JP3630392B2 - 油圧プレスのリニアスケール故障監視装置 - Google Patents

油圧プレスのリニアスケール故障監視装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧プレスのスライドの位置を検出するために装備されているリニアスケールの誤作動を監視するリニアスケール故障監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧プレスにおいて、スライド位置を検出するリニアスケールの位置信号に基づいて、油圧サーボコントローラが弁を制御してシリンダを作動させてスライドを上下に駆動し、スライドの下面に取り付けられた上型と油圧プレスの下部に設けられたボルスタの上面に取り付けられた下型との間でプレス加工が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リニアスケールでスライド位置を検出して弁を制御する上述の方法では、リニアスケールがノイズ等の影響を受けて誤まった位置信号を出力した場合、シリンダを誤作動させ、成形品の加工精度を低下させたり、最悪の場合成形用の金型を破損させるような事態が生じることがある。
本発明は、このような事態の発生を防止するための、リニアスケールの誤作動を監視するリニアスケール故障監視装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、スライド位置を検出するリニアスケールの位置信号に基づいて、油圧サーボコントローラが弁を制御してシリンダを作動させ、スライドを駆動する油圧プレスにおいて、(イ)前記リニアスケールとは別に設けた前記スライド位置を検出する非接触式距離センサと、(ロ)前記リニアスケールの位置信号及び前記距離センサの位置信号から別々に算出されるスライド位置の計測値を表示するとともに、前記リニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値間の差の許容範囲をあらかじめ入力しておく設定表示器と、(ハ)前記設定表示器に入力された、リニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値間の差の許容範囲を記憶する記憶部、並びにリニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値を比較して、その差が前記許容範囲を超えた場合は油圧プレスを急停止させる異常信号を出力する演算制御部を有するシーケンスコントローラと、を備えた油圧プレスのリニアスケール故障監視装置である(請求項1)。
【0005】
または、スライド位置を検出するリニアスケールの位置信号に基づいて、油圧サーボコントローラが弁を制御してシリンダを作動させ、スライドを駆動する油圧プレスにおいて、(イ)前記リニアスケールとは別に設けた前記スライド位置を検出する非接触式距離センサと、(ロ)前記リニアスケールの位置信号及び前記距離センサの位置信号から別々に算出されるスライド位置の計測値を表示するとともに、油圧プレスの運転時における前記スライド位置の計測値間の差の許容範囲、及び油圧プレスの停止中における前記リニアスケール及び前記距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値の時間経過による変動の許容範囲をあらかじめ入力しておく設定表示器と、(ハ)前記設定表示器に入力された、油圧プレスの運転時におけるリニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値間の差の許容範囲、油圧プレスの停止中におけるリニアスケール及び距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値の時間経過による変動の許容範囲、及び油圧プレスが停止した時のリニアスケール及び距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値を記憶する記憶部、並びに前記油圧プレスの運転時においてリニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値を比較して、その差が前記許容範囲を超えた場合は油圧プレスを急停止させる異常信号を出力するとともに、前記油圧プレスが停止した時と時間経過後のリニアスケール及び距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値を所定時間ごとに比較して、その差が前記許容範囲を超えた場合は、油圧プレスの運転再開を中止させる異常信号を出力する演算制御部を有するシーケンスコントローラと、を備えた油圧プレス機械のリニアスケール故障監視装置である(請求項2)。
以上
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1及び図2を参照して詳細を説明する。図1は、本発明に係わる油圧プレスのリニアスケール故障監視装置の構成図である。
【0007】
油圧プレス1のシリンダ2は、油圧サーボコントローラ21からの制御信号でサーボ弁3に供給及び排出される圧油の流量や方向が制御されることにより作動し、そのシリンダ2の先端に取り付けられたスライド4を上下に駆動する。そして、スライド4の下面に取り付けられた上型5と油圧プレス1の下部のベッド6上に設けられたボルスタ7の上面に取り付けられた下型8との間でプレス加工が行われる。
【0008】
スライド4の位置は、スライド4に取り付けられた検出器11とベッド6上に立設されたスケール12とからなる電磁式のリニアスケール10の位置信号が、油圧サーボコントローラ21で読み取られ、ボルスタ7の上面からスライド4の下面までの距離に換算され、リニアスケール10によるスライド位置の計測値となる。そして、この計測値に基づいて、油圧サーボコントローラ21がスライド4の上死点位置、下死点位置等の位置決めや、スライド4の駆動速度等を、あらかじめ設定されている目標値に一致するようにサーボ弁3をフィードバック制御する。
【0009】
なお、リニアスケール10の検出器11で検出された位置信号は、接続電線で離れた位置に設けられた油圧サーボコントローラ21に導かれるが、その位置信号に電磁波ノイズが乗りやすく、スライド位置の計測値の精度が低下することがある。このため、本発明ではリニアスケール10とは別に、スライド位置を検出する距離センサ14を設け、双方の計測値を常に比較してリニアスケール10の誤作動を監視するようにしている。
【0010】
スライド4の側面に金属製の反射板13を突設し、その上方にパルスエコー式の超音波による距離センサ14を油圧プレス1のフレーム9に固定してある。この距離センサ14からの位置信号は、シーケンスコントローラ22に送られ、その演算制御部で、ボルスタ7の上面からスライド4の下面までの距離に換算され、距離センサ14によるスライド位置の計測値となる。なお、リニアスケール10及び距離センサ14によるスライド位置の計測値は、それぞれ設定表示器23に表示される。
【0011】
シーケンスコントローラ22の演算制御部では、距離センサ14によるスライド位置の計測値と油圧サーボコントローラ21から入力される位置信号に基づいて換算されるリニアスケールに10よるスライド位置の計測値とが比較され、それらの計測値の差異が、あらかじめ設定表示器23から入力されシーケンスコントローラ22の記憶部に記憶されている許容範囲を超える場合は、シーケンスコントローラ22から異常信号をサーボ弁3に出力してシリンダ2をその位置で急停止させる。
なお、リニアスケール10及び距離センサ14のスライド位置の計測値間の差異の許容範囲は、油圧プレス1の精度、加工品の精度、それらの計測器の検出精度等により適宜設定されるものである。
【0012】
上述のような、スライド位置をリニアスケール10と距離センサ14とによるスライド位置の計測は、油圧プレス1の運転中は連続して行われるが、油圧プレス1の停止中は、停止した時と時間経過後のリニアスケール10及び距離センサ14によるスライド位置のそれぞれの計測値をシーケンスコントローラ22の演算制御部で所定時間ごとに比較して、リニアスケール10と距離センサ14のいずれか一方の計測値の差異が、あらかじめ設定表示器23から入力されている許容範囲を超えた場合は、油圧プレス1の運転再開を中止させる異常信号をサーボ弁3に出力するようになっている。
【0013】
以上に本発明の構成を説明したが、次に本発明のリニアスケール故障監視装置の処理の流れを図2のフローチャートに基づき説明する。
【0014】
まず、S1で油圧プレス1が運転中か否かが判別され、運転中の場合はS2においてリニアスケール10及び距離センサ14によるスライド停止位置の計測値の比較がなされ、計測値の差異が許容範囲内か否かが判別される。許容範囲内の場合は、リニアスケール10及び距離センサ14による計測値の比較が繰り返し行われる。計測値の差異が許容範囲外の場合は、シーケンスコントローラ22から異常信号をサーボ弁3に出力してシリンダ2をその位置で急停止させる。
【0015】
S1において油圧プレス1が停止中の場合は、S3でリニアスケール10によるスライド停止位置の計測値がシーケンスコントローラ22の記憶部に記憶されているか否かが判別される。油圧プレス機械1が停止した直後は、前回の油圧プレス1の運転で、リニアスケール10によるスライド停止位置の計測値がリセットされているので、計測値がシーケンスコントローラ22の記憶部に記憶されておらず、S3において計測値の記憶なしと判別され、S5でその時の計測値が記憶されてS6に移る。
S6においても同様に、前回の油圧プレス1の運転で、距離センサ14によるスライド停止位置の計測値がリセットされているので、スライド停止位置の計測値がシーケンスコントローラ22の記憶部に記憶されておらず、S6において計測値の記憶なしと判別され、S8でその時の計測値が記憶されてS1に戻る。
【0016】
油圧プレス1が引き続いて停止中の場合は、S3においてリニアスケール10によるスライド停止位置の前回の計測値が既に取り込まれて記憶されているので、S4で現在の計測値と記憶されている記憶値とを比較し、計測値の差異が許容範囲外の場合は、シーケンスコントローラ22から異常信号をサーボ弁3に出力して油圧プレス1の運転再開を中止させる。計測値の差異が許容範囲内の場合はS6に移る。
S6においても距離センサ14によるスライド停止位置の前回の計測値が既に取り込まれているので、S7で現在の計測値と記憶されている記憶値とを比較し、計測値の差異が許容範囲外の場合は、シーケンスコントローラ22から異常信号をサーボ弁3に出力して油圧プレス1の運転再開を中止させる。計測値の差異が許容範囲内の場合はS1に戻る。
【0017】
上述の実施例において、油圧プレス1の停止中のリニアスケール10及び距離センサ14の停止時と時間経過後の計測値の比較は、それら両計測器の故障を予備的に点検するものであるから、場合によっては距離センサ14の点検、またはリニアスケール10と距離センサ14の点検を省略することが出来る。
【0018】
上述の実施例において、リニアスケール10として電磁式のリニアスケールを使用する場合を示したが、各種の光電式、レーザー式リニアスケールを利用することができる。
【0019】
上述の実施例において、距離センサ14としてパルスエコー式の超音波による距離センサを使用する場合を示したが、周波数変調連続波方式の超音波距離センサや、渦電流式の距離センサ、光学式距離センサ等の非接触式の距離センサの外、採用したリニアスケール 10 とは別種の各種リニアスケールも利用することができる。
以上
【0020】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、リニアスケールがノイズ等の影響を受けて誤まった位置信号を出力した場合であっても、シリンダを誤作動させ、成形品の加工精度を低下させたり、最悪の場合成形用の金型を破損させるような事態の発生を防止することが出来る。
また、油圧サーボコントローラが故障してリニアスケールのよるスライド位置の位置信号を正確に処理出来なくなった場合でも、シーケンスコントローラで距離センサによる計測値と比較しているので油圧プレスを急停止させることが出来る。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、油圧プレスの停止中であっても、リニアスケールの誤動作を監視することが出来る他、停止中の油圧プレスの油圧系統の故障や温度変化によるスライド位置の変化等を検出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】リニアスケール故障監視装置の構成図
【図2】リニアスケール故障監視装置の処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
1は油圧プレス、2はシリンダ、3はサーボ弁、4はスライド、5は上型、6はベッド、7はボルスタ、8は下型、9はフレーム、10はリニアスケール、11は検出部、12はスケール、13は反射板、14は距離センサ、21は油圧サーボコントローラ、22はシーケンスコントローラ、23は設定表示器、である。

Claims (2)

  1. スライド位置を検出するリニアスケールの位置信号に基づいて、油圧サーボコントローラが弁を制御してシリンダを作動させ、スライドを駆動する油圧プレスにおいて、(イ)前記リニアスケールとは別に設けた前記スライド位置を検出する非接触式距離センサと、(ロ)前記リニアスケールの位置信号及び前記距離センサの位置信号から別々に算出されるスライド位置の計測値を表示するとともに、前記リニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値間の差の許容範囲をあらかじめ入力しておく設定表示器と、(ハ)前記設定表示器に入力された、リニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値間の差の許容範囲を記憶する記憶部、並びにリニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値を比較して、その差が前記許容範囲を超えた場合は油圧プレスを急停止させる異常信号を出力する演算制御部を有するシーケンスコントローラと、を備えたことを特徴とする油圧プレスのリニアスケール故障監視装置。
  2. スライド位置を検出するリニアスケールの位置信号に基づいて、油圧サーボコントローラが弁を制御してシリンダを作動させ、スライドを駆動する油圧プレスにおいて、(イ)前記リニアスケールとは別に設けた前記スライド位置を検出する非接触式距離センサと、(ロ)前記リニアスケールの位置信号及び前記距離センサの位置信号から別々に算出されるスライド位置の計測値を表示するとともに、油圧プレスの運転時における前記スライド位置の計測値間の差の許容範囲、及び油圧プレスの停止中における前記リニアスケール及び前記距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値の時間経過による変動の許容範囲をあらかじめ入力しておく設定表示器と、(ハ)前記設定表示器に入力された、油圧プレスの運転時におけるリニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値間の差の許容範囲、油圧プレスの停止中におけるリニアスケール及び距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値の時間経過による変動の許容範囲、及び油圧プレスが停止した時のリニアスケール及び距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値を記憶する記憶部、並びに前記油圧プレスの運転時においてリニアスケール及び距離センサによるスライド位置の計測値を比較して、その差が前記許容範囲を超えた場合は油圧プレスを急停止させる異常信号を出力するとともに、前記油圧プレスが停止した時と時間経過後のリニアスケール及び距離センサによるスライド位置のそれぞれの計測値を所定時間ごとに比較して、その差が前記許容範囲を超えた場合は、油圧プレスの運転再開を中止させる異常信号を出力する演算制御部を有するシーケンスコントローラと、を備えたことを特徴とする油圧プレス機械のリニアスケール故障監視装置。
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