JP3637822B2 - 固体撮像素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光を電荷に変換する素子と、その電荷を積分して電圧に変換する回路と、その電圧をサンプルホールドする回路などを集積化した固体撮像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、MOSFETをスイッチ回路に用いた固体撮像素子の回路構成図である。
この固体撮像素子100の回路は、フォトダイオード1と積分回路2およびサンプルホールド回路101から構成されている。このサンプルホールド回路101はスイッチ回路102とコンデンサ5から構成されている。また、スイッチ回路102は、例えば、nMOSFET3とpMOSFET4を並列接続した回路である。光を受けてフォトダイオード1に電荷が発生し、発生した電荷(プラスの電荷)は電流6となって、積分回路2の入力側7から流入し、積分回路2でこの電流が積分されて電荷となり、この電荷により電圧が発生する。積分回路2の出力側8から出力された電流はスイッチ回路102の入力側9に流入する。スイッチ回路102のnMOSFETのゲート12およびpMOSFETのゲート13にチャネルが開く電圧が印加されていると、nMOSFET3およびpMOSFET4はオン状態となっており、入力側9から流入した電流はスイッチ回路102の出力側10から流出する。この流出した電流は、コンデンサ5のプラス端子14からコンデンサ5に流入して、このコンデンサ5のプラス端子14側に、プラス電荷が蓄積する。一方、コンデンサ5のマイナス端子15側にマイナス電荷が蓄積する。このコンデンサ5に蓄積された電荷により、コンデンサ5は所定の電圧に充電される。
【0003】
図7は、従来の固体撮像素子を半導体基板に形成したときの要部断面図である。
n基板21の表面層にフォトダイオード1、積分回路2、nMOSFET3、pMOSFET4およびコンデンサ5を形成する。フォトダイオード1はn基板21の表面層にアノードとなるp+ 領域を形成して得られる。積分回路2はここではブラックボックスで示した。nMOSFET3はn基板21の表面層にpウエル領域23を形成し、このpウエル領域23の表面層にnドレイン領域24、nソース領域25、ゲート電極26を形成して得られる。またp+ 領域27はpウエル領域23をグランドにするためのオーミックコンタクト部である。nMOSFET4はn基板21の表面層にpソース領域28、pドレイン領域29、ゲート電極26を形成して得られる。コンデンサ5はn基板21の表面層にpウエル領域32を形成し、このpウエル領域32の表面層に、グランドと接続するためのオーミックコンタクト部となるp+ 領域33を形成し、シリコン表面上に図示しない絶縁膜を介してコンデンサ5のプラス電極34が形成して得られる。
【0004】
図示されるように、フォトダイオード1のp+ 領域22と積分回路2の入力側7を接続し、積分回路2の出力側8とnドレイン領域24を接続し、このnドレイン領域24とpソース領域28を接続し、nソース領域25とpドレイン領域を接続する。このnソース領域25とpドレイン28を接続した接続点とコンデンサ5のプラス電極34と接続し、このプラス端子34と固体撮像素子の出力端子11を接続する。また、p+ 領域27、33をグランドに接続する。
【0005】
図8は図7の要部平面図である。図7は図8のA−A線で切断したときの断面図である。
図9は、従来の固体撮像素子の動作を説明した図である。外部からフォトダイオード1が光を受けると半導体内部で電子と正孔の対つまり電荷が発生する。接合近傍の表面から浅い箇所で発生した電荷36のうち正孔はp+ 領域22に入り、電流aとなって、積分回路2に入り込み、積分回路2でこの電流aを積分して所定の電圧を発生させる。この積分回路2から電流bが流れ出し、ゲート12、13がしきい値電圧以上の電圧を印加しておくと、この電流bは電流c、dに分かれてnMOSFET3およびpMOSFET4を経由してこれらの電流c、dが集められて電流eとなってコンデンサのプラス電極34に流入する。この電流eによりコンデンサ5のプラス電極34にはプラスの電荷が蓄積し、pウエル領域32にはマイナス電荷が蓄積する。この蓄積された電荷でコンデンサ5は、積分回路2の発生電圧と同一の所定の電圧となる。この所定の電圧が固体撮像素子の出力端子11から出力される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、接合から離れた表面から深い箇所で発生した電荷37のうち正孔は、前記のようにp+ 領域22に入らないで、もれ電流hとなって、n基板21を中を横切ってながれ、このもれ電流hは、もれ電流iともれ電流kとなって外部に流れ出す。もれ電流iはpウエル領域23、p+ 領域27を経由してグランドに流れ込むので、固体撮像素子の動作には影響を与えない。
【0007】
ところが、もれ電流kはpドレイン領域29を経由してコンデンサ5のプラス電極34にに流入する。そうすると、本来、電流dのみの場合は制御された正規の電圧がコンデンサ5で発生するものが、もれ電流kが加わり、正規の電圧からずれて、変動する。この変動幅は、サンプルホールド時間が長い程、フォトダイオード1が受けた光の強度が強い程、また波長が長い光の割合が多い程、大きくなる。この変動幅が大きくなると、固体撮像素子は正常に動作しなくなる。
【0008】
この発明は、前記の課題を解決して、もれ電流をコンデンサに流入することを防止して、変動のない正規の出力電圧を得ることができる固体撮像素子を供給することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、光を電荷に変換する素子と、前記電荷を積分して電圧に変換する積分回路、該積分回路で変換された電圧をサンプリングするためのスイッチ回路と、前記電圧をホールドする容量からなるサンプルホールド回路と、が第1導電形半導体基板に形成された固体撮像素子において、
前記スイッチ回路が、前記第1導電形半導体基板の表面層に第2導電形の第1領域と、該第1領域に形成された第1の横型トランジスタと、第1領域から離して前記半導体基板に形成された第2の横型トランジスタと、前記第2の横型トランジスタを囲むように形成された第2導電形の第2領域とを備え、前記第1の横型トランジスタと前記第2の横型トランジスタとは相補形のトランジスタであり、前記第1の横型トランジスタと前記第2の横型トランジスタを並列接続した構成とする。
【0010】
前記第1の横型トランジスタが、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)および接合型のバイポーラトランジスタのいずれか一つであり、且つ、前記第2の横型トランジスタが、MOSFET、IGBTおよび接合型のバイポーラトランジスタのいずれか一つであるとよい。
【0011】
前記第1の横型トランジスタが、前記第1領域の表面層に互いに離間して形成された第3、第4領域と、前記第3、第4領域の間の前記第1領域の表面層をチャネルとする第1のMOS駆動型トランジスタからなり、前記第2の横型トランジスタが、第1領域から離して前記半導体基板の表面層をチャネルとする第2のMOS駆動型トランジスタからなるとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の第1実施例の固体撮像素子の要部断面である。尚、構成図は図6と同じである。図6と同一箇所には同一符号を付した。また、スイッチ回路を構成するトランジスタはここではMOSFETとしたがIGBT、接合型トランジスタおよびそれらの組合せとしても構わない。
【0013】
n基板21の表面層にフォトダイオード1、積分回路2、nMOSFET3、pMOSFET4、コンデンサ5およびもれ電流吸収用のp領域41を形成する。このもれ電流吸収用のp領域41を設けたことが本発明である。
【0014】
フォトダイオード1はn基板21の表面層にアノードとなるp+ 領域を形成して得られる。積分回路2はここではブラックボックスで示した。nMOSFET3はn基板21の表面層にpウエル領域23を形成し、このpウエル領域23の表面層にnドレイン領域24、nソース領域25、ゲート電極26を形成して得られる。またp+ 領域27はpウエル領域23をグランドにするためのオーミックコンタクト部である。nMOSFET4はn基板21の表面層にpソース領域28、pドレイン領域29、ゲート電極26を形成して得られる。コンデンサ5はn基板21の表面層にpウエル領域32を形成し、このpウエル領域32の表面層に、グランドと接続するためのオーミックコンタクト部となるp+ 領域33を形成し、シリコン表面上に図示しない絶縁膜を介してコンデンサ5のプラス電極34が形成して得られる。さらに、n基板21の表面層で、pMOSFET4の周囲を囲むように、もれ電流吸収用のp領域41を形成し、コンタクトをとるためにp+ 領域42を形成する。
【0015】
図示されるように、フォトダイオード1のp+ 領域22と積分回路2の入力側7を接続し、積分回路2の出力側8とnドレイン領域24を接続し、このnドレイン領域24とpソース領域28を接続し、nソース領域25とpドレイン領域を接続する。このnソース領域25とpドレイン28を接続した接続点とコンデンサ5のプラス電極34と接続し、このプラス端子34と固体撮像素子の出力端子11を接続する。また、p+ 領域27、33をグランドに接続する。また、p+ 領域42をグランドに接続する。
【0016】
図2は図1の要部平面図である。前記の図1は、図2のA−A線で切断したときの断面図である。図示するように、p領域41はpMOSFET4を取り囲むように配置されている。また、オーミックコンタクトをとるための高濃度領域であるp+ 領域27、33、42およびn+ 領域31の各領域の配置は、一例を示したものであり、例えば、p+ 領域27はpウエル領域23の表面層の任意の箇所でよく、p+ 領域33はpウエル領域32の表面層の任意の箇所で、一箇所でよく、p+ 領域42もpウエル領域41の表面層の任意の箇所で、一箇所でよく、n+ 領域31はn基板21の表面層の任意の箇所でよい。
【0017】
図3は、図2の固体撮像素子の動作を説明した図である。外部からフォトダイオード1が光を受けると半導体内部で電子と正孔の対つまり電荷が発生する。接合近傍の表面から浅い箇所で発生した電荷36のうち正孔はp+ 領域22に入り、電流aとなって、積分回路2に入り込み、積分回路2でこの電流aを積分して所定の電圧を発生させる。この積分回路2から電流bが流れ出し、ゲート12、13がしきい値電圧以上の電圧を印加しておくと、この電流bは電流c、dに分かれてnMOSFET3およびpMOSFET4を経由してこれらの電流c、dが集められて電流eとなってコンデンサのプラス電極34に流入する。この電流eによりコンデンサ5のプラス電極34にはプラスの電荷が蓄積し、pウエル領域32にはマイナス電荷が蓄積する。この蓄積された電荷でコンデンサ5は、積分回路2の発生電圧と同一の所定の電圧となる。この所定の電圧が固体撮像素子の出力端子11から出力される。ここまでは図9の説明と同じである。
【0018】
つぎに、図9で問題とされた、深い箇所で発生した電荷の37の挙動を説明する。接合から離れた表面から深い箇所で発生した電荷37のうち正孔は、前記のようにp+ 領域22に入らないで、もれ電流hとなって、n基板21を中を横切って流れ、このもれ電流hは、もれ電流iともれ電流mともれ電流nとなって外部に流れ出す。図9で問題となったもれ電流kはもれ電流m、nに通電経路が変わり、電流kは極めて小さくなる。もれ電流iはpウエル領域23、p+ 領域27を経由してグランドに流れ込み、またもれ電流m、もれ電流nも同様にp+ 領域41を経由してグランドに流れ込むので、固体撮像素子の動作には影響を与えない。
【0019】
このように、もれ電流i、m、nはコンデンサ5のプラス電極34に流入することがないために、コンデンサ5の電圧は電流dのみで決定される。そのため、変動のない正規の出力電圧を得ることができる固体撮像素子を供給することができる。
【0020】
図4は、この発明の第2の実施例の固体撮像素子の要部断面図である。図1との違いは、図1のpウエル領域23とpウエル32を接続してpウエル領域23aとし、このpウエル領域23aにp領域41の働きをさせた点である。この場合も、もれ電流hはグランドに流れる。そのため、図1と同様の効果がある。
【0021】
図5は、図4の要部平面図である。前記の図4は、図5のA−A線で切断したときの断面図である。図示するように、p領域23aはpMOSFET4を取り囲むように配置されている。また、オーミックコンタクトをとるための高濃度領域であるp+ 領域27、33、42およびn+ 領域31の各領域の配置は、一例を示したものであり、例えば、p+ 領域27、33、42はpウエル領域23aの表面層の任意の箇所で、一箇所でよく、n+ 領域31はn基板21の表面層の任意の箇所でよい。
【0022】
【発明の効果】
このように、グランド接続したもれ電流吸収用領域(p+ 領域41)を設けることで、フォトダイオードの深い箇所で発生した電荷によるもれ電流による、コンデンサの電圧変動を防止して、変動のない正規の出力電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例の固体撮像素子の要部断面
【図2】図1の要部平面図
【図3】図2の固体撮像素子の動作を説明した図
【図4】この発明の第2の実施例の固体撮像素子の要部断面図
【図5】図4の要部平面図
【図6】MOSFETをスイッチ回路に用いた固体撮像素子の回路構成図
【図7】従来の固体撮像素子を半導体基板に形成したときの要部断面図
【図8】図7の要部平面図
【図9】従来の固体撮像素子の動作を説明した図
【符号の説明】
1 フォトダイオード
2 積分回路
3 nMOSFET
4 pMOSFET
5 コンデンサ
6 電流
7 積分回路の入力側
8 積分回路の出力側
9 スイッチ回路の入力側
10 スイッチ回路の出力側
11 固体撮像素子の出力端子
12 nMOSFETのゲート
13 pMOSFETのゲート
14 コンデンサのプラス側
15 コンデンサのマイナス側
21 n基板
22 p+ 領域
23 pウエル領域
23a pウエル領域
24 nドレイン領域
25 nソース領域
26 ゲート電極
27 p+ 領域
28 pソース領域
29 pドレイン領域
30 ゲート電極
31 n+ 領域
32 pウエル領域
33 p+ 領域
34 プラス電極
35 光
36 浅い箇所で発生した電荷
37 深い箇所で発生した電荷
41 p領域
42 p+ 領域
100 固体撮像素子
101 サンプルホールド回路
102 スイッチ回路
a〜e 電流
h〜n もれ電流

Claims (3)

  1. 光を電荷に変換する素子と、前記電荷を積分して電圧に変換する積分回路、該積分回路で変換された電圧をサンプリングするためのスイッチ回路と、前記電圧をホールドする容量からなるサンプルホールド回路と、が第1導電形半導体基板に形成された固体撮像素子において、
    前記スイッチ回路が、前記第1導電形半導体基板の表面層に第2導電形の第1領域と、該第1領域に形成された第1の横型トランジスタと、第1領域から離して前記半導体基板に形成された第2の横型トランジスタと、前記第2の横型トランジスタを囲むように形成された第2導電形の第2領域とを備え、前記第1の横型トランジスタと前記第2の横型トランジスタとは相補形のトランジスタであり、前記第1の横型トランジスタと前記第2の横型トランジスタを並列接続したことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 前記第1の横型トランジスタが、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)および接合型のバイポーラトランジスタのいずれか一つであり、且つ、前記第2の横型トランジスタが、MOSFET、IGBTおよび接合型のバイポーラトランジスタのいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
  3. 前記第1の横型トランジスタが、前記第1領域の表面層に互いに離間して形成された第3、第4領域と、前記第3、第4領域の間の前記第1領域の表面層をチャネルとする第1のMOS駆動型トランジスタからなり、前記第2の横型トランジスタが、第1領域から離して前記半導体基板の表面層をチャネルとする第2のMOS駆動型トランジスタからなることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子。
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