JP3628065B2 - ポリスチレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はシンジオタクチックポリスチレンの問題点である耐衝撃性を改良し、耐候性に優れる新規なポリスチレン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、立体規則性が主としてシンジオタクチック構造であるスチレン系重合体の開発が行われており、例えば特開昭62ー187708号公報に開示されている。
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、結晶性であり高い融点を示すが、非常に脆いという問題点を有しており、種々の改良法が提案されてい る。例えば、特開平1ー146944号公報では、スチレンーブタジエンブロッ ク共重合体ゴム・スチレンーブタジエンブロック共重合体のブタジエン部分を一部あるいは完全に水素化したゴム・スチレンーブタジエン共重合体ゴムなどによる改良を実施している。特開平1ー279944号公報、特開平6ー256607号公報では、前記ゴムの相溶化剤として極性基を有する樹脂、またはゴムを用いる方法を提案しているが耐候性は不充分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の耐衝撃性を改良し耐候性に優れたポリスチレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を50〜99重量%、シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムを1〜50重量%含有することを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物、で ある。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう、シンジオタクチック構造とは、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構造、即ち炭素ー炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有することを意味し、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。
【0006】
上記の方法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の
場合はペンタッドによって示すことができる。
本発明にいう、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、とは、いわゆる、シンジオタクチックポリスチレン、通常はダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはペンタ ッドで30%以上、好ましくは 50%以上のシンジオタクティシティーを有する ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸)及びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体などを意味する。
【0007】
また、ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等がある。
また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。これらのうち特に好ましいのは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−タ ーシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロ スチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、さらにはスチレンとp−メチルス チレンとの共重合体を挙げることができる。
【0008】
本発明で用いられるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、一般に重量平均分子量で5000以上、特に10000〜20000000、数平 均分子量で2500以上、特に5000〜10000000のものが好ましく、 さらに、重合後必要に応じて、酸又はアルカリの洗浄液で脱灰処理し、さらに洗 浄、乾燥処理された、極めてシンジオタクティシティーの大きいスチレン系重合 体が好ましい 。
【0009】
上記の如き主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中又は溶媒の不存在下に、チタン化合物及びアルキルアルミノキサンからなる触媒の存在下、スチレンモノマーまたは/及び置換スチレンモノマーを重合することで製造される。
上記触媒として用いられるチタン化合物としては様々なものがあるが、好ましくは、一般式TiR1 aR2 bR3 cX1 4−(a+b+c)又はTiR1 dR2 eX1 3ー(d+e)[式中R1,R2及びR3はそれぞれ水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニルあるいはインデニル基を示し、X1はハロゲンを示す。a,b,cはそれぞれ0〜4の整数を示し、d,eはそれぞれ0〜3の整数を示す]で表されるチタン化合物およびチタンキレート化合物よ
りなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である。また、上記チタン化合物は、エステルやエーテルなどと錯体を形成させたものを用いてもよい。
【0010】
一方、上記チタン化合物とともに触媒の主成分を構成するアルキルアルミノキサンは、各種の有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触して得られるものである。
有機アルミニウム化合物としては、各種のものが使用可能であるが、通常は、トリアルキルアルミニウムが使用される。トリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリiーブチルアルミニウム等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は縮合剤とともに一種または二種以上用いてもよい。縮合剤としては、典型的には水が挙げられるが、このほかに有機アルミニウム化合物が縮合反応する如何なるものを用いてもよい。
【0011】
有機アルミニウム化合物と水との反応は特に限定はなく、公知の手法に準じて反応させればよい。有機アルミニウム化合物と水との反応で得られるアルキルアルミノキサンの代表例としては、鎖状アルキルアルミノキサンや環状アルキルアルミノキサンがあげられるが、その他に未反応のトリアルキルアルミニウム、各 種の縮合生成物の混合物、さらにはこれらが複雑に会合した分子があり、これら はトリアルキルアルミニウムと水との接触条件によって様々な生成物となる。
【0012】
なお、アルキルアルミノキサンを触媒として用いる際は、一種または二種以上用いてもよいし、また有機アルミニウム化合物を混合してもよい。さらに、他の 有機金属化合物を混合し、あるいはアルキルアルミノキサンを無機物へ吸着また は担持した態様で用いることもできる。
上述したチタン化合物とアルキルアルミノキサンを主成分とするものであり、その割合は、各成分の種類、原料であるスチレン、スチレン誘導体の種類、その他の条件により異なり一義的には定められないが、通常は、アルキルアルミノキサン中のアルミニウムとチタン化合物中のチタンとの比、即ちアルミニウム/チタン(モル比)として1〜106、好ましくは10〜104 である。
【0013】
また、本発明で用いられるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、前記主成分の触媒の存在下、スチレンあるいはスチレン誘導体を重合するが、重合は塊状でもよく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素あるいはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素溶媒中で行ってもよい。また、重合温度は特に制限はないが通常0〜120℃で実施できる。
【0014】
本発明で用いるシリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムとは、3員環以上のオルガノシロキサンと架橋剤からなる架橋構造のポリオルガノシロキサンゴム成分10〜90重量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分90〜10重量%(各ゴム成分の合計量が100重量%)とが相 互に絡み合い実質上分離できない構造を有した複合ゴムに、1種または、2種以 上のビニル化合物がグラフト重合して形成されたグラフト共重合体をいう。
【0015】
3員環以上のオルガノシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等があげられ、好ましくは3〜6員環のオルガノシロキサンである。これらは、単独で又は2種以上混合して用いられる。これらの使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中50重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは70重量%以上である。
【0016】
架橋剤としては、3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラーnープロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。特に、4官能性の架橋剤が好ましく、テトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤の使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中0.1〜30重量%である。また、所望によりグラフト交叉剤を用いることもでき、特にメタクリロイルオキシシロキサンが好ましい。グラフト交叉剤の使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中0〜10重量%である。
【0017】
このポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックスの製造は、例えば米国特許第2891920号明細書、同第3294725号明細書等に記載された方法を用いることができる。
次に上記複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分は以下に示すアルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤より製造できる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2ーエチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、2ーエチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特にn−ブチルアクリレートが好ましい。
【0018】
架橋剤としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1.3ーブチレングリコールジメタクリレート、1.4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
グラフト交叉剤としては、例えばアリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは、架橋剤として用いることもできる。
【0019】
これら架橋剤並びにグラフト交叉剤は単独又は2種以上併用して用いられる。これら架橋剤及びグラフト交叉剤の合計の使用量はポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分中0.1〜20重量%である。
ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和されたポリオルガノシロキサンゴム成分のラテックス中へ上記アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて行う。
【0020】
また、この複合ゴムにグラフト重合させるビニル化合物としては、スチレン、αーメチルスチレン、パラメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、無水マレイン酸等のα、βー不飽和カルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体が挙げられるが、好ましくは芳香族ビニル化合物、アルキル(メタ)アクリレート類、シアン化ビニル単量体、マレイミド系単量体であり、さらに好ましくは、スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ブチルアクリレート、メチルメタクリレートである。これらのビニル化合物は単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
上記複合ゴムと上記ビニル化合物とのグラフト反応は、ビニル化合物を複合ゴムのラテックスに加えラジカル重合技術によって一段であるいは多段で重合させることができる。重合で得られる架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリ コン複合ゴムのラテックスを塩化カルシウム又は硫酸マグネシウム等の金属塩を 溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより分離、回収することができ る。
【0022】
また、シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムの好ましい粒子径は0.05〜0.5μmである。0.05μm未満では、耐衝撃性の改良が不充分であり、0.5μmを越えると分散状態が良好とならず耐衝 撃性の改良が不充分となる。
シンジオタクチックポリスチレンとシリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムの混合は公知の種々の方法が使用できるが、二軸押出機による溶融混練がゴムの分散が良好であり好ましい。シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムが1重量%未満では、耐衝撃性の改良が不充分であり、50重量%を越えると耐熱性が低下してしまう。
【0023】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物には、シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムのほかに、他のゴム状弾性体を含有していて
もよい。
上記他のゴム状弾性体としては、たとえば、スチレンーブチルアクリレート共重合体ゴム、メチレンーブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレンーブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレンーブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレンーブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレンーイソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレンーイソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンーブタジエンランダム共重合体、水素添加スチレンーブタジエンランダム共重合体、スチレンーエチレン−プロピレンランダム共重合体、スチレンーエチレン−ブチレンランダム共重合体、あるいはブタジエン−アクリロニトリル−スチレンーコアシエルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンーコアシエルゴム(MBS)、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート−スチレンーコアシエルゴム(MAS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレンーコアシエルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレンーコアシエルゴム(SBR)などのコアシエルタイプの粒子状弾性体などが挙げられる。これらの中で、特にSEB、SEBS、SEPS、スチレン単位を含有するコアシエルゴムが好ましく用いられる。
【0024】
さらに、本発明のポリスチレン系樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種添加成分、例えば酸化防止剤、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、顔料、カーボンブラック、帯電防止剤等の添加剤、あるいはその他の熱可塑性樹脂が配合されていてもよく、無機充填材等の補強材が配合されていてもよい。
【0025】
【実施例】
以下、まず、本発明に用いるスチレン系重合体、シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムの製造例を示し、本発明を実施例、比較例によりさらに詳しく説明する。なお実施例、比較例および製造例において部は重量部を意味する。また、物性測定の方法は以下の通り。
(1)アイゾット衝撃強度
JIS K7110(ノッチ付き)に準拠して行った。
(2)耐候性
サンシャイン・ウエザーメーター(ブラックパネル63℃、1000時間照射による、耐候性促進試験によった。
【0026】
【製造例1】
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)の製造:
反応器として栗本鉄工所製、商品名KRC(内容積8.6リットル、ブレード径100mm、シリンダー有効長1000mm、パドル数44組、シリンダー内 壁とパドルとのクリアランス1mm)を5度傾斜させ、内部温度を80℃に制御 し、回転数を毎分200rpmとした。
【0027】
この反応器にスチレンモノマーを毎時1リットルの割合で供給するとともに、触媒としてメチルアルミノキサンを毎時75ミリモル、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシドを毎時0.15ミリモルの割合で供給しながら5時間重合を実施した。
得られたシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は2950gであり反応率は65.6%であった。また、重合体のラセミペンタッドでのシンジオタクシティーは97%であった。
【0028】
【製造例2】
シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴム(G−1)の製造:
テトラエトキシシラン2部、γーメタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ1部を溶解した蒸留水200部に上記混合シロキサン100重量部を加え、ホモミキサーにて10000rpmで予備撹拌した後、ホモジナイザーにより300kg/cm2の圧力で乳化、分散させオルガノシロキサンラテックスを得た。
【0029】
この混合液を、コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、撹拌混合しながら80℃で5時間加熱した後20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのラテックスのpHを7.5に中和し重合を完結し架橋ポリオルガノシロキサンゴムラテックスを得た。得られた架橋ポリオルガノシロキサンゴムの重合率は88.5%であり、平均粒子径は0.16μmであった。
【0030】
上記架橋ポリオルガノシロキサンゴムラテックスを119部採取し、撹拌器を備えたセパラブルフラスコに入れ、蒸留水57.5部を加え、窒素置換をしてから50℃に昇温し、n−ブチルアクリレート33.95部、アリルメタクリレート1.05部及びtertーブチルヒドロペルオキシド0.26部の混合液を仕込み30分撹拌し、この混合液を架橋ポリオルガノシロキサンゴム粒子に浸透させた。
【0031】
次いで、硫酸第1鉄0.002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.006部、ロンガリット0.26部及び蒸留水5部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラテッ
クスを得た。この複合ゴムの平均粒子径は0.19μmであった。
【0032】
この複合ゴムラテックスにtertーブチルヒドロペルオキシド0.12部とスチレン22.5部及びアクリロニトリル7.5部との混合液を70℃にて15分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合を完了した。スチレンの重合率は、98.4%、アクリロニトリルの重合率は97.2%であった。得られたグラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5重量%の熱水200部中に滴下し、凝固、分離し洗浄した後75℃で16時間乾燥し、シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴム(以下、G−1と称する)の乾粉を98.1部得た。
【0033】
【製造例3】
シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴム(G−2)の製造:
製造例2で得られた複合ゴムラテックス211.5部を採取し、窒素置換後60℃に昇温し、tertーブチルヒドロペルオキシド0.24部とメチルメタクリレート30部との混合液を1時間にわたり滴下し、その後60℃で2時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合を完了した。得られたグラフト共重合体ラテックスを製造例2と同様に凝固、分離、乾燥してシリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴム(以下、G−2と称する)の乾粉を得た。
【0034】
【製造例4】
シリコンが架橋構造でないアクリルーシリコン複合ゴム(G−3)の製造:
テトラエトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルジメトキシシランを用いない以外は製造例1と同様に実施した。複合ゴム系グラフト共重合体(以下、G−3と称する)の乾粉を得た。
【0035】
【実施例1】
製造例1で得られたSPSを80部、製造例2で得られたG−1を20部、酸化防止剤として(2.6ージーtーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリ トールジホスファイトを(アデカ・アーガス社製、PEP−36、商品名) 0.1部、テトラキス[メチレンー3ー(3’、5’ージーt−ブチルー4’ー ヒドロキシフェニル)]プロピオネートを(アデカ・アーガス社製、商品名 M ARK AO−60)0.1部を加え、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを 行った後、二軸押出機にて溶融混練を行いペレット化した。
【0036】
得られたペレットを用い、射出成形を行ってアイゾット試験片を得た。得られた試験片でアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
【実施例2】
シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムとして製造例3で得られたG−2を20部にした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0038】
【比較例1】
シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムを用いずに、SPSを100部にした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に 示す。
【0039】
【比較例2】
シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムとして製造例4のG−3を20部にした以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0040】
【比較例3】
製造例1で得られたSPSを80部、極性基を有する無水マレイン酸変性SEBS(旭化成工業(株)製、商品名、M−1913)1.6部、ゴム状弾性体としてSEBS(Shell Chem.Co.製、商品名、Kraton G−1651、)18.4部、酸化防止剤として(2.6ージーtーブチルー4ーメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ・アーガス社、製、商品名PE P−36、)0.1部、テトラキス[メチレンー3ー(3’、5’ージーt−ブチルー4’ーヒドロキシフェニル)]プロピオネート(アデカ・アーガス社製、商品名、MARK AO−60)0.1部を加え、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った後、二軸押出機にて溶融混練を行いペレット化した。
【0041】
得られたペレットを用い、射出成形を行ってアイゾット試験片を得た。
得られた試験片でアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
【実施例3】
実施例1、2、比較例1、2、3、の試験片をブラックパネル温度63℃において耐候性促進試験を実施し試験片の表面外観を目視で観察した。結果を表1に
示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、従来のものに比べて、耐衝撃性、耐候性に優れており、産業用資材の成形品に有効な利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例2で得られた、架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムの電子顕微鏡写真。
Claims (3)
- シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を50〜99重量%、シリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合 ゴムを1〜50重量%含有することを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物。
- 粒子径が0.05〜0.5μmであるシリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムを含有する請求項1記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- グラフト鎖がスチレンよりなるシリコンが架橋構造でありかつコアであるアクリルーシリコン複合ゴムを含有する請求項1記載のポリスチレン系樹脂組成物。
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