JP3635242B2 - 砕砂製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、砕石等の原料から粒度分布が調整された砕砂を製造する砕砂製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
砕石等の原料からコンクリートの骨材等に用いられる砕砂を製造する砕砂製造装置としては、例えば、特開平10−66892号公報に開示されたものがある。この砕砂製造装置は、原料をクラッシャ(粗粉砕機)で粗粉砕して、クラッシャから排出される砕砂を、網目の異なる複数段の篩網を有する振動篩で、その粒径に応じて複数のクラスの粒体に篩い分け、篩い分けられた各クラスの粒体の一部をクラッシャに戻して各クラスの粒体の配合割合を調整し、所定の粒度分布の砕砂を製品として排出するものである。
【0003】
ところで、砕砂を分級する振動篩は、篩網の網目が細かいものほど目詰まりが生じやすく、目詰まりした篩網の交換や清掃等のメンテナンス作業の負荷が大きい。特に、網目の細かい篩網は、線径の細い金網で形成されていて摩耗しやすく、頻繁に補修や交換を行う必要がある。また、網目の細かい篩網を使用すると、篩い分けに要する時間が長くなり、生産効率が低下する。このようなことから、振動篩では、篩網の網目をあまり細かくできず、必ずしも需要家から求められている程度まで製品の粒度分布を調整できないという問題がある。
【0004】
また、振動篩では、粗粉砕機に戻される粒体に付着している細かい粉体が粉砕効率を低下させる問題や、分級点の変更には篩網の交換が必要で手間がかかる問題もある。
【0005】
そこで、上述したような砕砂製造装置において、砕砂を分級するのに、振動篩に代えて気流式分級機を用いることが考えられる。
【0006】
このような気流式分級機としては、例えば、特開昭58−189080号公報に開示された山砂精製装置に用いられているものがある。この気流式分級機は、原料の砂を、分級箱の一端側の上方から落下させて、分級箱の一端から他端へ向けて概ね水平に流れる空気で分級箱の他端側へ飛ばし、砂の飛ばされる方向に沿って設けた複数の取出口から排出するようになっている。空気で飛ばされる砂の飛距離はその粒径によって決まるので、各取出口から排出された砂は、その粒径に応じて分級されていることになる。なお、細かい粉体は、分級箱の他端から空気とともに排出される。
【0007】
この分級機は、前述の振動篩に比べて、構造が簡単でメンテナンスしやすく、空気の流速を変えるのみで分級点を変更できるので、製品の粒度分布を変更することも容易である。また、細かい粉体を除去することもでき、前述した振動篩の問題を概ね解決できる。しかし、砂を空気で飛ばし、その飛距離による分級を行っているため、砂の粒径に応じた分級という目的に対しては、精度面で次のような問題がある。
【0008】
すなわち、この分級機では、分級箱端の導入口から入り込んだ空気の流れが導入口の近くを落下する砂によって遮られるため、導入口から離れた位置を落下する砂ほど飛距離が小さくなる傾向がある。従って、同程度の粒径の砂でも、分級箱内に落下するときの位置によって飛距離に差が生じ、異なるクラスに分級されるおそれがある。砂の飛距離に及ぼす落下位置の影響は、分級箱内に流す空気量を増やすか、落下させる砂の量を減らすことにより緩和されるが、空気量を増やすと装置が大型化してイニシャルコストが高くなり、砂の処理量を減らすと生産効率が低下する。
【0009】
また、砂の粒径が大きくなるほど、粒径にかなりの差があっても、飛距離には大きな差が生じなくなる。飛距離の差は、空気の流速を速くしたり、砂の落下高さを大きくしたりすればある程度大きくできるが、いずれの場合も装置の大型化を招く。すなわち、通常の装置規模では、砂の粒径の大きい領域は精度よく分級することができない。
【0010】
上述したような分級精度の問題があるため、気流式分級機を砕砂製造装置における砕砂の分級に用いた場合には、製品の粒度分布を所定の範囲内に調整することが困難となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の課題は、メンテナンスが簡単で、かつ分級精度の良好な分級機を備えた砕砂製造装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明の砕砂製造装置は、原料を粗粉砕して砕砂とする粗粉砕機と、粗粉砕機から排出される砕砂を粗粒と細粒とに篩い分ける振動篩と、この振動篩で篩い分けられた細粒を、その粒径に応じて複数のクラスの粒体に分級し、細かい粉体を空気とともに排出する気流式分級機と、この気流式分級機で分級された粒体のうち、最小径クラスを除く各クラスの粒体をそれぞれ所定の割合に2分配する分配器と、前記粗粒と前記分配器により分配された各クラスの粒体の一方を前記粗粉砕機に戻す砕砂返送ラインと、前記分配器により分配された各クラスの粒体の他方を前記最小径クラスの粒体に合流させる砕砂合流ラインと、前記気流式分級機から空気とともに排出される細かい粉体を捕集する捕集機とを設け、前記砕砂合流ラインから所定の粒度分布の砕砂を排出するようにした構成を採用したのである。
【0013】
すなわち、砕砂を分級する分級機として、粗粉砕機から排出される砕砂を粗粒と細粒とに篩い分ける振動篩と、この振動篩で篩い分けられた細粒を、その粒径に応じて複数のクラスの粒体に分級する気流式分級機とを直列に設けることにより、振動篩の篩網には網目が大きく、目詰まりが生じにくいものを一段だけ使用するようにして、メンテナンス作業の負荷を抑えるとともに、気流式分級機に送る砕砂から分級が難しい粗粒を取り除き、その分だけ気流式分級機の処理量を少なくして、良好な分級精度が得られるようにしたのである。
【0014】
前記分配器による最小径クラスを除く各クラスの粒体の分配の割合を変更可能とし、前記粗粉砕機に供給される原料の水分量が多いときに、前記砕砂返送ラインで前記粗粉砕機に戻される方の割合を増やすことにより、粗粉砕機から排出される砕砂の水分による凝集を抑え、細粒の砕砂がスムーズに振動篩を通過するようにして、生産性を確保することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1に示すように、この砕砂製造装置は、原料を粗粉砕して砕砂とする粗粉砕機としての竪型ミル1と、竪型ミル1から排出される砕砂を篩網2aで粗粒と細粒とに篩い分ける振動篩2と、振動篩2で篩い分けられた細粒をその粒径に応じて大粒、中粒、小粒の3クラスの粒体に分級し、細かい粉体を空気とともに排出する気流式分級機3と、気流式分級機3で分級された大粒と中粒の粒体をそれぞれ所定の割合に2分配する分配器4、5と、振動篩2で篩い分けられた粗粒と分配器4、5により分配された大粒と中粒の粒体の一方を竪型ミル1に戻す砕砂返送ライン6と、分配器4、5により分配された大粒と中粒の粒体の他方を小粒の粒体に合流させる砕砂合流ライン7と、気流式分級機3から空気とともに排出される細かい粉体を捕集する捕集機8とが設けられている。
【0016】
前記竪型ミル1の上流には、砕石等の原料を貯える原料ホッパ9と、砕砂返送ライン6から戻された砕砂を貯える循環用ホッパ10とが設けられ、各ホッパ9、10から原料および砕砂が竪型ミル1に供給されるようになっている。また、前記砕砂合流ライン7の下流にはダスト除去装置11が設けられており、ダストが除去された砕砂を製品として排出するとともに、除去したダストをダストホッパ12に送るようになっている。
【0017】
図1乃至図3に示すように、前記気流式分級機3は、分級箱13の一端の上部に空気導入口13a、他端の上部に空気排出口13b、一端側の天井部に砕砂(細粒)の供給口13cがそれぞれ設けられ、空気導入口13aに送風機14に連絡する風箱15のダクト部16が接続されており、導入口13aから分級箱13に送り込まれた空気が排出口13bに向かって概ね水平に流れて、供給口13cから落とされた砕砂を排出口13b側へ飛ばすようになっている。
【0018】
なお、風箱15は、多孔板15aで仕切られるとともに、ダクト部16に多数の整流板17が設けられており、風箱15の天井部から導入される分級用の空気は、多孔板15aを通ることにより脈動が抑えられ、整流板17で水平方向に整流されて分級箱13に送り込まれるようになっている。また、分級箱13の天井部には、分級箱13内の空気の流れの方向を調整するための傾斜板18が設けられている。
【0019】
前記分級箱13の下部は、仕切板19、20により、一端側より順に大粒室21、中粒室22、小粒室23に仕切られており、空気導入口13aから送り込まれる空気に飛ばされた砕砂が、これらの3室21、22、23のいずれかに落下するようになっている。なお、大粒、中粒、小粒の分級点は、空気の流速を変えることにより容易に変更でき、さらに仕切板19、20の上方に設けた調整板24、25の傾斜角度の調節により調整することができる。また、細かい粉体は、空気とともに空気排出口13bから排出されて、排出口13bに接続された捕集機8で捕集される。
【0020】
前記大粒室21および中粒室22は、それぞれ分配器4、5としてのダンパ26、27により2室に仕切られており、2室のうちの一方に砕砂合流ライン7への排出口21a、22aが、他方に砕砂返送ライン6への排出口21b、22bが設けられている。ダンパ26、27は、それぞれ独立した回動軸26a、27aに固定されており、その傾斜角度を変えることにより、砕砂返送ライン6に送る粒体と砕砂合流ライン7に送る粒体の割合を変更できるようになっている。また、小粒室23には、砕砂合流ライン7への排出口23aのみが設けられている。なお、各室21、22、23から砕砂合流ライン7へ送られる粒体は、流量計(図示省略)により、それぞれの流量が測定されるようになっている。
【0021】
次に、この実施形態での砕砂の製造の流れについて説明する。まず、原料ホッパ9から竪型ミル1に供給された原料は、粗粉砕されて砕砂となって振動篩2に送られる。振動篩2では、供給された砕砂が篩網2aで篩上の粗粒と篩下の細粒の2種類に篩い分けられ、粗粒の砕砂は砕砂返送ライン6に、細粒の砕砂は気流式分級機3にそれぞれ送られる。
【0022】
気流式分級機3に送られた砕砂は、分級箱13の供給口13cから落とされ、空気導入口13aから送り込まれる空気により、その粒径に応じた距離だけ空気排出口13b側へ飛ばされて、分級箱13下部の大粒室21、中粒室22、小粒室23のいずれかに落下する。なお、分級箱13内では、天井部に設けられた傾斜板18により、空気の流れがやや下向きに変えられるので、小粒は確実に小粒室23に落下する。
【0023】
また、砕砂とともに送られてくる細かい粉体は、分級箱13内で落下せず、空気排出口13bから空気とともに排出されて捕集機8に捕集される。同様に、砕砂に付着していた細かい粉体も、空気の流れによって砕砂から分離して排出され、捕集機8に捕集される。なお、捕集機8にはバグフィルタ等を使用することができる。
【0024】
分級箱13の大粒室21または中粒室22に落下した粒体は、それぞれダンパ26または27により二分され、その一方は砕砂返送ライン6に、他方は砕砂合流ライン7に送られる。また、小粒室23に落下した粒体は、その全量が砕砂合流ライン7に送られる。
【0025】
大粒室21および中粒室22から砕砂合流ライン7に送られる砕砂の流量は、ダンパ26、27の傾斜角度を調節することにより、合流前の大粒、中粒、小粒の流量比率が製品の目標とする粒度分布から決まる所定値となるように調整される。特に、原料の水分量が多いときは、製品の目標粒度分布を許容範囲内で細かくして、砕砂返送ライン6に送られる大粒と中粒の砕砂の量を多くする。これは、原料の水分量が多いと、竪型ミル1から排出される砕砂が水分により凝集し、細粒の砕砂でも篩網2aを通過しにくくなって生産効率が低下するため、その対策として行われる処置で、気流式分級機3で空気を吹きつけられて水分が少なくなった砕砂を竪型ミル1に多めに戻すことにより、砕砂の凝集が抑えられる。
【0026】
砕砂返送ライン6に送られた砕砂は、循環用ホッパ10に貯えられた後、原料とともに竪型ミル1に供給される。一方、砕砂合流ライン7に集められた砕砂は、ダスト除去装置11に送られてダストを除去された後、製品としてヤード等に保管される。このとき除去されたダストはダストホッパ12に集められる。なお、このダスト並びに捕集機8で捕集された粉体は、路盤用の目詰め材として有効利用される。
【0027】
上述したように、この砕砂製造装置では、振動篩2は、竪型ミル1から排出される砕砂から粒径の大きい粗粒のみを取り除くためのものであるから、篩網2aは網目の大きいものでよく、目詰まりしにくい。また、篩網2aには線径の太い金網を用いることができるので、摩耗しにくく、補修や交換の頻度が少ない。
【0028】
また、気流式分級機3は、通常の装置規模では精度よく分級することができない粒径の大きい粗粒が予め取り除かれているうえ、粗粒が取り除かれた分だけ処理量が少なく、供給口13cから落とされる砕砂の位置がその飛距離に及ぼす影響が小さいので、生産性を低下させることなく良好な分級精度が得られる。
【0029】
さらに、気流式分級機3では細かい粉体が取り除かれるので、竪型ミル1に戻される砕砂には細かい粉体があまり付着しておらず、竪型ミル1の粉砕効率が低下することもない。また、製品の付加価値を高めるためにダスト除去装置11の後工程で砕砂を湿式洗浄する場合にも、細かい粉体が除去されているので、洗浄排水に含まれるダスト量が大幅に減少し、洗浄排水を処理する装置の負荷を低減することができる。
【0030】
上述した実施形態では、気流式分級機の下部を2枚の仕切板で3室に仕切って、振動篩から送られてくる砕砂をその粒径に応じて3つのクラスの粒体に分級したが、仕切板の数を変えて、分級するクラスの数を2クラスまたは4クラス以上としてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、この発明の砕砂製造装置は、砕砂を分級する分級機として、粗粉砕機から排出される砕砂を粗粒と細粒とに篩い分ける振動篩と、この振動篩で篩い分けられた細粒を、その粒径に応じて複数のクラスの粒体に分級する気流式分級機とを設けたものであるから、振動篩には網目の大きい篩網を一段だけ使用すればよく、メンテナンス作業の負荷を小さく抑えることができるとともに、気流式分級機に送られる砕砂から分級が難しい粗粒が取り除かれ、その分だけ気流式分級機の処理量が少ないため良好な分級精度を得ることができ、その結果、所定の粒度分布の砕砂を精度よく製造することができる。
【0032】
また、粗粉砕機に供給される原料の水分量が多いときには、気流式分級機で分級された粒体のうちから粗粉砕機に戻す分の割合を増やすようにしたので、粗粉砕機から排出される砕砂の水分による凝集を抑え、砕砂がスムーズに篩網を通過するようにして、生産性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の砕砂製造装置の概略図
【図2】a、bは、それぞれ図1の砕砂製造装置に使用されている気流式分級機の縦断面図および横断面図
【図3】aは図2の気流式分級機の要部拡大縦断面図、bはaのB−B線に沿った断面図
【符号の説明】
1 竪型ミル
2 振動篩
2a 篩網
3 気流式分級機
4、5 分配器
6 返送ライン
7 合流ライン
8 捕集機
9 原料ホッパ
10 循環用ホッパ
11 ダスト除去装置
12 ダストホッパ
13 分級箱
13a 導入口
13b 排出口
13c 供給口
14 送風機
15 風箱
15a 多孔板
16 ダクト部
17 整流板
18 傾斜板
19、20 仕切板
21 大粒室
21a、21b 排出口
22 中粒室
22a、22b 排出口
23 小粒室
23a 排出口
24、25 調整板
26、27 ダンパ
26a、27a 回動軸

Claims (2)

  1. 原料を粗粉砕して砕砂とする粗粉砕機と、粗粉砕機から排出される砕砂を粗粒と細粒とに篩い分ける振動篩と、この振動篩で篩い分けられた細粒を、その粒径に応じて複数のクラスの粒体に分級し、細かい粉体を空気とともに排出する気流式分級機と、この気流式分級機で分級された粒体のうち、最小径クラスを除く各クラスの粒体をそれぞれ所定の割合に2分配する分配器と、前記粗粒と前記分配器により分配された各クラスの粒体の一方を前記粗粉砕機に戻す砕砂返送ラインと、前記分配器により分配された各クラスの粒体の他方を前記最小径クラスの粒体に合流させる砕砂合流ラインと、前記気流式分級機から空気とともに排出される細かい粉体を捕集する捕集機とを設け、前記砕砂合流ラインから所定の粒度分布の砕砂を排出するようにした砕砂製造装置。
  2. 前記分配器による最小径クラスを除く各クラスの粒体の分配の割合を変更可能とし、前記粗粉砕機に供給される原料の水分量が多いときに、前記砕砂返送ラインで前記粗粉砕機に戻される方の割合を増やすようにした請求項1に記載の砕砂製造装置。
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