JP3629919B2 - パレット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークを搬送、加工等するときに用いるパレットに関し、例えば自動車の内燃機関(以下「エンジン」という。)のシリンダブロックを加工するときに用いるパレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリンダブロックは、鋳造により成形された後、粗加工および各種の精密加工等の一連の工程を経て完成品に仕上げられる。そして、この各工程においては、ワークであるシリンダブロックがスムースに移動するようにその搬送にパレットを用いることが知られており、このようなパレットでは「搬送する」という役割を専ら担っている。
【0003】
一方、粗加工後のワークの所定箇所に基準穴を設け、この基準穴を基点にしてワークに各種精密加工を施す工法が一般に採られている。そのため、例えば粗加工後のワークを一度パレットから加工台等に移動させ、この加工台等の基準となる位置にワークのセンター等を合わせた後、ドリルマシン等により基準穴を加工し、再びパレットにワークを載せるという作業手順が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した作業手順によると、パレットに載せたワークの積み降ろし作業が必要になるため作業が煩雑になり易いという問題がある。また、前述した基準穴の位置決め精度に直接影響を与える加工台等の基準位置に対するワークの位置合せは、高い精度を要求される一方で、粗加工後のワークには一定の基準になり得る部位が少ないことから位置合わせ作業の自動化が難しく、加工ラインの全自動化を妨げるという問題がある。さらに近年、複数種類のワークを同一の加工ラインに流す場合が増えている状況下では、こうしたワークの位置合わせ作業がワークの種類毎に異なり得るため、位置合わせ作業の自動化を一層困難にする傾向にある。
【0005】
そこで、上述したような問題を解決するため、特公平8−11345に記載されているように、ピストンロッドを有するシリンダ2個を背中合わせに配し各々のピストンロッドの先端に位置決めアームを取付けて構成した位置決め治具を、シリンダブロックのボア内に挿入して、シリンダブロックの位置決めを行うものがある。ところが、この位置決め治具によるシリンダブロックの位置決めでは、2本のピストンロッドを同時に等しく伸長させ、位置決めアームをボア壁に押圧させる必要があり、そのようにしようとしても、それぞれのシリンダが均等な力を発生するようにシリンダを構成することはシリンダの加工技術上の問題から極めて困難である。そのため、このような構成の位置決め治具では、高精度なシリンダブロックの位置合わせを行うことはできず、上述した問題を解決するに至っていない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、パレット本体上の所定の位置にワークを位置合わせし得るパレットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1のパレットでは、
ワークを載置可能なパレット本体と、
前記パレット本体に載置されたワークに形成される複数の穴部に挿入され、このワークを保持可能な複数のチャックと、
前記パレット本体に取付けられ、前記パレット本体上の任意位置に前記複数のチャックを移動可能に支持するスライダとを備え、
前記スライダは、前記複数のチャックのうちのいずれか一つのチャックが移動すると、このチャックの移動に同期して互いに相反する方向に残りのチャックを移動させるリンク機構を備え、
前記チャックは、周方向等間隔に配設され、それぞれほぼ同量に突出可能な複数の凸部を有することを技術的特徴とする。
【0010】
本願発明では、ワークに挿入される複数のチャックがワークを保持し、パレット本体に取付けられたスライダがこの複数のチャックをパレット本体上の任意位置に移動させる。即ち、ワークを保持する複数のチャックがスライダによって任意位置に移動する。これにより、複数のチャックに保持されたワークがパレット本体上の所定の位置に移動するようにスライダを制御することによって、パレット本体上の所定の位置にワークの位置を合わせることができる。
【0011】
本願発明では、パレット本体に取付けられたスライダは、リンク機構によっていずれか一つのチャックの移動に同期して互いに相反する方向に残りのチャックを移動させる。即ち、各チャックはスライダのリンク機構によって互いに同期して反対方向に移動する。これにより、任意のチャックが移動すると、その移動に同期して他のチャックも互いに相反する方向に移動することから、リンク機構の中心をパレット上の所定の位置としてワークを位置合わせすることができる。
【0012】
本願発明では、チャックは周方向等間隔に配設される複数の凸部を有し、この凸部はそれぞれほぼ同量に突出可能である。これにより、ワークに形成される穴部にチャックを挿入した状態で複数の凸部がほぼ同量に突出させ、穴部の内壁にそれぞれの凸部が当接するまで複数の凸部を突出させると、ワークの穴部の軸を正確に捉えることができる。また、この穴部の内壁に最初に当接した凸部が穴部の内壁を押圧しながら突出するため、穴部の内壁に最初に当接した凸部を有するチャックはこの凸部の反押圧方向に移動する。これにより、このチャックの移動に同期して他のチャックが移動してパレット本体上の所定の位置にワークを移動させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のパレットの実施形態について図1〜図7を参照して説明する。まず、本発明の一実施形態を適用する搬送パレット10の機能概要を図2に基づいて説明する。なお、図2は、搬送パレット10上におけるシリンダブロック90およびナットランナ80の位置関係を模式的に示した図であり、図示されていないが搬送時のシリンダブロック90は搬送パレット10に載置されている。
【0014】
図2に示すように、搬送パレット10は、6気筒エンジンのシリンダブロック90を各工程に搬送するために用いるもので、パレットベース12上にシリンダブロック90が載置され搬送される。そのとき、シリンダブロック90に形成されるシリンダボア92にはチャック30が挿入され、そのチャック30がナットランナ80によりチャック動作をすることよって、シリンダブロック90はチャック30に保持され、かつ、パレットベース12上の所定位置に位置決めされる。以下、この搬送パレット10の構成および作動を説明する。
【0015】
図1、図3〜図5に示すように、搬送パレット10は、主にパレットベース12、スライダ20、リンク機構24、チャック30、ストッパ60およびドグ70から構成される。
パレットベース12は矩形状平板からなり、その上面にシリンダブロック90を載置しても、たわみ等が生じない程度の肉厚に設定されている。そして、このパレットベース12の上面には、スライダ20、リンク機構24、チャック30、ストッパ60、ドグ70等が次に述べる構成により設けられている。
【0016】
図5に示すように、スライダ20は、ガイド14、スライダベース21および摺動部22からなり、並行する2本のガイド14の内側をスライダベース21が摺動部22を介して摺動可能に構成されている。
角柱状からなるガイド14には、V字状のガイド溝14aが長手方向に形成されており、このガイド溝14aが対向するように所定距離を隔て2本のガイド14をほぼ平行に位置させることによってスライダ20の軌道を形成する。このようにしてパレットベース12上に並べられたガイド14は、パレットベース12に複数のボルト59によりねじ締結されている。
【0017】
スライダベース21は、2本のガイド14からなる軌道内に収まるような矩形状平板に形成されている。そして、この軌道と平行に位置するスライダベース21の2辺には摺動部22が取付けられ、この軌道を垂直に位置する2辺のうち1辺にはリンク機構24の一端が、また残りの1辺にはストッパ60を構成するストッパボルト23が、それぞれ取付けられている。
【0018】
摺動部22は、スライダベース21にボルト53によりねじ締結されており、スライダベース21に取付けられた状態において、軌道を形成するガイド溝14aに適合可能な逆V字状の凸部22aが形成されるとともに、僅かな隙間を介してパレットベース12から摺動部22が離隔するような厚さに形成されている。また、この摺動部22には図7に示すローラベアリング22bが取付けられており、ガイド14からなる軌道をスムースに移動できるように構成されている。
【0019】
図1に示すように、リンク機構24は、リンク部材25a、25b、センターピン26およびリンクピン28からなり、リンク機構24を挟むようにリンク機構24の両側に位置する2個のスライダ20が互いに軌道上をセンターピン26を中心に同量の距離だけ接近したり離隔したりできるようにしている。
【0020】
リンク部材25aは、長手方向の断面形状がエ字状になるように形成されるとともに、中心にはセンターピン26が貫通可能な穴部が形成されている。そして、メタル軸受け27を介してこの穴部を貫通するセンターピン26の先端がパレットベース12のほぼ中央に嵌入固定されることで、このセンターピン26を中心にリンク部材25aが回動可能に取付けられている。一方、リンク部材25aの両端には、リンクピン28を介して回動可能に接続されるリンク部材25bが位置する。この構成により、図4に示すように、リンク機構24の平面形状はZ字状を形成しており、Z字状の両端部、即ちリンク部材25bのリンクピン28側の端部には、リンクピン29を介して前述したスライダ20がそれぞれ取付けられている。
【0021】
リンク機構24がこのように構成されることから、一方のスライダ20がセンターピン26に近づくと、このスライダ20側のリンクピン28を中心に「く」字状に屈折しているリンク部材25aとリンク部材25bがさらに大きく屈折し、同時に、他方のスライダ20のリンク部材25aおよびリンク部材25bも、他方側のリンクピン28を中心に「く」字状に大きく屈折する。これにより、他方のスライダ20がリンク機構24によってリンクピン28側に引く寄せられることになる。このようにガイド14の軌道上において、一方のスライダ20がセンターピン26に近づくことで、他方のスライダ20も同量だけセンターピン26に近づくことができ、また反対に一方のスライダ20がセンターピン26から遠ざかれば他方のスライダ20も同量だけセンターピン26から遠ざかることができる。つまり、一対のスライダ20がセンターピン26を中心に軌道上を互いに相反する方向に同期して同量の距離だけ移動するようにリンク機構24が構成されている。
【0022】
図3に示すように、チャック30は、主に、チャックベース32、大径部34、小径部35、回転棒38、テーパガイド45および爪部48からなる。
チャックベース32、大径部34および小径部35は、チャックベース32から小径部35に向かって順に外径が段階的に縮径するようにそれぞれ筒状に形成されており、前述したスライダベース21上にチャックベース32から順番に積み上げられるようにして、チャック30のハウジングが形成される。そして、このチャックベース32、大径部34および小径部35からなるハウジング内にテーパガイド45を軸方向移動させる回転棒38が収容されている。
【0023】
チャックベース32は前述したスライダベース21上に上方に向かって開口するように固定されており、このチャックベース32上に大径部34がボルト51によりねじ締結されている。
大径部34は、チャックベース32側端部付近に、筒壁を径方向に貫通する穴部34aが3箇所に設けられている。この穴部34aは、図6に示すように同一円周状に周方向等間隔(120度間隔)に設けられており、後述する爪部48を受けるメタル軸受け46がそれぞれに嵌入固定されている。また、この大径部34内のチャックベース32側端部付近には、後述する回転棒38の雄ねじ部38dと螺合可能な雌ねじ部33aが内壁に形成される円筒状のインナー33が収容されており、このインナー33と大径部34とはボルト52により締結固定されている。
【0024】
小径部35は、大径部34のチャックベース32側端部にボルト54によりねじ締結されている。そして、この小径部35の大径部34側端部には、回転棒38が貫通可能な穴部をほぼ中央に有する蓋部37がボルト57によって締結固定されている。また小径部35の内壁にはメタル軸受け36が軸方向に2箇所に嵌入固定されており、これにより回転棒38を安定して受けられるように構成されている。
【0025】
一方、チャック30のハウジング内に収容される回転棒38は、一端側から他端側に向けて3段に縮径する大径部38a、中径部38bおよび小径部38cからなる。
一番細い小径部38cの外周壁には雄ねじ部38dが形成され、ハウジング内に収容されたとき、前述した大径部34内に収容されるインナー33の雌ねじ部33aに螺合可能に構成されている。大径部38aと小径部38cとの間に位置する中径部38bの外周には、後述するテーパガイド45が位置しており、このテーパガイド45がベアリング41、42を介して中径部38bの外周壁を周方向に摺動可能に構成されている。一番太い大径部38aの外径は、ハウジング内に収容されたとき、小径部35のメタル軸受け36の内径より僅かに小径になるように設定されており、ハウジング内で回転棒38がスムースに回動するように構成されている。
【0026】
回転棒38の大径部38a側端部には、回転力伝達部39が設けられており、図2に示すナットランナ80により与えられる回転力を回転棒38に伝達する役割を果たしている。このナットランナ80による回転力伝達部39の回動が、回転棒38の小径部38cを回動させることから、インナー33に螺合して挿入される小径部38cの挿入深度を変動させる。つまり、インナー33と小径部38cとにより構成されるねじ機構によって、小径部38cの周方向回転運動が回転棒38の軸方向直線運動に変換されることから、回転力伝達部39の回動により回転棒38が軸方向移動可能になる。
【0027】
図3に示すように、テーパガイド45は円錐台形状に形成されており、その軸中心には前述した回転棒38の中径部38bが貫通可能な穴部が形成されている。また、テーパガイド45の外周壁、即ちテーパ部には案内溝45aが、周方向等間隔(120度間隔)に3本軸方向に形成されており、その断面形状が図6に示されている。この案内溝45aは、テーパ部の斜面に沿って爪部48を軸方向移動させるためのもので、図6に示すようなT字状の断面形状を案内溝45aにもたせることにより、案内溝45aから爪部48が離脱するのを防止している。
【0028】
テーパガイド45の両端部には、ベアリング41、42がそれぞれ取付けられており、このベアリング41、42によってテーパガイド45を貫通する中径部38bを受けている。また、小径部38c側に位置するベアリング42のテーパガイド45側には、係止部材43が取付けられており、この係止部材43によって大径部38aとの間に、ベアリング41、テーパガイド45およびベアリング42を挟み込むように係止している。さらに、案内溝45aによりテーパガイド45のテーパ部を移動可能な爪部48は、前述したハウジングを構成する大径部34に形成される穴部34aから径方向外側に突出可能に構成されている。
【0029】
テーパガイド45の周辺をこのように構成することで、ハウジング内に収容される回転棒38、即ち中径部38bが回動しても、その回転力の一部をベアリング41、42が吸収し、しかも爪部48がテーパガイド45の周方向移動を規制することからテーパガイド45の回動が妨げられる。また、回転棒38が軸方向移動すると、その移動が係止部材43を介してテーパガイド45に伝えられ、ベアリング41、42とともに中径部38bの軸方向移動に従って移動する。つまり、回転力伝達部39の回動によって生ずる回転棒38の軸方向往復運動にのみ追従してテーパガイド45が軸方向に往復運動するように構成されている。
【0030】
爪部48は、前述した大径部34の穴部34aの内径より僅かに小径の外径を有する円柱形状に形成されており、一端側には緩やかな球面凸状に形成される当接部48aを備え、また他端側にはテーパガイド45の案内溝45aに係合可能に形成される係合部48bを備えている。そして、前述したように、ハウジングを構成する大径部34の穴部34aを貫通するようにハウジングに収容されており、またテーパガイド45のテーパ部の斜面に沿って軸方向移動可能に構成されている。このことから爪部48が大径部34の穴部34a内に位置する以上、ハウジングの軸方向に爪部48が移動することはなく、テーパガイド45の軸方向移動に伴って爪部48はテーパ部を相対的に移動することになる。
【0031】
一方、爪部48が貫通する穴部34aの形成位置におけるテーパガイド45の外径に着目すると、テーパガイド45の軸方向往復動に伴い拡径または縮径することがわかる。したがって、テーパガイド45の案内溝45aに案内される爪部48は、テーパガイド45の軸方向往復動に伴い大径部34の穴部34aから飛び出たり引っ込んだりするのである。つまり、回転棒38の回動によりテーパガイド45が小径部35側(図3で上方)に移動すると、テーパガイド45の大径方向に爪部48が相対移動するため、案内溝45aに押し出された爪部48が大径部34の穴部34aから出てくる。また、テーパガイド45がチャックベース32側(図3で下方)に移動すると、テーパガイド45の小径方向に爪部48が相対移動するため、案内溝45aに引っ張られた爪部48が穴部34aに引き込まれるのである。さらに、テーパガイド45は円錐台形状であることから、同一円周状に位置する爪部48の作動は、全て同様にしかも同時に行われる。つまり、3箇所に設けられる爪部48が同時に同量だけ飛び出たり引っ込んだりするのである。
【0032】
図3に示すように、ストッパ60は、主に調整ねじ61、台座62、ストッパボルト23からなり、スライダ20の移動量を規制する働きをする。このストッパ60は1台のスライダ20に対し2個1組の割合で設けられており、スライダ20を両側から挟むように軌道内の所定位置に位置している。
【0033】
調整ねじ61を支持する台座62は所定位置に固定されており、調整ねじ61をねじ回しすることにより調整ねじ61の端部の突出量を加減可能に構成されている。ストッパボルト23はスライダベース21に取付けられており、スライダ20が設定移動量を超えて移動しようとするときに調整ねじ61の端部が当接する部分に位置している。このような構成により、例えば予め設定された位置(所定のシリンダボア92の中心)からスライダ20が±5mmの範囲で移動可能なように調整ねじ61の端部とストッパボルト23との間隔を調整ねじ61により調整する。
【0034】
ドグ70は、主に台座71、識別部72a、72b、72c、72dからなり、搬送パレット10の種別を図示しない近接センサ等により識別するために用いられる。所定方向に向けて取付けられる長さの異なる識別部72a、72b、72c、72dは、その配置順序と組合せにより搬送パレット10の種別を表示し、搬送可能なシリンダブロック90の種類を限定している。このように搬送パレット10が搬送できるシリンダブロック90を選ぶのは、スライダ20の設定位置が予め決められ、また前述したストッパ60によりスライダ20の移動量が規制されていることによる。例えば4気筒エンジン用のシリンダブロックと6気筒エンジン用のシリンダブロックの如くシリンダボアの位置が異なる場合である。
【0035】
また、このドグ70によるパレット種別のデータより、ナットランナ80同士の間隔を制御することで、異なった形状のシリンダブロックが同一の加工ラインに流れても、それぞれのチャック30の位置にナットランナ80を自動的に位置合わせすることができる。
【0036】
次に、搬送パレット10の作動を図3および図7に基づいて説明する。
図3に示すように、シリンダブロック90を載置する前においては、搬送パレット10のチャック30はテーパガイド45が最も下方に位置するようにセットされている。つまり、チャック30の全ての爪部48が最も穴部34aに入り込んだ状態を維持している。また、2台のチャック30は、それぞれ所定のシリンダボア92(本実施形態ではボア番号2、5)に対応可能な位置に予め位置合わせされている。この状態の搬送パレット10に図示しないクレーン等で釣り上げたシリンダブロック90を載置する。このとき、ボア#2およびボア#5のシリンダボア92にそれぞれ対応するチャック30が挿入されるようにシリンダブロック90の位置合わせが行われる。また、近接センサ等によりドグ70から読み取ったパレット種別のデータからナットランナ80同士の間隔が設定される。
【0037】
図7に示すように、チャック30の上方に位置合わせされたナットランナ80(ボア#2に対応)が、#2のシリンダボア92に挿入されたチャック30の回転力伝達部39の先端位置を目標に降りてきた後、ナットランナ80のランナ先端部82が回転力伝達部39をつかむ。すると、所定の方向にランナ先端部82が回転し始め、最も下方に位置していたテーパガイド45が徐々に上方に移動し始める。このため、テーパガイド45が3本の爪部48を径方向外側に少しづつ押し出し、3箇所の穴部34aから3本の爪部48が同時に出始める。そして、ランナ先端部82の回転を続けることによってさらに爪部48が突出し、シリンダボア92のボア壁に全ての爪部48の当接部48aが当接したところでランナ先端部82の回転を止める。
【0038】
このとき、シリンダボア92の軸から外れたところにチャック30が位置すると、3本の爪部48のうち、1本だけが他の2本より先にボア壁に当接することになる。この場合、先に当接した爪部48がシリンダブロック90を押すことによりスライダ20を動かすことで、シリンダボア92の軸と一致するところまでチャック30を移動させる。そのため、このような場合であっても、全ての爪部48の当接部48aをボア壁に当接させることができる。
【0039】
#2のシリンダボア92のボア壁に全ての爪部48の当接部48aが当接すると、ボア#2に対応するチャック30のチャック動作が完了する。このように、3箇所の穴部34aから3本の爪部48が同時にしかも同量づつ突出することから、シリンダボア92の径に拘らずボアの軸に一致した位置でシリンダブロック90を保持できる。
【0040】
一方のシリンダボア92のチャック動作が完了すると、他方のシリンダボア92(本実施形態ではボア#5)も同様にチャック30によりチャック動作させる。このとき、#5のシリンダボア92についてもボアの軸から外れたところにチャック30が位置すると、3本の爪部48のうち、1本だけが他の2本より先にボア壁に当接することになる。この場合、先に当接した爪部48がシリンダブロック90を押すことによりスライダ20を動かすと、先にチャック動作を完了したボア#2に対応するチャック30のスライダ20もリンク機構24によって同期して移動する。これにより、#5にシリンダボア92に対応するチャック30がシリンダボア92の軸と一致するところまでチャック30を移動できることに加え、リンク機構24のセンターピン26を中心にシリンダブロック90を位置合わせすることができる。
【0041】
#5のシリンダボア92のボア壁に全ての爪部48の当接部48aが当接すると、ボア#5に対応するチャック30のチャック動作が完了する。このように#2および#5のチャック動作が完了すると、#2のシリンダボア92と#5のシリンダボア92との中間点、即ちシリンダブロック90の基準位置が、搬送パレット10のセンターピン26の軸と一致するように自動的に位置決めされる。つまり、前述したリンク機構24によって、一対のスライダ20がセンターピン26を中心に軌道上を互いに相反する方向に同期して同量の距離だけ移動することから、#2および#5に対応するそれぞれのチャック30によりシリンダボア92の軸と一致した位置でシリンダブロック90を保持すれば、自動的にセンターピン26の軸と#2、#5間の中間点とが一致するのである。
【0042】
このように搬送パレット10上において、シリンダブロック90の基準位置が定まると、次工程に搬送パレット10が搬送され、シリンダブロック90の所定箇所に基準シートと呼ばれる基準穴が設けられる。
図7に示すように、本実施形態の場合、基準シート94は3箇所に設けられ、その加工はドリル95により、1箇所づつ形成される。そして、この後工程では、この基準シート95を基点にして各種精密加工がシリンダブロック90に施される。
【0043】
なお、チャック30を開放する作動は、チャック動作時と反対の方向に回転力伝達部39を回転させることにより行う。つまり、テーパガイド45が下方に移動するように回転力伝達部39を回転させることによって、テーパガイド45が3本の爪部48を径方向内側に引き込むことにより、ボア壁に当接していた爪部48がボア壁から離れる。これにより、チャック30からシリンダブロック90が開放される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によると、リンク機構24によって、一対のスライダ20がセンターピン26を中心に軌道上を互いに相反する方向に同期して同量の距離だけ移動させることができる。これにより、リンク機構24のセンターピン26を中心に、即ち搬送パレット10上の所定位置にシリンダブロック90を位置合わせすることができる効果がある。
【0045】
また、本実施形態によると、テーパガイド45は円錐台形状であることから、3箇所に設けられる爪部48が同時に同量だけ飛び出させたり引っ込めさせたりすることができる。これにより、シリンダボア径に拘らずボアの芯出しを容易にしかも正確にできる効果があるばかりでなく、ボア壁を均等に捉えることができるため、シリンダブロック90を確実に保持する効果もある。
【0046】
さらに、本実施形態によると、所定のシリンダブロック90に対応するそれぞれのチャック30によりシリンダボア92の軸と一致した位置でシリンダブロック90を保持するため、リンク機構24によって、自動的にセンターピン26の軸と所定のシリンダブロックのボア間の中間点とを一致させることができる。これにより、搬送パレット10上の任意位置に自動的にシリンダブロック90を位置合わせすることができるため、他の加工台等で基準シートを形成する必要がなくなり、しかもシリンダブロック90の積み降ろし作業も不要になる。したがって、搬送パレット10がスムースに流せる効果があるとともに、加工ラインの全自動化に貢献できる効果がある。
【0047】
なお、本実施形態では、6気筒エンジン用のシリンダブロックを搬送するパレットに本発明を適用した場合について説明したが、本発明ではこれに限られることはなく、チャックで保持可能な形状を有する穴部が形成されたワークであれば良く、また、3気筒、4気筒、5気筒等の他の気筒数を有するエンジンに用いるシリンダブロックに適用すれば6気筒エンジン用のシリンダブロックの場合と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0048】
また、本実施形態では、複数の凸部として、3本の爪部48を設けたが、本発明ではこれに限られることはなく、2本でも4本以上であっても、3本の場合と同様の効果が得られる。
【0049】
【発明の効果】
本願発明では、ワークを保持する複数のチャックがスライダによって任意位置に移動する。これにより、複数のチャックに保持されたワークがパレット本体上の所定の位置に移動するようにスライダを制御することによって、パレット本体上の所定の位置にワークの位置を合わせることができる。したがって、例えば別の加工台等にワークを載せ換えることなくして次工程の加工が可能になるため、ワークの積み降ろし作業を不要にする効果があるとともに、ワークをスムースに搬送できる効果がある。
【0050】
本願発明では、各チャックはスライダのリンク機構によって互いに同期して移動する。これにより、任意のチャックが移動すると、その移動に同期して他のチャックも互いに相反する方向に移動することから、リンク機構の中心をパレット上の所定の位置としてワークを位置合わせすることができる。したがって、ワークに形成される複数の穴部のうち、チャックを挿入した穴部同士間の中心位置がリンク機構の中心に位置合わせされることになり、ワークのいわゆる芯出しを容易にする効果がある。
【0051】
本願発明では、チャックは周方向等間隔に配設される複数の凸部を有し、この凸部はそれぞれほぼ同量に突出可能である。これにより、ワークに形成される穴部にチャックを挿入した状態で複数の凸部がほぼ同量に突出させ、穴部の内壁にそれぞれの凸部が当接するまで複数の凸部を突出させると、ワークの穴部の軸を正確に捉えることができる。したがって、ワークに形成された複数の穴部の軸間中心をワークの軸(中心)とするような位置合わせ行う場合、このワークの軸を容易にしかも正確に割り出す効果がある。また、チャックの凸部はそれぞれほぼ同量に突出可能であることから、ワークを確実に保持する効果もある。さらに、この穴部の内壁に最初に当接した凸部が穴部の内壁を押圧しながら突出するため、穴部の内壁に最初に当接した凸部を有するチャックはこの凸部の反押圧方向に移動する。これにより、このチャックの移動に同期して他のチャックが移動してパレット本体上の所定の位置にワークを移動させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるパレットの側面を示す部分断面図である。
【図2】搬送パレット、シリンダブロックおよびナットランナの位置関係を模式的に示す斜視図である。
【図3】図1に示すIII 部分の拡大図である。
【図4】図1に示すIV−IV線断面図である。
【図5】図4に示すV方向矢視による矢視図である。
【図6】図5に示すVI−VI線部分断面図である。
【図7】シリンダブロックをチャックにより保持する工程および基準シートを形成する工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10 搬送パレット(パレット)
12 パレットベース
14 ガイド
20 スライダ
24 リンク機構
26 センターピン
30 チャック
38 回転棒
45 テーパガイド
48 爪部(凸部)
90 シリンダブロック(ワーク)
92 シリンダボア(ワークの穴部)
Claims (1)
- ワークを載置可能なパレット本体と、
前記パレット本体に載置されたワークに形成される複数の穴部に挿入され、このワークを保持可能な複数のチャックと、
前記パレット本体に取付けられ、前記パレット本体上の任意位置に前記複数のチャックを移動可能に支持するスライダとを備え、
前記スライダは、前記複数のチャックのうちのいずれか一つのチャックが移動すると、このチャックの移動に同期して互いに相反する方向に残りのチャックを移動させるリンク機構を備え、
前記チャックは、周方向等間隔に配設され、それぞれほぼ同量に突出可能な複数の凸部を有することを特徴とするパレット。
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