JP3634621B2 - ポリマーブレンド溶融体からの特異な構造体の製造方法 - Google Patents
ポリマーブレンド溶融体からの特異な構造体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3634621B2 JP3634621B2 JP10766698A JP10766698A JP3634621B2 JP 3634621 B2 JP3634621 B2 JP 3634621B2 JP 10766698 A JP10766698 A JP 10766698A JP 10766698 A JP10766698 A JP 10766698A JP 3634621 B2 JP3634621 B2 JP 3634621B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer blend
- melt
- polymers
- blend melt
- polymer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のポリマーのブレンド構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明者は、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを混合させた濃厚水溶液をノズルより引き出し、加熱し、空気中で乾燥させて糸を製造する高分子合成繊維製造方法を発明した(特許番号:第2543369号参照)。この発明の構造は繊維であり、繊維の内部が結晶状態のポリビニルアルコールであり、外部が非結晶状態のポリビニルポロリドンであり、その境界がステップ状や傾斜状に相分離した構造である。
【0003】
また、本発明者は、複数のポリマーを同時に溶解する溶媒を見出し、この複数のポリマーと、この溶媒とを混合して混合溶液を作成し、この混合溶液を基板上で乾燥させて、特異なポリマーブレンド構造体を製造する方法を発明した(特願平9−320464号)。
【0004】
本発明は、これらの発明を更に発展させたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
<イ>本発明は、ポリマーブレンド構造物の中から任意の相分離構造を選択して製造する方法を提供することにある。
<ロ>本発明は、ポリマーブレンドの溶融体から自己組織化により特異な相分離構造を形成する方法を提供することにある。
<ハ>本発明は、高度な機能のプラスチックを得る方法を提供することにある。
【0006】
本発明は、自己組織化によるポリマーブレンド構造体の製造方法において、複数種類のポリマーを混合した溶融液を作成し、該溶融液の厚さ方向に温度勾配を持たせ、その後、冷却して自己組織化により該溶融液の厚さ方向に種類の異なるポリマーのステップ型又は傾斜型の相分離構造を形成することを特徴とする、ポリマーブレンド構造体の製造方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0008】
<イ>特異なポリマーブレンド構造体の製法の概要
複数の種類のポリマーを十分に混合したブレンド溶融物に温度勾配を付与する。所定時間、温度勾配を保持した後、冷却し、溶融物を固化して自己組織化による特異なポリマーブレンド構造体を製造する。
【0009】
特異なポリマーブレンド構造体は、自己組織化により各成分のポリマーが分離し、各ポリマーの境界部が急激に分かれているステップ型構造体と、各ポリマーが混ざりながら組成比がなだらかに変化している傾斜型構造体と、ステップ型と傾斜型の中間の構造体からなる。
【0010】
ブレンド溶融物の処理方法を変えることにより、任意の相分離構造(ステップ型や傾斜型)の特異なポリマーブレンド構造体を得ることができる。また、ポリマーブレンド構造体の厚さは任意のものを得ることができる。
【0011】
<ロ>複数種類のポリマー
複数の種類のポリマーは、例えば、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、溶融によって混合できるものであれば、どのような組み合わせのポリマーでもよい。
【0012】
<ハ>ポリマーブレンド溶融物の作成
複数の種類のポリマーを計量し、所定の混合比にする。所定の混合比の複数の種類のポリマーを加熱溶融し、混合させる。例えば融点よりも数十度高い温度で加熱溶融し、十分練り混ぜる。
【0013】
<ニ>ポリマーブレンド溶融物の成形及び冷却
ポリマーブレンド溶融物に温度勾配を持たせて処理する。例えば、ポリマーブレンド溶融物を入れた容器の一方側の温度を高温にし、他方側の温度を低温にして、ポリマーブレンド溶融物の内部に温度勾配を持たせる。温度勾配の状態を所定時間保持し、その後、冷却する。この冷却は、例えば、ポリマーブレンド溶融物の加熱体を除去して、室温で冷却する。
【0014】
使用するポリマーの種類に応じて、温度勾配の上下温度とその差並びにその保持時間の長さなどを調節することによって、特異なポリマーブレンド構造体、即ち、ステップ型、傾斜型又はこれらの中間の構造を適宜選択することができる。
【0015】
以下に、本発明の実施例を図1の流れに沿って説明する。
【0016】
<イ>ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)とポリエチレングリコール(PEG)の溶融物の試料の作成
図1のステップS1及びS2において、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)とポリエチレングリコール(PEG)を溶融、混合する。
【0017】
ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)とポリエチレングリコール(PEG)は、通常市販されているものを使用する。なお、ポリエチレングリコール(PEG)は、平均分子量が20,000であった。
【0018】
ポリメタアクリル酸メチルとポリエチレングリコールのブレンド比は、45対55(0.25g:0.33g)とする。ただし、この比率は任意に選ぶことができる。
【0019】
各ポリマーをガラスシャーレの容器にて混合し、オーブントースターを使って175℃で溶融し、ガラス棒で数分から数10分練り混ぜる。
【0020】
<ロ>ポリマーブレンド溶融物の成形および冷却
図1のステップS3及びS4において、ポリマーブレンド溶融物の試料を図2のような成形装置に載置して成形し、その後、冷却する。
【0021】
ガラスシャーレ6をホットプレート(TOYO SEISAKUSHO MODEL TPO−15)7上に載せ、周囲を金属の囲い4で覆う。上方にドライヤー1(TESCOMPC−177)を配置し、ドライヤーの熱風2を三角ロート3を通して集め、ポリマーブレンド溶融物5の上方から熱風2を当てる。
【0022】
ただし、図2の装置は、溶融物5の試料の両面に温度差を与え、試料に温度勾配を付与できれば良いので、熱風2を当てる方法以外の方法でもよい。例えば、図3のように、容器8に入れたポリマーブレンド溶融物5の両面を、温度差を付けたホットプレートA71とホットプレートB72でサンドイッチ状に挟み、ポリマーブレンド溶融物5の両面に温度差を付与しても良い。
【0023】
ホットプレートの温度を130℃とし、熱風の温度を60℃とする。この処理時間を、0時間、8時間と16時間の3種類で行う。その後、冷却し、ポリマーブレンド溶融物を固化させる。このときの冷却は、例えば、空冷でも水冷でもよい。ただし、水冷の場合、極性ポリマーを含むブレンド試料を直接には、濡らさないことが好ましい。
【0024】
<ハ>ポリマーブレンド構造体の断面の観察
固化して得られたポリマーブレンド構造体の膜をカッターで、例えば、数十μmの厚さに薄くスライスし、断面を得る。
【0025】
図1のステップS5でスライス片をスライドガラスに載せて偏光顕微鏡(OLYMPUS光学工業株式会社製、偏光顕微鏡POS)で観察する。スライス片の断面を直交ニコル下で観察し、偏光顕微鏡写真(OLYMPUS販売株式会社製、マイクロカムSLR)で撮影した。
【0026】
観察された資料の写真を図4及び図5に示す。図4は、勾配温度下で8時間処理後、冷却した試料の表面の偏光顕微鏡写真である。図4の黒い部分は、非結晶性で、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)の成分を示し、白い部分は、結晶性で、ポリエチレングリコール(PEG)の成分を示し、図4は、両ポリマーの組成比が徐々に変化している傾斜相分離構造をしている。試料の上下両端では、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)とポリエチレングリコール(PEG)がほぼ100%の分率になっていると考えられる。
【0027】
図5は、勾配温度下で16時間処理後、冷却した試料の表面の偏光顕微鏡写真である。両ポリマーの境界部が膜断面中央部で急に相分離しているステップ相分離構造をしている。即ち、写真の上半分(黒い部分)は、ポリメタアクリル酸メチル(PMMA)がほぼ100%の分率で、同じく下半分(白い部分)は、ポリエチレングリコール(PEG)がほぼ100%の分率で、ほぼ単純な二層構造を形成している。
【0028】
なお、温度勾配の処理をしない場合(温度勾配下の処理時間=0の場合)、図示していないが、膜断面は一様なミクロ相分離構造をしている。この構造は、従来からよく知られ、現実のポリマーブレンドプラスチック製品に見られる構造をしている。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、次のような効果を得ることができる。
<イ>ポリマーブレンド溶融体に温度勾配を付与して処理することにより、自己組織化により特異なポリマーブレンド構造物を容易に得ることができる。
<ロ>ポリマーブレンド溶融体の処理条件により、特異なポリマーブレンド構造物の任意の構造を得ることができる。
<ハ>従来の技術の項で述べたようなポリマーブレンド溶液から溶媒を蒸発させる方法とは違って、ポリマーの溶剤を全く必要とせず、特異なポリマーブレンド構造物を容易に得ることができる。
<ニ>従来の熱溶融によるプラスチック成形技術の経験を生かしながら、新しいブレンド構造体を自己組織化により得ることができる。
<ホ>エンジニアリング・プラスチックの世界に新しい内部構造と高度の機能を持たせることができる。例えば、強度的、耐熱的、透明、或いは紫外線吸収以外にも、光導波路、高輝度発光体、遮音と吸音の複合機能プラスチック材料、人工筋肉、分離膜、接着テープ、非対象断面構造に基づく密度、膨潤、膨張の異方性を利用した各種の応用が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマーブレンド構造体の処理の流れ図
【図2】ポリマーブレンド構造体の製造装置の概略図
【図3】ポリマーブレンド構造体の他の製造装置の概略図
【図4】傾斜型ポリマーブレンド構造体の断面の偏光顕微鏡写真の図
【図5】ステップ型ポリマーブレンド構造体の断面の偏光顕微鏡写真の図
【符号の説明】
1・・・ドライヤー
2・・・熱風
3・・・三角ロート
4・・・金属の囲い
5・・・ポリマーブレンド溶融物
6・・・シャーレ
7・・・ホットプレート
8・・・容器
Claims (1)
- 自己組織化によるポリマーブレンド構造体の製造方法において、
複数種類のポリマーを混合した溶融液を作成し、
該溶融液の厚さ方向に温度勾配を持たせ、
その後、冷却して自己組織化により該溶融液の厚さ方向に種類の異なるポリマーのステップ型又は傾斜型の相分離構造を形成することを特徴とする、ポリマーブレンド構造体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10766698A JP3634621B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | ポリマーブレンド溶融体からの特異な構造体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10766698A JP3634621B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | ポリマーブレンド溶融体からの特異な構造体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11302397A JPH11302397A (ja) | 1999-11-02 |
JP3634621B2 true JP3634621B2 (ja) | 2005-03-30 |
Family
ID=14464938
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10766698A Expired - Fee Related JP3634621B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | ポリマーブレンド溶融体からの特異な構造体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3634621B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8268915B2 (en) * | 2007-06-19 | 2012-09-18 | Ge Healthcare Bio-Sciences Ab | Polymer two phase system and use thereof |
KR102183698B1 (ko) | 2016-11-30 | 2020-11-26 | 주식회사 엘지화학 | 고분자막의 제조 방법 |
-
1998
- 1998-04-17 JP JP10766698A patent/JP3634621B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11302397A (ja) | 1999-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS5939460B2 (ja) | 多孔膜の製法 | |
JPS63161035A (ja) | 微孔質材料およびその製造方法 | |
JPH01101340A (ja) | 配向された微孔性物品 | |
JPS5964640A (ja) | 微孔質シ−ト材料 | |
TWI232873B (en) | Process for producing porous polymer materials | |
CN103154107B (zh) | 多孔体和其制造方法 | |
JP2009503584A5 (ja) | ||
JP2014524858A (ja) | 立体物体を製造するためのポリマー粉末 | |
Jones et al. | Hierarchically structured materials from block polymer confinement within bicontinuous microemulsion-derived nanoporous polyethylene | |
JPS6017455B2 (ja) | 重合体材料のガス透過性を変える方法 | |
JP3634621B2 (ja) | ポリマーブレンド溶融体からの特異な構造体の製造方法 | |
Liang et al. | Polymer membranes with vertically oriented pores constructed by 2D freezing at ambient temperature | |
Huang et al. | Tunable crystallization, degradation, and self-assembly of recombinant protein block copolymers | |
JP2009542828A (ja) | ナノ多孔質成形部材の製造方法 | |
JPH07504447A (ja) | アクリロニトリルポリマー組成物及び製品並びにその製造方法 | |
JPS6134736B2 (ja) | ||
Lin et al. | Fine structure of poly (vinylidene fluoride) membranes prepared by phase inversion from a water/N‐methyl‐2‐pyrollidone/poly (vinylidene fluoride) system | |
Patel et al. | Mesoblends of polyether block copolymers with poly (ethylene glycol) | |
CN110429210B (zh) | 一种锂电池软包装用的聚酰胺薄膜及其制备工艺 | |
JPH0320333A (ja) | ポリマーアロイ | |
JPS6035036A (ja) | ポリエチレンの微細多孔質材料の製造法 | |
JP3307027B2 (ja) | 多孔性樹脂成形体の製造方法 | |
Zhong et al. | Selective Swelling of Stretched Block Copolymer Hollow Fibers for Upgraded Membrane Performance | |
JP6164327B2 (ja) | 多孔体とその製造方法 | |
JP3657433B2 (ja) | ポリマー構造体の製造方法。 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040916 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040929 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20041109 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20041111 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041202 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041224 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |