JP3631412B2 - 削孔工法及びそれに使用するケーシング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下方向及び斜め下方向の削孔工法及びそれに使用するケーシングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記した方向への削孔工法としては、ケーシングを土中に押し込みながらケーシング内のオーガを回転させて、土砂を排出しつつ推進する工法が知られている。この工法では、ケーシング同士を接合する為に、先に埋めるケーシングの上部を地上に露出させた状態で保持して、沈んだり動いたりしないように保持する必要がある。その保持には、ケーシングの外周をチャッキングする方法や、ケーシングの外側から突き出た突出物を支える方法がある。
【0003】
しかし、チャッキングする方法は、ケーシングが肉厚の薄いものであったり、プラスチックなどの素材であったりすると、その拘束力によって変形するという欠点があった。また、突出物を支える方法では、削孔作業時に突出物が推進抵抗を増大させ、それに伴って削孔工事の費用が高くなるという欠点があった。
【0004】
また、ケーシングは埋めた後には通常、再利用しないが、再利用する場合には、予めケーシングに鋼管を用いると共に埋め込む際にケーシング同士をネジ接合しておき、引き抜く際に、ケーシングにブラケツトを溶接し、そのブラケットを引っ張ることによって従来は対処していた。しかし、ケーシングが泥などで汚れていて溶接強度が十分に得られないため、引き抜き作業は困難であった。さらに、ブラケットを溶接する方法は、溶接に不向きな素材をケーシングに用いると、適用できないという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情を考慮して開発されたもので、その目的は、素材に関係なくチャッキングや突起物を支える方法以外の方法でケーシングを保持することができ、しかも、ケーシングの引き抜き作業が容易な削孔工法及びそれに使用するケーシングを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の削孔工法は、オーガ削孔装置のフレームに対してオーガを回転しつつ往動させ、オーガの外側を囲むケーシング土中に押し込み押し込んだケーシング上部に備えた係止孔に、フレームで支持した係止具の一部を挿入することによって、ケーシングを保持することを特徴とする。
【0007】
このようにすれば押し込んで土中に埋め込んだケーシングが自重で沈んだり、傾いたりしないようになる。また、係止孔によってケーシングを保持する位置が一定になるので、ケーシング同士の接合作業が容易になる。さらに、上記した工法の後には、埋まったケーシングとオーガに別のケーシングとオーガをそれぞれ連結すると共に、係止孔から係止具を抜いて削孔を続行する。なお、往復動の方向は、上下方向に限らず、斜め方向も含む。
【0008】
請求項2の発明のケーシングは、オーガ削孔装置のフレームで支持する係止具の一部を挿入する係止孔を、上部に備えることを特徴とする。
【0009】
係止孔と係止具の個数は限定されないが、ケーシングの保持状態を安定させるには、それぞれ複数個設けることが望ましい。また、係止孔と係止具の形状も限定されない。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるオーガ削孔装置は、図1〜図4に示すように、オーガ1の回転軸2を回転自在に支える移動体3をフレームFに対して昇降自在に設け、中間体4を移動体3から垂下し、オーガ1の螺旋羽根5の外側を囲むケーシング6を中間体4に固定具7で連結し、土中に押し込んだケーシング6の上部をフレームFの下部に係止具8で保持可能に設けてある。
【0011】
フレームFは、H形材を方形枠に組んだ台座9を備え、台座9の四隅のうち隣り合う二隅に支柱10をそれぞれ起立し、各支柱10に移動体3の昇降時のガイドとなる溝形材を用い、各支柱10の溝部11を対向し、両支柱10,10の外側(図2の右側)に複数本の補強桟12を架設してある。
【0012】
移動体3は、本装置を平面視して台座9の枠内に相当する位置にギヤボックス13を設け、ギヤボックス13上に回転軸用モータ14とロータリジョイント15を載せて固定し、回転軸2を連結する接続軸16の上部をロータリジョイント15で回転可能に支持すると共に、接続軸16をギヤボックス13内を経て下方に垂下し、回転軸用モータ14の回転がギヤボックス13で落とされ、接続軸16を経た後に回転軸2に伝わる。
【0013】
移動体3の昇降機構は図3に示すように、補強桟12を利用して両支柱10,10間の中間にチェーン17を上下に垂下し、ギヤボックス13の上部に昇降用モータ18を固定し、昇降用モータ18の回転をスプロケット19に伝え、スプロケットプ19と同軸で共に回転する別のスプロケット20を、チェーン17に噛み合わせてある。また、図2,図3に示すように、ギヤボックス13には一対のプレート21,21を各支柱10の溝部11に向かって延長し、溝部11を走行するローラ22を各プレート21に設けることによって、移動体3が両支柱10,10に沿って昇降する。
【0014】
中間体4は管状で、ギヤボックス13から垂下し、接続軸16と回転軸2との連結部23が目視可能な高さに排土口24を設けたものである。そして、回転軸2の凸部25を接続軸16の凹部26に嵌め、凹凸部25,26の両抜穴Hを合わせて排土口24から接合具(ピン、又はボルト等)27を挿入することによって、回転軸2と接続軸16を連結する。なお、中間体4とケーシング6との内径を殆ど同じにすることによって、ケーシング6内を上昇してくる土砂が中間体4内に円滑に取り込まれる。
【0015】
中間体4にケーシング6を固定具7で連結する構造は図5,図6に示すように、ケーシング6の上部を内径の広い段差状の肉薄形状に設け、肉薄部分にネジ部(雌ネジ)28を形成し、中間体4の下端部をネジ部28に挿入して段差部分に載せると共に、中間体4の対向箇所に固定具7をそれぞれ設け、ケーシング6の上部の対向箇所に一対の係止孔30を開け、各固定具7の一部である係合片29を係止孔30に挿入する構造である。このようにすれば、中間体4とケーシング6の連結作業、及び連結解除作業を容易に行える。
【0016】
固定具7は図5及び図6に示すように、中間体4に補強片31を固定すると共に、補強片31の上下部にブラケット32をそれぞれ外方に突出し、両ブラケット32,32に開けた孔33にピンPを通してケーシング6のネジ部29よりも下側まで垂下し、ピンPの上部に固定したレバー34を揺動可能に設け、係止孔30に挿入する係合片29をピンPの下端部に固定し、レバー34の揺動によって係合片29が係止孔30に出入りするものである。また、上側のブラケット32に開けた別の孔35に、ボルト状の仮止具36の下部を挿入し、仮止具36の頭部でレバー34の揺動を阻止してある。
【0017】
土中に押し込んだケーシング6の上部をフレームFの下部に係止具8で保持する構造は、図7,図8に示すように、フレームFの台座9には枠状のガイド37を、ケーシング6の各係止孔30の外側位置に設け、ガイド37から係止具8を通して、その先部を係止孔30に挿入すると共に、基部をガイド37内に保持してある。なお、係止具8は平面視してT字状で、板体38の先部を肉薄に形成し、先部のみが係止孔30に挿入できるようにしてあり、また、板体38の基部側には棒状の操作部39を設けることによって、係止孔30への出し入れを容易にしてある。
【0018】
ケーシング6は、上記したようにネジ部(雌ネジ)28を上部に有すると共に、ネジ部28の下側に係止孔30を備えるだけでなく、下部を外径の狭い段差状の肉薄形状に形成し、その肉簿部分にもネジ部(雄ネジ)40を有している。従って、異なるケーシング同士をネジ接合することができる。なお、ネジの向きはオーガの推進削孔回転方向に対して逆方向とする。
【0019】
上述したオーガ削孔装置を使用する削孔工法は、まず図2に示すように、フレームFの上部に支持した移動体3を下降しつつオーガ1を回転させることによって、土砂を螺旋羽根5で引き上げながらケーシング6を土中に押し込む。次に、図3に示すように、ケーシング6の係止孔30がガイド37と同じ高さに達した時点で、移動体3の下降を停止する。続いて、図4に示すようにケーシング6と中間体4との連結解除、並びに接続軸16と回転軸2との連結解除を行い、移動体3を上昇させる。その後、図1に示すようにガイド37に係止具8を差し込んで、その上部を係止孔30に挿入し、ケーシング6を保持する。そして、埋まったオーガ1の回転軸2の凸部25に、別のオーガ1の回転軸2の凹部26を嵌め、排土口24から抜穴Hに接合具27を挿入して連結する。また、別のオーガ1と移動体3との上下空間を利用して、別のオーガ1の外側に別のケーシング6を通して埋めこんだケーシング6とネジ接合する。その後、再度、移動体3を下降させて、接続軸16と回転軸2との連結、並びに中間体4とケーシング6との連結を行う。そして、各係止孔30から係止具8を引き抜き、移動体3を下降しながらオーガ1の回転を行う。なお、土質によっては、係止孔30からケーシング6内に水が浸入する可能性もあるので、ケーシング6に貼ったシールテープで係止孔30を塞いでから埋めることが望ましい。以下、上記手順を繰り返す。
【0020】
本発明に用いるオーガ削孔装置は上記実施形態に限定されない。例えば、係止具8は、固定具7のように係合片29を係止孔30に対して出入り可能に設ける構造であってもよく、この構造の場合、係止具8をフレームFの下部に固定しておく。また、斜め下方向に削孔する場合には、フレームFに移動体3を、斜め下方向に往復動可能に設けたオーガ削孔装置を用いればよい。
【0021】
【発明の効果】
請求項1の発明は、ケーシングの係止孔に係止具の一部を挿入するだけで、埋め込んだケーシングを保持できるので、ケーシングに鋼管以外の素材を用いたとしても適用可能である。また、従来の手法で用いたチャッキング装置を使用せずにすむので、オーガ削孔装置全体のコストも低く抑えられる。さらに、突起物で支持する従来の手法に比べれば、 ーシングの推進抵抗が小さくてすむので、削孔工事の費用が安上がりとなる。また、ケーシングを引き抜く場合にも、泥などの汚れに関係なく、係止具と同一形態のものを係止孔に挿入すれば、従来のブラケットの代わりとなって、挿入したものとケーシングとの連結が強固に保たれるので、引き抜き作業を容易に行える。
【0022】
請求項2の発明は、ケーシングの上部に係止孔を開けるだけなので、全体としての強度は孔のないものと殆ど同じレベルを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の削孔工法の一工程を示す要部断面図である。
【図2】本発明の削孔工法の一工程を示す要部断面図である。
【図3】本発明の削孔工法の一工程を示す要部断面図である。
【図4】本発明の削孔工法の一工程を示す要部断面図である。
【図5】中間体とケーシングの連結構造を示す縦断面図である。
【図6】(イ) (ロ) (イ)図は図5のA−A線断面図、(ロ)図はB−B線断面図である。
【図7】(イ) (ロ) (イ)図はフレームにケーシングを係止具で保持する状態を示す要部縦端面図、(ロ)図は(イ)図のA−A線断面図である。
【図8】係止具の平面図である。
【符号の説明】
1 オーガ
ケーシング
8 係止具
30 係止孔

Claims (2)

  1. オーガ削孔装置のフレーム(F)に対してオーガ(1)を回転しつつ往動させ、オーガ(1)の外側を囲むケーシング(6)を土中に押し込み押し込んだケーシング(6)の上部に備えた係止孔(30)に、フレーム(F)で支持した係止具(8)の一部を挿入することによって、ケーシング(6)を保持することを特徴とする削孔工法
  2. オーガ削孔装置のフレーム(F)で支持する係止具(8)の一部を挿入する係止孔(30)を、上部に備えることを特徴とするケーシング
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