JP3633780B2 - 車両用シート空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートへ空調空気を供給する車両用シート空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、実開昭59−164552号公報に記載された「車両用空調シート」がある。この空調シートは、シート内部にエアチャンバを具備し、フロントA/Cよりシート用ダクトを通ってエアチャンバに供給された空調風をシート表面より吹き出すように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来技術では、フロントA/Cで暖房を開始するまで(フロントA/Cのブロワにより送風を開始するまで)シート空調を行うことができないため、即効暖房感が得られない。そこで、即効性を得るために電気ヒータを使用することが考えられるが、シートヒータとして所望の暖房感が得られるまで即効性を上げようとすると、高能力の電気ヒータが必要となる。この場合、コストが高くなるとともに、車両側の発電能力(オルタネータの能力)の点で問題が生じる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、低能力の電気ヒータでも即効暖房感が得られる車両用シート空調装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
空調装置にてヒータコアの熱源であるエンジン冷却水の温度が所定温度に達するまで車室内への送風を停止している状態であっても、エンジン冷却水の温度が予め設定された設定温度以上の時は、シート用送風機と電気ヒータを作動させることにより、ヒータコアを通過した空気をシート用ダクト内に吸い込み、電気ヒータで加熱させてシートへ送風することができる。この場合、エンジン冷却水の温度が所定温度より低くても、ヒータコアをある程度暖めることが可能な設定温度(例えば15〜20℃)以上であれば、ヒータコアを通過した空気を電気ヒータで加熱することにより、十分に暖房可能な温風を得ることができる。これにより、空調装置にて送風停止状態であっても、電気ヒータで加熱された温風をシートへ供給することにより即効暖房感を得ることができる。
【0005】
(請求項2の手段)
エンジン冷却水の温度が所定温度より高い第2の所定温度まで上昇した時点で電気ヒータを停止することにより、シート温度の過熱を防止でき、且つ無駄な消費電力を無くすことができる。なお、第2の所定温度とは、ヒータコアで加熱された温風を電気ヒータで加熱することなく、シートへ供給して十分な暖房感が得られる時の温度(例えば70℃前後)である。
【0006】
(請求項3の手段)
シート用ダクトは、空調装置から後席乗員の足元へ温風を供給するリヤフットダクトと、このリヤフットダクトからシートまで空気を導くシート用分岐ダクトによって構成されている。この場合、既存のリヤフットダクトを利用できるため、空調装置からシートまでの全体を専用のシート用ダクトとして設ける必要がないため、装置全体を簡単に構成でき、コストを低く抑えることが可能である。
【0007】
(請求項4の手段)
リヤフットダクトの吹出口を開閉する開閉ドアを具備し、電気ヒータを作動させている間は、開閉ドアにより吹出口を閉じている。シート用ダクトとして既存のリヤフットダクトを利用している場合、開閉ドアによってリヤフットダクトの吹出口を閉じることにより、シート用送風機を作動させた時に車室内空気が吹出口より吸い込まれることを防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の車両用シート空調装置を図面に基づいて説明する。
図1は車両用シート空調装置の構成を模式的に示した断面図である。
本実施形態のシート空調装置1は、例えばフロントシート2の下方に配置されるシート送風ユニット3と、既存の空調装置であるフロント空調ユニット(下述する)からシート送風ユニット3へ空調空気を送るためのシート用送風ダクト4等を備える。
【0009】
フロント空調ユニットは、内部に冷風通路5と温風通路6が形成されたA/Cケース7と、このA/Cケース7内で冷風通路5と温風通路6とを切り替える切替ドア8とを有している。なお、フロント空調ユニットは、車室内を暖房するための加熱手段である周知のヒータコア(図示しない)を具備し、このヒータコアの熱源としてエンジン冷却水を使用している。
A/Cケース7には、温風通路6より前席乗員の足元へ温風を吹き出すためのフロントフット吹出口9と、シート用送風ダクト4が接続される接続口10とが設けられている。この接続口10は、切替ドア8によって選択された一方の通路(冷風通路5または温風通路6)と連通することができる。
【0010】
切替ドア8は、冷風通路5を遮断する位置(図1の実線位置/以下、温風側と言う)と温風通路6を遮断する位置(図1の一点鎖線位置/以下、冷風側と言う)との間で回動可能に設けられ、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより駆動される。
シート用送風ダクト4は、例えばフロント空調ユニットから後席乗員の足元へ温風を供給する既存のリヤフットダクトの一部を利用したものであり、車両の床面に沿って配されている。
【0011】
シート送風ユニット3は、送風通路を形成するケース本体11、このケース本体11に収容されるシート用送風機12、ケース本体11の内部でシート用送風機12の空気下流側に配される電気ヒータ13(例えばPTCヒータ)、ケース本体11に設けられたリヤフット吹出口14を開閉する開閉ドア15等より構成されている。
ケース本体11は、シート用送風ダクト4に接続されるダクト部16と、このダクト部16にシート用送風機12の吸込口17aを通じて連通するファンケース17と、このファンケース17とシート2とを連結する連結ダクト18から成る。ダクト部16は、シート用送風ダクト4と共に既存のリヤフットダクトを構成するもので、その空気下流端にシート用送風ダクト4より流入した空気を後席乗員の足元へ供給するリヤフット吹出口14が設けられている。ファンケース17は、ダクト部16の上部に設けられて、シート用送風機12のスクロールケーシングを形成している。連結ダクト18には、シート2の移動(シート位置調整)に対応できるように蛇腹部18aが設けられている。
【0012】
シート用送風機12は、遠心送風式のファン12aとモータ12bから成り、吸込口17aより吸い込んだ空気をシート2へ強制送風する。
電気ヒータ13は、フロント空調ユニットで十分な温風が得られない場合(例えば、ヒータコアの熱源であるエンジン冷却水の温度が低い時)等に使用することができる。なお、この電気ヒータ13は、シート用送風機12の空気上流側(吸込口17a側)に配置しても良い。
開閉ドア15は、ダクト部16内に具備され、リヤフット吹出口14を遮断する位置(以下、閉位置と言う)と、リヤフット吹出口14を開く位置(以下、開位置と言う)との間で回動可能に設けられ、サーボモータ等のアクチュエータ(図示しない)により駆動される。
【0013】
シート空調に係わる制御(切替ドア8、シート用送風機12、電気ヒータ13、開閉ドア15等の制御)は、例えばA/C操作パネル19に設けられたシート空調スイッチ20がONされることにより、ECU21を通じて実行される(図2参照)。
ECU21は、マイクロコンピュータを内蔵する周知の電子制御装置であり、図2に示すように、A/C操作パネル19でのスイッチ操作に基づいて出力される操作信号、及び各種センサ(内気センサ22、外気センサ23、日射センサ24、水温センサ25等)のセンサ信号等より目標吹出温度(TAO)を算出した後、その目標吹出温度に基づいて空調制御に係わる各種の演算処理を行い、その演算処理により決定された制御信号を各空調機器のアクチュエータに出力する。
【0014】
シート2は、シートバック2Aとシートクッション2Bより構成され、それぞれ通気性を有するシート表面材2Cにより覆われている。また、シートバック2Aとシートクッション2Bの内部には、連結ダクト18が接続される配風用ダクト2aと、その配風用ダクト2aより分岐してシートバック2A及びシートクッション2Bの表面へ伸びる複数の送風出口2bとが設けられている。これにより、シート送風ユニット3より供給された空調空気は、配風用ダクト2aを通って各送風出口2bへ分配され、各送風出口2bよりシート表面材2Cを通過してシート2に着座する乗員へ吹き付けられる。
【0015】
次に、シート空調に係わる制御手順を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、シート空調スイッチ20がONされているか否かを判定する(ステップ10)。ONされていない場合は制御を終了する。
シート空調スイッチ20がONされている場合は、A/C操作パネル19でのスイッチ操作に基づいて出力される操作信号、及び各種センサのセンサ信号を読み込む(ステップ20)。
続いて、A/C操作パネル19で設定された車室内の設定温度および各センサ信号等に基づいて目標吹出温度(TAO)を算出する(ステップ30)。
【0016】
続いて、フロント空調ユニットのブロワレベルをステップ30で算出された目標吹出温度に基づいて決定する(ステップ40)。但し、暖房モードが設定された時にヒータコアの熱源であるエンジン冷却水の温度が設定水温Tw2 (例えばセンサ値で60℃)より低い場合は、図4に示す水温制御特性図に基づいてブロワレベルが決定される。即ち、水温がTw2 より低いTw1 (例えばセンサ値で35℃)に達するまではブロワレベルが「0」であり、ブロワによる送風が停止されている。また、水温がTw1 からTw2 までは段階的あるいは直線的にブロワレベルが上昇する。
【0017】
続いて、算出された目標吹出温度に基づいて切替ドア8の位置を制御する(ステップ50)。例えば、目標吹出温度が基準値より小さい冷房モードを示す場合は、切替ドア8を冷風側へ駆動し、目標吹出温度が基準値より大きい暖房モードを示す場合は、切替ドア8を温風側へ駆動する。
続いて、ステップ30で算出された目標吹出温度に基づいてシート用送風機のブロワレベルを決定する(ステップ60)。但し、暖房モードが設定された時にエンジン冷却水の温度が設定水温Tw5 (例えばセンサ値で55℃)より低い場合は、図5に示す水温制御特性図に基づいてブロワレベルが決定される。即ち、水温がTw3 (例えばセンサ値で0℃)からTw4 (例えばセンサ値で35℃)まではブロワレベルが例えば「1」であり、水温がTw4 からTw5 (例えばセンサ値で55℃)までは直線的あるいは段階的にブロワレベルが上昇する。
【0018】
続いて、暖房モードが設定された場合のみ、電気ヒータ13のON/OFF状態を図5に示す水温制御特性図に基づいて制御する(ステップ70)。即ち、水温がTw3 からTw5 までは電気ヒータ13をONし、水温がTw5 以上では電気ヒータ13をOFFする。
最後に、シート用送風ダクト4内に具備された開閉ドア15の位置を制御する(ステップ80)。例えば、設定温度と室温(あるいはシート温度)との差が大きい時(クールダウン及びウォームアップ)は開閉ドア15を閉位置へ駆動してリヤフット吹出口14を遮断し、設定温度と室温との差が小さい時(定常時)は開閉ドア15を開位置へ駆動してリヤフット吹出口14を開口する。
【0019】
次に、上述の制御手順に従って実行されるシート空調の作動を説明する。
a)冷房モードが設定された場合。
設定温度と室温との差が大きい時(クールダウン時)は、シート送風ユニット3の開閉ドア15を閉位置に駆動する。
これにより、フロント空調ユニットの冷風通路5よりシート用送風ダクト4に供給された冷風が、図6(a)に示すように、シート送風ユニット3を通じてシート2へ送風される。
クールダウンから室温が低下して安定してくると、シート2の表面から吹き出される冷風は乗員にとって冷え過ぎて不快と感じる場合がある。そこで、定常時には、フロント空調ユニットの切替ドア8を温風側へ駆動して冷風通路5を遮断し、且つシート送風ユニット3の開閉ドア15を開位置へ駆動する。これにより、図6(b)に示すように、シート用送風機12によってリヤフット吹出口14からダクト部16内に室内空気が吸い込まれ、その室内空気がシート送風ユニット3を通じてシート2へ送風される。この場合、フロント空調ユニットで得られる冷風より室内空気の方が温度が高いため、冷風によるシート2の冷え過ぎを防止できる。
【0020】
b)暖房モードが設定された場合。
設定温度と室温との差が大きい時(ウォームアップ時)は、シート送風ユニット3の開閉ドア15を閉位置に駆動する。この時、フロント空調ユニットでは、水温が例えば35℃(センサ値)に達するまで送風が停止されているが、水温がヒータコアをある程度暖めることが可能な温度(例えばセンサ値で0℃)以上の時は、シート用送風機12と電気ヒータ13をONする。
これにより、フロント空調ユニットのブロワが作動していなくても、図7(a)に示すように、シート用送風機12の作動により、ヒータコアで多少暖められた空気をシート用送風ダクト4内に吸い込み、その空気を電気ヒータ13で加熱してシート2へ送風することができる。
ウォームアップから室温が上昇して安定してくると、シート2の表面から吹き出される温風(電気ヒータ13をONしている場合)は乗員にとって熱過ぎて不快と感じる場合がある。そこで、定常時には、電気ヒータ13をOFFすることにより、シート温度の過熱を防止することができる。また、定常時には、図7(b)に示すように、開閉ドア15を開位置へ駆動することにより、後席乗員の足元暖房を行うことができる。
【0021】
(本実施形態の効果)
本実施形態のシート空調装置1は、ウォームアップ時にフロント空調ユニットのブロワが作動していなくても、水温がヒータコアをある程度暖めることが可能な温度以上の時は、シート用送風機12と電気ヒータ13をONしている。これにより、ヒータコアを通過した空気(ヒータコアで多少暖められた空気)をシート用ダクト内に吸い込み、電気ヒータ13で加熱させてシート2へ送風することができる。この結果、低能力(例えば消費電力150w)の電気ヒータ13であっても、ヒータコアで多少暖められた空気を加熱することにより、十分にシート暖房が可能な温風(例えば約40℃)を得ることができる。従って、フロント空調ユニットで送風が停止されている状態であっても、電気ヒータ13で加熱された温風をシート2へ供給することにより即効暖房感を得ることができる。
【0022】
また、本実施形態では、即効暖房を行うために高能力の電気ヒータ13を使用する必要がないため、コストを低く抑えることができ、且つオルタネータに対する負荷を低減できる。
シート用送風ダクト4として既存のリヤフットダクトを利用しているため、装置全体を簡単に構成でき、且つ低コスト化を図ることができる。
【0023】
(変形例)
上記の実施形態では、暖房モードが設定された場合に、電気ヒータ13のON/OFF制御を水温に基づいて実行しているが、電気ヒータ13をOFFする条件として車両熱負荷、空調装置の状態、シート熱負荷等を考慮しても良い。従って、暖房運転でウォームアップから室温が上昇して安定してきた時(定常時)でも、車両熱負荷、空調装置の状態、シート熱負荷の少なくとも1つの条件に基づいて電気ヒータ13をOFFすることなくONしたままシート暖房を継続しても良い。また、定常時に電気ヒータ13をONしたまま、開閉ドア15を開位置へ駆動して後席乗員への加温暖房を実施することもできる。
【0024】
上記の実施形態では、フロント空調ユニットの目標吹出温度に基づいてシート空調を制御しているが、例えばシート2の表面温度を設定するための専用の温度設定手段を設けて目標シート表面温度を算出し、この目標シート表面温度と実際のシート表面温度(温度センサ等により検出できる)に基づいてシート空調を制御しても良い。
シート送風ユニット3は、シート2と一体に組み付けても良い。この場合、シート2の移動に伴ってシート送風ユニット3も一体に移動するため、シート送風ユニット3とフロント空調ユニットからシート送風ユニット3まで空気を導くためのダクト(例えば既存のリヤフットダクト)とをシート2の移動(シート位置調整)に対応できる連結ダクト18によって連結すれば良い。
シート用送風ダクト4として既存のリヤフットダクトを利用しているが、後席乗員へ冷風を供給するためのリヤベントダクトを利用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用シート空調装置の構成を模式的に示した断面図である。
【図2】シート空調の制御ブロック図である。
【図3】シート空調に係わる制御手順を示すフローチャートである。
【図4】ブロワの水温制御特性図である。
【図5】シート用送風機と電気ヒータの水温制御特性図である。
【図6】冷房モード時の作動を説明するシート送風ユニットの模式図である。
【図7】暖房モード時の作動を説明するシート送風ユニットの模式図である。
【符号の説明】
1 車両用シート空調装置
2 シート
4 シート用送風ダクト(シート用ダクト/リヤフットダクト)
11 ケース本体(シート用ダクト)
12 シート用送風機
13 電気ヒータ
14 リヤフット吹出口
15 開閉ドア
16 ダクト部(リヤフットダクト)
17 ファンケース(シート用分岐ダクト)
18 連結ダクト(シート用分岐ダクト)

Claims (4)

  1. ヒータコアを内蔵する空調装置からシートまで空気を導くシート用ダクトと、
    このシート用ダクトを通じて前記シートへ強制送風するシート用送風機と、
    前記シート用ダクト内に配された電気ヒータとを備え、
    前記空調装置にて前記ヒータコアの熱源であるエンジン冷却水の温度が所定温度に達するまで車室内への送風を停止している状態であっても、前記エンジン冷却水の温度が予め設定された設定温度以上の時は、前記シート用送風機と前記電気ヒータを作動させて、前記ヒータコアを通過した空気を前記シート用ダクト内に吸い込み、前記電気ヒータで加熱させて前記シートへ送風することを特徴とする車両用シート空調装置。
  2. 前記エンジン冷却水の温度が前記所定温度より高い第2の所定温度まで上昇した時点で前記電気ヒータを停止することを特徴とする請求項1に記載した車両用シート空調装置。
  3. 前記シート用ダクトは、
    前記空調装置から後席乗員の足元へ温風を供給するリヤフットダクトと、このリヤフットダクトから前記シートまで空気を導くシート用分岐ダクトによって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載した車両用シート空調装置。
  4. 前記リヤフットダクトの吹出口を開閉する開閉ドアを具備し、前記電気ヒータを作動させている間は、前記開閉ドアにより前記吹出口を閉じることを特徴とする請求項3に記載した車両用シート空調装置。
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