JP3626571B2 - トルク検出器におけるハウジング成形構造 - Google Patents
トルク検出器におけるハウジング成形構造 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力軸および出力軸間のトーションバーが捩れ変形するのに応じてそれらの軸の軸線方向にコアを変位させることにより、トルクを検出するようにしたトルク検出器において、合成樹脂製のハウジングを成形するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるトルク検出器は、たとえば実公平6−23929号公報等により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものでは、たとえばアルミニウム合金等の鋳造金属に切削加工等を施して形成されるハウジングに、入力軸およびハウジング間に設けられるベアリングが圧入されており、ハウジングの製造コストが比較的高いものとなっていた。そこで、少なくともボビンを覆う部分のハウジングを合成樹脂により形成し、合成樹脂製のハウジングにボビン、コイルおよび前記ベアリングを一体にモールド結合するようにすればコスト低減を図ることが可能であり、そのモールド結合時には、ボビンでベアリングを支持しておき、ボビンおよびベアリングを軸方向両側から固定および可動型で挟み付けることが考えられる。
【0004】
ところが、ボビンおよびベアリングは軸方向に直列に並ぶものであり、ボビンの一端からベアリングの外端までの距離の寸法は、ボビンの軸方向の寸法とベアリングの軸方向の寸法とを加算した値となるので寸法のばらつきが比較的大きくなるものであり、固定および可動型によって挟んだときに、ベアリングおよび該ベアリングを支持しているボビンの支持部に過大な荷重が作用してボビンが潰れてしまったり、ベアリングが所定位置から浮き上がってしまったりする可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、合成樹脂から成るハウジングにボビン、コイルおよびベアリングを一体にモールド結合せしめてコスト低減を図る際に、ボビンにその軸方向長さが変化する程の変形が生じることを防止するとともにベアリングの位置の安定化を図るようにしたトルク検出器におけるハウジング成形構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、コイルが巻装されるボビン内に入力軸が同軸に挿入され、該入力軸と同軸である出力軸がトーションバーを介して前記入力軸に連結され、前記トーションバーの捩れ変形に伴なう入力軸および出力軸の相対角変位量に応じて入力軸の軸線に沿う位置を変化させるコアが前記入力軸および前記ボビン間に配置され、前記ボビンおよびコイルを覆うハウジングおよび入力軸間にベアリングが設けられるトルク検出器において、略円筒状のコイル巻装部、該コイル巻装部の一端に同軸に連なる略円筒状の延長筒部、ならびに該延長筒部の内面から半径方向内方に張出す規制鍔部を有して合成樹脂により形成されるボビンと、前記コイル巻装部に巻装されるコイルと、前記規制鍔部に外輪の内端を当接させて前記延長筒部の先端部に嵌合される前記ベアリングとを一体にモールド結合させる合成樹脂製のハウジングを成形するための成形型が、前記ベアリングの外端に接触する第1接触部を有する第1型と、前記ボビンの他端に接触する第2接触部を有するとともに前記第1型に対して近接・離反可能な第2型とを備え、第1および第2型の型締め時の第1および第2接触部間の距離が、第1および第2型の型締め時に前記規制鍔部に該規制鍔部をボビンの軸方向内方側に撓ませる荷重を作用せしめるべく、モールド成形前での前記ボビンの他端およびベアリングの外端間の距離の設定許容最小値以下に設定されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、ボビンおよびコイルが合成樹脂製のハウジングに一体にモールド結合されるとともに、ベアリングがハウジングに一体にモールド結合されることになり、コスト低減に寄与することができる。しかも第1型および第2型の型締め時には、ベアリングの外輪内端を当接させている規制鍔部に該規制鍔部をボビンの軸方向内方側に撓ませる荷重が作用するので、モールド成形前でのボビンの他端およびベアリングの外端間の距離にばらつきが生じていても規制鍔部の変形によってその寸法のばらつきを吸収することが可能であり、ボビンのコイル巻装部および延長筒部に変形が生じることが防止されるとともに、ボビンの他端からベアリングの外端までの距離を一定に定めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1ないし図12は本発明の一実施例を示すものであり、図1はトルク検出器の縦断側面図、図2は入力軸および可動部材の係合状態を示す横断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は一対のコイルの接続回路を示す図、図5はハウジングおよびボビンの縦断面図、図6は図5の6矢視図、図7はボビンを図6と同一方向から見た図、図8は図5の8矢視図、図9は型開き状態での金型装置の縦断面図、図10は型締め過程に在る状態での図9に対応した縦断面図、図11は型締め状態での図9に対応した縦断面図、図12は図11の12矢視部拡大図であって(a)は規制鍔部の非変形状態を示す図、(b)は規制鍔部の変形状態を示す図である。
【0010】
先ず図1において、このトルク検出器は、たとえば車両のパワーステアリング系に介設されるものであり、図示しないステアリングハンドル側に連なる入力軸15と、図示しない車輪側に連なって入力軸15と同軸に配置される出力軸16と、入力軸15および出力軸16間を連結するトーションバー17とを備え、入力軸15に入力されるトルクに応じてトーションバー17が捩れ変形することに伴なう入力軸15および出力軸16間に生じる相対角変位量を、前記入力トルクに応じた値として検出するものである。
【0011】
入力軸15は、中空の略円筒状に形成されており、合成樹脂により略円筒状に形成されるハウジング18の軸方向一端側にベアリング19を介して回転自在に支承されつつ、ハウジング18内に突入される。しかもベアリング19より軸方向外方側でハウジング18および入力軸15間にはダストシール20が設けられる。
【0012】
トーションバー17は入力軸15内に挿入されており、入力軸15およびトーションバー17の一端は連結ピン21で相互に連結され、入力軸15の他端およびトーションバー17間には金属製のリング状軸受メタル22が設けられる。すなわちトーションバー17の一端側は入力軸15とともに回転するのに対し、トーションバー17の捩れ変形に応じてトーションバー17の他端部および入力軸15の他端は相対角変位可能である。
【0013】
前記ハウジング18は、金属製の支持体23に締結されるものであり、該支持体23は車両の図示しない車体に固定的に支持される。而して出力軸16は、ベアリング24を介して支持体23に回転自在に支承されており、この出力軸16の一端部にトーションバー17の他端部がセレーション25を介して結合される。
【0014】
ハウジング18には、合成樹脂から成るボビン26と、該ボビン26に巻装される第1および第2コイル27,28とが一体にモールド結合されるものであり、該ボビン26と入力軸15の他端部との間には合成樹脂から成る可動部材29が配置され、該可動部材29の外面にリング状のコア30が固着される。
【0015】
ところで、出力軸16の一端部には、その一直径線に沿って出力軸16の外面から外方に突出する一対の規制ピン31,31が装着されており、それらの規制ピン31,31の先端部を係合させる規制溝32,32が、出力軸16の軸方向に沿って長く延びて前記可動部材29の内面に設けられる。したがって可動部材29およびコア30は、出力軸16との相対回転が不能であるが規制ピン31,31が規制溝32,32で案内される範囲で出力軸16との軸方向相対移動が可能である。しかも出力軸16および支持体23間に設けられているベアリング24の内輪で受けられたリテーナ33と前記可動部材29との間には、コイルばね34が設けられており、このコイルばね34のばね力により可動部材29すなわちコア30は、出力軸16から離反する方向に付勢される。
【0016】
図2および図3において、可動部材29の内面には、螺旋状の案内溝35が設けられており、該案内溝35に嵌合するピン36が入力軸15に装着される。したがって、入力軸15へのトルク入力に応じたトーションバー17の捩れ変形により入力軸15および出力軸16間に相対角変位が生じたときに、その相対角変位量に応じて可動部材29およびコア30が入力軸15の軸線に沿う位置を変化させることになる。
【0017】
図4を併せて参照して、両コイル27,28は、入力軸15の軸方向に離隔してボビン26に巻装されており、それらのコイル27,28と、基準抵抗38,39とでブリッジ回路が構成され、基準抵抗38,39の接続点には入力端子40が、両コイル27,28の接続点には入力端子41が、基準抵抗38および第1コイル27の接続点には検出端子42が、第2コイル28および基準抵抗39の接続点には検出端子43がそれぞれ接続される。
【0018】
一方の入力端子40には、たとえば10Vの一定電圧が入力され、他方の入力端子42にはたとえば10Vおよび接地状態(0V)を交互に繰返す電圧が入力されるものであり、そのようなパルス状の入力電圧に対して、第1コイル27および基準抵抗38、ならびに第2コイルおよび基準抵抗39は、それぞれ一次遅れ要素として作用する。
【0019】
一方、入力軸15へのトルク入力に応じたトーションバー17の捩れ変形によって、コア30は、入力軸15の軸線に沿う位置すなわち第1および第2コイル27,28に対する相対位置を変化させるものであり、そのような相対位置変化が両コイル27,28の周辺に磁気的変化を生じさせ、両コイル27,28のインダクタンスがそれぞれ変化する。而してインダクタンス変化に伴って上記一次遅れ要素の時定数が変化し、両検出端子42,43の過渡応答電圧に差が生じることになり、該過渡応答電圧のうちボトム電圧における差電圧を得ることにより、入力トルクに対応した信号を得ることができる。
【0020】
図5ないし図7を併せて参照して、ボビン26は、略円筒状のコイル巻装部26aと、該コイル巻装部26aの一端に同軸に連なる略円筒状の第1延長筒部26bと、前記コイル巻装部26aの他端に同軸に連なる略円筒状の第2延長筒部26cとを有して、全体として段付きの略円筒状に形成されるものであり、コイル巻装部26aの外面には、該コイル巻装部26aの外面に巻装される第1および第2コイル27,28間を仕切る仕切り壁部26dが半径方向外方に突出するようにして一体に設けられる。
【0021】
第1延長筒部26bの先端部には、入力軸15およびハウジング18間に設けられるベアリング19が、その軸方向外端をわずかに第1延長筒部26bの先端から突出させるようにして嵌合されるものであり、そのベアリング19における外輪19aの内端を受ける規制鍔部26eが、第1延長筒部26bの内面から半径方向内方に張出すようにして第1延長筒部26bに一体に設けられる。また第2延長筒部26cの外面には複数のリブ26f,26f…が放射状に突出するようにして一体に設けられる。
【0022】
図8をさらに併せて参照して、前記ボビン26と、該ボビン26のコイル巻装部26aに巻装されている第1および第2コイル27,28と、ボビン26の第1延長筒部26bに嵌合されるベアリング19とは、ボビン26の内周面を内面に臨ませるようにして、ハウジング18に一体にモールド結合される。
【0023】
このハウジング18は、ボビン26の軸方向全長を覆って略円筒状に形成されるハウジング主部18aと、ハウジング主部18aの軸方向一端側に臨む係合面44ならびに前記軸方向他端側に臨む締結面45を両面に有してハウジング主部18aの軸方向他端側に一体に設けられるフランジ部18bと、ボビン26に巻装されているコイル27,28に連なる端子46…を臨ませてハウジング主部18aの軸方向一端寄り外面から外方に突出するカプラ部18cとを有して合成樹脂により形成される。
【0024】
前記端子46…は、図4で示すように、コイル27,28の接続点、基準抵抗38およびコイル27の接続点、ならびに基準抵抗38およびコイル28の接続点にそれぞれ接続される。
【0025】
ハウジング主部18aの周方向に間隔をあけた複数箇所たとえば3箇所でフランジ部18bには、前記締結面45を支持体23のフランジ47に締結せしめるボルト48…(図1参照)をそれぞれ挿通させる金属製円筒状のカラー49…がそれぞれ一体にモールド結合される。
【0026】
このようなフランジ部18bは、締結強度を持たせるために厚肉に形成されるのであるが、ボビン26の各リブ26f,26f…は、厚肉であるフランジ部18bに埋封されることになる。すなわちボビン26に放射状に設けられている各リブ26f,26f…は、それらのリブ26f,26f…の先端を結ぶ形状がフランジ部18bの外形形状にほぼ対応して小さくなるように形成されており、ハウジング18およびボビン26の一体モールド結合時にフランジ部18bの周方向に間隔をあけた複数箇所に各リブ26f,26f…がそれぞれ埋封されることになる。
【0027】
さらにハウジング18におけるハウジング主部18aの内面には、ボビン26の第1延長筒部26bに嵌合されているベアリング19における外輪19aの外端の外周側の一部に係合する係合鍔部18dが、半径方向内方に張出すようにして一体に形成される。
【0028】
図9において、上記ハウジング18を成形するための金型装置は、該ハウジング18の軸方向一端側を形成するための第1型としての固定型51と、フランジ部18bにおける締結面45を含むハウジング18の他端側を形成すべく固定型51の下方で昇降可能な第2型としての可動型52と、ハウジング18の外側面および前記フランジ部18bの係合面44を形成すべく可動型52上に摺動可能に支持される複数の摺動型53…とを備える。
【0029】
可動型52には、両コイル27,28が巻装されるとともにベアリング19を嵌合させた状態に在るボビン26に嵌合する嵌合突部52aと、各カラー49…にそれぞれ嵌合してそれらのカラー49…を位置決めする位置決め突部52b…とが一体に設けられており、ボビン26および各カラー49…は、可動型52上に支持される。しかも嵌合突部52aの上端部は、ボビン26の軸方向長さにばらつきがあったとしても、規制鍔部26eには接触しないように形成される。
【0030】
このような金型装置の型開き状態では、図9で示すように可動型52が下方位置に在り、また各摺動型53…も可動型52上で外側方に退避した位置に在る。而して型締め時には、図10で示すように可動型52が上昇を開始するとともに、各摺動型53…が可動型52上で前記退避位置から相互に近接する側に摺動し、可動型52が固定型51に接触する前に、各摺動型53…が所定の型締め位置まで摺動する。その後、可動型52がさらに上昇を続けることにより、図11で示すように可動型52が固定型51に接触して型締めが完了することになる。この型締め状態で、固定型51、可動型52および各摺動型53…により、ハウジング18の外面形状に対応したキャビティ54が形成される。
【0031】
ところで、可動型52で支持されているボビン26の上端部に嵌合されているベアリング19の上端すなわち外端に接触する円盤状の第1接触部51aが、固定型51に設けられており、可動型52における嵌合突部52aには、ボビン26の他端すなわち下端に接触する第2接触部52cが環状段差部として設けられている。しかも固定型51および可動型52の型締め状態での第1および第2接触部51a,52c間の距離L1 (図11参照)は、ハウジング18との一体モールド成形前の前記ボビン26の他端およびベアリング19の外端間の距離L2 (図9参照)の設定許容最小値以下に設定されている。
【0032】
また摺動型53には、ハウジング18のフランジ部18bにおける係合面44を形成するための係合面形成部53aが、可動型52側に臨んで設けられるとともに、該係合面形成部53aに下端を開口せしめるとともに上端を摺動型53の上端に開口させた摺動孔55が上下に延びて設けられる。該摺動孔55は、下端を係合面形成部53aに開口させた小径孔部55aと、上端を摺動型53の上端に開口させた大径孔部55bとが相互間に段差を形成して同軸に連設されて成るものであり、該摺動孔55には、可動型52上に位置決め載置されたカラー49を該可動型52との間で軸方向両側から挟むことが可能な押しピン56が摺動可能に保持される。すなわち押しピン56は、小径孔部55aおよひ大径孔部55bにそれぞれ摺動可能に嵌合するように段付きの棒状に形成されており、押しピン56および摺動型53間には、押しピン56を上方に向けて付勢するコイルばね57が設けられる。
【0033】
押しピン56は、図9で示したように固定型51および可動型52が型締め前に在る状態では、該押しピン56の上端を摺動型53の上端から上方に突出させた位置に在るが、図11で示したように、固定型51および可動型52が型締め状態となったときには、コイルばね57のばね力に抗して固定型51で下方に押されて押しピン56が係合面形成部53aから下方に突出することになり、それによりカラー49が可動型52および押しピン56間に挟まれることになる。
【0034】
また各摺動型53…の型締め時に可動型52上のカラー49…の上方を通過する部分で係合面形成部53aの一部は、型締め時のカラー49…との干渉を回避すべく、カラー49…の軸方向長さの許容最大値よりも大なる間隔を可動型52との間にあけるように形成されている。この結果、ハウジング18の型成形後には、図8の斜線で示すように、カラー49…よりも内方側で係合面44から隆起した部分18e…が形成されることになる。
【0035】
次にこの実施例の作用について説明すると、合成樹脂製のボビン26と、該ボビン26のコイル巻装部26aに巻装される第1および第2コイル27,28と、ハウジング18および入力軸15間に設けられるベアリング19とが、ハウジング18に一体にモールド結合されることになり、アルミニウム合金等の鋳造金属に切削加工等を施して形成されるハウジングにベアリングを圧入するようにしたものと比べて、ハウジングの製造コストおよびベアリングの組付性を向上することができる。
【0036】
しかもボビン26が備える第1延長筒部26bに、その内面から半径方向内方に張出す規制鍔部26eが一体に設けられており、外輪19aの内端を規制鍔部26eに当接させるようにしてベアリング19が第1延長筒部26bの先端部に嵌合されるものであり、ハウジング18には、前記外輪19aの外端の一部に係合する係合鍔部18dが形成され、規制鍔部26eおよび係合鍔部18d間に挟まれることによりベアリング19の軸方向位置が定められることになる。
【0037】
ところで、ハウジング18の成形時には、ベアリング19の外輪19aの大部分と高温である溶融合成樹脂との間には、合成樹脂から成るので熱伝導率が比較的低く、断熱材としての機能を発揮する第1延長筒部26bが介在している。したがって前記溶融合成樹脂は、ベアリング19の外輪19aの外端の一部に係合する係合鍔部18dを形成する部分でのみベアリング19に直接接触するだけであり、高温の溶融合成樹脂からベアリング19への伝熱量が極力抑えられ、ベアリング19に充填されているグリースへの熱影響を軽減することが可能となり、ベアリング19内のグリースが軟化して流れだしたり、グリースの性能が劣化する等の問題が生じることを極力避けることができる。
【0038】
またハウジング18を成形するための金型装置において、可動型52で支持されているボビン26の上端部に嵌合されているベアリング19の上端に接触する第1接触部51aが固定型51に設けられるとともに、ボビン26の下端に接触する第2接触部52cが可動型52における嵌合突部52aに設けられており、固定型51および可動型52の型締め状態での第1および第2接触部51a,52c間の距離L1 (図11参照)は、ハウジング18との一体モールド成形前の前記ボビン26の下端およびベアリング19の上端間の距離L2 (図9参照)の設定許容最小値以下である。したがって、固定型51および可動型52の型締め時には、図12で示すように、第1接触部51aがベアリング19の上端に必ず接触することになる。而して前記距離L1 が、前記距離L2 の設定許容最小値と等しいときには、図12(a)で示すようにボビン26の規制鍔部26eが撓むことはないものの、ボビン26の下端からベアリング19の上端までの距離は一定であり、さらに前記距離L1 が、前記距離L2 の設定許容最小値未満であったときには、図12(b)で示すように、第1接触部51aからベアリング19に下方に向けての荷重が作用することになり、ベアリング19における外輪19aの内端を当接させている規制鍔部26eが軸方向内方側に撓んで変形することになり、前記距離L2 が許容公差内でばらついても規制鍔部26eの変形によってその寸法のばらつきを吸収することが可能である。したがってボビン26のコイル巻装部26aおよび延長筒部26b,26cに変形が生じることが防止されるとともに、ハウジング18の軸方向に沿うコイル27,28の位置を一定に定めることができる。
【0039】
ハウジング18には、支持体23との締結のための厚肉のフランジ部18bが一体に設けられるが、ボビン26には、該フランジ部18bに埋封される複数の放射状のリブ26f,26f…が一体に設けられている。したがって、厚肉であるフランジ部18bがその周方向に間隔をあけた複数箇所のリブ26f,26f…で仕切られることになり、各リブ26f,26f…を除く部分でのフランジ部18bの薄肉化および肉厚の均等化を図ることができ、したがってハウジング18の成形時に厚肉であるフランジ部18bにひけが発生することを極力抑制することができ、それによりハウジング18の成形精度を向上することができる。
【0040】
さらに係合面44および締結面45を両面に有するフランジ部18bには、複数の金属製円筒状のカラー49…が一体にモールド結合されるが、締結面45を含むハウジング18の他端側を形成すべく昇降可能な可動型52上に、各カラー49…が位置決め載置され、ハウジング18の外側面および前記係合面44を形成すべく可動型52に摺動可能に支持される複数の摺動型53…に、可動型52の型締め時に固定型51で下方に押されて可動型52との間に各カラー49…を挟む押しピン56…が上方に弾発付勢されつつ昇降可能に設けられている。したがってフランジ部18bの締結面45を形成する可動型52にカラー49…の下端が確実に接触せしめられ、ハウジング18の成形後には、フランジ部18bの締結面45にカラ49ー…の端部が面一に臨むことになる。すなわちカラー49…の軸方向長さにばらつきが生じても、該カラー49…の基準面を常に締結面45とすることができ、フランジ部18b…の支持体23のフランジ47への締結時に締結面45を変形させることなく支持体23に確実に接触させることができる。
【0041】
しかも係合面44を形成すべく摺動型53…に設けられている係合面形成部53a…において、摺動型53…の型締め時に可動型52上の前記カラー49…の上方を通過する部分は、その型締め時のカラー49…との干渉を回避すべく、カラー49…の軸方向長さの許容最大値よりも大なる間隔を可動型52との間にあけるように形成されている。したがって、摺動型53…およびカラー49…の相互干渉を回避して摺動型53…を円滑に型締め作動せしめることができるだけでなく、カラー49…よりも内方側で係合面44の一部を隆起させた部分18e…がフランジ部18bに形成されることにより、ボルト48…による締結部でフランジ部18bの強度増大を図ることができる。
【0042】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0043】
たとえば上記実施例では、一対のコイル27,28のインダクタンスをコア30の移動に応じて変化させるようにしたトルク検出器について説明したが、本発明は、実公平6−23929号公報で開示されているような差動トランス方式のトルク検出器についても適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ボビンおよびコイルが合成樹脂製のハウジングに一体にモールド結合されるとともにボビンの一端側に嵌合支持されるベアリングがハウジングに一体にモールド結合されるようにしてコスト低減を図るたとができ、しかもボビンの他端およびベアリングの外端間の距離にばらつきが生じていても規制鍔部の変形によってその寸法のばらつきを吸収するようにして、ボビンの他端からベアリングの外端までの距離を一定に定め、ボビンが潰れて仕舞うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トルク検出器の縦断側面図である。
【図2】入力軸および可動部材の係合状態を示す横断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】一対のコイルの接続回路を示す図である。
【図5】ハウジングおよびボビンの縦断面図である。
【図6】図5の6矢視図である。
【図7】ボビンを図6と同一方向から見た図である。
【図8】図5の8矢視図である。
【図9】型開き状態での金型装置の縦断面図である。
【図10】型締め過程に在る状態での図9に対応した縦断面図である。
【図11】型締め状態での図9に対応した縦断面図である。
【図12】図11の12矢視部拡大図であって(a)は規制鍔部の非変形状態を示す図、(b)は規制鍔部の変形状態を示す図である。
【符号の説明】
15・・・入力軸
16・・・出力軸
17・・・トーションバー
18・・・ハウジング
19・・・ベアリング
19a・・・ベアリングの外輪
26・・・ボビン
26a・・・コイル巻装部
26b・・・延長筒部
26e・・・規制鍔部
27,28・・・コイル
30・・・コア
51・・・第1型としての固定型
51a・・・第1接触部
52・・・第2型としての可動型
52c・・・第2接触部
L1 ,L2 ・・・距離
Claims (1)
- コイル(27,28)が巻装されるボビン(26)内に入力軸(15)が同軸に挿入され、該入力軸(15)と同軸である出力軸(16)がトーションバー(17)を介して前記入力軸(15)に連結され、前記トーションバー(17)の捩れ変形に伴なう入力軸(15)および出力軸(16)の相対角変位量に応じて入力軸(15)の軸線に沿う位置を変化させるコア(30)が前記入力軸(15)および前記ボビン(26)間に配置され、前記ボビン(26)およびコイル(27,28)を覆うハウジング(18)および入力軸(15)間にベアリング(19)が設けられるトルク検出器において、略円筒状のコイル巻装部(26a)、該コイル巻装部(26a)の一端に同軸に連なる略円筒状の延長筒部(26b)、ならびに該延長筒部(26b)の内面から半径方向内方に張出す規制鍔部(26e)を有して合成樹脂により形成されるボビン(26)と、前記コイル巻装部(26a)に巻装されるコイル(27,28)と、前記規制鍔部(26e)に外輪(19a)の内端を当接させて前記延長筒部(26b)の先端部に嵌合される前記ベアリング(19)とを一体にモールド結合させる合成樹脂製のハウジング(18)を成形するための成形型が、前記ベアリング(19)の外端に接触する第1接触部(51a)を有する第1型(51)と、前記ボビン(26)の他端に接触する第2接触部(52c)を有するとともに前記第1型(51)に対して近接・離反可能な第2型(52)とを備え、第1および第2型(51,52)の型締め時の第1および第2接触部(51a,52c)間の距離(L1 )が、第1および第2型(51,52)の型締め時に前記規制鍔部(26e)に該規制鍔部(26e)をボビン(26)の軸方向内方側に撓ませる荷重を作用せしめるべく、モールド成形前での前記ボビン(26)の他端およびベアリング(19)の外端間の距離(L2 )の設定許容最小値以下に設定されることを特徴とするトルク検出器におけるハウジング成形構造。
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