以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るドラム式洗濯機1の外観構成を示す斜視図である。
このドラム式洗濯機1は、たとえば、その外形が略直方体形状の筐体2により区画されている。筐体2の上面2Aの手前側には、たとえば、手前側に向かって低くなるように傾斜した傾斜面2Bが形成されており、筐体2の上面2Aから傾斜面2Bにかけての左右方向中央部には、外蓋3によって開閉可能な開口4が形成されている。
傾斜面2Bの開口4の右側には、たとえば、このドラム式洗濯機1の運転に関する各種設定(コース設定など)や、運転状況などの各種表示を行うための操作表示パネル5が配置されている。操作表示パネル5は、傾斜面2Bに配置されることにより斜め上方手前側を向いており、当該ドラム式洗濯機1の手前側に立ったユーザは、斜め下方に向かって操作表示パネル5の表面を垂直に見下ろすことができるようになっている。これにより、ユーザは、操作表示パネル5の表示を見やすく、操作もしやすい。
また、傾斜面2Bの開口4の左側には、たとえば、外蓋3を閉じた状態で機内に洗剤を投入するための洗剤容器6が、手前側に引き出し可能に配置されている。
図2は、ドラム式洗濯機1の縦断面図であって、前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。なお、図2では、外蓋3を省略して示している。
図2を参照して、筐体2の内部には、たとえば、両端面が閉塞された略円筒状の外槽7が、その軸線が左右(略水平)に延びるように配置されている。外槽7は、たとえば、その底面の手前側中央部および後側の左右両端部が、それぞれダンパ8(計3つ)により支持されている(図2では、2つだけ見えている)。
外槽7の内部には、洗濯物を内部に収容するためのドラム10が配置されている。ドラム10は、たとえば、両端面が閉塞された略円筒状の形状を有しており、その軸線が外槽7の軸線と同軸になるように左右(略水平)に延びている。
ドラム10の両端面には、それぞれ、当該ドラム10の軸線に沿って延びる回転軸11が取り付けられている。各回転軸11は、外槽7に対して軸線回りに回転可能に取り付けられている。回転軸11には、たとえばDD(ダイレクトドライブ)方式でモータ(図示せず)が連結されていて、このモータが回転駆動されることにより、回転軸11に連結されたドラム10が軸線回りに回転するようになっている。
筐体2の上面2Aには、たとえば、外部の水道設備(水道栓など)に至る給水ホースを接続するためのホース接続口2C(図1参照)が設けられている。洗濯時には、給水ホースを介して供給されてくる水道水(以下、簡略して「水」と呼ぶ)が、ホース接続口2Cから機内へと入り、給水管15を介して外槽7内に供給されるようになっている。
ドラム10の周面には、多数の通水孔(図示せず)が形成されており、外槽7内に供給された水は、これらの通水孔を通ってドラム10内に流入するようになっている。また、ドラム10の内周面には、ドラム10内の洗濯物を持ち上げるための突出したバッフル10Bが、円周方向の所定等角度ごと(たとえば、120°ごと)に1つずつ(計3つ)、それぞれ左右方向に延びるように設けられている。洗い工程では、ドラム10を回転させることにより、ドラム10内の洗濯物をバッフル10Bによって持ち上げ、ある程度の高さから自然落下させるといった動作(タンブリング)が繰り返されることにより、洗濯物が外槽7内に貯められた水の水面にたたきつけられて、たたき洗いが達成されるようになっている。
洗い工程が終了すると、洗濯物に含まれる洗剤成分を除去するためのすすぎ工程が行われ、その後に脱水工程へと移る。脱水工程では、ドラム10が高速回転(たとえば、300〜1000rpm)されて、洗濯物に含まれる水が遠心力により絞り出され、この洗濯物から出た水分が通水孔を通って外槽7側へ飛散する。
ドラム10の周面には、洗濯物の出し入れのための開口22が形成されている。そして、外槽7の周面には、筐体2の開口4と対向する位置に開口23が形成されている。外槽7の開口23およびドラム10の開口22は、たとえば、それぞれ外側(図2における上方)に向かって回動可能な中蓋24およびドラム蓋25により開閉可能となっていて、外蓋3、中蓋24およびドラム蓋25のすべてを開いた状態でドラム4内に洗濯物を出し入れできるようになっている。
中蓋24は、たとえば断面略円弧状の板状部材であって、その後端部が、外槽7に対して回動可能に取り付けられている。中蓋24を閉じた状態では、中蓋24の先端部が外槽7に係合し、開口23が水密に閉じられるようになっている。
中蓋24を開けるためには、まず、外蓋3を開かなければならない。外蓋3を開けると、外槽7の上方に中蓋24を開けるためのスペースが確保され、この状態で中蓋24の先端部を掴んで持ち上げることにより、中蓋24を上方へと回動させ、外槽7の開口23を開放することができる。
ドラム蓋25は、たとえば後蓋25Aと前蓋25Bとにより構成されている。後蓋25Aは、その後端部が、ドラム10の周面に対して回動可能に取り付けられている。一方、前蓋25Bは、その前端部が、ドラム10の周面に対して回動可能に取り付けられている。後蓋25Aの後端部および前蓋25Bの前端部は、たとえば棒状の連結部材26により連結されていて、後蓋25Aおよび前蓋25Bの一方を回動させると、それに連動して他方も回動するようになっている。また、後蓋25Aおよび前蓋25Bは、たとえば、ばねなどの付勢部材(図示せず)により、開く方向(上方)に向かって付勢されている。連結部材26は、たとえば、カバー27により覆われている。
前蓋25Bの後端部には、爪部25Cが突出して形成されており、後蓋25Aの前端部には、前蓋25Bの爪部25Cに対応する係合凹部25Dが形成されている。このような構成により、後蓋25Aおよび前蓋25Bを閉じた状態では、爪部25Cが係合凹部25Dに引っ掛かって、閉じた状態が維持されるようになっている。
ドラム蓋25を開けるためには、外蓋3および中蓋24が開かれて、ドラム10の上方にドラム蓋25を開けるためのスペースが確保されていなければならない。この状態で、ドラム蓋25の前蓋25Bを下方に押し下げることにより、爪部25Cと係合凹部25Dとの係合を外すことができる。
互いの係合が外れた後蓋25Aおよび前蓋25Bは、それぞれに与えられた付勢部材の付勢力によって、図2に示すような状態まで開き、ドラム10の開口22が大きく開放される。この実施形態では、中蓋24を開くことに応じてドラム蓋25の前蓋25Bが下方に押し下げられるようになっていて、これにより、中蓋24を開けばドラム蓋25も同時に開かれるようになっている。
ドラム蓋25を閉じるときは、後蓋25Aを下方に回動させるだけで、連結部材26を介して連結された前蓋25Bも一緒に下方へと回動させ、爪部25Cと係合凹部25Dとを係合させることができる。
図3および図4は、第1実施形態に係る外蓋31の構成について説明するための縦断面図であって、それぞれ前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。図3は、外蓋31を閉じた状態を示しており、図4は、外蓋31を開いた状態を示している。
図3および図4を参照して、この実施形態に係る外蓋31は、たとえば、左右方向に延びる複数本の棒状部材31Aを、互いに平行になるようにして可撓性を有する部材で連結することにより構成されており、いわゆる風呂蓋と同様の構成を有している。
外蓋31は、その左右側辺が筐体2の開口4の側縁に沿うようにスライド可能となっている。外蓋31を上記のような構成とすることにより、当該外蓋31は各棒状部材31A間で折曲可能となっており、開口4の側縁に沿って外蓋31が折れ曲がった状態で開口4が覆われるようになっている。
開口4の左右側縁の上部には、ガイド部材31Dが前後方向に延設されていて、外蓋31を開口4の側縁に沿ってスライドさせる際には、当該外蓋31の左右側端部の上面がガイド部材31Dの下面に沿うようになっている。これにより、外蓋31が開口4の側縁から浮かないようにガイド部材31Dで押さえることができる。
図3に示すように外蓋31で開口4の後端から前端までを覆った状態では、外蓋31の重力により、当該外蓋31に対して閉じる方向に向かって力が作用している。また、図3の状態では、外蓋31の後端部に形成された突起31Bが筐体2のストッパ部2Dに当接し、外蓋31がそれ以上手前側にスライドしないようになっている。このような構成により、外蓋31を図3に示す状態まで閉じると、当該外蓋31が閉じた状態で維持されるようになっている。
図3に示す状態から、外蓋31の前端部に形成された把持部31Cを掴んで、外蓋31を開口4の側縁に沿って後方側へとスライドさせると、それに伴って外蓋31が後側から筐体2内に収容されていく。このとき、外蓋31は、筐体2内の後側に、鉛直方向に垂れ下がった状態で収容されるようになっている。ただし、外蓋31は、巻物状に巻かれて収容されるようになっていてもよい。
外蓋31が所定位置まで開かれると、外蓋31の重力によって当該外蓋31に作用する力が、開く方向への力に切り替わる。したがって、ユーザが上記所定位置まで外蓋31を開くと、その後は自動的に外蓋31が開き、図4に示すように筐体2の開口4が開放された状態となる。このとき、外蓋31の把持部31Cが開口4の後端縁に当接し、外蓋31がそれ以上後方側にスライドしないようになっている。このような構成により、外蓋31が図4に示す状態まで開かれると、当該外蓋31が開いた状態で維持されるようになっている。
外蓋31を閉じる場合には、把持部31Cを掴んで手前側にスライドさせることにより上記所定位置まで外蓋31を閉じれば、外蓋31の重力によって当該外蓋31に作用する力が閉じる方向への力に切り替わり、その後は自動的に外蓋31が閉じることとなる。
この実施形態では、外蓋31の重力によって当該外蓋31に作用する力の向きが、上記所定位置で切り替わるようになっているので、外蓋31を開けるときには、閉じた状態から上記所定位置まで開くだけで、その後は自動的に外蓋31が開かれるようになっており、外蓋31を閉じるときには、開いた状態から上記所定位置まで閉じるだけで、その後は自動的に外蓋31が閉じられるようになっている。したがって、外蓋31をより楽に開閉できる。
また、外蓋31を開いたときには、当該外蓋31が筐体2内に収容されるようになっているので、当該ドラム式洗濯機1をその筐体2の後面が壁に沿うように設置したときでも、ドラム式洗濯機1内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋31がぶつかるといったことがない。
以上のように、この実施形態に係る外蓋31の構成によれば、外蓋31の開閉をより良好に行うことができる。
上記実施形態では、外蓋31の重力によって当該外蓋31に対して閉じる方向または開く方向に力が作用するような構成について説明したが、外蓋31に対して力を付与する付勢手段(ばねなど)が設けられていてもよい。
外蓋31に対して常に開く方向に力が作用するような構成として、外蓋31を閉じた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。また、外蓋31に対して常に閉じる方向に力が作用するような構成として、外蓋31を開いた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。
外蓋31は、手前側にスライドされることにより開口4が開放されるような構成であってもよい。この場合、外蓋31が筐体2内の前側に収容されるようになっていてもよい。
また、外蓋31は、その側辺が開口4の側縁に沿ってスライドするような折曲可能なものであれば、風呂蓋のような構成に限らず、たとえば可撓性を有するシート状の部材であってもよい。
さらに、外蓋31は、前後方向に開閉されるような構成に限らず、たとえば左右方向に開閉されるような構成であってもよい。
図5および図6は、第2実施形態に係る外蓋32の構成について説明するための縦断面図であって、それぞれ前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。図5は、外蓋32を閉じた状態を示しており、図6は、外蓋32を開いた状態を示している。
図5および図6を参照して、この実施形態に係る外蓋32は、たとえば、開口4の手前側を覆う前蓋321と、後方側を覆う後蓋322とを備えている。後蓋322は、左右に延びる回転軸323を介して、その後端部が筐体2の上面2Aに対して回動可能に取り付けられている。前蓋321は、左右に延びる回転軸324を介して、その後端部が後蓋322の前端部に対して回動可能に取り付けられている。外蓋32を開いた状態では、前蓋321と後蓋322とが上面2Aから上方に起立するように折り畳まれ、開口4が開放されるようになっている(図6参照)。
回転軸323には、捩じりコイルばね325が被せられている。捩じりコイルばね325は、その一端部が筐体2の上面に固定されていて、他端部が後蓋322の下面に当接している。図5に示すように外蓋32を閉じた状態では、捩じりコイルばね325の働きにより、後蓋322を持ち上げる方向(すなわち、外蓋32を開ける方向)に向かって付勢力が作用している。捩じりコイルばね325は、たとえば、回転軸323の中央部や一端部に1つだけ設けられていてもよいし、2個以上設けられていてもよい。
前蓋321の前端部中央には、たとえば、筐体2の前面上端部と係合して、外蓋32を閉じた状態に維持するための爪部326が形成されている。筐体2の前面上端部には、外蓋32を閉じた状態で爪部326に対向する位置に係合孔327が形成されていて、外蓋32を閉じた状態では、前蓋321の爪部326が係合孔327に係合するようになっている(図5参照)。このような構成により、外蓋32を閉じた状態では、捩じりコイルばね325による付勢力に抗して、外蓋32を閉じた状態に維持することができるようになっている。
筐体2の前面上端部には、係合孔327に対向する位置に、ユーザが手前側から押操作するための操作部材328が取り付けられている。この操作部材328は、筐体2の前面に対して回動可能に取り付けられており、筐体2の前面側に向かって(時計回りに)適当な力で付勢されている。
操作部材328には、係合孔327に貫通可能な突起328Aが備えられている。すなわち、外蓋32を閉じた状態では、係合孔327に係合した爪部326により、操作部材328が時計回りの付勢力に抗して反時計回りに押し上げられているが(図5参照)、ユーザが操作部材328を押操作すると、突起328Aが係合孔327に貫通して爪部326を押圧し、当該係合孔327に係合していた爪部326が係合孔327から退避されるようになっている。上述したように、外蓋32は開ける方向に向かって付勢されているので、爪部326が係合孔327から退避されると、外蓋32が自動的に折り畳まれ、図6に示すように開口4が開放された状態となる。
外蓋32を閉じるときには、ユーザは、前蓋321に形成された把持部321Aを掴んで、捩じりコイルばね325の付勢力に抗して前蓋321を手前側に引き寄せ、前蓋321の爪部326を係合孔327に係合させることとなる。
この実施形態では、操作部材328を押操作するだけで、ワンタッチで外蓋32を開くことができるので、外蓋32を開ける際に、外蓋32を開口4の前端部から後端部まで大きくスライドさせる必要がない。したがって、外蓋32をより楽に(良好に)開閉できる。
外蓋32(後蓋322)が勢いよく開くのを防止するためのダンパ(たとえば、回転軸323に取り付けられるオイルダンパなど)が設けられていてもよい。このような構成とすれば、外蓋32が勢いよく開いて破損したりするのを防止でき、より良好に外蓋32の開閉を行うことができる。
図7〜図9は、第3実施形態に係る外蓋33の構成について説明するための縦断面図であって、それぞれ前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。図7は外蓋33を閉じた状態、図8は外蓋33を途中まで開いた状態、図9は外蓋33を完全に開いた状態をそれぞれ示している。
図7〜図9を参照して、この実施形態に係る外蓋33は、たとえば、開口4の手前側を覆う前蓋331と、後方側を覆う後蓋332とを備えている。後蓋332は、左右に延びる回転軸333を介して、その後端部が筐体2の上面2Aに対して回動可能に取り付けられている。前蓋331は、左右に延びる回転軸334を介して、その後端部が後蓋332の前端部に対して回動可能に取り付けられている。外蓋33を開いた状態では、前蓋331と後蓋332とが上面2Aから上方に起立するように折り畳まれ、開口4が開放されるようになっている(図9参照)。
前蓋331の側面後端部と後蓋332の側面前端部とは、長手の連結部材335により互いに連結されている。連結部材335の前蓋331側の端部は、回転軸335Aを介して前蓋331の側面に回動可能に取り付けられている。一方、連結部材335の後蓋332側の端部には、突起335Bが形成されており、この突起335Bは、後蓋332の側面に沿って形成された長孔332Aに貫通している。また、連結部材335の後蓋332側の端部と、後蓋332の側面の中央部後側とは、引張コイルばね336を介して連結されている。このような連結部材335や引張コイルばね336を用いた構造は、外蓋33の一側面側にのみ設けられていてもよいし、両側面側に設けられていてもよい。
図7に示すように外蓋33を閉じた状態では、連結部材335が回転軸334の側方に延びており、引張コイルばね336の働きによって連結部材335を介して前蓋331に作用する付勢力は、図7に矢印で示すように回転軸334側に向かって作用する。したがって、外蓋33を閉じた状態では、引張コイルばね336による前蓋331に対する付勢力は、当該前蓋331を回動させる方向に向かってほとんど作用しないので、外蓋33は閉じた状態で維持されることとなる。このとき、連結部材335の突起335Bは、長孔332Aの前端縁に当接した状態となっている。
図7の状態から、ユーザが前蓋331に形成された把持部331Aを掴んで、前蓋331の後部を上方に持ち上げつつ後方にスライドさせると、連結部材335の突起335Bが長孔332Aに沿って後方側にスライドする。これにより、連結部材335の延びる位置が回転軸334よりも下方側に移動し、引張コイルばね336の働きによって連結部材335を介して前蓋331に作用する付勢力が、図8に矢印で示すように前蓋331を下方に回動させる方向(開ける方向)に作用することとなる。
したがって、図7のように外蓋33が閉じられた状態から所定位置まで外蓋33を開くと、その後は図9に示すように筐体2の開口4が開放された状態となるまで、外蓋33を開ける方向に力が作用することとなる。図9に示す状態では、連結部材335の突起335Bが長孔332Aの後端縁に当接し、外蓋33がそれ以上開かないようになっている。この状態では、図中に矢印で示すように、引張コイルばね336による付勢力が外蓋33を開く方向に作用しているので、外蓋33がこの状態(開いた状態)で維持される。
外蓋33を閉じるときには、ユーザは、前蓋331に形成された把持部331Aを掴んで、引張コイルばね336の付勢力に抗して前蓋331を図7の状態となるまで手前側に引き寄せることとなる。
この実施形態では、外蓋33を開けるときには、閉じられた状態から上記所定位置まで開くと、引張コイルばね336による付勢力が外蓋33を開く方向に向かって作用する。すなわち、引張コイルばね336による付勢力を強めに設定すれば、外蓋33を上記所定位置まで開くとその後は自動的に開くような構成とすることができる一方、引張コイルばね336による付勢力を弱めに設定すれば、外蓋33を上記所定位置まで開くとその後はより小さい力で外蓋33を開けることができる。したがって、外蓋33をより楽に開閉できる。
また、外蓋33を開いたときには、連結部材335の突起335Bが長孔332Aの後端縁に当接し、外蓋33がそれ以上開かないようになっているので、長孔332Aの長さを適当に調節すれば、当該ドラム式洗濯機1をその筐体2の後面が壁に沿うように設置したときでも、ドラム式洗濯機1内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋33がぶつかるといったことがない。
以上のように、この実施形態に係る外蓋33の構成によれば、外蓋33の開閉をより良好に行うことができる。
外蓋33(後蓋332)が勢いよく開くのを防止するためのダンパ(たとえば、回転軸333に取り付けられるオイルダンパなど)が設けられていてもよい。このような構成とすれば、外蓋33が勢いよく開いて破損したりするのを防止でき、より良好に外蓋33の開閉を行うことができる。
上記実施形態では、外蓋33が閉じた状態では引張コイルばね336の付勢力が前蓋331を回動させる方向に向かってほとんど作用しないような構成について説明したが、外蓋33に対して常に開く方向に付勢力が作用するような構成として、外蓋33を閉じた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。
図10〜図12は、第4実施形態に係る外蓋34の構成について説明するための縦断面図であって、それぞれ前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。図10は外蓋34を閉じた状態、図11は外蓋34を途中まで開いた状態、図12は外蓋34を完全に開いた状態をそれぞれ示している。
図10〜図12を参照して、この実施形態に係る外蓋34は、たとえば、開口4の手前側を覆う前蓋341と、後方側を覆う後蓋342とを備えている。後蓋342は、左右に延びる回転軸343を介して、その後端部が筐体2の上面2Aに対して回動可能に取り付けられている。前蓋341は、左右に延びる回転軸344を介して、その後端部が後蓋342の前端部に対して回動可能に取り付けられている。外蓋34を開いた状態では、前蓋341と後蓋342とが上面2Aから上方に起立するように折り畳まれ、開口4が開放されるようになっている(図12参照)。
開口4の両側縁には、それぞれ開口4の内方(左右方向)に突出する側縁板4Aが形成されている。側縁板4Aの前端部は、下方へと折れ曲がった形状となっている(図11,12参照)。
前蓋341の側面の前端部には、側縁板4Aに沿って移動可能なガイド部材345が、回転軸346を介して回動可能に取り付けられている。ガイド部材345は、その一端部が回転軸346に対して回動可能に取り付けられた基部345Aと、基部345の他端部から当該基部345が延びる方向に対して直交する方向(左右方向)に突出して形成され、側縁板4Aの下面(内面)に当接する当接部345Bとを含む略L字状の形状となっている。このように、前蓋341の前端部が側縁板4Aに沿ってガイドされるような構成(すなわち、外蓋34の前端部および後端部がいずれも筐体2に係合するような構成)とすることにより、外蓋34が開閉される際に捩じれるのを防止でき、外蓋34の開閉をよりスムーズにすることができる。したがって、外蓋34の開閉をより良好に行うことができる。
回転軸346には、捩じりコイルばね347が被せられている。捩じりコイルばね347は、その一端部が前蓋341の下面に当接し、他端部がガイド部材345の基部345Aの後面に当接している。捩じりコイルばね347の働きにより、ガイド部材345には、当該ガイド部材345を手前側(時計回り)に回転させる方向に向かって付勢力が作用している。このようなガイド部材345や捩じりコイルばね347を用いた構造は、外蓋34の一側面側にのみ設けられていてもよいし、両側面側に設けられていてもよい。
図10に示すように外蓋34を閉じた状態では、ガイド部材345が側縁板4Aの前端部(下方へと折れ曲がった部分)に位置している。この状態では、ガイド部材345は、捩じりコイルばね347の付勢力に抗して後方側(反時計回り)に回動されていて、捩じりコイルばね347の働きによってガイド部材345(当接部345B)を介して側縁板4Aに作用する付勢力は、図10に矢印で示すように前蓋341が延びる方向に向かって作用している。したがって、外蓋34を閉じた状態では、捩じりコイルばね347の付勢力によって回転軸346に作用する反作用力は、上記矢印とは逆向きの力となり、前蓋341を回動させる方向に向かってほとんど作用しないので、外蓋34は閉じた状態で維持されることとなる。
図10の状態から、ユーザが前蓋341に形成された把持部341Aを掴んで、前蓋341の後部を上方に持ち上げつつ後方にスライドさせると、捩じりコイルばね347の付勢力によってガイド部材345が時計回りに回転し、当接部345Bが側縁板4Aに沿って上方に移動する。そして、ガイド部材345の当接部345Bと前蓋341の側縁部の下面とで側縁板4Aが挟まれた状態となる(図11参照)。これにより、重力によって手前側(閉じる方向)に変位しようとする前蓋341を、側縁板4Aの下面と当接部345B、および側縁板4Aの上面と前蓋341の下面の間にそれぞれ生じる摩擦力で静止させることができる。したがって、開閉の途中で把持部341Aから手を離した場合に、外蓋34が重力で自動的に閉まるのを防止できるので、外蓋34が破損しにくい。
外蓋34がさらに開かれて、図12に示すように筐体2の開口4が完全に開放された状態になると、ガイド部材345の当接部345Bが開口4の後端縁に当接し、外蓋34がこれ以上開かないようになっている。
外蓋34を閉じるときには、ユーザは、前蓋341に形成された把持部341Aを掴んで、前蓋341を図10の状態となるまで手前側に引き寄せることとなる。
この実施形態では、外蓋34を完全に開いたときには、ガイド部材345の当接部345Bが開口4の後端縁に当接し、外蓋34がそれ以上開かないようになっているので、この外蓋34が完全に開く位置を適当に調節すれば、当該ドラム式洗濯機1をその筐体2の後面が壁に沿うように設置したときでも、ドラム式洗濯機1内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋33がぶつかるといったことがない。したがって、外蓋34の開閉をより良好に行うことができる。
外蓋34に対して開ける方向に力を付与する付勢手段(ばねなど)が設けられていてもよい。この場合、外蓋34に対して常に開く方向に力が作用するような構成として、外蓋34を閉じた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。
図13および図14は、第5実施形態に係る外蓋35の構成について説明するための縦断面図であって、それぞれ前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。図13は、外蓋35を閉じた状態を示しており、図14は、外蓋35を開いた状態を示している。
図13および図14を参照して、この実施形態に係る外蓋35は、たとえば、開口4の手前側を覆う前蓋351と、後方側を覆う後蓋352とを備えている。前蓋351は、開口4のうち筐体2の傾斜面2Bに形成されている部分を覆っており、後蓋352は、開口4のうち筐体2の上面2Aに形成されている部分を覆っている。すなわち、開口4のうち筐体2の上面2Aと傾斜面2Bとの境界線より手前側が前蓋351により覆われており、その境界線よりも後側が後蓋352により覆われている。前蓋351および後蓋352は、それぞれ左右方向に延びる複数本の棒状部材351A,352Aを、互いに平行になるようにして可撓性を有する部材で連結することによって構成されており、第1実施形態に係る外蓋31と同様に、いわゆる風呂蓋のような構成を有している。
前蓋351および後蓋352は、それぞれの左右側辺が筐体2の開口4の側縁に沿うようにスライド可能となっている。外蓋35を上記のような構成とすることにより、当該外蓋35は各棒状部材351A,352B間で折曲可能となっており、開口4の側縁に沿って外蓋35が折れ曲がった状態で開口4が覆われるようになっている。
開口4の左右側縁の上部には、ガイド部材353が前後方向に延設されていて、前蓋351および後蓋352を開口4の側縁に沿ってスライドさせる際には、前蓋351および後蓋352の左右側端部の上面がガイド部材353の下面に沿うようになっている。これにより、前蓋351および後蓋352が開口4の側縁から浮かないようにガイド部材353で押さえることができる。
筐体2内には、当該筐体2内の手前側から後側まで巡らされた無端状のワイヤ354と、このワイヤ354が架け回された複数個の滑車355とが備えられている。ワイヤ354および滑車355は、前蓋351および後蓋352の開閉を連動させるための連動機構であって、前蓋351の後端部および後蓋352の後端部は、それぞれ連結部材356によってワイヤ354に固定されている。
図13に示すように外蓋35で開口4の後端から前端までを覆った状態では、後蓋352の後端部に形成された突起352Bが筐体2のストッパ部2Dに当接し、後蓋352がそれ以上手前側にスライドしないようになっている。図13に示す状態から、前蓋352の後端部に形成された把持部351Bを掴んで、前蓋351を開口4の側縁に沿って手前側にスライドさせると、連動機構(ワイヤ354および滑車355)の働きによって、後蓋352が後側から筐体2内に収容されていく(図14参照)。
このとき、後蓋352は、筐体2内の後側に、鉛直方向に垂れ下がった状態で収容されるようになっている。一方、前蓋351は、筐体2の前面手前側に沿って、鉛直方向に垂れ下がった状態となる。ただし、外蓋35を開けたとき、前蓋351および後蓋352が巻物状に巻かれるようになっていてもよい。また、前蓋351は、筐体2内の手前側に収容されるようになっていてもよい。
外蓋35を閉じる場合には、ユーザは、把持部351Bを掴んで、前蓋351を後方側にスライドさせることとなる。これにより、後蓋352も連動させて手前側にスライドさせ、図13に示すように開口4を閉じることができる。
上記実施形態では、開口4の前後方向の長さに対して、その約半分の長さ分だけ前蓋351をスライドさせるだけで開口4を開閉することができるので、外蓋35をより楽に開閉できる。
また、外蓋35を開いたときには、後蓋352が筐体2内に収容されるようになっているので、当該ドラム式洗濯機1をその筐体2の後面が壁に沿うように設置したときでも、ドラム式洗濯機1内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋35がぶつかるといったことがない。
以上のように、この実施形態に係る外蓋35の構成によれば、外蓋35の開閉をより良好に行うことができる。
外蓋35に対して開閉方向に力を付与する付勢手段(ばねなど)が設けられていてもよい。この場合、外蓋35に対して常に開く方向に力が作用するような構成として、外蓋35を閉じた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。また、外蓋35に対して常に閉じる方向に力が作用するような構成として、外蓋35を開いた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。
把持部351Bは、前蓋351の後端部ではなく、後蓋352の前端部に設けられていてもよい。また、把持部351Bが、前蓋351の後端部と後蓋352の前端部との両方に設けられた構成であれば、前蓋351および後蓋352のいずれをスライドさせることによっても外蓋35を開閉させることができ、便利である。
前蓋351および後蓋352は、その側辺が開口4の側縁に沿ってスライドするような折曲可能なものであれば、風呂蓋のような構成に限らず、たとえば可撓性を有するシート状の部材であってもよい。
後蓋352は、その側辺が開口4の側縁に沿ってスライドするような構成ではなく、たとえば、互いに回動可能に取り付けられた2枚の蓋からなり、筐体2の上面2Aから上方に起立するように折り畳むことができるような構成であってもよい。
外蓋35は、前後方向に開閉されるような構成に限らず、たとえば左右方向に開閉されるような構成であってもよい。
図15および図16は、第6実施形態に係る外蓋36の構成について説明するための平面図である。図15は、外蓋36を閉じた状態を示しており、図16は、外蓋36を開いた状態を示している。
図15および図16を参照して、この実施形態に係る外蓋36は、たとえば、開口4の手前側を覆う前蓋361と、後方側を覆う後蓋362とを備えている。後蓋362は、前後に延びる回転軸363を介して、その左端部が筐体2の上面2Aに対して回動可能に取り付けられている。前蓋361は、回転軸364を介して、その後端部が後蓋362の前端部に対して回動可能に取り付けられている(図16参照)。これにより、外蓋36は、前蓋361と後蓋362とが折り畳まれる方向(前後方向)とは交叉する方向(左右方向)に回動可能となっている。
図15に示すように外蓋36が閉じられた状態から、ユーザが前蓋361に形成された把持部(図示せず)を掴んで、回転軸363を中心にして前蓋361および後蓋362を左側上方へと回動させつつ、回転軸364を中心にして前蓋361を後蓋362に対して後方側に回動させることにより、前蓋361と後蓋362とが開口4の左側で上面2Aから上方に起立するように折り畳まれ、開口4が開放されるようになっている(図16参照)。
この実施形態では、外蓋36を開口4の左側に折り畳むことができるので、外蓋36の開閉時に、外蓋36を開口4の前端部と後端部との間で前後に大きくスライドさせる場合と比較して、外蓋36をより楽に開閉できる。
また、外蓋36を開口4の左側に折り畳むことができるので、当該ドラム式洗濯機1をその筐体2の後面が壁に沿うように設置したときでも、ドラム式洗濯機1内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋36がぶつかるといったことがない。
以上のように、この実施形態に係る外蓋36の構成によれば、外蓋36の開閉
をより良好に行うことができる。
後蓋362に対して開ける方向に力を付与する付勢手段(ばねなど)が設けられていてもよい。この場合、後蓋362に対して常に開く方向に力が作用するような構成として、外蓋36を閉じた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。
前蓋361は、後蓋362の右側に折り畳まれるのではなく、後蓋362の左側に折り畳まれるようになっていてもよい。
また、前蓋361と後蓋362とが開口4の左側に折り畳まれるような構成に限らず、開口4の右側に折り畳まれるような構成であってもよいし、開口4の斜め後方側に折り畳まれるような構成であってもよい。
外蓋36は、2枚の蓋(前蓋361および後蓋362)で構成されるものに限らず、3枚以上の蓋で構成されるものであってもよい。
図17および図18は、第7実施形態に係る外蓋37の構成について説明するための縦断面図であって、それぞれ前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。図17は、中蓋24および外蓋37を閉じた状態を示しており、図18は、中蓋24および外蓋37を開いた状態を示している。
図17および図18を参照して、この実施形態に係る外蓋37は、たとえば、開口4の前端部を覆う前蓋371と、前蓋371よりも後方側(開口4の大部分)を覆う後蓋372とを備えている。前蓋371は、前後方向(奥行き方向)の寸法が相対的に短く、後蓋372は、前後方向の寸法が相対的に長い。
後蓋372は、左右に延びる回転軸373を介して、その後端部が筐体2の上面2Aに対して回動可能に取り付けられている。前蓋371は、左右に延びる回転軸374を介して、その後端部が後蓋372の前端部に対して回動可能に取り付けられている。外蓋37を開いた状態では、後蓋372が上面2Aから上方に起立するとともに、前蓋371が後蓋372の前端片から下方途中部まで折り畳まれ、開口4が開放されるようになっている(図18参照)。この状態では、従来のように前蓋が後蓋の前面全体に対向して折り畳まれるような構成と比較して、外蓋37の重心が後方側にずれている。したがって、後蓋372の回動量(後方側に倒れる量)が小さくても、外蓋37を折り畳んだ状態で良好に保持することができる。
後蓋372の側面の後側は、長手の連結部材375により、筐体2の側面板2Eに連結されている。連結部材375の後蓋372側の端部は、回転軸375Aを介して後蓋372の側面に回動可能に取り付けられている。一方、連結部材375の側面板2E側の端部には、突起375Bが形成されており、この突起375Bは、筐体2の側面板2Eに形成された長孔375Cに貫通している。このような連結部材375を用いた構造は、外蓋37の一側面側にのみ設けられていてもよいし、両側面側に設けられていてもよい。
図17に示すように外蓋37を閉じた状態では、連結部材375の突起375Bが長孔375Cの前端縁に当接している。この状態から、ユーザが前蓋371に形成された把持部371Aを掴んで、前蓋371を上方に持ち上げつつ後方にスライドさせると、連結部材375の突起375Bが長孔375Cに沿って後方側にスライドする。そして、図18に示すように外蓋37が開いた状態では、連結部材375の突起375Bが長孔375Cの後端縁に当接し、外蓋37がそれ以上開かないようになっている。
外蓋37を閉じるときには、ユーザは、前蓋371に形成された把持部371Aを掴んで、当該前蓋371を図17の状態となるまで手前側に引き寄せることとなる。
上記実施形態では、前蓋371が後蓋372に対して相対的に短い形状となっているので、図18に示すように外蓋37を開いた後、中蓋24を開けると、中蓋24が後蓋372の手前側に対向し、前蓋371が中蓋24の上方に位置するようになっている。すなわち、外蓋37を折り畳んで開いた状態で中蓋24を開けた場合に、中蓋24の前端部(上端部)が、折り畳まれた状態の前蓋371に重ならないようになっている。これにより、折り畳まれた前蓋372の手前側に中蓋24が対向するような構成と比較して、後蓋372の後方側への回動量が小さくても中蓋24を十分に開くことができる。したがって、当該ドラム式洗濯機1をその筐体2の後面が壁に沿うように設置した場合でも、ドラム式洗濯機1内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋37がぶつかるのを防止できるので、外蓋37の開閉をより良好に行うことができる。
外蓋37に対して開ける方向に力を付与する付勢手段(ばねなど)が設けられていてもよい。この場合、外蓋37に対して常に開く方向に力が作用するような構成として、外蓋37を閉じた状態で維持するための手段(爪など)を別途設けてもよい。
外蓋37は、2枚の蓋(前蓋371および後蓋372)で構成されるものに限らず、3枚以上の蓋で構成されるものであってもよい。
図19は、この発明の第8実施形態に係るドラム式洗濯機100の外観構成を示す斜視図である。
このドラム式洗濯機100は、たとえば、その外形が略直方体形状の筐体200により区画されている。筐体200の上端面は開口となっていて、この筐体200の上端面を覆うように、上カバー210が上方から被せられている。上カバー210の上面には、その左右方向中央部の前端から後端部にかけて、外蓋38によって開閉可能な開口4が形成されている。外蓋38は、その左右側辺が筐体200の開口4の左右両側縁に沿うようにして前後方向にスライド可能となっている。
外蓋38の前端部には、たとえば、当該外蓋38をスライドさせる際にユーザが把持するための樹脂製の把持部材38Aが取り付けられている。この把持部材38Aは、その左右方向の長さが外蓋38の左右方向の長さ(幅)と略一致する長手形状であって、その中央部には、ユーザが把持するための突状把持部38Bが形成されている。
上カバー210の後端の角部には、左右方向に延びる後カバー220が上方から被せられている。この後カバー220を取り付けた状態では、後カバー220の上面が上カバー210の上面と面一になる。後カバー220の上面の左端部には、たとえば、外部の水道設備(水道栓など)から当該ドラム式洗濯機100内に水道水を導入するための水道水導入口2Fが設けられている。一方、後カバー220の上面の右端部には、たとえば、当該ドラム式洗濯機100内に風呂水を導入するための風呂水導入口2Gが設けられている。洗濯時には、水道水導入口2Fから機内に導入される水道水、または風呂水導入口2Gから機内に導入される風呂水を用いて洗濯が行われる。
上カバー210の上面の右手前側(開口4の右側)には、第1実施形態に係るドラム式洗濯機1と同様に、当該ドラム式洗濯機100の運転に関する各種設定(コース設定など)や、運転状況などの各種表示を行うための操作表示パネル5が配置されている。また、上カバー210の上面の左手前側(開口4の左側)には、たとえば、機内に洗剤を投入するための洗剤容器6が、手前側に引き出し可能に配置されている。
図20は、外蓋38の構成について説明するための一部拡大側面図である。
この外蓋38は、第1実施形態に係るドラム式洗濯機1の外蓋31と類似の構成であって、左右方向に延びる複数本の棒状部材381を、互いに平行になるように連結することにより構成されている。各棒状部材381内には、長手方向に延びる貫通孔381Aが、たとえば2つ形成されている。
各棒状部材381の一方の長辺側側部には、その上部から下方に向かって屈曲するフック部381Bが形成されている。また、各棒状部材381の他方の長辺側側部には、その下部から上方に向かって略円弧状に湾曲するフック受け部381Cが形成されている。フック部381Bの先端部は、側面視で略円形状に形成されていて、このフック部381Bの先端部が、略円弧状に湾曲するフック受け部381内に嵌め込まれることによって、隣接する棒状部材381が互いに連結されるようになっている。フック部381Bとフック受け部381Cとは互いに回動可能に嵌め合わされていて、これにより、隣接する棒状部材381が互いに回動可能となっている。このような構成により、外蓋38を各棒状部材381間で折曲可能な風呂蓋に類似の構成とすることができる。
この外蓋38のフック部381Bとフック受部381Cとの連結は、隣接する2つの棒状部材381が少し折れた状態で、フック部381B側が、連結された棒状部材381の方向(図20の矢印A方向)に押されるほうが、フック受部381側が、連結された棒状部材381の方向(図20の矢印B方向)に押されるよりも外れやすい。このため、外蓋38の開放方向は、連結の外れにくい矢印B方向にされている。これにより、外蓋38は、後述するように、後方へスライドされた後、下方に向きを変えられるが、外蓋38の開放方向を、棒状部材の連結が外れにくい方向としたので、スライドの向きが変えられるその屈曲部分において、万一、外蓋38の動きが悪くなっても、外蓋38のフック部381Bとフック受部381Cとの連結が外れるのを防止できる。なお、フック部381Bとフック受部381との連結部には、動きを良くするためにシリコンオイル(潤滑剤)が塗布されている。
この実施形態では、互いに連結された複数の棒状部材381(外蓋38の本体)の上面が、可撓性を有する外蓋シート382で覆われている。外蓋シート382の厚さは、たとえば0.5mm程度である。この外蓋シート382は、各棒状部材381間で外蓋38が折れ曲がるのに伴って湾曲するようになっている。この外蓋シート382により、各棒状部材381の連結部の上部に形成される凹部381Dに、ごみなどが入り込むのを防止できる。また、外蓋38の上面を外蓋シート382で覆ったほうが、風呂蓋状に連結された複数の棒状部材381が露出した構成よりも見た目がよい。さらに、外蓋シート382の上面にデザインを施せば、当該ドラム式洗濯機100の意匠性を向上できる。ただし、外蓋38は、外蓋シート382を備えていない構成であってもよい。
図21は、ドラム式洗濯機100の縦断面図であって、前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。この図21では、外蓋38を省略して示している。なお、この実施形態に係るドラム式洗濯機100の内部構造は、第1実施形態に係るドラム式洗濯機1の内部構造とほぼ同様(図2参照)であるので、第1実施形態に係るドラム式洗濯機1と同様の構成については、図に同一符号を付してその説明を省略する。
このドラム式洗濯機100の上カバー210の上面は、たとえば、その後端部(開口4の後端縁を構成する部分)の左右両側から前方に向かって、一旦上方に凸湾曲した後、前端まで下り傾斜した形状となっている。すなわち、上カバー210の上面は、その開口4の左右両側の部分が、手前側に向かって下り傾斜した傾斜面212と、この傾斜面212の後方に連設され、後方に向かって下り傾斜した傾斜面211とにより構成されていて、これにより、上カバー210の上面の後方寄りの位置が最も高くなるように凸湾曲している。各傾斜面211,212は、それぞれ凸湾曲面となっている。
上カバー210の傾斜面211,212の開口4側の端部は、外蓋38の下面(複数の棒状部材381の下面)の左右両側縁を受けて、開口4に沿って前後方向にスライドさせるための受け部213を形成している。また、上カバー210には、受け部213に対して所定間隔(外蓋38の厚さと同程度)を空けて対向するガイド部材230が取り付けられている。このガイド部材230により、外蓋38の上面の左右両側縁が開口4の側縁から浮かないように押えられるようになっている。
上カバー210の上面の後端部(開口4の後端縁よりも後側)は、後方に向かって低くなるように若干傾斜した後、滑らかに屈曲して下方へ向かう屈曲面214となっている。この屈曲面214は、開口4側から後方へとスライドされてきた外蓋38の下面を受けて、筐体200内の後側へと鉛直方向に導く役割を果たしている。この実施形態では、屈曲面214の手前側に後方に向かって下り傾斜した傾斜面211が形成されているので、開口4側から後方にスライドさせる外蓋38を、傾斜面211に沿って斜めに屈曲面214へと向かわせることができる。これにより、屈曲面214の屈曲部の曲率を大きくすることができるので、外蓋38を屈曲面214に沿ってより滑らかに下方に導くことができる。
後カバー220は、上カバー210の屈曲面214に対向するようにして上方から被せられる。上カバー210の下面の左右両側には、取付状態で屈曲面214に対して所定間隔(外蓋38の厚さと同程度)を空けて対向し、ガイド部材230の下面に連設されるガイド面221が形成されている。外蓋38を開口4の側縁に沿って後方へとスライドさせると、それに伴って外蓋38が屈曲面214とガイド面221との間の空間222を通って、後側から筐体200内に収容されていく。
屈曲して鉛直方向に向かう屈曲面214は、外槽7よりも高い位置までしか延びていない。すなわち、外蓋38は、屈曲面214よりも下方では、その左右側縁がガイドされておらず、筐体200内の後側に、鉛直方向に垂れ下がった状態で収容されるようになっている。これにより、簡単な構成で、外蓋38を外槽7の後方に形成された縦長の狭いスペース内に収容することができる。また、外槽7の後方に、外蓋38の左右側縁をガイドするためのレール(ガイド部材)を設ける必要がないので、運転中などに外槽7が振動して上記レールにぶつかり、当該レールが破損するといったことがない。
外槽7の外周面の後側上部には、鉛直方向に延びるガイド面71Aを有する突出部71が形成されている。この突出部71のガイド面71Aは、屈曲面214の下方への延長線上に延びる滑らかな面であって、筐体200内の後側に鉛直方向に沿ってスライドされてきた外蓋38は、その外槽7側の面がガイド面71Aに沿うようにして、スムーズに下方に送られるようになっている。したがって、外蓋38をより良好に開閉できる。
通常、外槽7の外周面には多数の構成部材(リブなど)が設けられているので、筐体200内の後側に鉛直方向に沿ってスライドされてきた外蓋38の端部(後端)が外槽7の外周面に干渉した場合には、当該外槽7の上記構成部材に外蓋38の端部が引っ掛かって、外蓋38を筐体200内の後側に良好に収容できない場合がある。この実施形態では、筐体200内の後側に鉛直方向に沿ってスライドされてきた外蓋38の外槽7側の面を、外槽7の外周面の構成部材よりも後側に張り出したガイド面71Aでガイドすることにより、外蓋38の端部が外槽7に干渉するのを防止できるようになっている。したがって、外蓋38を筐体200内の後側(外槽7の後方)に確実に収容することができるので、外蓋38をより良好に開くことができる。ただし、ガイド面71Aを設けない構成であってもよい。
外蓋38で開口4の後端から前端までを覆った状態では、外蓋38の重力により、当該外蓋38に対して閉じる方向に向かって力が作用し、当該外蓋38が閉じた状態で維持される一方、外蓋38が所定位置まで開かれると、外蓋38の重力によって当該外蓋38に作用する力が開く方向への力に切り替わって、その後は自動的に外蓋38が開くようになっている点は、第1実施形態に係るドラム式洗濯機1の外蓋31の場合と同様である。外蓋38を閉じる場合には、上記所定位置まで外蓋38を閉じれば、外蓋38の重力によって当該外蓋38に作用する力が閉じる方向への力に切り替わり、その後は自動的に外蓋38が閉じる。
この実施形態では、外蓋38の重力によって当該外蓋38に作用する力の向きが、上記所定位置で切り替わるようになっているので、外蓋38を開けるときには、閉じた状態から上記所定位置まで開くだけで、その後は自動的に外蓋38が開かれるようになっており、外蓋38を閉じるときには、開いた状態から上記所定位置まで閉じるだけで、その後は自動的に外蓋38が閉じられるようになっている。したがって、外蓋38をより楽に開閉できる。
また、外蓋38を開いたときには、当該外蓋38が筐体200内に収容されるようになっているので、当該ドラム式洗濯機100をその筐体200の後面が壁に沿うように設置したときでも、ドラム式洗濯機100内に水を導入するために壁面から突出して設けられた水道栓に外蓋38がぶつかるといったことがない。
図22および図23は、外蓋38の取付態様について説明するための断面図である。図22は、外蓋38を棒状部材381の部分で左右方向に沿って切断したときの断面を前方から見た図を示しており、図23は、外蓋38を把持部材38Aの部分で左右方向に沿って切断したときの断面を前方から見た図を示している。なお、外蓋38の取付態様は左右両側で同様の構成を有しているので、図22および図23では、左側の取付態様についてのみ説明し、右側の取付態様についての説明は省略する。
図22および図23を参照して、ガイド部材230は、前後方向に長手の部材であって、その開口4と反対側の側縁には、下方に突出する嵌入部231が形成されている。上カバー210の上面には、ガイド部材230の嵌入部231に対応する形状の嵌入凹部215が前後方向に延びており、この嵌入凹部215に嵌入部231が嵌め込まれることにより、上カバー210の上面に沿って、ガイド部材230が前後方向に延びるように取り付けられる(図21参照)。
ガイド部材230の開口4側の側縁には、下方に突出するリブ232が形成されている。上カバー210の上面には、上記嵌入凹部215の開口4側に隣接して一段低く形成された段部216が配置されていて、この段部216の開口4側の側縁には、上方に突出するリブ217が形成されている。このリブ217の上端面は、上述した外蓋38の下面の左右両側縁を受けてガイドするための受け部213を構成している。上カバー210の段部216と、ガイド部材230と、それぞれの開口4側の側縁に形成されたリブ217,232とにより囲まれた空間は、外蓋38の側縁部を受けてガイドするためのガイド用凹部213Aを形成している。
図22を参照して、複数の棒状部材381のうち所定の棒状部材には、その貫通孔381Aに嵌入部材383が嵌め込まれている。嵌入部材383は、たとえば、貫通孔381Aに嵌め込まれる嵌入部383Aと、嵌入部383Aの挿入方向反対側の端部から上方に突出する上突出部383Bと、嵌入部383Aの挿入方向反対側の端部から下方に突出する下突出部383Cとを備えている。嵌入部材383は、その嵌入部383Aが貫通孔381Aに嵌入されて、上突出部383Bと下突出部383Cとがそれぞれ棒状部材381の端面に当接した状態で取り付けられる。
外蓋38の側縁部がガイド用凹部213Aに受けられた状態では、各棒状部材381の下面の側縁部が上カバー210のリブ217によって下方から支持されるとともに、嵌入部材383の上突出部383Bと下突出部383Cとがガイド用凹部213A内に収容された状態となる。この状態では、外蓋38をガイド用凹部213Aと反対側に変位させようとしても、下突出部383Cが上カバー210のリブ217に引っ掛かり、上突出部383Bがガイド部材230のリブ232に引っ掛かる。
図23を参照して、把持部材38Aの上面の側縁部には、1段低く形成された段部38Cが配置されていて、把持部材38Aの側板部38Dの上部が段部38Cよりも上方に突出している。外蓋38の側縁部がガイド用凹部213Aに受けられた状態では、把持部材38Aの側板部38Dがガイド用凹部213A内に収容され、当該側板部38Dの下端面が上カバー210の段部216によって支持される。この状態では、ガイド部材230のリブ232が把持部材38Aの段部38Cに近接して対向しており、外蓋38をガイド用凹部213Aと反対側に変位させようとしても、把持部材38Aの側板部38Dの上部(段部38Cよりも上方に突出した部分)がガイド部材230のリブ232に引っ掛かるとともに、側板部38Dの下部が上カバー210のリブ217に引っ掛かる。
上記のような構成とすれば、ユーザが外蓋38を開閉する際に、前後方向と交叉する方向(たとえば、左右方向)に力が加わった場合でも、嵌入部材383の上突出部383Bおよび下突出部383Cと、把持部材38Aの側板部38Dとが、ガイド部材230および上カバー210にそれぞれ形成されたリブ232,217に引っ掛かるので、外蓋38の側縁部がガイド用凹部213Aから外れることがない。したがって、より良好に外蓋38を開閉できる。
図24は、外蓋38の平面図である。複数の棒状部材381の中には、その貫通孔381Aに嵌入部材383が嵌め込まれた棒状部材と、嵌入部材383が嵌め込まれていない棒状部材とがある。この実施形態では、たとえば、左右両端部に嵌入部材383が嵌め込まれた棒状部材381が、嵌入部材383が嵌め込まれていない複数の棒状部材381を挟んで、前後方向に等間隔で5つ配置されている。
外蓋シート382は、その左右方向の長さが棒状部材の長さよりも長く形成されていて、外蓋シート382の左右側端部が棒状部材381よりも側方に張り出している。外蓋シート382は、その下面が棒状部材381の上面に当接するように取り付けられるので、嵌入部材383が嵌め込まれた棒状部材381に対向する外蓋シート382の側端部には、棒状部材381の上面よりも上方に突出した嵌入部材383の上突出部383Bを貫通させるための貫通孔382Aが必要になる。
そこで、この実施形態では、嵌入部材383を嵌め込んだ棒状部材381の上突出部383Bに対応する位置に、当該上突出部383Bを貫通させるための貫通孔382Aを形成している。貫通孔382Aは、嵌入部材383の上突出部383Bよりも前後方向に長い長孔に形成されている。
ただし、左右両端部に嵌入部材383が嵌め込まれた棒状部材381を、嵌入部材383が嵌め込まれていない複数の棒状部材381を挟んで前後方向に等間隔で配置する構成に限らず、互いに隣接する複数の棒状部材381に対して1つ置きに嵌入部材383を嵌め込んでもよいし、隣接する複数の棒状部材381に嵌入部材383を嵌め込んでもよい。
外蓋シート382の後端部には、左右方向に沿って複数(たとえば、3つ)の取付孔382Bが並べて形成されている。この取付孔382Bは、前後方向に延びる長孔に形成されていて、当該取付孔382Bに上方から固定具384(たとえば、ねじ)の軸部384Aが挿通されて外蓋38の本体に取り付けられる。これにより、固定具384の頭部384Bの下面で、外蓋シート382の後端部が外蓋38の本体の上面から浮き上がらないように押えることができる。
外蓋38が各棒状部材381間で折り曲げられて、それに伴って外蓋シート382が湾曲した場合には、外蓋シート382の取付孔382Bと外蓋38の本体に対する固定具384の取付位置との相対位置が前後方向にずれることとなる。この実施形態では、貫通孔382Aが嵌入部材383の上突出部383Bよりも前後方向に長い長孔に形成されており、取付孔382Bが前後方向に延びる長孔に形成されているので、外蓋シート382は、外蓋38の本体に対して、前後方向に一定の遊びを持って取り付けられている。したがって、外蓋38が折り曲げられた場合には、固定具384の軸部383Aが取付孔382Bに沿って前後方向にスライドするので、上記のような取付孔382Bと固定具384の取付位置との相対位置のずれによって外蓋シート382が撓み、外蓋シート382が外蓋38の本体の上面に対して浮き上がるのを防止できる。
図25は、ドラム式洗濯機100の後カバー220近傍の一部拡大縦断面図であって、前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た図を示している。
この実施形態では、後カバー220の前端縁に、下方に突出するブレード状の弾性部材223が取り付けられている。この弾性部材223の左右方向の長さは、上カバー210に取り付けられた左右のガイド部材230間の距離に略一致している。弾性部材223は、その下端縁がガイド部材230の下面よりも下方まで延びている。したがって、外蓋38を前後方向にスライドさせて開口4を開閉する際、弾性部材223の先端部が外蓋38(外蓋シート382)の上面に摺接し、弾性変形するようになっている。
これにより、外蓋38上(特に、上カバー210の傾斜面211に対応して外蓋38が後方に向かって下り傾斜している部分)に比較的薄いもの(硬貨など)を置いた場合に、その硬貨などの異物が当該外蓋38上を後方に滑り、外蓋38の上面と後カバー220との隙間から機内の後方内部に入り込むのを防止できる。
図26は、後カバー220内に異物が入り込むのを防止するための構造の変形例を示す図であって、ドラム式洗濯機100を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た一部拡大縦断面図を示している。
この変形例では、後カバー220の前端縁ではなく、外蓋38の上面の後端部に、外蓋38上を後方に滑る硬貨などの異物を受け止めるための突条385が形成されている。この突条385は、外蓋38を閉じた状態で後カバー220の前端縁に対向する位置に配置され、2つのガイド部材230間を真っ直ぐ延びている。
この変形例によれば、外蓋38を閉じた状態では、外蓋38上(特に、上カバー210の傾斜面211に対応して外蓋38が後方に向かって下り傾斜している部分)に比較的薄いもの(硬貨など)を置いた場合に、その硬貨などが当該外蓋38上を後方に滑り、外蓋38の上面と後カバー220との隙間から機内の後方内部に入り込むのを防止できる。
図27は、後カバー220を取り外した状態のドラム式洗濯機100の平面図であって、当該ドラム式洗濯機100の前側部分を省略して示している。
通常、水道水導入口2Fから機内への水道水の導入をオン/オフする給水バルブVや、風呂水導入口2Gを介して機内に風呂水を吸い上げるための風呂水ポンプPなどは、ドラム式洗濯機の後上端部に配置される。しかしながら、この実施形態では、外蓋38を後方にスライドさせて筐体200の後側に収容することによって、開口4を開けることができるような構成となっているので、上カバー210の屈曲面214上に給水バルブVや風呂水ポンプPを配置すると、後方にスライドされる外蓋38の障害になってしまう。給水バルブVや風呂水ポンプPを屈曲面214よりも後方に配置することも考えられるが、この場合、屈曲面214の後方に給水バルブVや風呂水ポンプPを配置するためのスペースを確保しなければならないので、ドラム式洗濯機の奥行きが長くなってしまう。
そこで、この実施形態では、給水バルブVを上カバー210上の屈曲面214よりも左側(左側の傾斜面211の後方)に配置し、風呂水ポンプPを上カバー210上の屈曲面214よりも右側(右側の傾斜面211の後方)に配置している。これにより、給水バルブVおよび風呂水ポンプPを外蓋38のスライド可能な領域からずらすことができるので、給水バルブVおよび風呂水ポンプPが後方にスライドされる外蓋38の障害になるのを防止でき、外蓋38を良好に開閉できる。また、左右の傾斜面211の後方の空きスペースに給水バルブVおよび風呂水ポンプPを配置するので、当該ドラム式洗濯機100を大型化することなく、給水バルブVおよび風呂水ポンプPを配置できる。
水道水導入口2Fから給水バルブVを介して機内に導入された水道水は、給水バルブVから前方に向かって延びる水道水供給管H1を通って洗剤容器6内に流入し、洗剤容器6内に収容された洗剤と混ぜ合わされた後、外槽7内に流入する。
この水道水供給管H1には、水道水導入口2Fから流入する水道水を風呂水ポンプP側に導くための呼び水導入管H2が接続されている。風呂水ポンプPを駆動させて、呼び水導入管H2を介して所定量の水道水(いわゆる、呼び水)を吸い込ませた後、風呂水導入口2Gからの風呂水の吸入を開始させることにより、風呂水を良好に吸い上げることができる。呼び水導入管H2は、上カバー210の屈曲面214上に形成された収容凹部214A内に収容されていて、屈曲面214上をスライドする外蓋38と干渉しないようになっている。
風呂水ポンプPによって吸い上げられた風呂水は、風呂水供給管H3を通って洗剤容器6側に送られる。この風呂水供給管H3は、風呂水ポンプPから上カバー210の後端部(屈曲面241よりも後側)を通って上カバー210の左端部に導かれ、洗剤容器6に連通している。したがって、風呂水ポンプPによって吸い上げられた風呂水は、風呂水供給管H3を通って上カバー210の右側から左側へと送られた後、洗剤容器6内に流入する。
ただし、給水バルブVを屈曲面214の左側に配置し、風呂水ポンプPを屈曲面214の右側に配置する構成に限らず、給水バルブVを屈曲面214の右側に配置し、風呂水ポンプPを屈曲面214の左側に配置してもよい。
図28は、外蓋38の開閉機構の第1変形例を示す模式図である。
この変形例では、外蓋38を手動で開閉させるのではなく、ステッピングモータM1を含む電動開閉機構300によって、電動で開閉させることができるようになっている。したがって、外蓋38を手動で開閉させる場合と比較して、外蓋38を楽に開閉できる。外蓋38の構成は、第8実施形態と同様の構成であって、複数の棒状部材381を互いに回動可能に連結することにより折曲可能となっている。
外蓋38の左右両側縁の下方には、それぞれ、当該外蓋38の左右両側縁の下面に形成されたラック(図示せず)に噛み合うギアGが配置されている。各ギアGは、回転軸Rを中心に回転可能となっていて、一方(たとえば、右側)の回転軸RにステッピングモータM1が取り付けられている。ステッピングモータM1は、周期的な入力パルスに基づいて、1パルスにつき一定角度だけ回転駆動するものである。したがって、予め設定されたパルス数(設定パルス数)だけステッピングモータM1に入力パルスを送信すれば、一定角度だけ回転軸RおよびギアGを回転させて、一定量だけ外蓋38をスライドさせることができる。
この変形例では、ステッピングモータM1は、当該ドラム式洗濯機100の運転を制御するための制御部MCに接続されている。制御部MCは、たとえば、マイクロコンピュータなどにより構成されている。操作パネル5は、制御部MCに接続されていて、操作パネル5の操作に基づく信号が制御部MCに入力されるようになっている。
外蓋38を開ける際には、操作パネル5に備えられた蓋開ボタン52を押操作することにより、その押操作に基づく信号を受信した制御部MCが、外蓋38を完全に開けるために必要な設定パルス数分の入力パルスをステッピングモータM1に送信し、ステッピングモータM1を一方向に回転駆動(正転)させる。これにより、回転軸RおよびギアGが一定角度だけ回転され、開口4を完全に開くのに必要な量だけ外蓋38がスライドされる。
外槽7の開口23を開閉するための中蓋24、およびドラム10の開口22を開閉するためのドラム蓋25を、図2において説明したように、中蓋24を開けばドラム蓋25も同時に開かれるような構成とすれば、蓋開ボタン52を押操作して外蓋38を開いた後、中蓋24を開くだけで、ドラム10内に洗濯物を出し入れ可能にすることができるので、利便性が向上する。
一方、外蓋38は、当該ドラム式洗濯機100の運転動作を開始させるために操作されるスタートボタン51が押操作されることに応じて閉じられるようになっている。すなわち、スタートボタン51が押操作されると、その押操作に基づく信号を受信した制御部MCが、外蓋38を完全に閉めるために必要な設定パルス数分(外蓋38を開ける際の設定パルス数と同じパルス数)の入力パルスをステッピングモータM1に送信し、ステッピングモータM1を他方向に回転駆動(反転)させる。これにより、回転軸RおよびギアGが一定角度だけ回転され、開口4を完全に閉めるのに必要な量だけ外蓋38がスライドされる。この構成によれば、ドラム10内に洗濯物を収容した後、スタートボタン51を押操作するだけで、自動的に外蓋38が閉じられて運転動作が開始されるので、利便性が向上する。
また、この変形例では、中蓋24が閉じられているか否かを検知するための中蓋センサ24Aが、制御部MCに接続されている。制御部MCは、中蓋センサ24Aからの信号に基づいて中蓋24が閉状態であると検知している状態でスタートボタン51が押操作された場合にのみ、ステッピングモータM1を反転させて、外蓋38を閉じる方向にスライドさせるようになっている。これにより、中蓋24を閉め忘れた場合に、中蓋24が開いた状態で外蓋38が閉じられるといったことがないので、開状態の中蓋24と外蓋38とがぶつかって破損するのを防止できる。
ただし、中蓋24が閉じられているか否かを検知するのではなく、ドラム蓋25が閉じられているか否かを検知して、ドラム蓋25が閉じられていると検知した場合にのみ外蓋38を閉じる方向にスライドさせるような構成であってもよい。
ステッピングモータM1が一方の回転軸Rに取り付けられた構成に限らず、両方の回転軸RにステッピングモータM1が取り付けられていてもよい。この場合、外蓋38を開くときには一方のステッピングモータM1を回転駆動させ、外蓋38を閉じるときには他方のステッピングモータM1を回転駆動させるようにしてもよい。
図29は、外蓋38の開閉機構の第2変形例を示す模式図である。
この変形例では、外蓋38を手動で開閉させるのではなく、トルクモータM2を含む電動開閉機構400によって、電動で開閉させることができるようになっている。したがって、外蓋38を手動で開閉させる場合と比較して、外蓋38を楽に開閉できる。外蓋38の構成は、第8実施形態と同様の構成であって、複数の棒状部材381を互いに回動可能に連結することにより折曲可能となっている。
第1変形例と同様に、外蓋38の左右両側縁の下方には、それぞれ、当該外蓋38の左右両側縁の下面に形成されたラック(図示せず)に噛み合うギアGが配置されている。各ギアGは、回転軸Rを中心に回転可能となっていて、各回転軸RにトルクモータM2が取り付けられている。
この変形例では、各トルクモータM2は、当該ドラム式洗濯機100の運転を制御するための制御部MCに接続されている。制御部MCは、たとえば、マイクロコンピュータなどにより構成されている。操作パネル5は、制御部MCに接続されていて、操作パネル5の操作に基づく信号が制御部MCに入力されるようになっている。
外蓋38を開ける際には、操作パネル5に備えられた蓋開ボタン52を押操作することにより、その押操作に基づく信号を受信した制御部MCが、一方のトルクモータM2を回転駆動させるための信号を送信し、当該トルクモータM2を外蓋38を開ける方向に回転駆動させる。このとき、外蓋38のスライドに基づくギアGおよび回転軸Rの回転により、他方のトルクモータM2は空転することとなる。
外蓋38が完全に開いた状態(図29において一点鎖線で示す状態)で外蓋38の後端が到達する位置には、たとえば、マイクロスイッチMSが配置されている。外蓋38が完全に開いた状態までスライドされると、外蓋38の後端がマイクロスイッチMSのアクチュエータMS1に当接し、このアクチュエータMS1の変位に基づく検知信号がマイクロスイッチMSから制御部MCに送信される。制御部MCは、マイクロスイッチMSからの検知信号に基づいて、外蓋38が完全に開いた状態までスライドされたことを判別し、上記一方のトルクモータM2の回転駆動を停止させる。これにより、外蓋38は自重によって開状態に維持される。
外槽7の開口23を開閉するための中蓋24、およびドラム10の開口22を開閉するためのドラム蓋25を、図2において説明したように、中蓋24を開けばドラム蓋25も同時に開かれるような構成とすれば、蓋開ボタン52を押操作して外蓋38を開いた後、中蓋24を開くだけで、ドラム10内に洗濯物を出し入れ可能にすることができるので、利便性が向上する。
一方、外蓋38は、当該ドラム式洗濯機100の運転動作を開始させるために操作されるスタートボタン51が押操作されることに応じて閉じられるようになっている。すなわち、スタートボタン51が押操作されると、その押操作に基づく信号を受信した制御部MCが、他方のトルクモータM2を回転駆動させるための信号を送信し、当該トルクモータM2を外蓋38を閉じる方向に回転駆動させる。このとき、外蓋38のスライドに基づくギアGおよび回転軸Rの回転により、一方のトルクモータM2は空転することとなる。
外蓋38が完全に閉じた状態(図29において実線で示す状態)で外蓋38の前端が到達する位置、すなわち開口4の前端縁近傍には、たとえば、リードスイッチLSが配置されている。リードスイッチLSは、外蓋38の前端縁のリードスイッチLSに対応する位置に取り付けられた磁石(図示せず)により形成される磁界が外蓋38のスライドによって変化することに応じて、接点が接触/非接触(オン/オフ)されるものである。外蓋38が完全に閉じた状態までスライドされると、リードスイッチLSがオンして、その旨の検知信号がリードスイッチLSから制御部MCに送信される。
この変形例では、開口4の前端縁近傍には、外蓋38を閉状態でロックするためのロック装置Lが配置されている。ロック装置Lには、軸線方向に沿って変位可能なピンL1が備えられている。外蓋38の前端縁には、貫通孔386Aが形成されたロック用突片386が形成されている。制御部MCは、リードスイッチLSからの検知信号に基づいて、外蓋38が完全に閉じた状態までスライドされたことを判別すると、ロック装置LのピンL1を変位させて、ロック用突片386の貫通孔386Aに挿通させることにより、外蓋38を閉状態にロックする。その後、制御部MCは、上記他方のトルクモータM2の回転駆動を停止させる。
この構成によれば、ドラム10内に洗濯物を収容した後、スタートボタン51を押操作するだけで、自動的に外蓋38が閉じられてロック装置Lによりロックされた後、運転動作が開始されるので、利便性が向上する。
また、この変形例では、中蓋24が閉じられているか否かを検知するための中蓋センサ24Aが、制御部MCに接続されている。制御部MCは、中蓋センサ24Aからの信号に基づいて中蓋24が閉状態であると検知している状態でスタートボタン51が押操作された場合にのみ、上記他方のトルクモータM2を反転させて、外蓋38を閉じる方向にスライドさせるようになっている。これにより、中蓋24を閉め忘れた場合に、中蓋24が開いた状態で外蓋38が閉じられるといったことがないので、開状態の中蓋24と外蓋38とがぶつかって破損するのを防止できる。
ただし、中蓋24が閉じられているか否かを検知するのではなく、ドラム蓋25が閉じられているか否かを検知して、ドラム蓋25が閉じられていると検知した場合にのみ外蓋38を閉じる方向にスライドさせるような構成であってもよい。
トルクモータM2が両方の回転軸Rに取り付けられた構成に限らず、一方の回転軸RにのみトルクモータM2が取り付けられていてもよい。この場合、外蓋38を開くときには、そのトルクモータM2を一方向に回転駆動(正転)させ、外蓋38を閉じるときには他方向に回転駆動(反転)させるようにしてもよい。
第1および第2変形例では、外蓋38の下面に形成されたラックと噛み合うギアGの回転によって外蓋38が開閉されるような構成について説明したが、このような構成に限らず、たとえば、外蓋38の下面に対して当接する回転体を設けて、この回転体の周面と外蓋38の下面との間に働く摩擦力によって、外蓋38を開閉できるような構成であってもよい。また、外蓋38に連結されたワイヤをモータで巻き上げたり巻き戻したりすることによって、外蓋38を開閉できるような構成であってもよい。
外蓋38を開くときには、完全に開いた状態となる直前にモータの回転速度を遅くし、外蓋38を閉じるときには、完全に閉じた状態となる直前にモータの回転速度を遅くするような構成であってもよい。この場合、外蓋38が勢いよく開閉して破損するのを防止できる。
次に、本発明の第9の実施形態に係る外蓋の開閉機構について説明する。この開閉機構は、第8の実施形態に係るドラム式洗濯機における外蓋の開閉機構を改良したものであり、この第8の実施形態と同様の構成については、図に同一符号を付してその説明を省略する。
把持部材38Aの両側には、外蓋38がスライドするときの抵抗を小さくし、外蓋38の開閉動作を円滑にするためのスライド補助部材が設けられている。
図30は、スライド補助部材として、そり部材を設けた実施形態を示す、把持部材38Aの周辺の要部の縦断面図である。把持部材38Aの両側には、外蓋38をスライドさせたときに、上カバー210の受け部213をすべるそり部材500が、例えば2本のネジ501によって、取り付けられている。このそり部材500は、把持部材38Aよりも滑りやすく(摩擦係数が小さく)、耐摩耗性に優れた材料、例えば、ポリアセタール樹脂やナイロン樹脂からなる。このようなそり部材500を設けることで、外蓋38を円滑に開閉できるとともに、上カバー210の受け部213が把持部材38A側との摺動で削れるのを防止することができる。
このそり部材500の前後の寸法は、把持部材38Aの前後の寸法よりも長くしており、そり部材500の上端とガイド部材230の下面との間に隙間があっても、把持部材38Aがガタツキにくいようにしている。これにより、外蓋38をより円滑にスライドさせることができる。また、そり部材500の下端面500A(受け部213との摺動面)は、受け部213の凸湾曲面に対応するように、凹湾曲面としている。その曲率は、受け部213の凸湾曲面の一番小さい曲率に合わせている。これにより、そり部材500の下端面500Aの受け部213への摺接部分ができるだけ多くなるようにしている。
図31は、スライド補助部材の変形例として、ローラ部材を設けた実施形態を示す、把持部材38Aの周辺の要部の縦断面図である。把持部材38Aの両側には、ローラ部材502が取り付けられている。このローラ部材502は、前と後にローラ軸503Aを有する保持部材503と、ローラ軸503Aに回転自在に取り付けられ、外蓋38をスライドさせたときに、上カバー210の受け部213を転がる2個のローラ504とで構成されている。保持部材503の前後の寸法は、把持部材38Aの前後の寸法よりも長くしている。
スライド保持部材としては、その他、例えば、受け部213をすべるコマ部材を採用することができる。また、外蓋38の裏面おける両縁部であって受け部213に対面する部分にも、スライド補助部材として、PEシート(ポリエチレンシート)を貼り付けても良い。こうすると、外蓋38自体のすべりも良くなり、外蓋38のより円滑なスライドが行える。さらにこの場合、PEシートと外蓋38との間には、PEシートを固定するとき接着剤の層を厚くするなどして、クッション性のある層を設けるようにすると、外蓋38をスライドさせたときの音を低減することができる。
図32は、外蓋38を閉めた状態を示す、上カバー210の前部の縦断面図である。ガイド部材230の前縁部の裏面における受け部213に対面する部分には、下方にわずかに盛り上がる肉盛部505(抵抗体)が形成されている。この肉盛部505は、把持部材38Aが上カバー210の開口4の前縁4Aに当たる少し前、即ち、外蓋38が完全に閉じられる少し前に、そり部材500の上端面500Bと摺接することで、そり部材500へ抵抗を与える。これにより、使用者が、外蓋38を勢いよく閉めても、把持部材38Aが開口4の前縁4Aに当たる前にその勢いが弱められるので、把持部材38Aや開口前縁4Aに大きな衝撃が加わるのを防止できる。さらに、この肉盛部505は、外蓋38が完全に閉められた状態では、そり部材500の上端面500Bに当接する。これにより、そり部材500は上下の動きをとめられるので、脱水時などの振動で把持部材38Aがビビルのを防止できる。
また、図示しないが、ガイド部材230の後縁部の裏面にも、前縁部の肉盛部505と同様に機能する肉盛部が形成されており、使用者が、外蓋を勢いよく開けても、把持部材38Aが開口の後縁に当たる前にその勢いが弱められるので、把持部材38Aや開口後縁に大きな衝撃が加わるのを防止できる。
ガイド部材230の裏面における受け部213に対面する部分であって、前述した前後の肉盛部を除く部分(前縁部と後縁部との間の部分)には、外蓋38をスライドさせたときに、そり部材500の上端面500Bが当たっても抵抗になりにくいように、PEシート506(すべりをよくする部材)が取り付けられている。これにより、外蓋38の開閉がより円滑に行える。
なお、上カバー210の受け部213、そり部材500の下端面500A、ガイド部材230の裏面のPEシート506の表面、および外蓋38の裏面における受け部213との摺動面(PEシートを貼る場合は、PEシートの表面)には、すべりを良くするためにシリコンオイル(潤滑剤)が塗布される。これにより、外蓋38の開閉がさらに円滑に行える。
図33は、把持部材38Aと外蓋38との取り付け構造を示す、把持部材38Aの周辺の要部の縦断面図である。把持部材38Aの裏面であって側面から見て中央より後ろの位置には、外蓋38を取り付けるための取付ボス507が設けられている。この取付ボス507は、把持部材38Aの長手方向(左右方向)に複数並んで形成されている。外蓋38を構成する先頭の棒状部材381には、取付ボスに対応する取付孔508が設けられている。この取付孔508の内径は、取付ボス507の外形よりも少し大きくなっている。また、外蓋シート382にも同様に取付孔509が設けられている。取付ボス507の高さは、棒状部材381の厚みよりも高く、取付孔508に取付ボス507を通した状態で、取付ボス507の先端が棒状部材381の下面から突き出た状態となっている。この状態で、取付ボス507にワッシャ510を介してネジ511が取り付けられることにより、棒状部材381、即ち、外蓋38が把持部材38Aに取り付けられる。このとき、ワッシャ510やネジ511の頭部の径が取付孔508の内径よりも大きいので棒状部材381が取付ボス507から抜けない。この取付構造では、ワッシャ510と棒状部材381の下面との間には隙間があって、棒状部材381の下面がネジ511で押さえつけられていない。即ち、棒状部材381は、把持部材38Aに対して、上下方向、水平方向に所定の範囲で動ける状態に取り付けられている。よって、外蓋38が凸湾曲した受け部213をスライドしていくときに、把持部材38Aと外蓋38の連結部分でも、曲がりにあわせて折れ曲がることができ、外蓋38の開閉を円滑に行うことができる。
把持部材38Aの前壁の裏面には、先頭の棒状部材に向けてリブ512が、把持部材38Aの長手方向に複数並んで形成されている。このリブ512は、先頭の棒状部材381が、前方に動いたときに、取付孔508の後側の縁が取付ボス507の後側に接触する前に、棒状部材381のフック部381Bに当たるよう構成されている。したがって、外蓋38が勢いよく閉められて、棒状部材381が勢いよく前に動いても、取付孔508の後側の縁が取付ボス507の後側に接触しないので、取付ボス507に大きな衝撃が加わる虞がなく、取付ボス507の破損を防止できる。
図34は、後カバー220で覆われた上カバー210後部の詳細な構造を示す、後カバー220近傍の拡大縦断面図である。後カバー220の前部の裏面には、補強部材として補強金具513がネジ514にて取り付けられている。この補強金具513の左右の長さは、上カバー210に取り付けられた左右のガイド部材230間の距離にほぼ一致している。こうして、後カバー220の前部の中央部分に洗剤容器などの重量物が載せられても、この前部の裏面が補強金具513で補強されているので、前部中央部が下に沈んでくることが起こりにくく、後カバー220内への外蓋38の収納口部220Aが狭められるのを防止できて、外蓋38の円滑な開閉動作が妨げられるのを防止できる。
補強金具513の下方には、外蓋シート382に摺接し、外蓋38がスライドするときに、外蓋シート382が浮くのを防止する浮き防止部材515が設けられている。この浮き防止部材515は、外蓋シート382を傷つけないように、外蓋シート382よりも柔らかな材質、例えば、フェルトからなる。この浮き防止部材515の左右の長さは、補強金具513の左右の長さにほぼ一致している。なお、外蓋38の収納口部220Aからの異物が進入しようとするときにも、この浮き防止部材515によってその進入が防止される。よって、この浮き防止部材515は、異物の進入防止部材としての機能も果たすことができる。
上カバーの屈曲面214と後カバー220のガイド面221との間隔や屈曲面と上カバーのガイド部210A(ガイド面に続くように上カバーの後端に設けている)との間隔、即ち、外蓋38のスライド方向が変わる屈曲部のスライド経路の幅は、外蓋38の厚みに対して狭すぎると外蓋38が引っかかって、円滑に動かなくなる虞がある。そこで、ある程度、広くする必要があるが、この場合、この屈曲部分で外蓋38が踊りやすくなり、音が出る虞がある。そこで、外蓋38における、下方に向けて屈曲した直後の部分を、後方に付勢する弾性部材を設けている。具体的には、弾性部材として屈曲面214に板バネ部材516を取り付けている。また、ガイド部210Aの前面には、板バネ部材516で付勢されることによって、外蓋38がガイド部210A側(外蓋38の表側をガイドするガイド側)に強く当たっても、外蓋シート382が傷つかず、かつスライドの抵抗とならないよう、保護部材517を設けている。この保護部材517は、外蓋シート382よりもやわらかく、すべりの良い部材、例えば、フェルトのシートで構成されている。このような構成により、屈曲部でのスライド経路の幅を広くとっても、外蓋38が踊りにくくなり、音の発生が防止できるとともに、外蓋38の開閉が円滑に行える。
上カバー210の下方において、外蓋38が垂れ下がっていく経路内には、乾燥風路を構成する風路部材518の一部がわずかにはみ出している。このため、外蓋38はその風路部材518に当たるとその後ろ側に逃げていくようにしている。このとき、よりスムーズに逃げられるよう、次のような工夫を施している。即ち、風路部材518における外蓋38が当たる面を曲面とするため、曲面を構成するカバー519で風路部材518の上部を覆うようにしている。このカバー519は、例えば、ポリプロピレン樹脂からなるシートを曲げって作られる。また、外蓋38は、その後端部分の剛性をそれよりも前の部分の剛性よりも小さくなるようにして、その構造上、内側に曲がりやすいが外側(表側)には曲がりにくい(反りにくい)外蓋38において、後端部分が反りやすいようにしている。
図35は、外蓋38を裏面から見た平面図である。この図に示すように、外蓋38の後部では、一部の棒状部材381の長さを短くしている。具体的には、後尾から2番目と6番目の棒状部材381の長さが他の約3分の1程度とされ、後部が魚の骨に似た形状になっている。なお、この外蓋38の後部の剛性を弱くした部分は、外蓋38を完全に閉じた状態で、後カバー220内に入っており、表には出ない。このように、外蓋38が垂れ下がっていく経路内に、乾燥風路を構成する風路部材518(外槽に備えられた構成部材)の一部がはみ出したとしても(はみ出す虞があるとしても)、外蓋38の後端部分の剛性を弱めて、後ろ側に反りやすくするとともに、外蓋38が当たる面(当たり得る面)を曲面としたので、外蓋38が風路部材518に当たったときに後側にスムーズに逃げられるようになり、外蓋38の開閉が円滑に行える。なお、風路部材518のはみ出しが少ない、即ち、逃がしの程度が小さい場合には、当たり面を曲面とするか、外蓋38の後端部分の剛性を弱めるかのどちらかだけでも良い。
図36は、外蓋38の後部の構成を示す縦断面図である。この図に示すように、外蓋シート382の後端部に錘520を配置するようにすることで、外蓋シート382を引っ張ることができ、外蓋38をスライドさせたときの外蓋シート382の浮き(波打ち)を防止することができる。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、この発明は、上面2Aに対して傾斜した傾斜面2Bを有しないような構成のドラム式洗濯機にも適用可能である。
また、ドラム10は、その軸線が左右方向に延びる構成に限らず、たとえば前後方向に延びるような構成であってもよい。この場合、ドラムの軸線は、略水平方向に延びる構成に限らず、たとえば水平方向に対して所定角度範囲内(たとえば、30°程度まで)で傾いていてもよい。