JP3638068B2 - ポジ型感光性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷板やIC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、更にその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポジ型フォトレジスト組成物としては、一般にアルカリ可溶性樹脂と感光物としてのナフトキノンジアジド化合物とを含む組成物が用いられている。例えば、「ノボラック型フェノール樹脂/ナフトキノンジアジド置換化合物」として米国特許第3,666,473号、米国特許第4,115,128号及び米国特許第4,173,470号等に、また最も典型的な組成物として「クレゾール−ホルムアルデヒドより成るノボラック樹脂/トリヒドロキシベンゾフェノン−1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル」の例がトンプソン「イントロダクション・トゥー・マイクロリソグラフィー」(L.F.Thompson「Introduction to Microlithography」)(ACS出版、No.2,19号、p112〜121)に記載されている。
このような基本的にノボラック樹脂とキノンジアジド化合物から成るポジ型フォトレジストは、ノボラック樹脂がプラズマエッチングに対して高い耐性を与え、ナフトキノンジアジド化合物は溶解阻止剤として作用する。そして、ナフトキノンジアジドは光照射を受けるとカルボン酸を生じることにより溶解阻止能を失い、ノボラック樹脂のアルカリ溶解度を高めるという特性を持つ。
【0003】
これまで、かかる観点からノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系感光物を含有する数多くのポジ型フォトレジストが開発、実用化され、0.8μm〜2μm程度までの線幅加工に於いては十分な成果をおさめてきた。
しかし、集積回路はその集積度を益々高めており、超LSIなどの半導体基板の製造に於いてはハーフミクロン以下の線幅から成る超微細パターンの加工が必要とされるようになってきた。この必要な解像力を達成するためにフォトリソグラフィーに用いられる露光装置の使用波長は益々短波化し、今では、遠紫外光やエキシマレーザー光(XeCl、KrF、ArFなど)が検討されるまでになってきている。
従来のノボラックとナフトキノンジアジド化合物から成るレジストを遠紫外光やエキシマレーザー光を用いたリソグラフィーのパターン形成に用いると、ノボラック及びナフトキノンジアジドの遠紫外領域に於ける吸収が強いために光がレジスト底部まで到達しにくくなり、低感度でテーパーのついたパターンしか得られない。
【0004】
このような問題を解決する手段の一つが、米国特許第4,491,628号、欧州特許第249,139号等に記載されている化学増幅系レジスト組成物である。化学増幅系ポジ型レジスト組成物は、遠紫外光などの放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させパターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0005】
このような例として、光分解により酸を発生する化合物と、アセタールまたはO,N−アセタール化合物との組合せ(特開昭48−89003号)、オルトエステル又はアミドアセタール化合物との組合せ(特開昭51−120714号)、主鎖にアセタール又はケタール基を有するポリマーとの組合せ(特開昭53−133429号)、エノールエーテル化合物との組合せ(特開昭55−12995号)、N−アシルイミノ炭酸化合物化合物との組合せ(特開昭55−126236号)、主鎖にオルトエステル基を有するポリマーとの組合せ(特開昭56−17345号)、第3級アルキルエステル化合物との組合せ(特開昭60−3625号)、シリルエステル化合物との組合せ(特開昭60−10247号)、及びシリルエーテル化合物との組合せ(特開昭60−37549号、特開昭60−121446号)等を挙げることができる。これらは原理的に量子収率が1を越えるため、高い感光性を示す。
【0006】
同様に、室温経時下では安定であるが、酸存在下加熱することにより分解し、アルカリ可溶化する系として、例えば、特開昭59−45439号、特開昭60−3625号、特開昭62−229242号、特開昭63−27829号、特開昭63−36240号、特開昭63−250642号、Polym.Eng.Sce.,23巻、1012頁(1983);ACS.Sym.242巻、11頁(1984);Semiconductor World 1987年、11月号、91頁;Macromolecules,21巻、1475頁(1988);SPIE,920巻、42頁(1988)等に記載されている露光により酸を発生する化合物と、第3級又は2級炭素(例えばt-ブチル、2-シクロヘキセニル)のエステル又は炭酸エステル化合物との組合せ系が挙げられる。これらの系も高感度を有し、且つ、ナフトキノンジアジド/ノボラツク樹脂系と比べて、Deep-UV領域での吸収が小さいことから、前記の光源短波長化に有効な系となり得る。
【0007】
上記ポジ型化学増幅レジストは、アルカリ可溶性樹脂、放射線等の露光によつて酸を発生する化合物(光酸発生剤)、及び酸分解性基を有するアルカリ可溶性樹脂に対する溶解阻止化合物から成る3成分系と、酸との反応により分解しアルカリ可溶となる基(酸分解性基)を有する樹脂と光酸発生剤からなる2成分系、あるいは酸との反応により分解しアルカリ可溶となる基を有する樹脂と溶解阻止化合物と光酸発生剤からなる2.5成分系に大別できる。
これら2成分系、2.5成分系あるいは3成分系のポジ型化学増幅レジストにおいては、露光により光酸発生剤からの酸を介在させて、熱処理後現像してレジストパターンを得るものである。
【0008】
従来、化学増幅レジストは、非画像部と画像部のディスクリミネーションが良好で高い解像度が要求される。しかしながら、従来の化学増幅レジストではいまだディスクリミネーションが十分でなく解像度の低い画像となってしまった。
特開平8−146609号公報には、含水量が0.05〜0.15%であるレジスト組成物が記載されているが、最終物であるレジスト組成物中の含水量の規定であり、その含水量の範囲でも未だ感度、解像力において不十分なところがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、非画像部と画像部のディスクリミネーションが向上し、高感度と高解像力と良好なプロファイルとを有し、更に露光後加熱処理までの経時によるレジストパターンの細りが生じないポジ型感光性組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記諸特性に留意し鋭意検討した結果、本発明の目的が、ポジ型化学増幅系において、下記特定の含水量を有するフェノール樹脂から得られた樹脂を用いることで達成されることを見いだし、本発明に到達した。即ち、本発明の目的は下記構成により達成することが見出された。
(1) (a)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(b)含水量1.2%以下であるフェノール性樹脂を原料として、該樹脂のフェノール性水酸基を、酸の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基で保護された樹脂を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
(2) (a)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、(b)含水量1.2%以下であるフェノール性樹脂を原料として、該樹脂のフェノール性水酸基を、酸の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基で保護された樹脂、及び(c)酸の作用により分解しうる基を有し、アルカリ現像液中での溶解度が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子酸分解性溶解阻止化合物を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
(3) (b)含水量1.2%以下であるフェノール性樹脂が、100〜140℃で8〜20時間真空乾燥して得られたものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポジ型感光性組成物。
【0011】
詳細は不明であるが、通常用いられているフェノール樹脂を原料として用い、その樹脂のフェノール性水酸基を酸の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基(以下、酸分解性基ともいう)で保護すると、その含水量がさまざまに異なることから反応進行の様子が異なり、一定な品質の樹脂が得られないことが判った。高い含水量のフェノール性樹脂を用いると、得られる樹脂が一定でなく、しかも水による影響を受けた副生成物が得られ、その結果それを用いて調整したレジスト組成物は、感度、解像力が悪くなってしまう。また、その副生成物の構造は不明で、その規制は非常に困難であった。即ち、原料であるフェノール性樹脂の含水量により、それを用いた組成物の感度、解像力が大きく影響を受けることが判った。
本発明においては、その原料であるフェノール性樹脂の含水量を1.7%以下に低減させることで、一定な品質で、しかも高品質な酸分解性基含有樹脂が得られ、その樹脂を用いて調整したレジスト組成物は高感度、高解像力なものが得られ、更に露光後加熱処理までの経時でのレジストパターンの細りが生じないことを見出した。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に使用する化合物について詳細に説明する。
〔(b)の樹脂〕
(b)の樹脂は、含水量1.7%以下であるフェノール性樹脂を原料として、該樹脂のフェノール性水酸基を、酸分解性基により保護された樹脂である。本発明において、フェノール性樹脂の含水量は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.2%以下である。フェノール性樹脂は、従来吸湿性が非常に高いので、場合によっては、入手後更に従来の方法により高温・真空乾燥することにより目的の含水量まで低下させることができる。その方法としては、例えば高温・真空乾燥機中で、100〜140℃に昇温し8〜20時間真空乾燥する方法などが用いられる。この操作は必要な場合に行えば良く、必ずしも必要な操作ではない。
【0013】
本発明における(b)の樹脂は、酸分解性基を有し、上記特性を有するものであれば、いずれの樹脂でもよい。
酸分解性基は、樹脂の主鎖または側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に含有することができる。この内、酸分解性基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0014】
ここで、好ましい酸分解性基としては、酸により分解し得る基、即ち−COO−A0 、−O−B0基を含む基としては、−R0−COO−A0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す。
R01、R02、R03、R04及びR05は、それぞれ同一でも相異していても良く、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03、及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は置換基を有していても良い2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していても良い2価以上の芳香族基を示す。2価以上の脂肪族基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基などのような2価、メチン基やエチン基のような3価及び4価で炭素数1〜4個のものが好ましく、これらはさらに置換基によって置換されていてもよい。また、2価以上の芳香族基としては、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレンのような単環のもの、1,2−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,7−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,3−ナフチレン、2,4−ナフチレン、2,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、2,8−ナフチレンなどのような2環のもの、アントラセンのような3環のものなどが挙げられ、更に多くの環を縮環していても良く、置換基を有していてもよい。
【0015】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フエネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0016】
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、ケタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、アセタール基である。
この中で、アセタール基又はケタール基が特に好ましい。
【0017】
本発明において、母体樹脂の側鎖に酸分解性基を導入する方法は、これまでに既存の方法を用いることができる。
例えば、第3級アルキルカーボネート基は第3級アルキルカーボネート無水物とアミンとを用いて樹脂の側鎖に導入することができる。また、アセタール基やケタール基は対応するビニルエーテルを酸存在下反応させることにより導入が可能である。
本発明においては、アセタール基やケタール基の導入のような、酸触媒存在下で行う反応に対して特に有効な効果が得られる。
【0018】
次に、これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH、好ましくは−R0−COOHもしくは−Ar−OH基を有し、含水量1%以下のフェノール性樹脂である。例えば、後述のフェノール性樹脂を挙げることができる。
【0019】
これらフェノール性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(Aはオングストローム)。
また、矩形プロファイルを達成する点から遠紫外光やエキシマレーザー光に対する透過率が高いフェノール性樹脂が好ましい。好ましくは、1μm膜厚の248nmでの透過率が20〜80%である。
このような観点から、特に好ましいフェノール性樹脂は、o−,m−,p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体及び水素化ノボラック樹脂である。
【0020】
本発明において、酸で分解し得る基を有する樹脂として好ましいものとしては、母体樹脂のOH基の全量に対して、15〜35モル%のOH基がアセタール基又はケタール基で保護されているものが好ましい。
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で分解し得る基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.40、更に好ましくは0.05〜0.30である。B/(B+S)>0.5ではPEB後の膜収縮、基板への密着不良やスカムの原因となり好ましくない。一方、B/(B+S)<0.01では、パターン側壁に顕著に定在波が残ることがあるので好ましくない。
【0021】
上記(b)の樹脂としては、フェノール性樹脂を酸分解性基で保護したものさらには、架橋構造を有していてもよい。好ましくは、含水量1.7%以下のフェノール性樹脂、ビニルエーテル化合物を反応させて得られる樹脂、または、含水量1.7%以下のフェノール性樹脂、ビニルエーテル化合物及び2価以上のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有する架橋剤を反応させて得られる樹脂である。
【0022】
上記フェノール性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に好ましいフェノール性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0023】
所定のモノマーとしては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3−キシレノール等のキシレノール類、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフエノール、2,3,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール類、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノール、p−ブトキシフェノール等のアルコキシフェノール類、2−メチル−4−イソプロピルフェノール等のビスアルキルフェノール類、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノール、ナフトール等のヒドロキシ芳香化合物を単独もしくは2種類以上混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、クロロアセトアルデヒド及びこれらのアセタール体、例えばクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール等を使用することができるが、これらの中で、ホルムアルデヒドを使用するのが好ましい。
これらのアルデヒド類は、単独でもしくは2種類以上組み合わせて用いられる。酸性触媒としては塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等を使用することができる。
【0025】
樹脂(b)の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは10000〜200000である。また、レジスト膜の耐熱性を向上させるという観点からは、25000以上が好ましい。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
【0026】
ビニルエーテル化合物としては、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
【0027】
一般式(1)
【化1】
【0028】
式(1)中、R11〜R13は、同じでも異なってもよく、水素原子、アルキル基、アリル基、アラルキル基、シクロアルキル基を表す。R14はアルキル基、アリル基、アラルキル基、シクロアルキル基を表す。R11とR13、又はR11とR12は炭素原子の5〜10員環、あるいは−O−、−S−、−SO2 −、−N(R15)−のヘテロ原子を含む環を形成してもよい。R15は、アルキル基、アリル基、アラルキル基を表す。R12とR14は酸素原子と炭素原子を含む5〜8員環を含む環を形成してもよい。
【0029】
式(1)中のR11〜R15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、アリル基としては、ビニル基が好ましく、アラルキル基としては、ベンジル基、フエネチル基、クミル基の様な炭素数7〜10個のアラルキル基が好ましく、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましい。
【0030】
R11とR13、又はR11とR12が形成する炭素原子の5〜10員環としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロブチル基等が挙げられる。
R11とR13、又はR11とR12が形成する、−O−、−S−、−SO2 −、−N(R15)−のヘテロ原子を含む環としては、
【0031】
【化2】
【0032】
等の構造が挙げられ、これら複素環は更に置換基を有していてもよい。但し、上記構造において、一般式(1)と結合する場所は、各構造の炭素原子の部分である。
R12とR14が形成する酸素原子と炭素原子を含む5〜8員環を含む環としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0033】
2価以上のヒドロキシ基及びカルボキシル基を有する架橋剤としては、好ましくは下記一般式(2)で示される化合物である。
【0034】
【化3】
【0035】
式(2)中、R20、R22は同じでも異なっていてもよく、−OHあるいは−COOHを表す。R21は2価以上(m+n価)の連結基を表す。m、nは自然数を表す。R21は具体的には、2価以上(m+n価)の脂肪族あるいは芳香族炭化水素基を表し、2価以上の脂肪族基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基などのようなアルキレン基、メチン基やエチン基のような3価及び4価で炭素数1〜4個のものが好ましく、これらはさらに置換基によって置換されていてもよい。また、2価以上の芳香族基としては、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレンのような単環のもの、1,2−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,7−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,3−ナフチレン、2,4−ナフチレン、2,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、2,8−ナフチレンなどのような2環のもの、アントラセンのような3環のものなどのアリーレン基が挙げられ、更に多くの環を縮環していても良く、置換基を有していてもよい。
【0036】
本発明に用いられる樹脂の合成法としては、例えば、上記のようなフェノール性樹脂と、上記エノールエーテル化合物と上記架橋剤とを反応させて得られる。この場合、必要に応じて架橋剤を添加せずに架橋なしの樹脂を得ることも可能である。
具体的には、上記のようなフェノール性樹脂と架橋剤を酸触媒存在下でエノールエーテル化合物によって反応を行う。
【0037】
酸触媒としては、塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸一水和物、無水パラトルエンスルホン酸、ピリジウムパラトルエンスルホネート、活性白土などが挙げられる。脱水剤、溶剤を添加してもよい。
反応温度は、室温から加熱還流までのその化合物の様子によって適宜設定することができる。酸触媒量は微量でよい。
その反応において、フェノール性樹脂、架橋剤、エノールエーテル化合物の添加量としては、フェノール性樹脂に対して、架橋剤を0.01〜10mol%、エノールエーテルが1mol%〜45mol%である。より好ましくは架橋剤が0.05〜5mol%、エノールエーテルが5mol%〜40mol%である。更に好ましくは架橋剤が0.1〜5mol%、エノールエーテルが10mol%〜35mol%である。
また、必要に応じて架橋剤を添加しない場合は、上記架橋剤の添加量を0mol%にすればよい。
【0038】
本発明における(b)の樹脂は2種類以上混合して使用しても良い。本発明におけるこれら樹脂の使用量は、感光性組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として40〜99重量%、好ましくは60〜95重量%である。
【0039】
〔活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物〕
本発明で使用される活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の光により酸を発生する化合物およびそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0040】
たとえば S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同 Re 27,992号、特願平3-140,140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056 号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049 号、同第410,201号、特開平2-150,848号、特開平2-296,514号等に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984) 、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693 号、同3,902,114 号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、獨国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号等に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,1047(1979) 等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46-4605 号、特開昭48-36281号、特開昭55-32070号、特開昭60-239736号、特開昭61-169835 号、特開昭61-169837号、特開昭62-58241号、特開昭62-212401号、特開昭63-70243号、特開昭63-298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier etal,J.Rad.Curing,13(4),26(1986) 、T.P.Gill etal,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2-161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem Soc.,3571(1965)、 P.M.Collins etal,J.Chem.SoC.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etalJ.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、 F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、 米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60-198538号、特開昭53-133022号等に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64-18143 号、特開平2-245756号、特願平3-140109号等に記載のイミノスルフォネ−ト等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61-166544号等に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0041】
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、M.E.Woodhouse etal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas etal,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamadaetal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972) 、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed., 17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、獨国特許第3914407号、特開昭63-26653号、特開昭55-164824号、特開昭62-69263号、特開昭63-146038 号、特開昭63-163452号、特開昭62-153853号、特開昭63-146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0042】
さらにV.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0043】
上記活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に有効に用いられるものについて以下に説明する。
(1)トリハロメチル基が置換した下記一般式(PAG1)で表されるオキサゾール誘導体または一般式(PAG2)で表されるS−トリアジン誘導体。
【0044】
【化4】
【0045】
式中、R201 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、R202 は置換もしくは未置換のアリール基、アルケニル基、アルキル基、−C(Y)3をしめす。Yは塩素原子または臭素原子を示す。
具体的には以下の化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
(2)下記の一般式(PAG3)で表されるヨードニウム塩、または一般式(PAG4)で表されるスルホニウム塩。
【0050】
【化8】
【0051】
ここで式Ar1、Ar2は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒロドキシ基、メルカプト基およびハロゲン原子が挙げられる。
【0052】
R203 、R204 、R205 は各々独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。好ましくは、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜8のアルキル基およびそれらの置換誘導体である。好ましい置換基としては、アリール基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒロドキシ基およびハロゲン原子であり、アルキル基に対しては炭素数1〜8のアルコキシ基、カルボキシル基、アルコシキカルボニル基である。
【0053】
Z-は対アニオンを示し、例えばBF4 -、AsF6 -、PF6 -、SbF6-、SiF6 2-、ClO4 -、CF3SO3 -等のパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ナフタレン−1−スルホン酸アニオン等の縮合多核芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノンスルホン酸アニオン、スルホン酸基含有染料等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0054】
またR203 、R204 、R205 のうちの2つおよびAr1、Ar2はそれぞれの単結合または置換基を介して結合してもよい。
【0055】
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
【化9】
【0057】
【化10】
【0058】
【化11】
【0059】
【化12】
【0060】
【化13】
【0061】
【化14】
【0062】
【化15】
【0063】
【化16】
【0064】
【化17】
【0065】
【化18】
【0066】
【化19】
【0067】
一般式(PAG3)、(PAG4)で示される上記オニウム塩は公知であり、たとえばJ.W.Knapczyk etal,J.Am.Chem.Soc.,91,145(1969)、A.L.Maycok etal, J.Org.Chem.,35,2532,(1970)、E.Goethas etal ,Bull.Soc.Chem.Belg.,73,546,(1964) 、H.M.Leicester、J.Ame.Chem.Soc.,51,3587(1929)、J.V.Crivello etal,J.Polym.Chem.Ed.,18,2677(1980)、米国特許第2,807,648 号および同4,247,473 号、特開昭53-101,331号等に記載の方法により合成することができる。
【0068】
(3)下記一般式(PAG5)で表されるジスルホン誘導体または一般式(PAG6)で表されるイミノスルホネート誘導体。
【0069】
【化20】
【0070】
式中、Ar3、Ar4は各々独立に置換もしくは未置換のアリール基を示す。R206 は置換もしくは未置換のアルキル基、アリール基を示す。Aは置換もしくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を示す。
具体例としては以下に示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
【化21】
【0072】
【化22】
【0073】
【化23】
【0074】
【化24】
【0075】
【化25】
【0076】
【化26】
【0077】
これらの活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の添加量は、感光性組成物の全重量(塗布溶媒を除く)を基準として通常0.001〜40重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%の範囲で使用される。
【0078】
〔低分子酸分解性溶解阻止化合物〕
本発明において、低分子酸分解性溶解阻止化合物を用いることが好ましい。
本発明に用いられる酸分解性溶解阻止化合物としては、その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、該酸分解性基間の距離が最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも8個経由する化合物である。
本発明において、好ましくは酸分解性溶解阻止化合物は、その構造中に酸で分解し得る基を少なくとも2個有し、該酸分解性基間の距離が最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも10個、好ましくは少なくとも11個、更に好ましくは少なくとも12個経由する化合物、又は酸分解性基を少なくとも3個有し、該酸分解性基間の距離が最も離れた位置において、酸分解性基を除く結合原子を少なくとも9個、好ましくは少なくとも10個、更に好ましくは少なくとも11個経由する化合物である。又、上記結合原子の好ましい上限は50個、更に好ましくは30個である。
本発明において、酸分解性溶解阻止化合物が、酸分解性基を3個以上、好ましくは4個以上有する場合、又酸分解性基を2個有するものにおいても、該酸分解性基が互いにある一定の距離以上離れている場合、樹脂に対する溶解阻止性が著しく向上する。
なお、本発明における酸分解性基間の距離は、酸分解性基を除く、経由結合原子数で示される。例えば、以下の化合物(1),(2)の場合、酸分解性基間の距離は、各々結合原子4個であり、化合物(3)では結合原子12個である。
【0079】
【化27】
【0080】
また、本発明の酸分解性溶解阻止化合物は、1つのベンゼン環上に複数個の酸分解性基を有していても良いが、好ましくは、1つのベンゼン環上に1個の酸分解性基を有する骨格から構成される化合物である。更に、本発明の酸分解性溶解阻止化合物の分子量は3,000以下であり、好ましくは500〜3,000、更に好ましくは1,000〜2,500である。
【0081】
本発明の好ましい実施態様においては、酸により分解し得る基、即ち−COO−A0 、−O−B0 基を含む基としては、−R0 −COO−A0 、又は−Ar−O−B0 で示される基が挙げられる。
ここでA0 は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0 は、A0 又は−CO−O−A0 基を示す。
R01、R02、R03、R04及びR05は、それぞれ同一でも相異していても良く、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03、及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0 は置換基を有していても良い2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していても良い2価以上の芳香族基を示す。
【0082】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フエネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0083】
酸により分解しうる基として、好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基である。
【0084】
酸分解性溶解阻止化合物としては、好ましくは、特開平1−289946号、特開平1−289947号、特開平2−2560号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−191351号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200253号、特開平3−200254号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平3−279959号、特開平4−1650号、特開平4−1651号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平3−33229号、特願平3−230790号、特願平3−320438号、特願平4−25157号、特願平4−52732号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号等の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物のフエノール性OH基の一部もしくは全部を上に示した基、−R0 −COO−A0 もしくはB0 基で結合し、保護した化合物が含まれる。
【0085】
更に好ましくは、特開平1−289946号、特開平3−128959号、特開平3−158855号、特開平3−179353号、特開平3−200251号、特開平3−200252号、特開平3−200255号、特開平3−259149号、特開平3−279958号、特開平4−1650号、特開平4−11260号、特開平4−12356号、特開平4−12357号、特願平4−25157号、特願平4−103215号、特願平4−104542号、特願平4−107885号、特願平4−107889号、同4−152195号の明細書に記載されたポリヒドロキシ化合物を用いたものが挙げられる。
【0086】
このようなポリヒドロキシ化合物としてより具体的には、一般式[I]〜[XVI]で表される化合物が挙げられる。
【0087】
【化28】
【0088】
【化29】
【0089】
【化30】
【0090】
【化31】
【0091】
ここで、
R101 、R102 、R108 、R130 :同一でも異なっていても良く、水素原子、−R0−COO−C(R01)(R02)(R03)又は−CO−O−C(R01)(R02)(R03)、但し、R0、R01、R02及びR03の定義は前記と同じである。
【0092】
R100 :−CO−,−COO−,−NHCONH−,−NHCOO−,−O−、−S−,−SO−,−SO2−,−SO3−,もしくは
【0093】
【化32】
【0094】
ここで、G=2〜6 但し、G=2の時はR150 、R151 のうち少なくとも一方はアルキル基、
R150 、R151 :同一でも異なっていても良く、水素原子,アルキル基,アルコキシ基、−OH,−COOH,−CN,ハロゲン原子,−R152 −COOR153 もしくは−R154 −OH、
R152 、R154 :アルキレン基、
R153 :水素原子,アルキル基,アリール基,もしくはアラルキル基、
R99、R103 〜R107 、R109 、R111 〜R118 、R121 〜R123 、R128 〜R129 、R131 〜R134 、R138 〜R141 及びR143 :同一でも異なっても良く、水素原子,水酸基,アルキル基,アルコキシ基,アシル基,アシロキシ基,アリール基,アリールオキシ基,アラルキル基,アラルキルオキシ基,ハロゲン原子,ニトロ基,カルボキシル基,シアノ基,もしくは−N(R155)(R156)(R155、R156:H,アルキル基,もしくはアリール基)
R110 :単結合,アルキレン基,もしくは
【0095】
【化33】
【0096】
R157 、R159 :同一でも異なっても良く、単結合,アルキレン基,−O−,−S−,−CO−,もしくはカルボキシル基、
R158 :水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アシル基,アシロキシ基,アリール基,ニトロ基,水酸基,シアノ基,もしくはカルボキシル基、但し、水酸基が酸分解性基(例えば、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、1−エトキシ−1−エチル基、1−t−ブトキシ−1−エチル基)で置き換ってもよい。
【0097】
R119 、R120 :同一でも異なっても良く、メチレン基,低級アルキル置換メチレン基,ハロメチレン基,もしくはハロアルキル基、但し本願において低級アルキル基とは炭素数1〜4のアルキル基を指す、
R124 〜R127 :同一でも異なっても良く、水素原子もしくはアルキル基、
R135 〜R137 :同一でも異なっても良く、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アシル基,もしくはアシロキシ基、
R142 :水素原子,−R0−COO−C(R01)(R02)(R03)又は−CO−O−C(R01)(R02)(R03)、もしくは
【0098】
【化34】
【0099】
R144 、R145 :同一でも異なっても良く、水素原子,低級アルキル基,低級ハロアルキル基,もしくはアリール基、
R146 〜R149 :同一でも異なっていても良く、水素原子,水酸基,ハロゲン原子,ニトロ基,シアノ基,カルボニル基,アルキル基,アルコキシ基,アルコキシカルボニル基,アラルキル基,アラルキルオキシ基,アシル基,アシロキシ基,アルケニル基,アルケニルオキシ基,アリール基,アリールオキシ基,もしくはアリールオキシカルボニル基、
但し、各4個の同一記号の置換基は同一の基でなくても良い、
Y:−CO−,もしくは−SO2−、
Z,B:単結合,もしくは−O−、
A:メチレン基,低級アルキル置換メチレン基,ハロメチレン基,もしくはハロアルキル基、
E:単結合,もしくはオキシメチレン基、
a〜z,a1〜y1:複数の時、()内の基は同一または異なっていてもよい、
a〜q、s,t,v,g1〜i1,k1〜m1,o1,q1,s1,u1:0もしくは1〜5の整数、
r,u,w,x,y,z,a1〜f1,p1,r1,t1,v1〜x1:0もしくは1〜4の整数、
j1,n1,z1,a2,b2,c2,d2:0もしくは1〜3の整数、
z1,a2,c2,d2のうち少なくとも1つは1以上、
y1:3〜8の整数、
(a+b),(e+f+g),(k+l+m),(q+r+s),(w+x+y),(c1+d1),(g1+h1+i1+j1),(o1+p1),
(s1+t1)≧2、
(j1+n1)≦3、
(r+u),(w+z),(x+a1),(y+b1),(c1+e1),(d1+f1),(p1+r1),(t1+v1),(x1+w1)≦4、但し一般式[V]の場合は(w+z),(x+a1)≦5、
(a+c),(b+d),(e+h),(f+i),(g+j),(k+n),(l+o),(m+p),(q+t),(s+v),(g1+k1),
(h1+l1),(i1+m1),(o1+q1),(s1+u1)≦5、
を表す。
【0100】
【化35】
【0101】
【化36】
【0102】
【化37】
【0103】
【化38】
【0104】
好ましい化合物骨格の具体例を以下に示す。
【0105】
【化39】
【0106】
【化40】
【0107】
【化41】
【0108】
【化42】
【0109】
【化43】
【0110】
【化44】
【0111】
【化45】
【0112】
【化46】
【0113】
【化47】
【0114】
【化48】
【0115】
【化49】
【0116】
【化50】
【0117】
【化51】
【0118】
【化52】
【0119】
【化53】
【0120】
【化54】
【0121】
【化55】
【0122】
【化56】
【0123】
【化57】
【0124】
化合物(1)〜(63)中のRは、水素原子、又は
【0125】
【化58】
【0126】
を表す。但し、少なくとも2個、もしくは構造により3個は水素原子以外の基であり、各置換基Rは同一の基でなくても良い。
但し、少なくとも2個、もしくは構造により3個は水素原子以外の基であり、各置換基Rは同一の基でなくても良い。
【0127】
本発明に用いることができる溶解阻止化合物の添加量は、レジスト組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として3〜50重量%であり、好ましくは5〜35重量%の範囲である。本発明に用いられる溶解阻止化合物の添加量が3重量%より少ないと、高解像度が得られず、また50重量%より多いと保存安定性が悪化し、膜収縮が起こり、レジストの耐熱性が悪化する。
【0128】
本発明の組成物には、水不溶でアルカリ水溶液に可溶な樹脂(以下、アルカリ可溶性樹脂ともいう)を添加してもよい。
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂、水素化ノボラツク樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、o−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、o/p−及びm/p−ヒドロキシスチレン共重合体、ポリヒドロキシスチレンの水酸基に対する一部O−アルキル化物(例えば、5〜30モル%のO−メチル化物、O−(1−メトキシ)エチル化物、O−(1−エトキシ)エチル化物、O−2−テトラヒドロピラニル化物、O−(t−ブトキシカルボニル)メチル化物等)もしくはO−アシル化物(例えば、5〜30モル%のo−アセチル化物、O−(t−ブトキシ)カルボニル化物等)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、カルボキシル基含有メタクリル系樹脂及びその誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に好ましいアルカリ可溶性樹脂はノボラック樹脂及びo−ポリヒドロキシスチレン、m−ポリヒドロキシスチレン、p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、アルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部O−アルキル化、もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体である。該ノボラック樹脂は所定のモノマーを主成分として、酸性触媒の存在下、アルデヒド類と付加縮合させることにより得られる。
【0129】
所定のモノマーとしては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等のクレゾール類、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,3−キシレノール等のキシレノール類、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−エチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフエノール、2,3,5−トリメチルフェノール等のアルキルフェノール類、p−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノール、p−ブトキシフェノール等のアルコキシフェノール類、2−メチル−4−イソプロピルフェノール等のビスアルキルフェノール類、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノール、ナフトール等のヒドロキシ芳香化合物を単独もしくは2種類以上混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0130】
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、クロロアセトアルデヒド及びこれらのアセタール体、例えばクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール等を使用することができるが、これらの中で、ホルムアルデヒドを使用するのが好ましい。
これらのアルデヒド類は、単独でもしくは2種類以上組み合わせて用いられる。酸性触媒としては塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸等を使用することができる。
【0131】
こうして得られたノボラック樹脂の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲であることが好ましい。1,000未満では未露光部の現像後の膜減りが大きく、30,000を越えると現像速度が小さくなってしまう。特に好適なのは2,000〜20,000の範囲である。
また、ノボラック樹脂以外の前記ポリヒドロキシスチレン、及びその誘導体、共重合体の重量平均分子量は、2000以上、好ましくは5000〜200000、より好ましくは10000〜100000である。また、レジスト膜の耐熱性を向上させるという観点からは、25000以上が好ましい。
ここで、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
本発明に於けるこれらのアルカリ可溶性樹脂は2種類以上混合して使用しても良い。アルカリ可溶性樹脂の使用量は、感光性組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として、50〜97重量%、好ましくは60〜90重量%である。
【0132】
本発明において、上記(b)の樹脂以外に、酸により分解し、アルカリ現像液中での溶解性を増大させる基を有する樹脂を用いることができる。
そのような樹脂としては、樹脂の主鎖または側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸で分解し得る基を有する樹脂である。この内、酸で分解し得る基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0133】
ここで、好ましい酸分解性基としては、酸により分解し得る基、即ち−COO−A0 、−O−B0基を含む基としては、−R0−COO−A0、又は−Ar−O−B0で示される基が挙げられる。
ここでA0は、−C(R01)(R02)(R03)、−Si(R01)(R02)(R03)もしくは−C(R04)(R05)−O−R06基を示す。B0は、A0又は−CO−O−A0基を示す。
R01、R02、R03、R04及びR05は、それぞれ同一でも相異していても良く、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基もしくはアリール基を示し、R06はアルキル基もしくはアリール基を示す。但し、R01〜R03の内少なくとも2つは水素原子以外の基であり、又、R01〜R03、及びR04〜R06の内の2つの基が結合して環を形成してもよい。R0は置換基を有していても良い2価以上の脂肪族もしくは芳香族炭化水素基を示し、−Ar−は単環もしくは多環の置換基を有していても良い2価以上の芳香族基を示す。2価以上の脂肪族基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基などのような2価、メチン基やエチン基のような3価及び4価で炭素数1〜4個のものが好ましく、これらはさらに置換基によって置換されていてもよい。また、2価以上の芳香族基としては、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレンのような単環のもの、1,2−ナフチレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,7−ナフチレン、1,8−ナフチレン、2,3−ナフチレン、2,4−ナフチレン、2,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、2,8−ナフチレンなどのような2環のもの、アントラセンのような3環のものなどが挙げられ、更に多くの環を縮環していても良く、置換基を有していてもよい。
【0134】
ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフエニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
また、置換基としては水酸基、ハロゲン原子(フツ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、上記のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基・ヒドロキシエトキシ基・プロポキシ基・ヒドロキシプロポキシ基・n−ブトキシ基・イソブトキシ基・sec−ブトキシ基・t−ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基・エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ベンジル基・フエネチル基・クミル基等のアラルキル基、アラルキルオキシ基、ホルミル基・アセチル基・ブチリル基・ベンゾイル基・シアナミル基・バレリル基等のアシル基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、上記のアルケニル基、ビニルオキシ基・プロペニルオキシ基・アリルオキシ基・ブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、上記のアリール基、フエノキシ基等のアリールオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0135】
酸分解性基としては好ましくは、シリルエーテル基、クミルエステル基、アセタール基、ケタール基、テトラヒドロピラニルエーテル基、エノールエーテル基、エノールエステル基、第3級のアルキルエーテル基、第3級のアルキルエステル基、第3級のアルキルカーボネート基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基、第3級アルキルカーボネート基、クミルエステル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、アセタール基である。
この中で、アセタール基又はケタール基が特に好ましい。
【0136】
次に、これら酸で分解し得る基が側鎖として結合する場合の母体樹脂としては、側鎖に−OHもしくは−COOH、好ましくは−R0−COOHもしくは−Ar−OH基を有するアルカリ可溶性樹脂である。例えば、前記アルカリ可溶性樹脂を挙げることができる。
【0137】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して170A/秒以上のものが好ましい。特に好ましくは330A/秒以上のものである(Aはオングストローム)。
また、矩形プロファイルを達成する点から遠紫外光やエキシマレーザー光に対する透過率が高いアルカリ可溶性樹脂が好ましい。好ましくは、1μm膜厚の248nmでの透過率が20〜80%である。
このような観点から、特に好ましいアルカリ可溶性樹脂は、o−,m−,p−ポリヒドロキシスチレン及びこれらの共重合体、水素化ポリヒドロキシスチレン、ハロゲンもしくはアルキル置換ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの一部、O−アルキル化もしくはO−アシル化物、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体及び水素化ノボラック樹脂である。
【0138】
本発明に用いられる酸で分解し得る基を有する樹脂は、欧州特許254853号、特開平2−25850号、同3−223860号、同4−251259号等に開示されているように、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解し得る基の前駆体を反応させる、もしくは、酸で分解し得る基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合して得ることができる。
【0139】
本発明において、酸で分解し得る基を有する樹脂として好ましいものとしては、母体樹脂のOH基の全量に対して、15〜35モル%のOH基がアセタール基又はケタール基で保護されているものが好ましい。これにより、本発明の成分との相溶性が良好となる。
上記(b)の樹脂及び併用可能な樹脂を含めて、本発明に使用される酸により分解し得る基を有する樹脂の具体例を以下に示すが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0140】
【化59】
【0141】
【化60】
【0142】
【化61】
【0143】
【化62】
【0144】
【化63】
【0145】
【化64】
【0146】
【化65】
【0147】
【化66】
【0148】
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で分解し得る基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。含有率は好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.40、更に好ましくは0.05〜0.30である。B/(B+S)>0.5ではPEB後の膜収縮、基板への密着不良やスカムの原因となり好ましくない。一方、B/(B+S)<0.01では、パターン側壁に顕著に定在波が残ることがあるので好ましくない。
【0149】
酸で分解し得る基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜200,000の範囲であることが好ましい。2,000未満では未露光部の現像により膜減りが大きく、200,000を越えるとアルカリ可溶性樹脂自体のアルカリに対する溶解速度が遅くなり感度が低下してしまう。より好ましくは、5,000〜100,000の範囲であり、更に好ましくは8,000〜50,000の範囲である。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーのポリスチレン換算値をもって定義される。
【0150】
また、本発明における酸で分解し得る基を有する樹脂は2種類以上混合して使用しても良い。本発明におけるこれら樹脂の使用量は、感光性組成物の全重量(溶媒を除く)を基準として40〜99重量%、好ましくは60〜95重量%である。
【0151】
本発明の組成物に有機塩基性化合物を用いることのできる。これにより、保存時の安定性向上及びPEDによる線巾変化が少なくなるため好ましい。
本発明で用いることのできる好ましい有機塩基性化合物とは、フェノールよりも塩基性の強い化合物である。中でも含窒素塩基性化合物が好ましい。
好ましい化学的環境として、下記式(A)〜(E)構造を挙げることができる。
【0152】
【化67】
【0153】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のイミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3,−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0154】
これらの含窒素塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。含窒素塩基性化合物の使用量は、感光性樹脂組成物(溶媒を除く)100重量部に対し、通常、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満では上記効果が得られない。一方、10重量部を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0155】
本発明の化学増幅型ポジレジスト組成物には必要に応じて、更に界面活性剤、染料、顔料、可塑剤、光増感剤及び現像液に対する溶解性を促進させるフエノール性OH基を2個以上有する化合物などを含有させることができる。
【0156】
好適な界面活性剤は、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171,F173 (大日本インキ(株)製)、フロラ−ドFC430,FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)やアクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0157】
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。好ましい添加量は、組成物(溶媒を除く)100重量部に対して、0.0005〜0.01重量部である。
好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0158】
さらに、下記に挙げるような分光増感剤を添加し、使用する光酸発生剤が吸収を持たない遠紫外より長波長領域に増感させることで、本発明の化学増幅型ポジレジストをiまたはg線に感度を持たせることができる。好適な分光増感剤としては、具体的にはベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン1,2−ベンズアンスラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)及びコロネン等であるがこれらに限定されるものではない。
【0159】
現像液に対する溶解性を促進させるフェノール性OH基を2個以上有する化合物としては、ポリヒドロキシ化合物が挙げられ、好ましくはポリヒドロキシ化合物には、フェノール類、レゾルシン、フロログルシン、フロログルシド、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、α,α' ,α''−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンがある。
【0160】
上記化学増幅型ポジレジスト組成物は精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布後、所定のマスクを通して露光し、ベークを行い現像することにより良好なレジストパターンを得ることができる。
【0161】
本発明の感光性組成物の現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0162】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0163】
本発明の樹脂の合成例−1
ポリパラヒドロキシスチレン(含水量1.0%)21gをフラスコに入れ、THFにて溶解した後t−ブチルビニルエーテル7g及びPTS(パラトルエンスルホン酸)を5mg添加し、室温にて16時間攪拌した。反応液を水3リットルに投入し、析出物をろ取、乾燥し、白色粉体として25gを得た。
【0164】
本発明の樹脂の合成例−2
ポリパラヒドロキシスチレン(含水量0.9%)21g、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン0.86gをフラスコに入れ、THFにて溶解した後t−ブチルビニルエーテル7g及びPTSを5mg添加し、室温にて16時間攪拌した。反応液を水に投入し、析出物をろ取、乾燥し、白色粉体として26gを得た。
【0165】
本発明の樹脂の合成例−3
ポリパラヒドロキシスチレン(含水量1.0%)21gをフラスコに入れ、THFにて溶解した後エチルビニルエーテル5.5g及びPTSを10mg添加し、室温にて16時間攪拌した。反応液を水3リットルに投入し、析出した粉体をろ取、乾燥し、白色粉体として25gを得た。
【0166】
本発明の樹脂の合成例−4
ポリパラヒドロキシスチレン(含水量0.9%)21g、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン0.86gをフラスコに入れ、THFにて溶解した後エチルビニルエーテル5.5g及びPTSを10mg添加し、室温にて16時間攪拌した。反応液を水に投入し、析出物をろ取、乾燥し、白色粉体として26gを得た。
【0167】
本発明の樹脂の合成例−5
ポリパラヒドロキシスチレン(含水量1.1%)50g、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン4gをフラスコに入れ、THFにて溶解した後イソブチルビニルエーテル17g及びPTSを10mg添加し、室温にて16時間攪拌した。反応液にトリエチルアミン20mgを添加した後、水に投入し、析出物をろ取、乾燥し、白色粉体として55gを得た。
上記合成例1〜5と同様に実施例、比較例で用いた樹脂を合成した。
【0168】
〔溶解阻止剤化合物の合成例−1〕
α,α',α''−トリス(4−ヒドロキシフエニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン20g をテトラヒドロフラン400mlに溶解した。この溶液に窒素雰囲気下でtert-ブトキシカリウム14g を加え、室温にて10分間攪拌後、ジ−tert−ブチルジカーボネート29.2g を加えた。室温下、3時間反応させ、反応液を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を更に水洗浄し、乾燥させた後溶媒を留去した。得られた結晶性の固体を再結晶後(ジエチルエーテル)、乾燥させ、化合物例(31:Rは全てt−BOC基)25.6g を得た。
【0169】
〔溶解阻止剤化合物の合成例−2〕
α,α',α''−トリス(4−ヒドロキシフエニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン20g をジエチルエーテル400ml に溶解した。この溶液に窒素雰囲気下で3,4−ジヒドロ−2H−ピラン31.6g、触媒量 の塩酸を加え、リフラツクス下24時間反応させた。反応終了後、少量の水酸化ナトリウムを加え濾過した。濾液の溶媒を留去し、得られた生成物をカラムクロマトグラフイーで精製し、乾燥させ、化合物例(31:Rは総てTHP基)を得た。
【0170】
〔溶解阻止剤化合物の合成例−3〕
α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフエニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン19.2g(0.040モル)のN,N−ジメチルアセトアミド120ml溶液に、炭酸カリウム21.2g(0.15モル)、更にブロモ酢酸t−ブチル27.1g(0.14モル)を添加し、120℃にて7時間撹拌した。その後反応混合物を水1.5lに投入し、酢酸エチルにて抽出した。硫酸マグネシウムにて乾燥後、抽出液を濃縮し、カラムクロマトグラフイー(担体:シリカゲル,展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=3/7(体積比))にて精製した結果淡黄色粘稠固体30gを得た。NMRにより、これが化合物例(31:Rは総て−CH2COOC4H9 t基)であることを確認した。
【0171】
〔溶解阻止剤化合物の合成例−4〕
原料に、1,3,3,5−テトラキス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタンを用い、上記合成例−3の方法に従って合成した。NMRにより、これが化合物例60(Rは総て−CH2 COOC4 H9 t 基)であることを確認した。
【0172】
〔溶解阻止剤化合物の合成例−5〕
上記合成例−3、−4と同様の方法により、化合物例62(Rは総て−CH2 COOC4 H9 t 基)を合成し、NMRにより、それであることを確認した。
【0173】
実施例1〜12、及び比較例1〜3
上記合成例で示した本発明の化合物を用いレジストを調製した。そのときの処方を表1に示す。
【0174】
【表1】
【0175】
表1において使用した略号は下記の内容を表す。
<溶解阻止剤中の酸分解性基>
【0176】
【化68】
【0177】
[感光性組成物の調製と評価]
表1に示す各素材をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.5gに溶解し、0.2μmのフィルターで濾過してレジスト溶液を作成した。このレジスト溶液を、スピンコーターを利用して、シリコンウエハー上に塗布し、120℃60秒間真空吸着型のホットプレートで乾燥して、膜厚1.0μmのレジスト膜を得た。
このレジスト膜に、248nmKrFエキシマレーザーステツパー(NA=0.45)を用いて露光を行った。露光直後、及び露光1時間後にそれぞれ100℃の真空吸着型ホットプレートで60秒間加熱を行い、ただちに2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液で60秒間浸漬し、30秒間水でリンスして乾燥した。このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンの露光直後及び露光2時間後に加熱処理した場合のプロファイル、感度、解像力を各々下記のように評価し、比較した。その結果を表2に示す。
【0178】
〔プロファイル〕
このようにして得られたシリコンウエハー上のパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、レジストのプロファイルを評価した。
〔感度〕
感度は0.50μmのマスクパターンを再現する露光量をもって定義した。
〔解像力〕
解像力は0.50μmのマスクパターンを再現する露光量における限界解像力を表す。
【0179】
〔線幅変化〕
露光直後と露光後2時間経時した後の加熱における線幅変化は、露光直後での線幅を基準に変化した割合を%で示し、線幅が太る場合は+で、細る場合は−で示した。それらの結果を表2に示す。
【0180】
【表2】
【0181】
表2の結果から本発明のレジストは、溶解阻止効果が維持され、良好なプロファイルと高感度、高解像力を有し、露光後加熱処理までの経時による線巾変化がないポジ型感光性組成物であることがわかる。
一方、比較例1〜3は、表2が示すように、解像力、プロファイルが本発明に比べて不良で、露光後加熱処理までの経時による線巾変化があることが判る。
【0182】
【発明の効果】
本発明により、高感度と高解像力と良好なプロファイルとを有し、且つ露光後加熱処理までの経時による線巾変化がないポジ型感光性組成物を提供できる。
Claims (3)
- (a)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、及び(b)含水量1.2%以下であるフェノール性樹脂を原料として、該樹脂のフェノール性水酸基を、酸の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基で保護された樹脂を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
- (a)活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物、(b)含水量1.2%以下であるフェノール性樹脂を原料として、該樹脂のフェノール性水酸基を、酸の作用により分解しアルカリ現像液中での溶解性を増大させる基で保護された樹脂、及び(c)酸の作用により分解しうる基を有し、アルカリ現像液中での溶解度が酸の作用により増大する、分子量3000以下の低分子酸分解性溶解阻止化合物を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
- (b)含水量1.2%以下であるフェノール性樹脂が、100〜140℃で8〜20時間真空乾燥して得られたものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のポジ型感光性組成物。
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