JP3634011B2 - 可撓導体付導電部品の製造方法及び可撓導体の製造装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、例えば、配線用遮断器における可動接触子と回路導体の間、あるいは熱動引外し装置と端子金具の間を接続する可撓導体付導電部品の製造方法及び可撓導体の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は、例えば実開昭63−20344号公報に示された回路遮断器の可動接触子1と中間導体2を可撓導体30で接続して構成された可撓導体付導電部品300を示す正面図である。この可撓導体付導電部品300は、可撓導電組線3で形成された可撓導体30に対し、可動接触子1及び中間導体2がろう溶接またはスポット溶接により接合されたものである。一般に、可撓導体付導電部品300は銅系の金属材で構成されるので、可動接触子1及び中間導体2のような導電部品の接合は、一般にろう溶接によってなされる。このろう溶接においては、可撓導体30を形成する可撓導電組線3のほつれ、あるいは、毛細管現象によるろう材の浸透などの防止対策が必要になる。その防止対策としては、図12に示すように、予め可撓導電組線3の両端のろう溶接部を抵抗溶接機により加圧通電して押し固め部3aを形成することにより可撓導電組線3のほつれを防止する。そして、この押し固め部3aと導電部品(例えば可動接触子1)の間にろう材片5をはさんで、溶着用抵抗溶接機の電極6で加圧通電することによりろう材片5を溶かして、ろう材の浸透を生じさせることなく可撓導体30と導電部品のろう溶接がなされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の可撓導体付導電部品300では、可撓導電組線3のほつれや毛細管現象によるろう材の浸透が防止できたとしても、溶着用抵抗溶接機の電極6で加圧通電する毎にろう材片5の供給が必要であり、ろう溶接の作業性が悪かった。また、溶着用抵抗溶接機の電極6で加圧通電する際、ろう材片5の載置位置がずれて押し固め部3aから外れた場合、溶けたろう材が可撓導体30を形成する可撓導電組線3に浸透することがあった。この場合、ろう溶接が不完全になるばかりでなく、可撓導体30の可撓部がろう材により固化して可撓性が低下し、繰り返し使用時に可撓導体30の切断原因になっていた。
さらに、ろう溶接作業を自動化するにあたっては、フラックスをろう溶接部に塗布し、その上にろう材片5を供給しなければならず、自動機械の構成が複雑になるなどの問題点があった。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、第1の目的は、可撓導体30と導電部品のろう溶接が完全で作業性も優れた可撓導体付導電部品300の製造方法を得るものである。
また、第2の目的は、簡素な構成の自動機械でありながら、上記の可撓導体付導電部品300の製造方法に適切に対応できる可撓導体30を製造するための可撓導体の製造装置を得るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る可撓導体付導電部品の製造方法は、可撓導電組線の所定間隔隔てた複数箇所に電極にろう材片が載置された抵抗溶接機により上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置に上記抵抗溶接機によりスポット溶接用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部、及びスポット溶接用押し固め部の中央部を切断して、一端にろう付け用押し固め部、他端にスポット溶接用押し固め部を有する可撓導体を形成する工程と、上記可撓導体のろう付け用押し固め部を導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着すると共に、上記可撓導体のスポット溶接用押し固め部を別の導電部品にスポット溶接して可撓導体付導電部品を構成する工程とを含むものである。
【0006】
また、可撓導電組線の所定間隔隔てた複数箇所に電極にろう材片が載置された抵抗溶接機により上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置に上記抵抗溶接機によりスポット溶接用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部の中央部を切断して、両端にろう付け用押し固め部を有し、中央部にスポット溶接用押し固め部を有する可撓導体を形成する工程と、上記可撓導体の中央部のスポット溶接用押し固め部を導電部品にスポット溶接し、上記可撓導体の両端のろう付け用押し固め部を別の導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着して可撓導体付導電部品を構成する工程とを含むものである。
【0007】
さらに、可撓導電組線の所定間隔隔てた複数箇所に電極にろう材片が載置された抵抗溶接機により上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置に上記抵抗溶接機によりスポット溶接用押し固め部を形成する工程と、上記スポット溶接用押し固め部の中央部を切断して、両端にスポット溶接用押し固め部を有し、中央部にろう付け用押し固め部を有する可撓導体を形成する工程と、上記可撓導体の中央部のろう付け用押し固め部を導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着し、上記可撓導体の両端のスポット溶接用押し固め部を別の導電部品にスポット溶接して可撓導体付導電部品を構成する工程とを含むものである。
【0008】
また、上記それぞれの製造方法において、ろう付け用押し固め部の長さに対してろう材片の長さを1/2〜3/4にしたものである。
【0009】
さらに、この発明に係る可撓導体の製造装置は、請求項1の製造方法により可撓導体を製造する製造装置において、加圧通電用の一対の電極を有する抵抗溶接機と、上記抵抗溶接機の一対の電極の内、一方の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、上記一対の電極の間に、所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、上記ろう材片に上記可撓導電組線を重ね合わせて上記電極により加圧通電し、上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成すると共に、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置にスポット溶接用押し固め部を形成するように上記抵抗溶接機を制御する装置と、上記ろう付け用押し固め部及び上記スポット溶接用押し固め部の中央部を切断する切断装置とを備えたものである。
【0010】
さらにまた、請求項2の製造方法により可撓導体を製造する製造装置において、加圧通電用の一対の電極を有する抵抗溶接機と、上記抵抗溶接機の一対の電極の内、一方の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、上記一対の電極の間に、所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、上記ろう材片に上記可撓導電組線を重ね合わせて上記電極により加圧通電し、上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成すると共に、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置にスポット溶接用押し固め部を形成するように上記抵抗溶接機を制御する装置と、上記ろう付け用押し固め部の中央部を切断する切断装置とを備えたものである。
【0011】
また、請求項3の製造方法により可撓導体を製造する製造装置において、加圧通電用の一対の電極を有する抵抗溶接機と、上記抵抗溶接機の一対の電極の内、一方の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、上記一対の電極の間に、所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、上記ろう材片に上記可撓導電組線を重ね合わせて上記電極により加圧通電し、上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成すると共に、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置にスポット溶接用押し固め部を形成するように上記抵抗溶接機を制御する装置と、上記スポット溶接用押し固め部の中央部を切断する切断装置とを備えたものである。
【0012】
さらに、可撓導体の製造装置において、加圧通電用の一対の電極の間に出し入れできるようになされた中間電極を設け、この中間電極を出しているとき、ろう材片供給手段により、中間電極上にろう材片を供給するようにしたものである。
【0013】
さらにまた、可撓導体の製造装置において、加圧通電用の一対の電極の間に所定の順序で出し入れされる複数の中間電極を設け、ろう材片を供給しながら、ろう付け用押し固め部が形成されるようにしたものである。
【0014】
また、可撓導体の製造装置において、切断装置の切断位置において、切断された可撓導体を把持し、かつ、導電部品溶着用の抵抗溶接機に移送するように構成された移送装置を備えたものである。
【0015】
【作用】
上記のように構成された可撓導体付導電部品の製造方法においては、可撓導電組線の所定位置にろう材片に重ね合わせて、抵抗溶接機により加圧通電してろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部とスポット溶接用押し固め部を形成し、このろう付け用押し固め部及びスポット溶接用押し固め部に導電部品を重ね合わせて溶着用抵抗溶接機で溶着するようにしたので、各押し固め部が、可撓導電組線のほつれ、及び、ろう材の浸透を防止するように働く。
【0016】
また、可撓導体の製造装置においては、抵抗溶接機の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、電極の間に所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、ろう材片に可撓導電組線を重ね合わせて加圧通電し、ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部が形成されるように抵抗溶接機を制御する装置と、可撓導電組線の上記ろう付け用押し固め部を切断する切断装置とを備えて構成したので、簡素な構成の自動機械となり、抵抗溶接機の電極上にろう材片を供給する手段が、上記の可撓導体付導電部品の製造方法に適切に対応できる可撓導体を製造するように働く。
【0017】
【実施例】
実施例1.
図1はこの発明の一実施例である可撓導体付導電部品の製造方法の工程を示すもので、次に示す工程から構成されている。
(イ)第1工程・・・図1(a)参照
抵抗溶接機10(本体は図示せず)において、下部電極10bの上にろう材片5を載置した状態で、上部電極10aと下部電極10bとの間に可撓導電組線3を供給する。
(ロ)第2工程・・・図1(b)参照
抵抗溶接機10の上部電極10aと下部電極10bとの間に、可撓導電組線3とろう材片5とを重ね合わせて、矢印方向に加圧した状態で通電する。
(ハ)第3工程・・・図1(c)参照
両電極10a,10bを矢印方向に開離すると、ろう材片5が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部3aが形成されている。
(ニ)第4工程・・・図1(d)参照
ろう材片5が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部3aの中央部を、切断装置11により切断して、両端にろう付け用押し固め部3aを有する可撓導体30を形成する
(ホ)第5工程・・・図1(e)参照
可撓導体30のろう付け用押し固め部3aに導電部品1,2を重ね合わせて、溶着用抵抗溶接機で加圧通電することにより、可撓導体30に導電部品1,2(例えば可動接触子1と中間導体2)を溶着して可撓導体付導電部品300を構成する。
【0018】
上記の工程において、ろう材片5の仮溶着とは、ろう付け用押し固め部3aが形成されるとき、ろう材片5がろう付け用押し固め部3aの内部に若干浸透するが、相当量がろう付け用押し固め部3aの表面に残った状態をいう。即ち、抵抗溶接機10による加圧通電を適当に制御すれば、ろう材片5が表面に残った状態のろう付け用押し固め部3aが得られる。なお、表面に残るろう材片5の量は、第5工程において導電部品1または2を溶着することができる程度の量とする。
上記のような可撓導体付導電部品の製造方法によれば、ろう材片5が常に正しい位置で可撓導体30と導電部品1,2が溶着されるので、可撓導電組線3のほつれ、及び、ろう材の浸透が防止される。
【0019】
実施例2.
図2(a)及び(b)は可撓導体付導電部品300の製造方法の他の実施例を示すものである。即ち、図2(a)は上記実施例1の第3工程で加工された可撓導電組線3のろう付け用押し固め部3aの中央部を、第4工程の切断装置11により1か所おきに切断したもので、中央部及び両端にろう材片5が仮溶着されたろう付け用押し固め部3aを有する可撓導体30が形成されている。図2(b)は、上記実施例1の第5工程に相当する加工を示すもので、上記可撓導体30の両端を第1の導電部品1(例えば可動接触子1)に溶着し、上記可撓導体30の中央部に第2の導電部品2(例えば中間導体2)を溶着して可撓導体付導電部品300を構成するものである。
【0020】
この実施例2は、大電流用の可撓導体付導電部品300を構成するもので、可撓導体30の製造に際し、実施例1と同じサイズの可撓導電組線3を用いて可撓導体30を形成できる。また、同一の可撓導体30を2本用いる構成に比較して、溶着箇所が少なく溶着作業が容易になる。
なお、図2(b)の実施例においては、可撓導体30の両端を可動接触子1に溶着し、中央部に中間導体2を溶着して可撓導体付導電部品300を構成したものを示しているが、可撓導体30の両端を中間導体2に溶着し、中央部に可動接触子1を溶着して可撓導体付導電部品300を構成することも可能である。
【0021】
実施例3.
図3(a)及び(b)は、この発明の実施例3に関する可撓導体付導電部品300の製造方法を示すものである。即ち、図3(a)の可撓導体30は、上記実施例1の第2工程及び第3工程で加工形成されるろう付け用押し固め部3aに対応する部分を、1か所おきに抵抗溶接機により加圧通電してスポット溶接用押し固め部3bに形成したものである。つまり、ろう材片5が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部3aと、ろう材片5を重ね合わせしないで可撓導電組線3だけを押し固めたスポット溶接用押し固め部3bとを交互に形成したものである。なお、スポット溶接用押し固め部3bは、ろう付け用押し固め部3aから所定寸法で隣接するように位置決めされている。上記のように、ろう付け用押し固め部3aとスポット溶接用押し固め部3bとを交互に形成した後、それぞれの押し固め部3a,3bの中央部を切断して、図3(a)に示すように、一端に上記ろう付け用押し固め部3aを有し、他端に上記スポット溶接用押し固め部3bを有する可撓導体30が形成される。
【0022】
図3(b)は、上記実施例1の第5工程に相当する加工を示すもので、上記可撓導体30のろう付け用押し固め部3aを第1の導電部品1(例えば可動接触子1)に溶着する。スポット溶接用押し固め部3bは第2の導電部品2(例えば中間導体2)にスポット溶接する。この場合、第2の導電部品2は、板厚が比較的薄く、錫めっきを施した部品であれば、錫めっき膜の電気抵抗を利用することによりスポット溶接が可能であるため、このような部品を使用する場合にはろう材片5を用いることなく、短時間で加工できるスポット溶接により接合できる。
上記のようにして図3(b)に示すように、ろう溶着とスポット溶接により導電部品が接合された可撓導体付導電部品300が形成される。
【0023】
実施例4.
図4(a)及び(b)は、この発明の実施例4に関する可撓導体付導電部品300の製造方法を示すもので、前記実施例2と同様に大電流用の可撓導体付導電部品300を構成するものである。この場合、実施例2における、中央部及び両端に形成されたろう付け用押し固め部3aのいずれか一方を、上記実施例3におけるスポット溶接用押し固め部3bと同様のスポット溶接用押し固め部3bにしたものである。従って、第1の導電部品1(例えば可動接触子1)と第2の導電部品2(例えば中間導体2)のいずれか一方は、ろう材片5を用いることなく、短時間で加工できるスポット溶接により接合された可撓導体付導電部品300が形成される。
【0024】
実施例5.
図5(a)及び(b)は、この発明の実施例5に関する可撓導体付導電部品300の製造方法を示すもので、前記実施例1ないし4におけるろう付け用押し固め部3aに関するものである。即ち、図5(a)に示すように、ろう付け用押し固め部3aの長さ寸法Aに対して、ろう材片5の長さ寸法aを1/2〜3/4にしたものである。図5(b)は、上記のように、ろう材片5の長さ寸法aを短くしたろう付け用押し固め部3aの中央部を切断して形成した可撓導体30に、導電部品2を溶着して可撓導体付導電部品300を形成したものである。この実施例によれば、ろう材が未固め部に重ならないので可撓導電組線3に浸透することがなくなり、また切断後のいずれかの側に必ずろう材が仮溶接される。従って可撓導電組線3に浸透することがないので、可撓導電組線3の可撓性が失われることがなく、従って、繰り返し使用時における可撓導体30の切断原因が殆ど解消される。
【0025】
実施例6.
図6は、この発明の実施例6に関する可撓導体の製造装置を示すものである。図において、10は抵抗溶接機であり、上部電極10a、下部電極10bを有し、両電極10a,10bの間で可撓導電組線3に加圧通電してろう付け用押し固め部3aまたはスポット溶接用押し固め部3bを形成するものである。15はボビンであり、可撓導電組線3が巻回されている。16は定寸送り部であり、両電極10a,10bの間を通した可撓導電組線3の一端をクランパ16aで把持し、所定寸法づつ矢印方向に間欠的に搬送する。17は可撓導電組線送り装置であり、送りローラ部17aと複数の補助ローラ17bにより所定の張力を加えながら可撓導電組線3を送り出す。この送出のタイミングに合わせて、抵抗溶接機10の下部電極10bの上面に、ろう材片5を手作業またはろう材片供給装置(図示せず)により供給する。
【0026】
上記のように、下部電極10bの上面にろう材片5が載置され、両電極10a,10bの間に送出された可撓導電組線3とろう材片5とを重ね合わせた状態で両電極10a,10bを閉じて加圧通電する。この場合、加圧する圧力値、及び、通電する電流値は、あらかじめ実験的に求めた値で行うように抵抗溶接機10の内部の制御装置(図示せず)で制御する。
上記のように加圧通電することにより、可撓導電組線3の細い銅線間の接触抵抗によるジュール熱が発生して銅線間が溶着して固まる。このとき、可撓導電組線3とろう材片5との接触抵抗によるジュール熱で、可撓導電組線3とろう材片5が可撓導電組線3に仮溶着され、ろう付け用押し固め部3aが形成される。この場合の仮溶着とは、ろう材片5がろう付け用押し固め部3aの内部に若干浸透するが、相当量がろう付け用押し固め部3aの表面に残った状態をいう。即ち、抵抗溶接機10による加圧通電を適当に制御すれば、ろう材片5が表面に残った状態のろう付け用押し固め部3aが得られる。なお、表面に残るろう材片5の量は、第5工程において導電部品1または2を溶着することができる程度の量とする。スポット溶接用押し固め部3bはろう材片5が無いので、上記のように加圧通電により簡単に形成できる。
【0027】
11は切断装置であり、固定刃11aと可動刃11bにより、可撓導電組線3のろう付け用押し固め部3aの中央部、またはスポット溶接用押し固め部3bの中央部を切断する。この切断により、可撓導電組線3の両端にろう付け用押し固め部3aが形成された可撓導体30、あるいは、可撓導電組線3の一方にろう付け用押し固め部3aが形成され、他方にスポット溶接用押し固め部3bが形成された可撓導体30が完成する。
【0028】
このように構成された可撓導体の製造装置においては、ろう材片5が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部3a、またはスポット溶接用押し固め部3bを形成し、ろう付け用押し固め部3aの中央部、またはスポット溶接用押し固め部3bの中央部を切断する一連の作業ができるので、可撓導体の製造装置として自動化が容易である。
【0029】
実施例7.
図7は、この発明の実施例7に関する可撓導体の製造装置を示すものである。図において、20は抵抗溶接機10の上部電極10aと下部電極10bの間に出し入れできるように構成された中間電極である。即ち、20aは電極棒、20bは移動台であり、電極棒20aは移動台20bを貫通し、かつ、上下方向に摺動できるように保持されている。20cは所定の状態に保持するための押しばねである。上記電極棒20aは、図8に示すように、移動台20bの移動により両電極10a,10bの間に出し入れできる。他の部分は前記実施例6における可撓導体の製造装置と同様の構成になされている。
【0030】
上記構成の製造装置でろう付け用押し固め部3aを形成する場合は、中間電極20の電極棒20aの上にろう材片5を供給し、両電極10a,10bの間に中間電極20を移動する。次ぎに、可撓導電組線3を搬送し、可撓導電組線3とろう材片5とを重ね合わせた状態で両電極10a,10bを閉じて加圧通電して、ろう付け用押し固め部3aを形成する。ろう材片5を供給しない場合は、両電極10a,10bを閉じて加圧通電することにより、スポット溶接用押し固め部3b(図示せず)を形成することもできる。この製造装置によれば、ろう材片5の供給に都合の良い場所に中間電極20を移動し、ろう材片5を供給して両電極10a,10bを閉じて加圧通電するようになされているので、ろう材片5の供給が容易で、製造装置の自動化にも適する。
【0031】
実施例8.
図9は、この発明の実施例8に関する可撓導体の製造装置を示すものである。図において、21は抵抗溶接機10の上部電極10aと下部電極10bの間に出し入れできるように構成されたた中間電極である。この場合、21aは第1の中間電極棒、21bは第2の中間電極棒、21cは回転移動台であり、回転装置21dにより所定の回転角度に回転するように構成されている。第1の電極棒21a及び第2の電極棒21bは、回転装置21dを中心にして互いに対向する位置になるように回転移動台21cに保持されている。なお、この保持は、回転移動台21cを貫通し、かつ、上下方向に摺動できるように保持されている。21eは第1の中間電極棒21a及び第2の中間電極棒21bを所定の状態に保持するための押しばねである。そして、回転装置21dの回転により、第1の中間電極棒21a及び第2の中間電極棒21bは、交互に両電極10a,10bの間に移動するように構成されている。
【0032】
22はろう材片5の自動搬送装置で、上下に動く昇降アクチュエータ22aと、左右に動く搬送アクチュエータ22bとを有し、第1の中間電極棒21a及び第2の中間電極棒21bの内、両電極10a,10bの外に移動されている中間電極棒にろう材片5を自動供給する。この構成の可撓導体の製造装置によれば、一方の中間電極棒21aまたは21bを両電極10a,10bの間に移動し、両電極10a,10bにより加圧通電して、ろう付け用押し固め部3aまたはスポット溶接用押し固め部3bを形成することができる。
【0033】
この製造装置によれば、一方の中間電極棒例えば21aの中間電極棒を両電極10a,10bの間に移動して加圧通電している間に、他方の中間電極棒例えば21bの中間電極棒にろう材片5を供給する。そして、加圧通電が終了すれば、回転装置21dを回転させて、両電極10a,10bの間の中間電極棒を入替えて次の加圧通電が行われる。この実施例によれば、連続してろう付け用押し固め部3aまたはスポット溶接用押し固め部3bを形成する作業を行うことができるので、作業のサイクルタイムを短縮することができる。
【0034】
実施例9.
図10は、この発明の実施例9に関する可撓導体の製造装置を示すものである。図において、10は加圧通電用の上部電極10a及び下部電極10bを有する抵抗溶接機、11は固定刃11aと可動刃11bを有する切断装置、23はマニュプレータであり、切断装置11で切断して形成された可撓導体30を、所定の場所に移送するものである。即ち、切断装置11で切断して形成された可撓導体30は、一端に第1の導電部品1(例えば可動接触子1)を、他端に第2の導電部品2(例えば中間導体2)を溶着して可撓導体付導電部品が形成されるので、その溶着を行う溶着用抵抗溶接機に可撓導体30を移送するものである。
前記実施例6ないし実施例8による可撓導体の製造装置にこのマニュプレータ23を設置すれば、更に生産性が高い自動製造装置になる。
【0035】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0036】
実施例1ないし実施例5に示された可撓導体付導電部品の製造方法においては、可撓導電組線の所定位置にろう材片を重ね合わせて、抵抗溶接機により加圧通電してろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成し、このろう付け用押し固め部を導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着するようにしたので、常時正常なろう付け溶着がなされる。従って、可撓導電組線のほつれ、及び、可撓導電組線に対するろう材の浸透が防止され、耐久性も優れた可撓導体付導電部品が得られる。
【0037】
実施例6ないし実施例9に示された可撓導体の製造装置においては、抵抗溶接機の電極上にろう材片を供給するろう材片供給手段と、電極の間に所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送手段と、ろう材片に可撓導電組線を重ね合わせて加圧通電し、ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部が形成されるように抵抗溶接機を制御する手段と、可撓導電組線の上記ろう付け用押し固め部を切断する切断装置とを備えて構成したので、簡素な構成で生産性が高い自動機械となり、特に、抵抗溶接機の電極上にろう材片を供給する手段が、上記の可撓導体付導電部品の製造方法に適切に対応できる製造装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例である可撓導体付導電部品の製造方法を示す製造工程図である。
【図2】実施例2の製造方法を説明するための部品図である。
【図3】実施例3の製造方法を説明するための部品図である。
【図4】実施例4の製造方法を説明するための部品図である。
【図5】実施例5の製造方法を説明するための部品図である。
【図6】この発明の一実施例である可撓導体の製造装置を示す構成図である。
【図7】実施例7の製造装置の要部を示す構成図である。
【図8】実施例7の製造装置の要部の動作を示す説明図である。
【図9】実施例8の製造装置の要部を示す構成図である。
【図10】実施例8の製造装置の要部を示す構成図である。
【図11】従来の可撓導体付導電部品を示す部品図である。
【図12】従来の可撓導体付導電部品の製造方法を説明するための分解斜視図である。
【符号の説明】
1 第1の導電部品、2 第2の導電部品、3 可撓導電組線、
3a ろう付け用押し固め部、5 ろう材片、10 抵抗溶接機、
10a 上部電極、10b 下部電極、11 切断装置、16 定寸送り部、
17 可撓導電組線送り装置、20 中間電極、30 可撓導体、
300 可撓導体付き導電部品。
Claims (10)
- 可撓導電組線の所定間隔隔てた複数箇所に電極にろう材片が載置された抵抗溶接機により上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置に上記抵抗溶接機によりスポット溶接用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部、及びスポット溶接用押し固め部の中央部を切断して、一端にろう付け用押し固め部、他端にスポット溶接用押し固め部を有する可撓導体を形成する工程と、上記可撓導体のろう付け用押し固め部を導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着すると共に、上記可撓導体のスポット溶接用押し固め部を別の導電部品にスポット溶接して可撓導体付導電部品を構成する工程とを含むことを特徴とする可撓導体付導電部品の製造方法。
- 可撓導電組線の所定間隔隔てた複数箇所に電極にろう材片が載置された抵抗溶接機により上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置に上記抵抗溶接機によりスポット溶接用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部の中央部を切断して、両端にろう付け用押し固め部を有し、中央部にスポット溶接用押し固め部を有する可撓導体を形成する工程と、上記可撓導体の中央部のスポット溶接用押し固め部を導電部品にスポット溶接し、上記可撓導体の両端のろう付け用押し固め部を別の導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着して可撓導体付導電部品を構成する工程とを含むことを特徴とする可撓導体付導電部品の製造方法。
- 可撓導電組線の所定間隔隔てた複数箇所に電極にろう材片が載置された抵抗溶接機により上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成する工程と、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置に上記抵抗溶接機によりスポット溶接用押し固め部を形成する工程と、上記スポット溶接用押し固め部の中央部を切断して、両端にスポット溶接用押し固め部を有し、中央部にろう付け用押し固め部を有する可撓導体を形成する工程と、上記可撓導体の中央部のろう付け用押し固め部を導電部品に溶着用抵抗溶接機で溶着し、上記可撓導体の両端のスポット溶接用押し固め部を別の導電部品にスポット溶接して可撓導体付導電部品を構成する工程とを含むことを特徴とする可撓導体付導電部品の製造方法。
- ろう付け用押し固め部の長さに対してろう材片の長さを1/2〜3/4にしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項記載の可撓導体付導電部品の製造方法。
- 請求項1の製造方法により可撓導体を製造する製造装置において、加圧通電用の一対の電極を有する抵抗溶接機と、上記抵抗溶接機の一対の電極の内、一方の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、上記一対の電極の間に、所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、上記ろう材片に上記可撓導電組線を重ね合わせて上記電極により加圧通電し、上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成すると共に、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置にスポット溶接用押し固め部を形成するように上記抵抗溶接機を制御する装置と、上記ろう付け用押し固め部及び上記スポット溶接用押し固め部の中央部を切断する切断装置とを備えたことを特徴とする可撓導体の製造装置。
- 請求項2の製造方法により可撓導体を製造する製造装置において、加圧通電用の一対の電極を有する抵抗溶接機と、上記抵抗溶接機の一対の電極の内、一方の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、上記一対の電極の間に、所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、上記ろう材片に上記可撓導電組線を重ね合わせて上記電極により加圧通電し、上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成すると共に、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置にスポット溶接用押し固め部を形成するように上記抵抗溶接機を制御する装置と、上記ろう付け用押し固め部の中央部を切断する切断装置とを備えたことを特徴とする可撓導体の製造装置。
- 請求項3の製造方法により可撓導体を製造する製造装置において、加圧通電用の一対の電極を有する抵抗溶接機と、上記抵抗溶接機の一対の電極の内、一方の電極上にろう材片を供給するろう材片供給装置と、上記一対の電極の間に、所定の張力を付与した可撓導電組線を所定寸法毎に間欠的に搬送する搬送装置と、上記ろう材片に上記可撓導電組線を重ね合わせて上記電極により加圧通電し、上記ろう材片が仮溶着された状態のろう付け用押し固め部を形成すると共に、上記ろう付け用押し固め部間の所定位置にスポット溶接用押し固め部を形成するように上記抵抗溶接機を制御する装置と、上記スポット溶接用押し固め部の中央部を切断する切断装置とを備えたことを特徴とする可撓導体の製造装置。
- 加圧通電用の一対の電極の間に出し入れできるようになされた中間電極を設け、上記中間電極を出しているとき、ろう材片供給装置により、上記中間電極上にろう材片を供給するようにしたことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項記載
の可撓導体の製造装置。 - 加圧通電用の一対の電極の間に所定の順序で出し入れされる複数の中間電極を設け、任意の中間電極にろう材片を供給しながら、別の中間電極によってろう付け用押し固め部が形成されるようにしたことを特徴とする請求項8記載の可撓導体の製造装置。
- 切断装置の切断位置において、切断された可撓導体を把持し、かつ導電部品溶着用の抵抗溶接機に移送するように構成された移送装置を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項9のいずれか一項記載の可撓導体の製造装置。
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