JP3633739B2 - 灰の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料、廃棄物等の焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰等の鉛成分を含む複数の金属成分を含有する灰を処理して、金属成分を回収すると共に灰を無害化する灰の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような灰類から重金属を回収しつつ、灰類を無害化する方法としては、下記のような技術が知られていた。
【0003】
▲1▼ 乾燥式精錬法
灰を蒸発固化した上で、加熱溶融し、湯状にした後、比重分離を行い、アルカリ金属、および各種金属を回収する方法である。
▲2▼ 湿式精錬法
灰を酸で溶解して、重金属成分を液側に移行させた上で、その溶液に水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、アンモニア、酢酸、炭酸ナトリウム等の薬剤を添加し、溶解度差を利用して、各種金属を硫化物、水酸化物、アンモニア錯体等の沈澱物のかたちで分離回収する方法である。
▲3▼ キレート吸着法
灰を酸で溶解して、重金属成分を液側に移行させた上で、その溶液を配位子に窒素等を有するキレート性イオン交換樹脂に通液し、重金属イオンを吸着回収する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼から▲3▼の方法では、下記のような問題がそれぞれ存在する。
つまり、上記▲1▼の方法では、加熱溶融時に多量のエネルギーを使用する点、重金属を回収し無害化はできるが、その重金属の個別の分離の際に合金化したり、比重分離が困難もしくは不完全であるなど純度が低い点などの問題点を有していた。また、蒸気圧の高い重金属についてはその回収が困難であった。
【0005】
また、上記▲2▼の方法では、回収、個別分離は共に可能であるが純度がそれほど高くなく、多種の薬剤を必要とする点、硫化物が沈澱物として生成するため、操作を誤ると硫化水素等の有害ガスを発生する危険性がある点などの問題があった。
【0006】
更に、上記▲3▼の方法では、キレート性イオン交換樹脂が重金属の選択性が低いため、回収は可能であるものの高純度に分離することが困難であった。また、キレート性イオン交換樹脂に捕捉された金属は結合力が強いため、脱離させることが容易ではなく、キレート性イオン交換樹脂の再生使用が困難であった。
【0007】
つまり、上記の従来法では、いずれも回収する金属の選択性および回収した金属の純度が劣るとともに、金属の回収操作に各種の困難を伴っていた。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回収する金属の選択性および回収した金属の純度に優れると共に、金属成分の回収操作が容易な灰の処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、灰処理分野に限らずより幅広い技術分野における金属分離技術を検討し、特に大環状化合物を固定化した担体を用いる分離技術に着目して、鋭意研究したところ、適切な前処理を行った後にかかる担体を用いて金属成分の結合・溶離を行うことにより、各種灰から高選択性、高純度で種々の金属成分が回収できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
即ち、本発明の灰の処理方法の特徴構成は、鉛成分を含む複数の金属成分を含有する灰を、塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液に一部溶解させて懸濁液を得る溶解工程と、その懸濁液を固液分離して、固体分を除去した分離液を得る分離工程と、前記分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させる結合工程と、その担体に溶離液を接触させて、前記担体に結合した金属成分を溶離させる溶離工程と、前記溶離液中に溶解した金属成分を不溶化して析出させる析出工程と、不溶化した金属成分が析出した溶離液を固液分離し、分離液を中和して塩化ナトリウムを生成する工程とを有し、前記分離液を中和して生成した塩化ナトリウムを、前記溶解工程で前記灰を溶解させる水溶液に使用する点にある。
【0012】
また、前記担体として、鉛成分を対象とする結合にPbCl n- 用担体を用い、その担体に結合した鉛成分を溶離させる溶離液として水を用いることが後述の作用効果の点から好ましい。
【0013】
前記大環状化合物としては、結合(回収)の対象となる金属成分に応じて、後述のように各種のものを用いることができるが、鉛成分を対象とする結合に、18−クラウン−6エーテルを用いることが後述の作用効果の点から好ましい。
【0015】
また、前記結合工程と前記溶離工程を、前記担体の種類を変えて繰り返して行うことにより、複数の金属成分を順次、回収することが後述の作用効果の点から好ましい。その時、亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収することが、後述の作用効果の点からより好ましい。
【0016】
〔作用効果〕
本発明の特徴構成によると、溶解工程において、鉛成分を含む複数の金属成分を含有する灰を、塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液に一部溶解させることにより、灰中に存在する金属単体、金属酸化物、金属水酸化物などの金属成分を、金属イオン、金属化合物イオン等にして可溶化し、後の結合工程に好適な形態とすることができる。また、分離工程において、得られた懸濁液を固液分離して固体分を除去することにより、後の結合工程に悪影響を及ぼす不溶性の残渣を除去することができる。更に、結合工程において、得られた分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させることにより、その溶解金属成分を前記担体に、溶解状態のままの形態で又は何らかの変化を受けた状態で高選択性で結合させることができる。溶離工程においては、金属成分が結合した担体に溶離液を接触させることにより、前記担体に結合した金属成分の選択性が高いために、高純度で溶離させることができる。その際、特別なエネルギーを要することなく、また前記担体が溶離工程により再生されるなど、回収操作も容易である。
前記溶離工程の後に、溶離液中に溶解した金属成分を不溶化して析出させる析出工程を更に行う場合、溶離液中に溶解した金属成分が高純度であるため、高純度の金属成分を水酸化物、酸化物、硫酸化物等の形で高純度で得ることができる。
また、不溶化した金属成分が析出した溶離液を固液分離し、分離液を中和して生成した塩化ナトリウムを、溶解工程で鉛成分を含む灰を溶解させる水溶液に使用できる。
その結果、回収する金属の選択性および回収した金属の純度に優れると共に、金属成分の回収操作が容易な灰の処理方法を提供することができた。
また、中和により生じた塩化ナトリウムを再利用できる。
【0017】
前記溶解工程に、塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液を用いるので、後述の参考例1の結果が示すように、特に1回の溶解工程で必要な金属成分の十分な溶解が行える。ここで、塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液が有用なのは、灰中に含まれる金属成分(特に鉛成分)と塩酸単独では、例えばPbCl2 等の難溶性の塩類を形成し易いが、塩素イオンの共存下では、例えばPbCl3 - ,PbCl4 2-等を形成して可溶化するためと考えられる。
【0018】
また、前記溶解工程に塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液を用い、かつ、前記担体として、鉛成分を対象とする結合にPbCl n- 用担体を用い、その担体に結合した鉛成分を溶離させる溶離液として水を用いる場合、後述の実施例1の結果が示すように、コストや取扱の面で有利な水を用いて高純度で成分を溶離することができる。なお、溶解工程で塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液を用い、かつ、担体として、鉛成分を対象とする結合にPbCl n- 用担体を用い、その担体に結合した鉛成分を溶離させる溶離液として水を用いるのが有効なのは、水により塩素イオン濃度が低下すると、例えばPbCl3 - ,PbCl4 2-等の塩化物錯体の形で大環状化合物に結合した成分から、塩素イオンの配位が失われて金属イオン化することにより、大環状化合物との結合力が低下して溶離するためと考えられる。
【0019】
前記大環状化合物として、鉛成分を対象とする結合に、18−クラウン−6エーテルを用いる場合、後述の実施例1、3、8の結果が示すように、灰を溶解、固液分離した分離液から直接に、高選択性、高純度、高収率で鉛成分を結合することができる。なお、Pb2+用の担体は、鉛イオンを直接、及びPbCl ,PbCl 2−等から鉛イオンを引き抜いて結合することができるためPb2+に限らず塩化物イオンからもPb2+を結合できると考えられる。また、PbCln−用の担体は、PbCl ,PbCl 2−等を直接結合することができるが、過剰の塩素イオンの存在下ではPb2+はこの形で結合できると考えられる。
【0021】
また、前記結合工程と前記溶離工程を、前記担体の種類を変えて繰り返して行うことにより、複数の金属成分を順次、回収する場合、本発明では結合工程により特定の金属成分のみが担体に結合され、他の金属成分はそのまま分離液に残存するので、引き続き担体の種類を変えて結合工程を好適に行うことができ、また各担体から別個に金属成分の溶離を行えば、各担体より複数の金属成分を高純度で順次、回収することができる。
【0022】
その時、亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収することが好ましいのは、亜鉛成分が上述の担体を以てしても亜鉛成分だけを選択性よく結合するのは難しいが、亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収することにより、高純度で亜鉛成分を回収できるからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の灰の処理方法は、複数の金属成分を含有する灰を、酸又はアルカリを用いて一部溶解させて懸濁液を得る溶解工程と、その懸濁液を固液分離して、固体分を除去した分離液を得る分離工程と、前記分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させる結合工程と、その担体に溶離液を接触させて、前記担体に結合した金属成分を溶離させる溶離工程とを有するが、以下、本発明の実施形態を各工程に分けて説明する。
【0024】
〔溶解工程〕
本発明の溶解工程は、複数の金属成分を含有する灰を、酸又はアルカリを用いて一部溶解させて懸濁液を得るものである。
対象となる灰の種類としては、各種の燃料、各種の廃棄物等の焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰等が挙げられるが、これらと同様の成分を有するものであればいずれの灰も対象とすることができる。
【0025】
かかる灰は、複数の金属成分を含有するものであるが、金属成分を構成する金属元素としては、例えば鉛、カリウム、カルシウム、銅、鉄、マンガン、珪素、カドミウム、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛等が挙げられる。また、かかる金属元素を有する金属成分としては、これら金属元素単体に加え、その酸化物、水酸化物、硫化物、塩化物等の種々のものが挙げられる。
【0026】
溶解に用いられる酸としては、上記の金属成分を可溶化して液側に移行できるものであればいずれでもよいが、典型的なものとして硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、シュウ酸等が挙げられる。また、溶解に用いられるアルカリとしては、上記の金属成分を可溶化して液側に移行できるものであればいずれでもよいが、典型的なものとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属、アルカリ金属炭酸塩、リン酸塩、アンモニア等が挙げられる。
【0027】
また、上記の酸又はアルカリに加えて、金属成分の溶解性を高めるために、各種塩類や溶解促進剤を添加してもよい。特に、塩酸を用いる場合、鉛成分が過剰の塩素イオンの存在下で高い溶解性が得られるので、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等が適量添加される。具体的には、塩酸に対して塩素イオン濃度で、好ましくは0.5〜10モル倍、より好ましくは1〜3モル倍となるように用いられる。
【0028】
上記のうち、本発明では硝酸水溶液を用いるか、又は塩素イオンの共存下で塩酸水溶液を用いることが前述の作用効果の点から好ましい。
【0029】
なお、金属成分の溶解を容易にするため、適宜、水溶液の濃度を調整したり、加熱や攪拌を行うことができる。そして、使用する酸の好ましい濃度は、灰の濃度によって異なるが、最終pHが1以下となる濃度が特に有効である。
得られた懸濁液には、金属成分が金属イオン、金属化合物イオン(錯イオンを含む)等の形で溶解した液体成分と、不溶性の残渣が存在することになる。
【0030】
〔分離工程〕
本発明の分離工程は、得られた懸濁液を固液分離して、固体分を除去した分離液を得るものである。つまり、不溶性の残渣を固体分として除去し、金属成分が溶解した分離液を得るものである。
【0031】
固液分離の方法としては、懸濁液から固体分が除去できるものであればいずれの方法も採用できるが、濾過、遠心分離、沈降分離などが挙げられる。なお、金属成分の回収率を高めるには、除去した固体分に液体成分の付着量が少ない方法をとることが好ましい。
【0032】
〔結合工程〕
本発明の結合工程は、前記分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させるものである。
大環状化合物を固定化した担体が、特定の溶解金属成分と選択的に結合し得ることは従来より金属分離の分野で知られていた(特開平1−139142号公報、特表平6−508338号公報等)。しかしながら、本発明の分離液のように、灰から抽出されたもので複数の金属を含有し、かつpHも中性と大きく異なるものから、金属を選択的に結合・溶離して回収する技術はこれまで提案されておらず、当業者が容易に想到できるものではなかった。本発明は多くの実験を重ねた上で得られた、前述の知見に基づいて完成されたものである。
つまり、本発明に用いられる大環状化合物を固定化した担体は、クラウン化合物等の大環状化合物をスペーサーを介して、シリカ等の担体に共有結合させたものであり、その環径と結合対象物の径との関係や両者の化学的親和性等に基づき、溶解金属成分と選択的に結合し得る性質を発現する。
【0033】
従って、本発明に用いられる大環状化合物を固定化した担体としては、特開平1−139142号公報、特表平6−508338号公報等に開示されたものを用いることができ、その製造もかかる開示に基づいて行うことが可能である。また、かかる担体は既に商品化されており、各種のものが、対象金属成分に応じて市販されており、容易に入手することができる。
【0034】
特に後述の実施例で使用したものを例示すると次のようになる。
▲1▼Pb2+用担体、▲2▼PbCln−用担体、▲3▼Cu用担体、▲4▼Fe用担体、▲5▼Al用担体、▲6▼Zn用担体。
【0035】
用いられる担体の形態としては、微粒子状、ビーズ状(多孔質、無孔質)、膜状(多孔質、無孔質)のものが挙げられるが、多孔質ビーズが接触効率や取扱のし易さから好ましい。また、膜状のものを用いて、その膜に固液分離機能を持たせることで、前述の分離工程を結合工程と同時に行うようにしてもよい。なお、担体の材料としては、シリカゲルの他、ガラス、砂、アルミナ、チタニア、ジルコニア等が挙げられる。
また、前記分離液を担体に接触させる方法としては、接触面積と接触時間を考慮しつつ、適当な方法で行えばよいが、例えばビーズ状担体をカラムに充填して分離液を通液する方法、ビーズ状担体を流動状態で分離液と接触させる方法、膜状担体に分離液を通液等する方法などが挙げられる。
【0036】
上記の結合工程で結合されなかった溶解金属成分は、担体と接触後の分離液にそのまま存在することになるが、アルカリ等を用いて全てを析出・回収してもよく、また更に個別に金属成分を回収する操作を行ってもよい。つまり、前記結合工程と前記溶離工程を、前記担体の種類を変えて繰り返して行うことにより、複数の金属成分を順次、回収することができる。その時、前述の作用効果より、亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収することが好ましい。つまり、選択性の高い金属成分から順に回収することが、回収される各金属成分の純度を高める上で好ましい。
【0037】
なお、本発明では、前述のように鉛成分を鉛イオン又は含鉛塩化物イオンとして結合することができ、鉛成分を対象とする結合に、18−クラウン−6エーテル、又はこれに類する化合物からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0038】
〔溶離工程〕
本発明の溶離工程は、金属成分が結合した担体に溶離液を接触させて、前記担体に結合した金属成分を溶離させるものである。
用いられる溶離液は、結合した各種金属成分や溶解工程で用いた酸等に応じて適宜選択することができるが、担体に結合した金属イオンを脱離させるキレート化剤又は錯形成剤や、金属イオンを再び可溶化させる酸や、溶解工程で用いた酸等の濃度を低下させることにより金属イオンを脱離させる水等の溶媒などを用いることができる。
具体的には、キレート化剤としては、クエン酸塩、エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、アセチルアセトン等の各種のものが挙げられ、錯形成剤としては、各種金属と配位結合により錯形成する配位子を有する化合物、例えば結合したPb2+に対する過剰の塩化ナトリウム等の添加が挙げられる。金属イオンを再び可溶化させる酸としては、硫酸等が挙げられる。
上記において、前述の作用効果より、溶離工程の一部又は全部において、水(特に蒸留水)を用いることが好ましい。
【0039】
なお、担体に溶離液を接触させ方法は、上記の結合工程と同様である。
上記で得られた溶離液には、高い選択性で結合された金属成分が、金属イオン、キレート、錯体等の形で溶解している。この溶離液によって、灰中に含有される金属成分が高純度で回収されたことになるが、次のような析出工程により、固体として金属成分を回収してもよい。
【0040】
〔析出工程〕
任意の工程である析出工程は、前記溶離工程の後に、溶離液中に溶解した金属成分を不溶化して析出させるものである。かかる析出工程は、従来の湿式精錬法と同様にして行うことができるが、不溶化の方法としては、溶解した金属成分に応じて適宜不溶化剤が選択されるが、一般的には水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属等が用いられ、水酸化物として金属成分を回収することができる。また、鉛等については硫酸等が用いられ、硫酸鉛等として回収することができる。また、電気化学的手法により金属を析出させることも可能である。
【0041】
〔その他の工程〕
析出工程で析出した沈澱物は、固液分離により回収することができる。また、分離後の分離液は、通常、アルカリ性又は酸性であるため、通常公知の方法により中和することができる。更に、中和により生じた塩化ナトリウム等の塩は、それを溶解工程、結合工程、溶離工程で再利用できる場合があるため、得られた中和液又は塩を単離して、再利用することができる。
つまり、例えば溶解工程で塩酸と塩化ナトリウムを用い、中和剤として水酸化ナトリウム等を用いることにより、中和工程で塩化ナトリウムが生成するため、これを溶解工程で使用する塩化ナトリウムとして再利用することができる。その時、溶解中の塩化ナトリウム濃度をモニターしつつ、再利用のための中和液の供給量を制御するようにしてもよい。これにより、原料費を低減できる。
【0042】
また、各工程に先立って原液を希釈するための希釈工程を採用したり、結合工程と溶離工程の間に洗浄工程を採用するなど、任意の工程を付加することもできる。
【0043】
〔処理装置〕
次に本発明に用いられる処理装置について説明する。かかる処理装置としては、例えば図1に示すような装置で構成される。
溶解工程を行うための対象物溶解槽3は、灰を供給する対象物供給経路1と、酸又はアルカリを供給する薬品供給経路2と、それらの混合物をモータMを駆動力として攪拌する攪拌手段4とを備える。分離工程を行うための濾過手段5は、対象物溶解槽3から排出される懸濁液から固体分(溶解残渣)を除去して溶解残渣回収手段6に取り除かれると共に、濾過された分離液は三方弁7に送られるように配管されている。三方弁7はかかる分離液と、溶離液槽10からの溶離液とを切換により、カラム8に供給するものである。
結合工程および溶離工程を行うためのカラム8は、前述のような大環状化合物を固定化した担体9が充填されており、カラム8内に分離液を通液することにより結合工程を行い、溶離液を通液することにより溶離工程を行う。カラム8から排出される分離液および溶離液は、三方弁11に送られるように配管されている。三方弁11はその分離液と溶離液とを、それぞれ析出槽14と析出槽12に供給するためのものである。
【0044】
析出槽14と析出槽12とには、不溶化剤槽16から不溶化剤が供給されるようになっており、図1の装置では同一の不溶化剤槽16から不溶化剤が供給される構成となっているが、別々に不溶化剤槽16を設けてもよい。また、析出槽14と析出槽12とには、析出に適当な攪拌手段13,15が設けられている。濾過手段17,19は、析出槽14と析出槽15から排出される懸濁液から析出物をそれぞれ除去して、析出物回収手段18,20に取り除くと共に、濾過された濾液はともに中和槽21に送られるように配管されている。
【0045】
濾液中和するための中和槽21は、攪拌手段22と中和剤供給経路23と排出経路24とを備える。また、中和により塩化ナトリウム等の塩が生じる場合には、それを溶解工程等で再利用することができる場合があり、中和液をリサイクルするための循環経路Rを設けるとよい。
【0046】
複数の金属成分を回収する場合、図1に示す装置において、各金属成分に応じたカラム8と、析出槽14及び濾過手段17を増設し、溶離液が異なる場合にはそれぞれ溶離液槽10を設ければよい。このときカラム8には、各金属成分に応じた担体9が選択される。
【0047】
【実施例】
以下、本発明の作用効果を確認するための実施例を参考例とともに例示するが、本発明はかかる実施例等に限定されるものではない。
【0048】
実施例1
都市ゴミ焼却炉から発生する飛灰と焼却灰をプラズマ溶融炉にて溶融処理した時に発生する溶融飛灰を採取し、その組成分析を行った。組成分析は、ICP発光分光分析法および原子吸光分析法で行った。その結果を表1に示す。なお、以下の実施例、参考例における組成分析結果もすべて同様の方法で測定を行ったものである。
【0049】
【表1】
Figure 0003633739
【0050】
表1の結果が示すように、溶融飛灰は原料飛灰と比較して鉛や亜鉛のような蒸気圧の高い金属元素が濃縮されていることが分かった。以下の実施例、参考例はかかる溶融飛灰を用いて行ったものであるが、他の方法で得られる溶融飛灰も同様の組成を示し、また、焼却灰や焼却飛灰ではやや組成が異なるものの、その組成からすると本発明の処理方法が溶融飛灰の場合と同様に適用できる。
【0051】
上記の飛灰300gを0.7N塩酸と1N塩化ナトリウムの水溶液3リットルに攪拌しつつ約30分かけて溶解し(溶解工程)、濾過した時(分離工程)の濾液中の溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表2に示す。なお、溶解後のpHは1.1であった。
【0052】
【表2】
Figure 0003633739
【0053】
表2の結果が示すように、かかる濾液中には、多種の金属成分と共に、鉛成分がかなり多く溶解していることが分かった。
【0054】
直径2.5cm×高さ10cmのガラス製の円筒カラム内に、前述のPbCln−用担体を25g充填し、上記濾液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表3に示す時点で採取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0003633739
【0056】
表3の結果が示すように、2000mlまでの排出液には鉛成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は殆ど濃度低下せずに排出されているため、鉛成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0057】
次いて、水(好ましくは蒸留水)を溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表4に示す時点で採取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0003633739
【0059】
表4の結果が示すように、1200mlまでの排出液に鉛成分が多く含まれており、一方、他の金属成分(亜鉛成分を除く)は全く含まれていないため、鉛成分のみが高い純度で溶離・回収できることが分かった。なお、亜鉛成分のみは上記担体で一部捕捉され、溶離液中に溶離するが(表3,表4参照)、溶離が初期に完了するため、その後の溶離液のみを利用することにより、鉛成分のみをより高い純度で溶離・回収できる。なお、後述の実施例8の結果が示すように、担体としてPb2+用担体を用いると、亜鉛成分の結合・溶離が起こらず、鉛成分のみをより高い純度で溶離・回収できる。
【0060】
実施例2
実施例1で得られた、鉛成分を結合・除去した分離液(組成は表5を参照)約2500mlに対して、NaHCOを添加してpHを約2.0に調整し、原液を得た。直径1.0cm×高さ34cmのガラス製の円筒カラム内に前述のCu用担体を15g充填し、上記原液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表5に示す時点で採取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
Figure 0003633739
【0062】
表5の結果が示すように、2000mlまでの排出液には銅成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は全く濃度低下せずに排出されているため、銅成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0063】
次いて、1N硫酸を溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表6に示す時点で採取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
Figure 0003633739
【0065】
表6の結果が示すように、1200mlまでの排出液に銅成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、銅成分のみが高い純度(ほぼ100%)で溶離・回収できることが分かった。
【0066】
実施例3
実施例1と同じ溶融飛灰を用いて、飛灰30gを0.1M硝酸水溶液3リットルに攪拌しつつ約30分かけて溶解した(溶解工程)。溶解後のpHは1.5〜1.7であった。これを濾過して(分離工程)以下の工程の原液とした。かかる原液中には、多種の金属成分と共に、鉛成分がかなり多く溶解していることが分かった(表7参照)。
【0067】
直径0.8cm×高さ19.3cmのガラス製の円筒カラム内に、前述のPb2+用担体を10g充填したものを2本上下に配置し、上記濾液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表7に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表7に示す。
【0068】
【表7】
Figure 0003633739
【0069】
表7の結果が示すように、約2000mlまでの排出液には鉛成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は殆ど濃度低下せずに(最初の分取液を除く)排出されているため、鉛成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0070】
次いて、水30mlで上記カラムを洗浄した後、0.3Mクエン酸カリウムを溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表8に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表8に示す。
【0071】
【表8】
Figure 0003633739
【0072】
表8の結果が示すように、110mlまでの排出液に鉛成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、鉛成分のみが高い純度で溶離・回収できることが分かった。
【0073】
実施例4
実施例3で得られた、鉛成分を結合・除去した分離液(組成は表9を参照)約2500mlに対して、NaHCOを添加してpHを約2.0に調整し、原液を得た。直径0.8cm×高さ13.4cmのガラス製の円筒カラム内に前述のCu用担体を3g充填したものを2本上下に配置し、上記原液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表9に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表9に示す。
【0074】
【表9】
Figure 0003633739
【0075】
表9の結果が示すように、約2000mlまでの排出液には銅成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は全く濃度低下せずに排出されているため、銅成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0076】
次いて、水10mlで上記カラムを洗浄した後、1M硫酸を溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表10に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表10に示す。
【0077】
【表10】
Figure 0003633739
【0078】
表10の結果が示すように、35mlまでの排出液に銅成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、銅成分のみが高い純度(ほぼ100%)で溶離・回収できることが分かった。
【0079】
実施例5
実施例4で得られた、銅成分を結合・除去した分離液(組成は表11を参照)約2500mlをそのまま原液とし、直径0.8cm×高さ6.7cmのガラス製の円筒カラム内に前述のFe用担体を1.5g充填したものを2本上下に配置し、上記原液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表11に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表11に示す。
【0080】
【表11】
Figure 0003633739
【0081】
表11の結果が示すように、約2000mlまでの排出液には鉄成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は全く濃度低下せずに排出されているため、鉄成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0082】
次いて、水5mlで上記カラムを洗浄した後、1M硫酸を溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表12に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表12に示す。
【0083】
【表12】
Figure 0003633739
【0084】
表12の結果が示すように、17mlまでの排出液に鉄成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、鉄成分のみが高い純度(ほぼ100%)で溶離・回収できることが分かった。
【0085】
実施例6
実施例5で得られた、鉄成分を結合・除去した分離液(組成は表13を参照)約2500mlをそのまま原液とし、直径0.8cm×高さ19.3cmのガラス製の円筒カラム内に前述のAl用担体を5g充填したものを2本上下に配置し、上記原液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表13に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表13に示す。
【0086】
【表13】
Figure 0003633739
【0087】
表13の結果が示すように、約2000mlまでの排出液にはAl成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は全く濃度低下せずに排出されているため、Al成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0088】
次いて、水15mlで上記カラムを洗浄した後、1M硫酸を溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表14に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表14に示す。
【0089】
【表14】
Figure 0003633739
【0090】
表14の結果が示すように、37mlまでの排出液にAl成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、Al成分のみが高い純度(ほぼ100%)で溶離・回収できることが分かった。
【0091】
実施例7
実施例6で得られた、Al成分を結合・除去した分離液(組成は表15を参照)約2500mlをそのまま原液とし、直径3.9cm×高さ14.6cmのガラス製の円筒カラム内に前述のZn用担体を75g充填したものを2本上下に配置し、上記原液をその上部より通液し、その下部より排出させた(結合工程)。その時の排出液を表15に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表15に示す。
【0092】
【表15】
Figure 0003633739
【0093】
表15の結果が示すように、約2000mlまでの排出液には亜鉛成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は殆ど濃度低下せずに(初期を除く)排出されているため、亜鉛成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0094】
次いて、水150mlで上記カラムを洗浄した後、1M硫酸を溶離液として上記の円筒カラムの上部より通液し、その下部より排出させた(溶離工程)。その時の排出液を表16に示す量ごとに分取し、それぞれの溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表16に示す。
【0095】
【表16】
Figure 0003633739
【0096】
表16の結果が示すように、260mlまでの排出液に亜鉛成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、亜鉛成分のみが高い純度(ほぼ100%)で溶離・回収できることが分かった。
【0097】
実施例8
実施例1において、結合工程でPb2+用担体を10g×2本分用い、溶離工程で0.1M塩酸と5M塩化ナトリウムの水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の操作を行った。その時、結合工程で分取された排出液と、結合工程で分取された排出液の濃度分析の結果を表17と表18に示す。
【0098】
【表17】
Figure 0003633739
【0099】
表17の結果が示すように、約2000mlまでの排出液には鉛成分が全く含まれておらず、一方、他の金属成分は殆ど濃度低下せずに(初期を除く)排出されているため、鉛成分のみが高い選択性および高い回収率(ほぼ100%)で担体に結合されたことが分かった。
【0100】
【表18】
Figure 0003633739
【0101】
表18の結果が示すように、265mlまでの排出液に鉛成分が多く含まれており、一方、他の金属成分は全く含まれていないため、鉛成分のみが高い純度(ほぼ100%)で溶離・回収できることが分かった。
【0102】
参考例1(溶解試験)
前記表1に示す組成の溶融飛灰を用いて、表19に示す、酸又はアルカリ、灰濃度、薬剤濃度にて溶解試験を行った。溶解はマグネチックスターラーで攪拌しつつ約30分間行った(溶解工程)。得られた懸濁液を濾過し(分離工程)、その濾液中の溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表19に示す。
【0103】
【表19】
Figure 0003633739
【0104】
表19の結果が示すように、硝酸又は塩酸と塩化ナトリウムの併用が、鉛、亜鉛、銅、アルミニウム等の成分を良く溶解していることが分かった。一方、硫酸は、鉛と不溶性塩を形成するためその溶解性に劣り、水酸化ナトリウムは鉛と亜鉛には溶解性を示すものの、他の金属成分の溶解性に劣っていた。
また、使用する酸等の好ましい濃度は、灰の濃度によって異なるが、最終pHが1以下となる濃度が特に有効である。
【0105】
上記の溶解試験では、塩酸と塩化ナトリウムを併用する場合を示したが、0.75N塩酸を用いて、塩化ナトリウム濃度を変えた時の鉛成分の溶解性を示したのが図2のグラフである。このグラフより、塩酸濃度の1.0モル倍(即ち0.75M)の濃度以上で特に鉛成分の溶解効果が高いことが分かった。
【0106】
参考例2(溶解試験)
前記表1に示す組成の溶融飛灰を用いて、1M硫酸により鉛以外の金属成分をまず溶解し、その溶解残渣に対して更に表20に示す酸にて溶解試験を行った。溶解はマグネチックスターラーで攪拌しつつ約30分間行った(以上溶解工程)。得られた懸濁液を濾過し(分離工程)、その濾液中の溶解金属の濃度分析を行った。その結果を表20に示す。
【0107】
【表20】
Figure 0003633739
【0108】
表20の結果が示すように、硫酸で十分溶解されなかった鉛成分を、硝酸、塩酸、塩酸+塩化カルシウムにより溶解できることが分かった。つまり、酸を併用することによって、より多種の金属成分を溶解することができ、それぞれに対して後の結合工程〜溶離工程を適用することができる。ただし、表1に示す組成の溶融飛灰に対しては、最初から硝酸を使用又は塩酸と塩化ナトリウムを併用することにより、本発明の目的に合った溶解工程を好適に行うことができる。
【0109】
参考例3(析出工程)
実施例3で得られた鉛成分を溶離した溶離液に対し、硫酸を不溶化剤として鉛成分の析出を行った。析出前の溶離液と析出後に濾過した濾液の鉛濃度を表21に示す。
【0110】
【表21】
Figure 0003633739
【0111】
表21の結果が示すように、略100%の鉛成分が析出により回収できることが分かった。
【0112】
参考例4(析出工程)
実施例4〜7で得られた各金属成分を溶離した溶離液に対し、水酸化ナトリウムを不溶化剤として各金属成分の析出を行った。析出前の溶離液と析出後に濾過した濾液の金属濃度をそれぞれ表22に示す。
【0113】
【表22】
Figure 0003633739
【0114】
表22の結果が示すように、略100%の金属成分が析出によりそれぞれ回収できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】用いられる処理装置を示す概略構成図
【図2】参考例1で得られた結果を示すグラフを示す図
【符号の説明】
1 対象物供給経路
2 薬品供給経路
3 対象物溶解槽
8 カラム
9 担体
10 溶離液槽
12 析出槽
14 析出槽

Claims (5)

  1. 鉛成分を含む複数の金属成分を含有する灰を、塩酸と塩化ナトリウムとのpH1未満に調整した水溶液に一部溶解させて懸濁液を得る溶解工程と、
    その懸濁液を固液分離して、固体分を除去した分離液を得る分離工程と、
    前記分離液中に溶解した溶解金属成分と選択的に結合し得る大環状化合物を固定化した担体に、前記分離液を接触させて、その溶解金属成分を前記担体に結合させる結合工程と、
    その担体に溶離液を接触させて、前記担体に結合した金属成分を溶離させる溶離工程と
    前記溶離液中に溶解した金属成分を不溶化して析出させる析出工程と、
    不溶化した金属成分が析出した溶離液を固液分離し、分離液を中和して塩化ナトリウムを生成する工程とを有し、
    前記分離液を中和して生成した塩化ナトリウムを、前記溶解工程で前記灰を溶解させる水溶液に使用する灰の処理方法。
  2. 前記担体として、鉛成分を対象とする結合にPbCl n- 用担体を用い、その担体に結合した鉛成分を溶離させる溶離液として水を用いる請求項記載の灰の処理方法。
  3. 前記大環状化合物として、鉛成分を対象とする結合に、18−クラウン−6エーテルを用いる請求項1又は2記載の灰の処理方法。
  4. 前記結合工程と前記溶離工程を、前記担体の種類を変えて繰り返して行うことにより、複数の金属成分を順次、回収する請求項1〜いずれか記載の灰の処理方法。
  5. 亜鉛成分以外の金属成分を順次回収した後、亜鉛成分を回収する請求項記載の灰の処理方法。
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