JP3636119B2 - 電気湯沸かし器の流出調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流出する湯が整流になるようにした電気湯沸かし器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の電気湯沸かし器の流出調整装置としては、例えば、特開平11−99068号公報に記載されているようなものがあった。図5は、前記公報に記載された流出調整装置を搭載した電気湯沸かし器の断面図であり、図6は同流出調整装置の拡大断面図である。
【0003】
図5において、1はステンレス鋼で形成された容器であり、2は液送装置である電動式の遠心ポンプである。3は一端を遠心ポンプ2に連通し、他端をセラミックスなどで逆円錐型に形成された転倒流出防止弁4を収納する収納部5に連通している導水管である。6は収納部5の上方に設けた円形のシール部であり、7は本発明にかかわる流出調整装置である。図6において、流出調整装置7は略ドーナツ状の回転流路8と、回転流路8に液体が流入する流入口9と液体を流出する流出パイプ10とより構成されている。そして、流入口9は回転流路8の下方の外壁11に対して接線方向に設けられている。また、流出パイプ10は回転流路8の底面12より突出して設けられ、その上端開口13は流入口9の高さより高くして設けられていた。また14は液体を外部へ流出する流出口である。
【0004】
以上のように構成された流出調整装置において、容器1内の湯は遠心ポンプ2で送出され、導水管3を介して収納部5に流入する。通常は転倒流出防止弁4を迂回してシール部を経て回転流路8に流入する。回転流路8内では、湯は接線方向から流入するため、遠心力で外壁11に沿って回転しながら自身の粘性により次第に速度が落ちる。そして次々に流入してくる湯に押されて、次第に中心方向へ押しやられることになる。そして中心部において水位が上昇して、ついに流出パイプ10の開口13より滴下し整流が得られるというものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、回転流路8に入った湯は遠心力で回転しながら移動するため、流出パイプ10の開口より滴下するときも、重力以外にこの遠心力の影響を受け流出パイプ10内を回転しながら滴下する。このため流出口14を出た水流は遠心力により拡がろうとし、必ずしも満足な整流が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するもので、流出口をでた水流の拡がりを抑え、整流の得やすい電気湯沸かし器の流出調整装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気湯沸かし器の流出調整装置は、流入口より流出調整室に流入した水流を、流出調整室に突出して設けた流出パイプに直接ぶつける構成とした。これによって、流出調整室に流入した水流は左右両方向に分かれて流れるため遠心力の影響を受けにくく、かつ、流出パイプの流入口と対向する側と反対側において、左右に分かれた水流がぶつかり合い、その勢いを相殺するため、水流の勢いはほとんどなくなる。そのため流出パイプの上端開口からの滴下はほとんど重力による滴下となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の本発明は、液体の流れを調整する流出調整室と、容器から送出されてきた液体が流入する前記流出調整室に設けられた流入口と、前記流出調整室に流入した液体を下方に流出する流出パイプとを備え、前記流出パイプは前記流出調整室内に突出する突出部を有し、かつ、前記突出部と前記流入口とが対向する構成とした。これによって、流出調整室に流入した水流は左右両方向に分かれて流れるため遠心力の影響を受けにくく、かつ、流出パイプの流入口と対向する側と反対側において、左右に分かれた水流がぶつかり合い、その勢いを相殺するため、水流の勢いはほとんどなくなる。そのため流出パイプの上端開口からの滴下はほとんど重力による滴下となる。したがって、整流となるため、流出口から出た後、水流が拡がったり、飛び散ったりすることがない。
【0009】
さらに、流出調整室と流入口との間に液体の流れを分流する分岐リブを設ける構成とすることにより、流出調整室内を2分して流れ、最後に互いにぶつかり合い、その回転力を喪失するので、流出パイプからの滴下に回転力がなく整流になりやすい。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、電気湯沸かし器の基本構成は従来例とほぼ同じであるので、その説明は省略し、従来例と異なる流出調整装置について主に説明する。
【0011】
(実施例1)
図1(a)は本発明の実施例1における電気湯沸かし器の流出調整装置の側面断面図、図1(b)は同流出調整装置の上面断面図である。本実施例では、流出調整装置は流出調整室と、流出調整室に液体が流入する流入口と液体を流出する流出パイプとにより構成されている。
【0012】
図において、15は遠心ポンプにより容器から送出されてきた液体(以下湯と記す)を流入口16より取り入れる流出調整室である。17は流出パイプであり、上端に開口18と下端に流出口19とを有している。そして、流出パイプ17は流出調整室のほぼ中央部に取付けられ、その上端には流出調整室の内部に突出する突出部20が設けられている。この突出部20の流出調整室15からの高さは、流入口16の高さを下回らないような高さにしてある。また、流入口16と流出パイプ17とは対向する位置関係に設けられている。すなわち、流入口16の断面と流出パイプ17の中心線とはほぼ平行関係にある。
【0013】
以上のように構成された流出調整装置の作用について説明する。
【0014】
遠心ポンプより送出されてきた容器の湯は流入口16より、流出調整室15に流入する。流入口16と流出パイプ17とは対向しているため流入した湯は流出パイプ17にぶつかり、その勢いが低減される。そして、左右に分かれて流出調整室15内を進む。そして左右に別れた湯は流出パイプ17の流入口16と対抗する面の反対側でぶつかり、その勢いは相殺される。そして、次々に流入してくる湯に押され、次第にその水位は上昇する。通常、流出調整室15の断面積は流入口16の断面積の7〜10倍に設計してあるので、流出調整室15での湯の勢いは低減され徐々に水位は上昇することになる。そして、流出パイプ17の上端18に達すると、湯はそこからオーバフローし流出パイプ17を通り、その下端19より外部に流出する。このとき、湯は従来例のような回転力をほとんど有していないため、オーバフローした湯はほとんど重力にしたがって落下する。したがって整流が得られ、下端19より流出した湯は拡がったり、飛び散ったりすることがなくなる。
【0015】
なお、流出パイプ17の突出部20の高さは高いほど整流は得やすくなるが、出湯操作してから出湯するまでの時間がかかるようになるため、この点を考慮して設計する必要がある。
【0016】
また、本実施例では流出パイプ17を流出調整室15のほぼ中央部に設けたが、これに限定されるものではない。ただし、中央部より流入口16側に近づくにつれ、流入口16と流出パイプ17との間の流れに対する抵抗が大きくなり湯が流入しにくくなる。また、流入口16側に対して中央部より遠くなると、流出調整室15と流出パイプ17との間隔が狭くなり、流出調整室15に流入した湯が回り込みにくくなり流出パイプ17全体から出湯しにくくなる。したがって、流出パイプ17を流出調整室15のほぼ中央部に設ける場合が最も整流が得やすい。
【0017】
また、本実施例では流出パイプ17の突出部の高さを流入口16の高さを下回らないようにしたが、これは流入口の高さを下回ると、流入口16より流入した湯が流入したときの勢いを持ったまま直接流出パイプ17に流れ込むため、整流が得られなくなるためである。
【0018】
また、流出調整室15の底面は流入口16の最低部を下回らない構成、例えば、傾斜を付けて流出調整室15の底面を流入口16の最低部より高くするような構成にすると良い。これは、出湯を中止したとき、すなわち、遠心ポンプを停止したとき、流出パイプ17の突出部20を越えていない湯は、低位にある流入口16に集まり、やがて導水管、遠心ポンプを介して容器内に流入するからである。
【0019】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。なお、基本構成は実施例1と同様であるのでその説明は省略し、相違点を中心に説明する。また、同じ構成要素には同じ符号を付しその説明は省略する。
【0020】
図2(a)は本発明の実施例2における電気湯沸かし器の流出調整装置の側面断面図、図2(b)は同流出調整装置の上面断面図である。図2において、21は流入口16と流出パイプ17との間に設けた液体導入路である。また、22は流入口16と流出パイプ17との間の液体導入路21と流出パイプ17とにわたって設けた流れを2分する分岐リブである。
【0021】
以上のように構成された流出調整装置の作用について説明する。
【0022】
遠心ポンプより送出されてきた容器の湯は流入口16より液体導入路21に入る。そして、液体導入路21を流れている間に整流され、乱流が少なくなった状態で流出パイプ17にぶつかる。このとき乱流が少ないので、流れのほとんどを流出パイプ17にぶつけ、その勢いを減衰させることができる。
【0023】
また、液体導入路21に入った湯は、分岐リブ22によって2分され、それぞれ液体導入路21を通り流出パイプ17にぶつかる。そして、ほぼ同量に2分された湯が、一方は右回り、一方は左回りで流出調整室15を流れ、最後にお互いがぶつかり合い、その勢いを相殺する。このとき湯量がほぼ同じなのでぶつかった場所でその勢いは相殺され、流れがさらに進んで回転力が付与されるようなことは起こらない。この後は実施例1と同様にして整流を取り出すことができる。ただし、前記説明のように実施例1に比べ回転力が生じにくいので、整流が得やすくなる。勿論、実施例1において、流入口16と流出パイプ17との間に分岐リブを設けても同様な効果が得られるのは勿論である。
【0024】
なお、本実施例では液体導入路21と分岐リブ22とを同時に用いた場合を説明したが、どちらか一方だけを用いてもよい。この場合それぞれの効果に応じた整流が得られる。
【0025】
また、流出パイプ17の位置、突出部20の高さ、および流出調整室15と流入口16との位置関係に関しては、実施例1と同様である。
【0026】
(参考例1)
以下、本発明の参考例1について説明する。なお、参考例1は実施例1および2に用いた流出パイプの構成に関するものである。なお、実施例1および2と同じ構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0027】
図3は本発明の参考例1における電気湯沸かし器の流出調整装置の流出パイプの断面図である。図3において、流出パイプ17にスリット23を設けたことを特徴としている。これにより流れはスリット23に規制され下方へより滑らかに流れるようになる。また、出湯を中止したときスリット23より空気が入ってくるため、流出パイプ17内に湯膜が生じるのを防ぐことができ、湯切れ性を良くすることができる。
【0028】
また、図3に示すように流出口19に向かって流出パイプ17の断面積を徐々に縮小すると流れが中心方向に収束するため、さらに飛び散りや拡がりを防ぐことができる。さらに、スリット23を流出口19に向かってスリット巾が徐々に拡大するようにすることにより、さらに整流性と湯切れ性をよくすることができる。
【0029】
また、図4に示すように流出パイプ17に整流リブ24を設けると湯がこれに沿うようになるため整流性が得やすくなる。勿論、整流リブ24は複数個設けてもよい。また、同時にスリットを設けたり、流出パイプ17の断面積を流出口19に向かって徐々に縮小したりしてもかまわない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、電気湯沸かし器の流出口を出た水流の拡がりを抑え、整流の得やすいものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の実施例1における電気湯沸かし器の流出調整装置の側面断面図
(b)同電気湯沸かし器の流出調整装置の上面断面図
【図2】 (a)本発明の実施例2における電気湯沸かし器の流出調整装置の側面断面図
(b)同電気湯沸かし器の流出調整装置の上面断面図
【図3】 本発明の参考例1における電気湯沸かし器の流出調整装置の流出パイプの断面図
【図4】 同電気湯沸かし器の流出調整装置の他の例の流出パイプの断面図
【図5】 従来の電気湯沸かし器の流出調整装置の断面図
【図6】 従来の電気湯沸かし器の断面図
【符号の説明】
15 流出調整室
16 流入口
17 流出パイプ
19 流出口
20 突出部
21 液体導入路
22 分岐リブ
23 スリット
24 整流リブ
Claims (1)
- 液体の流れを調整する流出調整室と、容器から送出されてきた液体が流入する前記流出調整室に設けられた流入口と、前記流出調整室に流入した液体を下方に流出する流出パイプとを備え、前記流出パイプは前記流出調整室内に突出する突出部を有し、かつ、前記突出部と前記流入口とが対向する構成とし、前記流出調整室と前記流入口との間に液体の流れを分流する分岐リブを設ける構成とした電気湯沸かし器の流出調整装置。
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