JP3626888B2 - 基板露光装置におけるマスク撓み補正機構及びマスク撓み補正方法並びにパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成する基板露光装置において上記マスクの撓みを補正するマスク撓み補正機構及びマスク撓み補正方法並びにパターン形成方法に関し、特に、サイズが大型化したマスクの自重による撓みを簡単に補正し、この撓みを補正した状態で正確なパターンを形成可能とするマスク撓み補正機構及びマスク撓み補正方法並びにパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の基板露光装置は、ガラス基板を上面に保持する露光チャックと、上記ガラス基板の上方からパターンを転写するマスクを上面に保持するマスクホルダとを備え、上記マスクとガラス基板との間に所定の微少間隔(プロキシミティギャップ)をあけてマスク上方から光を照射してガラス基板にパターンを形成するようになっていた。そして、上記マスクホルダは、平面視で例えば矩形の枠状になっており、この矩形の枠状の上面にマスクを載置し、該マスクホルダの上面部に設けられた真空吸着機構によりマスクに対して全周方向で吸着保持していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような基板露光装置におけるマスクの保持では、マスクのサイズが大型化すると、マスクホルダによって全周方向で吸着保持されたマスクは、その中央部分が自重によって下方に撓むものであった。このようにマスクが下方に撓むと、ガラス基板との間の所定の微少間隔が場所によって一定ではなくなり、マスクパターンを平行光によってガラス基板上に転写することができなくなって、正確なパターンが形成できなくなるものであった。したがって、ガラス基板へのパターン焼付けの精度が低下することがあった。これに対して、従来の基板露光装置では、マスクとガラス基板との間のエア圧を加圧してマスクの撓みを補正しようとしたものはあるが、構造が複雑かつ大掛かりとなり、簡単にマスクの撓みを補正することはできなかった。
【0004】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、サイズが大型化したマスクの自重による撓みを簡単に補正し、この撓みを補正した状態で正確なパターンを形成可能とする基板露光装置におけるマスク撓み補正機構及びマスク撓み補正方法並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による基板露光装置におけるマスク撓み補正機構は、ガラス基板を保持する露光チャックと、上記ガラス基板に対しパターンを転写するマスクを保持するマスクホルダとを備え、上記マスクとガラス基板との間に所定の微少間隔をあけてマスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成する基板露光装置において、上記マスクホルダは、マスクの対向する両側二辺だけを下面から保持する二つのホルダ部材を対向配置して構成し、この二つのホルダ部材の外側面には、該ホルダ部材に保持されるマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧してマスクの撓みを補正するマスク押え部を設けたものである。
【0006】
また、上記二つのホルダ部材の上面の外側縁部にはその長手方向に延びる段差を形成し、この段差を利用して上記マスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されるマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧するものである。
【0007】
さらに、上記マスク押え部のマスクに対する押圧力は、マスクの撓み量に応じて任意に可変とするものである。
【0008】
さらにまた、上記マスク押え部によるマスクの撓み補正の補正量を計測する補正量検出センサを設けたものである。
【0009】
また、本発明による基板露光装置におけるマスク撓み補正方法は、ガラス基板を露光チャックで保持し、このガラス基板に対しパターンを転写するマスクをマスクホルダで保持し、このマスクとガラス基板との間に所定の微少間隔をあけてマスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成する基板露光装置において、上記マスクホルダにて対向配置された二つのホルダ部材でマスクの対向する両側二辺だけを下面から保持し、この二つのホルダ部材の外側面に設けられたマスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されたマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧してマスクの撓みを補正するものである。
【0010】
ここで、上記二つのホルダ部材の上面の外側縁部にはその長手方向に延びる段差を形成し、この段差を利用して上記マスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されたマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧するものとしてもよい。
【0011】
また、上記マスク押え部のマスクに対する押圧力は、マスクの撓み量に応じて任意に可変としてもよい。
【0012】
さらに、補正量検出センサにより、上記マスク押え部によるマスクの撓み補正の補正量を計測するものとしてもよい。
【0013】
そして、本発明によるパターン形成方法は、上記手段の基板露光装置におけるマスク撓み補正機構を用いてマスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による基板露光装置におけるマスク撓み補正機構の実施の形態を示す要部説明の正面図である。このマスク撓み補正機構は、マスク上方から光を照射してガラス基板にパターンを形成する基板露光装置において上記マスクの撓みを補正するものである。図1において、基板露光装置の露光チャック1は、後述のマスク2に形成されたパターンを転写するガラス基板3を上面に保持するもので、所定の厚さの平板状に形成され、その上面は高い平面度に仕上げられている。
【0015】
上記露光チャック1の周りには、マスクホルダ4が設けられている。このマスクホルダ4は、上記ガラス基板3の上方からパターンを転写するマスク2を上面に保持するものである。そして、図示省略したが、上記露光チャック1の下面の3箇所にはチルト機構が配置されており、このチルト機構を駆動して露光チャック1を上昇又は傾けて、上記マスク2とガラス基板3との間に所定の微少間隔(プロキシミティギャップ)をあけてマスク上方から光を照射してガラス基板にパターンを形成するようになっている。
【0016】
ここで、本発明においては、上記マスクホルダ4は、マスク2の対向する両側二辺だけを下面から保持する二つのホルダ部材5a,5bを対向配置して構成されている。すなわち、図2に示すように、矩形状のマスク2の四辺の内で対向する両側の二辺だけを保持するように、二つのホルダ部材5a,5bを対向させて平行に設けている。この場合、上記二つのホルダ部材5a,5bは、マスク2の対向する両側二辺だけをその上端面で保持するようになっており、上記マスク2の両側二辺と直交する他の二辺部は基準ピン6,6,…で位置決めされるようになっている。そして、このときは、マスク2は、上記二つのホルダ部材5a,5bに平行な方向においてのみ、自重によって下方に撓むこととなる。
【0017】
また、上記マスクホルダ4の二つのホルダ部材5a,5bの外側面には、マスク押え部7a,7bが設けられている。このマスク押え部7a,7bは、上記マスクホルダ4の二つのホルダ部材5a,5bに保持されるマスク2の両側二辺の縁部上面を上方から押圧して該マスク2の自重による撓みを補正するもので、図2に示すように、マスク2の対向する両側二辺の長手方向に沿って設けられている。
【0018】
すなわち、図3に示すように、ホルダ部材5aの両側部に設けられた二つの駆動シリンダ8と、この駆動シリンダ8から伸びるロッド9,10,11と、上記ホルダ部材5aの両側端部に設けられロッド11の上昇下降を案内する二つのガイドブロック12と、両側端部に位置する二つのロッド11を橋渡しする細長板状の連結部材13と、この連結部材13の上面に所定間隔で設けられた複数の押え部材14とから成る。
【0019】
そして、図3において、二つの駆動シリンダ8の動作によりロッド9が矢印A,Bのように上昇下降すると、これに連結されたロッド11が矢印C,Dのように上昇下降し、さらに二つのガイドブロック12を介して連結部材13の全体が矢印E,Fのように上昇下降する。このとき、図1において、上記連結部材13の上面に設けられた押え部材14の先端部15が矢印Fのように下降することにより、該先端部15でマスク2の対向する両側二辺の外側の縁部を上方から押圧する。これにより、例えば図4において二点鎖線で示すように自重で中央部分が下方に撓んだ(例えば撓み量300μm程度)マスク2を、上記押え部材14の先端部15の押圧力で中央部分を持ち上げて上記撓みと相殺し、全体として略平らになるように撓みを補正する。
【0020】
なお、上記押え部材14の先端部15は、その押圧によりマスク2の表面を傷めないようにベアリング形状の樹脂などから成る。また、上記マスク押え部7a,7bのマスク2に対する押圧力は、マスク2の撓み量に応じて任意に可変とすればよい。
【0021】
図4は本発明の第二の実施形態を示す要部説明図である。この実施形態は、上記マスクホルダ4の各ホルダ部材5a,5bの上面の外側縁部にその長手方向に延びる段差16を形成し、この段差16を利用して上記マスク押え部7a,7bで上記二つのホルダ部材5a,5bに保持されるマスク2の両側二辺の縁部上面を上方から押圧するものである。すなわち、上記各ホルダ部材5a,5bの内側の縁部を支点として梃子の原理でマスク2の縁部に力を加えることができるように、各ホルダ部材5a,5bの外側縁部を切り欠いたものである。
【0022】
この場合は、特に、マスク2の横幅がホルダ部材5a,5bの間隔と同一か、或いはそれよりも狭いときであっても、マスク押え部7a,7bの押え部材14の先端部15でマスク2の両側二辺の縁部を上方から押圧して、二点鎖線で示すように自重で中央部分が下方に撓んだマスク2を、上記押え部材14の先端部15の押圧力で中央部分を持ち上げて上記撓みと相殺し、全体として平らになるように撓みを補正することができる。
【0023】
図5は本発明の第三の実施形態を示す要部説明図である。この実施形態は、上記マスク押え部7a,7bによるマスク2の撓み補正の補正量を計測する補正量検出センサ17を設けたものである。すなわち、マスク2の横幅方向の中心位置に、マスク2とガラス基板3との間のギャップLを検出するギャップセンサを上記補正量検出センサ17として設けるものである。そして、補正量検出センサ17からレーザ光をギャップ検出位置に投影し、マスク2下面とガラス基板3表面とで反射した光を検出してギャップLを求め、所定のプロキシミティギャップとの差がどの程度あるかにより補正量を計測する。
【0024】
この場合は、上記補正量検出センサ17により、必要なマスク2の撓み補正の補正量を計測することができる。そして、この計測した補正量がゼロになるように図3に示すマスク押え部7a,7bの駆動シリンダ8の動作を制御することにより、上記マスク2の撓みを正しく補正して全体として平らになるようにすることができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1又は5に係る発明によれば、マスクホルダにて対向配置された二つのホルダ部材でマスクの対向する両側二辺だけを下面から保持し、この二つのホルダ部材の外側面に設けられたマスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されるマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧して、自重で下方に撓んだマスクの中央部分を持ち上げてその撓みと相殺し、マスクの撓みを補正することができる。これにより、サイズが大型化したマスクの自重による撓みを簡単に補正することができる。また、このようなマスクの撓み補正により、マスクとガラス基板との間の所定の微少間隔を略一定とすることができ、マスクパターンを平行光によってガラス基板上に転写して正確なパターンを形成できる。したがって、ガラス基板へのパターン焼付けの精度を向上することができる。
【0026】
また、請求項2又は6に係る発明によれば、マスクホルダの各ホルダ部材の上面の外側縁部にはその長手方向に延びる段差を形成し、この段差を利用してマスク押え部で上記各ホルダ部材に保持されるマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧するよう構成したので、特に、マスクの横幅がホルダ部材の間隔と同一か、或いはそれよりも狭いときであっても、自重で下方に撓んだマスクの中央部分を持ち上げてその撓みと相殺し、全体として平らになるように撓みを補正することができる。
【0027】
さらに、請求項3又は7に係る発明によれば、マスク押え部のマスクに対する押圧力を、マスクの撓み量に応じて任意に可変とするよう構成したので、マスクに対して適切な押圧力で撓み補正をすることができる。
【0028】
さらにまた、請求項4又は8に係る発明によれば、補正量検出センサにより、マスク押え部によるマスクの撓み補正の補正量を計測するよう構成したので、必要なマスクの撓み補正の補正量を計測することができ、この計測した補正量がゼロになるようにマスク押え部の動作を制御することにより、上記マスクの撓みを正しく補正して全体として平らになるようにすることができる。
【0029】
また、請求項9に係る発明によれば、前述の基板露光装置におけるマスク撓み補正機構を用いてマスクの自重による撓みを簡単に補正し、この撓みを補正した状態でマスクに光を照射してガラス基板に正確なパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による基板露光装置におけるマスク撓み補正機構の実施の形態を示す要部説明の正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態を示す要部説明図である。
【図5】本発明の第三の実施形態を示す要部説明図である。
【符号の説明】
1…露光チャック
2…マスク
3…ガラス基板
4…マスクホルダ
5a,5b…ホルダ部材
7a,7b…マスク押え部
8…駆動シリンダ
9,10,11…ロッド
12…ガイドブロック
13…連結部材
14…押え部材
15…先端部
16…段差
17…補正量検出センサ
Claims (9)
- ガラス基板を保持する露光チャックと、上記ガラス基板に対しパターンを転写するマスクを保持するマスクホルダとを備え、上記マスクとガラス基板との間に所定の微少間隔をあけてマスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成する基板露光装置において、
上記マスクホルダは、マスクの対向する両側二辺だけを下面から保持する二つのホルダ部材を対向配置して構成し、
この二つのホルダ部材の外側面には、該ホルダ部材に保持されるマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧してマスクの撓みを補正するマスク押え部を設けた、
ことを特徴とするマスク撓み補正機構。 - 上記二つのホルダ部材の上面の外側縁部にはその長手方向に延びる段差を形成し、この段差を利用して上記マスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されるマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧することを特徴とする請求項1記載のマスク撓み補正機構。
- 上記マスク押え部のマスクに対する押圧力は、マスクの撓み量に応じて任意に可変とすることを特徴とする請求項1又は2記載のマスク撓み補正機構。
- 上記マスク押え部によるマスクの撓み補正の補正量を計測する補正量検出センサを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスク撓み補正機構。
- ガラス基板を露光チャックで保持し、このガラス基板に対しパターンを転写するマスクをマスクホルダで保持し、このマスクとガラス基板との間に所定の微少間隔をあけてマスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成する基板露光装置において、
上記マスクホルダにて対向配置された二つのホルダ部材でマスクの対向する両側二辺だけを下面から保持し、この二つのホルダ部材の外側面に設けられたマスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されたマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧してマスクの撓みを補正することを特徴とするマスク撓み補正方法。 - 上記二つのホルダ部材の上面の外側縁部にはその長手方向に延びる段差を形成し、この段差を利用して上記マスク押え部で上記二つのホルダ部材に保持されたマスクの両側二辺の縁部上面を上方から押圧することを特徴とする請求項5記載のマスク撓み補正方法。
- 上記マスク押え部のマスクに対する押圧力は、マスクの撓み量に応じて任意に可変とすることを特徴とする請求項5又は6記載のマスク撓み補正方法。
- 補正量検出センサにより、上記マスク押え部によるマスクの撓み補正の補正量を計測することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のマスク撓み補正方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板露光装置におけるマスク撓み補正機構を用いてマスクに光を照射してガラス基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
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