JP3633240B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の制御装置に関し、詳しくは、目標油圧に相当する駆動電流をソレノイドに出力して、摩擦係合要素に対する供給油圧を制御する構成の自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、1方向クラッチを用いずに、2つの摩擦係合要素の締結と解放とを同時に油圧制御して変速を行う車両用自動変速機が知られており、かかる自動変速機においては、解放側に対して相対的に締結側の油圧変化が遅いとエンジン回転の吹き上がりが発生し、逆に、解放側に対して相対的に締結側の油圧変化が早いとトルクの引け,エンジン回転の低下(以下、インターロックという)が発生するという特性を有する(特開平2−37128号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上記構成の自動変速機においては、締結側,開放側の油圧をそれぞれ高精度に制御することが要求されるが、温度変化等の影響で、油圧を制御するソレノイドの駆動電流と実際に得られる油圧との相関が変化し、目標油圧に相当する値として初期設定される駆動電流をソレノイドに与えても、実際には目標油圧を得ることができずに、前記吹き上がり,インターロックを発生させてしまう可能性があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、ソレノイドの駆動電流と実際に得られる油圧との相関が変化しても、目標油圧付近に制御し得る自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明は、摩擦係合要素に対する目標油圧を設定し、該目標油圧をソレノイドの駆動電流に変換して前記ソレノイドを制御する構成の自動変速機の制御装置において、前記摩擦係合要素に対する実際の供給油圧を検出する油圧検出手段と、変速中の目標油圧の異なる複数時点において前記油圧検出手段で検出された実際の油圧と、前記目標油圧又は駆動電流との相関に基づいて、前記目標油圧又は駆動電流を補正する構成であって、1つのソレノイドにおける前記相関から求めた補正値を、他のソレノイドに対してゲインで調整して適用する特性補正手段と、を設ける構成とした。
【0006】
かかる構成によると、異なる複数の目標油圧それぞれにおける実際の油圧から、目標油圧又は駆動電流と実油圧との相関における傾き及びオフセットが検出され、該検出結果に基づいて全域における特性を推定して、目標油圧又は駆動電流を補正する。ここで、1つのソレノイドによる制御油圧のみを検出できるよう構成し、制御油圧を直接検出することのできない他のソレノイドに対しては、前記1つのソレノイドにおける油圧制御の結果から求めた補正値を適当なゲインを与えて適用させて、各ソレノイドについて補正を施す。
【0007】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、複数の異なる目標油圧での特性から目標油圧又は駆動電流と実際の油圧との相関の傾き及びオフセットを求めることで、ソレノイドによる油圧制御の特性を精度良く求めることができるので、温度変化の影響等によって油圧制御の精度が低下することを防止でき、変速性能を良好に維持させることができると共に、目標油圧又は駆動電流と実際の油圧との相関を1つのソレノイドにおいて求め、その結果を他のソレノイドの補正制御においてゲイン調整して用いるので、各ソレノイド毎に油圧を検出する必要がなく、簡便な構成で油圧制御精度を維持させることができるという効果がある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る制御装置が適用される車両用自動変速機のシステム構成図であり、図示しない車両に搭載されるエンジン1の出力トルクは、自動変速機2を介して駆動輪に伝達される。
【0009】
前記自動変速機2は、クラッチ,ブレーキなどの摩擦係合要素に対する作動油圧の供給をソレノイドバルブユニット3によって制御することで変速が行われる構成のものであり、具体的には、図2に示すように、トルクコンバータT/Cを介してエンジンの出力トルクを入力する構成であって、フロント遊星歯車組83,リヤ遊星歯車組84を備えると共に、摩擦係合要素として、リバースクラッチR/C,ハイクラッチH/C,バンドブレーキB/B,ロー&リバースブレーキL&R/B,フォワードクラッチFWD/Cを備える。尚、図2において、81は変速機の入力軸,82は変速機の出力軸を示し、また、Neはエンジン回転速度,Ntはタービン回転速度,Noは出力軸回転速度を示す。
【0010】
上記構成において、図3に示すように、前記リバースクラッチR/C,ハイクラッチH/C,バンドブレーキB/B,ロー&リバースブレーキL&R/B,フォワードクラッチFWD/Cの締結,解放の組み合わせに応じて変速が行われ、例えば、3速→4速のアップシフト時には、フォワードクラッチFWD/Cの解放と、バンドブレーキB/Bの締結とが同時に行われることになる。即ち、本実施の形態における自動変速機2は、1方向クラッチを用いずに、2つの摩擦係合要素の締結と解放とを同時に油圧制御によって行わせる変速(所謂クラッチツウクラッチ変速)を実行する構成となっている(図4参照)。
【0011】
前記コントロールユニット4には、前記ソレノイドバルブユニット3の各ソレノイドの駆動電流と油圧との相関を示すテーブルが記憶されており、目標油圧を演算すると、この目標油圧に対応する駆動電流をテーブル変換によって求めて、前記ソレノイドの駆動電流を制御する。ここで、ソレノイドに実際に流れる電流を検出し、前記テーブル変換によって求めた目標駆動電流に実際の電流が一致するようにフィードバック制御することが好ましい。
【0012】
クラッチ等の摩擦係合要素の締結制御においては、図4に示すように、まず、プリチャージを行って摩擦係合要素を接触直前まで無効ストロークさせた後、作動油圧を締結力が発生するぎりぎりのリターン圧(臨界圧)に保持し、その後、摩擦係合要素の締結が所定のタイミングで進行するように作動油圧を制御する。ここで、前記コントロールユニット4は、温度条件の変化等によってソレノイドの駆動電流と実際に得られる油圧との相関が変化しても目標油圧に精度良く制御すべく、実際の油圧の検出結果に基づいてソレノイドの制御特性を補正するようになっており、図5のフローチャートに前記補正制御(特性補正手段)の実施形態を示す。
【0013】
図5のフローチャートにおいて、S 21 では変速時の目標油圧を決定する。S 22 では、目標油圧と駆動電流との相関を示すテーブルに基づいて前記目標油圧に相当する駆動電流を求める。S 23 では、ソレノイドに対して前記駆動電流を与えて油圧制御を行わせる。
【0014】
そして、S24では、今回の変速で用いたソレノイドが、制御油圧を検出するセンサが設けられたソレノイドであるか否かを判別する。即ち、本実施形態では、全てのソレノイドの制御油圧を検出できる構成ではなく、特定の1つのソレノイドの制御油圧のみを検出できるように油圧センサ(油圧スイッチ)は1つだけ設けられている。
【0015】
S24で、油圧センサで制御油圧が検出されるソレノイドであると判別されると、S25へ進み、油圧センサで検出された実際の油圧を読み込む。尚、油圧センサの代わりに油圧スイッチを用いても良い。
【0016】
S26では、前記検出された実際の油圧と目標油圧又は駆動電流との相関から、目標油圧又は駆動電流の補正値を演算する。尚、前記実際の油圧と目標油圧又は駆動電流との相関は、図4に示すA点,B点のような目標油圧の異なる2点で検出し、オフセット補正と共に傾きの補正も行うようにする。
【0017】
そして、S27では、前記演算された補正値を、適当なゲイン調整してから他のソレノイドに適用させる。上記実施形態によると、1つの油圧センサで、全ソレノイドの制御特性を補正することができ、簡便な構成で温度条件の変化等に対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される自動変速機を示すシステム図。
【図2】自動変速機の詳細を示す構成図。
【図3】上記自動変速機における摩擦係合要素の締結状態の組み合わせによる変速の様子を示す図。
【図4】変速時の油圧制御の様子を示すタイムチャート。
【図5】ソレノイド特性の補正制御の実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…エンジン
2…自動変速機
3…ソレノイドバルブユニット
4…コントロールユニット
83…フロント遊星歯車組
84…リヤ遊星歯車組
R/C…リバースクラッチ
H/C…ハイクラッチ
B/B…バンドブレーキ
L&R/B…ロー&リバースブレーキ
FWD/C…フォワードクラッチ

Claims (1)

  1. 摩擦係合要素に対する目標油圧を設定し、該目標油圧をソレノイドの駆動電流に変換して前記ソレノイドを制御する構成の自動変速機の制御装置において、
    前記摩擦係合要素に対する実際の供給油圧を検出する油圧検出手段と、
    変速中の目標油圧の異なる複数時点において前記油圧検出手段で検出された実際の油圧と、前記目標油圧又は駆動電流との相関に基づいて、前記目標油圧又は駆動電流を補正する構成であって、1つのソレノイドにおける前記相関から求めた補正値を、他のソレノイドに対してゲインで調整して適用する特性補正手段と、
    を設けたことを特徴とする自動変速機の制御装置。
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