402が排出されると,マイクロスイッチMSがオフとなり,プランジャーPの電源が切れて,プランジャースイッチPSが初期状態に戻る。なお,図15において,Eは電源,Dはダイオード,1501は芳香発生ユニットを示す。
【0109】
図16は,卓上型環境コンデイショナー1401の芳香発生ユニット1501のブロック図を示し,前述した磁気ヘッドは磁気カードリーダー1601の一部であり,磁気カードリーダー1601は磁気カード1402上の磁気信号を読み取って,電気信号(デジタル信号)に変換し,制御信号としてCPU1602へ送出する。
【0110】
センサーAは,温度センサー(サーミスター)であり,アンプAで増幅とA/D(アナログ/デジタル)変換をして,温度検知信号をCPU1602へ送出する。
【0111】
センサーBは,湿度センサー(サーミスター2個の組み合わせ)であり,アンプBで増幅とA/D(アナログ/デジタル)変換をして,湿度検知信号をCPU1602へ送出する。
【0112】
センサーCは,匂いセンサー(金属酸化物半導体等)であり,アンプCで増幅とA/D(アナログ/デジタル)変換をして,匂い検知信号をCPU1602へ送出する。
【0113】
CPU1602は,実施の形態5の制御手段の役割を果たし,磁気カードリーダー1601の制御信号,センサーA〜Cの検知信号を入力し,ROM1603に記憶されている手順に従って,その内容をRAM1604に一時記憶する。
【0114】
ROM1603は,CPU1602で実行する各種制御プログラムを格納しており,RAM1604は,ワークエリアとして使用される。
【0115】
なお,図において,1605はタイマーを示し,1606は香料・消香液を放出する香料・消香液放出器を示し,1607は香料・消香液放出器の駆動回路を示す。香料・消香液放出器1606としては,例えば,図2で示した実施の形態1の香料放出器102および消香液放出器104を簡略化した構成を適用することができ,特に限定する必要はない。
【0116】
以上の構成において,その動作を説明する。磁気カード1402が挿入された場合,CPU1602は磁気カード1402の内容(磁気カードリーダー1601で読み取った制御信号)に基づいて,指定された香りを放出(または指定された香りが合成)されるように駆動回路1607を制御し,香料・消香液放出器1606から香りを放出する。
【0117】
また,その後,別の磁気カード1402が挿入されると,先に放出していた香りに対応する消香液を一定時間放出して,香りの消去を行った後,次の磁気カード1402で指定された香りの放出を行う。ただし,消香のタイミングとしては消香用の磁気カード1402が挿入された場合にのみ,先に放出していた香りに対応する消香液を一定時間放出して,消香を行うようにしても良い。
【0118】
一方,卓上型環境コンデイショナー1401の電源スイッチがオンされた後,タイマー1605が一定時間経過しても磁気カード1402が挿入されない場合,所定時間毎(例えば,数分毎)に各センサーA,B,Cの内容を読み取り,その内容に基づいて,香料の放出内容を決定して,香料の放出を行う。
【0119】
例えば,18℃以下の場合は,肌寒い気温であるので香りとしては甘い香りか南国系の香りを放出するように駆動回路1607に信号を送る。18〜25℃の場合には暑くも寒くもなく中間的な気温であるので木の香りを放出し,25℃以上の場合には暑さを感じるので涼しい香りであるハーブ系の香りを放出するように駆動回路1607を制御する。
【0120】
また,湿度が70%を越えると鬱陶しい感覚になるのでハーブ系の香りを放出し,30%以下になると空気がパサパサし,鼻や喉に渇きを感じるようになるので甘い香りや南国系の香りを放出するようにする。
【0121】
さらに温度や湿度の組み合わせにより,放出する香りの配分を細かく調整したり,さらに他の香り(花の香りや,柑橘系の香り等)を用いても良い。
【0122】
また,センサーC(匂いセンサー)を,煙草の匂い(煙)に反応する構成として,煙草の匂いを検知した場合に,煙草の匂いを消香する消香液と,ハーブ系の香りを放出するようにしても良い。
【0123】
前述したように実施の形態5によれば,実施の形態1と同様の効果に加えて,さらに環境の状況に応じて,香りを放出したり,香りの内容を変更したりできるので,より快適な環境を提供することができる。
【0124】
〔実施の形態6〕
図17は,実施の形態6の制御型芳香出力装置1700のブロック構成図を示す。実施の形態6は,図1で示した実施の形態1の構成に加えて,さらに空気の清浄および嗅覚の正常化を行うためにマイナスイオンを発生するマイナスイオン発生器1701を設けたものである。なお,基本的な構成および動作は実施の形態1と同様につき,ここでは異なる部分のみを説明する。
【0125】
マイナスイオン発生器1701は,例えば,図18に示すように,金属ワイヤ1801,金属プレート1802,電源1803およびスイッチ1804で簡単に構成することができる。
【0126】
マイナスにイオン化された空気は身体のために良いことが知られており,鼻には爽やかな匂いとして感じられる。このマイナスイオンを香料および消香液と組み合わせて複合的に利用することにより,さらに本発明の制御型芳香出力装置の効果的な利用が可能となる。
【0127】
具体的には,長時間,香料を放出したり,消香したりすると,狭い部屋等では空気が濁ってしまい,別の香りを発生させたときに,本来の香りがしない場合がある。そこで,制御部106の制御によって,香料の放出および消香を行った後,マイナスイオン発生器1701を駆動してマイナスイオンを発生させ,空気の清浄および嗅覚の正常化を行う。これによって,さらに所望の香りを効果的に利用することができるようになる。
【0128】
また,香料の放出と同時に,マイナスイオン発生器1701を制御して空気の清浄および嗅覚の正常化を行っても良い。例えば,森林の映像と組み合わせて木の香りと共に,マイナスイオンを発生させることにより,さらに効果的に森林浴を演出することができる。
【0129】
また,香料の放出を継続的に行う場合,マイナスイオン発生器1701を制御して所定の周期で空気の清浄および嗅覚の正常化を行うようにしても良い。これによって,香りにゆらぎを与えることができ,連続した香りの刺激によって一時的に鈍化していた嗅覚を正常化して,香りを新鮮に感じさせることができる。
【0130】
〔実施の形態7〕
実施の形態7の制御型芳香出力装置は,図1に示した実施の形態1の制御型芳香出力装置100から消香液格納部103および消香液放出器104を取り除いた構成であり,香料の放出のみを行うものである。
【0131】
図19は,実施の形態7の制御型芳香出力装置1900のブロック構成図を示し,それぞれ異なる種類の香料を格納する複数の香料格納部101と,複数の香料格納部101に対応して配置され,対応する香料格納部101に格納されている香料を取り出して空気中に放出する複数の香料放出器102と,装置外部から所定の制御信号を入力するためのI/F(インターフェース)回路105と,I/F回路105を介して入力した制御信号に基づいて,複数の香料放出器102を制御して香料の放出を行う制御部106と,複数の香料放出器102から放出された香料を装置外部へ送出するための送風ファン107と,香料を送り出すための送風口108,装置外部から空気を取り込むための吸入口109と,から構成される。
【0132】
なお,実施の形態7の制御型芳香出力装置1900において,当然のことながら制御部106は香料の消香に関する制御は行わず,香料の放出の制御のみを行うものである。
【0133】
また,詳細な説明は省略するが,香料格納部101および香料放出器102の具体的な配置としては,図3に示した実施の形態1の配置例から液体放出器B1〜B13および液体格納部B1’〜B13’を取り除いた配置を用いることができる。換言すれば,液体放出器A1〜A13(香料放出器102)および液体格納部A1’〜A13’(香料格納部101)のみを配置した構成となる。
【0134】
以上の構成において,制御部106は,I/F回路105を介して外部装置から入力した制御信号に基づいて,液体放出器A1〜A13を制御して,香料の放出を行うので,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したりすることができ,香りを情報として扱うことができる。
【0135】
また,実施の形態7の制御型芳香出力装置1900によれば,香りの情報を制御信号として扱うことができるので,情報提供者が必要なときに制御信号を用いて香りの情報を提供することができる。また,自分の気分にしたがって,所望の香りを発生させることができる。例えば,落ち着きたいとき,活動的になりたいとき,ムードを演出したいとき等,香りを使い分けることができる。
【0136】
〔実施の形態8〕
実施の形態8の制御型芳香出力装置は,実施の形態4の熱昇華型の香料および熱昇華型の消香剤を用いた制御型芳香出力装置1000から,消香剤格納部1003および消香剤放出器1004を取り除いた構成であり,香料の放出のみを行うものである。
【0137】
図20は,実施の形態8の制御型芳香出力装置2000のブロック構成図を示し,それぞれ異なる種類の熱昇華型の香料を格納する複数の香料格納部1001と,複数の香料格納部1001に対応して配置され,対応する香料格納部1001に格納されている香料を加熱昇華させて空気中に放出する複数の香料放出器1002と,装置外部から所定の制御信号を入力するためのI/F(インターフェース)回路1005と,I/F回路1005を介して入力した制御信号に基づいて,複数の香料放出器1002を制御して,香料の放出を行う制御部1006と,複数の香料放出器1002から放出された香料を装置外部へ送出するための送風ファン1007と,香料を送り出すための送風口1008と,装置外部から空気を取り込むための吸入口1009と,から構成される。
【0138】
なお,実施の形態8の制御型芳香出力装置2000において,当然のことながら制御部1006は香料の消香に関する制御は行わず,香料の放出の制御のみを行うものである。
【0139】
また,詳細な説明は省略するが,複数の香料格納部1001としては,図11に示した実施の形態4の感熱タイプのロールシート1100と同様の構造を用いることができる。ただし,実施の形態8では,ロールシート上に,香料格納部1001に相当する複数のテープ状の領域A1’〜A13’のみが配置されているものとする。このロールシート上をある程度加熱すると,熱昇華型の香料が昇華して,香料が空気中に放出される。
【0140】
また,実施の形態8の香料放出手段である複数の香料放出器1002は,具体的には,実施の形態4と同様にサーマルヘッドを用いるものである。
【0141】
以上の構成において,制御部1006は,I/F回路1005を介して外部装置から入力した制御信号に基づいて,サーマルヘッド(複数の香料放出器1002)を制御して,香料の放出を行うので,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したりすることができ,香りを情報として扱うことができる。
【0142】
また,実施の形態8の制御型芳香出力装置2000によれば,実施の形態7と同様の効果に加えて,香料格納手段として,熱昇華型の香料を直接シート上にかつスプライト状に塗布した感熱タイプのロールシートを用いるので,取扱いが容易であると共に,安価に形成することができる。
【0143】
さらに,香料放出手段として,サーマルヘッドを用いることができるので,簡単かつ安価に構成することができる。
【0144】
〔実施の形態9〕
実施の形態9は,香料格納手段および香料放出手段を1つずつ配置したものである。前述した実施の形態1〜実施の形態8では,香料格納手段および香料放出手段をそれぞれ複数配置した例を示したが,最も簡単な構成としては,香料格納手段および香料放出手段を1つずつ配置しても良い。
【0145】
図21は,実施の形態9の制御型芳香出力装置2100のブロック構成図を示し,香料を格納する香料格納部2101と,香料格納部2101に格納されている香料を取り出して空気中に放出する香料放出器2102と,装置外部から所定の制御信号を入力するためのI/F(インターフェース)回路2103と,I/F回路2103を介して入力した制御信号に基づいて,香料放出器2102を制御して,香料の放出を行う制御部2104と,香料を送り出すための送風口2105と,から構成される。
【0146】
なお,香料格納部2101および香料放出器2102の具体的な構成は,実施の形態1〜実施の形態8で示したものを適用することができるのは明らかである。
【0147】
このような構成において,実施の形態9によれば,一台の装置で,必要に応じて香りを発生させることができる。また,香りを情報として扱えるので,情報提供者が必要なときに制御信号を用いて香りの情報を提供することができる。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように,請求項1に係る発明によれば、所定の制御信号に基づいて,香料の放出を行う制御型芳香出力装置において,複数の香料を格納する複数の香料格納手段と,前記複数の香料格納手段に対応して配置され,対応する前記香料格納手段に格納されている香料を取り出して瞬時に空気中に放出する複数の香料放出手段と,空気中に放出されて所望の合成香を得るために前記所定の制御信号に基づいて,選択された複数の香料放出手段を瞬時に作動させるよう制御する制御手段と,を備えたことで、一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したりできる。また,香りを情報として扱えるので,情報提供者が必要なときに制御信号を用いて香りの情報を提供することができる。また、複数の香料放出手段から複数の香料を放出して香料を合成して所望の芳香を得るため,香料(香りの素)を組み合わせて所望の香りを得ることができる。
【0149】
また,請求項1にかかる発明によれば,前記香料の香りを打ち消す消香材を格納する複数の消香材格納手段と,前記複数の消香材格納手段に対応して配置され,対応する前記消香材格納手段に格納されている消香材を取り出して空気中に放出する複数の消香材放出手段と,を備え,前記制御手段は,さらに前記所定の制御信号に基づいて,前記複数の香料放出手段を選択し,かつ複数の消香材放出手段を選択することで,一台の装置で,必要に応じて,所望の香りを発生させたり,香りを変更したり,香りを止めたり,香りを消したりできるようにして,香りを情報として扱うことができる。また,香りの情報を制御信号として扱うことができるので,情報提供者が必要なときに制御信号を用いて香りの情報を提供することができる。
【0150】
また,請求項2にかかる発明によれば,前記制御手段は,前記香料の放出または消香を行った後,前記マイナスイオン発生手段を制御することで,空気の清浄および嗅覚の正常化を行うことができ,香りを効率的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の制御型芳香出力装置のブロック構成図である。
【図2】実施の形態1の香料放出器および消香材放出器の構成図である。
【図3】実施の形態1の香料放出器,香料格納部,消香材放出器および消香材格納部の具体的な配置例を示す説明図である。
【図4】同図(a)は制御型芳香出力装置をパソコン(またはワークステーション)の出力装置として接続した例を示し,同図(b)は制御型芳香出力装置をネットワークに直接またはパソコンを介して接続し,ホスト装置の出力装置として接続した例を示す説明図である。
【図5】制御型芳香出力装置をテレビの出力装置として接続した例を示す説明図である。
【図6】制御型芳香出力装置をエアコン(空調機器)の出力装置として接続した例を示す説明図である。
【図7】実施の形態2の香料放出器および消香材放出器の構造を示す説明図である。
【図8】実施の形態3の樹脂カプセルを塗布したロールシート(芳香シート)の構造を示す説明図である。
【図9】実施の形態3の香料放出手段および消香材放出手段の構成を示す説明図である。
【図10】実施の形態4の制御型芳香出力装置のブロック構成図である。
【図11】実施の形態4の感熱タイプのロールシート(芳香シート)の構造を示す説明図である。
【図12】実施の形態4の香料放出手段および消香剤放出手段であるサーマルヘッドの配置を示す説明図である。
【図13】実施の形態4のサーマルヘッドの構成を示す説明図である。
【図14】実施の形態5の制御型芳香出力装置である卓上型環境コンデイショナーの外観図である。
【図15】実施の形態5の制御型芳香出力装置である卓上型環境コンデイショナーの電気回路図である。
【図16】実施の形態5の卓上型環境コンデイショナーの芳香発生ユニットのブロック図である。
【図17】実施の形態6の制御型芳香出力装置のブロック構成図である。
【図18】実施の形態6のマイナスイオン発生器の構成例を示す説明図である。
【図19】実施の形態7の制御型芳香出力装置のブロック構成図である。
【図20】実施の形態8の制御型芳香出力装置のブロック構成図である。
【図21】実施の形態9の制御型芳香出力装置のブロック構成図である。
【図22】実施の形態1の制御型芳香出力装置の制御部の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
100 制御型芳香出力装置
101 香料格納部
102 香料放出器
103 消香材格納部
104 消香材放出器
105 I/F回路
106 制御部
107 送風ファン
108 送風口
109 吸入口
A1〜A13 液体放出器(香料放出器)
B1〜B13 液体放出器(消香材放出器)
A1’〜A13’ 液体格納部(香料格納部)
B1’〜B13’ 液体格納部(消香材格納部)
800 ロールシート
801 樹脂カプセル
1000 制御型芳香出力装置
1001 香料格納部
1002 香料放出器
1003 消香剤格納部
1004 消香剤放出器
1005 I/F回路
1006 制御部
1007 送風ファン
1008 送風口
1009 吸入口
1100 感熱タイプのロールシート
1101 熱昇華型の香料(または消香剤)
1102 ベース素材
1103 バインダー
1201 サーマルヘッド
1401 卓上型環境コンデイショナー(制御型芳香出力装置)
1402 磁気カード
1501 芳香発生ユニット
1602 CPU(制御手段)
1700 制御型芳香出力装置
1701 マイナスイオン発生器
1900 制御型芳香出力装置
2000 制御型芳香出力装置
2100 制御型芳香出力装置
2101 香料格納部
2102 香料放出器
Claims (2)
- 所定の制御信号に基づいて,香料の放出を行う制御型芳香出力装置において,
複数の香料を格納する複数の香料格納手段と,
前記複数の香料格納手段に対応して配置され,対応する前記香料格納手段に格納されている香料を取り出して瞬時に空気中に放出する複数の香料放出手段と,
空気中に放出されて所望の合成香を得るために前記所定の制御信号に基づいて,選択された複数の香料放出手段を瞬時に作動させるよう制御する制御手段と,
前記香料の香りを打ち消す消香材を格納する複数の消香材格納手段と,
前記複数の消香材格納手段に対応して配置され,対応する前記消香材格納手段に格納されている消香材を取り出して空気中に放出する複数の消香材放出手段と,を備え,
前記制御手段は,さらに前記所定の制御信号に基づいて,前記複数の香料放出手段を選択し、かつ複数の消香材放出手段を選択することを特徴とする制御型芳香出力装置。 - 前記制御手段は,前記香料の放出または消香を行った後,前記マイナスイオン発生手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御型芳香出力装置。
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