JP3630002B2 - 光学活性1,2−ジオール類の製造方法 - Google Patents

光学活性1,2−ジオール類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学活性1,2−ジオール類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性1,2−ジオール類は、例えば医薬品や農業化学品の合成中間体として、あるいは触媒の配位子として重要な化合物である。
光学活性1,2−ジオールの製造に関しては、生成物が二つの不斉点を有するため、全部で4種のジアステレオマーを生ずることになり、この中の1種を選択的に合成することが求められる。また、原料ジケトンが対称構造を有する場合には、生ずるジアステレオマーのうち2種はアキラルであるメソ体となり、反応の選択性は、ジオール全体のなかでのメソ体の割合(メソ選択性)と、残りの異性体(キラル体と称する)のなかでのエナンチオマー過剰率(ee)により評価される。
【0003】
光学活性1,2−ジオールの合成法としては、従来から以下の方法が知られている。
1)ラセミ体のジオールの光学分割(Chem,Lett.,(5),763(1991);Tetrahedron Lett.,35(2),331(1994);J.Org.Chem.,56(26),7251(1991))
2)オレフィンの不斉ジヒドロキシル化(J.Org.Chem.,59,8302(1994))
3)ジケトンの不斉還元(J.Org.Chem.,54(13),3221(1989);Tetrahedron Lett.,36(29),5239(1995);J.Org.Chem.,1996,61,3888;Chem.Commun.,1053(1998);J.Am.Chem.Soc.,110,629(1988))。
【0004】
これらの方法は、反応の効率性の点で優れた点はあるものの、原料の入手性に問題がある。すなわち、不斉合成を目的としてオレフィンやジケトンなどを合成する場合、合成に多段階を要し、コストが高くなる。また分割を目的として、対称ジケトンをNaBHなどで還元してジオールを合成する場合、一般的にはメソ体が多く生成し、所望のキラル体は生成しにくい。
一方、特開平9−157196号にはアセトフェノン等のモノケトンを、遷移金属錯体、塩基及び光学活性含窒素化合物から成る不斉触媒の存在下、水素供与性化合物による水素移動型不斉還元により、光学活性モノアルコールを製造する方法が提案されている。しかしてかかる不斉還元方法は1,2−ジオールの製造に適用し得るか否かは不明であり、特に対称構造を有する1,2−ジオールを製造する場合、メソ体の生成を抑制し、光学活性ジオールを効率よく得られるか否かは全く不明であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑み、従来技術に比し、より簡便で選択性の高い光学活性1,2−ジオール類の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先にジアミン型不斉配位子を有するルテニウム触媒存在下に、水素移動型不斉還元によりジケトンから高収率かつ高選択率で対応する光学活性1,2−ジオールが得られることを見出した(特願平10−184033、同10−355564)。このような反応は従来多く検討された不斉水素化では達成されないものである。さらに詳細に検討を進めた結果、水素移動型不斉還元の条件においては、ラセミ体のα−ヒドロキシケトンから高収率および高選択率で目的とする光学活性1,2−ジオール類が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明の要旨は下記一般式(1)
【0007】
【化6】
Figure 0003630002
【0008】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、反応に不活性な置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または脂肪族炭化水素基を示す。また、R1 とR2 は互いに結合し又は縮合して環を形成しても良い)で表されるα−ヒドロキシケトンに、周期律表第VB族元素を有する不斉配位子、周期律表第VIII族金属化合物とを組み合わせた触媒の存在下、水素供与体および塩基を作用さることを特徴とする下記一般式(3)
【0009】
【化7】
Figure 0003630002
【0010】
(式中、R及びRは、一般式(1)と同一の意義を有し、*は不斉炭素を表す。)で示される光学活性1,2−ジオール類の製造方法に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の原料であるα−ヒドロキシケトンは前記一般式(1)で表される。一般式(1)に於いて、R、Rは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または脂肪族炭化水素基を示す。また、RとRは互いに結合し又は縮合して脂環式環、芳香族環又は複素環等の環を形成しても良い。
芳香族炭化水素基として具体的にはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、芳香族複素環基として具体的にはピリジル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ヘキシル基、ベンジル基等の炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖又は置換基を有するアルキル基が例示される。アルケニル基としてはビニル基、2−メチルビニル基等の炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖または置換基を有するアルケニル基が例示される。アルキニル基としてはアセチレニル基、メチルアセチレニル基、フェニルアセチレニル基等の炭素数2〜20の直鎖もしくは分岐鎖または置換基を有するアルキニル基が例示される。これらの芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または脂肪族炭化水素基に結合する置換基としては上記の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ならびに典型元素および遷移金属元素を含有する置換基が挙げられる。典型元素を含有する置換基として具体的にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子及びハロゲン原子含有置換基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等の酸素原子含有置換基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基等の窒素原子含有置換基、トリメチルシリル基、ヒドロシリル基等のケイ素含有置換基、メルカプト基、アルキルチオ基、2,6−ジチアシクロヘキシル基等の硫黄原子含有置換基、ホスホリル基、トリフェニルホスフィニル基等のリン原子含有置換基等が例示される。遷移金属元素を含有する置換基として具体的にはフェロセニル基等の鉄含有置換基が例示される。また、RとRは互いに結合し、例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基、メチレンジオキシ基等となり縮合して環を形成しても良い。
【0012】
一般式(1)のα−ヒドロキシケトンの具体例としては表−1に示した化合物が例示され、特に適用性が高いものとしてはベンゾイン(表−1の1)およびアセトイン(表−1の18)である。
本発明においては、あらかじめ光学活性のα−ヒドロキシケトンを調製し、これを原料に用いてもよいが、ラセミ体でも高収率で目的の光学活性ジオールに変換される。すなわち、本発明においてはプロキラルなケトン部分の立体選択還元が行われると同時に、ラセミ体のアルコール部分のキラル体への変換が行われ、しかも得られるジオールにはメソ体が少ないという極めて優れた特徴を有している。これは従来知られている光学活性1,2−ジオール合成法に無い特徴である。一般にα−ヒドロキシケトン類はベンゾイン縮合の様な手法によりアルデヒド類から容易に合成されるので、ジケトン類よりも入手が容易である。
【0013】
【表1】
Figure 0003630002
【0014】
本発明に使用される触媒を構成する不斉配位子は、周期律表第VB族元素を有する不斉配位子である。第VB族元素としては窒素およびリンが挙げられ、不斉水素移動反応において触媒構成成分として機能する不斉配位子が用いられる。代表的な不斉水素移動触媒は、Chem.Rev.1992,92,1051頁;J.Am.Chem.Soc.,1995,117,7562頁;J.Am.Chem.Soc.,1996,118,2521頁;Chem.Commun.,1996,233頁;Tetrahedron Lett.,34,43,6897頁(1993);特開平9−249677;Chem.Lett.,957頁(1997);J.Org.Chem.,1997,62,6104頁;Chem.Lett.,491頁(1998);J.Org.Chem.,1998,63,2749頁;J.Am.Chem.Soc.,1998,120,3817頁;Tetrahedron Asym.,9(1998)1143頁;Chem.Lett.,1199頁(1998);WO98/42643に開示されている。
これらの不斉配位子において、好ましくは下記一般式(2)で表されるジアミン誘導体が用いられる。
【0015】
【化8】
Figure 0003630002
【0016】
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示す。また、RとRは互いに結合し又は縮合して環を形成しても良い。R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、アシル基、カルバモイル基、チオアシル基、チオカルバモイル基及びアルキル又はアリールスルホニル基を示す。)
【0017】
一般式(2)においてR、Rで示されるアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、或いはRとRが一緒になったテトラエチレン基(シクロヘキサン環をなす)などが挙げられる。R、Rで示されるアリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R、Rで示される芳香族複素環基としてはフリル基、ピリジル基等が挙げられる。これらの基は置換されていても良く、置換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子等から選ばれる1個もしくは2個以上の基である。R、Rとしてはフェニル基、置換フェニル基が好ましい。
【0018】
、Rが低級アルキル基を示す場合、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を示す。なお、本明細書に於いて、低級とは炭素数1〜4を意味する。R、Rがアシル基を示す場合、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が例示され、カルバモイル基を示す場合はN−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が例示される。
【0019】
、Rがチオアシル基を示す場合は、例えばチオアセチル基、チオプロピオニル基、チオベンゾイル基等が例示され、チオカルバモイル基を示す場合はN−メチルチオカルバモイル基、N−フェニルチオカルバモイル基等が例示される。
、Rがアルキル又はアリールスルホニル基を示す場合は、炭素数1〜20のアルキル又はアリールスルホニル基が例示され、例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、2,4,6−メシチルスルホニル基、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニル基、4−メトキシベンゼンスルホニル基、4−クロロベンゼンスルホニル基等が挙げられる。R、Rとしてはアリールスルホニル基が好ましく、特にトルエンスルホニル基が好ましい。
一般式(2)で示される不斉配位子の中、好ましくは、下記一般式(4)
【0020】
【化9】
Figure 0003630002
【0021】
(式中、Rは置換基を有していても良いアルキル基又はアリール基を示し、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。R及びR10は、それぞれ独立して、置換基を有していても良いアルキル基、フェニル基又は芳香族複素環基を示す。)で表されるジアミン誘導体である。
更に好ましい不斉配位子は下記一般式(5)
【0022】
【化10】
Figure 0003630002
【0023】
(式中、R12は水素原子又は低級アルキル基を示し、R11、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基を示す。l,m,nはそれぞれ独立して1〜5の整数を示す。)で示されるジアミン誘導体である。なお、一般式(2)〜(5)において*は不斉炭素を表す。
【0024】
一般式(4)、(5)のアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基としては前記と同様のものが挙げられる。具体的な配位子としては1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−メチル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−メチル−N′−トシル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−p−メトキシフェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−p−クロロフェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−p−メシチルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン、N−(2,4,6−トリ−1−プロピル)フェニルスルホニル−1,2−ジフェニルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0025】
これらの不斉配位子と組み合わせて用いられる周期律表第VIII族金属化合物の金属種としては、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、コバルトが例示される。
化合物としてはRuCl−3H0、〔RuCl(p−cymene)〕、〔RuCl(benzene)〕、〔RuCl(mesytilene)〕、〔RuCl(hexamethylbenzene)〕、RuCl(PPh、〔RuCl(cod)〕、〔RuCl(CO)、〔Rh(cod)Cl〕、〔RhCl(pentamethylcyclopentadienyl)〕、〔Ir(cod)Cl〕、CoClなどが例示され、好ましくは〔RuCl(p−cymene)〕である。
【0026】
なお、上記化合物のPhはフェニル基、codはシクロオクタジエンを表す。
不斉配位子と金属化合物からの触媒生成はJ.Am.Chem.Soc.1995,117,p7562などにおいて開示されている公知の方法が使用できる。例えばイソプロパノールなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、還流加熱することにより金属原子に不斉配位子が配位した錯体が得られる。これをそのまま用いてもよく、あるいはAngew.Chem.Int.Ed.Engl.1997,36,p285に記載のように錯体を結晶として単離して用いてもよい。
【0027】
本発明の不斉還元反応は触媒存在下に原料を水素供与体と接触させて行われる。水素供与体としてはアルコールおよびギ酸が例示される。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール等の水素原子をα−位に有する低級アルコールが用いられ、好適なアルコールはイソプロパノールである。
【0028】
不斉還元反応は塩基存在下で実施される。塩基が存在すると触媒が安定化し、また不純物による活性低下等が防止できる。塩基としては水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属酸化物、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムイソプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンなどの有機アミン類が例示される。塩基を使用する場合は、触媒に対して過剰量、例えばモル比で1〜1000モル倍を用いるのが好ましい。一般にアルコールを水素供与体に用いる場合は水酸化カリウムを1〜10モル倍、ギ酸を水素供与体に用いる場合はトリエチルアミンを触媒に対して大過剰、例えば1〜1000モル倍用いて行われる。
【0029】
好適な水素供与体との組み合わせとしてはイソプロパノール/水酸化カリウムおよびギ酸/トリエチルアミンが挙げられ、最も好適なものはギ酸/トリエチルアミンである。
ギ酸とアミンを組み合わせて用いる場合には、あらかじめギ酸とアミンの共沸混合物を調製して用いると、これらの原料中の不純物による影響が抑えられるので好ましい。ギ酸とトリエチルアミンの場合、共沸混合物のモル比はギ酸:トリエチルアミン=5:2なので、ギ酸ないしトリエチルアミンをさらに添加して最適なギ酸/アミン比にすることが好ましい。
【0030】
通常は水素供与体自体を反応溶媒として利用するが、原料を溶解させるために、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシドなどの非水素供与性溶媒を助溶媒として使用することも可能である。
触媒の使用量は通常、ルテニウム原子に対する基質(原料α−ヒドロキシケトン)のモル比(S/C)が10から100,000、好ましくは100〜10,000、特に好ましくは100から1,000で行われる。
【0031】
原料に対する水素供与体量は通常1モル倍から大過剰(通常1000モル倍)の範囲までで、一般にアルコールを水素供与体に用いる場合は溶媒を兼ねて大過剰に用い、ギ酸を水素供与体に用いる場合は1モル倍から20モル倍の範囲で行われる。
反応温度は−70℃から100℃、好ましくは0℃から70℃の範囲から選ばれる。
反応圧力は特に限定されず、通常0.5気圧〜2気圧、好ましくは1気圧のもとで行われる。
【0032】
反応の進行により、水素供与体から生じた化合物、すなわちイソプロパノールなどの2級アルコールを水素供与体に用いた場合にはアセトンなどのケトンが、またギ酸を水素供与体に用いた場合には、二酸化炭素が生成する。反応の効率的な進行のためにはこれらの生成物の効率的な除去が有効である。特にイソプロパノールを水素供与体に用いた場合のアセトンの除去は反応の進行に特に有効である。
【0033】
反応時間は1時間から200時間、通常は5時間から72時間である。
反応後は、一般に知られる蒸留、抽出、クロマトグラフィー、再結晶などの操作により反応液から生成した光学活性な1,2−ジオールを分離、精製することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施態様を更に具体的に示すが、本発明はその要旨を越えない限り実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1
〔RuCl(p−cymene)〕7.66gと(S,S)−N−p−トルエンスルホニルジフェニルエチレンジアミン9.16gに2−プロパノール150mlとトリエチルアミン7mlを加え、窒素雰囲気下80℃で1時間撹拌した。反応液を氷冷し、析出した結晶を濾過し、2−プロパノールとヘキサンの1:1混合液で洗浄した。さらに水で洗浄し、減圧乾燥してオレンジ色の結晶(「SS−TsDPEN−Ru」と称する)12.6g(収率79%)を得た。
50ml三つ口フラスコ中に、ベンゾイン2.12g(10mM)とDMF2mlを混合し、40℃に加熱して原料を溶解させた。次いでギ酸2.04gとトリエチルアミン2.64gを混合した溶液を反応液に加え、窒素置換したのち、上述のSS−TsDPEN−Ru32mg(0.50mM、S/C=200)をDMF0.3mlに溶かして反応液に加えたところ、直ちに発泡が始まった。40℃にて24時間反応させた。反応液を光学活性ガスクロマトグラフィーで分析したところ、転化率99%であった。反応終了後、酢酸エチル40mlおよび水40mlを投入し、分液した。さらに油層を飽和食塩水20mlで2回洗浄した。油層に無水硫酸マグネシウムを加え脱水した後、濾過により塩を除いた。濾液を濃縮し、2.14gの粗結晶を得た。高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、キラル体:メソ体=91:9、キラル体のエナンチオマー過剰率(ee)は97%であった(キラル体の反応収率91%)。10%エタノールにより再結晶を行い、1.34gの(R,R)−1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジオールを得た。ee>99%、単離収率は63%であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明方法によれば、光学活性1,2−ジオール類、特に対称構造を有する光学活性1,2−ジオール類を、高キラル体選択率かつ高エナンチオマー過剰率で製造することができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003630002
    (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、反応に不活性な置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または脂肪族炭化水素基を示す。また、R1 とR2 は互いに結合し又は縮合して環を形成しても良い)で表されるα−ヒドロキシケトンに、周期律表第VB族元素を有する不斉配位子、周期律表第VIII族金属化合物とを組み合わせた触媒の存在下、水素供与体および塩基を作用させることを特徴とする下記一般式(3)
    Figure 0003630002
    (式中、R1 及びR2 は、一般式(1)と同一の意義を有し、*は不斉炭素を表す。)で示される光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
  2. 下記一般式(1)
    Figure 0003630002
    (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又は脂肪族炭化水素基を示す。なおこれらの基にはハロゲン原子、ハロゲン原子含有置換基、酸素原子含有置換基、窒素原子含有置換基、ケイ素原子含有置換基、硫黄原子含有置換基及びリン原子含有置換基より成る群から選ばれた典型元素含有置換基、及び/又は遷移金属含有置換基を有していてもよい。またR1 とR2 とは互いに結合し又は縮合して環を形成しても良い)で表されるα−ヒドロキシケトンに、周期律表第VB族元素を有する不斉配位子、周期律表第VIII族金属化合物とを組み合わせた触媒の存在下、水素供与体および塩基を作用させることを特徴とする下記一般式(3)
    Figure 0003630002
    (式中、R1 及びR2 は、一般式(1)と同一の意義を有し、*は不斉炭素を表す。)で示される光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
  3. 不斉配位子が下記一般式(2)
    Figure 0003630002
    (式中、R3 およびR4 はそれぞれ独立して、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示す。また、R3 とR4 は互いに結合し又は縮合して環を形成しても良い。R5 及びR6 はそれぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、アシル基、カルバモイル基、チオアシル基、チオカルバモイル基及びアルキル又はハロゲン原子及び低級アルコキシ基より成る群から選ばれたもので置換されていてもよいアリールスルホニル基を示す。)で示される構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
  4. 一般式(2)において、R3 およびR4 はそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子より成る群から選ばれたもので置換されていてもよいアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基であることを特徴とする請求項3記載の光学活性ジオール類の製造方法。
  5. 一般式(2)で表される不斉配位子が、下記一般式(4)で示される構造であることを特徴とする請求項3に記載の光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
    Figure 0003630002
    (式中、R7 は置換基を有していても良いアルキル基又はアリール基を示し、R8 は水素原子又は低級アルキル基を示す。R9 及びR10は、それぞれ独立して、置換基を有していても良いアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を示す。)
  6. 一般式(4)において、R7 がアルキル基又はハロゲン原子及び低級アルコキシ基より成る群から選ばれたもので置換されていてもよいアリール基であることを特徴とする請求項5記載の光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
  7. 一般式(4)で表される不斉配位子が下記一般式(5)で示される構造であることを特徴とする請求項5に記載の光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
    Figure 0003630002
    (式中、R12は水素原子又は低級アルキル基を示し、R11、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。l,m,nはそれぞれ独立して1〜5の整数を示す。)
  8. 周期律表第VIII族金属化合物がルテニウム化合物であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
  9. 下記一般式(1)
    Figure 0003630002
    (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、低級アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基及びメチレンジオキシ基より成る群から選ばれたもので置換されていてもよいフェニル基、低級アルキル基で置換されていてもよい芳香族複素環基、もしくはヒドロキシル基で置換されていてもよいアルキル基を表すか、又はR1 とR2 とが結合して脂肪族炭化水素環を形成している。)で表されるα−ヒドロキシケトンに、下記式(5)で表される不斉配位子
    Figure 0003630002
    (式中、R12は水素原子又は低級アルキル基を示し、R11、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。l,m,nはそれぞれ独立して1〜5の整数を示す。)と、ルテニウム化合物とを組み合わせた触媒の存在下、水素供与体および塩基を作用させることを特徴とする下記一般式(3)
    Figure 0003630002
    (式中、R1 及びR2 は、一般式(1)と同一の意義を有し、*は不斉炭素を表す。)で示される光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
  10. 水素供与体がギ酸であり、塩基が3級アミンであることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の光学活性1,2−ジオール類の製造方法。
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