JP3635372B2 - 手摺笠木における被覆材の縮み止めシートおよび手摺笠木 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、手摺笠木における被覆材の縮み止めシートおよび手摺笠木、詳しくは、下向きの開口部を備え、肉厚をなした上面側のコーナー部の表面が円弧面をなしている笠木芯材の外周に、断面が略倒C字状をなした被覆材が被せられてなる手摺笠木における被覆材の縮み止めシートおよび縮み止めシートにより笠木芯材と被覆材とが接着固定された手摺笠木に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8に示しているように、下向きの開口部を備え、天井面8の両側の肉厚をなしたコーナー部の表面が円弧面9をなしている断面が略倒コ字状の長尺な笠木芯材2の外周に、長尺にして断面が略倒C字状をなした軟質または半硬質の合成樹脂製の被覆材12を被せて手摺笠木13となし、この手摺笠木13をブラケット14を介して建物内の廊下や階段などの壁面18の所定の高さに取り付けたものが汎用されている。
【0003】
上記した被覆材12は、笠木芯材2への装着時、お湯や火などで温めて少し柔らかくて下向きの開口部を押し広げながら笠木芯材2に被せ、巻きつけるようにして笠木芯材の外周に装着している。
【0004】
このようにして、笠木芯材2の外周に装着された被覆材12が、温められる以前の温度状態にもどるとき被覆材12の長さ方向にも縮みが発生し、笠木芯材2の端面と被覆材12の端面が同一面とはならず、被覆材12の端面から笠木芯材2の端面が突出した状態となることがある。
【0005】
このような、被覆材12の縮み止め対策としては、図9に示すように、笠木芯材2の端部の天井面8の表面に位置する部分に複数の先鋭突起15を備えた薄い金属プレート16を装着し、これをビス17でもって固定し、しかるのち被覆材12を被覆する手段が採用されている。このような手段によれば笠木芯材2への被覆材12の被覆後の手摺笠木13は、図10に示したように先鋭突起15の先端部が被覆材12の肉質部に突き刺さり、被覆材12の縮みを阻止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記した複数の先鋭突起15を備えた金属プレート16による縮み止め手段は、縮み止め具の製作費が嵩むばかりでなく、取り付け作業に手数と時間を要するほか、笠木芯材2に被覆材12を被せるとき、先鋭突起15は薄い金属プレートから切り起こされたものであるので被覆材によつて押し曲げられて被覆材の肉質部に十分に突き刺さらず期待される縮み止め効果が得られなかった。また、被覆材12の肉厚との関係上、先鋭突起15の高さを大きくすると該先鋭突起の先端が被覆材の表面に現れるので、山形をなした先鋭突起15の先端部が被覆材の肉質部に突き刺っているのは、およそ1mmから1.5mm程度と短かいので期待されるほど十分な縮み止め効果が得られないという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した先鋭突起を備えた金属プレートによる縮み止め手段に代えて、両面接着性シートを用いることによって上記課題を解決したものである。即ち、本発明は、下向きの開口部を備え、肉厚をなした上面側のコーナー部の表面が円弧面をなしている断面が略倒コ字状で長尺な笠木芯材の外周に、断面が略倒C字状をなした長尺の軟質または半硬質の合成樹脂製の被覆材が被せられてなる手摺笠木において用いる被覆材の縮み止めシートであって、該縮み止めシートは、基材の裏面両面に粘着剤層が形成されてその表裏の粘着剤層の表面に剥離ライナーが貼着された両面接着性シートで形成され、少なくとも上記笠木芯材の天井面および円弧面を被覆するに十分な横幅を備えた長方形状の本体部分と、該本体部分の短辺の一方の端部中央に、笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に折り込み可能な舌片を備えていることを特徴としているものである。
【0008】
また、本発明の手摺笠木は、下向きの開口部を備え、肉厚をなした上面側のコーナー部の表面が円弧面をなしている断面が略倒コ字状の笠木芯材の端部の上面に、少なくとも上記笠木芯材の天井面および円弧面を被覆するに十分な横幅を備えた長方形上の本体部分と、該本体部分の短辺の一方の端部中央に、笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に折り込み可能な舌片を連設してなる両面接着性の縮み止めシートの本体部分の粘着剤層が笠木芯材の端部の天井面および円弧面に接着され、舌片の粘着剤層が笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に接着されて笠木芯材に断面が略倒C字状をなした被覆材が被せられ、上記天井面および円弧面上に接着された縮み止めシートの本体部分の粘着剤層により笠木芯材と被覆材が接着固定されていることを特徴としているものである。
【0009】
本発明の縮み止めシートとしては、基材の両面に金属および合成樹脂に対して優れた接着性を有する粘着剤層を備え、表裏の粘着剤層が剥離ライナーによって被覆され、剥離ライナーを除いた接着有効部分の厚さが1mm以下、好ましくは約0.5mm程度の両面接着性シートが好適である。そしてシートの大きさや形状は笠木芯材の形状と大きさに基づき決定されるものであるが、その基本形状は、少なくとも笠木芯材の長さ方向を長辺となし、笠木芯材の天井面および円弧面を被覆するに十分な幅寸法を短辺とした長方形の本体部分と、本体部分の短辺の一方の中央部に連設されていて笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に折り込み可能な舌片とからなり、さらに、この基本形状の本体部分の長辺部の端部両側に、笠木芯材の左右の側面に接着可能な側面用舌片を設けておけば、この側面用舌片によって笠木芯材に縮み止めシートをより強固に接着固定することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例として示した図面に基づいて説明すると、図1は本発明の縮み止めシートの使用態様を示した斜視図であり、1は縮み止めシート、2は笠木芯材、12は軟質または半硬質の合成樹脂製の被覆材である。
【0011】
本発明の実施例における縮み止めシート1には、図3に示しているように、厚さが0.3mmの発泡ポリーマーの基材3の両面に、厚さ0.08mmのアクリル系粘着剤層4を備え、この粘着剤層4が厚さが0.17mmの剥離ライナーによって被覆された両面接着性シートが用いられ、その基本形状は図2に示しているように、長方形の本体部分6と、本体部分6の短辺の一方の端部中央部に、笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に折り込み可能な舌片7が連設されたものからなる。長方形をなした本体部分6の短辺は、笠木芯材の天井面8および円弧面9を被覆するに十分な幅寸法(約40mm)を備え、長辺の長さは、本実施例においては短辺の約2.5倍、そして舌片7は、笠木芯材2の天井面8の裏面の幅寸法とほぼ同じ幅寸法(約10mm)、長さが約20mmである。
【0012】
また、縮み止めシート1の他の形状としては、基本形状の本体部分6の長辺部の端部両側に、図5または図6に示しているように、笠木芯材2の左右の側面10に接着可能な幅が約10mm、長さが約15mmの側面用舌片11を設けた形状が好ましく、さらにまた図7に示したように、基本形状の本体部分6の長辺部の前後端部の両側に、笠木芯材2の左右の側面10に接着可能な幅が約10mm、長さが約15mmの側面用舌片11を設けた形状も本発明の好ましい実施の形態である。
【0013】
続いて、本発明の縮み止めシート1の笠木芯材2への貼付要領について説明すると、縮み止めシート1は表裏に剥離ライナー5を備えているから、まず、裏面側の剥離ライナー5を剥離して縮み止めシート1の本体部分6を笠木芯材2端部の天井面および円弧面上に貼付け接着するとともに舌片7を笠木芯材2の天井面8の裏面側に折り込み接着する。次いで、表面側の剥離ライナー5を剥離すると、笠木芯材端部の天井面8および円弧面9上に粘着剤層4が形成される。しかるのち、従来と同様に、笠木芯材2の外周形状に適合するように形成されている軟質または半硬質の合成樹脂製の被覆材12をお湯や火で温めて少し柔らかくして、該被覆材12の開口部を広げ、笠木芯材2に巻き付けるようにして被せ、被覆材12の端部を笠木芯材2の端部に押しつける。そうすると、被覆材12と笠木芯材2とは粘着剤層4によって端部において接着一体化され、被覆材12の長さ方向への縮みを阻止することができる。そして、笠木芯材2の天井面8の裏面側に折り込み接着された舌片7は、被覆材12の縮み力による縮み止めシート1と該シート上の粘着剤層4の移動を阻止する作用をなすものである。
【0014】
上記のように、笠木芯材2の天井面8の裏面側に折り込み接着された舌片7は、被覆材12の縮み力による笠木芯材2上の縮み止めシート1と該シート上の粘着剤層4の移動を阻止する作用をなすものであるが、図5、図6および図7に示した実施例のように、本体部分6の長辺部の端部両側に、笠木芯材の左右の側面10に接着可能な側面用舌片11を設け、舌片7の折り込み接着力に加えてこの側面用舌片11を笠木芯材2の側面10に接着しておけば、笠木芯材2上の縮み止めシート1と粘着剤層4の位置はより安定し、被覆材12の縮みによる移動をより一層確実に防止できる。
【0015】
【発明の効果】
笠木芯材2の端部表面の所定位置に簡単に粘着剤層4を形成することができ、この粘着剤層4によって笠木芯材2と被覆材12とが端部において強固に接着され、従来の先鋭突起による縮み止めよりも確実強固に被覆材12の縮みを阻止することができる。その上、従来の先鋭突起を備えた金属プレートによる縮み止め手段に比べて著しく経済的であり、また、作業能率が向上するばかりでなく、縮み止め金属プレートの先鋭突起が被覆材12に突き刺さり被覆材12を貫通して被覆材12の表面を損傷するという不安も全くなく、品質のよい美麗な手摺笠木13を得ることができる。
【0016】
さらに、縮み止めシート1の本体部分6の長辺部の端部両側に側面用舌片11を設けたものにおいては、縮み止めシート1と該シート上の粘着剤層4の移動を阻止する作用がより大きいので被覆材の縮みをより確実強固に防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示した斜視図である。
【図2】本発明の縮み止めシートの斜視図である。
【図3】本発明の縮み止めシートの拡大断面図である。
【図4】本発明の手摺笠木の端部の断面図である。
【図5】本発明の縮み止めシートの他の実施例を示した平面図である。
【図6】本発明の縮み止めシートの他の実施例を示した平面図である。
【図7】本発明の縮み止めシートのさらに他の実施例を示した平面図である。
【図8】手摺笠木の壁面への取付状態を示した斜視図である。
【図9】従来の縮み止め手段を示した傾斜図である。
【図10】従来の縮み止め手段により縮み止めされた手摺笠木の状態を示した断面図である。
【符号の説明】
1 縮み止めシート
2 笠木芯材
3 縮み止めシートの基材
4 粘着剤層
5 剥離ライナー
6 縮み止めシートの本体部分
7 舌片
8 笠木芯材の天井面
9 笠木芯材の円弧面
10 笠木芯材の側面
11 側面用舌片
12 被覆材
13 手摺笠木
Claims (3)
- 下向きの開口部を備え、肉厚をなした上面側のコーナー部の表面が円弧面をなしている断面が略倒コ字状の笠木芯材の外周に、軟質または半硬質の合成樹脂製で断面が略倒C字状をなした被覆材が被せられてなる手摺笠木における被覆材の縮み止めシートであって、該シートは、基材の表裏両面に粘着剤層が形成されてその表裏の粘着剤層の表面に剥離ライナーが貼着された両面接着性シートで形成され、少なくとも上記笠木芯材の天井面および円弧面を被覆するに十分な横幅を備えた長方形状の本体部分と、該本体部分の短辺の一方の端部中央に、笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に折り込み可能な舌片が設けられなるを特徴とする手摺笠木における被覆材の縮み止めシート。
- 上記縮み止めシートの本体部分の長辺部の端部両側に、笠木芯材の左右の側面に接着可能な側面用舌片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の手摺笠木における被覆材の縮み止めシート。
- 下向きの開口部を備え、肉厚をなした上面側のコーナー部の表面が円弧面をなしている断面が略倒コ字状の笠木芯材の端部上面に、少なくとも上記笠木芯材の天井面および円弧面を被覆するに十分な横幅を備えた長方形状の本体部分と、該本体部分の短辺の一方の端部中央に、笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に折り込み可能な舌片を備えてなる両面接着性の縮み止めシートの本体部分の粘着剤層が笠木芯材の端部の天井面および円弧面に接着され、舌片の粘着剤層が笠木芯材の端部から笠木芯材の天井面の裏面側に接着されて笠木芯材に断面が略倒C字状をなした被覆材が被せられ、上記天井面および円弧面上に接着された縮み止めシートの粘着剤層により笠木芯材と被覆材が接着固定されていることを特徴とする手摺笠木。
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