JP3634356B2 - 固相ペプチド合成用ハンドルとしての置換ベンズヒドリルアミン - Google Patents

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Description

1.技術分野
本発明は固相ペプチド合成用の新規”ハンドル”に関する。このハンドルは、安定形から不安定形に変換されて、温和な条件下での合成の後、またアミノ酸側鎖から保護基を脱保護した後に、担体からのペプチドの開裂をもたらす。このハンドルは置換ベンズヒドリルアミン骨格を基本とする。
2.従来技術
ペプチド合成の分野で使用されるように、ハンドルとは、ペプチド断片または第1のアミノ酸をポリマー担体に結合する作用を有する二官能性スペーサと定義される。フィールズおよびノーブル(Fields and Noble,1990,Int.J.Pept.Ptotein Res.35:161−214)が記載するように、当該分野では多くの固相樹脂およびハンドルが使用可能である。使用可能であるためには、ハンドルはペプチド合成の反応条件に安定でなければならないが、合成が完了したときには、固相担体からペプチドが開裂できるようなハンドルであることが必要がある。
安定形から不安定形に変換されうるようなハンドルがいくつか報告されており、合成されている。残念なことに、これらのハンドルは実際には広範な応用ができないことが明らかとなった。例えば、4−ベンジルチオフェニル−および4−ベンジルスルホニル−ハンドル(D.L.Marshall,I.E.Liener:J.Org.Chem.35,867(1970))およびスルホンアミド−ハンドル(G.W.Kenner,J.R.McDermott,R.C.Sheppard:Chem.Commun.636,(1971))は広範に応用できないことが明らかとなった。その他の例が”ペプチド、分析、合成、生物学”(E.Gross,J.Meienhofer(編集),Academic Press New York,vol.2.p.88(1980),vol.3.p.209(1981))に記載されている。ごく最近になって、4−アルキルチオベンジルアルコールに基づくハンドルが報告され(ヨーロッパ特許274,998号およびヨーロッパ特許274,999号;Chem.Abstr.110,135705(1989))、ペプチド合成に使用されている。スルホキシド部分を還元した後、4−アルキルチオベンジルエステルを開裂すると遊離のカルボキシル基を有するペプチドが得られる。
しかしながら、上記のハンドルの多くは変換工程で影響を受けるアミノ酸残基に関して明らかな限界をもっている。一般に、ペプチドがトリプトファン、システイン、シスチンおよびメチオニンなどの感受性アミノ酸を含む場合には酸化工程を用いることができない。もう1つの問題はハンドルの”活性化”の途中で起こり得るメチル化と長い開裂時間のためにペプチドが損傷をうけることである。
さらに、現在入手可能なハンドルはBocおよびFmoc合成法のいずれにも適していない。
3.発明の要約
本発明はペプチド合成用置換ベンズヒドリルアミンハンドルに関する。このハンドルは酸不安定形または安定形として製造し使用することができる。安定形は樹脂からペプチドを開裂するために酸不安定形に変換することができる。
置換ベンズヒドリルアミンハンドルは以下の一般式(I):
Figure 0003634356
(式中、aは1から3、X1は[S]R1またはX1はZであり、X1基は第1ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR1はアルキル基であり;そして
bは0から3、X2は[S]R2であり、X2基は第2ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR2はアルキル基であり;そして
Zは、X1がZでない場合には、X1によって占められていないどの位置にあってもよいR3、OR3または[S]R3であり、そしてR3は固相担体にカップリングするための反応性官能基からなるアルキル基であり、そしてX1がZである場合には、Zはオルトまたはパラ位にある[S]R3であり;そして
cは0または1であり、dは0または1であり、YはOR4であり、そしてR4はアルキル基であり;そして
[S]は−S−、−SO−または−SO2−であり;そして
DはH、保護基またはNα−保護アシルである)
の化合物である。本明細書中で”アルキル”とはC1からC10でありうる。
本発明はさらに本発明のハンドルの合成法を提供する。ある態様においては、ヒドロキシまたはメルカプトベンゾフェノンを、フッ化物イオンの存在下にアルカンカルボンン酸のω−ハロエステルと反応させる。ベンゾフェノンカルボニルを次いで慣用の合成法、例えばオキシム合成のためのヒドロキシルアミンなどとの反応によりアミンに変換し、次いで亜鉛などで還元してベンズヒドリルアミンを生成するか、あるいはギ酸アンモニウムなどとの反応により還元的アミノ化を行う。あるいは、ベンゾフェノンをアルコールに還元して、Nα−保護アミノ酸アミドとアミド化することができる。
本発明は従来法に比べて、ペプチド合成用の安定なハンドルを製造し、合成反応終了後はハンドルを不安定にするよう処理することができるという点で顕著な利点を提供する。ハンドルを安定形から不安定形に変換したら、ペプチドを慣用法により固相担体から開裂して使用する。ペプチドは遊離のカルボキシル形よりもむしろカルボキシアミド形で開裂される。酸化ハンドル、すなわち、スルホキシドまたはスルホン形のハンドルは、ペプチド合成に一般に用いられる条件下でもトリフルオロ酢酸などの酸性媒体中でも極めて安定である。スルフィド形に還元すると、ハンドルは酸に不安定となる。好ましい態様においては、スルホキシドまたはスルホンは容易にスルフィドに還元されて、安定形ハンドルを不安定形に変換する。
本発明のハンドルの特に有利な点は、開裂前にアミノ酸側鎖の脱保護ができることである。標準的固相合成では、脱保護および開裂によって生じる陽イオンが開裂ペプチドと反応することができる。ペプチドとこれらの陽イオンとの反応はしばしば収率や純度の低下をもたらす。本発明によると、脱保護されたペプチドが固体担体に留まっているので、脱保護で生じた陽イオンを洗い流すことができる。開裂途中において、陽イオンは開裂ペプチドから離れて固体担体に留まる。
本発明の他の利点は、ハンドルの還元後のペプチドの開裂を一般に用いられるよりもはるかに温和な条件で実施することができる点にある。例えば、標準的Boc合成開裂では強酸、通常ではHFで処理することを必要とする。本発明でははるかに温和な条件下で最終開裂を行うBoc合成が可能である。
本発明のさらなる利点は、ハンドルをFmocとBoc合成法のいずれにも用いることができる点である。
本発明のハンドルのさらなる利点は、従来よりも激しくない条件下で開裂によりC−末端ペプチドアミドを生成する点である。
4.発明の詳細な説明
本発明は、安定であるが、固相担体からのペプチドのその後の開裂のために不安定な形態に変換し得るペプチド合成用のハンドルに関する。ハンドルの安定性はアルキル−硫黄置換基の酸化状態により決定される。
置換ベンズヒドリルアミンハンドルは一般式(I):
Figure 0003634356
(式中、
aは1〜3であり、X1は[S]R1であり、またはX1はZであり、そのX1基は第一ベンゼン環のオルト位またはパラ位にあり、かつR1はアルキル基であり、かつ
bは0〜3であり、X2は[S]R2であり、そのX2基は第二ベンゼン環のオルト位またはパラ位にあり、かつR2はアルキル基であり、かつ
Zは、X1がZでない場合に、X1により占められていないあらゆる位置のR3、OR3または[S]R3であり、かつR3は固相担体へのカップリングのための反応性官能基を含むアルキル基であり、そしてX1がZである場合には、Zはオルト位またはパラ位の[S]R3であり、かつ
cは0または1であり、かつdは0または1であり、YはOR4であり、かつR4はアルキル基であり、かつ
[S]は−S−、−SO−または−SO2−であり、かつ
DはH、保護基またはNα−保護アシルである)
により表される。
本明細書に使用される“アルキル”はC1〜C10であり得る。
本明細書に使用されるアルキルという用語はC1〜約C10のアルカン、アルケン及びアルキン(即ち、飽和炭化水素及び不飽和炭化水素)を含むが、これらに限定されない。例えば、アルキル基は、メチル、エチル、エテニル、プロピル、プロペニル、プロピニル、等であってもよい。本明細書に使用されるアルキルという用語は分枝鎖を含むだけでなく、直鎖基、および環状アルキルを含む。
本明細書に使用される“ハンドル”という用語は二官能性スペーサーと定義される。ハンドルは、固相担体に結合する一つの官能基を有する。ハンドルは、アミノ酸またはペプチドに接合し得る第二官能基を有する。ハンドルは、合成が完結された後にペプチドの開裂を与える。
本明細書に使用される“固相担体”という用語は特定の型の担体に限定されない。むしろ、多数の担体が利用でき、これらは当業者に知られている。固相担体は、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、アルミナゲルを含む。好適な固相担体は、所望の最終用途および種々の合成プロトコルに対する適性に基いて選択し得る。例えば、ペプチド合成に関して、固相担体として、樹脂、例えば、p−メチルベンズヒドリルアミン(pMBHA)樹脂(Peptides Internatinal,Louisville,KY)、ポリスチレン(例えば、Bachem Inc.,Peninsula Laboratoriesから得られるPAM−樹脂、等)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)−グラフトスチレン・コ−ジビニルベンゼン(例えば、Aminotech,Canadaから得られるポリハイプ(POLYHIPE)(商標)樹脂)、ポリアミド樹脂(Peninsula Laboratoriesから得られる)、ポリエチレングリコールでグラフトされたポリスチレン樹脂(テンタゲル(TentaGel)(商標)、Rapp Polymere,Tubingen,ドイツ)またはポリジメチルアクリルアミド樹脂(Milligen/Biosearch、カリフォルニアから得られる)が挙げられる。
一実施態様において、固相担体は生体内の使用に適していてもよく、即ち、それはペプチドの直接の適用のためのキャリヤーまたは担体として利用できる(例えば、テンタゲル、Rapp Polymere,Tubingen,ドイツ)。特別な実施態様において、固相担体は口に合って、経口消費可能であってもよい。
“ペプチド”という用語は、その最も広い意味で本明細書に使用され、二つ以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸類縁体またはペプチド擬態物質の化合物を表す。サブユニットはペプチド結合により連鎖し得る。別の実施態様において、サブユニットはその他の結合、例えば、エステル、エーテル、等により連鎖し得る。本明細書に使用される“アミノ酸”という用語は、グリシンおよびD光学異性体およびL光学異性体の両方を含む天然アミノ酸および/または非天然即ち合成アミノ酸、並びにアミノ酸類縁体およびペプチド擬態物質を表す。本明細書に使用されるペプチド擬態物質は、ペプチドの化学構造をもたないでペプチドに似た性質を示す分子である。ペプチドは、D−アミノ酸、D−アミノ酸とL−アミノ酸の組み合わせ、および種々の“デザイナー”アミノ酸(例えば、β−メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、およびNα−メチルアミノ酸、等)を含んでいてもよく、ペプチドに特別な性質をもたらすことができる。更に、特定のカップリング工程で特定のアミノ酸を指定することにより、α−らせん、β−ターン、βシート、γ−ターンを有するペプチド、および環状ペプチドが生成し得る。
4.1.ハンドル
本発明のベンズヒドリルアミンハンドルは、スルフィド(SR1)、スルホキシド(SOR1)、およびスルホン(SO2R1)(式中、R1は1〜約10個の炭素原子のアルキル基である)からなる群から選ばれた少なくとも1個の硫黄を含む誘導体で置換されている。スルフィド誘導体、スルホキシド誘導体またはスルホン誘導体は、この出願中で[S]Rと称される。硫黄含有基は、少なくとも一つのベンゼン環のオルト位またはパラ位で見られる。単一ベンゼン環の2個の硫黄含有基は、オルト−パラ位または両オルト位で見られる。三つの硫黄含有基は、二つのオルト位と一つのパラ位で見られる。ベンゼン環は硫黄含有基で対称的に置換されていてもよいが、そうである必要はない。両方のベンゼン環がパラ位またはオルト位で硫黄含有基を含むことが好ましい。
ハンドルは、固相担体、即ち、ハンドルを使用する固相ペプチド合成用の樹脂への付着のためにリンカー、Zを更に含む。一実施態様において、リンカーは一つのベンゼン環のオルト位またはパラ位に位置された硫黄含有基([S]R3)であり得る。別の実施態様において、リンカーはオルト位、パラ位またはメタ位に位置されたアルキル基(R3)、アルコキシ基(OR3)、または硫黄含有基([S]R3)であってもよく、但し、ZがOまたはSを含み、かつメタ位にある場合には、ハンドルの安定性に影響しないと考えられることを条件とする。Z上のアルキル基、R3は1〜約10個の炭素原子を有し、かつ樹脂への付着のための官能基、例えば、カルボン酸を含む。
更に別の実施態様において、ハンドルは、硫黄含有基Xにより占められていない一つまたは両方のベンゼン環のオルト位またはパラ位にアルコキシ基(OR4)、Yを含む。基Yは、ZがOR3(アルコキシ)である場合にオルト位またはパラ位にZを有する環には存在しない。アルコキシ基は二つのベンゼン環に対称的に配置されていてもよいが、そうである必要はない。アルコキシ基(Y)が存在する場合、単一ベンゼン環のY基の数は、その環のX基の数より小さいか、またはそれに等しい。Yの合計数はベンズヒドリルアミンのX基の合計数より小さいか、またはそれに等しく、そしてそれより小さいことが好ましい。Yのアルキル部分は1〜約10個の炭素原子を有する。
本発明は特別な機構に限定されないが、ハンドルの性質は一つ以上のベンゼン環のオルト位またはパラ位の置換基の電子供与特性または電子吸引特性により決定されると考えられる。こうして、電子供与性基、例えば、スルフィド基またはアルコキシ基がパラ位またはオルト位にある場合、電子が供与されて得られるベンズヒドリルカチオンを安定化し得るのでN−C結合のアシドリシスが容易に起こる。逆に、電子吸引性基、例えば、スルホキシドまたはスルホンがパラ位またはオルト位に存在する場合、アシドリシスが起こり得ない。電子供与はメタ位からはそれ程容易に起こらないので、メタ位の置換基はパラ位またはオルト位の置換基よりも大きな効果を及ぼさないと予測される。
スルホキシドまたはスルホン置換基とアルコキシ置換基の両方による置換は、電子吸引性基と電子供与性基のバランスを生じる。しかしながら、電子吸引性の酸化された硫黄含有基の数がアルコキシ基の数に少なくとも等しく、好ましくはそれより大きい場合、酸化された硫黄含有基の電子吸引性は更に大きな程度にハンドルの性質に影響すると予測される。アルコキシ基は、それらの電子供与性のために硫黄含有基の還元後にハンドルを開裂するのに有利である。
酸化されたハンドルの安定性および還元されたハンドルの酸不安定性は、一つまたは両方のベンゼン環の硫黄含有基の数を増大することにより増進されると考えられる。こうして、1個より多い酸化された硫黄含有基によるハンドルの増大された電子吸引性は、ハンドルの更に大きな化学安定性をもたらし得る。同様に、1個より多い還元された硫黄含有基の増大された電子供与ポテンシャルは、温和な条件下で開裂を促進し得る。
更に、スルホンを生じるための硫黄含有基の酸化は、スルホキシドへの酸化よりも更に安定なハンドルをもたらすと予測される。何となれば、スルホンは更に大きな電子吸引性を有するからである。スルホンまたはスルホキシドは還元されてスルフィドを生じ得るので、いずれの酸化状態も本発明のハンドルに適している。現在のところ、スルホキシド酸化状態が好ましい。
更に別の実施態様において、アミン窒素原子の位置で保護基を有するハンドルが調製し得る。好適な保護基は、二三の名を挙げると、tert−ブトキシカルボニル(Boc)およびN−9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)を含む。ペプチド合成に適したあらゆるアミン保護基が好適である。多くのものがGreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley Interscience:New York,1991,pp.309−362;並びにFieldsおよびNoble 1990,Int.J.Pept.Protein Res.35:161−214に記載されている。N−保護ベンズヒドリルアミンは、アミン基の反応性には関係しないで固相担体にカップリングし得る。ハンドルが固相担体にカップリングされた後、保護基は常套の化学反応、例えば、Fmocの場合にはジメチルホルムアミド中のピペリジンによる処理、またはBocの場合にはトリフルオロ酢酸による処理により除去し得る。
別の実施態様において、ハンドルはベンズヒドリルアミドとして、即ちアミンの位置でアシル基を有して調製し得る。本発明に使用されるアシル基はNα−保護アミノ酸を含むがこれに限定されず、これはペプチド鎖のその後の延長のために脱保護し得る。アミノ酸という用語は本明細書で先に定義されたように使用され、Dアミノ酸およびLアミノ酸、グリシン、並びに非天然産のアミノ酸またはアミノ酸類縁体を含む。
X(またはZ)がハンドル上でスルホキシド基またはスルホン基として存在する場合、ハンドルは酸性媒体に対して極めて抵抗性である。スルホキシドまたはスルホンからスルフィドへの還元はアシドリシスに対して不安定であるハンドルをもたらす。例えば、このようなハンドルはトリフルオロ酢酸中で開裂し得る。こうして、本発明は酸安定性または酸不安定性であるハンドルを提供し、そして酸安定形態から不安定形態への変換、およびその逆の変換を提供する。
4.2.置換ベンズヒドリルアミンの合成
本発明の置換ベンズヒドリルアミンは、下記の方法に従って調製し得る。
4.2.1.ベンゾフェノンの調製
本発明のハンドルの合成のための出発物質として使用される置換ベンゾフェノンは、例えば、置換安息香酸と置換ベンゼンの縮合反応、即ち、ベンゼンのアシル化により合成により調製し得る。
好適な置換安息香酸は、2−アルキルチオ安息香酸、4−アルキルチオ安息香酸、2,4−ジ(アルキルチオ)安息香酸、2,4,6−トリ(アルキルチオ)安息香酸、2−(または4−)アルキルチオ−4(または2−)アルコキシ安息香酸、2,4−(または2,6−アルキルチオ)−6(または4)−アルコキシ安息香酸、等を含むが、これらに限定されない。更に、安息香酸は、固相担体にカップリングするための官能基を含むアルキル基(即ち、Z)で2位、3位または4位で置換されていてもよい。アルキル基に存在する官能基を保護してベンゾフェノンの生成中にその反応を防止するように特別な注意を払う必要がある。例えば、官能基がカルボン酸である場合、それは塩化チオニルとの反応から保護される必要がある。また、安息香酸は2位、3位または4位でヒドロキシ基またはメルカプト(即ち、スルフヒドリル)基で置換されていてもよい。ヒドロキシ基またはメルカプト基は2位または4位にあることが好ましい。置換安息香酸が2位または4位のメルカプト置換基を含む場合、それはアルキルチオ置換基を含む必要はない。何となれば、アルキル化の際に、メルカプト置換基は必要とされる性質を有するアルキルチオ基になるからである。特別な実施態様において、置換安息香酸は2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)安息香酸である。
好適な置換ベンゼン基は、アルキルチオベンゼン(例えば、チオアニソール)、1,3−ジアルキルチオベンゼン、1,3,5−トリアルキルチオベンゼン、3−アルコキシ−アルキルチオベンゼン(例えば、3−アルコキシチオアニソール)、5−アルコキシ−1,3−ジアルキルチオベンゼンおよび3−アルコキシ−1,5−ジアルキルチオベンゼンを含むが、これらに限定されない。特別な実施態様において、置換ベンゼンはチオアニソールである。
更に別の実施態様において、安息香酸がリンカーとして使用するためのアルキル基を欠いており、そしてリンカーを結合するためのアルキル化に適したヒドロキシ基またはメルカプト基を欠いている場合、その置換ベンゼンはこれらの基のいずれかを含むことができる。
多くの変更が、ベンゾフェノンを調製するのに使用し得る置換安息香酸および置換ベンゼンに関して可能である。多くの組み合わせおよび置換が可能であり、本発明により意図されているが、最も簡単な出発物質がしばしば好ましい。何となれば、これらは一般に高価ではなく、入手し易く、しかも望ましくない副反応を受け難いからである。こうして、選択された置換安息香酸および置換ベンゼンは、ベンゼン環のパラ位またはオルト基に少なくとも一つの硫黄を含む置換基、好ましくは両方のベンゼン環に硫黄を含む置換基と、リンカーまたはリンカーの結合に適した官能基を有するベンゾフェノンを形成する必要がある。
下記の特別な実施態様において、置換安息香酸は塩化チオニル中で加熱されて相当する安息香酸クロリドを生じる。一般にこの反応は、安息香酸を約2モル当量の塩化チオニル中で攪拌しながら約40℃に約10分〜約30分間加熱することにより行い得る。次いで塩化ベンゾイルが約40℃で非プロトン性溶媒、例えば、二塩化エチレンに溶解される(約0.1〜約1M)。この溶液が、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロエタン)に約0.2〜約3Mで溶解された等モル量の置換ベンゼン、例えばチオアニソールと混合される。その混合物が0℃に冷却され、そして当量の塩化アルミニウムで処理される。その反応混合物が約20℃に温められ、その時点で温度を調節しながら第二の当量のAlCl3が添加し得る。その反応混合物が約40℃〜50℃で約1〜2時間攪拌され、そして通常の方法、例えば、抽出、再結晶、等により処理される。
また、ベンゾフェノンはオルト位またはパラ位への硫黄含有基の付加により、またはアルコキシ置換ベンゾフェノン中の酸素に代わる硫黄の置換により改変し得ることが意図されている。アルコキシ基に代えてスルフィドの交換は、クロロジメチルチオカーバメートによるヒドロキシ基の処理、続いて熱転位およびS−アルキル化により起こる。しかしながら、この別法は、固相担体への付着のための単一リンカーの付着を与え、または単一リンカーとして作用するために非対称に置換されたベンゾフェノンの使用を必要とする。
4.2.2.ヒドロキシまたはメルカプト置換ベンゾフェノン のアルキル化
ベンゾフェノンがアルキルリンキング基を有しないで調製される場合、そのリンキング基を付加するためのアルキル化が必要とされる。当業界で知られているあらゆるアルキル化方法が本発明の実施に使用し得る。これらのアルキル化方法は、ハロゲン、特に臭素もしくは塩素、またはその他の良好な脱離基によるアルキルの活性化により行われる。しかしながら、オルト位のアルキル化が意図されている場合、水素結合を分断する試薬を添加する必要がある。好ましい実施態様において、その試薬はフッ素イオン(F-)である。
特別な実施態様において、置換ベンゾフェノンが極性の非プロトン性溶媒に溶解される。ベンゾフェノンは一つのベンゼン環で2位、3位または4位でヒドロキシ基またはメルカプト(SH)基で置換される。ベンゾフェノンの濃度は5mM〜1Mであることが好ましく、50mM〜0.5Mであることが更に好ましい。最適濃度は極性の非プロトン性溶媒の選択、およびその中のベンゾフェノンの溶解性に依存する。好適な溶媒は、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、等、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
ヒドロキシ基またはメルカプト基が2位にある場合、フッ素イオンがその溶液中に存在してアルキル化反応を促進する。これらのイオンは不活性担体上に用意されていてもよい。下記の特別な実施態様において、そのフッ化物はアルミナ上のフッ化カリウムの懸濁物として与えられる。別の実施態様において、フッ化物はフッ化テトラエチルアンモニウムとして与えられる。
この溶液に、アルキル化剤、例えば、アルキルカルボン酸のω−ハロエステルが添加され、これは相当する市販のアルキルカルボン酸のハロゲン化により調製し得る。特別な実施態様において、ブロモ吉草酸メチルが添加される。アルキル化剤はベンゾフェノンの濃度に対してモル過剰で、好ましくは約20%より大きく過剰、更に好ましくは約40%より大きく過剰で添加されることが好ましい。アルキル化反応は室温で完結させるために少なくとも約96時間を要することがある。アルキル化されたベンゾフェノンは、常套の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは再結晶により精製でき、またはそれは、例えば、減圧で濃縮された固体物質(例えば、アルミナが存在する場合)から分離でき、そしてそれ以上精製しないで使用し得る。
4.2.3.ベンゾフェノンからベンズヒドリルアミンへの変
置換ベンゾフェノンのカルボニル基はアミン基に変換される。カルボニルからアミンへの変換は、当業界で知られているあらゆる方法により行うことができ、その方法はオキシム生成、続いて還元を含むか、または、例えば、ギ酸アンモニウムによる還元的アミン化を含むが、これらに限定されない。下記の特別な実施態様において、ベンゾフェノンはヒドロキシルアミンと反応させられてオキシムを生成する。この反応は一般に極性溶媒、好ましくはアルコール、例えば、エタノール中で行われるが、メタノール、プロパノール、2−プロパノール等がまたアルキル化反応に使用されるのとほぼ同じ濃度で置換ベンゾフェノンと共に使用し得る。また、無水の弱塩基、例えば、酢酸ナトリウムが存在してもよい。その反応混合物は約1〜約15時間、好ましくは約7時間にわたって加熱、還流される。その混合物は、例えば、一夜にわたって放置してもよく、または直ちに処理してもよい。処理に際して、その反応混合物は濾過され、そして減圧で濃縮されて、それ以上精製しないで使用し得る生成物を生じることができる。
そのオキシム生成物は、アルキル化されたベンゾフェノンがオキシム工程で使用されたのとほぼ同じ濃度で約1:3の比のアルコール(好ましくはエタノール)と25%のアンモニアに溶解される。この溶液に、約10倍モル過剰の粉末亜鉛が添加される。その懸濁液が50℃に加熱され、約48時間攪拌される。その懸濁液が濾過され、減圧で濃縮されて置換ベンズヒドリルアミンを生じる。
オキシムの還元により得られたベンズヒドリルアミンは極性溶媒に難溶性または不溶性である。更に、その還元反応が亜鉛で行われる場合、亜鉛が反応混合物中に残る。こうして、硫黄を含む置換基(アルキルスルフィド)の酸化およびアミノ基の保護の前に、ベンズヒドリルアミンを精製することが必要である。精製方法は、例えば、シリカゲルによるクロマトグラフィー、再結晶、分取薄層クロマトグラフィー等を含むが、これらに限定されない。
特別な実施態様において、再結晶方法が使用される。不溶性ベンズヒドリルアミンは、トルエンスルホン酸を添加し、こうしてアミンの酸塩を生成することにより可溶化される。この反応は、ベンズヒドリルアミンを約100〜500mM、好ましくは約150mMで適当な溶媒、例えば、メタノール、エタノール、等に溶解することにより行い得る。溶媒中のトルエンスルホン酸(TsOH)の飽和溶液が、好ましくは、制御された添加、例えば、滴下により添加し得る。生成物は、水を含む極性のプロトン性溶媒系(例えば、3:1v/vのメタノールのようなアルコールと水)に溶解され、そして必要により加熱されて溶解性を増大する。その溶液が約20℃に冷却された後、酸化剤、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム(スルホキシドを生成するため)または過酸化水素(スルホンを生成するため)がS原子の当量を基準としてモル過剰で添加される。典型的には、過酸化水素による酸化のための溶媒は氷酢酸である。過ヨウ素酸ナトリウム酸化中に生成された沈殿が濾過により除去され、そして生成物が濃縮される。
4.2.4.アミン基の保護
更に、本発明はベンズヒドリルアミンの合成後のアミン基の保護を提供する。アミン基の保護は、ハンドルを固相担体にカップリングする場合にアミンの反応性を防止するのに重要であり得る。こうして、本発明はアミン保護ハンドルを提供する。
アミンの好ましい保護基はBocおよびFmocである。しかしながら、GreenおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley Interscience:New York,1991,pp.309−362;並びにFieldsおよびNoble 1990,Int.J.Pept.Protein Res.35:161−214に記載されているようなその他の保護基がまた意図されている。Boc保護アミンおよびFmoc保護アミンの合成は直接的であり、当業界で公知である。ペプチド合成のためのNα−保護アミノ酸は、通常、合成戦略に応じて、BocまたはFmocで保護される。
下記の特別な実施態様において、アミンはFmoc保護基で保護される。ベンズヒドリルアミンを含む水溶液のpHが約9にされ、沈殿した無機塩が濾過により除去され、そして保護Fmoc(例えば、Fmoc−H−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルエステル)が添加される。Fmoc−ベンズヒドリルアミンが、通常の方法を使用して処理されて所望の純度の生成物を生じる。
別の実施態様において、ベンズヒドリルアミンはBoc保護基で保護される。一般に、これは常套の方法に従って行い得る。
4.2.5.ハンドルを調製するための別の経路
ベンゾフェノンが上記のセクション4.2.1.に記載されたようにして調製される。ベンゾフェノンは、例えば、エタノールまたはその他の同様の溶媒中でホウ水素化ナトリウムによる処理により還元されてベンズヒドリルアルコールを得ることができる。酸性条件下の一級アミドによるベンズヒドリルアルコールの処理は、そのヒドロキシに代えてアミドの置換をもたらす。この結果はベンズヒドリルアミンのアシル化に似ている。
選択されるアミド基は、上記のセクション4.1.に記載されたようなNα−保護アミノ酸であることが好ましい。
4.3.ペプチド合成のためのハンドルの使用
本発明のハンドルは、ペプチド合成のためにペプチド鎖を固相担体に付着するのに良く適している。ハンドルは、アルキル基の好適な官能基、例えば、カルボン酸によりあらゆるアミノ樹脂に付着し得る。樹脂のアミンへのカルボン酸官能基の付着は、ペプチド合成に普通使用される技術、例えば、OPfp、HOBtまたはその他の活性エステルの調製、カルボジイミドの存在下の縮合、等のいずれかにより進行し得る。また、これらの方法がセクション4.3.2.でペプチドの合成に関して説明されている。本発明に使用するのに適した固体担体は先に説明されている。
固相ペプチド合成技術は当業界で公知である。簡単に言えば、Nα−保護アミノ酸がα−カルボニルの位置で活性化され、初期のペプチド−ハンドル固相担体の脱保護Nαとカップリングされる。そのカップリング反応は当業者に良く知られている技術(例えば、StewartおよびYoung,1984,Solid Phase Synthesis,第二編,Pierce Chemical Co.,Rockford,IL;FieldsおよびNoble,1990,“Solid phase peptide synthesis utilizing 9−fluoren−ylmethyloxycarbonyl amino acids,"Int.J.Pept.Protein Res.35:161−214;Geysenら,1987,J.Immunol.Methods102:259−274を参照のこと)により行い得る。カップリング、脱保護、および最終的な固相担体からのペプチドの開裂の化学はNα−保護基の選択に依存し、保護基は一般にtert−ブトキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)である。
本発明のハンドルを使用するペプチド合成の好ましい実施態様において、カップリングの完結性が評価されるべきである。カップリングの完結性の評価方法は当業界で公知である。カップリングが完結されなかった場合には、その反応は、第二のカップリングにより、例えば、(a)高濃度の活性化されたアミノ酸または異なる活性化機構を使用することにより;(b)異なる溶媒または付加的な溶媒の添加により;または(c)カオトロピック塩(KlisおよびStewart,1990,Peptides:Chemistry,Structure and Biology,RivierおよびMarshall(編集),EDSCOM Publishers,pp.904−906を参照のこと)の添加により完結させるべきである。
4.3.1.還元および開裂
ペプチド合成の後、ペプチドを固相担体から開裂しなければならない。本発明のハンドルが還元形である場合には、TFAなどの酸で処理することにより開裂を行う。Fmocアミノ酸法を用いる場合には、開裂は側鎖の脱保護をもたらすだろう。
あるいは、スルホキシドまたはスルフォンの酸化形でハンドルを用いる場合には、ハンドルを還元して酸不安定ハンドルに変換することができる。当該分野で公知の還元剤を用いることができる。例えば、約1Mのトリメチルシリルクロリド/トリフェニルホスフィン/テトラヒドロフランまたはより好ましくは1Mのトリメチルシリルクロリド/トリフェニルホスフィン/ジクロロメタンを用いてスルホキシドをスルフィドに還元することができる。ヨウ化サマリウム(SmI2)で処理すると、スルフォンおよびスルホキシドをスルフィドに還元することができる。さらに別の態様においては、臭化シリルで処理することにより還元、脱保護および開裂を同時に行うことができる。別の態様では、1Mのトリメチルシリルブロミド/チオアニソール/トリフルオロ酢酸で処理することにより、還元、(Fmocアミノ酸の)脱保護および開裂を同時に行うことができる。
本発明の特に有利な点は開裂前にアミノ酸側鎖が脱保護できる点にある。以下に示す特定の態様においては、脱保護された側鎖が開裂前に反応して環状ペプチドを形成する(下記のセクション7.3および8.参照)。開裂前に環状化することにより、副反応や分子内結合が避けられる。
5.実施例:N−Fmoc[2−(カルボキシレートブチル−4 −オキシ)−4−(メチルスルフィニル)フェニル]− [4'(メチルスルフィニル)フェニル]メチルアミンを 有する固体担体の製造
5.1.4,4'−ビス(メチルチオ)−2−ヒドロキシベンゾ フェノン
塩化チオニル(50ml、685mmol)中の2−ヒドロキシ−4−メチルチオ安息香酸(45.00g、227mmol)溶液を撹拌しながら40℃で15分間加熱した。1,2−ジクロロエタン(EDC)(90ml)を加えた後、溶液を減圧下(15mm)に50℃で30分撹拌した。
固体残渣をEDC(250ml)中に40℃で溶解し、EDC(100ml)中のチオアニソール(26.7ml、227mmol)溶液に加えた。得られる混合物を0℃に冷却し、微細AlCl3(33.0g、247mmol)を0−5℃で75分かけて分注した。混合物を放置して20℃に温めて、2回目のAlCl3(33.7g、253mmol)を30分以内で加えた(注意:温度が30℃に上昇すると混合物を冷却しなければならない)。AlCl3の添加が終了すると、反応混合物を45−50℃で1.5時間撹拌し、次いで20℃まで冷却して氷(300g)と濃塩酸(180ml)の混合物中に注いだ。有機層を留去し、水層を15分加熱還流し、20℃まで冷却してEDC(4x150ml)で抽出した。回収した有機層を水(3x50ml)、10%NaHCO3(2x150ml)、水(1x150ml)、1M HCl(1x150ml)および水(2x150ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。減圧下で溶媒を除去すると、黄色結晶が得られ、これをEtOH(2100ml)から再結晶して黄色生成物(41.00g、62%)を得た。融点:104−106℃。元素分析:C15H14O2S2(290.41)として計算値;C62.04%,H4.86%,S22.08%、実測値:C61.86%,H4.78%,S22.06%。1H NMR(CDCl3):2.51s(3H,SCH3);2.54s(3H,SCH3);6.60−6.85m(2H,芳香族);7.26−7.66m(5H,芳香族);12.35s(1H,OH)。MS−EI:290(M+,100);275(20);243(30);228(10);167(40);151(30);124(50);105(10);77(10);57(10);45(10)。IR(CCl4):νCO1620cm-1OH3000cm-1
5.2.5−[3−メチルチオ−1−オキシ−5−(4メチ ルチオベンゾイル)フェニル]−吉草酸メチルエステル
水(600ml)中のアルミナ(90g、Fluka−Type504C、酸型)およびフッ化カリウム(二水物)(60g)の懸濁液を減圧下で蒸発乾固した。残渣を135−140℃で24時間乾燥して120gのKF/Al2O3を得た。
4,4'−ビス(メチルチオ)−2−ヒドロキシベンゾフェノン(50.54g、174mmol)を60℃でアセトニトリル(800ml)中に溶解した。溶液を25℃まで急冷してKF/Al2O3(127g)を一度に加えた。撹拌懸濁液にブロモ吉草酸メチル(32.4ml、226mmol)を90時間以内に分注して加え、撹拌を120時間続け、120時間後にはRP HPLC分析で反応が終了していることが示唆された(Vydac C−18カラム、75%MeOH、0.1%TFAのイソクラチック溶出、出発化合物のRf=16分、生成物のRf=7分)。懸濁液を濾過して、濾過物をアセトン(2x50ml)で洗浄し、濾液を減圧下に濃縮すると黄色生成物を得、これをさらに精製することなく次の段階に用いた。分析用サンプルの融点:61−63℃(EtOH)。Rf=0.45(石油エーテル:EtOAc−60:40)。元素分析:C21H24O4S2(404.55)として計算値;C62.35%,H5.98%,S15.85%、実測値;C62.20%,H6.02%,S15.62%。1H NMR(CDCl3):1.25−1.55m(4H,2xCH2);2.15t(2H,CH2COO,J3=7.5Hz);2.52s(3H,SCH3);2.53s(3H,SCH3);3.64s(3H,COOCH3);3.90t(2H,O4CH2,J3=5Hz);6.79d(1H,J4=1.5Hz,芳香族);6.88dd(1H,J3=8Hz,J4=1.5Hz,芳香族);7.18−7.25m(2H,芳香族);7.36d(1H,J3=8Hz,J4=1.5Hz,芳香族);7.64−7.71m(2H,芳香族)。EI−MS:404(M+,30);289(20);227(40);167(35);151(35);124(20);115(100);83(20);55(40)。
5.3.5−[3−メチルチオ−1−オキシ−5−(4−メ チルチオベンゾイル)フェニル]−吉草酸
上記で生成した粗製5−[3−メチルチオ−1−オキシ−5−(4−メチルチオベンゾイル)フェニル]−吉草酸メチルエステルをジオキサン(650ml)中に溶解し、この溶液に4M NaOH(131ml、522mmol)とメタノール(200ml)とを加えた。得られる透明溶液を室温で一夜撹拌し、次いで有機溶媒を減圧下で留去した。水溶液を酢酸エチル(EtOAc)(2x100ml)で抽出し、水層を30分間減圧下に置いて微量のEtOAcを除去した。20%H2SO4をゆっくり加える(pH2まで)ことにより生成物を沈殿させ、これを水で洗浄して減圧下にP2O5で乾燥すると、灰白色の粉末(50.18g、出発物4,4'−ビス(メチルチオ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンを基にして87%)を得た。分析用サンプルの融点:113−114℃(EtOH)。Rf=0.22(石油エーテル:EtOAc−60:40)。元素分析:C20H22O4S2(390.52)として計算値;C61.55%,H5.68%,S16.42%、実測値;C61.15%,H5.79%,S16.39%。EI−MS:390(M+,50);290(90);243(50);227(40);167(100);151(70);124(95);55(60)。
5.4.2−(カルボキシレートブチル−4−オキシ)−4 −(メチルチオ−4'−メチルチオベンゾフェノンオキシ
96%エタノール(240ml)中の5−[3−メチルチオ−1−オキシ−5−(4−メチルチオベンゾイル)フェニル]吉草酸(18.00g、46.1mmol)、無水酢酸ナトリウム(9.45g、115mmol)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(9.60g、138mmol)懸濁液を7時間加熱還流した。室温で一夜放置した後、混合物を濾過して減圧下で濃縮すると白色固体が得られ、これをさらに精製することなく次の工程に用いた。分析用サンプルの融点:166−170℃(EtOH、異性体混合物)。Rf=0.41(CHCl3:MeOH−10:1)。EI−MS:405(M+,2);387(25);300(45);288(100);242(30);227(20);168(30);151(40);124(10);55(35)。
5.5.[2−(カルボキシレートブチル−4−オキシ)− 4−(メチルチオ)フェニル−4'−メチルチオフェニ ル]メチルアミン4−トルエンスルホネート
上記のようにして生成した粗製2−(カルボキシレートブチル−4−オキシ)−4−メチルチオ−4'−メチルチオ−ベンゾフェノンオキシム(最低量46.1mmol)を、粉末亜鉛(18.37g、461mmol)、エタノール(80ml)および25%アンモニア(240ml)とともに500mlのシャンペン瓶に入れた。この懸濁液を50℃で48時間磁気撹拌した。濾過した後、濾過物を減圧下に濃縮して白色固体を得た。水(300ml)を加えた後、EtOH中の飽和トルエンスルホン酸(TsOH)溶液でpHを7に調整し、懸濁液を濾過した。灰白色の生成物を水で洗浄し、次いで約60℃でエタノール(300ml)中に懸濁した。この懸濁液にEtOH中の飽和TsOH溶液を滴下して混合物が透明な橙色溶液に変わるまで加えた。冷蔵庫に48時間放置するとピンク色の結晶が得られ、これを濾取して生成物1(18.2g、70%)を得た。融点:178−180℃分解)。Rf=0.58(n−BuOH:AcOH:H2O−80:20:20)。FAB−MS:392(m+1);375;275;227;137。元素分析:C27H33NO6S3(563.76)として計算値;C57.52%,H5.9%,N2.48%,S17.06%、実測値;C57.87%,H5.67%,N2.40%,S17.11%。
5.6.N−9−Fmoc{[2−(カルボキシレートブチル− 4−オキシ)−4−(メチルスルフィニル)フェニル] −4'−(メチルスルフィニル)フェニル}メチルアミン
[2−(カルボキシレートブチル−4−オキシ)−4−(メチルチオ)フェニル−4'−メチルチオフェニル]メチルアミン4−トルエンスルホネート(20.00g、35.5mmol)をメタノール(320ml)と水(160ml)との混合物中に懸濁した。懸濁液を溶液が透明になるまで加熱し、次いで20℃まで冷却し、水(140ml)中の過ヨウ素酸ナトリウム(15.18g、71mmol)溶液を1時間かけて滴下して加えた。さらに2時間撹拌を続けた。分離してくるヨウ化ナトリウムを濾過によって除去し、メタノールを減圧下に留去した。4M NaOHを加えて水溶液のpHを9に調整し、この溶液をアセトニトリル(200ml)と混合した。混合物を濾過して沈殿した無機塩を除去し、アセトニトリル(80ml)中のフルオレニルメチルオキシカルボニル−N−ヒドロキシスクシンイミデート(Fmoc−スクシンイミデート)(12.99g、38.5mmol)溶液を迅速に加えた。得られる均一溶液を、1M NaOHでpHを8.5−9に調整しながら25℃で撹拌した。2時間後にはもはやpHの変化が起こらなくなり、アセトニトリルを減圧下に除去した。残る水溶液を水(100ml)で希釈し、エーテル(4x50ml、廃棄)で抽出した。水層部分をクロロホルム(150ml)と混合し、水層のpHが2になるまで時々振盪しながら1M H2SO4を加えた。次いで水層をクロロホルム(4x50ml)で抽出した。有機層を集めて水(100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮すると油状物が得られ、これをメタノール(150ml)に溶解して冷蔵庫に一夜放置して、生成物を白色固体として得た。母液を濃縮し、酢酸エチル(50ml)を加えて、生成物の第2部分を得た。収率14.75g(65%)。融点:135−137℃。Rf=0.11(CHCl3:MeOH−9:1)。1H NMR(CDCl3):1.3−1.6m(4H,CH2);2.17t(2H,CH2COO,J=8Hz);2.75s(3H,SOCH3);2.76s(3H,SOCH3);3.8−4.05m(2H,OCH2);4.22t(1H,Fmoc−CH,J=8Hz);4.4−4.6m(2H,CH2−Fmoc);5.95d(1H,Ar2CH,J=9Hz);6.25d(1H,NH,J=9Hz);7.10−7.80m(15H,芳香族)。元素分析:C35H35NO7S2(645.8)として計算値;C68.10%,H5.46%,N2.17%,S9.93%、実測値;68.55%,H5.50%,N2.11%,S9.89%。
6.実施例:担体上へのハンドルの付着
ジメチルホルムアミド(10ml)中のN−Fmoc{[2−(カルボキシレートブチル−4−オキシ)−4−(メチルスルフィニル)フェニル]−4'−(メチルスルフィニル)フェニル}メチルアミン(245mg、0.38mmol)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(52mg、0.38mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(5mg、0.038mmol)およびN,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(50μl、0.38mmol)を、p−メチルベンズヒドリルアミン(pMBHA)樹脂(200mg、0.076mmol)(Peptides International,Louisville,KY)に加えて懸濁液を一夜振盪した。樹脂をジメチルホルムアミド(5x5ml)で洗浄してジメチルホルムアミド(10ml)中の酢酸(46μl、0.76mmol)およびN,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(119μl、0.76mmol)溶液と5時間反応させて残っている遊離のアミノ基をアセチル化した。ジメチルホルムアミド(5x5ml)、ジクロロメタン(5x5ml)およびメタノール(5x5ml)で洗浄した後、樹脂を減圧下で乾燥した。分光側光的に概算した置換度は0.34mmol/gであった。
7.実施例:ハンドルを用いるペプチドの製造
7.1.H−Phe−Pro−Gln−Thr−Ala−Ile−Gly−Val−Gl y−Ala−Pro−NH 2
上記のようにして製造した樹脂(132mg)を用いた。一般的合成法は以下の通りである:ハンドル上のFmoc保護基をピペリジン/ジメチルホルムアミド(1:1、v/v、1x3分、1x10分)で除去し、次いでジメチルホルムアミドで洗浄した。Boc保護基はトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン/アニソール(50:50:1、1x3分、1x25分)の混合物で除去し、次いでジクロロメタンで洗浄した。N−ヒドロキシベンゾトリアゾール活性エステルをすべての合成に用いた(10分、予備活性化)。Gly、ValおよびIleアミノ酸の場合にはBoc保護基を用いた。その他の場合には、Fmoc保護基を用いた。ブロモフェノールブルーでカップリングをモニターした(Krchnak et al.,1988,Collect.Czech.Chem.Commun.53:2542)。担体からの最終的開裂は1Mのトリメチルシリルブロミド/チオアニソール/トリフルオロ酢酸の混合物(2時間、0℃)を用いて行い、次いで水で希釈してジエチルエーテルで抽出した。粗ペプチドを95%の収率(43mg)で得て、これをセファデックスG25上で1M酢酸を溶出液として用いて精製した。調製用逆相HPLCを行って精製ペプチドを62%の収率(26.6mg)で得た。FAB−MS:1056(M+1)、942、871、814、715、658、545、474、391、245、217、120。アミノ酸分析:Thr(1.00),Gln(1.02),Pro(1.97),Gly(2.00),Ala(1.95),Val(0.97),Ile(0.94),Phe(1.01)。
7.2.Boc−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys(ClZ−Abu−O T Bu) −Pro−Leu−Gly−ハンドル−pMBHA樹脂
実施例6と同様にして製造したpMBHA樹脂(400mg、0.052mmol)を用いてC1−OXTを合成した。各カップリングの後、残っている遊離のアミノ基を酢酸/N−ヒドロキシベンゾトリアゾール/N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド/N−メチルイミダゾールの混合物でアセチル化した。用いた一般的合成法は上記8.1.で記載したものと同様である。用いたアミノ酸はすべてFmoc−誘導体であった。アミノ酸分析:Asp(0.98),Glu(1.00),Pro(0.94),Gly(1.13),Cyth(0.54),Ile(0.90),Leu(1.04),Tyr(0.75)。
Figure 0003634356
上記で製造したペプチジル樹脂(上記セクション7.2.)(100mg、0.012mmol)をジクロロメタン(3x5ml)で洗浄し、tert−ブチル保護基をトリフルオロ酢酸/ジクロロメタン/アニソールの混合物(50:50:1、1x3分、1x25分)で除去し、次いでジクロロメタン(5x5ml)で洗浄し、7%N,N'−ジイソイプロピルカルボジイミド/ジクロロメタンで中和し、ジクロロメタン(3x5ml)で洗浄し、最後にN,N−ジメチルホルムアミド(3x5ml)で洗浄した。環化はN−ヒドロキシベンゾトリアゾール/N,N'−ジイソイプロピルカルボジイミド/N,N−ジメチルホルムアミド混合物を用いて担体上で24時間かけて行い、環状の全てが保護されたペプチドを得た。最終的開裂は5%のm−クレゾールを含む1Mのトリメチルシリルブロミド/チオアニソール/トリフルオロ酢酸混合物を用いて行った(2時間、0℃)。ペプチドをジエチルエーテルで沈殿させ、濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、セファデックスg25(1M酢酸)上で精製して粗生成物10.6mg(89%)を得て、これを調製用RP−HPLC(Vydac C18)上で精製して精製C1−OXTを4.5mg(38%)得た。アミノ酸分析:Asp(0.99),Glu(1.00),Pro(0.95),Gly(0.99),Cyth(1.02),Ile(0.96),Leu(1.10),Tyr(0.93)。MS(FAB)=990(M+H)。
8.実施例:C 1 −OXT前駆体の2段階脱保護
上記で製造したペプチジル−樹脂(上記セクション7.2.)(100mg、0.012mmol)を25℃で1Mトリメチルシリルクロリド/トリフェニルホスフィン/テトラヒドロフランの混合物(2ml)で2時間処理した。次いで樹脂をジクロロメタン(5x5ml)で洗浄し、25℃、30分でペプチドをトリフルオロ酢酸/m−クレゾール混合物(95:5)(2.5ml)を用いて樹脂から開裂した。蒸発乾固した後、ペプチドをジエチルエーテルで沈殿させることにより粉末を得て、これをセファデックスG25(1M酢酸)上で精製し、次いで調製用RP−HPLC(Vydac C18)によって精製して精製H2N−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys(ClZ−Abu−OH)−Pro−Leu−Gly−NH2を6.5mg(43%)得た。アミノ酸分析:Asp(1.04),Glu(1.04),Pro(0.95),Gly(1.03),Cyth(0.94),Ile(0.88),Leu(1.11),Tyr(0.85)。MS(FAB)=1176(M+H)。
本発明は本明細書に記載する特定の態様にその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載するものに加えて本発明の各種修飾が上記の記載ならびに添付の図から当業者には明らかであろう。このような修飾は付属の請求の範囲に含まれる。
本明細書に引用する各種文献ならびにその記載は参照としてそのすべてを本明細書中に包含される。

Claims (11)

  1. 一般式(I):
    Figure 0003634356
    〔式中、aは1または2であり、X1は−SR1、−S(O)R1または−S(O)2R1であって、X1基は第1ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR1はC1−C10のアルキル基である;
    bは1−3であり、X2は−S(O)R2または−S(O)2R2であって、X2基は第2ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR2はC1−C10のアルキル基である;
    ZはOR3であって、第1ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR3はカルボキシル基を有するC1−C10のアルキル基であり、;
    cは0または1で、dは0または1であり、Y基は第1ベンゼン環においては、X1またはZによって占められていないオルトまたはパラ位にあり、第2ベンゼン環においては、X2によって占められていないオルトまたはパラ位にあり、YはOR4で、R4はC1−C10のアルキル基である;そして
    DはH、保護基またはNα−保護アシルアミンである〕
    で表されるペプチド合成用のハンドルであって、上記X1が−S(O)R1または−S(O)2R1、および上記X2が−S(O)R2または−S(O)2R2であるときに、FmocまたはtBoc基がアミンから酸で加水分解される条件下でも安定な、該ハンドル。
  2. 一般式(II):
    Figure 0003634356
    〔式中、ZはOR4で、R4はカルボキシル基を有するC1−C10のアルキル基であり;
    R1はC1−C10のアルキル基であり;
    それぞれのGは、−S−、−SO−および−SO2−から独立して選ばれ;
    そしてDはH、保護基またはNα−保護アシルアミンである〕
    で表されるペプチド合成用のハンドルであって、上記各GR1基が−S(O)R1または−S(O)2R1であるときに、FmocまたはtBoc基がアミンから酸で加水分解される条件下でも安定なハンドル。
  3. 請求項1または2記載のハンドルを結合した固相担体であって、該ハンドルが前記Z基のアルキル基についたカルボキシル基により該固相担体にカップリングしている、該固相担体。
  4. 前記固相担体が樹脂である、請求項3記載の固相担体。
  5. 次の工程;
    (a)式:
    Figure 0003634356
    〔式中、aは1で、X1はベンゼン環のカルボキシル基に対してオルトまたはパラ位にあり、あるいはaは2で、X1はオルトおよびパラ位にあり、X1はSR1で、R1はC1−C10のアルキル基である〕
    で示される安息香酸をチオニルクロライドで活性化し、ベンゾイルクロライドを得る工程;
    (b)工程(a)で製造した塩化ベンゾイルを
    一般式:
    Figure 0003634356
    〔式中、bは1−3で、X2は−SR2で、R2はC1−C10のアルキル基である〕
    で示される置換ベンゼンと反応させて、混合物を得る工程;
    (c)工程(b)の混合物を2モル当量のAlCl3で処理して、オルト−ヒドロキシベンゾフェノンを得る工程;
    (d)工程(c)で製造したオルト−ヒドロキシベンゾフェノンの−OH基をカルボキシル基を有するC 1 −C 10 アルキル基でアルキル化して、オルト−アルコキシベンゾフェノンを得る工程;
    (e)工程(d)で製造したオルト−アルコキシベンゾフェノンをヒドロキシルアミンと反応させてオキシムを得る工程;および
    (f)上記オキシムを還元して、
    一般式:
    Figure 0003634356
    〔式中、aは1または2であり、X1は−SR1、−S(O)R1または−S(O)2R1であって、X1基は第1ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR1はC1−C10のアルキル基である;
    bは1−3であり、X2は−SR2、−S(O)R2または−S(O)2R2であって、X2基は第2ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR2はC1−C10のアルキル基であり、R 3 はカルボキシル基を有するC 1 −C 10 のアルキ ル基である;そして
    DはH、保護基またはNα−保護アシルアミンである〕
    で示されるベンズヒドリルアミンを生成する工程;
    を含む、ペプチド合成用ハンドルの製造方法であって、該ハンドルが、上記X1が−S(O)R1または−S(O)2R1、および上記X2が−S(O)R2または−S(O)2R2であるときに、FmocまたはtBoc基がアミンから酸で加水分解される条件下でも安定なハンドルである、該方法。
  6. 次の工程:
    (g)水溶液中で約pH9において工程(f)のベンズヒドリルアミンを活性化FMOCと反応させる工程;
    をさらに含む、請求項5記載の方法。
  7. 請求項1または2記載のハンドルを、前記Zのアルキル基についたカルボキシル基により樹脂に結合させる工程を含む、ペプチド合成用樹脂の製造方法。
  8. 樹脂−ハンドル複合体の−SR1または−SR2基を酸化する工程をさらに含む、請求項7記載の方法。
  9. 次の工程を含む、ペプチド合成方法:
    (a)請求項1または2記載のハンドルを酸化し、保護基ならびにSR1とSR2基を有するハンドルを、保護基ならびに−S(O)R1と−S(O)R2基または−S(O)2R1と−S(O)2R2基を有するハンドルとする工程;
    (b)工程(a)のハンドルから保護基を除去し、脱保護されたハンドルを得る工程;
    (c)上記脱保護されたハンドルに活性化アミノ酸をカップリングさせ、ハンドル−アミノ酸複合体を得る工程;
    (d)上記ハンドル−アミノ酸複合体を少なくとも1の活性化アミノ酸をカップリングさせ、ハンドル−ペプチド複合体を得る工程;
    (e)上記ハンドル−ペプチド複合体の−S(O)R1と−S(O)R2基または−S(O)2R1と−S(O)2R2基を還元する工程;および
    (f)ペプチドをハンドルから開裂、および脱保護する工程。
  10. ペプチドを脱保護する工程が還元工程(e)に先行する、請求項9記載の方法。
  11. 次の工程;
    (a)式:
    Figure 0003634356
    〔式中、aは1または2で、X1のいずれかあるいは両方はベンゼン環のカルボキシル基に対してオルト位にあり、X1はSR1で、R1はC1−C10のアルキル基である〕
    で示される安息香酸をチオニルクロライドで活性化し、ベンゾイルクロライドを得る工程;
    (b)工程(a)で製造した塩化ベンゾイルを
    一般式:
    Figure 0003634356
    〔式中、bは1−3で、X2は−SR2で、R2はC1−C10のアルキル基である〕
    で示される置換ベンゼンと反応させて、混合物を得る工程;
    (c)工程(b)の混合物を2モル当量のAlCl3で処理して、パラ−ヒドロキシベンゾフェノンを得る工程;
    (d)工程(c)で製造したパラ−ヒドロキシベンゾフェノンの−OH基をカルボキシル基を有するC 1 −C 10 のア ルキル基でアルキル化して、パラ−アルコキシベンゾフェノンを得る工程;
    (e)工程(d)で製造したパラ−アルコキシベンゾフェノンをヒドロキシルアミンと反応させてオキシムを得る工程;および
    (f)上記オキシムを還元して、
    一般式:
    Figure 0003634356
    〔式中、aは1または2であり、X1は−SR1、S(O)R1または−S(O)2R1であって、X1基は第1ベンゼン環のオルト位にあり、そしてR1はC1−C10のアルキル基である;
    bは1−3であり、X2は−SR2、−S(O)R2または−S(O)2R2であって、X2基は第2ベンゼン環のオルトまたはパラ位にあり、そしてR2はC1−C10のアルキル基であり、R 3 はカルボキシル基を有するC 1 −C 10 のアルキ ル基である;そして
    DはH、保護基またはNα−保護アシルアミンである〕
    で示されるベンズヒドリルアミンを生成する工程;
    を含む、ペプチド合成用ハンドルの製造方法であって、該ハンドルが、上記X1が−S(O)R1または−S(O)2R1、および上記X2が−S(O)R2または−S(O)2R2であるときに、FmocまたはtBoc基がアミンから酸で加水分解される条件下でも安定なハンドルである、該方法。
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