JP3636746B2 - 磁気軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、主軸を径方向および軸方向に非接触支持する磁気軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記の磁気軸受装置は、例えば工作機械の主軸を支持するものとして用いられている。
上記の磁気軸受装置では、主軸と一体回転するロータディスクを挟んだ状態で主軸の軸方向に対向する、一対のアキシャル磁気軸受によって、ロータディスクの軸方向位置を制御し、これにより、主軸を、軸方向の一定位置に維持するようにしている。
【0003】
通常、ロータディスクは、主軸よりもかなり径の大きい円盤状であるため、空気との接触面積が大きく、且つ外径部の周速も大きい。このため、ロータディスクの発熱は相当大きい。
そこで、下記の▲1▼〜▲3▼のスピンドル装置が提供されている。
▲1▼ 実公平4−7380号公報に示す装置は、ロータディスクの外周部と、これを囲繞する部材との間の隙間に、空気流を流すようにしている。この装置では、ロータディスクの外周部に対向した第1の開口を通して、上記隙間へ導入した空気を、ロータディスクの回転方向に沿って流した後、ロータディスクの外周部に対向した第2の開口を通して、上記隙間から排出するようにしている。
▲2▼ 特開平2−35217号公報に示す装置は、内部を真空にすることにより、風損をなくすようにしている。
▲3▼ 実開平2−109014号公報に示す装置では、主軸駆動のためのエアタービンをロータディスクに設け、また、タービン駆動用のエアーによってラジアル軸受を冷却するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の▲1▼の装置では、昇温の大きいロータディスクに、直接冷却風を当てることができ、ロータディスクに対する冷却効果が高いという利点がある。
ところで、工作機械の主軸等における発熱としては、上記のロータディスクの風損による発熱の他に、主軸を回転駆動するモータの発熱や、主としてラジアル磁気軸受で発生する渦電流損による発熱等がある。
【0005】
これに対して、上記の▲1▼の装置では、ロータディスクの周辺部のみ冷却し、モータやラジアル磁気軸受等の発熱部位を冷却することができないので、全体として、冷却が悪いという問題があった。冷却が悪いと、運転中の主軸の寸法が熱膨張により変化し、工作機械の加工精度に悪影響を及ぼす。
また、上記の▲2▼の装置では、内部を真空にするため、風損は解消できるが、モータやラジアル磁気軸受の発熱を抑えることができなかった。
【0006】
また、上記の▲3▼の装置では、タービンをエアーとの摩擦により駆動するので、この摩擦によってロータディスクの発熱を助長するおそれがあった。また、上記▲3▼の装置では、タービン駆動用のエアーを、ラジアル軸受側へ冷却用として流すが、主軸とこれを取り囲む部材との間の隙間が一様ではなく、主軸を取り囲む部材が入り組んだ形状をしていることから、上記入り組んだ形状の部分にエアーが滞留しやすく、エアーがスムーズに流れなかった。このため、冷却効果が悪かった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、主軸の軸方向にスムーズに冷却空気を流すことができ、全体としての冷却に優れた磁気軸受装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る磁気軸受装置は、主軸に固定された円盤状のロータディスクを介して主軸の軸方向変位を制御するアキシャル磁気軸受と、このアキシャル磁気軸受の軸方向の両側に配置され、主軸の径方向変位を制御する一対のラジアル磁気軸受とを備えた磁気軸受装置において、
上記ロータディスクの外周面を取り囲む環状の部材と、
この環状の部材に開口されロータディスク冷却用の空気を吹き出す通気口と、ロータディスクの軸方向の両側において主軸の周囲を取り囲んだ状態で、主軸との間に、通気口からの空気を流す略一定の隙間を形成する隙間形成部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る磁気軸受装置は、請求項1記載の磁気軸受装置において、ロータディスクの回転に伴って通気路からの空気をロータディスクの径方向内方へ吸い込めるように、ロータディスクに、径方向に対して傾斜した凸条または凹条が形成されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る磁気軸受装置は、請求項1記載の磁気軸受装置において、上記隙間形成部材は、少なくとも上記ラジアル磁気軸受と前記アキシャル磁気軸受との間に形成される空間に充填される樹脂で形成されたことを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
請求項1に係る発明の構成によれば、環状の部材の通気口から吹き出された空気流は、最も発熱しやすいロータディスクに、まず当てられ後、ロータディスクの軸方向の両側に流され、隙間形成部材と主軸との間に形成された隙間を通して、主軸の軸方向に排出される。その結果、主軸駆動用のモータやラジアル磁気軸受等をも冷却することができ、複数の発熱部分を効果的に冷却することができる。しかも、上記隙間が略一定なので、空気が滞留することなく円滑に流される結果、冷却効果が非常に高い。
【0011】
また、主軸の軸方向に空気流を排出するので、主軸の軸方向端部から上記隙間へ、ダストやオイルミスト等が侵入することを防止することができる。
上記請求項2に係る発明の構成によれば、請求項1に係る発明と同様の作用を奏することに加えて、ロータディスクに、径方向に対して傾斜した凸条または凹条が形成されているので、ロータディスクの回転に伴って、通気路からの空気をロータディスクの径方向内方へ吸い込むことができる。したがって、特に送風手段がなくても空気流を起こすことができる。
【0012】
上記請求項3に係る発明の構成によれば、請求項1に係る発明と同様の作用を奏することに加えて、主軸との間に軸方向に一定の隙間を容易に形成することが可能である。また、ラジアル磁気軸受とアキシャル磁気軸受との間など各部材同士の間に形成される空間を埋めるので、この空間内に異物が侵入して主軸の回転を阻害することや、各磁気軸受が振動することを防止することができる。
【0013】
【実施例】
以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る磁気軸受装置の概略断面図である。同図を参照して、本磁気軸受装置は、▲1▼筒状の本体1と、▲2▼この本体1を貫通した主軸2と、▲3▼この主軸2の軸方向略中央部の近傍に配置された、主軸2を回転駆動するためのモータ3と、▲4▼このモータ3に隣接して配置され、主軸2に固定されたロータディスク4を介して主軸2の軸方向位置を制御するアキシャル磁気軸受5と、▲5▼上記モータ3およびアキシャル磁気軸受5を挟んだ両側に一対が配置され、それぞれ主軸2の径方向位置を制御するラジアル磁気軸受6,7と、▲6▼主軸2の軸方向の両端部に配置されたラビリンス型の密封機構8,9とを主に備えている。上記モータ3、アキシャル磁気軸受5およびラジアル磁気軸受6,7は、本体1に固定されている。
【0014】
本体1には、外部の圧力エアー供給源からのエアーを流すための第1の通気路10が形成されている。この第1の通気路10は、本体1の軸方向の端部から軸方向の中央部まで延びている。
アキシャル磁気軸受5は、ロータディスク4を挟んで軸方向の両側に配置された一対の電磁石5a,5bを備えている。各電磁石5a,5bは、ロータディスク4の各端面4a,4bとそれぞれ所定の間隔を隔てて対向している。また、両電磁石5a,5b同士の間には、本体1の内周面に固定された環状部材11が介在している。
【0015】
図1のA−A線に沿う断面図である図2を参照して、環状部材11は、ロータディスク4と同心であり、環状部材11の内周面は、僅かな隙間を隔ててロータディスク4の外周面に対向している。この環状部材11の外周部には、上記第1の通気路10と連通する、環状の第2の通気路12が形成されている。また、上記第2の通気路12は、環状部材12を径方向に貫通する複数の第3の通気路13を介して、上記隙間に連通されている。上記複数の第3の通気路13は、環状部材11の円周等配に形成されており、それぞれ環状部材12の内周面に開口する通気口13aを有している。
【0016】
図1において、14および15は、それぞれ本体1に固定されたラジアル変位センサであり、16および17は、それぞれ本体1に固定されたアキシャル変位センサである。また、18および19は、それぞれ本体1に固定されたタッチダウン軸受である。
アキシャル磁気軸受5の電磁石5a、ラジアル磁気軸受6およびラジアル変位センサ14は、樹脂からなる隙間形成部材20により各部材間の空間を埋めるようにモールドされており、この隙間形成部材20の内周面は、主軸2の外周面との間に一定の隙間S1を形成している。
【0017】
一方、アキシャル磁気軸受の電磁石5b、モータ3、ラジアル磁気軸受7およびラジアル変位センサ15は、樹脂からなる隙間形成部材21により各部材間の空間を埋めるようにモールドされており、この隙間形成部材21の内周面は、主軸2の外周面との間に略一定の隙間S2を形成している。
本実施例によれば、第1、第2及び第3の通気路11,12,13を介して、通気口13aからロータディスク4の外周面に向けて、空気流が吹き出され、最も発熱しやすいロータディスク4が、まず冷却される。ロータディスク4を冷却した空気流は、ロータディスク4を挟んだ主軸2の両側へ流され、隙間形成部材20,21によって軸方向に略一定間隔に形成された隙間S1,S2およびラビリンス型の密封機構8,9を順次に介して、主軸2の軸方向に排出される。その結果、主軸駆動用のモータ3やラジアル磁気軸受6,7等をも冷却することができ、複数の発熱部分を効果的に冷却することができる。しかも、上記隙間S1,S2が軸方向に略一定なので、空気が滞留することなく円滑に流される結果、冷却効果が非常に高い。 また、主軸2の軸方向に空気流を排出するので、上記密封機構8,9を通して、上記隙間S1,S2へ、ダストやオイルミスト等が外部から侵入することを防止することができる。
【0018】
図3は本発明の他の実施例の磁気軸受装置のロータディスクを示している。同図を参照して、本実施例が図1,図2の実施例と異なるのは、ロータディスク4の軸方向の両端面4a,4bのそれぞれに、径方向に対して傾斜した複数の凹条41が形成されており、ロータディスク4の回転に伴って通気口13aを通して、空気をロータディスク4の径方向内方へ吸い込むようにした点である。凹条41は、ロータディスク4の径方向外方へいくにしたがって、主軸2の回転方向(図中、矢印B方向)へ位相が進むうように傾斜されている。他の構成については図1,図2の実施例と同様であるので、図に同一符合を附してその説明を省略する。
【0019】
本実施例によれば、ロータディスク4への冷却風を起こすための送風手段である例えばコンプレッサ等を、不要にすることができ、構造を簡素化することができる。本実施例において、凹条41に代えて、凸条を用いることもできる。
上記各実施例においては、隙間形成部材20,21としてモールド樹脂を用いたが、内径が一定の円筒状のカラー部材を、電磁石やセンサなどの各部材間の空間にそれぞれ配置して、主軸外周との間にできる隙間を一定となるようにしても良い。その他、種々の設計変更を施すことが可能である。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に係る発明の構成によれば、ロータディスクを冷却した後の空気流を、ロータディスクの軸方向の両側の隙間へ流すようにしたので、全体としての冷却効果が高い。しかも、上記隙間が略一定なので、空気が滞留することなく円滑に流される結果、冷却効果が一層高い。また、主軸の軸方向に空気流を排出するので、主軸の軸方向端部から上記隙間へ、ダストやオイルミスト等が侵入することを防止することができる。
【0021】
上記請求項2に係る発明の構成によれば、請求項1に係る発明と同様の効果を奏することに加えて、ロータディスクの回転に伴って、通気路からの空気をロータディスクの径方向内方へ吸い込むことができる。したがって、ロータディスクへの冷却風を起こすための送風手段である例えばコンプレッサ等を、不要にすることもでき、構造を簡素化することができる。
【0022】
上記請求項2に係る発明の構成によれば、請求項1に係る発明と同様の効果を奏することに加えて、主軸との間に軸方向に一定の隙間を容易に形成することが可能である。また、ラジアル磁気軸受とアキシャル磁気軸受との間など各部材同士の間に形成される空間を埋めるので、この空間内に異物が侵入して主軸の回転を阻害することや、各磁気軸受が振動することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る磁気軸受装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る磁気軸受装置の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 主軸
3 モータ
4 ロータディスク
5 アキシャル磁気軸受
6,7 ラジアル磁気軸受
10 第1の通気路
11 環状部材
12 第2の通気路
13 第3の通気路
13a 通気口
S1,S2 隙間
20,21 隙間形成部材

Claims (3)

  1. 主軸に固定された円盤状のロータディスクを介して主軸の軸方向変位を制御するアキシャル磁気軸受と、
    このアキシャル磁気軸受の軸方向の両側に配置され、主軸の径方向変位を制御する一対のラジアル磁気軸受と
    を備えた磁気軸受装置において、
    上記ロータディスクの外周面を取り囲む環状の部材と、
    この環状の部材に開口されロータディスク冷却用の空気を吹き出す通気口と、
    ロータディスクの軸方向の両側において主軸の周囲を取り囲んだ状態で、主軸との間に、通気口からの空気を流す略一定の隙間を形成する隙間形成部材と
    を備えたことを特徴とする磁気軸受装置。
  2. 請求項1記載の磁気軸受装置において、ロータディスクの回転に伴って通気口からの空気をロータディスクの径方向内方へ吸い込めるように、ロータディスクに、径方向に対して傾斜した凸条または凹条が形成されていることを特徴とする磁気軸受装置。
  3. 請求項1記載の磁気軸受装置において、
    上記隙間形成部材は、少なくとも上記ラジアル磁気軸受と前記アキシャル磁気軸受との間に形成される空間に充填される樹脂で形成されたことを特徴とする磁気軸受装置。
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