JP4178305B2 - 自動搬送球体研削装置 - Google Patents

自動搬送球体研削装置

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、球体、特に小径球体の表面に多面状に平面面取部(円形)を形成加工する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術における研削装置には、直径が数ミリメートル程度の小球体の表面に多数の小円形平面を形成する多面取り加工を作業効率よく高精度に行うものがない。
又、従来の技術の加工装置における工作物の自動搬入出装置には、1アーム・2ハンド形式のものが用いられている。
【0003】
1アーム・2ハンド形式のものにおいては、搬出動作(搬出アーム前進、ハンド閉、搬出アーム後退)、搬入動作(搬入アーム前進、ハンド開、搬入アーム後退)、加工開始、搬出ステーションへ移動、工作物の次ステーションへ搬送(搬出アーム前進、ハンド開、搬出アーム後退)、搬入ステーションへ移動、未加工工作物搬入(搬入アーム前進、ハンド閉、搬入アーム後退)、加工位置へ移動、待機というようなプロセスを要している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
多面面取り加工を自動的にするためには、工作物の自動搬入搬出、芯出し、クランプ、多面割出し等が必要であるが、工作物が球体である上、小球体である場合には、従来技術の研削装置においてはそのすべてが困難である。
又、従来の技術における工作物の自動供給排出は、搬出搬入の動作が1作動でなく、複雑で時間がかかり、サイクルタイムの短い加工に適応できない。
しかも、工作物が球体であり、更に2個同時加工の場合には、適応が困難である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の自動搬送球体研削装置は、(a)同一軸線上で対向し、夫々の先端面に1個又は軸線方向に2個並んだ球体工作物を挟持する錐形穴が形成された主軸センタ及び心押センタ、(b)主軸センタ及び心押センタを前記同一軸線方向に進退させる駆動手段、(c)主軸センタ及び心押センタを前記同一軸線回りに割出し同期回転させる駆動手段、(d)主軸センタ及び心押センタの前記同一軸線対向して設けられた砥石車、(e)主軸センタ及び心押センタと砥石車と前記同一軸線に垂直方向に相対的に移動させる駆動手段、(f)主軸センタ及び心押センタと砥石車と前記同一軸線方向に相対的に移動させる駆動手段、(g)前記同一軸線と平行な軸線回りを回転自在に支持され、円周方向に間隔をあけて外周の少なくとも3箇所に、収納される球体工作物が前記同一軸線方向に移動可能で、外周面の開口から球体工作物が突出すると共に脱落不能である受溝が形成された回転ドラム、(h)未加工球体工作物が搬入される搬入位置、加工時に球体工作物が位置する加工位置及び加工済球体工作物が搬出される搬出位置に受溝が位置するように回転ドラムを割出し回転させる駆動手段、(i)回転ドラムの両面を挟むように同心的に設けられた一対の固定ドラム、該固定ドラムの一つの前記搬入位置における外周に形成された、球体工作物が通過し得る通過溝、該固定ドラムの前記加工位置における外周に形成された、主軸センタ又は心押しセンタが通過し得る通過溝、該固定ドラムの一つの前記搬出位置における外周に形成された、加工済球体工作物が通過する搬出部、(j)搬入位置において固定ドラムの通過溝を通して回転ドラムの受溝に未加工球体工作物を収納する搬入手段、(k)搬出位置において回転ドラムの受溝から固定ドラムの搬出部を通して加工済球体工作物を搬出する搬出手段を備えている。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置を図面に従って説明する。 なお、左右方向及び前後方向は、図1及び図2における左右方向及び紙面垂直方向として説明する。
図1に示すように、研削装置のベッド上をX軸線方向(左右方向)に移動可能であるテーブル1に工作主軸台2と心押台3とがX軸線方向に対向して載置されている。
【0007】
図1は、A−A線より上部は水平断面図であり、A−A線より下部は直立断面図である。そこで、先ず、工作主軸台2について説明すると、図1において、工作主軸台2には、A−A線を含む水平面上で前後に平行に大小のX軸線方向の貫通孔が形成され、奥側の大貫通孔には、X軸線方向移動自在にラム4が嵌挿され、手前側の小貫通孔には、軸受5で回転自在に支持されて回転伝達軸6が嵌挿されている。
【0008】
工作主軸台2の右端から突出したラム4の右端面には、水平に前後に伸びた連結プレート7が取り付けられている。連結プレート7の後部には、左側面に頭部8aが係合した連結ボルト8が、連結プレート7をX軸線方向に貫通して進退自在に取り付けられている。
【0009】
連結ボルト8には頭部8a側に開口したねじ穴8bが形成されていると共に、右端側のねじ部8cには、ばね止めナット9が螺合している。そして、ばね止めナット9と連結プレート7との間には連結ボルト8を囲繞する圧縮コイルばね10が嵌装されている。従って、連結ボルト8の頭部8aは、圧縮コイルばね10のばね力をもって連結プレート7に当接されている。
【0010】
工作主軸台2の後側面には、主軸進退駆動用の油圧シリンダ11が取り付けられ、そのピストン棒11aは連結ボルト8と同一軸線で右方に突出し、先端にねじ部が形成され、そのねじ部は連結ボルト8のねじ穴8bに螺合している。即ち、連結ボルト8は、ピストン棒11aの先端に取り付けられている。
【0011】
ラム4及び連結プレート7を貫通して中心孔が形成され、その中心孔には、軸受12で回転自在に支持されて工作主軸13が嵌挿され、ラム10より突出した工作主軸13の先端は、先端面に錐形穴、好ましくは図10に示すような円錐形穴14aが形成された主軸センタ14となり、連結プレート7より突出した工作主軸13の右端部にはプーリ15が取り付けられている。
【0012】
連結プレート7の前部には、回転伝達軸6と同一軸線のプーリ軸16が両端突出状態で連結プレート7をX軸線方向に貫通して軸受17で回転自在に支持されており、プーリ軸16の突出左端部は回転伝達軸6の右端部とスプライン結合18となり、突出右端部にはプーリ19が取り付けられている。
【0013】
そして、工作主軸13のプーリ15と回転伝達軸6のプーリ19とには無端ベルト20が巻き掛けられている。
回転伝達軸6の先端部は、図2に示すように後述する心押台3における中間軸43とスプライン結合47になっている。
【0014】
工作主軸台2の左端部の内部には、回転伝達軸6を囲繞するスリーブ部2aを残し、左側面開口部をもつ適宜の空洞部H1が形成されている。
空洞部H1内においては、スリーブ部2aの外周に軸受21を介して歯車付筒体22が回転自在に支持され、歯車付筒体22の歯車部22aは、回転伝達軸6の下方で工作主軸台2内に装着されたサーボモータ23のモータ軸23aに取り付けられた歯車24と中間歯車25を介して連結されている。
【0015】
工作主軸台2の左側端面には、後述するような略環状円板形の内側固定ドラム30と外側固定ドラム31とボルト結合されて形成された固定ドラムSDが回転伝達軸6を中心にしてボルトで取り付けられている。
【0016】
後述するように内側固定ドラム30と外側固定ドラム31との間に挟まれた状態にある略環状円板形の回転ドラム32は、内側固定ドラム30から突出した歯車付筒体22の左側端面にボルトで取り付けられており、歯車付筒体22の回転により内側固定ドラム30と外側固定ドラム31と間で回転され得る状態になっている。
そして、固定ドラムSD(内側固定ドラム30・外側固定ドラム31)と回転ドラム32からなるドラム構体は、後述するように工作物Wの搬送・保持手段を構成している。
【0017】
図2は、A−A線より上部は水平断面図であり、A−A線より下部は直立断面図である。そこで、先ず、心押台3について説明すると、心押台3には、A−A線を含む水平面上で前後に平行にX軸線方向の貫通孔が形成され、奥側の貫通孔には、軸受40で回転自在に支持されて心押台主軸41が嵌挿され、手前側の貫通孔には、軸受42で回転自在に支持されて中間軸43が嵌挿されている。
【0018】
そして、心押台3の内部には、心押台主軸41及び中間軸43の支持部を残して心押台主軸41及び中間軸43の左端部が突出する空洞部H2並びに中間軸43の右端部が突出する空洞部H3が形成されている。
空洞部H2内に突出した心押台主軸41及び中間軸43の各左端部にはプーリ44,45が取り付けられており、空洞部H3内に突出した中間軸43の右端部にはプーリ46が取り付けられている。
【0019】
そして中間軸43の右端部は、既述のように工作主軸台2の回転伝達軸6の先端部とスプライン結合47となつている。
プーリ44とプーリ45とには無端ベルト48が巻き掛けられており、プーリ46と心押台3内に装着されたサーボモータ49のモータ軸49aに取り付けられたプーリ50とには無端ベルト51が巻き掛けられている。
【0020】
心押台主軸41の貫通した中心孔には、滑りキー52を介して回転の拘束され且つ軸線方向変位自在に心押センタ軸53が嵌挿され、心押台主軸41、即ち心押台3から突出した心押センタ軸53の先端は、図10に示すように先端面に円錐形穴54aが形成された心押センタ54となっている。
心押台主軸41、即ち心押センタ軸53は、既述の工作主軸13と共軸線関係にあり、心押センタ54は、前記ドラム構体を間にして主軸センタ14と対向している。
【0021】
心押センタ軸53の左端部は、心押台3の左側部へと伸びているが、その心押台3の左側部には、心押台3の一部が形成するシリンダ本体55aとそれに嵌装されたピストン部材55bからなるX軸線方向の油圧シリンダ55が備えられ、ピストン部材55bは、心押センタ軸53と共軸線関係にあり、軸部は中心孔が貫通した中空軸状になっている。
【0022】
心押センタ軸53の左端部は、ピストン部材55bの中心孔内に軸受56を介してピストン部材55bに回転自在に貫挿され、更に左方に突出していると共に、ピストン部材55bに対し軸線方向には拘束されている。
【0023】
固定ドラムSD(内側固定ドラム30・外側固定ドラム31)及び回転ドラム32からなるドラム構体について詳しく述べる。
図3、図4及び図5に示すように、回転ドラム32は、中心孔をもつ中心部の歯車付筒体22への取付け部以外は、厚みが球体の工作物Wの直径dの約2倍である円板であり、外周面には、円周等配に適宜数(図示の例では8個)両端開口の軸線方向の受溝33が形成され、受溝33の断面は、工作物Wが僅少な隙間で収納される工作物Wの断面円形の大円をなしているので、受溝33の外周面開口の幅は工作物Wの直径dより狭く、受溝33内に側面開口から収納される2個の工作物Wは、軸線方向には移動自在であり、回転ドラム32の外周面に外周開口一部分突出するが、受溝33から外周に向って脱落しない。
【0024】
図示の例では、受溝33の数が8個であるが、少なくとも搬入位置、加工位置及び搬出位置に対応する3個あればよい。又、回転ドラム32は、厚みが球体の工作物Wの直径dで、受溝33には工作物Wが1個収容でもよい。
図1、図6及び図7に示すように、固定ドラムSDは、夫々に円周等配に形成され、一方が間隔突部をもつ耳部30a,31aに軸線方向に形成されたボルト孔及びねじ孔に通されたボルト34もって、間隔突部により回転ドラム32を僅少な隙間で挟む間隔をあけて内側固定ドラム30と外側固定ドラム31とが結合されて構成されている。
【0025】
直立した内側固定ドラム30及び外側固定ドラム31の夫々の頂点から90度位相位置部分(図1において奥側、図6において左側)、即ち加工位置の円周部分は、図5及び図6に示すように、底部の断面が回転ドラム32の受溝33の断面と重なる形状であり、更に平行壁面で固定ドラムSDの外円周面に開口すると共に両側面開口のU字溝35が形成された開口部材36が取り付けられて形成されている。
【0026】
そして、U字溝35は、対向する主軸センタ14と心押センタ54との間にあって、底部の断面円弧の中心が主軸センタ14と心押センタ54との軸線上に位置する。
又、固定ドラムSDの固定ドラムの一つ(図示の例では内側固定ドラム30)の頂点、即ち搬入位置にU字溝35と同様のU字溝37が形成されていると共に、頂点及びU字溝35位置、即ち加工位置から適宜の角度(例えば135度)位相位置、即ち搬出位置にU字溝35と同様のU字溝38が形成されている。
【0027】
そして、固定ドラムSDの固定ドラムの一つ(図示の例では外側固定ドラム31)には、他方の固定ドラムのU字溝38に対向して後述するように搬出装置Eの搬出口部材74が取り付けられている。
【0028】
図7に示すように、固定ドラムSD(内側固定ドラム30・外側固定ドラム31)と回転ドラム32からなるドラム構体の外周域には、未加工の工作物Wの搬入装置Fと加工済の工作物Wの搬出装置Eとが夫々の適宜の円周位相位置、例えば搬入装置Fが頂点位置、即ち搬入位置に、搬出装置Eが頂点及びU字溝35から適宜の角度(例えば135度)位相位置、即ち搬出位置に配置されている。
【0029】
図8に示すように、搬入装置Fにおいては、内側固定ドラム30の頂点のU字溝37の上方に隣接して搬入口部材60が設置されている。搬入口部材60の搬入孔60aは、上流側が未加工の工作物Wの貯槽T1に搬入管61を介して接続され、U字溝37に向って開口しており、搬入口部材60には、搬入孔60aを開閉するように半径方向から進退するストッパ62が設けられている。
【0030】
そして、内側固定ドラム30の頂点域の外側面にブラケット63を介して工作物突出し用の油圧シリンダ64が取り付けられており、油圧シリンダ64のピストン棒64aの先端は、U字溝37と一致する位置でU字溝37に対し軸線方向で進退する突出し棒65となっている。
【0031】
ストッパ62は、突出し棒65の進退と同期して突出し棒65の前進時には後退し、突出し棒65の後退時には前進して、未加工の工作物Wを1個ずつ落下させるようになっている。
ピストン棒64aに取り付けられて突出し棒65と共に往復動するドグ66の位置を感知する近接スイッチ67が設けられており、突出し棒65が未加工の工作物Wを回転ドラム32の受溝33に2個押し込み終わった時のドグ66の位置を感知して、制御装置(図示しない)に信号を入力して次の作動サイクルを開始するようになっている。
【0032】
図9に示すように、搬出装置Eにおいては、固定ドラムSDの下方に突出し棒用の油圧シリンダ70が軸線方向に取り付けられており、油圧シリンダ70のピストン棒70aの先端には、給気管が接続された通気取付部材71が連結部材72を介して取り付けられており、通気取付部材71には、内側固定ドラム30のU字溝38に嵌まり軸線方向で進退し得る噴気孔73a付きの突出し棒73が取り付けられている。
【0033】
外側固定ドラム31の搬出位置には、搬出口部材74が取り付けられ、搬出口部材74には、下流側が加工済の工作物Wの貯槽T2に搬出管75を介して接続され、内側固定ドラム30のU字溝38に対向して開口した軸線方向の搬出孔74aが貫通している。
砥石車Gを備えた砥石台(図示しない)は、ベッド(図示しない)上でテーブル1、即ち工作主軸台2・心押台3に対し軸線方向に垂直に進退送りされると共に、X軸線方向に往復動されるように設けられている。
【0034】
そして、砥石車Gの砥石面である外周面の両側縁部は、適宜面取りされて図10に示すようにテーパ面となっているが、砥石の材質如何では面取りはなくてもよい。そして砥石車Gは、固定ドラムSDの加工位置における外周面に砥石面である外周面が対向する位置で、固定ドラムSD、即ち工作物Wに対し進退すると共に、軸線方向に往復する位置にある。
【0035】
上記の自動搬送球体研削装置の作動について説明する。
自動搬送球体研削装置は、球体の未加工の工作物Wに対し直径円周に適宜の間隔に小円形平面を形成するように外周面を砥石車Gで面取りするものであり、加工済の工作物Wは、例えば、図11に示すような直径円周に72度間隔に小円形平面Pが形成されているエンジンの燃料噴射ノズルに嵌め込む約3mm径の鋼球である。
【0036】
貯槽T1に収納されている未加工の工作物Wは、搬入管61を通って搬入口部材60に落下する。
そして、ストッパ62は、後述の突出し棒65の進退と同期して突出し棒65の前進時には後退し、突出し棒65の後退時には前進して、未加工の工作物Wを内側固定ドラム30のU字溝38内に1個ずつ落下させる。
そこで、回転ドラム32は後述する研削加工サイクルで間歇的に45度割出し回転し、受溝33は搬入位置(頂点)、加工位置及び搬出位置に停止する。
【0037】
回転ドラム32の停止中に、ストッパ62は、後述の突出し棒65の進退と同期して突出し棒65の前進時には後退し、突出し棒65の後退時には前進して、未加工の工作物Wを内側固定ドラム30のU字溝38内に1個ずつ落下させ、未加工の工作物Wが内側固定ドラム30のU字溝38内に1個ずつ落下する毎に、油圧シリンダ64の作動で進退する突出し棒65により、U字溝38内の工作物Wは、U字溝38と回転角位相が一致している回転ドラム32のU字溝33内に1個ずつ押し出され、受溝33内には2個の工作物Wが収納される(図8参照)。
【0038】
突出し棒65が未加工の工作物Wを回転ドラム32の受溝33に2個押し込み終わった時は、所定位より前進が阻まれ、その時のドグ66の位置は、近接スイッチ67により感知され、近接スイッチ67から制御装置(図示しない)に信号が入力されて次の作動サイクルが開始する。
この工作物Wの搬入時の間に前に搬入された工作物Wの研削加工が行われ研削加工が終っている。
【0039】
次の作動サイクルにおいて、サーボモータ23が制御装置(図示しない)により制御されて所定回転角度回転し、モータ軸23a、歯車24、中間歯車25及び歯車付筒体22を介して回転ドラム32は、45度割出し回転させられる。
そして、このよう2個ずつの工作物W,Wの搬入搬送サイクル及び加工サイクルが2回行われ、工作物W,Wが加工位置に搬送される。
【0040】
すると、割り出し回転されて停止した回転ドラム32に対して、ピストン棒11aが退縮するように油圧シリンダ11が作動すると共にピストン部材55bを右行するように油圧シリンダ55が作動し、左行する連結ボルト8は、ばね止めナット9及び圧縮コイルばね10を介して連結プレート7は左行し、ラム4、即ち工作主軸13とプーリ軸16とが一体となって左行すると共に、心押センタ軸53が右行する。かくして、主軸センタ14と心押センタ54とは、対向して接近し開口部材36のU字溝35を突き抜けて回転ドラム32の受溝33で2個並んだ工作物W,Wを両側から挟み円錐形穴14a,54aで強固に保持する(図10参照)。
【0041】
それから工作物W,Wが砥石車Gに対向する位置になるような軸線方向に位置にあるテーブル1に対して、砥石台(図示しない)は、切り込み前進し、砥石車Gを工作物W,Wに僅かに切り込ませると共に、並んだ工作物W,Wの範囲内をX軸線方向に往復動して、並んだ工作物W,Wの小円形平面P,Pを砥石車Gに研削させる。
【0042】
1つの円周角度位相の小円形平面P,Pを研削した後、砥石台(図示しない)、即ち砥石車Gは僅かに後退する。そして、サーボモータ49が制御装置(図示しない)により制御されて所定回転角度回転し、工作主軸13即ち主軸センタ14は、モータ軸49a、プーリ50、無端ベルト51、プーリ46、スプライン結合47、プーリ軸6、スプライン結合18、プーリ19、無端ベルト20、プーリ15を介して、心押センタ軸53、即ち心押センタ54は、モータ軸49a、プーリ50、無端ベルト51、プーリ46、中間軸43、プーリ45、無端ベルト48、プーリ44、滑りキー52を介して、夫れ夫れ所定角度、図示の例では72度割出し回転させられる。
【0043】
再び砥石台(図示しない)は、切り込み前進し、砥石車Gを工作物W,Wに僅かに切り込ませると共に、並んだ工作物W,Wの範囲内をX軸線方向に往復動して、並んだ工作物W,Wの次の小円形平面P,Pを砥石車Gに研削させる。
【0044】
上記のような小円形平面P,Pの研削の所定回数(図示の例では5回)の繰り返しが終わると、砥石台(図示しない)、即ち砥石車Gは僅かに後退し、ピストン棒11aが伸長するように油圧シリンダ11が作動すると共にピストン部材55bを左行するように油圧シリンダ55が作動し、右行する連結ボルト8により連結プレート7は右行し、ラム4、即ち工作主軸13とプーリ軸16とが一体となって右行すると共に、心押センタ軸53が左行する。
【0045】
かくして、主軸センタ14と心押センタ54とは互いに回転ドラム32から後退して円錐形穴14a,54aが回転ドラム32の受溝33で2個並んだ工作物W,Wから離れて、工作物W,Wは解放される(図10参照)。かくして1回の加工サイクルが終わる。
上記の1つの加工サイクル終了後、加工サイクルが所定回数(図示の例では3回)繰り返されると、加工済の2個1組の工作物W,Wの回転角位相位置は外側固定ドラム31の搬出口部材74の搬出孔74aの回周位相位置になる。
【0046】
するとピストン棒70aが退縮するように油圧シリンダ70が作動し、右行する連結部材72により通気取付部材71に取り付けられた押出し棒73は内側固定ドラム30のU字溝38内に進入し、更に、回転ドラム32の受溝33内の工作物W,Wを外側固定ドラム31の搬出口部材74の搬出孔74a内に押し出すと共に、給気管(図示しない)を介して搬入される圧縮空気が通気取付部材71を介してから押出し棒73の噴気孔73aから噴出して工作物W,Wを更に搬出管75内に吹き飛ばす。かくして、工作物W,Wは搬出管75を介して貯槽T2に搬出される。
【0047】
【発明の効果】
この発明の球体研削装置においては、工作主軸台の主軸センタと心押台の心押センタとの円錐形穴で球体の工作物を両側で挟み込み心出しとクランプとを同時に行っているために、動作が確実で信頼性が向上する。
主軸センタと心押センタとで工作物を挟んだままで任意の角度に割り出しが可能であるため、工作物が球体、特に小径球体であっても、高角度精度で面取り加工ができる。
【0048】
主軸センタと心押センタとが同一駆動手段で同期回転されるために両センタの位相ずれによる面取り研削精度の低下が防止される。又研削装置自体も小型化され、低価格となる。
同じく工作物搬送装置においては、回転ドラムを1ピッチ回転するのみで未加工の工作物を加工位置に向って、又加工済みの工作物を搬出位置に向って同時に搬送することができるため、非研削時間が短縮され、作業効率が向上する。
【0049】
搬入位置には未加工工作物の搬入装置が配設され、搬出位置には搬出装置が配設されているため、球体の多面取り研削が連続して行われ、高精度の面取り加工が高作業効率で実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置の工作主軸台の断面図である。
【図2】この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置の心押台の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置の回転ドラムの正面図である。
【図4】図3の拡大部分図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置の内側固定ドラムの正面図である。
【図7】この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置の搬送装置の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線における拡大断面部分図である。
【図9】図7のIX−IX線における断面拡大断面部分図である。
【図10】図7のX−X線における拡大断面部分図である。
【図11】この発明の実施の形態における自動搬送球体研削装置による加工済の工作物の側面図である。
【符号の説明】
1 テーブル
2 工作主軸台
2a スリーブ部
3 心押台
4 ラム
5,12 軸受
6 回転伝達軸
7 連結プレート
8 連結ボルト
8a 頭部
8b ねじ穴
8c ねじ部
9 ばね止めナット
10 圧縮コイルばね
11 油圧シリンダ
11a ピストン棒
13 工作主軸
14 主軸センタ
14a 円錐形穴
15,19 プーリ
16 プーリ軸
17 軸受
18 スプライン結合
20 無端ベルト
21 軸受
22 歯車付筒体
22a 歯車部
23 サーボモータ
23a モータ軸
24 歯車
25 中間歯車
SD 固定ドラム
30 内側固定ドラム
31 外側固定ドラム
30a,31a 耳部
32 回転ドラム
33 受溝
34 ボルト
35,37,38 U字溝
36 開口部材
H1 空洞部
40 軸受
41 心押台主軸
42 軸受
43 中間軸
44,45,46 プーリ
47 スプライン結合
48 無端ベルト
49 サーボモータ
49a モータ軸
50 プーリ
51 無端ベルト
52 滑りキー
53 心押センタ軸
54 心押センタ
54a 円錐形穴
55 油圧シリンダ
55a シリンダ本体
55b ピストン部材
56 軸受
H2,H3 空洞部
F 搬入装置
E 搬出装置
60 搬入口部材
60a 搬入孔
61 搬入管
62 ストッパ
63 ブラケット
64,70 油圧シリンダ
64a,70a ピストン棒
65 突出し棒
66 ドグ
67 近接スイッチ
71 通気取付部材
72 連結部材
73 突出し棒
73a 噴気孔
74 搬出口部材
74a 搬出孔
75 搬出管
T1,T2 貯槽
G 砥石車
W 球体工作物
P 小円形平面

Claims (4)

  1. 同一軸線上で対向し、夫々の先端面に球体工作物を挟持する錐形穴が形成されされた工作主軸台における主軸センタ及び心押台における心押センタ、
    主軸センタ及び心押センタを前記同一軸線方向に進退させる駆動手段、
    主軸センタ及び心押センタを前記同一軸線回りに割出し同期回転させる駆動手段、
    主軸センタ及び心押センタの前記同一軸線対向して設けられた砥石車、
    主軸センタ及び心押センタと砥石車と前記同一軸線に垂直方向に相対的に移動させる駆動手段、
    並びに主軸センタ及び心押センタと砥石車と前記同一軸線方向に相対的に移動させる駆動手段を備えた球体研削装置。
  2. 軸線回りを回転自在に支持され、円周方向に間隔をあけて外周の少なくとも3箇所に、収納される球体工作物が前記軸線方向には移動可能で、外周面の開口から球体工作物が突出すると共に脱落不能である受溝が形成された回転ドラム、
    未加工球体工作物が搬入される搬入位置、加工時に球体工作物が位置する加工位置及び加工済球体工作物が搬出される搬出位置に受溝が位置するように回転ドラムを割出し回転させる駆動手段、
    回転ドラムの両面を挟むように同心的に設けられた一対の固定ドラム、
    該固定ドラムの一つの前記搬入位置における外周に形成された、球体工作物が通過し得る通過溝、
    該固定ドラムの前記加工位置における外周に形成された、加工装置の主軸センタ又は心押しセンタが通過し得る通過溝、
    該固定ドラムの一つの前記搬出位置における外周に形成された、加工済球体工作物が通過する搬出部
    搬入位置において固定ドラムの通過溝を通して回転ドラムの受溝に未加工球体工作物を収納する搬入手段、
    並びに搬出位置において回転ドラムの受溝から固定ドラムの搬出部を通して加工済球体工作物を搬出する搬出手段を備えた加工装置のための球体搬入出装置。
  3. 同一軸線上で対向し、夫々の先端面に球体工作物を挟持する錐形穴が形成されされた工作主軸台における主軸センタ及び心押における心押センタ、
    主軸センタ及び心押センタを前記同一軸線方向に進退させる駆動手段、
    主軸センタ及び心押センタを前記同一軸線回りに割出し同期回転させる駆動手段、
    主軸センタ及び心押センタの前記同一軸線対向して設けられた砥石車、
    主軸センタ及び心押センタと砥石車と前記同一軸線に垂直方向に相対的に移動させる駆動手段、
    主軸センタ及び心押センタと砥石車と前記同一軸線方向に相対的に移動させる駆動手段、
    前記同一軸線と平行な軸線回りを回転自在に支持され、円周方向に間隔をあけて外周の少なくとも3箇所に、収納される球体工作物が前記同一軸線方向には移動可能で、外周面の開口から球体工作物が突出すると共に脱落不能である受溝が形成された回転ドラム、
    未加工球体が搬入される搬入位置、加工時に球体工作物が位置する加工位置及び加工済球体工作物が搬出される搬出位置に受溝が位置するように回転ドラムを割出し回転させる駆動手段、
    回転ドラムの両面を挟むように同心的に設けられた一対の固定ドラム、
    該固定ドラムの一つの前記搬入位置における外周に形成された、球体工作物が通過し得る通過溝、
    該固定ドラムの前記加工位置における外周に形成された、主軸センタ又は心押しセンタが通過し得る通過溝、
    該固定ドラムの一つの前記搬出位置における外周に形成された、加工済球体工作物が通過する搬出部、
    搬入位置において固定ドラムの通過溝を通して回転ドラムの受溝に未加工球体工作物を収納する搬入手段、
    並びに搬出位置において回転ドラムの受溝から固定ドラムの搬出部を通して加工済球体工作物を搬出する搬出手段を備えた球体研削装置。
  4. 主軸センタと心押センタとが挟持する球体工作物は1個又は前記同一軸線方向に並んだ2個である請求項1又は請求項3に記載の球体研削装置。
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