JP3636596B2 - 送風機およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機等に使用する送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より一般的に使用されている空気調和機は、ケーシングの還気口及び給気口に連通する給気通風路に送風機を配置している。この送風機は空調和機としての性能を満たすように、その送風量および静圧の定格値を設定している。
【0003】
このために、従来の送風機においては、モータの駆動軸と羽根車の回転軸とをプーリおよびベルトを介して連動し、駆動軸に設けるプーリと回転軸に設けるプーリとの外径比を変えることにより、送風機としての回転数を、図32に示すように、要求送風量および要求静圧を満たす値に設定している。あるいは、モータの駆動軸に羽根車の回転軸を直結し、インバータを使用して電源回路の周波数を変えることにより、送風機としての回転数を、要求送風量および要求静圧を満たす値に設定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プーリとベルトを使用する形式においては、部品点数が多くなってコストが高くなり、定期的なメンテナンスによってベルトの張力調整や送風機における軸受への給油等を行なう必要があった。また、小型の空気調和機においては、構造上の制約から送風機の吸込口に羽根車の回転軸を受け止める軸受やプーリ等を配置する必要があるので、これらの部材が空気流に対して抵抗となって送風機性能が低下する問題があった。
【0005】
また、インバータ方式においては、インバータ自体が高価であり、プーリとベルト形式のものよりコストが高くなり、インバータにより電気ノイズが発生する問題があった。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、プーリやインバータ等を使用することなく、要求送風量および要求静圧を満たす送風機を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、請求項1に係る本発明の送風機は、一定回転数で回転する駆動装置の駆動軸に直結して設ける羽根車を備え、羽根車の軸心周りの円周上に配置する羽根が、設定羽根取付角度で設けられ、かつ羽根車の軸心方向に設定羽根幅を有する送風機であって、前記設定羽根取付角度が、前記一定回転数の下で発生する風量と静圧の相関を羽根取付角度の値を変えながら各羽根取付角度毎に求めた特性曲線において、最高効率点の静圧が要求静圧を超える羽根取付角度の最小の値をなし、前記設定羽根幅が、前記設定羽根取付角度および前記一定回転数の下で発生する風量と静圧の相関を羽根幅の値を変えながら各羽根幅毎に求めた特性曲線において、最高効率点の風量が要求風量を超える羽根幅の最小の値をなすものである。
【0008】
請求項2に係る本発明の送風機の製造方法は、回転軸心周りの円周上に複数の羽根を配置した羽根車を、駆動装置の駆動軸に直結して設け、羽根車を一定回転数で回転駆動する送風機を製造するに際し、羽根取付角度の値を変えながら各羽根取付角度毎に、当該回転数において発生する風量と静圧の相関を示す特性曲線を求め、この特性曲線の最高効率点における静圧が要求静圧を超える羽根取付角度の最小の値を求め、求めた値を設定羽根取付角度として選定し、この設定羽根取付角度において羽根車の軸心方向における羽根幅の値を変えながら各羽根幅毎に、発生する風量と静圧の相関を示す特性曲線を求め、この特性曲線の最高効率点における風量が要求風量を超える羽根幅の最小の値を求め、求めた値を羽根の設定羽根幅として選定するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、シロッコファン1は、ケーシング2の内部に羽根車3を配置し、羽根車3を一定回転数で回転するモータ4の駆動軸5に直結して固定している。羽根車3は、駆動軸5に固定する主板6と主板6に対向する環状の側板7との間に、羽根車3の軸心周りの円周上に位置する複数の羽根8を設けている。
【0010】
主板6および側板7に対する羽根8の羽根取付角度を、前記円周に対する接線と羽根8との間に形成する最大羽根角度として捉えると、羽根8は、最大羽根角度である羽根出口角度β2が要求静圧を発生するに必要な最小の値に近似している。また、羽根8は、羽根車3の軸心方向における羽根幅Lが要求風量を発生するに必要な最小の値に近似している。
【0011】
この羽根8の羽根取付角度および羽根幅の選定方法を以下に説明する。始めに、モータ4で設定する一定回転数で羽根車3を回転駆動するとして、羽根8の羽根取付角度を変えて最大羽根角度である羽根出口角度β2を変えながら、図4に示すように、それぞれの羽根出口角度β2の条件下において発生する風量と静圧の相関を示す特性曲線を求める。そして、特性曲線の最高効率点における静圧が要求静圧、ここでは運転点Dを超える特性曲線の中から羽根出口角度β2が最小の値となる特性曲線を求め、この特性曲線を与える羽根8の羽根取付角度を設定羽根取付角度として選定する。
【0012】
次に、この設定羽根取付角度において、羽根車3の軸心方向における羽根幅Lの値を変えながら各羽根幅毎に、図5に示すように、発生する風量と静圧の相関を示す特性曲線を求める。そして、特性曲線の最高効率点における風量が要求風量を超える特性曲線の中から羽根幅Lが最小の値となる特性曲線を求め、この特性曲線を与える羽根8の羽根幅を設定羽根幅として選定する。
【0013】
因みに、図6は回転数を1450rpmとする場合におけるシロッコファン1の性能比較を示すものである。
図7〜図11は本発明の他の実施の形態におけるエアフォイルファン20を示すものであり、先に説明したものと同様の作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省略する。
【0014】
この構成においては、羽根8が翼形をなすが、この構造においても、先の手法において羽根8の設定羽根取付角度および設定羽根幅を選定することができる。因みに、図12は回転数を1450rpmとする場合におけるエアフォイルファン1の性能比較を示すものである。
【0015】
図13〜図16は、アルミ製のシロッコファン30の製造方法を示すものであり、先に説明したものと同様の作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省略する。
【0016】
図15に示すように、アルミ材31を設定羽根幅において切断打ち抜きして羽根8を形成するとともに、羽根8の両側にリベット部32を形成する。また、羽根車3の主板6および側板7に設定羽根取付角度に応じたスリット状のリベット孔33を設け、リベット孔33にリベット部32を差し込んで羽根8を装着し、リベット部32をかしめて羽根8を主板6および側板7に固定する。
【0017】
図17〜図18は、鋼板製のシロッコファン40の製造方法を示すものであり、先に説明したものと同様の作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省略する。
【0018】
図18に示すように、鋼板41を設定羽根幅において切断打ち抜きして羽根8を形成するとともに、羽根8の両側に折り曲げ部42を形成する。また、羽根車3の主板6および側板7に設定羽根取付角度に応じたスリット孔を設け、スリット孔に折り曲げ部42を差し込んで羽根8を装着し、折り曲げ部42を折り曲げて羽根8を主板6および側板7に固定する。
【0019】
図19〜図22は、エアフォイルファン50の製造方法を示すものであり、先に説明したものと同様の作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省略する。
【0020】
図22に示すように、翼形をなす羽根部材51を設定羽根幅において切断打ち抜きして羽根8を形成し、羽根8の両側にネジ孔もしくはリベット孔52を形成する。また、羽根車3の主板6および側板7に設定羽根取付角度に応じたネジ孔もしくはリベット孔を設け、ネジもしくはリベット53により羽根8を主板6および側板7に固定する。
【0021】
図23〜図26は、他のエアフォイルファン60の製造方法を示すものであり、先に説明したものと同様の作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省略する。
【0022】
図26に示すように、翼形をなす羽根部材61を設定羽根幅において切断打ち抜きして羽根8を形成し、羽根8を主板6および側板7に設定羽根取付角度で溶接固定する。
【0023】
図27〜図30は、他のエアフォイルファン70の製造方法を示すものであり、先に説明したものと同様の作用を行なう部材については同一番号を付して説明を省略する。
【0024】
図30に示すように、翼形をなす羽根部材71を設定羽根幅において切断打ち抜きして羽根8を形成するとともに、羽根8の側板7に対する部位を斜めに切断する。羽根車3の側板7をテーパ面に形成し、羽根8を主板6および側板7に設定羽根取付角度で溶接固定する。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、羽根を、羽根取付角度が要求静圧を発生するに必要な最小の値に近似し、羽根車の軸心方向における羽根幅が要求風量を発生するに必要な最小の値に近似するように設けることにより、プーリやインバータ等を使用することなく、要求送風量および要求静圧を満たす送風機を構成できるので、定期的なメンテナンスによってベルトの張力調整や送風機における軸受への給油等を行なう必要がなく、小型の空気調和機においても、軸受やプーリ等の空気流に対して抵抗となる部材を排除して送風機性能の向上を図ることができ、インバータによる電気ノイズを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における送風機を示す正面図である。
【図2】同送風機を示す縦断面図である。
【図3】同送風機における羽根取付角度を示す摸式図である。
【図4】同送風機における羽根取付角度を選定するための静圧−風量相関図である。
【図5】同送風機における羽根幅を選定するための静圧−風量相関図である。
【図6】同シロッコファンの性能比較図である。
【図7】本発明の他の実施の形態における送風機を示す正面図である。
【図8】同送風機を示す縦断面図である。
【図9】同送風機において羽根幅の異なる縦断面図である。
【図10】同送風機における羽根取付角度を示す摸式図である。
【図11】同送風機の羽根の断面図である。
【図12】同エアフォイルファンの性能比較図である。
【図13】本発明の他の実施の形態におけるアルミ製シロッコファンを示す正面図である。
【図14】同ファンにおける羽根取付角度を示す摸式図である。
【図15】同ファンの羽根の製造方法を示す摸式図である。
【図16】同ファンにおける羽根取付構造を示す断面図である。
【図17】本発明の他の実施の形態における鋼製シロッコファンの構造を示す摸式図である。
【図18】同ファンの羽根の製造方法を示す摸式図である。
【図19】本発明の他の実施の形態におけるエアフォイルファンを示す正面図である。
【図20】同ファンにおける羽根取付構造を示す断面図である。
【図21】羽根取付角度を示す摸式図である。
【図22】同ファンの羽根の製造方法を示す摸式図である。
【図23】本発明の他の実施の形態におけるエアフォイルファンを示す正面図である。
【図24】同ファンにおける羽根取付構造を示す断面図である。
【図25】同ファンにおける羽根取付角度を示す摸式図である。
【図26】同ファンにおける羽根の製造方法を示す摸式図である。
【図27】本発明の他の実施の形態におけるエアフォイルファンを示す正面図である。
【図28】同ファンにおける羽根取付構造を示す断面図である。
【図29】同ファンにおける羽根取付角度を示す摸式図である。
【図30】同ファンにおける羽根の製造方法を示す摸式図である。
【図31】同ファンにおける羽根の製造方法を示す摸式図である。
【図32】送風機における回転数毎の静圧−風量相関図である。
【符号の説明】
1 シロッコファン
2 ケーシング
3 羽根車
4 モータ
5 駆動軸
6 主板
7 側板
8 羽根
Claims (2)
- 一定回転数で回転する駆動装置の駆動軸に直結して設ける羽根車を備え、羽根車の軸心周りの円周上に配置する羽根が、設定羽根取付角度で設けられ、かつ羽根車の軸心方向に設定羽根幅を有する送風機であって、
前記設定羽根取付角度が、前記一定回転数の下で発生する風量と静圧の相関を羽根取付角度の値を変えながら各羽根取付角度毎に求めた特性曲線において、最高効率点の静圧が要求静圧を超える羽根取付角度の最小の値をなし、
前記設定羽根幅が、前記設定羽根取付角度および前記一定回転数の下で発生する風量と静圧の相関を羽根幅の値を変えながら各羽根幅毎に求めた特性曲線において、最高効率点の風量が要求風量を超える羽根幅の最小の値をなすことを特徴とする送風機。 - 回転軸心周りの円周上に複数の羽根を配置した羽根車を、駆動装置の駆動軸に直結して設け、羽根車を一定回転数で回転駆動する送風機を製造するに際し、羽根取付角度の値を変えながら各羽根取付角度毎に、当該回転数において発生する風量と静圧の相関を示す特性曲線を求め、この特性曲線の最高効率点における静圧が要求静圧を超える羽根取付角度の最小の値を求め、求めた値を設定羽根取付角度として選定し、この設定羽根取付角度において羽根車の軸心方向における羽根幅の値を変えながら各羽根幅毎に、発生する風量と静圧の相関を示す特性曲線を求め、この特性曲線の最高効率点における風量が要求風量を超える羽根幅の最小の値を求め、求めた値を羽根の設定羽根幅として選定することを特徴とする送風機の製造方法。
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JP16575498A JP3636596B2 (ja) | 1998-06-15 | 1998-06-15 | 送風機およびその製造方法 |
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1998
- 1998-06-15 JP JP16575498A patent/JP3636596B2/ja not_active Expired - Fee Related
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