JP3637453B2 - 静電荷像現像用トナー、熱ロール定着方法およびフィルム状加熱定着方法 - Google Patents
静電荷像現像用トナー、熱ロール定着方法およびフィルム状加熱定着方法 Download PDFInfo
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【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真法に関し、現像性、転写性、定着性に優れた静電荷像現像用トナーならびに低温で加熱定着してもオフセット現象、巻き付き現象の発生のない熱ロール定着方法およびフィルム状加熱定着法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真に於いては熱ローラ定着方法が装置の簡便さなどから幅広く利用されている。本構成は熱源を有する加熱ローラと圧力を印加するための弾性体からなるローラの間をその上にトナー像が形成されている記録材を通過させ、トナーを溶融させて紙等から構成される記録材に定着する方法である。本方法では、トナーが加熱ローラに接触し溶融した後に加えられた圧力によって紙等の記録材上に定着されるものである。この場合、加熱ローラで溶融されたトナーは軟化し、容易に変形する。溶融状態となったトナーは記録材のみならず加熱ローラに対しても接着するため、いわゆるオフセット現象を発生する問題を有している。この問題を解決するために、特開昭49-65231号公報において低分子量のポリプロピレンをトナー中に含有させることによって加熱ローラに対するトナーの接着性を低下させ、オフセット現象の発生を防止することが可能であることと見い出し、この技術は熱ローラ定着方法に対しては、現在でも広範囲に使用されている。
【0003】
しかし、この低分子量ポリプロピレンは優れたオフセット現象の発生を防止できる技術であるが、溶融するために熱エネルギーを多く必要とし、近年使用され始めた低温定着ならびに高速定着を行う場合にはこの低分子量ポリプロピレンではいわゆるトナーによるオフセット現象が発生し、さらにフィルム状加熱定着ローラに接着したトナーのために紙までもフィルム状加熱定着ローラに巻き付いてしまういわゆる巻き付き現象を発生する問題も提起している。
【0004】
また特開平2-163754号公報には、固定設置された加熱体と該加熱体に対向して圧接かつ、回転し、フィルム材を介して記録材を該加熱体に圧接させる加圧部材により、トナー像を記録材上にフィルム状加熱定着することを特徴とする定着方法が提案されている。この定着方法は、加熱体が所定温度に達するまでのウェイト時間(待ち時間)が実質的に無い或いは極めて短時間であり、且つ低消費電力である利点を有している。しかし、この方法では定着部材がシート状フィルムであるためにオフセット現象により該フィルム上に付着されたトナーを除去することが困難で、さらにまたクリーニング機構が付けにくいという難点もある。さらに、記録材上のトナー像の接触する部分がフィルム等の可塑性の定着部材で構成されていることからトナーと定着部材の剥離が大きな曲率でなされるため、より記録材の定着部材への巻き付き現象が発生しやすい問題点を有している。
【0005】
定着性に優れたトナーを得るために、結着樹脂の分子量分布を広くする方法や、高分子部分を架橋させたりすることが行われている。しかしながら、この方法においては定着強度を充分に持たせるために結着樹脂のガラス転移温度を下げなければならず、静電荷現像用トナーとしたときの保存性を損なう事が避けられない。
【0006】
他の方法として、定着補助成分としてトナーにワックスを含有させる事が知られている。例えば、特開平3-243956号公報では、離型剤の表面に於ける組成と内部の分散状態を規定している。特開平3-91764号公報ではDSCの吸熱域が50℃以上であるワックス類を使用することが開示されている。また、特開平6-75432号公報ではワックスの吸熱ピーク温度が50〜100℃であることが開示されている。しかし、いずれに於いても所望の離型効果を発揮するために分散状態を規定しているものではあるが、使用するワックスを規定したものであり、さらにトナー中での分散の状態のみを規定したものである。このため、トナー化した後のワックスの離型効果に関して明確な方法を提案しているものでは無い。
【0007】
このため、トナーを得た状態で離型剤の分子量の変化及び熱特性の変化の影響を受け、目的とする離型効果(すなわち、トナーの定着ロールあるいは定着フィルムに対する付着性の低下、いわゆるオフセット現象)を発揮することができない。
【0008】
特に、近年では高速で定着すること及び低温度で定着することに関して要求が大きくなっている。しかし、従来の分散性では分散のみの影響を考慮しており、実際の離型剤自体の組成変化に関してはなんら技術の向上がなされていないのが現状である。このため、高速定着や低温度での定着に於いて有効な対オフセット性の改良がなされていない。すなわち、トナーを作製する際、混練操作によってワックスの性能を損なうことなく、十分な効果を発揮するトナーが得られていないのが現状である。
【0009】
さらに、定着装置の簡略化に伴い、定着装置のクリーニング機構を装着しないあるいは簡易的な装置のみとすることがのぞまれている。簡易的な装置としては、単なるシリコンオイルを含浸した定着パッドが使用されているが、この交換寿命をのばすことが重要な課題である。この場合、定着ローラー等に対するトナーのオフセットによる付着等を効果的に防止することが望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、オフセット現象の発生がなく、さらに加熱ローラへの巻き付き現象を発生することのない静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、転写率が高く、現像スリーブへの融着のない耐久性の優れた静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の別の目的は、巻き付き現象の発生のない熱ローラ定着方法およびフィルム状加熱定着法を提供することにある。
【0013】
また、本発明の別の目的は、巻き付き現象の発生のない、固定設置された加熱体と、該加熱体に対向して圧接かつ、回転し、フィルム材を介して記録材を該加熱体に圧着させ加圧部材により、トナー像を記録材上にフィルム状加熱定着する方法を提供することにある。
【0014】
さらに本発明の目的は、特に線速が200mm/sec以上の高速定着及び低温度の定着に於いて有効な離型効果を発揮することができる静電荷像現像用トナー、熱ロール定着方法およびフィルム状加熱定着法を提供することにある。特に、オフセット性に優れ、定着性に優れた静電荷像現像用トナー、熱ロール定着方法およびフィルム状加熱定着法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は以下の構成により達成された。
【0018】
1.結着樹脂とポリプロピレン換算分子量で4000以下の分子量のものを40〜70%含有する低分子量ポリオレフィンを含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0024】
2.回転する加熱定着ローラと該定着ローラに圧接した圧着ローラとの間を結着樹脂とポリプロピレン換算分子量で4000以下の分子量のものを40〜70%含有する低分子量ポリオレフィンを含有するトナーを担持した記録材を通過させ、該トナー像を記録材上に加熱定着することを特徴とする熱ロール定着方法。
【0025】
3.固定支持された加熱体、フィルム部材、該加熱体に対向圧接し且つ該フィルム部材を介して、結着樹脂とポリプロピレン換算分子量で4000以下の分子量のものを40〜70%含有する低分子量ポリオレフィンを含有するトナーを担持した記録材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、上記トナーを記録材に加熱定着することを特徴とするフィルム状加熱定着方法。
【0028】
以下本発明及び本発明と類似する態様について詳述する。
【0029】
すなわち、少なくともポリプロピレン換算分子量でGPCに於けるピーク分子量(Mp)と溶出開始分子量(Mmax)との比が9〜20でありかつ溶出開始分子量が50,000〜120,000である低分子量ポリオレフィンからなる離型剤からなるトナーを用いることにより、低分子量成分にピークをもたせ、なお且つ高分子量成分を同時に存在させることにより定着性の改善と耐久性の向上の両面を同時に確保することができるものである。
【0030】
少量の熱で容易に溶融することのできる成分が多く存在していることから、定着に於いてより少ない熱エネルギーをによって離型効果を発揮することができ、巻き付き発生の温度を低下することができ、より広い定着温度を確保することができ、さらに、フィルム状の定着装置を用いた場合の高い曲率を有する定着装置に於いても巻き付きの問題を発生することがない。
【0031】
また、トナーには着色剤が分散された状態で存在されているが、この着色剤の分散性向上のためには大きなせん断力で分散させる必要がある。大きなせん断力で分散させるためには、樹脂の粘度を高くする必要がある。このためには樹脂に加える熱を少なくする、すなわち、加熱温度を下げることが必要となる。しかし、同時に添加される低分子量ポリオレフィンも同時に分散される必要があるため、加熱温度を低下した場合には低分子量ポリオレフィンが分散されず、大きなドメインで存在し、トナーが不均一となり、オフセット性の低下や、帯電分布の増化による転写率の低下等の問題を発生する。しかし、上記の低分子量ポリオレフィンでは分子量が小さいものを多く含有していることから、低い温度で溶融が開始する低分子量成分により高分子量成分が相溶し、低い温度で混練した場合でも容易に樹脂中に分散することができる。
【0032】
この態様に於いて、低分子量ポリオレフィンとしてはポリプロピレン換算分子量でGPCに於けるピーク分子量(Mp)と溶出開始分子量(Mmax)との比が9〜20でありかつ溶出開始分子量が50,000〜120,000である。このピーク比が小さい場合には高分子量成分と低分子量成分の量比が平均化するために、離型剤中の低分子量成分の含有量が低下し、巻き付きが発生する問題を有し、さらに、低分子量成分が少なくなることにより、定着オフセット現象も増加する問題を有している。さらに、樹脂中の低分子量ポリオレフィンの分散性が低下し、帯電量分布の増加が発生し、転写率の低下問題が発生する。
【0033】
一方、この比が過多であると定着に於ける巻き付きやオフセットの問題は減少するものの、いわゆる低分子量成分の増加に伴ってトナー表面が軟化しやすくなり、流動性付与のために添加される外添剤のトナー表面への埋め込みやキャリアあるいは現像器(スリーブ)表面に対する融着の問題が起こり、耐久性の低下が発生する。
【0034】
さらに、溶出開始分子量が小さい場合には前述の比が過多である場合と同様に高分子量成分の減少に伴う問題を発生する。溶出開始分子量が過多であると、高分子量成分の増加に伴い耐久性は向上するものの、定着に於ける巻き付き性の低下の問題を発生する。
【0035】
上記の低分子量ポリオレフィンとしては任意のポリオレフィン及びその共重合体あるいはその酸等の変性体使用でき、好ましくは、ポリプロピレンやプロピレンとエチレンの共重合体を使用することができる。この場合、特に、ポリプロピレンが好ましい。
【0036】
上記ポリオレフィンの分子量は、高温GPCを用いた分子量を示す。具体的には、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベゼンを使用し、135℃の温度条件で流出させ示差屈折率検出器により検出し、分子量を普遍校正法によるポリプロピレン絶対分子量換算で求めたものである。ここで、ピーク分子量(Mp)とは、GPCで測定された分子量チャート(図4)で最大の高さを示す分子量であり、溶出開始分子量(Mmax)とはGPCで検出される最大の分子量のことを示す(図4)。
【0037】
上記ポリオレフィンは、公知の任意の方法により製造され特に限定されない。その製造方法の1例としては、通常の方法で合成されたポリオレフィンを溶融状態で熱分解を行い分子量を調整する方法があげられる。特に分子量の調整は、前述のGPCに於いて好ましい分子量の範囲になる様に分取する方法がある。
【0038】
なお、上記ポリオレフィンの添加量は、結着樹脂に対してトナー中に0.5〜5.0重量%添加されることが好ましい。特に好ましい範囲は1.0〜4.0重量%である。この範囲を越えるとトナー表面に存在する離型剤の量が増加し流動性の低下が発生し、一方で添加量が過小であると定着に於ける効果が発揮されないことがある。
【0039】
次の態様は、少なくともポリプロピレン換算Z平均分子量(Mz)とポリプロピレン換算数平均分子量(Mn)との比が3〜20であり、且つMz=20000〜70000である低分子量ポリオレフィンをトナーに用いることにより、ポリオレフィンの高分子量成分を含有し、且つポリオレフィンの低分子量成分も含有していることから、定着性の向上と耐久性の向上の両立を図ることができるものである。
【0040】
すなわち、上記低分子量成分の存在は、少量の熱で容易に溶融することのできる成分であることから、定着に於いてより少ない熱エネルギーをによって離型効果を発揮することができ、巻き付き発生の温度を低下することができ、より広い定着温度を確保することができ、さらに、フィルム状の定着装置を用いた場合の高い曲率を有する定着装置に於いても巻き付きの問題を発生することがない。
【0041】
また、トナーには前述した着色剤が分散された状態で存在されているが、この着色剤の分散性向上のためには大きなせん断力で分散させる必要がある。従って前述したと同様に、大きなせん断力で分散させるためには、結着樹脂の粘度を高くする必要がある。このためには結着樹脂に加える熱を少なくする、すなわち、加熱温度を下げることが必要となる。しかし、同時に添加される低分子量ポリオレフィンも同時に分散される必要があるため、加熱温度を低下した場合には低分子量ポリオレフィンが分散されず、大きなドメインで存在し、トナーが不均一となり、オフセット性の低下や、帯電分布の像かによる転写率の低下等の問題を発生する。しかし、上記低分子量ポリオレフィンでは分子量が小さいものを多く含有していることから、低い温度で溶融が開始する低分子量成分により高分子量成分が相溶し、低い温度で混練した場合でも容易に樹脂中に分散することができる。
【0042】
この態様に於いて、上記低分子量ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン換算Z平均分子量(Mz)とポリプロピレン換算数平均分子量(Mn)との比が3〜20であり、且つMz=20000〜70000である低分子量ポリオレフィンからなるものである。このMz/Mnが小さい場合には低分子量成分の含有率が低下し、定着性特に巻き付き性の改善効果を発揮することができない。さらに、結着樹脂中の低分子量ポリオレフィンの分散性が低下し、帯電量分布の増加が発生し、転写率の低下問題が発生する。
【0043】
一方、この比が過多であると定着に於ける巻き付きやオフセットの問題は減少するものの、いわゆるポリオレフィンの低分子量成分の増加に伴ってトナー表面が軟化しやすくなり、流動性付与のために添加される外添剤のトナー表面への埋め込みやキャリアあるいは現像器(スリーブ)表面に対する融着の問題が起こり、耐久性の低下が発生する。一方ではポリオレフィンの高分子量成分が多くなることもあり、この場合には定着性の改善効果を発揮することができない。
【0044】
さらに、Mzが小さい場合には前述の比が過多である場合と同様にポリオレフィンの高分子量成分の減少に伴う問題を発生する。Mzが大きいと、ポリオレフィンの高分子量成分の増加に伴い耐久性は向上するものの、定着に於ける巻き付き性の低下の問題を発生する。
【0045】
上記の低分子量ポリオレフィンとしては、任意のポリオレフィン及びその共重合体あるいはその酸等の変性体が使用でき、好ましくはポリプロピレンやプロピレンとエチレンの共重合体を使用することができる。この場合、特に、ポリプロピレンが好ましい。
【0046】
上記分子量は、前述した測定方法と同様で、高温GPCを用いた平均分子量を示す。具体的には、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベゼンを使用し、135℃の温度条件で流出させ示差屈折率検出器により検出し、分子量を普遍校正法によるポリプロピレン絶対分子量換算で求めた数平均分子量(Mn)及びZ平均分子量(Mz)である。
【0047】
また上記の低分子量ポリオレフィンは、公知の任意の方法で製造され特に限定されない。その製造方法の1例として、通常の方法で合成されたポリオレフィンを溶融状態で熱分解を行い分子量を調整する方法があげられる。特に分子量の調整は、前述のGPCに於いて好ましい分子量の範囲になる様に分取する方法がある。
【0048】
なお、上記ポリオレフィンの添加量は、前述したと同様に結着樹脂に対してトナー中に0.5〜5.0重量%添加されることが好ましい。特に好ましい範囲は1.0〜4.0重量%である。この範囲を越えるとトナー表面に存在する離型剤の量が増加し流動性の低下が発生しやすく、一方で添加量が過小であると定着に於ける効果が発揮されにくくなる。
【0049】
本発明では、少なくともポリプロピレン換算分子量で4000以下の分子量のものが40〜70%含有してなる低分子量ポリオレフィンをトナーとして使用していることから、少量の熱で容易に溶融することのできる成分が多く存在しているため定着に於いてより少ない熱エネルギーによって離型効果を発揮することができ、巻き付き発生の温度を低下することができ、より広い定着温度を確保することができ、さらに、フィルム状の定着装置を用いた場合の高い曲率を有する定着装置に於いても巻き付きの問題を発生することがない。
【0050】
また、トナーには前述と同様に着色剤が分散された状態で存在されているが、この着色剤の分散性向上のためには大きなせん断力で分散させる必要がある。また以下にのべることも前述したことと同様であるが、大きなせん断力で分散させるためには、結着樹脂の粘度を高くする必要がある。このためには結着樹脂に加える熱を少なくする、すなわち、加熱温度を下げることが必要となる。しかし、同時に添加される低分子量ポリオレフィンも同時に分散される必要があるため、加熱温度を低下した場合には低分子量ポリオレフィンが分散されず、大きなドメインで存在し、トナーが不均一となり、オフセット性の低下や、帯電分布の像かによる転写率の低下等の問題を発生する。しかし、本発明の上記低分子量ポリオレフィンでは分子量が小さいものを多く含有していることから、低い温度で溶融が開始するポリオレフィンの低分子量成分によりポリオレフィンの高分子量成分が相溶し、低い温度で混練した場合でも容易に結着樹脂中に分散することができる。
【0051】
上述及び後述する態様に於いて、上記低分子量ポリオレフィンとしてはポリプロピレン換算分子量で4000以下の分子量のものが40〜70%含有されている。この範囲以下であると、離型剤中のポリオレフィンの低分子量成分の含有量が低下し、巻き付きが発生する問題を有し、さらに、ポリオレフィンの低分子量成分が少なくなることにより、定着オフセット現象も増加する問題を有している。さらに、結着樹脂中の低分子量ポリオレフィンの分散性が低下し、帯電量分布の増加が発生し、転写率の低下問題が発生する。
【0052】
一方、ポリオレフィンの低分子量成分の含有量が過多であると定着に於ける巻き付きやオフセットの問題は減少するものの、いわゆるポリオレフィンの低分子量成分の増加に伴ってトナー表面が軟化しやすくなり、流動性付与のために添加される外添剤のトナー表面への埋め込みやキャリアあるいは現像器(スリーブ)表面に対する融着の問題が起こり、耐久性の低下が発生する。
【0053】
本発明の上記の低分子量ポリオレフィンとしては、任意のポリオレフィン及びその共重合体あるいはその酸等の変性体が使用でき好ましくはポリプロピレンやプロピレンとエチレンの共重合体を使用することができる。この場合、特に、ポリプロピレンが好ましい。
【0054】
本発明に於ける分子量は、前述した測定方法と同様で、高温GPCを用いた分子量を示す。具体的には、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベゼンを使用し、135℃の温度条件で流出させ示差屈折率検出器により検出し、分子量を普遍校正法によるポリプロピレン絶対分子量換算で求めた分子量である。
【0055】
分子量4000以下のものの含有率とは、GPCにおける分子量分布を示す図5において、分子量4000以下のものの面積Bを全分布の面積Aで割り、100倍した値で示されるものである。
【0056】
本発明の上記低分子量ポリオレフィンは、公知の任意の方法で製造され特に限定されない。その製造方法の1例として通常の方法で合成されたポリオレフィンを溶融状態で熱分解を行い分子量を調整する方法があげられる。特に分子量の調整は、前述のGPCに於いて好ましい分子量の範囲になる様に分取する方法がある。
【0057】
なお、上記ポリオレフィンの添加量は、樹脂に対してトナー中に0.5〜5.0重量%添加されることが好ましい。特に好ましい範囲は1.0〜4.0重量%である。この範囲を越えるとトナー表面に存在する離型剤の量が増加し流動性の低下が発生しやすく、一方で添加量が過小であると定着に於ける効果が充分に発揮されないことがある。
【0058】
また次の別の態様も、トナー中に於ける低分子量ポリオレフィンの物性を損なうことなくトナー中に分散することができ、所望の離型性を損なうことなく使用することができる。この結果、目的とする離型効果を十分に発揮することができ、定着性及びオフセット性に優れたトナーを得ることができる。
【0059】
即ち結着樹脂と低分子量ポリオレフィンとを熔融、混練、粉砕し得られる静電荷現像用トナーにおいて、熔融、混練、粉砕する前の該分子量ポリオレフィンの主DSCピーク温度と該トナー中に存在する低分子量ポリオレフィンの主DSC吸熱ピーク温度との差が1.0〜10.0℃であることが好ましい。
【0060】
ここで、低分子量ポリオレフィン自体の主DSC吸熱ピーク温度が10.0℃以上変化すると分子鎖の切断が過多に発生し低分子量化が進むためにオフセット性、特に高温時のオフセット性が低下する。また、主DSC吸熱ピーク温度が1.0℃未満の低下である場合にはトナー中への分散状態が不均一となり、大きな粒子の状態でトナー中へ存在する状態となり、紙に対する接着性の低下を引き起こしてしまう。
【0061】
また、上記低分子量ポリオレフィン自体のDSCに於ける主吸熱ピークはDSCにより測定されたもので、複数のピークを有する離型剤では主ピーク(最も大きなピーク)の温度を示す。
【0062】
本吸熱ピークはDSCにて測定された値で、吸熱部のピーク値自体を示す。示差走査熱量計を用い、まず200℃まで昇温し、降下温度10℃/minで0℃まで冷却する。ついで、このサンプル昇温速度10℃/minで測定し、吸熱ピークを求める方法である。
【0063】
なお、低分子量ポリオレフィン自体のDSC主吸熱ピーク温度としては130〜155℃の範囲のものが好適である。すなわち、この温度が高い場合には溶融温度自体が高くなり、離型効果が高温度のみで発揮されることとなり、高速定着及び低温度での定着には好ましくない。さらに、この温度が低い場合には離型自体が軟らかくなり、トナーへ添加される無機微粒子などの埋没などが発生し、耐久性にたいして悪影響を発生する。
【0064】
本発明の低分子量ポリオレフィンとして用いるものは低分子量ポリプロピレンである。低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、アミド系ワックス、等があげられる。好適なものとしては低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレンがあげられ、特に低分子量ポリプロピレンがあげられる。この理由としてポリプロピレン及びポリエチレンは離型効果以外に炭化水素で構成されているため、負帯電性が高いためにトナーへ用いた場合の負帯電性付与効果にも優れているためである。分子量としては高温GPCを用いた数平均分子量で2000〜6000のものがよい。この分子量よりも高い場合には離型効果が発揮されず、分子量が小さい場合には熱に対する熔解性が高くなりオフセット防止効果が発揮されない。
【0065】
本発明に於ける分子量の測定方法は、高温GPCを用いた数平均分子量を示す。具体的には、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベゼンを使用し、135℃の温度条件で流出させ示差屈折率検出器により検出し、分子量を普遍校正法によるポリプロピレン絶対分子量換算で求めた数平均分子量である。
【0066】
低分子量ポリオレフィンの添加量としては重量で0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜4.0重量%である。この添加量はトナー全体に対するもので、この量は少ない場合にはトナーのオフセット性を付与することができず、この量が過多であるとトナーの紙に対する接着性が低下する問題を発生する。
【0067】
また本発明の上記の低分子量ポリオレフィンは、公知の任意の方法で製造され特に限定されない。その製造方法の1例として通常の方法で合成されたポリオレフィンを溶融状態で熱分解を行い分子量を調整する方法があげられる。特に分子量の調整は、前述のGPCに於いて好ましい分子量の範囲になる様に分取する方法がある。
【0068】
本発明のトナーの構成を以下に詳述するが、本発明の構成はそれに限定されるものではない。
【0069】
本発明のトナーは、結着樹脂と前記詳述した低分子量ポリオレフィンとからなり、その他必要に応じて着色剤、荷電制御剤、定着性改良剤等の添加剤を添加混練したトナーである。この本発明のトナーには、更に必要に応じて、無機、有機微粒子を所請外添剤として添加し使用することができる。
【0070】
本発明のトナーを二成分現像剤として使用するときは、上記本発明のトナーにキャリアを混合して使用し、一成分現像剤として使用するときは本発明のトナーに強磁性体を更に添加混練して、使用する。トナーの平均粒径は体積平均粒径で通常、1〜30μm、好ましくは5〜15μmである。本発明のトナーを構成する結着樹脂としては特に限定されず、従来公知の種々の樹脂が用いられる。例えば、スチレン系樹脂・アクリル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・スチレン/ブタジエン樹脂・ポリエステル樹脂等が挙げられるが、本発明において好ましいのはスチレン/アクリル系樹脂・スチレン/ブタジエン系樹脂・ポリエステル樹脂である。着色剤としては特に限定されず、従来トナー用として公知の、カーボンブラック・ニグロシン染料・アニリンブルー・カルコイルブルー・クロムイエロー・ウルトラマリンブルー・デュポンオイルレッド・キノリンイエロー・メチレンブルークロライド・フタロシアニンブルー・マラカイトグリーンオクサレート・ローズベンガル等が任意に又使用目的に応じて使用される。
【0071】
その他の添加剤としては例えばサリチル酸誘導体・アゾ系金属錯体等の荷電制御剤、その他の低分子量ポリオレフィン・カルナウバワックス等の定着性改良剤等が挙げられる。また、使用される無機微粒子としてはシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の数平均一次粒子径が5〜1000nmのものが使用され、これらは疎水化されていてもよい。
【0072】
さらに、トナーにはクリーニング助剤として数平均一次粒子径が0.1〜2.0μmのスチレン-アクリル樹脂微粒子やステアリン酸亜鉛の様な高級脂肪酸金属塩を添加してもよい。
【0073】
無機微粒子の添加量としては着色粒子に対して0.1〜2.0wt%添加するとよい。また、クリーニング助剤は着色粒子に対して0.01〜1.0wt%程度がよい。
【0074】
二成分現像剤を構成するキャリアとしては鉄・フェライト等の磁性材料粒子のみで構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等によって被覆した樹脂被覆キャリアあるいは、樹脂と磁性粉とを混合して得られる樹脂分散型キャリアのいずれを使用してもよい。このキャリアの平均粒径は体積平均粒径で30〜150μmが好ましい。
【0075】
磁性一成分現像剤として用いる場合には、着色剤として数平均一次粒子径が0.1〜2.0μmのマグネタイト等の強磁性体を含有して構成することが好ましい。この場合は磁性体をトナー中に20〜60重量%添加されるのが一般的である。
【0076】
さらに、本発明ではキャリアをもちいずに非磁性トナーのみで構成される非磁性一成分トナーとして用いることもできる。
【0077】
即ち、本発明によって初めて低温度に加熱した熱定着方法を採用しても、所謂オフセット現象、巻き付き現象発生を効率的に防止することができ、熱エネルギーの少ない低温度で加熱・高速定着が可能となる。
【0078】
以下本発明に好適に適用される定着方式について説明する。
【0079】
その一型式の熱ローラ定着方式は、図1に従って説明すると、表面2に例えばテトラフロオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダ3内部に熱源4を有する上ローラ1とシリコンゴム等で形成された下ローラ5とから形成されているものである。詳しくは、熱源4として線状のヒーターを有し、上ローラ1の表面温度を約110〜220℃程度に加熱させるものである。この上ローラ1と下ローラ5との間を本発明のトナー画像7を担持した記録材6を通過させ、トナー画像7を記録材上に熱溶融固着させる。従来のトナーはこの固着に際して、溶融したトナーの一部が上ローラ1に融着し、一回転後、この上ローラ1に融着したトナーが記録材の別の部分に固着されるオフセット現象が発生し、甚だしき場合は、上ローラ1に融着したトナーは、記録材からも離れず記録材と共にローラ1に巻き付く、所謂巻き付き現象が発生していた。これらの現象は、近年省エネルギー傾向下の低温熱ローラ定着方式では頻発していた。この熱ローラ定着方式において定着部に上ローラと下ローラ間に圧力を加え、下ローラを変形させ、いわゆるニップを形成することが広く行われている。このニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmをとる。定着線速度は40〜500mm/secが好ましい。ニップ幅が狭い場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生し易くなる。一方でニップ幅が広い場合にはトナーの溶融が促進され、オフセット現象が発生しやすくなる。
【0080】
また、その他の型式の定着方式を、図2に従って説明すると、装置に固定支持された低熱容量ライン状加熱体15は、厚さ0.2〜5.0mm、好ましくは0.5〜3.5mm、幅10〜15mm、長手長240〜400mmのアルミナ基板17に抵抗材料を1.0〜2.5mmに塗布したもので両端より通電されるものである。通電はDC100Vの周期25msecのパルス波形で温度センサ16により制御された温度、エネルギー放出量に応じたパルス幅に変化させて与える。低熱容量ライン状加熱体15において温度センサ16で検出されたれ温度T1の場合、抵抗材料に対向するフィルム材14の表面温度T2は温度T1よりも低い温度となる。ここで温度T1は110〜220℃が好ましく、T2の温度はT1の温度と比較して0.5〜10℃低いことが好ましい。また、フィルム材14がトナー定着表面より剥離する部分におけるフィルム材表面温度T3はT2とほぼ同等である。この様にエネルギー制御、温度制御にされた加熱体に当接してフィルム材は記録材と同じ方向に移動する。このフィルム材14としては、厚みにして10〜35μmの耐熱フィルム、例えば、ポリエステル、ポリパーフロオロアルキルビニルエーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミドに少なくともテフロン等のフッ素樹脂に導電材を添加した離型材層を5〜15μm被覆させたフィルムであり、好ましくはエンドレスフィルム材である。一般的には総厚10〜100μm、フィルム材14の駆動はフィルム材駆動ローラ11とフィルム材従動ローラ12による駆動とテンションによりシワ、ヨレがなく搬送される。定着線速度は40〜500mm/secが好ましい。加圧ローラ13はシリコンゴム等の離型性の高いゴム弾性層を有し、総圧2〜30kgでフィルム材14を介して低熱容量ライン状態加熱体15と加圧し、矢印方向に圧接回転し、このフィルム材14と加圧ローラ13との間をトナー像を担持した記録材を通過させ、低熱容量ライン状態加熱体15を通過させて、トナー像と記録材に溶融固着させる。
【0081】
その他の形式の定着方式の他の例を図3を用いて説明する。この図3の例は、図2の例が、フィルム材14がエンドレスであったのに対し、有端なフィルム材24の例である。即ち、図3の様にシート送り出し軸21及び巻き取り軸22に有端フィルム材24を巻き付け、定着毎に少しずつフィルム材24を矢印方向へ移動させる。この場合は巻き取り軸22で駆動する。13,15,16,17は図2のそれらと同じである。
【0082】
巻き取り軸22で駆動により送り出し軸21に巻き取られていた有端フィルム材24は定着毎に少しずつ駆り出され、この有端フィルム材24と加圧ローラ13との間をトナー像を担持した記録材を通過させ、低熱容量ライン状態加熱体15を通過させることによってトナー像を記録材に溶融固着させる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0084】
参考例1
ポリプロピレン製造例
通常の合成方法により製造されたポリプロピレン(PP)を用いて、熱溶融させた状態で熱分解を行い、必要に応じて高温GPCで分取を行い、下記一覧表に示すポリプロピレンを得た。
【0085】
なお、分子量の測定方法は、GPC-150C(WATERS社製)を用い、カラムとしてSHODEX HT-806を使用、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo−ジクロロベンゼン、温度=135℃、流速=1ml/minにより測定した。
【0086】
また、溶出開始分子量(Mmax)及びピーク分子量は(Mp)測定されたGPCのチャートを分子量の対数を横軸として換算したグラフによって作成されたチャートを用いて求めた。
【0087】
トナー製造例1
スチレンアクリル樹脂100部に対してカーボンブラック10部と本発明のポリオレフィンとしてPP−1を3部用い、常法に従い、予備混合、混練、粉砕、分級し、体積平均粒径が10.7μmの着色粒子を得た。ついで、疎水性シリカを0.5重量%添加し、混合し、本発明のトナーを得た。これを、「トナー1」とする。
【0088】
トナー製造例2
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりにPP−2を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー2」とする。
【0089】
トナー製造例3
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりにPP−3を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー3」とする。
【0090】
トナー製造例4
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりにPP−4を5部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー4」とする。
【0091】
トナー製造例5
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりにPP−5を5部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー5」とする。
【0092】
トナー製造例6
トナー製造例1に於いてスチレンアクリル樹脂の代わりポリエステル樹脂を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー6」とする。
【0093】
トナー製造例7
トナー製造例1に於いてスチレンアクリル樹脂の代わりスチレン−ブタジエン樹脂を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー7」とする。
【0094】
トナー製造例8
トナー製造例1に於いて、カーボンブラックの代わりに数平均粒子径が0.25μmのマグネタイトを55部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー8」とする。
【0095】
比較用トナー1
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−1を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー1」とする。
【0096】
比較用トナー2
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−2を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー2」とする。
【0097】
比較用トナー3
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−3を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー3」とする。
【0098】
比較用トナー4
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−4を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー4」とする。
【0099】
比較用トナー5
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−5を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー5」とする。
【0100】
比較用トナー6
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−6を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー6」とする。
【0101】
比較用トナー7
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりに比較用PP−7を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー7」とする。
【0102】
比較用トナー8
トナー製造例1に於いて、PP−1の代わりにビスコール660P(三洋化成工業者製)を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー8」とする。
【0103】
(現像剤調整例)
「トナー1」〜「トナー7」及び「比較用トナー1」〜「比較用トナー8」とフッ素系樹脂を被覆したフェライトキャリア(体積平均粒径=65μm)とを混合し、トナー濃度が5%の現像剤を調整した。これらを「現像剤1」〜「現像剤7」及び「比較用現像剤1」〜「比較用現像剤8」とする。なお、「トナー8」は、磁性現像剤であるため、このまま使用した。
【0104】
(定着条件)
「現像剤1」〜「現像剤7」及び「比較用現像剤1」〜「比較用現像剤8」については二成分現像剤であることから、有機感光体を有するコニカ製複写機コニカ3035を用いて画像評価を実施した。さらに、「トナー8」については、コニカ製レーザービームプリンターLP-3110を用いて画像評価を実施した。以上に於いて、定着の部分については下記に示す評価条件へ変更して評価を実施した。
【0105】
・熱ロール定着条件(図1)
熱ロール方式として、表面をテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で被覆した直径30mmφのヒーターを中央部に内蔵した円柱状の鉄を上ローラーとして有し、表面が同様にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体で被覆したシリコンゴムで構成された直径30mmφの下ローラーを有している。線圧は0.8kg/cmに設定され、ニップの幅は4.3mmとした。この定着機を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。なお、定着機のクリーニング機構は設置していない。
【0106】
定着機の表面温度を可変(110〜220℃)とした。
【0107】
・フィルム状定着条件
定着装置を図2に示す、エンドレスシート定着器を用い、定着の条件を下記に設定した。
【0108】
(評価)
・巻き付き性評価
先端部から1mmの位置に幅40mmのベタ黒画像を印字し、定着上ローラーに対する巻き付き状態を評価した。定着の温度を110℃より5℃単位で上昇させ、巻き付きが発生しなくなる温度を評価した。
【0109】
・転写率評価
5%の印字密度を有する文字画像を用いて20℃/50%RHの環境条件下で、100枚連続で印字し、転写率を消費したトナー量と未転写で感光体から回収されたトナー量から算出した。
【0110】
・顔料分散状態評価
「トナー1」〜「トナー7」及び「比較用トナー1」〜「比較用トナー8」についてはカーボンブラックの分散状態を評価した。この場合、透過型電子顕微鏡で観察し、1μm以上の凝集体の有無を評価した。
【0111】
・耐久性及び定着パッドの汚れ評価
前述の定着装置に20℃の粘度が10000cpのポリジメチルシリコンからなるオイルを含浸させた定着パッドを装着し、上記現像剤を用いて5%の画素率の線画像を20℃/20%RHの環境下で10万枚印字し、初期と終了時のベタ黒画像の濃度を測定した。濃度はマクベス社製のRD-918を用いて絶対反射濃度をベタ黒画像の12箇所を測定した平均値で求めた。さらに、定着パッド自体の汚れについて目視で判定した。結果を以下に示す。
【0112】
以上の結果から明らかなように、本発明は、比較に比して定着に於ける不良の発生がなく(定着ローラへの巻き付きがない、定着パッドの汚れが少ない、耐久性良好)、転写率も良好な結果で有ることが分かる。
【0113】
参考例2
ポリプロピレン製造例
通常の合成方法により製造されたポリプロピレン(PP)を用いて、熱溶融させた状態で熱分解を行い、必要に応じて高温GPCで分取を行い、下記に示すポリプロピレンを得た。
【0114】
なお、Z平均分子量(Mz)及び数平均分子量(Mn)は、GPC-150C(WATERS社製)を用い、カラムとしてSHODEX HT-806を使用、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベンゼン、温度=135℃、流速=1ml/minの条件で測定されたポリプロピレン換算分子量である。
【0115】
トナー製造例11
スチレンアクリル樹脂100部に対してカーボンブラック10部と本発明のポリオレフィンとしてPP−11を3部用い、常法に従い、予備混合、混練、粉砕、分級し、体積平均粒径が10.7μmの着色粒子を得た。ついで、疎水性シリカを0.5重量%添加し、混合し、本発明のトナーを得た。これを、「トナー11」とする。
【0116】
トナー製造例12
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりにPP−12を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー12」とする。
【0117】
トナー製造例13
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりにPP−13を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー13」とする。
【0118】
トナー製造例14
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりにPP−14を5部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー14」とする。
【0119】
トナー製造例15
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりにPP−15を5部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー15」とする。
【0120】
トナー製造例16
トナー製造例11に於いてスチレンアクリル樹脂の代わりにポリエステル樹脂を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー16」とする。
【0121】
トナー製造例17
トナー製造例11に於いてスチレンアクリル樹脂の代わりにスチレン−ブタジエン樹脂を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー17」とする。
【0122】
トナー製造例18
トナー製造例11に於いて、カーボンブラックの代わりに数平均粒子径が0.25μmのマグネタイトを55部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これ「トナー18」とする。
【0123】
比較用トナー11
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりに比較用PP−11を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー11」とする。
【0124】
比較用トナー12
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりに比較用PP−12を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー12」とする。
【0125】
比較用トナー13
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりに比較用PP−13を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー13」とする。
【0126】
比較用トナー14
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりに比較用PP−14を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー14」とする。
【0127】
比較用トナー15
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりに比較用PP−15を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー15」とする。
【0128】
比較用トナー16
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりに比較用PP−16を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー16」とする。
【0129】
比較用トナー17
トナー製造例11に於いて、PP−11の代わりにビスコール660P(三洋化成工業者製)を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー17」とする。
【0130】
(現像剤調整例)
「トナー11」〜「トナー17」及び「比較用トナー11」〜「比較用トナー17」とフッ素系樹脂を被覆したフェライトキャリア(体積平均粒径=65μm)とを混合し、トナー濃度が5%の現像剤を調整した。これらを「現像剤11」〜「現像剤17」及び「比較用現像剤11」〜「比較用現像剤17」とする。なお、「トナー18」は、磁性現像剤であるため、このまま使用した。
【0131】
(定着条件)
「現像剤11」〜「現像剤17」及び「比較用現像剤11」〜「比較用現像剤17」については二成分現像剤であることから、有機感光体を有するコニカ製複写機コニカ3035を用いて画像評価を実施した。さらに、「トナー18」については、コニカ製レーザービームプリンターLP-3110を用いて画像評価を実施した。以上に於いて、定着の部分については下記に示す評価条件へ変更して評価を実施した。
【0132】
・熱ロール定着条件(図1)
熱ロール方式として、表面をテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で被覆した直径30mmφのヒーターを中央部に内蔵した円柱状の鉄を上ローラーとして有し、表面が同様にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体で被覆したシリコンゴムで構成された直径30mmφの下ローラーを有している。線圧は0.8kg/cmに設定され、ニップの幅は4.3mmとした。この定着機を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。なお、定着機のクリーニング機構は設置していない。
【0133】
定着機の表面温度を可変(110〜220℃)とした。
【0134】
・フィルム状定着条件
定着装置を図2に示す、エンドレスシート定着器を用い、定着の条件を下記に設定した。
【0135】
(評価)
・巻き付き性評価
先端部から1mmの位置に幅40mmのベタ黒画像を印字し、定着上ローラーに対する巻き付き状態を評価した。定着の温度を110℃より5℃単位で上昇させ、巻き付きが発生しなくなる温度を評価した。
【0136】
・転写率評価
5%の印字密度を有する文字画像を用いて20℃/50%RHの環境条件下で、100枚連続で印字し、転写率を消費したトナー量と未転写で感光体から回収されたトナー量から算出した。
【0137】
・顔料分散状態評価
「トナー11」〜「トナー17」及び「比較用トナー11」〜「比較用トナー17」についてはカーボンブラックの分散状態を評価した。この場合、透過型電子顕微鏡で観察し、1μm以上の凝集体の有無を評価した。
【0138】
・耐久性及び定着パッドの汚れ評価
前述の定着装置に20℃の粘度が10000cpのポリジメチルシリコンからなるオイルを含浸させた定着パッドを装着し、上記現像剤を用いて5%の画素率の線画像を33℃/80%RHの環境下で10万枚印字し、初期と終了時のベタ黒画像の濃度を測定した。濃度はマクベス社製のRD-918を用いて絶対反射濃度をベタ黒画像の12箇所を測定した平均値で求めた。さらに、定着パッド自体の汚れについて目視で判定した。結果を以下に示す。
【0139】
以上の結果から明らかなように、本発明は、比較に比して定着に於ける不良の発生がなく(定着ローラへの巻き付きがない、定着パッドの汚れが少ない、耐久性良好)、転写率も良好な結果で有ることが分かる。
【0140】
実施例3
ポリプロピレン製造例
通常の合成方法により製造されたポリプロピレン(PP)を用いて、熱溶融させた状態で熱分解を行い、必要に応じて高温GPCで分取を行い、下記に示すポリプロピレンを得た。
【0141】
なお、分子量の測定方法は、GPC-150C(WATERS社製)を用い、カラムとしてSHODEX HT-806を使用、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベンゼン、温度=135℃、流速=1ml/minにより測定した。
【0142】
また、含有量は測定されたGPCのチャートを分子量の対数を横軸として換算したグラフによって作成されたチャートを用いて全分子量面積から4000以下の部分の面積を比較することで求めた。
【0143】
トナー製造例21
スチレンアクリル樹脂100部に対してカーボンブラック10部と本発明のポリオレフィンとしてPP−21を3部用い、常法に従い、予備混合、混練、粉砕、分級し、体積平均粒径が10.7μmの着色粒子を得た。ついで、疎水性シリカを0.5重量%添加し、混合し、本発明のトナーを得た。これを、「トナー21」とする。
【0144】
トナー製造例22
トナー製造例21に於いて、PP−21の代わりにPP−22を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー22」とする。
【0145】
トナー製造例23
トナー製造例21に於いて、PP−21の代わりにPP−23を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー23」とする。
【0146】
トナー製造例24
トナー製造例21に於いて、PP−21の代わりにPP−24を5部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー24」とする。
【0147】
トナー製造例25
トナー製造例21に於いてスチレンアクリル樹脂の代わりポリエステル樹脂を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー25」とする。
【0148】
トナー製造例26
トナー製造例21に於いてスチレンアクリル樹脂の代わりスチレン−ブタジエン樹脂を用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これを「トナー26」とする。
【0149】
トナー製造例27
トナー製造例21に於いて、カーボンブラックの代わりに数平均粒子径が0.25μmのマグネタイトを55部用いた他は同様にして本発明のトナーを得た。これ「トナー27」とする。
【0150】
比較用トナー21
トナー製造例21に於いて、PP−21の代わりに比較用PP−21を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー21」とする。
【0151】
比較用トナー22
トナー製造例21に於いて、PP−21の代わりに比較用PP−22を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー22」とする。
【0152】
比較用トナー23
トナー製造例21に於いて、PP−21の代わりにビスコール660P(三洋化成工業者製)を用いた他は同様にして比較用トナーを得た。これを「比較用トナー23」とする。
【0153】
(現像剤調整例)
「トナー21」〜「トナー26」及び「比較用トナー21」〜「比較用トナー23」とフッ素系樹脂を被覆したフェライトキャリア(体積平均粒径=65μm)とを混合し、トナー濃度が5%の現像剤を調整した。これらを「現像剤21」〜「現像剤26」及び「比較用現像剤21」〜「比較用現像剤23」とする。なお、「トナー27」は、磁性現像剤であるため、このまま使用した。
【0154】
(定着条件)
「現像剤21」〜「現像剤26」及び「比較用現像剤21」〜「比較用現像剤23」については二成分現像剤であることから、有機感光体を有するコニカ製複写機コニカ3035を用いて画像評価を実施した。さらに、「トナー27」については、コニカ製レーザービームプリンターLP-3110を用いて画像評価を実施した。以上に於いて、定着の部分については下記に示す評価条件へ変更して評価を実施した。
【0155】
・熱ロール定着条件(図1)
熱ロール方式として、表面をテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で被覆した直径30mmφのヒーターを中央部に内蔵した円柱状の鉄を上ローラーとして有し、表面が同様にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体で被覆したシリコンゴムで構成された直径30mmφの下ローラーを有している。線圧は0.8kg/cmに設定され、ニップの幅は4.3mmとした。この定着機を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。なお、定着機のクリーニング機構は設置していない。
【0156】
定着機の表面温度を可変(110〜220℃)とした。
【0157】
・フィルム状定着条件
定着装置を図2に示す、エンドレスシート定着器を用い、定着の条件を下記に設定した。
【0158】
(評価)
・巻き付き性評価
先端部から1mmの位置に幅40mmのベタ黒画像を印字し、定着上ローラーに対する巻き付き状態を評価した。定着の温度を110℃より5℃単位で上昇させ、巻き付きが発生しなくなる温度を評価した。
【0159】
・転写率評価
5%の印字密度を有する文字画像を用いて20℃/50%RHの環境条件下で、100枚連続で印字し、転写率を消費したトナー量と未転写で感光体から回収されたトナー量から算出した。
【0160】
・顔料分散状態評価
「トナー21」〜「トナー27」及び「比較用トナー21」〜「比較用トナー22」についてはカーボンブラックの分散状態を評価した。この場合、透過型電子顕微鏡で観察し、1μm以上の凝集体の有無を評価した。
【0161】
・耐久性及び定着パッドの汚れ評価
前述の定着装置に20℃の粘度が10000cpのポリジメチルシリコンからなるオイルを含浸させた定着パッドを装着し、上記現像剤を用いて5%の画素率の線画像を20℃/20%RHの環境下で10万枚印字し、初期と終了時のベタ黒画像の濃度を測定した。濃度はマクベス社製のRD-918を用いて絶対反射濃度をベタ黒画像の12箇所を測定した平均値で求めた。さらに、定着ヘッド自体の汚れについて目視で判定した。結果を以下に示す。
【0162】
以上の結果から明らかなように、本発明は、比較に比して定着に於ける不良の発生(定着ローラへの巻き付きがない、定着パッドの汚れが少ない、耐久性良好)、転写率も良好な結果で有ることが分かる。
【0163】
参考例4
現像剤
離型剤として高分子量のポリプロピレンを熱分解する事によって得られる低分子量ポリプロピレンを用いた。下記に示す混練条件で吸熱ピークの変化を求め、本発明のトナー及び比較用トナーを得た。
【0164】
・トナー混練条件
以下「部」は「重量部」を示す。
【0165】
上記材料をヘンシェルミキサーで3分間予備混合した後、110℃〜145℃まで混練温度条件を種々にふって2軸混練押し出し機によって溶融混練を行った。混練物を冷却後、粉砕・分級した後に、体積平均粒径が10.3μmの着色粒子とし、ついで疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を0.5重量%添加し、本発明用トナーA、Bと比較用トナーa、bを得た。
【0166】
・現像剤
本発明用トナーA、B及び比較用トナーa、bのそれぞれと、銅−亜鉛系フェライト芯材の表面に樹脂を被覆してなる体積平均粒径80μmのキャリアとをYGG(ヤヨイ社製)で20分間混合して、トナー濃度が4重量%の2成分現像剤を調製した。これらを「現像剤A」「現像剤B」及び「比較用現像剤a」「比較用現像剤b]とする。
【0167】
DSC測定条件
装置として、DSC−7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)用いた。
【0168】
まず、10℃/minで0℃から200℃へ昇温する。ついで、10℃/minで200℃から0℃へ冷却して前履歴を消した後、10℃/minで0℃から200℃へ昇温し、セカンドヒートの吸熱ピーク温度を求めた。吸熱ピークが複数有る場合は、主吸熱ピークの温度を示す。
【0169】
GPC測定条件
なお、数平均分子量の測定方法は、GPC-150C(WATERS社製)を用い、カラムとしてSHODEX HT-806を使用、溶媒として0.1%のアイオノールを添加したo-ジクロロベンゼン、温度=135℃、流速=1ml/minにより測定した。ここで示す数平均分子量(Mn)はポリプロピレン換算分子量である。
【0170】
定着条件
「現像剤A」〜「現像剤B」及び「比較用現像剤a」〜「比較用現像剤b」について、有機感光体を有するコニカ製複写機コニカ3035を用いて画像評価を実施した。
【0171】
・熱ロール定着条件(図1)
熱ロール方式として、表面をテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で被覆した直径30mmφのヒーターを中央部に内蔵した円柱状の鉄を上ローラーとして有し、表面が同様にテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルエーテル共重合体で被覆したシリコンゴムで構成された直径30mmφの下ローラーを有している。線圧は0.8kg/cmに設定され、ニップの幅は4.3mとした。この定着機を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。なお、定着機のクリーニング機構は設置していない。
【0172】
定着機の表面温度を可変(140〜220℃)とした。
【0173】
・フィルム状定着条件
定着装置を図2に示す、エンドレスシート定着器を用い、定着の条件を下記に設定した。
【0174】
評価項目
・耐オフセット性
定着温度を220℃より5℃きざみで温度を下げながら140℃まで変化させ、定着トナー像を形成直後に白紙の転写紙を定着器に送ってこれにトナー汚れが生ずるか否かを目視により観察した。オフセットが消失した温度をオフセット発生温度として記録した。なお、高温度で発生するオフセットと低温度で発生するオフセットの2種があり、両者を記録した。
【0175】
・定着性
得られた定着トナー像の画像進行方向に対する手前側端部を、こすり試験機により一定の荷重をかけてこすった後、マイクロデンシトメーターで当該端部の定着トナー像の残存率を測定し、この残存率が80%以上であるとき定着性は良好と判断した。
【0176】
・定着パッドの汚れ評価
前述の定着装置に20℃の粘度が10000cpのポリジメチルシリコンからなるオイルを含浸させた定着パッドを装着し、上記現像剤を用いて5%の画素率の線画像を20℃/20%RHの環境下で10万枚印字し、定着パッド自体の汚れについて目視で判定した。
【0177】
以下のような試料を作成し、それぞれの試料に対して上記の評価を行った。その結果を以下に示す。
【0178】
以上の結果から明らかなように本発明の試料はオフセット性、定着性、耐久性に優れおよび定着パッドの汚れも少なく良好であることが分かる。
【0179】
【発明の効果】
本発明による静電荷像現像用トナー、熱ロール定着方法およびフィルム状加 熱定着方法は、オフセット現象の発生がなく、さらに加熱ローラへの巻き付き現象を発生することがなくしかも転写率が高く、現像スリーブへの融着のない耐久性の優れた効果を有しまた線速が200mm/sec以上の高速定着及び低温度の定着に於いて有効な離型効果を発揮することができ、オフセット性にも優れ、定着性、耐久性に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーを使用した一例を示す熱ローラ定着装置である。
【図2】本発明のトナーを使用した一例を示す加熱フィルム法定着装置の概略図である。
【図3】本発明のトナーを使用した他の例を示す加熱フィルム法定着装置の概略図である。
【図4】GPCで測定された分子量チャート図である。
【図5】GPCにおける分子量分布を示す図である。
【符号の説明】
1 上ローラ
4 熱源
5 下ローラ
6 記録材
11 フィルム材駆動ローラ
12 フィルム材従動ローラ
14 フィルム材
15 低熱容量ライン状態加熱体
Claims (3)
- 結着樹脂とポリプロピレン換算分子量で 4000 以下の分子量のものを 40 〜 70 %含有する低分子量ポリオレフィンを含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 回転する加熱定着ローラと該定着ローラに圧接した圧着ローラとの間を結着樹脂とポリプロピレン換算分子量で 4000 以下の分子量のものを 40 〜 70 %含有する低分子量ポリオレフィンを含有するトナーを担持した記録材を通過させ、該トナー像を記録材上に加熱定着することを特徴とする熱ロール定着方法。
- 固定支持された加熱体、フィルム部材、該加熱体に対向圧接し且つ該フィルム部材を介して、結着樹脂とポリプロピレン換算分子量で 4000 以下の分子量のものを 40 〜 70 %含有する低分子量ポリオレフィンを含有するトナーを担持した記録材を該加熱体に密着させる加圧部材とにより、上記トナーを記録材に加熱定着することを特徴とするフィルム状加熱定着方法。
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