JP3633658B2 - 給紙装置の紙分離機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、普通紙複写機(以下「PPC」と略す),ファクシミリ等の給紙装置に用いられる紙分離機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PPCやファクシミリ等の給紙装置では、従来から、紙が2枚以上重なって送られることのないよう、重送防止手段が講じられている。このような重送防止手段として、例えば、図1に示すように、用紙トレイ4の前側に給紙ローラ1を配設し、この給紙ローラ1にリタードパッド(重送防止用パッド)2を対設するとともに、リタードパッド2を所定の荷重Wで給紙ローラ1側に押圧して両者を当接させるようにしたものがある。このものでは、用紙トレイ4から給紙ローラ1に沿って紙3が2枚以上送り込まれると、リタードパッド2の(給紙ローラ1への)当接面の摩擦力で2枚目以下の紙3の進行が妨げられるようにしている(リタードパッド方式もしくはFR方式)。ところが、このものでは、上記リタードパッド2の当接面が固定されているため、この当接面がすぐに汚れ、メンテナンスが頻繁に必要になるという問題がある。
【0003】
そこで、図2に示すように、ピックアップローラ5と上下一対の引っ張りローラ(搬送ローラまたはレジストローラ)6間に給紙ローラ7を配設し、この給紙ローラ7にトルクリミッタ9を内蔵したリタードローラ(重送防止用ローラ)8を対設するとともに、リタードローラ8を所定の荷重Wで給紙ローラ1側に押圧して両ローラ7,8を当接させるようにしたものがある。上記リタードローラ8は、紙3が送られていない状態および、1枚の紙3が送り出された状態では、給紙ローラ7の正回転(紙3の送り方向の回転)の摩擦力がトルクリミッタ9の限界を越えて作用し、上記摩擦力でリタードローラ8が正回転方向(紙3の送り方向)に連れ回りする構造になっている。このものでは、ピックアップローラ5から送られる紙3が1枚の場合には、紙3が給紙ローラ7およびリタードローラ8で正常に送り出される。ところが、ピックアップローラ5から2枚以上の紙3が送り出されると、リタードローラ8は給紙ローラ7の摩擦力の影響を受けず、単に紙3と紙3との小さな摩擦力の影響だけを受けるため、トルクリミッタ9が限界に達することがなく、紙3の送り方向と逆方向の回転もしくは停止する。これにより、余分に送られた紙3を停止させ、最上位の紙3(給紙ローラ7と接触している紙3)のみが送りだされるようにしている(アクティブリタード方式もしくはFRR方式)。このようなFRR方式は、高信頼性を有するため主に高級機,高速機に用いられていたが、その信頼性がさらに高くなり、最近では普及機,低速機にまで採用されだしている。このような重送防止手段のリタードパッド2やリタードローラ8に用いられるゴム部材としては、一般にスチレン−ブタジエンゴム,ブチルゴム,クロロスルホン化ポリエチレンゴム,エチレン−プロピレンゴム等の合成ゴム材料や天然ゴム材料が使用されており、ゴム状弾性体特有の高摩擦係数によって、上記紙3の進行を妨げたり、紙3を戻したりしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のゴム部材からなるリタードローラ8等では、それ自身の高摩擦係数のために、表面に紙粉や紙に含まれている充填材(炭カル,クレー等)が付着しやすく、このため、リタードローラ8等の摩擦係数が急激に低下する。したがって、本来の性能が発揮されなくなり、重送や不送りといった給紙不具合が発生し、メンテナンス(リタードローラ8等の表面清掃や交換)を頻繁に行わなければならなくなる。また、耐摩耗性が良好でないため、リタードローラ8の摩耗が多く交換頻度が高いという欠点も有していた。そこで最近では、上記リタードローラ8や給紙ローラ7に耐摩耗性に優れた(すなわち耐久性に優れた)ウレタンゴム材料が好まれて使用されるようになってきている。しかしながら、ゴム部材としてウレタンゴム材料を採用する場合には、ウレタンゴム−ウレタンゴム間では、通常のゴム−ゴム間に比べて摩擦係数がかなり低くなるという特性があることから、給紙ローラ7の摩擦力がトルクリミッタ9の戻し力に打ち勝ってリタードローラ8を正回転させる(連れ回りさせる)ことが困難になるという問題がある。このため、リタードローラ8が停止した状態になりやすく、紙3とリタードローラ8が接触する部分は極一部分に限られてしまう。したがって、上記一部分に紙3が常にこすられることになり、紙3の充填材(炭カル,クレー等)がリタードローラ8に堆積して摩擦係数が急激に低下し、重送が多発する。また、高摩擦係数を得るために、一般的に給紙ローラ7の硬度は20〜45Hs(JIS A)に設定されており、これにより、1枚の紙3の通過時における単位面積当たりの荷重が少なくなる傾向にある。このため、リタードローラ8が紙3に連れ回りしにくくなり、紙3に対するストレスが大きくなる結果、紙3が削られて紙粉の発生が多くなり、リタードローラ8が早期に汚れたり、画質に悪影響を及ぼしたりする。
【0005】
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、リタードローラの摩擦係数が急激に低下して重送が多発したり、給紙ローラ(もしくは紙)に対してリタードローラの連れ回り性が悪くなって紙粉の発生が多くなったりすることのない給紙装置の紙分離機構の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の給紙装置の紙分離機構は、正転する給紙ローラに、正転および逆転自在に設けられ弾性部材により逆転側に弾性付勢されたトルクリミッタ付きのリタードローラを当接状に対設した紙分離機構であって、給紙ローラおよびリタードローラがウレタンゴムで構成され、給紙ローラの硬度がJIS A 45〜60Hsの範囲内に設定され、リタードローラの硬度がJIS A 65〜85Hsの範囲内に設定されているという構成をとる。
【0007】
【作用】
一般に、FRR方式では、リタードローラの紙戻し力(紙分離力)は、リタードローラに内蔵された(もしくは取付けられた)トルクリミッタの力に依存している。このトルクリミッタの力を大きくすれば、紙分離力は強くなるが、給紙ローラとリタードローラ間の挙動(給紙ローラにリタードローラが連れ回りする動き)が悪くなる。または、紙1枚通過時にリタードローラが停止しやすくなることにより、摩擦係数の急激な低下を引き起こす要因となる。また、トルクリミッタの力を小さくすれば、紙分離力が弱くなるため重送が発生しやすくなる。そこで、トルクリミッタの力を大きくし、かつ両ローラ間の挙動をよくするために、給紙ローラとリタードローラ間のニップ力を大きくする(負荷荷重Wを大きくする)ことが考えられるが、これは紙へのストレスが非常に大きくなり、紙粉等の発生が多くなったり、紙に筋が付く(ローラ幅の紙曲がりが発生する)等の二次障害が発生しやすくなる。
【0008】
この発明は、ウレタンゴム製で構成されたローラにおいては、硬度を上げると摩擦係数が低下し、硬度を下げると摩擦係数が上昇するという特性に着目し、低いストレス(低荷重)で高い紙分離力(高トルクリミッタ)を得るため、一連の研究を重ねた。その結果、上記FRR方式の紙分離機構等、給紙ローラにリタードローラを当接状に対設した紙分離機構では、給紙ローラおよびリタードローラをウレタンゴムで構成し、給紙ローラの硬度をJIS A 45〜60Hsの範囲内に設定し、リタードローラの硬度をJIS A 65〜85Hsの範囲内に設定すると、低荷重で高トルクリミッタという条件においても、給紙ローラとリタードローラ間、およびリタードローラと紙間の挙動が良いことを見いだしこの発明に到達した。すなわち、駆動初期(給紙ローラとリタードローラ間に紙が未達状態)において、リタードローラは、トルクリミッタの制御力に打ち勝って給紙ローラに連れ回りしやすくなり、かつ紙1枚通過時にもリタードローラはトルクリミッタの制御力に打ち勝って紙の進行方向に連れ回りしやすくなる。
【0009】
つぎに、この発明を詳しく説明する。
【0010】
この発明の給紙ローラおよびリタードローラ用のウレタンゴム材料としては、経時安定性,耐加水分解性の良好なポリエーテル系ウレタンをポリブタンジオール,トリメチロールプロパン等にて架橋,硬化反応させて得られるゴム状弾性体が好適に用いられる。このようなゴム状弾性体で作製された給紙ローラの硬度は、JIS Aで45〜60Hsの範囲内に設定され、好適には、50〜60Hsの範囲内に設定される。また、リタードローラの硬度は、JIS Aで65〜85Hsの範囲内に設定され、好適には、65〜80Hsの範囲内に設定される。このような値に設定することにより、給紙ローラとリタードローラ間、およびリタードローラと紙間において、単位面積当たりの荷重が大きくなるため、低荷重で高トルクリミッタという条件下で駆動初期(給紙ローラとリタードローラ間に紙が未達状態)にも、また紙1枚通過時にも、リタードローラはトルクリミッターの制御力に打ち勝って給紙ローラもしくは紙に連れ回りしやすくなる。また、このような両ローラの直径は10〜40mmに設定され、好適には、16〜30mmの範囲内に設定される。
【0011】
つぎに、実施例を比較例と併せて説明する。
【0012】
【実施例,比較例】
上記方法に従って給紙ローラおよびリタードローラを作製した(図2参照)。上記ローラともに単層構造とし、それぞれ直径を20mmに設定した。また、リタードローラに内蔵されたトルクリミッタの限界トルクを600gf・cmに設定した。そして、リタードローラにかかる荷重がA:300gf,B:400gf,C:500gf,D:600gfにおける、リタードローラの挙動を、両ローラ間に紙が無い場合と、紙一枚が通過している場合とに分けて、調べた。その評価基準を下記の表1に示し、実験結果を下記の表2〜表13に示す。これらの表2〜表13のうち、表2〜表7は両ローラ間に紙が無い場合を示し、表8〜表13は紙一枚が通過している場合を示している。また、これらの各表で、荷重AおよびBが低荷重の領域である。つぎに、上記条件において、リタードローラにかかる荷重をB:400gfに設定した場合の、20K(2万枚)耐刷試験を行い、その実験結果を、表14〜表19に示す。これら表14〜表19において、重送以外のトラブルとは、不送り,紙侵入不具合、斜め送り等を指している。
【0013】
【表1】
Figure 0003633658
【0014】
【表2】
Figure 0003633658
【0015】
【表3】
Figure 0003633658
【0016】
【表4】
Figure 0003633658
【0017】
【表5】
Figure 0003633658
【0018】
【表6】
Figure 0003633658
【0019】
【表7】
Figure 0003633658
【0020】
【表8】
Figure 0003633658
【0021】
【表9】
Figure 0003633658
【0022】
【表10】
Figure 0003633658
【0023】
【表11】
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【0024】
【表12】
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【0025】
【表13】
Figure 0003633658
【0026】
【表14】
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【0027】
【表15】
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【0028】
【表16】
Figure 0003633658
【0029】
【表17】
Figure 0003633658
【0030】
【表18】
Figure 0003633658
【0031】
【表19】
Figure 0003633658
【0032】
上記の結果の通り、表2〜表7では(給紙ローラとリタードローラ間に紙が無い場合では)、◎および○以外のときに、紙が給紙ローラとリタードローラ間にスムーズに入らず、給紙ミスが発生した。また、表8〜表13では(紙一枚通過時では)、◎および○以外のときに、リタードローラが停止状態になりやすく、摩擦係数の低下が大きかった。これらの結果から、給紙ローラの硬度が、JISAで45〜60Hsの範囲内で、リタードローラの硬度が、JIS Aで65〜85Hsの範囲内のときに、リタードローラの挙動が良好なことがわかる。特に、給紙ローラの硬度が、JIS Aで50〜60Hsの範囲内で、リタードローラの硬度が、JIS Aで65〜80Hsの範囲内のときに、特に好ましいことがわかる。一方、耐刷試験結果(表14〜表19)から明らかなように、紙一枚通過時にリタードローラが紙に連れ回りしない場合は、急激に摩擦係数が低下した。これらの結果から、給紙ローラの硬度が、JIS Aで45〜60Hsの範囲内で、リタードローラの硬度が、JIS Aで65〜85Hsの範囲内のときに、好ましい値が得られることがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、この発明の給紙装置の紙分離機構によれば、低荷重で高トルクリミッタという条件においても給紙ローラとリタードローラ間の挙動が良いこと、すなわち、駆動初期(給紙ローラとリタードローラ間に紙が未達状態)にリタードローラはトルクリミッタの制御力に打ち勝って給紙ローラに連れ回りしやすくなり、かつ紙一枚通過時にもリタードローラはトルクリミッタの制御力に打ち勝って紙の進行方向に連れ回りしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】給紙装置の紙分離機構を示す説明図である。
【図2】給紙装置の他の紙分離機構を示す説明図である。
【符号の説明】
1,7 給紙ローラ
2 リタードパッド
3 紙
4 用紙トレイ
8 リタードローラ
9 トルクリミッタ

Claims (1)

  1. 正転する給紙ローラに、正転および逆転自在に設けられ弾性部材により逆転側に弾性付勢されたトルクリミッタ付きのリタードローラを当接状に対設した紙分離機構であって、給紙ローラおよびリタードローラがウレタンゴムで構成され、給紙ローラの硬度がJIS A 45〜60Hsの範囲内に設定され、リタードローラの硬度がJIS A 65〜85Hsの範囲内に設定されていることを特徴とする給紙装置の紙分離機構。
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