JP3628599B2 - 害虫の交信撹乱防除方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、害虫の性フェロモンを大気中に漂わせ、害虫の交尾行動を撹乱し、交尾阻害による防除を行う害虫の交信撹乱防除方法に関するものである。
【0002】
性フェロモンによる交信撹乱防除方法は、近年、無毒性の農薬として注目されている。この防除方法は、害虫の雌が放出する性フェロモンを雄が識別できない程度に高濃度な合成性フェロモンを大気中に漂わせておき、雄の交尾行動を撹乱し、交尾を阻害する方法である。
【0003】
この方法で最も重要な因子は、害虫が交尾行動をする植物体の群落内における大気中の合成性フェロモン濃度であるが、この濃度が高ければ高いほど防除効果は高くなる。通常、害虫の発生期間が長いため、例えばディスペンサーを使って合成性フェロモンを長期間にわたって大気中に徐放する。この放出速度は速ければ速いほど大気中の濃度は高くなるが、あまり速いと不経済である。そのためディスペンサーからの性フェロモンの放出速度を経済的なレベルに保ちながら、かつ、大気中の性フェロモン濃度をできるだけ高く保つ必要がある。
【0004】
しかし、圃場に同一量の性フェロモンを放出しても、交信撹乱防除効果にかなりばらつきを生じることが多い。これは、圃場や気象条件の違いにより、性フェロモンが圃場から速く拡散されてしまい、交信撹乱に必要な濃度が不足することに基づくものである。この場合、略平坦な圃場にあっては、圃場の外周部の地表近傍であって、整列している作物群及び/又は畝の少なくとも間隔を塞ぐ位置に、地表からの高さが30cm以上の空気抵抗体を設けることにより、傾斜した圃場にあっては、圃場外周部の少なくとも低地側の地表近傍であって、整列している作物群及び/又は畝の少なくとも畝の間隔を塞ぐ位置に、低地側の地表から高さが30cm以上の空気抵抗体を設けることにより解消される(特公平6−14824号公報)。
【0005】
しかしながら、上記の方法によっても交信撹乱防除効果にかなりのばらつきを生じ、充分な交信攪乱防除効果が得られない場合がある。これは、ディスペンサーにより放散された性フェロモンが圃場内の土壌へ吸着されてしまい、結果として交信撹乱に必要な濃度が不足するためである。この場合、性フェロモンの放出速度を大きくすれば大気中の濃度が上昇して防除効果は高くなるが、高価な性フェロモンを必要以上に消耗する。
【0006】
性フェロモンの土壌へ吸着は、その構成成分にかかわらず起こり得るが、特に性フェロモンのうちアルデヒド系性フェロモンの土壌への吸着量は、アセテート系性フェロモンに比べて多い。そのため、アルデヒドとアセテートを混合した性フェロモン溶液をディスペンサーにより放散させた場合、ディスペンサーによるアルデヒドとアセテートの放散組成と大気中における組成とが異なる場合がある。
例えば、雌の放出する性フェロモンが二種類以上である場合、雄は雌が放出する二種類以上の性フェロモンの組成に対して、所定の割合の範囲内でないと識別できない。そのため、性フェロモンの大気中における組成が、雌の放出する性フェロモンの組成の適当な範囲内であることが、雄の交信を撹乱し、交尾を阻害するための重要な因子である。しかし、性フェロモンの土壌への吸着の程度により、大気中での組成が雄の識別できる範囲外になると、性フェロモンによる交信撹乱防除効果が低下するという不都合を生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ディスペンサー等からの性フェロモンの放出速度を経済的なレベルに抑制しながら、植物体の群落内における大気中の性フェロモン濃度を長期間にわたり高濃度に保ち、一定量の性フェロモンでより高い交信撹乱効果をあげることができる性フェロモンによる交信撹乱防除方法を提供することを目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意検討した結果、害虫の発生期に土壌水分量が、20〜100%になるように散水した圃場において、性フェロモンを放散することにより、性フェロモンの土壌への吸着を防ぎ、結果として大気中の性フェロモン濃度を長期間にわたり高濃度に保つことができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
また、本発明者らは、土壌表面より性フェロモンが吸着しにくい被覆体で土壌表面を覆った露地圃場に、又は土壌表面よりも性フェロモンが吸着しにくい被覆体で土壌表面及びハウスの一部又は全体を覆ったハウス圃場において、性フェロモンを放散することにより、性フェロモンの土壌への吸着を防ぎ、結果として大気中の性フェロモン濃度を長期間にわたり高濃度に保つことができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
本発明は、性フェロモンを放散することによる害虫の交信撹乱防除方法において、圃場内の土壌への性フェロモンの吸着を減少させることを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の第1のアスペクトは、害虫の発生期に土壌水分量が、20〜100%になるように散水した圃場における交信撹乱防除方法であるが、ここで水分量とは、110℃で一定質量になるまで熱乾燥した土の水分量を0%、その土に徐々に水を含浸していき、離水が生じたときの土の水分量を100%とした場合の水分量をいう。なお、土壌水分量100%には、水田のように土壌が水で覆われたものも含まれる。
土壌水分量が20%未満であると、性フェロモン、特にアルデヒド系の性フェロモンの土壌への吸着が生じやすいため、結果として交信撹乱に必要な濃度が不足し好ましくない。また、ディスペンサーによりアルデヒド系性フェロモンを含む二種類以上の性フェロモンを放散させる場合、土壌の水分量が少なすぎると大気中の性フェロモン組成が変化するため、雄の交信を撹乱できなくなり好ましくない。
【0010】
圃場内の土壌に水分を含ませるには、水田等においては水を張ればよく、他の圃場においては、散水車、噴霧器及びスプリンクラー等で散水するだけでよく、特別な資材を用意する必要もなく簡単に行うことができる。
なお、本発明の交信撹乱方法は、略平坦な圃場や傾斜した圃場のいずれにおいても適用される。
【0011】
また、本発明の交信撹乱防除方法は、BET法による測定に基づき、比表面積が100m2/g以下、好ましくは50m2/g以下の土壌である圃場において行うことにより、更に高い交信撹乱効果が得られる。比表面積の測定法には、気体吸着法、液相吸着法、浸漬法、透過法等が挙げられが、本発明においては、気体吸着法中、特にBET法による測定が好ましい。比表面積が100m2/g以下の土壌とは、例えば、砂質土や直径0.0001mm以上の粘質土が挙げられる。比表面積が100m2/gよりも大きい場合は、性フェロモンの吸着量も多くなるばかりか、保水が卓越するための散水も容易でなく、また、農業用土壌としても不向きな場合がある。
【0012】
本発明において、性フェロモンを放散させる方法は、性フェロモンを継続的に大気中に放散できれば何でもよく、例えばディスペンサー、性フェロモンを含浸した高分子体、噴霧器、一部が開放された容器を用いることにより行われる。例えばディスペンサーの場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやエチレン−酢酸ビニル共重合体で例示されるようなポリエチレンを90重量%以上含む共重合体膜により包み込んでなるチューブ、カプセル、アンプル及び袋状の形状を有し、その肉厚は0.2〜1.0mmの範囲にある高分子製の容器が用いられる。
【0013】
本発明の第2のアスペクトは、土壌表面より性フェロモンが吸着しにくい被覆体で土壌表面を覆った露地圃場に、又は土壌表面よりも性フェロモンが吸着しにくい被覆体で土壌表面及びハウスの一部又は全体を覆ったハウス圃場に、性フェロモンを放散することを特徴とする性フェロモンによる害虫の交信撹乱防除方法を提供する。
本発明の被覆体とは、土壌表面等による性フェロモンの吸着を妨げるために、土壌又はハウス内面を覆うことができるものをいい、施用の容易性等の観点から農業用資材として用いられる高分子材料が好ましい。本発明の被覆体は、土壌表面よりも性フェロモンの吸着しにくいものであれば特に限定されないが、好ましくは、25℃における上記性フェロモンの吸着率が5.0%以下である高分子材料からなるものである。
ここで吸着率とは、高分子材料を膜厚0.4mm、直径2cmの円形に成型したフィルムとした場合に、25℃における性フェロモンの吸着率であり、以下のように求められる。
{(高分子フィルムに吸着した性フェロモンの重量)/(高分子フィルムの重量)}×100(%)
吸着率の測定は、上記フィルムを性フェロモン液中に浸漬し、フィルム重量の増加分を高分子フィルムに吸着した性フェロモンの重量とする。
被覆体となる高分子材料は、25℃における性フェロモンの吸着率が5.0%以下、好ましくは2.0%以下のものである。性フェロモンの吸着率が5.0%を越えると、性フェロモン、特にアルデヒド系性フェロモンの高分子材料への吸着が生じやすいため、結果として交信撹乱に必要な性フェロモン濃度が不足してしまう場合がある。また、例えばディスペンサーによりアルデヒド系性フェロモンを含む二種類以上の性フェロモンを放散させる場合、高分子材料に対する性フェロモンの吸着率が多すぎると、大気中の性フェロモン組成が変化するため、雄の交信を撹乱できなくなる場合がある。
【0014】
本発明に用いられる性フェロモンが吸着しにくい高分子材料は、上記条件を満たす素材であれば、フィルムやシート等、その形状は問わない。性フェロモンの吸着率は高分子素材固有の値であり、被覆体の形状がフィルムやシートになることは、高分子体の重量が増えるだけであって、その分性フェロモンの吸着量も増えることから、フィルムでもシートでもフェロモンの吸着率は同じ値を示すことになるためである。
【0015】
本発明における性フェロモンの吸着しにくい高分子材料は、例えばポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル鹸化物、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、塩化ビニリデン(PVDC)コートフィルム又はシート、アルミラミネートフィルム又はシート、アルミ蒸着フィルム又はシート等が挙げられる。これらは、例えばフィルム又はシート状で用いられ、高分子シートには板状のものも含まれる。また、これらの高分子フィルム又はシートは、延伸、発泡、多層化、ライニング、表面処理等の成型加工を施したものでも用いることができる。
【0016】
土壌表面を高分子フィルム又はシートで覆う場合には、地面に広げた高分子フィルム又はシートを風等で飛ばないように固定するだけでよく、ハウス圃場においては、内面に高分子フィルム又はシートを貼るだけでよく、簡単に性フェロモンの吸着を防ぐことができる。
なお、ハウス内面に性フェロモンの吸着しにくい高分子フィルム又はシートを覆う場合、作物体の高さ位までを覆うことによっても性フェロモンの吸着を防ぐことができるが、ハウス内面の全体を覆うことにより、さらにより効果的に性フェロモンの吸着を防ぐことができる。
【0017】
第1及び第2のアスペクトを含む本発明に用いられる性フェロモン物質は、ディスペンサー等により性フェロモンを放散し得るものであればよく、例えば、炭素数10〜18の脂肪族のアセテート化合物、炭素数10〜18のアルコール化合物、炭素数10〜18のアルデヒド化合物、炭素数10〜18のケトン化合物及び炭素数10〜18の炭化水素化合物が挙げられる。
【0018】
具体的に、炭素数10〜18の脂肪族アセテート類としては、炭素数10〜18の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基又はアルキレン基を有する脂肪族アセテートが挙げられ、炭素数10〜18のアルコール化合物としては、炭素数10〜18の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基又はアルキレン基を有する脂肪族アルコールが挙げられ、炭素数10〜18のケトン化合物としては、炭素数10〜18の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基又はアルキレン基を有する脂肪族ケトンが挙げられ、炭素数10〜18の炭化水素化合物としては、炭素数10〜18の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基又はアルキレン基を有する炭化水素化合物が挙げられる。
いずれの性フェロモン化合物においても土壌への吸着が認められるが、とりわけアルデヒド化合物の場合には土壌等への吸着が大きいため、本発明により性フェロモンの吸着を防ぐことができ、その効果も大きい。
【0019】
本発明に適用されるアルデヒド系性フェロモンとしては、炭素数10〜18のアルデヒド化合物が挙げられる。具体的には、Z5−デセナール、n−ドデカナール、Z5−ドデセナール、Z7−ドデセナール、Z9−ドデセナール、E5Z7−ドデカジエナール、Z5E7−ドデカジエナール、Z5Z7−ドデカジエナール、E7Z9−ドデカジエナール、E8E10−ドデカジエナール、E8Z10−ドデカジエナール、Z8E10−ドデカジエナール、E9,11−ドデカジエナール、Z9,11−ドデカジエナール、n−テトラデカナール、Z5−テトラデセナール、Z7−テトラデセナール、Z9−テトラデセナール、E11−テトラデセナール、Z11−テトラデセナール、E8E10−テトラデカジエナール、Z9E11−テトラデカジエナール、Z9Z11−テトラデカジエナール、Z9E12−テトラデカジエナール、E11,13−テトラデカジエナール、Z11,13−テトラデカジエナール、Z9E11,13−テトラデカトリエナール、Z10−ペンタデセナール、E9Z11−ペンタデカジエナール、n−ヘキサデカナール、Z7−ヘキサデセナール、Z9−ヘキサデセナール、E10−ヘキサデセナール、Z10−ヘキサデセナール、E11−ヘキサデセナール、Z11−ヘキサデセナール、E6Z11−ヘキサデカジエナール、Z7E11−ヘキサデカジエナール、Z7Z11−ヘキサデカジエナール、E9Z11−ヘキサデカジエナール、Z9E11−ヘキサデカジエナール、Z9E12−ヘキサデカジエナール、E10E12−ヘキサデカジエナール、E10Z12−ヘキサデカジエナール、Z10E12−ヘキサデカジエナール、E11E13−ヘキサデカジエナール、E11Z13−ヘキサデカジエナール、Z11E13−ヘキサデカジエナール、Z11Z13−ヘキサデカジエナール、E4E6Z11−ヘキサデカトリエナール、E10E12E14−ヘキサデカトリエナール、E10E12Z14−ヘキサデカトリエナール、n−オクタデカナール、E2−オクタデセナール、Z9−オクタデセナール、E11−オクタデセナール、Z11−オクタデセナール、E13−オクタデセナール、Z13−オクタデセナール、E14−オクタデセナール、E2Z13−オクタデカジエナール、Z3Z13−オクタデカジエナール、Z9Z12−オクタデカジエナール、E11E14−オクタデカジエナール、Z13Z15−オクタデカジエナール及びZ9Z12Z15−オクタデカトリエナール等が例示される。
【0020】
本発明による害虫の交信撹乱防除方法によれば、上記アルデヒド化合物を単独で用いる場合だけでなく、アルデヒド化合物とアセテート化合物あるいはアルデヒド化合物とアルコール化合物というように複数の化合物を性フェロモンとして有する害虫に対しても、大きな効果を発揮する。これは、本発明の第1のアスペクトでは、一定の水分量を有する土壌の場合、性フェロモン、とりわけアルデヒド化合物の土壌吸着を防ぐ効果が大きいため、圃場中に放散している性フェロモンの組成比を所定の割合に保つことができるからである。本発明の第2のアスペクトにおいては、高分子フィルム又はシートで覆った場合、性フェロモン、とりわけアルデヒド化合物の土壌吸着を防ぐ効果が大きく、かつ、高分子フィルム又はシートへの吸着も少ないため圃場中に放散している性フェロモンの組成比を所定の割合に保つことができるからである。
【0021】
第1及び第2のアスペクトを含む本発明において性フェロモンを放散させる方法は、性フェロモンを継続的に大気中に放散できれば何でもよく、例えば、ディスペンサー、性フェロモンを含浸した高分子体、噴霧器、一部が開放された容器を用いることにより行われる。
例えば、ディスペンサーの場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやエチレンー酢酸ビニル共重合体で例示されるようなポリエチレンを90重量%以上含む共重合体膜により包み込んでなるチューブ、カプセル、アンプル及び袋状の形状を有し、その肉厚は0.2〜1.0mmの範囲にある高分子製の容器が用いられる。
【0022】
【実施例1】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1
上と横の二箇所にねじ口の付いた、直径22cm、高さ20cmのデシケーターの底から7cmのところまで、110℃で2時間熱乾燥させた後に離水するまで水分を含ませた土壌(水分量100%)を入れ、そこへ内径1.07mm、外径1.73mm、長さ200mmのプラスティック容器(ポリエチレンチューブ)に、Z11−テトラデセナール(Z11−16:Ald)5重量部とZ−11−テトラデセニルアセテート(Z11−16:Ac)5重量部とを混合した性フェロモン混合液(120g)を封入した徐放性性フェロモン製剤を二つ折りにして、支持台を用いて設置した。そのデシケーターの上口に、200mlのヘキサンを入れた250mlの捕集ビンをテフロンチューブを介して繋ぎ、さらに、その捕集ビンに吸引ポンプを接続して、デシケーター中に放散されたZ11−テトラデセナール及びZ11−テトラデセニルアセテートを約4時間捕集し、その量を測定した。
測定は、ヘキサン捕集溶液をガスクロマトグラフィーにより内部標準法で定量することにより行った。その結果を表1に示す。
【0023】
比較例1
実施例1と同様にして、110℃で2時間熱乾燥させた土壌をデシケーターに入れ、そこへZ11−テトラデセナール5重量部とZ11−テトラデセニルアセテート5重量部とをプラスティック容器に封入した徐放性性フェロモン製剤を支持台を用いて設置した。実施例1と同じ溶媒で、同じ時間捕集し、デシケーター中に放散されたZ11−テトラデセナール及びZ11−テトラデセニルアセテートを定量した。その結果を表1に示す。
【0024】
実施例2
実施例1と同様にして、110℃で2時間熱乾燥させた後に水分を20%含ませた土壌をデシケーターに入れ、そこへZ11−テトラデセナール5重量部とZ11−テトラデセニルアセテート5重量部とをプラスティック容器に封入した徐放性性フェロモン製剤を支持台を用いて設置した。実施例1と同じ溶媒で、同じ時間捕集し、デシケーター中に放散されたZ11−テトラデセナール及びZ11−テトラデセニルアセテートを定量した。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例3
内径1.40mm、外径2.60mm、長さ200mmのプラスティック容器(ポリエチレンチューブ)にZ11−ヘキサデセナール(Z11−16:Ald)77重量部、Z9−ヘキサデセナール(Z9−16:Ald)8重量部及びZ13−オクタデセナール(Z13−18:Ald)15重量部からなるニカメイガ(Chilo Suppressalis)性フェロモン液7重量部とn−テトラデセニルアセテート(n−14:Ac)3重量部とを混合した性フェロモンを含有する混合液を封入して、徐放性性フェロモン製剤とした。
群馬県館林市の水を張った水田10ヘクタールに、上記製剤を取り付けた棒を250本/10アールの割合で、均一に取り付けた性フェロモン処理圃場を用いて、大気中のZ11−ヘキサデセナール及びn−テトラデセニルアセテートの濃度を測定した。
この性フェロモン処理圃場の中央にポールを立設し、地上50cmの高さに繊維状活性炭100mgを充填した吸収管を取り付け、さらに吸引ポンプに接続し、20時から翌朝4時まで8時間吸引を行い、大気中の性フェロモンを捕集した。捕集後の活性炭をn−ヘキサンで抽出した後、ガスクロマトグラフィーで定量して、大気中のZ11−ヘキサデセナール及びn−テトラデセニルアセテートの濃度を求めた。その結果を表2に示す。
【0027】
比較例2
実施例3と同様にして、Z11−ヘキサデセナール77重量部、Z9−ヘキサデセナール8重量部及びZ13−オクタデセナール15重量部からなるニカメイガ性フェロモン液7重量部とn−テトラデセニルアセテート(n−14:Ac)3重量部とを混合した性フェロモンを含有する混合液をプラスチック容器に封入した徐放性性フェロモン製剤とした。
実施例3と同様にして、群馬県館林市の水を完全に抜いた水田10ヘクタールの性フェロモン処理圃場を用いて、大気中のZ11−ヘキサデセナール及びn−テトラデセニルアセテートの濃度を測定した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
実施例4
上と横の二箇所にねじ口の付いた直径22cm、高さ20cmのデシケーターの底から7cmのところまで、110℃で2時間熱乾燥させた土壌を入れ、この土壌表面及びデシケーター空間部の内面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物フィルム(商品名:ビニロンnp、アイセロ化学社製)を貼り、そこへ内径1.07mm、外径1.73mm、長さ200mmのプラスティック容器(ポリエチレンチューブ)に、Z11−テトラデセナール(Z11−16:Ald)5重量部とZ11―テトラデセニルアセテート(Z11−16:Ac)5重量部とを混合した性フェロモン混合液を120g封入した徐放性性フェロモン製剤を二つ折りにして、支持台を用いて設置した。そして、デシケーターの上口に、200mlのヘキサンを入れた250mlの捕集ビンをテフロンチューブを介して繋ぎ、さらにその捕集ビンに吸引ポンプを接続して、デシケーター中に放散されたZ11―テトラデセナール及びZ11−テトラデセニルアセテートを約4時間捕集し、その量を測定した。
測定は、ヘキサン捕集溶液をガスクロマトグラフィーにより内部標準法で定量することにより行った。その結果を表3に示す。
【0030】
比較例3
実施例4と同様にして、110℃で2時間熱乾燥させた土壌をデシケーターに入れ、そこへZ11−テトラデセナール5重量部とZ11−テトラデセニルアセテート5重量部とをプラスティック容器に封入した徐放性フェロモン製剤を支持台を用いて設置した。実施例4と同じ溶媒で、同じ時間捕集し、デシケーター中に放散されたZ11−テトラデセナール及びZ11−テトラデセニルアセテートを定量した。その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】
本発明の性フェロモンによる害虫の交信撹乱防除方法によれば、性フェロモンの吸着を防ぐ効果が大きく、結果として大気中の性フェロモン濃度を長期間にわたり高濃度に保つことができる。
Claims (7)
- 性フェロモンを放散することによる害虫の交信撹乱防除方法において、圃場内の土壌への性フェロモンの吸着を減少させることを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法であって、害虫の発生期に土壌水分量が、20〜100%になるように散水した圃場において、性フェロモンを放散することを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法。
- 上記圃場の土壌が、BET法による測定に基づき比表面積が100m 2 /g以下であることを特徴とする請求項1に記載の害虫の交信撹乱防除方法。
- 性フェロモンを放散することによる害虫の交信撹乱防除方法において、圃場内の土壌への性フェロモンの吸着を減少させることを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法であって、土壌表面よりも性フェロモンが吸着しにくい被覆体で土壌表面を覆った露地圃場に、性フェロモンを放散することを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法。
- 性フェロモンを放散することによる害虫の交信撹乱防除方法において、圃場内の土壌への性フェロモンの吸着を減少させることを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法であって、土壌表面よりも性フェロモンが吸着しにくい被覆体で土壌表面及びハウス内面の一部又は全体を覆ったハウス圃場に、性フェロモンを放散することを特徴とする害虫の交信撹乱防除方法。
- 上記被覆体が、25℃における上記性フェロモンの吸着率が5 . 0%以下である高分子材料からなることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の害虫の交信撹乱防除方法。
- 上記被覆体が、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル鹸化物、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、塩化ビニリデンコートフィルム又はシート、アルミラミネートフィルム又はシート、アルミ蒸着フィルム又はシートから選ばれることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の害虫の交信撹乱防除方法。
- 上記性フェロモンが、炭素数10〜18のアルデヒドから選ばれる少なくとも一種類を含む請求項1〜6のいずれかに記載の害虫の交信撹乱防除方法。
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Applications Claiming Priority (5)
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|---|---|---|---|
| JP11-229028 | 1999-08-13 | ||
| JP11-229029 | 1999-08-13 | ||
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