JP3628292B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、より詳細には、金属シリサイド層とポリシリコン層とを積層させた構造のゲート電極を備える半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置として広く採用されているMOS構造トランジスタの製造にあたっては、例えば、シリコン基板上にLOCOS構造やシャロートレンチ構造の素子分離領域およびウェルを形成した後に閾値電圧Vth調整のためのイオン注入を行ない、更に、成膜したゲート酸化膜上に、例えばポリシリコンからなるゲート電極を形成することが必要である。
【0003】
従来の一般的なポリシリコンゲート電極の形成には、先ず、ノンドープのポリシリコン層を低圧CVD法により形成し、その後、シリコン結晶中でアクセプタやドナーとして作用するボロンやリン等のドーパントをイオン注入してポリシリコン層の抵抗値制御を行なった後、リソグラフィおよびエッチング技術によって所望のゲート電極形状となるように加工する方法が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、低圧CVD法で形成されるポリシリコン層は、結晶方位が相互に異なる比較的微細な結晶粒子で構成される多結晶膜であり、このような結晶構造のポリシリコン層にイオン注入を行なうと、いわゆるチャネリング効果によって、ポリシリコン層内でのイオン打ち込み深さが不均一になるという問題が生じる。
【0005】
図3は、従来の一般的なポリシリコンゲート電極の構造を説明するための図で、シリコン基板31上のゲート酸化膜32上に低圧CVD法で成膜されたポリシリコン膜33が成膜されており、このポリシリコン膜33に所望のドーパントをイオン注入することで抵抗値の制御が行なわれる。
【0006】
この場合、イオン注入されるポリシリコン膜33を構成する結晶格子の結晶面が、例えば<110>±20°といったチャネリングを生じやすい特定の結晶面である場合には、その結晶粒子に打ち込まれたイオンは結晶粒子内をチャネリングしてシリコン基板31にまで到達してしまう。
【0007】
一方、イオン注入されるポリシリコン膜33を構成する結晶格子の結晶面が、チャネリングを生じにくい結晶面である場合には、注入イオンはその結晶格子内にのみ打ち込まれシリコン基板31にまで到達することはない。
【0008】
また、イオン注入されるポリシリコン膜33を構成する結晶格子の結晶面がチャネリングを生じやすい特定の結晶面であっても、その結晶粒子の直下に存在する他の結晶粒子の結晶面がチャネリングを生じ難いものである場合には、注入されたイオンはそのようなチャネリングを生じ難い結晶面を有する結晶粒子中でチャネリングが阻止されてシリコン基板31にまで到達することはない。
【0009】
すなわち、ポリシリコン33層内の結晶粒子の配向状態によって、チャネリングを生じやすい特定の面指数を有する結晶粒子が存在する領域とチャネリングを生じ難い結晶粒子が存在する領域とで注入されたイオンの打ちこみ深さが異なり、その結果ポリシリコン層33内での深さ方向のドーパント分布にばらつきを生じ、トランジスタ特性のばらつきや再現性の低下を招いて安定的なMOSトランジスタの製造が困難になるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ポリシリコンゲート電極形成時のイオン注入深さを均一にすることにより、トランジスタ特性の変動を抑制し、安定した特性の半導体装置およびそのような半導体装置の製造を可能とする方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金属シリサイドとポリシリコン層とを積層させて構成したゲート電極を備える半導体装置の製造方法であって、ゲート酸化膜上に平均結晶粒径が50nm〜200nmの第1のポリシリコン層を形成する第1のステップと、前記第1のポリシリコン層上の全面に膜厚が0.1〜6nmのシリコン酸化膜を形成する第2のステップと、前記シリコン酸化膜上に平均結晶粒径が50nm〜200nmであり、かつ前記第1のポリシリコンに対して、隣接する結晶格子同士の結晶方位が互いに異なるように、第2のポリシリコン層を形成する第3のステップと、前記第2のポリシリコン層表面から、イオンの打ち込み深さがその面内で均一であり、かつ前記第1のポリシリコン層下のシリコン基板にまで注入されないように、前記第2のポリシリコンにイオン注入し、ポリシリコンゲート電極の抵抗値を制御する第4のステップと、前記第2のポリシリコン層表面上に、シリコンと反応してシリサイドを形成し、かつ、シリコン酸化膜を還元する金属の膜を形成する第5のステップと、前記第1のポリシリコン層と前記シリコン酸化膜と前記第2のポリシリコン層と前記金属の膜とを同時に熱処理して、前記第2のポリシリコン層をシリサイド化させてシリサイド層を形成するとともに、前記シリコン酸化膜の少なくとも一部を前記シリサイド層中に吸収させて前記第1のポリシリコン層と前記シリサイド層とを接合させる第6のステップと、該第6のステップ終了後に前記第1のポリシリコン層および前記シリサイド層を所望の形状に加工することによりゲート電極を形成する第7のステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、前記第5のステップで形成される金属の膜がチタンであることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0015】
図1は、本発明のMOSトランジスタの製造工程を説明するための図で、図1(a)はゲート酸化膜形成工程、図1(b)は第1のポリシリコン層形成工程、図1(c)は第2のポリシリコン層形成工程、図1(d)はゲート電極形成用イオン注入工程、図1(e)はゲート電極成型工程、図1(f)はLDD形成用イオン注入工程、図1(g)はサイドウォールおよびソース・ドレイン形成用イオン注入工程、図1(h)は金属膜形成工程、そして、図1(i)は熱処理工程を示している。
【0016】
先ず、シリコン基板11にフィールド酸化を施してLOCOS12、および、ゲート酸化膜13の形成を行なう(図1(a))。
【0017】
次に、温度600〜680℃の範囲で、シランガスを原料とした低圧CVD法により、厚さ250nmの第1のポリシリコン層14を堆積させる(図1(b))。このとき、形成される第1のポリシリコン層14はドーピングを行なっていないために電気的にはイントリンシックな状態であり、その平均結晶粒径は50〜200nm程度の多結晶である。
【0018】
第1のポリシリコン層14を形成した後、シリコン基板11を低圧CVD装置から大気中に取り出し、第1のポリシリコン層14の表面を、室温で1分以上大気中の酸素と接触させる。この大気中酸素との接触により、第1のポリシリコン層14の表面には膜厚0.1〜6nmの薄い自然酸化膜15が形成される。
【0019】
なお、第1のポリシリコン層14の表面に薄い酸化膜15を形成する工程は、上述した方法に限定されるものではなく、例えば、シリコン基板11ごと超純水中で水洗し、その後に乾燥することによって形成することとしても良く、或いは、過酸化水素を含有させた水溶液(例えばアンモニア:過酸化水素水:水の混合水溶液)中にシリコン基板11ごと浸漬させることによって第1のポリシリコン層14の表面を酸化させ、その後水洗して乾燥させることによって形成することとしても良く、更には、熱酸化やプラズマ酸化等の手法により積極的に酸化膜を形成することとしても良い。
【0020】
上述の酸化膜形成工程に続いて、再度、温度600〜680℃の範囲で、シランガスを原料とした低圧CVD法により、厚さ50nm、平均結晶粒径が50〜200nm程度の多結晶からなる第2のポリシリコン層16を堆積させる(図1(c))。なお、この600〜680℃の温度領域では、シランガスによって薄い酸化膜15が還元されることはなく、第2のポリシリコン層16は薄い酸化膜15の上に形成されることとなる。
【0021】
次に、第2のポリシリコン16をn型ゲート電極として利用するため、ドーパントであるリンを、加速電圧50keV、ドーズ量5E15cm−2の条件でイオン注入する(図1(d))。
【0022】
図2は、このイオン注入時におけるイオンの打ち込みの様子を説明するための図で、シリコン基板21上のゲート酸化膜22の上に低圧CVD法で成膜された第1のポリシリコン23が成膜されており、第1のポリシリコン層23上に薄く形成されたシリコン酸化膜24を挟んで、低圧CVD法で成膜された第2のポリシリコン層25が成膜されており、この第2のポリシリコン層25の表面からイオンが注入される。
【0023】
第1のポリシリコン層23上に形成された薄い酸化膜24は特定の結晶構造を有しないアモルファスであるため、第2のポリシリコン層25を構成する結晶粒子を成長させる際、第1のポリシリコン層23中に既に存在している結晶粒子を核として同一の面方位に成長しようとする作用が遮断される。従って、第1のポリシリコン層23を構成する結晶格子の結晶方位と、その上に成長している第2のポリシリコン層25を構成する結晶格子の結晶方位とは全く無関係となり、第1のポリシリコン層23と第2のポリシリコン層25との間には結晶方位の連続性はなくなる。
【0024】
このため、第2のポリシリコン層25の表面からイオン注入されて、チャネリング現象によって第1のポリシリコン層23にまで突き抜けてきたイオンがあった場合でも、チャネリングが生じ難い面方位を有する第1のポリシリコン層23を構成する結晶格子の内部で減速を受けることとなる結果、ゲート酸化膜22直下のシリコン基板21内に形成されたチャネル領域にイオンが注入されることを回避することが可能となる。
【0025】
このイオン注入工程に続いて、リソグラフィおよびエッチングの手法を用いて、第1および第2のポリシリコン層14、16を所望の形状に加工してゲート電極を成型(図1(e))した後、LDD(Lightly Doped Drain)形成のためのイオン注入を行ない(図1(f))、更に、サイドウォール17形成およびソース・ドレイン形成のためのイオン注入を行なう(図1(g))。
【0026】
これらのLDD形成、および、ソース・ドレイン形成のために行ったイオン注入によって、イオンはゲート電極内部にも打ち込まれることとなるが、上述したように、第1のポリシリコン層14と第2のポリシリコン層16との間に設けられた酸化膜15によってこれらのポリシリコン層を構成する結晶格子同士の結晶面方位の連続性が分断されているため、第1のポリシリコン層14直下のシリコン基板11表面領域に形成したチャネル部へのイオンの突き抜けは回避される。
【0027】
次に、ソース・ドレイン形成のための窒素熱処理を行ない、膜厚50nmのチタン層18を全面に形成する(図1(h))。
【0028】
これらの工程に続いて、650℃で1分間の熱処理を行なってゲート電極上にチタンシリサイド層19a、19bを形成する(図1(i))。この熱処理工程中において、第2のポリシリコン層16上に成膜された膜厚50nmのチタン層18は、第2のポリシリコン層16の上部から下方に向けて徐々にシリコンと反応してチタンシリサイド19aを形成する。なお、膜厚50nmのチタン層18を構成しているチタン原子がシリサイド化することによって消費されるシリコンの膜厚は60nm程度と見積もられるから、第2のポリシリコン層16の膜厚は50nmであるので、このチタンシリサイド形成の化学反応によって、薄い酸化膜15と第1のポリシリコン層14との界面より下の部分までのシリコンが消費されることとなる。
【0029】
すなわち、本発明の半導体装置の製造方法においては、上述のチタンシリサイド形成前までは第1のポリシリコン層14と第2のポリシリコン層16との間に存在する薄い酸化膜15を、チタンとシリコン酸化膜との反応を利用して、少なくとも薄い酸化膜15の一部を還元・消滅させ、これにより酸化膜15がチタンシリサイド19a膜中に吸収されて消滅し、第1のポリシリコン層14とチタンシリサイド19a層間における、ゲート電極として作用するに必要な電気伝導性が担保されることとなる。
【0030】
最後に、サイドウォール上部等に残存する未反応のチタンを、アンモニア:過酸化水素水:水の混合溶液によって除去した後に、窒素雰囲気中で、温度850℃、1分間の熱処理を施し、ゲート電極およびソース・ドレイン領域上に形成されているチタンシリサイド19a、19bを低抵抗の結晶形態へと相転移させる。
【0031】
なお、本実施例においては、シリサイド化に用いる金属としてチタンを例に説明したが、これに限定されるものではなく、薄いシリコン酸化膜を還元させる能力を有する金属であれば良い。また、チタン層の厚みを50nmとして説明したが、第2のポリシリコン層の厚みに応じて、10〜100nmの膜厚範囲で適宜膜厚設定が可能である。更に、シリサイド化の条件は、金属の種類およびその膜厚に応じて650〜700℃、0.5〜10分間の範囲で設定が可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体装置の製造方法においては、ゲート電極形成時において2層のポリシリコンを積層させた状態でイオン注入を行なうこととしたので、ゲート電極内でのドーパント注入深さが均一となり、特性変動のない半導体装置の製造が可能となる。
【0033】
また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、2層のポリシリコンの間に一旦形成した酸化膜をシリサイド化の工程中に消滅させ、かつ、金属シリサイド層とポリシリコン層同士を直接接合させることとしたので、ゲート電極内部での導電性が担保でき、かつ、寄生容量成分の発生等を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMOSトランジスタの製造工程を説明するための図で、(a)はゲート酸化膜形成工程、(b)は第1のポリシリコン層形成工程、(c)は第2のポリシリコン層形成工程、(d)はゲート電極形成用イオン注入工程、(e)はゲート電極成型工程、(f)はLDD形成用イオン注入工程、(g)はサイドウォールおよびソース・ドレイン形成用イオン注入工程、(h)は金属膜形成工程、(i)は金属シリサイド形成工程を示している。
【図2】本発明のMOSトランジスタの製造工程における、ゲート電極形成用イオン注入時におけるイオンの打ち込みの様子を説明するための図である。
【図3】従来型のMOSトランジスタの、ポリシリコンゲート電極部の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
11、21、31 シリコン基板
12、23、32 ゲート酸化膜
14、23 第1のポリシリコン層
15、24 シリコン酸化膜
16、25 第2のポリシリコン層
12 LOCOS
17 サイドウォール
18 金属膜
19a、19b 金属シリサイド
33 ポリシリコン
Claims (2)
- 金属シリサイドとポリシリコン層とを積層させて構成したゲート電極を備える半導体装置の製造方法であって、
ゲート酸化膜上に平均結晶粒径が50nm〜200nmの第1のポリシリコン層を形成する第1のステップと、
前記第1のポリシリコン層上の全面に膜厚が0.1〜6nmのシリコン酸化膜を形成する第2のステップと、
前記シリコン酸化膜上に平均結晶粒径が50nm〜200nmであり、かつ前記第1のポリシリコンに対して、隣接する結晶格子同士の結晶方位が互いに異なるように、第2のポリシリコン層を形成する第3のステップと、
前記第2のポリシリコン層表面から、イオンの打ち込み深さがその面内で均一であり、かつ前記第1のポリシリコン層下のシリコン基板にまで注入されないように、前記第2のポリシリコンにイオン注入し、ポリシリコンゲート電極の抵抗値を制御する第4のステップと、
前記第2のポリシリコン層表面上に、シリコンと反応してシリサイドを形成し、かつ、シリコン酸化膜を還元する金属の膜を形成する第5のステップと、
前記第1のポリシリコン層と前記シリコン酸化膜と前記第2のポリシリコン層と前記金属の膜とを同時に熱処理して、前記第2のポリシリコン層をシリサイド化させてシリサイド層を形成するとともに、前記シリコン酸化膜の少なくとも一部を前記シリサイド層中に吸収させて前記第1のポリシリコン層と前記シリサイド層とを接合させる第6のステップと、
該第6のステップ終了後に前記第1のポリシリコン層および前記シリサイド層を所望の形状に加工することによりゲート電極を形成する第7のステップとを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記第5のステップで形成される金属の膜がチタンの膜であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
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