JP3634604B2 - クラッチ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ装置、特に、クラッチカバーの外周部がフライホイールの外周面に嵌合するクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クラッチ装置は、フライホイールと、フライホールに固定されるクラッチディスク組立体と、フライホイールとクラッチカバー組立体のプレッシャープレートとの間に配置されたクラッチディスク組立体から構成されている。
一般にクラッチディスク組立体をフライホイールに取り付けるとき、クラッチカバーの外周部に設けられたフランジ部にボルト等によりクラッチカバーの外周部を固定している。この場合は、クラッチディスク組立体の外径寸法に比較して、クラッチカバーのフランジ部分だけフライホイールの外径寸法が大きくなる。
【0003】
そこで、フライホイールの小型化を目的として、実開昭50−1762号公報に示されるようなクラッチカバー取り付け構造が知られている。この構造においては、クラッチカバーの外周部がフライホイールの外周面に固定されている。このため、従来構造におけるクラッチカバーのフライホイール部が不要となり、フライホイールの外径寸方をクラッチディスク組立体の外径寸方に近づけることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来公報に示された構造では、クラッチカバー外周部をボルトによりフライホイールの外周面に固定している。しかし、フライホイール外周面は曲面であるため、ボルトの座面が充分に確保できない。そのため、長期の使用によってはボルトが緩んだり、またクラッチカバーによるせん断力が直接ボルトに作用してボルトが破断されてしまう場合がある。このため多数のボルトの使用が不可欠となるが、ボルト個数が増加するとクラッチ装置の組立工数が増大する。
【0005】
本発明の目的は、クラッチカバー外周部フライホイールの外周面に固定する方式のクラッチ装置において、ボルト取り付けのよる不具合をなくすことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のクラッチ装置は、フライホイールとクラッチディスク組立体とクラッチカバー組立体とを備えている。フライホイールはエンジンに連結可能であり、エンジンと反対側に環状の摩擦面を有している。フライホイールの摩擦面側外周縁には軸方向に開く溝が形成されている。溝の内周側面には穴が形成されている。クラッチディスク組立体は、摩擦面に近接して配置された摩擦部を有している。クラッチカバー組立体は、クラッチカバーとプレッシャープレートと付勢部材とを含んでいる。クラッチカバーは外周部の先端が溝内に配置され外周部の一部が穴に係合する。プレッシャープレートはクラッチカバー内で摩擦部に近接して配置されている。付勢部材はクラッチカバーに支持されプレッシャープレートをフライホイール側に付勢する。
【0007】
このクラッチ装置では、クラッチカバーは、外周部が溝内に挿入されることでフライホイールに対して軸方向に位置決めされており、外周部の一部が穴に係合してフライホイールに対して回り止めされている。さらに、クラッチカバーは溝の外周側の壁部分によって半径方向外側を支持されている。
このクラッチ装置では、ボルトを用いずにクラッチカバーの外周部とフライホイールとを固定している。ボルトの廃止により部品点数が少なくなるとともに、ボルトによる不具合が生じない。
【0008】
請求項2に記載のクラッチ装置は、フライホイールとクラッチディスク組立体とクラッチカバー組立体とを備えている。フライホイールは、エンジンに連結可能な円板形状である。フライホイールは、外周面と、エンジンと反対側に環状の摩擦面とを有ししている。摩擦面側外周縁には環状に延びる凹部が形成され、凹部によって、外周面より内周側の外周壁面と、摩擦面より低い軸方向面とが形成されている。軸方向面の内周側には外周壁面に沿って円周方向に延びる溝が形成され、外周壁面には穴が形成されている。クラッチディスク組立体はフライホイールの摩擦面に近接して配置された摩擦部を有する。クラッチカバー組立体は、外周部先端が溝内に配置され外周部の一部が穴に係合するクラッチカバーと、クラッチカバー内で摩擦部に近接して配置されたプレッシャープレートと、クラッチカバーに支持されプレッシャープレートをフライホイール側に付勢する付勢部材とを含む。
【0009】
このクラッチカバー組立体では、クラッチカバーは、外周部先端が溝内に配置されることでフライホイールに対して軸方向の位置決めがされ、外周部の一部が外周壁面に形成された穴に係合することでフライホイールに対して相対回転不能になっている。さらに、クラッチカバーの外周部先端は溝の外周側を構成する部分により半径方向外側を支持されている。
【0010】
このクラッチ装置では、ボルトを用いずにクラッチカバーの外周部とフライホイールとを固定している。ボルトの廃止により部品点数が少なくなるとともに、ボルトによる不具合が生じない。
請求項3に記載のクラッチ装置では、請求項1又は2において、溝は環状に延びている。
【0011】
請求項4に記載のクラッチ装置では、請求項1〜3のいずれかにおいて、凹部は円周方向に複数並んで形成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施形態が採用されたクラッチ装置1を示す。クラッチ装置1は車輌のエンジン・クランクシャフトに装着される装置である。特に、このクラッチ装置1は、フライホイール2とクラッチカバー組立体4とクラッチディスク組立体3とが一体に形成され、1つの部品として取り扱い可能である。図1におけるO−Oがクラッチ装置1の回転軸線である。
【0013】
クラッチ装置1は、主として、フライホイール2とクラッチディスク組立体3と、クラッチカバー組立体4とから構成されている。フライホイール2とクラッチカバー組立体4はクラッチディスク組立体3を間に挟んで固定されている。より具体的にはクラッチカバー組立体4のクラッチカバー20がフライホイール2に連結部5によって堅く連結されている。
【0014】
フライホイール2は例えば鋳鉄からなるほぼ円環状の部材であり、軸方向に一定の厚みを有している。フライホイール2には、外周面30が形成され、トランスミッション側(図1の右側)の外周部には環状の平坦な摩擦面9が形成されている。また、フライホイール2の外周部にはリングギヤ10が固定されている。フライホイール2にはさらに中心孔11が形成されている。フライホイール2は直接クランクシャフト先端に固定され、あるいはフレキシブルプレートを介してクランクシャフト先端に固定される。
【0015】
次に、図2を用いてフライホイール2において後述する連結部5の一部を構成する構造について説明する。フライホイール2の外周部でトランスミッション側(すなわち摩擦面9の外周側)には、摩擦面9より軸方向に低い環状の凹部21が形成されている。環状の凹部21によって軸方向面22と外周壁面23が形成されている。軸方向面22は摩擦面9よりエンジン側に低くなっており、軸方向面22の内周側には、外周壁面23に沿ってさらに軸方向に凹む(すなわち軸方向トランスミッション側に開く)溝24が形成されている。溝24は弧状に延び、全体で1つの環状溝を形成している。また、溝24の外周側には、軸方向トランスミッション側に延びる環状の突起25が形成されているとみなしてもよい。環状の突起25の外周面はフライホイール2全体の外周面30と連続している。
【0016】
外周壁面23には円周方向に複数の穴26が形成されている。穴26は半径方向内方に凹んでいる(すなわち穴26は半径方向外方に開いている)。穴26は図3に示すように開口部が円周方向に所定角度で延びている。穴26の軸方向位置は軸方向面22からさらにトランスミッション側である。すなわち穴26の外周側には他の構成要素は配置されていない。
【0017】
クラッチディスク組立体3は、摩擦部12と、1対のプレート13,14と、トーションスプリング15と、ハブ16とから構成されている。摩擦部12は摩擦フェーシングやクッショニングプレートからなり、フライホイール2の摩擦面9に近接して配置されている。1対のプレート13,14は摩擦部12に固定され、一体回転する。ハブ16はトランスミッション側から延びるシャフト(図示せず)にトルクを出力するようになっている。トーションスプリング15はプレート13,14を円周方向に弾性的に連結するための部材であり、クラッチディスク組立体3のダンパー部を構成している。
【0018】
クラッチカバー組立体4は、クラッチカバー31と、クラッチカバー31内に配置されフライホイール2の摩擦面9に対向するプレッシャープレート32と、クラッチカバー31に支持されプレッシャープレート32をフライホイール2側に付勢するダイヤフラムスプリング33とを有している。
クラッチカバー31は円環状のプレート部材(板金製)であり、皿形状に形成され中央部に大径の孔を有している。クラッチカバー31の外周部27は軸方向に円筒形状で延びている。外周部27には円周方向に複数の切り欠きが形成されており、切り欠き内には後述のストラッププレート34等が収納されている。この結果、外周部27にはさらに軸方向に延びる複数の外周部先端28が形成されていることになる。各外周部先端28は円周方向に弧状に湾曲した形状であるが、軸方向にはストレートに延びている。
【0019】
連結部5、すなわちフライホイール2とクラッチカバー5との連結について説明する。外周部先端28の先端は図2に示すように、フライホイール2に形成された溝24内すなわち突起25と外周壁面23との間に配置されている。外周部先端28は溝24の底面に当接しており、これにより、クラッチカバー20はフライホイール2に対して軸方向に位置決めされている。また、クラッチカバー20の外周部先端28は、フライホイール2の突起25によって半径方向外側への拡がりを制限されている。さらに、クラッチカバー31の外周部には、半径方向内側に突出する複数の突出部29が形成されている。突出部29は絞り加工により変形された部分であり、フライホイール2の複数の穴26内にそれぞれ挿入されている。この突出部29と穴26との嵌合により、クラッチカバー20はフライホイール2に対して相対回転不能となっている。
【0020】
この実施形態では、クラッチカバー20の外周部はフライホイール2の外周部に固定されており、従来のクラッチカバーのフランジ部が不要となっている。そのため、従来のクラッチハウジングと同じスペース内においてクラッチディスク組立体のサイズを大きくできる。クラッチディスク組立体のサイズが大きくなると、クラッチカバー組立体における押し付け加重を低めに設定できるため、踏力軽減が可能になる。さらに、クラッチディスク組立体の摩擦部の内径を大きくとることができ、トーションスプリングを含むダンパー部のサイズを大きくできる。
【0021】
さらに、この実施形態では従来のボルトを廃止することにより、部品点数を少なくできる。その結果、従来のボルト取り付けによる不具合がなくなる。また、簡単な構造で確実なフライホイール2とクラッチカバー20との固定が可能となっている。特に、この実施形態ではクラッチカバー20の外周部先端28がフライホイール2の突起25により半径方向外側への拡がりを押さえられているため、クラッチカバー20の破損が生じにくい。
【0022】
プレッシャープレート32は複数のストラッププレート34によりクラッチカバー20に連結されている。この連結によりプレッシャープレート32はクラッチカバー20と一体回転する。なお、プレッシャープレート32はクラッチカバー20に対して軸方向に移動可能である。ダイヤフラムスプリング33は、2本のワイヤリング30を介してクラッチカバー31に支持されており、2本のワイヤリング35を支点として軸方向に揺動可能である。
【0023】
次に、クラッチ装置1の組立動作について説明する。フライホイール2に対してクラッチディスク組立体3をあらかじめ装着しておく。次にクラッチカバー組立体4を図1の右側からフライホイール2に近づけていく。このとき、クラッチカバー20の外周部27に突出部29は形成されていない。外周部先端28がフライホイール2の溝24に挿入され、外周部先端28の先端が溝24の底面に当接する。このとき外周部先端28の内周面は外周壁面23に当接している。次に、外周部先端28おいて軸方向に穴26に対応する環状部分を内周側に付勢していく。穴26の位置では外周部先端28は内周側に変形させられて突出部29となり、穴26内に嵌入する。このようにフライホイール2とクラッチカバー20との連結が、軸方向への係合と絞り加工との2動作で行われ、簡単であり、工程数が少ない。
【0024】
溝24は円周方向に弧状に延びてさえすればよく、例えば分割された複数の弧状溝の形状であってもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明に係るクラッチ装置では、ボルトを用いずにクラッチカバーの外周部フライホイールに固定されている。ボルトの廃止により部品点数が少なくなるとともに、ボルトによる不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのクラッチ装置の縦断面概略図。
【図2】図1の部分拡大図であり、フライホイールとクラッチカバーとの連結部を示す図。
【図3】連結部の平面図。
【符号の説明】
1 クラッチ装置
2 フライホイール
3 クラッチディスク組立体
4 クラッチカバー組立体
5 連結部
20 クラッチカバー
21 凹部
22 軸方向面
23 外周壁面
24 溝
25 突起
26 穴
28 外周部先端
29 突出部

Claims (4)

  1. エンジンに連結可能であり、前記エンジンと反対側に環状の摩擦面を有し、軸方向に開く溝が摩擦面側外周縁に形成され、前記溝の内周側面に穴が形成されたフライホイールと、
    前記摩擦面に近接して配置された摩擦部を有するクラッチディスク組立体と、外周部の先端が前記溝内に配置され前記外周部の一部が前記穴に係合するクラッチカバーと、前記クラッチカバー内で前記摩擦部に近接して配置されたプレッシャープレートと、前記クラッチカバーに支持され前記プレッシャープレートを前記フライホイール側に付勢する付勢部材とを含むクラッチカバー組立体と、
    を備えたクラッチ装置。
  2. エンジンに連結可能な円板形状であり、外周面と、前記エンジンと反対側に環状の摩擦面とを有し、前記摩擦面側外周縁には環状に延びる凹部が形成され、前記凹部によって前記外周面より内周側の外周壁面と前記摩擦面より低い軸方向面とが形成され、前記軸方向面の内周側には前記外周壁面に沿って円周方向に延びる溝が形成され、前記外周壁面には穴が形成されている、フライホイールと、
    前記フライホイールの前記摩擦面に近接して配置された摩擦部を有するクラッチディスク組立体と、
    外周部の先端が前記溝内に配置され前記外周部の一部が前記穴に係合するクラッチカバーと、前記クラッチカバー内で前記摩擦部に近接して配置されたプレッシャープレートと、前記クラッチカバーに支持され前記プレッシャープレートを前記フライホイール側に付勢する付勢部材とを含むクラッチカバー組立体と、
    を備えたクラッチ装置。
  3. 前記溝は環状に延びている、請求項1又は2に記載のクラッチ装置。
  4. 前記凹部は円周方向に複数並んで形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のクラッチ装置。
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