JP3629933B2 - 結晶配向セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,誘電体材料,焦電体材料,圧電体材料,強誘電体材料,磁性材料,イオン伝導性材料,電子伝導性材料,熱電材料,耐磨耗性材料等の機能や特性が結晶方位依存性を有する物質よりなる多結晶セラミックスで特に結晶方位が配向した,結晶配向セラミックスの製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
結晶配向セラミックスの製造方法として以下に示すものが挙げられる。
ペロブスカイト構造の結晶構造テンプレートとなり,形状異方性を有するホスト粒子とゲスト化合物原料とを混合し,混合物となす。このゲスト化合物原料は,最終的にペロブスカイト構造を有するゲスト化合物を合成し得る物質よりなる。あるいはホスト粒子も含めて最終的にペロブスカイト構造を有するゲスト化合物を合成し得る物質よりなる。
【0003】
上記混合物をホスト粒子が粒子配向するように配向成形した後,加熱する。これにより,該ホスト粒子をテンプレートとしてゲスト化合物が生成される。よって,特定方位に結晶配向したゲスト化合物よりなる多結晶バルクセラミックスを得ることができる(特願平9−158069号,特願平9−148566号,特願平9−124834号)。
【0004】
上記製造方法における加熱過程では,ゲスト化合物が未だ生成されておらず,ゲスト化合物原料と共にホスト粒子が主として存在するホスト相から,ゲスト化合物が生成され,該ゲスト化合物が主として存在するゲスト相という状態に移行する。このため,昇温と共にホスト相の量は減少し,代わってゲスト相が増加する。そしてこの時,ホスト相とゲスト相との共存領域(両者が共存可能な温度範囲)においてホスト粒子の表面または内部で,ホスト粒子の結晶構造をテンプレートとしたゲスト化合物の少なくとも一部がエピタキシャル生成し,ホスト粒子からゲスト化合物への結晶方位の転写が行なわれる。この現象を表した測定結果として,図3及び図4に記載した。
【0005】
これは,ホスト粒子としてのBiTi12(以下BITと省略する),ゲスト化合物材料としてBi,NaCO,TiOを使用し,ゲスト化合物(Bi0.5 Na0.5 )TiO(以下BNTと省略する)を得たときのものである。得られたゲスト化合物のX線回折パターンを無配向バルクセラミックスのものと共に図3に記載した。また,反応過程での温度に伴う相変化曲線を図4に記載した。
【0006】
ホスト相が消失した後は,エピタキシャル生成したゲスト化合物が核となってオストワルド粒成長が発生し,最終的には配向したゲスト化合物よりなる結晶配向セラミックスが生成される。
【0007】
上記製造方法によれば,チタン酸ビスマスナトリウム(Bi0.5 Na0.5 TiO),チタン酸ビスマスナトリウムカリウム(Bi0.5 (Na,K)0.5 TiO),チタン酸ストロンチウム(SrTiO),チタン酸カルシウム(CaTiO)等よりなり,これらの物質におけるペロブスカイト構造の{100}面(立方晶表示)が特定方向に著しく配向した結晶配向セラミックスを得ることができる。
【0008】
ここにペロブスカイト構造を有する化合物は,圧電性,焦電性,熱電性,イオン伝導性,電子伝導性,磁性,巨大磁気抵抗効果,電気光学効果等の様々な特性を有し,またその多くは結晶方位に依存する。
従って,単結晶のように結晶方位の揃った多結晶バルクセラミックを得ることができれば,これらの特性が飛躍的に向上した材料を得ることができると考えられる。
【0009】
上記製造方法を利用すれば,極めて製造コストが高価となる単結晶製造に頼ることなく,安価で一般的なセラミックス製造プロセスを利用して,ペロブスカイト構造を有する結晶配向セラミックスを製造することが可能である。
よって,上記製造方法によれば,結晶が配向し,単結晶に近い優れた特性を有する材料を提供することができる。また,結晶方位依存性を有する特性を利用した優れたデバイスを作製することができる。
【0010】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記製造方法には以下にかかる問題がある。
ここに上記加熱過程におけるホスト相の消失温度を温度Aとする。またゲスト相の生成開始温度を温度Bとする。この場合,温度A以下の領域はホスト相が安定して存在可能なホスト相安定温度領域であり,温度B以上の領域はゲスト相安定温度領域である。
図5に示すごとく,温度A>温度Bが成立し,かつホスト相とゲスト相との共存領域が充分に広い場合には,上記製造方法によって結晶配向セラミックスを得ることができる。
【0011】
しかしながら,ホスト粒子,ゲスト化合物材料の種類によっては,図6に示すごとく,温度Aと温度Bとが近接することがある。あるいは,温度A<温度Bとなることもある。
これらの場合,ゲスト相の多くがホスト相の消失後に生成するため,ホスト粒子からゲスト化合物への結晶方位の転写が殆ど起こらない。結果的にホスト粒子の結晶方位と無関係に生成した無配向ゲスト化合物が最終的な生成物の結晶配向を支配することとなる。
よってこの場合は,結晶配向セラミックスを得ることができない,あるいは結晶配向度の低い結晶配向セラミックスしか得ることができなかった。
【0012】
また,図7に示すごとく,ホスト相とゲスト相との共存領域は存在するが,該共存領域にペロブスカイト構造に対する結晶整合を持たない第3相が共に存在することがある。
このようなケースで,特に第3相がホスト相とゲスト化合物原料との反応により生じる場合には,第3相の発生がホスト相を減少させてしまう。更に,第3相とホスト相との間には結晶整合性がないことから,第3相は無配向に生成してしまう。
結果的にホスト相とゲスト相との間の結晶方位の転写が著しく阻害され,最終的に無配向あるいは結晶配向度の低いセラミックスが生成されてしまう。
【0013】
本発明は,かかる問題点に鑑み,使用する材料等の種類に関わらず確実に結晶配向度の高いセラミックスを製造可能な,結晶配向セラミックスの製造方法を提供しようとするものである。
【0014】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,粒子配向した状態にあるビスマスを含むホスト粒子をテンプレートとしてホスト粒子とゲスト化合物原料とを混合,加熱することにより,等方性ペロブスカイト型構造を有するゲスト化合物からなる結晶配向セラミックスを製造する方法において,
上記加熱は,少なくとも,上記ホスト粒子からなるホスト相が安定して存在しうるホスト相安定温度領域から,上記ゲスト化合物からなるゲスト相が安定して存在しうるゲスト相安定温度領域に達すまでの間の昇温を,1000℃/時以上の昇温速度にて急速昇温することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法にある。
【0015】
上記ホスト粒子としては形状異方性を有するものを使用することが好ましい。例えば板状,柱状,針状,鱗状の粉末のように,長軸寸法と短軸寸法との比(アスペクト比)の大きい粒子状の材料を用いることが好ましい。
また,ホスト粒子の結晶における少なくとも一つの結晶面の二次元結晶格子が,ゲスト化合物の結晶における少なくとも一つの結晶面の二次元結晶格子と格子整合性を有することが必要である。この条件を満たす物質はゲスト化合物の生成においてテンプレートとして作用することができる。
【0016】
また,ホスト粒子とゲスト化合物原料とを加熱するに当たり,両者に配向成形を施し,得られた成形体を加熱して焼結させることが好ましい。
これにより,より結晶配向度が高い結晶配向セラミックスを得ることができる。また,バルク体を容易に作製することができる。
【0017】
本発明のタイミングを制御する手段はホスト粒子のホスト相からゲスト化合物のゲスト相への結晶方位の転写を行わせるためにホスト粒子とゲスト化合物の存在をオーバーラップさせる手段をいう。これはゲスト相の消失温度Aと生成温度Bが近接あるいはA<Bであるため,ホスト相からゲスト相への結晶方位の転写が殆ど起こらない場合,さらにはオーバーラップが少なく転写の割合が少ない場合等に有効である。この手段には次の二つの方法がある。
【0018】
ホスト相消失遅延工程は図5〜図7に示されるホスト相の量の低下を遅らせたり,防いだりする工程である。本工程の主な手法はホスト粒子のホスト相消失温度域での消失を抑制するよう操作することである。
ゲスト相生成促進工程は図5〜図7に示されるゲスト相の量が増加する時期を早める工程である。本工程の主な手法はゲスト化合物をを生成し,ゲスト相が成長しやすい温度域に早く達するよう温度を制御することである。
上記のホスト相消失遅延工程とゲスト相生成促進工程は,同時に進行する場合もある。
【0019】
このような工程として,ホスト粒子とゲスト化合物原料との加熱(特に昇温過程)の際に,ホスト相安定温度領域からゲスト相安定温度領域までの間は急速昇温させることが好ましい。
前述した図6,図7にかかる現象は各種反応が追従可能な充分緩やかな昇温速度,例えば通常のセラミックスの焼成で行うような400℃/時以下の昇温速度で観察される現象である。
【0020】
昇温速度を速めることで,図8に示すように,ホスト相の反応は温度変化に追従できなくなり,ゲスト安定温度領域までホスト相の消失を防止することができる。この結果,ホスト相とゲスト相との共存可能な温度領域が拡大し,ホスト相からゲスト相への結晶方位の転写が可能となり,最終的に得られる結晶配向セラミックスの結晶配向度を高めることができる。
【0021】
次に,ホスト粒子とゲスト化合物原料との加熱の際に,ホスト相以外を優先的に加熱することが好ましい。
これにより,ホスト相の温度を上げることなくゲスト相を構成する原料を加熱することができる。よって,ホスト相とゲスト相の共存できる温度領域を広げることができる。よって,最終的に得られる結晶配向セラミックスの結晶配向度を高めることができる。
【0022】
本発明の第3相生成抑制工程は図7に示すペロブスカイト構造と結晶整合を持たない第3相の生成を抑制する工程である。本工程の主な手法は第3相が生成する温度域とならないよう温度を制御することや,第3相がホスト物質とゲスト化合物の原料あるいはゲスト化合物との反応によって生成する場合はその反応を妨げることである。
【0023】
第3相は図7から知られるごとく特定の温度領域でしか安定して存在することができない。そこで昇温速度を速めることにより第3相が安定して存在可能な温度領域を素早く通り抜けることができる。
従って,第3相の生成を抑制することができ,ホスト相のテンプレートとしての機能を維持することができる。よって,最終的に得られるゲスト化合物の結晶配向度を高めることができる。
なお,第3相が消失する温度以上であってかつゲスト相安定温度領域に至るまで急速昇温を継続することが好ましい。
【0024】
また,上記昇温速度は通常のセラミックス焼成に利用される400℃/時と比べて充分速くする必要がある。
また,特に1000℃/時以上とすることにより,より結晶配向度が高い結晶配向セラミックスを得ることができる。
また,上記昇温速度は,使用するホスト粒子,ゲスト化合物原料,またこれらを充填する容器等の熱容量,炉内形状等により決定される。
【0025】
また,ホスト粒子とゲスト化合物原料との加熱に当たっては,例えば電気炉を使用し,炉内をホスト相安定温度に予め加熱しておき,ここにホスト粒子とゲスト化合物とを挿入する方法がある。
また,急速加熱が可能な赤外線炉,高周波炉,マイクロ波炉等は昇温速度を容易に制御することができるため,これらを使用することも好ましい。
【0026】
また,ホスト粒子とゲスト化合物原料との加熱の際に,ホスト相以外を優先的に加熱することが好ましい。
この方法では直接的にホスト粒子を加熱しないため,第3相の生成を抑制することができる。これは前述したごとく,第3相はホスト粒子と他の原料とが反応して生成するためである。よって,ホスト相のテンプレートとしての機能を維持することができ,最終的に得られるゲスト化合物の結晶配向度を高めることができる。
【0027】
ホスト相以外を優先的に加熱する方法としては,マイクロ波加熱を利用することが好ましい。
マイクロ波加熱とは,被加熱体の誘電損失による発熱を利用して加熱する方法である。従って,ホスト粒子以外の原料での誘電損失が最大となるようにマイクロ波の周波数を選択することにより,ホスト粒子以外の原料を優先加熱することができる。
【0028】
また,この場合,ホスト粒子は優先加熱されたその他の原料からの輻射熱,熱伝導により加熱されるため,ゲスト安定温度領域に達するまでの昇温速度をより急速にすることが好ましい。また,この場合の昇温速度は上述の場合と同様に1000℃/時以上とすることがより好ましい。
【0029】
本発明により結晶配向セラミックスが得られる物質の一例として,圧電性,強誘電性,誘電性等に優れた材料が多く知られる鉛を含むペロブスカイト化合物が考えられる。これらの物質では,鉛の反応性が高いためホスト粒子の消失温度が低下し,温度Aと温度Bとが近接あるいは温度A<温度Bとなるケースが多い。または,鉛を含む第3相が生成するケースが多い。
本発明の方法を用いることにより,これらの物質から産業上の利用価値が高い鉛系ペロブスカイト材料よりなる結晶配向度に優れたバルクセラミックスを作製することが可能である。
【0030】
本発明の作用につき,以下に説明する。
本発明にかかる製造方法において,その加熱過程では以下のような機構にてゲスト化合物よりなる結晶配向セラミックスが生成される。
ホスト粒子とゲスト化合物原料との加熱過程では,ゲスト化合物が未だ生成されておらず,ホスト粒子が主として存在するホスト相から,ゲスト化合物が生成され,該ゲスト化合物が主として存在するゲスト相という状態に移行する。
【0031】
ホスト相とゲスト相との共存領域においてホスト粒子の表面または内部でホスト粒子の結晶構造をテンプレートとしたゲスト化合物のエピタキシャル生成が発生し,ホスト粒子からゲスト化合物への結晶方位の転写が行なわれる。
ホスト相が消失した後は,エピタキシャル生成したゲスト化合物が核となって無配向に生成したゲスト化合物を取り込みながらオストワルド粒成長し,最終的には配向したゲスト化合物よりなる結晶配向セラミックスが生成される。
【0032】
そして,本発明にかかる製造方法においては,ホスト相の消失を遅らせると共にゲスト相の生成を早めている。
このため,ホスト相とゲスト相とが共存状態にある時間をより長くすることができる。よって,より長時間に渡って確実にホスト粒子からゲスト化合物への結晶方位の転写を行うことができ,一層確実に結晶配向セラミックスを製造することができる。
また,ホスト粒子から結晶方位を転写されたゲスト化合物の生成量が増大することから,より結晶配向度の高い結晶配向セラミックスを得ることができる。
【0033】
また,ホスト粒子,ゲスト化合物原料の種類によっては,加熱過程において前述した図6に示すごとく,ホスト相が消失する温度Aとゲスト粒子の生成が始まる温度Bとが近接することがある。あるいは温度A<温度Bとなる場合がある。
このような場合でも,本発明によればホスト相の消失が遅れるため,図8に示すごとく,ホスト相とゲスト相とを共存可能な状態に保持することができる。
このため,ホスト相からゲスト相への結晶方位の転写を行うことができる。
【0034】
また,前述した図7に示すごとく第3相が発生する場合においても,本発明によればホスト相の消失が遅れるため,第3相が生じ難くなる。
このため,前述したごとき第3相によるホスト相とゲスト相との間の結晶方位転写の阻害を解消することができる。
【0035】
以上のように本発明によれば,使用する材料等の種類に関わらず確実に結晶配向度の高いセラミックスを製造可能な,結晶配向セラミックスの製造方法を提供することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
実施形態例
本発明の実施形態例にかかる結晶配向セラミックスの製造方法及び得られた結晶配向セラミックスの性能につき,図1〜図9を用いて説明する。
本例の製造方法の概略について説明する。
粒子配向した状態にあるホスト粒子をテンプレートとして,等方性ペロブスカイト型構造を有するゲスト化合物を生成させるが,この時ホスト相の消失を遅らせると共にゲスト相の生成を早める。
本例においては,これを実現するために,ホスト粒子とゲスト化合物原料とよりなる圧延体を急速昇温する。
【0037】
次に,本例にかかる製造方法により試料を作製し,その性能について比較試料と共に説明する。
本例の製造方法において,ホスト粒子としてBiTi12(以下BITと省略)板状粒子を,ゲスト化合物原料としてPbO,NiO,TiOを使用した。なお,ホスト粒子であるBIT板状粒子は参考試料に示すごときフラックス法により合成した。
これらを用いて,(Pb0.5 Bi0.5 )(Ni0.25Ti0.75)O(以下,PBNTと省略する)組成のゲスト化合物よりなる結晶配向セラミックスを作製した。
【0038】
ホスト粒子とゲスト化合物原料とを,BIT:PbO:NiO:TiO=15:60:30:45というモル比となるように秤量,混合し,混合物を得た。
上記混合物にエタノールとトルエンとを加えてボールミル混合し,更にバインダーとしてポリビニルブチラール,可塑剤としてジブチルフタレートを添加して混合し,得られた均一なスラリーをドクターブレード装置によりテープ成形を施して,テープ成形体とした。
次に,上記テープ成形体を20枚重ねて圧着し,更に双ローラーにより厚さが50%になるまで圧延し,圧延体を得た。
【0039】
上記圧延体を電気炉内に投入し,酸素雰囲気中,温度400℃で脱脂した。続いてこれを炉内温度を700〜1100℃に保持した電気炉内に投入し,圧延体を急速に加熱した後(昇温速度は1500〜2000℃/時),更に続けて酸素雰囲気中1150℃で10時間保持した。以上により,試料1〜5にかかる焼結体を得た(試料1:700℃まで急速加熱,試料2:800℃まで急速加熱,試料3:900℃まで急速加熱,試料4:1000℃まで急速加熱,試料5:1100℃まで急速加熱)。
また,上記圧延体を電気炉内に投入し,酸素雰囲気中温度400℃で脱脂,続いて急速昇温を行わずに200℃/時で昇温し,続けて酸素雰囲気中1150℃で10時間保持し,比較試料にかかる焼結体を得た。
【0040】
また,図2に試料1〜5,比較試料の材料系における加熱過程での相変化曲線を記載した。但し,この相変化曲線を測定する際の昇温速度は200℃/時とし,ホスト相(BIT),ゲスト相(PBNT)及び第3相の各相変化曲線は,X線回折パターンにおけるBITの(0014)面に相当する回折線,PBNTの(110)面に相当する回折線,第3相の最大強度を有する回折線の強度を縦軸に,温度を横軸として記載した。回折線の強度が高ければ高い程,該回折線の発生源となった相がより多く存在することになる。
【0041】
本実施例にかかる製造方法においてBITを使用している。しかし,ゲスト化合物原料として鉛含有の材料を使用しているため,ホスト相が消失する温度Aが図4の線図と比べて著しく低く,温度700〜800℃の範囲にて既にBITが消失したことが分かった。
また,ゲスト相であるPBNTは800〜900℃において著しく生成され,ホスト相とゲスト相とが共存する温度範囲が非常に狭いことが分かった。
更に,温度A及び温度Bの周辺温度では,第3相としてペロブスカイト構造と結晶整合を持たないBiとPbOとの固溶相の生成が確認された。
【0042】
次に,試料1〜5,比較試料にかかる結晶配向セラミックスの表面のX線回折パターンを測定して図1に記載した。
急速加熱されていない比較試料は{100}面(立方晶表示)配向が僅かに見られたものの,後述するLotgering法により計算された{100}面(立方晶表示)結晶配向度は僅かに16%であった。
急速加熱を施した試料1〜5は,最も配向度の低い試料1であっても結晶配向度が24%と比較試料の1.5倍の結晶配向度を有していることが分かった。
【0043】
このように,ホスト相とゲスト相との共存温度領域の狭い材料系,ペロブスカイト構造と結晶整合を持たない第3相が存在する材料系では,急速昇温することにより,高い結晶配向度を有する結晶配向セラミックスを作製できることが分かった。
【0044】
また,急速昇温により温度700℃及び800℃まで加熱されて作製された。試料1及び試料2の{100}面(立方晶表示)結晶配向度は各々24%及び30%であった。
このように,急速昇温によりホスト相の消失温度が高温化し,更に急速昇温により到達した温度が高くなる程に結晶配向度が高くなる傾向があることが分かった。
なお,これらの試料1及び試料2の結晶配向度が試料3〜試料5と比較してさほど高まらなかったのは,急速加熱による到達温度がゲスト相の生成があまり活発でない700℃〜800℃であったためであると考えられる。
【0045】
次に,ゲスト相の生成が著しく活発になる温度900℃,1000℃,1100℃までの急速昇温を施した試料3〜5は,X線回折パターンの(h00),(00l[ゼロゼロエル])面に相当する回折線のピークが著しく高くなった。
また,{100}面(立方晶表示)における結晶配向度は,試料3で49%,試料4で53%,試料5で52%と,試料1,試料2に比べて著しく高かった。
これにより,急速昇温によりゲスト相の生成が著しく活発になる温度まで加熱することにより,より高い結晶配向度を持った結晶配向セラミックスを製造できることが分かった。
なお,各試料1〜5,比較試料の焼結体密度はいずれも相対密度98%以上であった。
【0046】
このようにゲスト相安定温度領域まで急速昇温を施すことで,PBNT系のような,ホスト相とゲスト相の共存温度領域の狭い材料系,ペロブスカイト構造と結晶整合を持たない第3相を生成する材料系であっても高い結晶配向度を有する結晶配向セラミックスが作製できることが分かった。
【0047】
なお,上記結晶配向度はLotgering法により算出した。
この方法はX線回折パターンから結晶配向度を便宜的に求める方法であり,次式により決定される。
特定面の結晶配向度(%)={(p−p)/(1−p)}×100
p=Σ特定面I(hkl)/Σ全てI(hkl)
=Σ特定面I(h’k’l’)/Σ全てI(h’k’l’)
ここで,I(hkl),I(h’k’l’)は各々評価試料及び標準無配向試料の(hkl)面,(h’k’l’)面の回折線強度,『Σ特定面』は注目する配向面に関連する回折線の強度和,『Σ全て』は全ての回折線の強度和に相当する。
【0048】
なお,本例では,正方晶系,あるいは菱面体晶系ペロブスカイト構造を有する化合物として,PBNT,あるいはCNTの{100}面(立方晶表示)結晶配向度を計算するが,これらの場合正方晶系では(h00),(00l[ゼロゼロエル])面が,菱面体晶系では(h00)面が各々配向面に関連する特定面に相当する。
【0049】
次に,通常の粉末法により作製した無配向のPBNTよりなるセラミックスとと試料3にかかる結晶配向セラミックスとの特性を比較した。
両セラミックスを厚さ0.5mm×Φ11mmの円板上に加工し,両面に金蒸着により電極を形成した。なお,試料1に関しては,配向面が円板面と平行になる様に加工した。
【0050】
上記円板を温度100℃に保持したシリコン油中で4kV/mmの電界を10分印加して,分極処理を施した。その後,共振−反共振法により円板の圧電定数を測定した。
この測定によれば,試料3の比誘電率は880,電気機械結合係数Kpは36%,圧電定数d31は57pm/Vであった。無配向のセラミックスは比誘電率は1020,電気機械結合係数Kpは32%,圧電定数d31は56pm/Vであった。
【0051】
正方晶系ペロブスカイト構造を有するPBNTは,結晶配向により誘電率が低下したが,電気機械結合係数,圧電定数が少し増加した。即ち,結晶配向により電気−機械の変換係数が向上したことが分かった。
これにより,結晶配向セラミックスを利用することにより,無配向の材料を使用する場合よりも高効率なアクテュエータ,感圧素子等のデバイスを作製可能なことが分かった。
【0052】
次に,本例における作用効果につき説明する。
本例では急速加熱を施すことにより,ホスト相の消失を遅らせると共にゲスト相の生成を早めている。
このため,前述した図7及び図2に示すごとく,第3相が生じ難くなり,前述したごとき第3相によるホスト相とゲスト相との間の結晶方位転写の阻害が解消され,結晶配向度の高い結晶配向セラミックスを確実に得ることができる。
【0053】
以上のように本例によれば,使用する材料等の種類に関わらず確実に結晶配向度の高いセラミックスを製造可能な,結晶配向セラミックスの製造方法を提供することができる。
【0054】
【発明の効果】
上記のごとく,本発明によれば,使用する材料等の種類に関わらず確実に結晶配向度の高いセラミックスを製造可能な,結晶配向セラミックスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例の試料1〜5,比較試料にかかる(Pb0.5 Bi0.5 )(Ni0.25Ti0.75)Oよりなる結晶配向セラミックスのX線回折パターンを示す線図。
【図2】実施形態例の試料1〜5,比較試料にかかる昇温過程における相変化曲線を示す線図。
【図3】(Bi0.5 Na0.5 )TiOよりなる結晶配向セラミックスと,粉末法により作製された無配向の多結晶セラミックスとのX線回折パターンを示す線図。
【図4】BNT((Bi0.5 Na0.5 )TiO)生成における相変化曲線を示す線図。
【図5】従来例にかかる,共存領域が広い材料系でのホスト相とゲスト相との相変化曲線を示す線図。
【図6】従来例にかかる,共存領域を持たない材料系でのホスト相とゲスト相との相変化曲線を示す線図。
【図7】従来例にかかる,第3相が形成される材料系でのホスト相とゲスト相及び第3相の相変化曲線を示す線図。
【図8】本発明にかかる,共存領域を持たない材料系においてホスト相の消失を遅らせると共にゲスト相の生成を早めた状態でのホスト相とゲスト相との相変化曲線を示す線図。
【図9】本発明にかかる,第3相が形成される材料系においてホスト相の消失を遅らせると共にゲスト相の生成を早めた状態でのホスト相,ゲスト相及び第3相の相変化曲線を示す線図。

Claims (2)

  1. 粒子配向した状態にあるビスマスを含むホスト粒子をテンプレートとしてホスト粒子とゲスト化合物原料とを混合,加熱することにより,等方性ペロブスカイト型構造を有するゲスト化合物からなる結晶配向セラミックスを製造する方法において,
    上記加熱は,少なくとも,上記ホスト粒子からなるホスト相が安定して存在しうるホスト相安定温度領域から,上記ゲスト化合物からなるゲスト相が安定して存在しうるゲスト相安定温度領域に達すまでの間の昇温を,1000℃/時以上の昇温速度にて急速昇温することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
  2. 請求項1において,昇温によりペロブスカイト構造に対する結晶整合を持たない第3相が生成する場合には,該第3相が消失する温度以上まで上記急速昇温を継続することを特徴とする結晶配向セラミックスの製造方法。
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