JP3631368B2 - プラズマエッチング電極及びそれを用いたプラズマエッチング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウエハの加工に利用されるプラズマエッチング装置及びその電極(以下プラズマエッチング電極と称す)に関し、より詳細には反応室に高周波電力が印加され、かつエッチングガスをシャワー状に分散させるためのガス吹き出し穴を有する上部電極と、該電極に対向してシリコンウエハが載置される下部電極とを有する平行平板型プラズマエッチング装置及びこの装置において前記高周波電力が印加される電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハに素子を形成するために、エッチング処理が行われている。このエッチングを行う装置として、プラズマエッチング装置が用いられている。プラズマエッチング装置は、図1に示されるように、真空容器1内に上部電極2および下部電極3が間隔を置いて設けられており、下部電極3の上に被処理材としてシリコンウエハ4を載置している。上部電極2はバックプレート5とプラズマエッチング電極6とで構成されており、それぞれにエッチングガスを流すためのガス吹き出し穴7が設けられている。
【0003】
エッチングガスをガス吹き出し穴7を通してシリコンウエハ4に向かって流しながら、高周波電源8により、上部電極2と下部電極3の間に高周波電力を印加してプラズマ11を形成する。このプラズマによってシリコンウエハ4をエッチングし、所定のパターンの素子を形成するものである。絶縁リング9及びシールドリング10は、アルミナあるいは石英のような絶縁物からなり、シールドリング10は、プラズマエッチング電極6の取付用ビスをプラズマから保護するため、プラズマエッチング電極6の外周部を覆うように設置される。
【0004】
プラズマエッチング電極6は、使用するに従いプラズマが発生している部分、つまり対向しているシリコンウエハ4とほぼ同じ面積の部分が、プラズマによってエッチングされ消耗する。そこで、ある程度プラズマエッチング電極6が消耗し、エッチング特性(エッチングの間にシリコンウエハ4上に付着した異物粒子等)が規格を外れるとプラズマエッチング電極6の使用を中止し、新たな電極と交換する。
【0005】
従来、特開昭62−109317号公報に記載されているように、炭素粒子の脱落がない、高純度であるという性質を利用して、ガラス状炭素が使用されている。しかしながら、最近の半導体集積回路の高集積化に伴い、シリコンウエハのエッチング後の形状がより高精度に制御されるようになってきたため、半導体集積回路の歩留に影響を及ぼす金属汚染(特にFe汚染)の低減が求められている。これに伴い、プラズマエッチング電極も金属不純物をより少なくすることが要求されている。
この対策として、ガラス状炭素製プラズマエッチング電極をシリコンウエハの洗浄に用いられるRCA洗浄で高純度化することが行われたが、シリコンウエハへの金属汚染、特にプラズマエッチング電極使用開始直後の金属汚染を大幅に改善するまでには至っていない。
【0006】
また、現在一般的に行われているプラズマエッチング電極の純度測定方法は下記に示す通りである。
(1)プラズマエッチング電極を灰化した後、その灰をICP−MASSで不純物量を測定する。
(2)プラズマエッチング電極を10%塩酸に浸漬して、表面に付着している金属不純物を抽出した後、抽出液中の金属不純物量をイオンクロマトグラフィで測定する。
【0007】
しかしながら、前記(1)の測定方法では、プラズマエッチング電極のバルクの純度は分かるが、測定感度が低いため、半導体集積回路の製品歩留特に使用直後の歩留との相関が分からなかった。また、前記(2)の測定方法では、表面に付着している不純物量しか測定できない。ところが表面に付着している不純物は、電極取り付け時に行う空放電(ダミーのシリコンウエハを投入してプラズマを発生させること)で容易に除去されるため、シリコンウエハの金属汚染に影響を及ぼさない。そのため製品歩留と不純物量に相関が認められなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、シリコンウエハのエッチング不良を防止して半導体集積回路の生産歩留、使用開始直後のシリコンウエハの金属汚染を大幅に低減できるプラズマエッチング電極を提供するものである。
請求項2記載の発明は、シリコンウエハの金属汚染を防止して半導体集積回路の生産歩留、特に新たなプラズマエッチング電極を使用開始した直後の生産歩留を大幅に低減できるプラズマエッチング装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プラズマにより消耗する部分を、一次イオン種がO 2+ 及び一次イオン加速電圧が20KVの条件のもとで、二次イオン質量分析で測定し、そのときのFeの検出強度が1秒当たり1×103counts以下であるガラス状炭素からなるプラズマエッチング電極に関する。
また本発明は、前記プラズマエッチング電極を有してなるプラズマエッチング装置に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
プラズマにより消耗する部分がガラス状炭素からなるプラズマエッチング電極において、ガラス状炭素が二次イオン質量分析(SIMS)で測定したFeの検出強度が1秒当たり1×103counts以下に制御することによって、シリコンウエハの金属汚染を大幅に低減させることがわかった。ここでSIMSで測定した値が1×103countsを超えると、プラズマエッチングの際被エッチング材であるシリコンウエハが、電極消耗とともに飛散したFeに汚染されるため、シリコンウエハに形成されている半導体集積回路が不良となってしまう。
二次イオン質量分析(SIMS)で測定したFeの検出強度が1秒当たり5×102counts以下とすることが半導体集積回路の生産歩留向上の効果がより高いので、より好ましく、1×102counts以下とすることが特に好ましい。
【0011】
平行平板型のプラズマエッチング装置におけるプラズマエッチング電極の形状は一般に円板状である。本発明において、プラズマにより消耗する部分がガラス状炭素からなるプラズマエッチング電極とは、その円板全体がガラス状炭素からなるもの及びプラズマにより消耗する部分、即ち円板の中央部分(ガス吹き出し穴が設けられている範囲)がガラス状炭素からなり、その外周がその他の材料で構成されるものを含む。
【0012】
本発明に用いるプラズマエッチング電極を構成するガラス状炭素は、前記特性を満たすものであれば、その原料及び製造法に特に制限はない。
原料として用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、キシレン樹脂等を挙げることができる。また、これら樹脂の混合物を用いることもできる。これらの中で、フラン樹脂又はフェノール樹脂が好ましい。
【0013】
熱硬化性樹脂の種類に応じて、硬化剤が用いられる。硬化剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフロロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。硬化剤は熱硬化性樹脂に対して0.001〜20重量%使用することが好ましい。
前記熱硬化性樹脂は、必要に応じて前記硬化剤を添加した後、目的とする形状に応じて各種成形方法で成形した後、硬化処理する。この硬化は60〜200℃、より好ましくは70〜100℃の温度で熱処理して行うことが好ましい。
【0014】
必要に応じさらにプラズマエッチング電極板としての所定の加工を行った後、高度に純化された治具及び炉を用い不活性雰囲気中(通常、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや窒素、水素、ハロゲンガス等の非酸化性ガスの少なくとも一種の気体からなる酸素を含まない雰囲気、又は真空下)において、好ましくは800〜3000℃、より好ましくは1100〜2800℃の温度で焼成炭化する。ついで好ましくは1300〜3500℃の温度で熱処理しガラス状炭素を得ることができる。
【0015】
SIMSでのFe測定値を本発明の範囲内とするための方法は特に制限されないが、プラズマエッチング電極を、界面活性剤を添加したフッ硝酸、濃硫酸、王水等の強酸で洗浄する方法、HClガス雰囲気中で高温の熱処理を行う方法等が挙げられる。
【0016】
本発明のプラズマエッチング電極の大きさ及び形状としては、特に制限されないが、外径150〜400mm、厚さが3〜10mmの円板形のものが好ましい。電極をプラズマエッチング装置に取付けるための外周部の取付け穴は、8〜24個設けられることが好ましい。エッチングガスをシャワー状に分散させるためのガス吹出し穴は、取付け穴より内周部に設けられることが好ましい。このガス吹出し穴の大きさはエッチング条件等により異なるが穴径で0.3〜2.0mmが好ましく、穴数は100〜3000個が好ましい。穴の加工は、機械加工、放電加工、超音波加工等で行うことができる。
【0017】
プラズマエッチング電極の形状とする加工、ガス吹き出し穴の作製は、ガラス状炭素を得た後、放電加工、超音波加工等で行うこともできる。
本発明のプラズマエッチング装置は、プラズマエッチング電極として上記のものを使うこと以外は特に制限はない。その装置の一例としては、図1に示し、説明したものが挙げられ、図1において、プラズマエッチング電極6として上記のプラズマエッチング電極を用いればよい。
【0018】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。
なお本実施例のSIMS測定は、(株)日立製作所製IMA−3型を用いて、1次イオン種:O2+、1次イオン加速電圧:20KV、1次イオン電流:300nAの条件で行った。
測定した点は、ガラス状炭素製電極の中心点と、外周から10mmのところを90度ピッチで4点の合計5点であり、その平均値をもって各電極の値とした。
【0019】
実施例1〜8
原料樹脂にフェノール樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VP−112N)を用い、これに硬化剤としてトリクロロ酢酸8重量%を加え、70℃の加熱下、直径500mmのアルミ製シャーレに注型して樹脂板を得た。この樹脂板を70℃で3日、90℃で3日で加熱硬化した後、1℃/分の昇温速度で最高900℃で焼成炭素化し、次いで昇温速度5℃/分で最高3000℃で熱処理してガラス状炭素を得た。得られたガラス状炭素平板に放電加工によってガス吹き出し穴(穴径0.5mm、ピッチ10mm、個数500個)等を形成した後、ラップ、ポリッシュで表面仕上げしプラズマエッチング電極(外径200mm、厚さ3mm)の形状とした。
次いで濃度26重量%のフッ化水素酸と濃度60重量%の硝酸と界面活性剤(旭硝子製、商品名サーフロンS131)を5:5:1に混合したフッ硝酸に浸漬して超音波洗浄を行った。超音波洗浄時間を30分〜120分の範囲で変えてSIMSで測定して本発明のプラズマエッチング電極を得た。
【0020】
上記のプラズマエッチング電極を図1に示す構成のプラズマエッチング装置に取り付け、反応ガスとしてトリフロロメタン、フッ化メタンを各20SCCM流し、電源周波数400KHz、反応チャンバー内のガス圧0.05Torrの条件でシリコンウエハのエッチング加工を行った。次いでこのシリコンウエハ表面のFe汚染量を全反射型蛍光X線分析装置(テクノス(株)製、型式TREX610T)で測定した。測定結果を表1に示す。
【0021】
比較例1〜4
原料樹脂にフェノール樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VP−112N)を用い、これに硬化剤としてトリクロロ酢酸8重量%を加え、70℃の加熱下、直径500mmのアルミ製シャーレに注型して4つの樹脂板を得た。この樹脂板を70℃で3日、90℃で3日で加熱硬化した後、1℃/分の昇温速度で最高900℃で焼成炭素化し、次いで昇温速度5℃/分で最高3000℃で熱処理してガラス状炭素を得た。得られたガラス状炭素平板に放電加工によって実施例と同様にガス吹き出し穴等を形成した後、ラップ、ポリッシュで表面仕上げしプラズマエッチング電極の形状とした。次いで塩酸(濃度1重量%、3重量%、7重量%及び10重量%)で30分超音波洗浄した後、さらに純水で30分洗浄した。これをSIMSで測定して本発明の範囲外のプラズマエッチング電極を得た。
【0022】
上記のプラズマエッチング電極を実施例と同様にプラズマエッチング装置に取り付け、反応ガスとしてトリフロロメタン、フッ化メタンを各20SCCM流し、電源周波数400KHz、反応チャンバー内のガス圧0.05Torrの条件でシリコンウエハのエッチング加工を行った。次いでこのシリコンウエハ表面のFe汚染量を全反射型蛍光X線分析装置(テクノス(株)製、型式TREX610T)で測定した。測定結果を表2に示す。
表1及び表2のFe汚染量の測定結果は、6インチウエハの面内5点の平均値を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載のプラズマエッチング電極は、シリコンウエハのエッチング後の金属汚染を防止して半導体集積回路の生産歩留、使用開始直後の生産歩留を大幅に低減できる。
請求項2記載のプラズマエッチング装置は、シリコンウエハのエッチング後の金属汚染を防止して半導体集積回路の生産歩留、特に新たなプラズマエッチング電極を使用開始した直後の生産歩留を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマエッチング装置の概略図である。
【符号の説明】
1 真空容器
2 上部電極
3 下部電極
4 シリコンウエハ
5 バックプレート
6 プラズマエッチング電極
7 ガス吹き出し穴
8 高周波電源
9 シールドリング
10 取付用ビス
11 プラズマ
Claims (2)
- プラズマにより消耗する部分を、一次イオン種がO 2+ 及び一次イオン加速電圧が20KVの条件のもとで、二次イオン質量分析で測定し、そのときのFeの検出強度が1秒当たり1×103counts以下であるガラス状炭素からなるプラズマエッチング電極。
- 請求項1記載のプラズマエッチング電極を有してなるプラズマエッチング装置。
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JP08184298A JP3631368B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | プラズマエッチング電極及びそれを用いたプラズマエッチング装置 |
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JPH11283966A JPH11283966A (ja) | 1999-10-15 |
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- 1998-03-27 JP JP08184298A patent/JP3631368B2/ja not_active Expired - Lifetime
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