JP3630749B2 - 塗工装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、塗工装置に係り、詳しくは、塗工液からなる自由落下カーテンを支持体に衝突させて塗工する塗工装置に適用することができ、特に、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜が形成される場所を正確に規定することができるとともに、塗布液の性質によってその安定条件を操作することができ、しかもエッジガイド付近の速度の不均一の領域の影響を軽減する操作を行うことができ、塗布膜厚を一定にすることができる塗工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗工液からなる自由落下カーテンを支持体に衝突させて塗工する従来のカーテン塗工装置については、例えば特公昭49−24133号公報で報告されたものがある。
この従来のカーテン塗工装置は、図5に示す如く、スリット(図示せず)を有する注射器101から塗工液を2本のエッジガイド102,103に供給して、塗工液による自由落下カーテン、即ちカーテン膜104を形成し、このカーテン膜104により、走行する支持体105に塗工を施すものである。ここに2本のエッジガイド102,103に塗工液を供給するのは、塗工幅(カーテン膜104の幅)を規制すると同時に、カーテン膜104を安定化させるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の塗工装置では、カーテン膜104が液膜の表面張力と、エッジガイド102,103の付着性との釣り合いによって規定されているために、外力に敏感でカーテン膜104が不安定になったり、エッジガイド102,103による境界層やエッジガイド102,103近傍のマランゴニー効果の影響等により、エッジガイド102,103近傍で速度の不均一となる領域が現れて、塗布膜厚が不均一になるという問題があった。
【0004】
そこで、塗布膜厚が不均一になるという問題を解決する従来技術には、例えば特公昭54−68847号公報や特開昭55−73365号公報で報告されたものがある。
前者の特公昭54−68847号公報で報告されたものでは、エッジガイドの構造を塗布液の落下方向と同一に走行する固体により支持する方法を提案しており、後者の特開昭55−73365号公報で報告されたものでは、エッジガイド表面に噴流状に吐出された液体によって支持する方法を提案している。
【0005】
しかしながら、これらを含め、これまでの何れの方法でも、エッジガイド付近の速度の不均一の領域の影響を軽減するために、エッジガイドの表面性質に操作を加えるような手段は講じられていなかった。
そこで、本発明は、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜が形成される場所を正確に規定することができるとともに、塗布液の性質によってその安定条件を操作することができ、しかもエッジガイド付近の速度の不均一の領域の影響を軽減する操作を行うことができ、塗布膜厚を一定にすることができる塗工装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、塗工液よりなる自由落下カーテンを下部で相対的に水平移動する支持体に衝突させて塗工させる塗工装置において、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側の少なくとも一部に、該塗工液に対して付着濡れ性を操作された付着濡れ性領域を形成し、前記付着濡れ性領域は、前記エッジガイド表面で上部より下部に向かって狭まっていくパターン形状からなることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、塗工液よりなる自由落下カーテンを下部で相対的に水平移動する支持体に衝突させて塗工させる塗工装置において、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側のカーテン液膜の流路に、該塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域を形成し、該カーテン液膜の流路以外の該エッジガイドの領域に、該塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成してなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、塗工液よりなる自由落下カーテンを下部で相対的に水平移動する支持体に衝突させて塗工させる塗工装置において、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側のカーテン液膜の流路に、該塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域を形成し、該カーテン液膜の流路以外の該エッジガイドの領域に、該塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成し、前記付着濡れ性領域は、前記エッジガイド表面で上部より下部に向かって狭まっていくパターン形状からなることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、上記請求項1又は3記載の発明において、請求項1又は3の前記エッジガイド下部に形成した前記付着濡れ性領域の幅は、0.2mm以上2mm以下の範囲であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5記載の発明は、上記請求項1,3又は4記載の発明において、前記パターンは、カーテン膜を形成するように凹部からなることを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、前記凹部に沿って、前記付着濡れ性領域を形成してなることを特徴とするものである。
請求項7記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、前記凹部以外の前記エッジガイドに、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成してなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項8記載の発明は、上記請求項1乃至7記載の発明において、前記付着濡れ性領域は、フッ素樹脂からなることを特徴とするものである。
請求項9記載の発明は、上記請求項1乃至7記載の発明において、前記付着濡れ性領域は、フッ素含有アクリレートからなることを特徴とするものである。
【0012】
請求項10記載の発明は、上記請求項7記載の発明において、前記撥水性領域は、フッ素含有メタクリレートからなることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
本発明者は、鋭意検討した結果、エッジガイド表面の塗工液に対する付着濡れ性を局所的に変化させれば、塗工液の流路をより正確に規定することができるとともに、膜を安定化させることができることに着目した。
本発明に係る“塗工液に対して付着濡れ性”とは、表面性質が、対象となる塗工液に対してその動的接触角が90°以下であることを意味する。また、本発明に係る“塗工液に対して撥水性”とは、表面性質が、対象となる塗工液に対してその動的接触角が90°以上であることを意味する。以下、具体的に本発明の作用を請求項毎に説明する。
【0014】
請求項1記載の発明では、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側の少なくとも一部に、塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域を形成し、付着濡れ性領域を、エッジガイド表面で上部より下部に向かって狭まっていくようなパターン形状からなるように構成する。
このため、エッジガイド表面の表面性質を塗工液に対して特定の領域を付着濡れ性とすることにより、エッジガイド表面の付着濡れ性にした領域から塗工液を剥がれ難くすることができるので、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜の形成位置を正確に規定することができる。
また、付着濡れ性の領域のパターンを、上部より下部に向かって狭まっていくようなパターンとすることにより、上部で厚く、下部で薄くすることができるので、特にカーテン膜の安定化を増すことができる。例えば、マランゴニー効果による液両端の膜厚の不均一性が問題となる塗工液に関しては、この塗布される液の幅を狭くすることで対応することができる。
【0015】
請求項2記載の発明では、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側のカーテン液膜の流路に、塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域を形成し、カーテン液膜の流路以外のエッジガイドの領域に、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成してなるように構成する。このため、カーテン液膜の規定するべきエッジガイド上の流路を付着濡れ性の領域にするとともに、そのカーテン液膜流路の外側の領域を撥水性とすることにより、エッジガイド表面の付着濡れ性にした領域から塗工液を剥がれ難くすることができるとともに、エッジガイド表面の撥水性にした領域に塗工液を流れ難くすることができる。従って、撥水性にした領域に塗工液を流れ難くしつつ、付着濡れ性にした領域に塗工液を効率良く流れ易くすることができるため、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜の形成位置をより正確に規定することができるとともに、エッジガイド近傍のマランゴニー効果の影響をより受け難くして、塗布膜厚をより一層一定にすることができる。
【0016】
請求項3記載の発明では、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側のカーテン液膜の流路に、塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域を形成し、カーテン液膜の流路以外のエッジガイドの領域に、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成し、付着濡れ性領域を、エッジガイド表面で上部より下部に向かって狭まっていくようなパターン形状からなるように構成する。
【0017】
このため、カーテン液膜の規定するべきエッジガイド上の流路を付着濡れ性の領域にするとともに、そのカーテン液膜流路の外側の領域を撥水性とすることにより、エッジガイド表面の付着濡れ性にした領域から塗工液を剥がれ難くすることができるとともに、エッジガイド表面の撥水性にした領域に塗工液を流れ難くすることができる。
【0018】
従って、撥水性にした領域に塗工液を流れ難くしつつ、付着濡れ性にした領域に塗工液を効率良く流れ易くすることができるため、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜の形成位置をより正確に規定することができる。
また、付着濡れ性の領域のパターンを、上部より下部に向かって狭まっていくようなパターンとすることにより、上部で厚く、下部で薄くすることができるので、特にカーテン膜の安定化を増すことができる。例えば、マランゴニー効果による液両端の膜厚の不均一性が問題となる塗工液に関しては、この塗布される液の幅を狭くすることで対応することができる。
【0019】
次に、エッジガイド下部の付着濡れ性領域の幅を0.2mmよりも小さくすると、付着濡れ性領域の幅が小さ過ぎて、加工精度が低下してカーテン液膜が不安定になり好ましくない。また、エッジガイド下部の付着濡れ性領域の幅を2mmよりも大きくすると、付着濡れ性領域の幅が大きくなり過ぎて、カーテン液膜が不安定になり、マランゴニー効果の影響を受け易くて好ましくない。
【0020】
そこで、請求項4記載の発明では、請求項1又は3のエッジガイド下部に形成した付着濡れ性領域の幅を、0.2mm以上2mm以下の範囲になるように構成する。
【0021】
このため、特に一般の塗工液の粘性の範囲で、カーテン液膜の流路となる付着濡れ性領域の幅を、0.2mm以上2mm以下の範囲内にすることにより、カーテン液膜を安定化させることができるとともに、マランゴニー効果の大きさを最小限に押さえることができる。例えば、マランゴニー効果による液両端の膜厚の不均一性が問題となる塗工液に関しては、この塗布される液の幅を狭くすることで対応することができる。
【0022】
次に、0.5P以下の粘性の小さい塗工液をカーテン塗工法に使用する場合、カーテン液膜の不安定性や、形成位置の揺らぎが特に問題になる場合がある。
そこで、請求項5記載の発明では、請求項1,3又は4のパターンを、カーテン膜を形成するように凹部からなるように構成する。
このため、凹部を設けて、その部分に沿ってカーテン膜を形成させることにより、液膜とエッジガイドとの設置面積を増やして、これらの影響を減じることができる。
【0023】
請求項6記載の発明では、請求項5の凹部に沿って、付着濡れ性領域を形成してなるように構成する。
このため、流路となる凹部の領域を塗工液に対して付着濡れ性とすることにより、付着濡れ性にした凹部に沿って、カーテン膜を更に安定性良く形成することができる。
【0024】
請求項7記載の発明では、請求項5,6の凹部以外の前記エッジガイドに、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成してなるように構成する。
このため、付着濡れ性とする領域の外側の領域を撥水性とすることにより、凹部以外の撥水性にした領域にカーテン膜を形成させることなく、付着濡れ性にした凹部の領域のみにカーテン膜を安定性良く形成することができると同時に、その形成位置の揺らぎも最小限にすることができる。
【0025】
次に、エッジガイド表面の濡れ性質を変化させる手段は、液膜の安定等に有効であるが、塗工液に対して付着濡れ性とする領域の処理を薬剤による塗布で行う場合、使用する塗工液の種類によっては、その耐久性に問題が生じることがあり好ましくない。
そこで、請求項8記載の発明では、付着濡れ性領域を、フッ素樹脂からなるように構成する。
【0026】
このため、付着濡れ性領域をフッ素樹脂で構成することにより、カーテン膜を安定性良く形成することができるとともに、耐久性を向上させることができる。
請求項9記載の発明では、付着濡れ性領域を、フッ素含有アクリレートからなるように構成する。
このため、エッジガイド表面の付着濡れ処理を行う薬液としてフッ素含有アクリレートを用いることにより、カーテン膜を安定性良く形成することができるとともに、塗工液に対して汚染の問題をなくすことができ、しかも安価で手軽に使用することができる。
【0027】
請求項10記載の発明では、撥水性領域を、フッ素含有メタクリレートからなるように構成する。
このため、撥水処理を行う薬液としてフッ素含有メタクリレートを用いることにより、撥水処理を効果的に行うことができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比しながら説明する。
図1は本発明に係る一実施例の塗工装置の構成を示す図である。
塗工液からなる自由落下カーテンを支持体に衝突させて塗工する本実施例の塗工装置は、スリット(図示せず)を有する注射器1から塗工液を2本のエッジガイド2,3に供給して塗工液による自由落下カーテン、即ちカーテン膜4を形成し、このカーテン膜4により、走行する支持体5に塗工を施すものである。ここに2本のエッジガイド2,3に塗工液を供給するのは、塗工幅(カーテン膜4の幅)を規制すると同時に、カーテン膜4を安定化させるためである。
【0029】
まず、比較例(従来例)を説明する。
(比較例)
比較例では、図1の塗工装置を用い、ポリエチレンテレフタレート製の支持体5の走行速度を120m/sとし、エッジガイド2,3同士の間隔を320mmとして実験を行った。塗工液としては、粘性0.5P,1.5P,10.0Pの粘性のポリビニールアルコール水溶液(以下PVA)を用い、形成流量を0.3リットル/m・sとして塗工を行った。
【0030】
比較例では、アクリルからなるエッジガイド2,3を用い、エッジガイド2,3表面には何の加工も施さない。
比較例では、1.5Pの粘性の塗工液に関しては、安定に塗布が行えるが、0.5Pの粘性の小さい液については、膜の形成は、破れが生じる等、非常に不安定であり、その形成位置を正確に規定することは困難であった。10.0Pの粘性の大きい液については、比較的安定な塗布を行えるものの、マランゴニー効果によって、エッジガイド近傍には、膜厚が厚くなる領域が顕著に観察された。
(実施例1)
本実施例では、図1の塗工装置を用い、ポリエチレンテレフタレート製の支持体5の走行速度を120m/sとし、エッジガイド2,3同士の間隔を320mmとして実験を行った。塗工液としては、粘性0.5P,1.5P,10.0Pの粘性のポリビニールアルコール水溶液(以下PVA)を用い、形成流量を0.3リットル/m・sとして塗工を行った。
【0031】
本実施例では、アクリルからなるエッジガイド2,3を用い、エッジガイド2,3表面には、図1に示す如く、上部より下部に向かって狭まっていくようなパターン形状になるように、フッ素含有アクリレートを用いて付着濡れ処理を行って塗工液に対して付着濡れ性領域11を形成する。また、付着濡れ性領域11以外のエッジガイド2,3の領域をフッ素含有メタクリレートを用いて撥水処理を行って塗工液に対して撥水性領域12を形成する。
【0032】
本実施例では、1.5Pの粘性の液と同様、0.5Pの液についても膜の形成位置を正確に規定することができた。また、塗布装置の周囲の空気流れによる影響による膜のぶれも減少した。10.0Pの粘性の液に関しては、マランゴニー効果による膜厚の太くなる領域が減少していることが明瞭に観察できた。
このように、本実施例では、塗布幅を規定させる目的で設置されている2本のエッジガイド2,3表面の塗工液が流れる側のカーテン液膜の流路に塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域11を形成し、カーテン液膜の流路以外のエッジガイド2,3の領域に、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域12を形成してなるように構成している。
【0033】
このため、カーテン液膜の規定するべきエッジガイド2,3上の流路を付着濡れ性の領域にするとともに、そのカーテン液膜流路の外側の領域を撥水性とすることにより、エッジガイド2,3表面の表面性質を塗工液に対して特定の領域を付着濡れ性とすることにより、エッジガイド2,3表面の付着濡れ性領域11から塗工液を剥がれ難くすることができるとともに、エッジガイド2,3表面の撥水性領域12に塗工液を流れ難くすることができる。
【0034】
従って、撥水性領域12に塗工液を流れ難くしつつ、付着濡れ性領域11に塗工液を効率良く流れ易くすることができるため、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜の形成位置をより正確に規定することができるとともに、エッジガイド2,3近傍のマランゴニー効果の影響をより受け難くして、塗布膜厚をより一層一定にすることができる。
【0035】
本実施例(請求項1又は3)では、付着濡れ性領域11を、エッジガイド2,3表面で上部より下部に向かって狭まっていくようなパターン形状からなるように構成している。
このため、付着濡れ性領域11のパターンを、上部より下部に向かって狭まっていくようなパターンとすることにより、上部で厚く、下部で薄くすることができるので、特にカーテン膜の安定化を増すことができる。例えば、マランゴニー効果による液両端の膜厚の不均一性が問題となる塗工液に関しては、この塗布される液の幅を狭くすることで対応することができる。
【0036】
本実施例(請求項9)では、付着濡れ性領域11を、フッ素含有アクリレートからなるように構成している。
このため、エッジガイド2,3表面の付着濡れ処理を行う薬液としてフッ素含有アクリレートを用いることにより、カーテン膜を安定性良く形成することができるとともに、塗工液に対して汚染の問題をなくすことができ、しかも安価で手軽に使用することができる。
【0037】
本実施例(請求項10)では、撥水性領域12を、フッ素含有メタクリレートからなるように構成している。
このため、撥水処理を行う薬液としてフッ素含有メタクリレートを用いることにより、撥水処理を効果的に行うことができる。
(実施例2)
本実施例2では、図1の塗工装置を用い、ポリエチレンテレフタレート製の支持体5の走行速度を120m/sとし、エッジガイド2,3同士の間隔を320mmとして実験を行った。塗工液としては、粘性0.5P,1.5P,10.0Pの粘性のポリビニールアルコール水溶液(以下PVA)を用い、形成流量を0.3リットル/m・sとして塗工を行った。
【0038】
本実施例では、アクリルからなるエッジガイド2,3を用い、上記実施例1で用いたエッジガイド2,3のパターンの下部中央が1.0mm幅になるように、図3,4に示す如く、パターンに凹部21を設ける。エッジガイド2,3の凹部21には、フッ素含有アクリレートを用いて付着濡れ処理を行って付着濡れ性領域11を形成し、凹部21の外側のエッジガイド2,3には、フッ素含有メタクリレートを用いて撥水処理を行って撥水性領域12を形成する。
【0039】
本実施例では、特に0.5Pの粘性の小さい液に関して、その膜の安定度も増し、膜ぶれの影響も更に小さくなっていることが明瞭に確認できた。
このように、本実施例(請求項5)では、実施例1のパターンを、カーテン膜を形成するように凹部21からなるように構成している。
このため、凹部21を設けて、その部分に沿ってカーテン膜を形成させることにより、液膜とエッジガイド2,3との設置面積を増やして、これらの影響を減じることができる。
【0040】
本実施例(請求項6)では、凹部21に沿って、付着濡れ性領域11を形成してなるように構成している。
このため、流路となる凹部21の領域を塗工液に対して付着濡れ性とすることにより、付着濡れ性にした凹部21に沿って、カーテン膜を更に安定性良く形成することができる。
【0041】
本実施例(請求項7)では、凹部21以外のエッジガイド2,3に、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域12を形成してなるように構成している。
このため、付着濡れ性とする付着濡れ性領域11の外側の領域を撥水性とすることにより、凹部21以外の撥水性にした撥水性領域12にカーテン膜を形成させることなく、付着濡れ性にした凹部21の領域のみにカーテン膜を安定性良く形成することができると同時に、その形成位置の揺らぎも最小限にすることができる。
【0042】
本実施例(請求項9)では、付着濡れ性領域11を、フッ素含有アクリレートからなるように構成している。
このため、エッジガイド2,3表面の付着濡れ処理を行う薬液としてフッ素含有アクリレートを用いることにより、カーテン膜を安定性良く形成することができるとともに、塗工液に対して汚染の問題をなくすことができ、しかも安価で手軽に使用することができる。
【0043】
本実施例(請求項10)では、撥水性領域12を、フッ素含有メタクリレートからなるように構成している。
このため、撥水処理を行う薬液としてフッ素含有メタクリレートを用いることにより、撥水処理を効果的に行うことができる。
なお、上記実施例1,2(請求項4)においては、エッジガイド2,3下部に形成した付着濡れ性領域11の幅を、0.2mm以上2mm以下の範囲になるように構成することが好ましい。
【0044】
この場合、特に一般の塗工液の粘性の範囲で、カーテン液膜の流路となる付着濡れ性領域11の幅を0.2mm以上2mm以下の範囲内にすることにより、カーテン液膜を安定化させることができるとともに、マランゴニー効果の大きさを最小限に押さえることができる。例えば、マランゴニー効果による液両端の膜厚の不均一性が問題となる塗工液に関しては、この塗布される液の幅を狭くすることで対応することができる。
【0045】
上記実施例1,2では、付着濡れ性領域11をフッ素含有アクリレートを用いて付着濡れ処理を行って形成したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、本発明(請求項8)においては、付着濡れ性領域11を、フッ素樹脂を用いて付着濡れ処理を行って形成してもよい。
この場合、付着濡れ性領域11をフッ素樹脂で構成することにより、カーテン膜を安定性良く形成することができるとともに、耐久性を向上させることができる。
【0046】
本発明(請求項1)においては、塗布幅を規定させる目的で設置されている2本のエッジガイド2,3表面の塗工液が流れる側の少なくとも一部に、塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域11を形成してなるように構成すればよい。
この場合、エッジガイド2,3表面の表面性質を塗工液に対して特定の領域を付着濡れ性とすることにより、エッジガイド2,3表面の付着濡れ性にした領域から塗工液を剥がれ難くすることができるので、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜の形成位置を正確に規定することができるとともに、エッジガイド2,3近傍のマランゴニー効果の影響を受け難くして、塗布膜厚を一定にすることができる。
【0047】
本発明においては、塗布幅を規定させる目的で設置されている2本のエッジガイド2,3表面の塗工液が流れる側の少なくとも一部に、塗工液に対して撥水性を有する領域を形成してなるように構成してもよい。
この場合、エッジガイド表面の表面性質を塗工液に対して特定の領域を撥水性とすることにより、エッジガイド2,3表面の撥水性にした領域に塗工液を流れ難くして、それ以外の領域に塗工液を効率良く流すことができるので、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜の形成位置を正確に規定することができるとともに、エッジガイド近傍のマランゴニー効果の影響を受け難くして、塗布膜厚を一定にすることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布液中に界面活性剤等を混入させることなく、カーテン膜が形成される場所を正確に規定することができるとともに、塗布液の性質によってその安定条件を操作することができ、しかもエッジガイド付近の速度の不均一の領域の影響を軽減する操作を行うことができ、塗布膜厚を一定にすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例の塗工装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る実施例1のエッジガイドの構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施例2のエッジガイドの構成を示す図である。
【図4】本発明に係る実施例2のエッジガイドの構成を示す図である。
【図5】従来のカーテン塗工装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 注射器
2 エッジガイド
4 カーテン膜
5 支持体
11 付着濡れ性領域
12 撥水性領域
21 凹部
Claims (10)
- 塗工液よりなる自由落下カーテンを下部で相対的に水平移動する支持体に衝突させて塗工させる塗工装置において、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側の少なくとも一部に、該塗工液に対して付着濡れ性を操作された付着濡れ性領域を形成し、前記付着濡れ性領域は、前記エッジガイド表面で上部より下部に向かって狭まっていくパターン形状からなることを特徴とする塗工装置。
- 塗工液よりなる自由落下カーテンを下部で相対的に水平移動する支持体に衝突させて塗工させる塗工装置において、塗布幅を規定させる目的で設置される2本のエッジガイド表面の塗工液が流れる側のカーテン液膜の流路に、該塗工液に対して付着濡れ性を有する付着濡れ性領域を形成し、該カーテン液膜の流路以外の該エッジガイドの領域に、該塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成してなることを特徴とする塗工装置。
- 前記付着濡れ性領域は、前記エッジガイド表面で上部より下部に向かって狭まっていくパターン形状からなることを特徴とする請求項2記載の塗工装置。
- 前記エッジガイド下部に形成した前記付着濡れ性領域の幅は、0.2mm以上2mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は3記載の塗工装置。
- 前記パターンは、カーテン膜を形成するように凹部からなることを特徴とする請求項1,3又は4記載の塗工装置。
- 前記凹部に沿って、前記付着濡れ性領域を形成してなることを特徴とする請求項5記載の塗工装置。
- 前記凹部以外の前記エッジガイドに、塗工液に対して撥水性を有する撥水性領域を形成してなることを特徴とする請求項5記載の塗工装置。
- 前記付着濡れ性領域は、フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の塗工装置。
- 前記付着濡れ性領域は、フッ素含有アクリレートからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の塗工装置。
- 前記撥水性領域は、フッ素含有メタクリレートからなることを特徴とする請求項7記載の塗工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00614595A JP3630749B2 (ja) | 1995-01-19 | 1995-01-19 | 塗工装置 |
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JP00614595A JP3630749B2 (ja) | 1995-01-19 | 1995-01-19 | 塗工装置 |
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- 1995-01-19 JP JP00614595A patent/JP3630749B2/ja not_active Expired - Lifetime
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