JP3626425B2 - 計量機を備えた車輌 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計量機を備えた車輌に関し、詳しくは、被計量物を収容するタンク等の容器内の内容物の収容量を、いかなる状況下においても高精度で計量可能な計量機を備えた車輌に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、バキュームカー等の固体あるいは/及び液体運搬用のタンク車輌において、タンク等の容器内の固形分を含む液体等の内容物の貯蔵量を把握することは、タンクへの貯蔵や回収業務を効率化するために重要である。従って、タンク等の容器内の内容物の計測精度を向上させることが望まれている。
【0003】
また、上記のような計量に用いられるロードセルは、通常、荷重の方向とロードセルの負荷軸を一致するように設置した場合に、所定の出力と性能を発揮するように設計されている。よって、負荷軸と一致しない荷重(傾斜荷重)を受けた場合、負荷軸と直角方向の力の成分がロードセルに作用するため、この影響で正確な計量ができない場合がある。
【0004】
具体的には、固定面と荷重負荷面が平行な平面を持つロードセルでタンク等を支え、計量する場合に、固定面が水平面に設置されると、荷重負荷面にはタンク等の重量が垂直に負荷されるが、固定面が傾斜面に設置されると、荷重負荷面には傾斜荷重が作用する。よって、水平面をxy平面とし、z軸方向に荷重Wが作用する場合を考えると、傾斜面としてxy平面がx軸回りにα度回転したx’y’平面(座標系x’y’z’)がさらにy’軸回りにβ度回転したx”y”平面(座標系x”y”z”)に設置されたロードセルに作用する荷重の成分は、傾斜面での座標系x”y”z”では、(Wx”,Wy”,Wz”)=(Wcosαsinβ,Wsinα,Wcosαcosβ)となり、ロードセル荷重負荷面に垂直な荷重Wcosαcosβと横荷重成分WcosαsinβおよびWsinαが作用することになる。
【0005】
さらに、車輌上のタンク等の容器内の貯蔵量を測定する際、車輌の静止状況等によれば正確な貯蔵量を計測できないことがあり、路面の傾斜等いかなる状況下においても、タンク等の容器内の貯蔵量の計測が可能な計量機の開発が求められ、種々の提案がなされている。
【0006】
例えば、特開平8−93045号では、タンク内の貯蔵量を計量するために、車体にはタンク近傍にロードセルが設けられ、少なくとも計測時にタンクの荷重がロードセルに加わるように構成されている一方、上記ロードセルにはその歪量又は磁化強さの変化量からタンク内の液体収蔵量を演算する演算制御装置が設けられているタンク車輌が提案されている。
【0007】
また、特開平8−4102号では、傾斜のある路面上での計量を可能にするために、タンク底部近傍には収容液圧検知用の圧力センサーを、タンク上部近傍にはタンク傾斜角検出手段を設けた液体収容タンクを備えたバキュームカー等の液体運搬車とそれを用いた液体集配量計量方法が提案されている。
【0008】
さらに、傾斜角度の補正方法としては、以下に示すような方法が提案されている。使用されるロードセルが横荷重成分WcosαsinβおよびWsinαに対して出力が無視できるほど小さく、かつ、垂直な荷重Wcosαcosβに相当する出力を正確に出力するなら、傾斜角α、βを検出し三角関数cosαcosβを計算することにより、荷重Wを算出している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−93045号のタンク車輌では、車上にはかりを組み込むために昇降機構やガイド機構が必要となり、車体の大がかりな改造や補強を要するという問題がある。また、ガイド機構での摩擦により正確な貯蔵量の計量ができないという問題がある。さらには、傾斜した路面上の計測では、傾斜角の測定による煩雑な計算が必要である上に、計測精度も良くないという問題がある。
【0010】
また、特開平8−4102号の液体集配量計量方法では、傾斜誤差補正のため傾斜角度計を使用しているため、三角関数を使用した複雑な演算が必要であり、そのためのハード、ソフトの負担が大きくなるという問題がある。また、傾斜角度検出誤差に起因するタンク内の収容量の計量誤差が大きいという問題がある。
【0011】
このように、上記傾斜角度による演算で計量誤差を補正する方法では、直交する2方向の傾斜角αおよびβを別々の傾斜角度検出器で検出する必要があり、三角関数に関する計算では、関数値テーブルが必要で、ハード、ソフトの負担増が生じる。また、角度検出誤差による演算結果の誤差が生じやすくなる問題がある。
【0012】
さらに、車体には路面の影響により、一方向のみの単純な傾斜ではなく、ねじれや変形を生じることもある上に、タンクと車体の温度差による熱膨張の違いで車体またはタンクとロードセル等の計量機の間に熱応力が生じることもある。このように、ロードセル等の計量機に、タンクの荷重の他、水平力やねじり、熱応力といった外力が働いた場合には、上記のような従来の計量機では、計量機の出力に対する外力の影響が大きく、計量精度が悪くなるという問題がある。従って、大きな水平力等の外力をロードセルに伝えない構造で、かつ、車輌の走行や急停止時の慣性力に対して十分な強度を持って安全に固定されているロードセル等のタンク車輌上の計量機が求められている。
【0013】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、熱膨張による応力等の外力の影響を受けずに正確なタンク等の容器内の貯蔵量の計量が可能であり、車体の大幅な改造をすることなしに設置が容易で、安全性に優れた高精度の計量機を備えた車輌を提供することを第1の課題とし、車体が傾斜した場合、実際の傾斜角度を検出することなく、傾斜補正を行い、いかなる路面状況においても、外力の影響を受けずに、精度良く、正確なタンク等の容器内の貯蔵量の計量を可能とする計量機を備えた車輌を提供することを第2の課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、被計量物を収容する容器と、計量機を備えた車輌において、上記容器の荷重を受け持つ1個又は複数個のロードセルを車体上に設置し、該ロードセルのうち少なくとも1個は車体上にゴム材を挟んで設置し、該ゴム材の変形により車長方向へスライド可能なスライド機構を有するロードセルとしていることを特徴とする計量機を備えた車輌を提供している。
【0015】
このように、被計量物を収容するタンク等の容器と、計量機を備えた車輌において、車長方向へスライド可能なスライド機構を有するロードセルを設置することにより、タンク等の容器の荷重以外の水平力やねじり及びタンク等の容器と車体の温度差による熱膨張の違いで車体またはタンク等の容器とロードセルの間に発生する熱応力等の外力をロードセルのスライドにより吸収することができる。よって、外力がロードセルの計量値の出力に及ぼす影響を低減することができ、精度良くタンク等の容器内の貯蔵量を計量することができる。車長方向にスライド自在なロードセルを設置することにより、特に熱膨張によって生じる応力の影響を低減することができ、正確な計量を可能としている。
【0016】
ロードセルのスライド機構は、熱膨張による応力等の外力を吸収できる構成であればよいが、上記スライド機構を有するロードセルは、少なくとも一部がスライドガイドにより保持され、該スライドガイドにより保持される部分をロードセルがスライドする構成とするのが良い。このように、スライドガイドにより保持される部分で、ロードセルがスライド自在としているため、ロードセルのスライド方向を限定することができ、スライドによる位置ズレを防止することができる。
【0017】
スライドガイドは、1ヶ所、あるいは複数ヶ所にてロードセルを保持することができ、タンク等の容器の荷重を計量できる範囲内で、ロードセルの少なくとも一部を保持し、かつ強度、安全性を有する構成であればよい。特に、安定性の点より、ロードセルの両端部の2ヶ所を、コ字、ロ字、L字形状、あるいはこれらの組み合わせ等のスライドガイドにより保持する構成とするのが好ましい。その他、凹部、凸部を有するスライドガイドによりロードセルを保持することもできる。
【0018】
また、上記ロードセルのスライド機構では、ロードセルと、ロードセルを安定して載置するベース板との間は固定するが、車体と上記ベース板の間にゴム材を挟んでいるいることにより、ゴムの変形を利用し、車体の車長方向に対して、ロードセルにスライドさせることができる。
【0019】
上記ロードセルは、車体の主桁上に設置されている。これにより、タンク等の容器やロードセルは車輌の走行や急停止時の慣性力に対しても十分な強度を保持し、ロードセルは車体に安全に固定され、精度良く計量することができる。また、車輌上の主桁は、少なくとも、車体上で車長方向に平行な2本からなる構成とするのが好ましい。これにより、バランス良くタンク等の容器の重量を受け持つことができる。上記被計量物を収容する容器としては、バキュームカー、ゴミ収集車等に用いられるタンク、コンテナ等の種々の容器が挙げられる。収容される被計量物としては、種々の固体、液体、気体、あるいは、これらの混合物等が挙げられる。
【0020】
ロードセルは、車長方向に長く、角柱状の形状であることが好ましい。これにより、車長方向へのスライドがスムーズとなる。また、ロードセルには段部を設けることが好ましく、特にロードセルをスライドガイドで保持した場合、ロードセルが保持部分をスライドしても上記段部によりロードセルが抜け落ちないような構成とするのが良い。なお、ロードセルの上面と下面は平面とし、下面を固定面として主桁の上面と当接させて設置するのが好ましい。
【0021】
ロードセルは、ロードセル上面の中央付近に平面の荷重負荷面を持ち、固定面と荷重負荷面は互いに平行な平面としている。この上面の荷重負荷面でブラケットを介してタンク等の容器を支える構造としており、荷重負荷面とブラケットとは、ボルト等で締結している。これにより安定した計量精度を得ることができる。また、ロードセルとタンク等の容器間を連結するブラケットを4ヶ所以上設けることにより、タンク等の容器を車体に安定して固定することができ、走行時の安全性を高めることができる。また、大きな水平力に対して、これをロードセルに伝えない構造であれば、さらに計量精度を向上することができる。
【0022】
ロードセルには、荷重検出部を設け、荷重検出部に歪みゲージ等の検出センサを取り付け荷重を読み取る構成としている。荷重検出部は、荷重負荷面とロードセルの固定面の間に有する構成とし、荷重検出部には、ロードセルの左右面(車長方向に向かって左側面、右側面)から削孔して歪部を設け、ロードセルの中心軸に近い部位に歪ゲージ(ストレインゲージ)が接着してあるのが好ましい。このように、歪みゲージは、ねじりやモーメントによって生じる応力が零となる中立軸(ロードセルの中心軸)付近に接着してあるため、これらの応力による出力の影響が小さいロードセルの構造とすることができる。また、中心軸に近い部位に歪みゲージを接着しているため、ロードセルが傾斜しても出力誤差が出にくい。なお、荷重検出部は、2ヶ所以上であることが好ましい。
【0023】
上記スライド機構を有するロードセルは2個以上設置し、車輌の主桁上で左右対称位置に設置するのがよい。これにより、計量値の信頼性を向上することができる。また、車輌上には、上記スライド機構を有するロードセル以外に、スライド機構を持たない通常のロードセルも併せて設置してもよく、全てのロードセルにスライド機構を持たせていなくても、外力の影響を受けず精度良く計量できる構成であればよい。この場合、スライド機構を有するロードセルを車輌の左右各主桁上で、後輪側に1ヶ所ずつ、通常のロードセルを車輌の左右各主桁上で、前輪側に1ヶ所ずつ、計4ヶ所にロードセルを設置するのがよい。このような配置とすることにより、バランスよく安定してタンク等の容器を受け持つことができ、簡単な構成で外力の影響なく精度良い計量が可能となる。
【0024】
上記車体上に複数個設置するロードセルは、上記容器の荷重を受け持つ計量ロードセルと、該計量ロードセルと傾斜特性が同じである基準ロードセルとからなり、これら計量ロードセルと基準ロードセルを車体上で同一の傾斜角を持つ面に設置し、
上記基準ロードセルの上面に、傾斜補正の基準となる重量体を固定し、
上記基準ロードセル及び計量ロードセルと接続され傾斜補正を行う演算部を車体上に設けている。
【0025】
このように、タンク等の容器の荷重を受け持ち、タンク等の容器の重量を計量する計量ロードセルとは別に、計量ロードセルと傾斜特性が同じである基準ロードセルを用い、基準ロードセルには、傾斜補正の基準となる重量体(一定質量)を荷重負荷面が傾斜しても動かないように固定し、上記計量ロードセルと基準ロードセルは車体の傾斜に対して、同一の傾斜角を持つ面に設置している。上記構成により、車体傾斜時に基準ロードセルに固定した重量体の重量を基準ロードセルで計量し、該傾斜時の重量体の重量と水平時での重量体の重量とを比較し、演算部で車体傾斜の程度を演算することができ、その結果を傾斜特性が同じである計量ロードセルにフィードバックすることで、車体傾斜時のタンク等の容器の重量を正確に得ることができる。従って、多方向への多様な傾きに対しても、傾斜角度の値を必要なしに、基準ロードセルと演算部により簡易に傾斜補正をすることができ、精度良く計量することができる。
【0026】
具体的には、直交する2方向の傾斜角α及びβを持つ傾斜面で荷重Wを受ける時、ロードセルの負荷面に垂直な荷重はWcosαcosβとなる。基準となる重量体の重量をWsとし、水平時にこれを記憶する。傾斜面では基準ロードセルはWs×cosαcosβの荷重を受け、この時の出力をWsとすると、
Ws=Ws×cosαcosβとなり、Ws/Ws=cosαcosβとなる。
【0027】
一方、タンク等の容器の重量をWとする時、傾斜面での計量ロードセルからの計量値をWiとすると、
Wi=W×cosαcosβとなるから、
W=Wi/(cosαcosβ)=Wi×(Ws/Ws)
となり、傾斜角度による三角関数の計算をすることなしに計量値(Wi、Ws、Ws)の乗除により、タンク等の容器の重量Wを正確に算出することができる。即ち、上記構成の計量機によれば、いかなる傾斜に対しても、容易に傾斜誤差補正をすることができ、正確な計量値を得ることができる。
【0028】
基準ロードセルと計量ロードセルは同じロードセルを使用することは可能であるが、基準ロードセルは、計量ロードセルの定格容量の1/100程度の定格容量にするのが良い。これにより、装置の小型化とコストの削減を図ることができる。なお、ロードセルの横荷重成分WcosαsinβおよびWsinαに対する出力の影響が小さいロードセルが望ましい。
【0029】
演算部はケーブルを通じて基準ロードセル及び計量ロードセルと接続されており、基準ロードセルからの計量値Wsを受けて一時これを記憶する記憶部、及び、計量値Wsと記憶部からの出力Wsと計量ロードセルからの計量値Wiを受けてWi×Ws/Wsを計算し、これを出力する演算処理部とからなる構成とするのが好ましい。
【0030】
上記計量ロードセルと基準ロードセルは、車体の主桁上に設置されていることが好ましい。これにより、両者を安定して固定することができると共に、容易に同一の傾斜角を持つ面に設置することができる。
【0031】
計量ロードセルと基準ロードセルとは、その設置位置、設置数には特に限定されず、傾斜特性が同じで、互いに同じように傾くように設置されていればよい。また、計量ロードセルは上記のようなスライド自在な構成としてもよい。
【0032】
基準ロードセルに載せる基準となる重量体としては、取り扱いの点より分銅が好ましい。材質は金属製で、腐食等により質量の変化を生じないことが好ましい。基準となる重量体は基準ロードセルに固定し、位置ズレがなく基準ロードセルと同様に傾斜するようにしている。
【0033】
重量体の重量は基準ロードセルの定格重量に対して5重量%〜80重量%、さらには10重量%〜30重量%とするのが好ましい。上記範囲としているのは、5重量%より小さいと、ロードセルからの出力が小さくなり測定誤差が生じるためであり、80重量%より大きいと、重量体に加速度等がかかった際に基準ロードセル定格重量を越える恐れがあるためである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明のタンク車輌上に計量機が設置されている計量機を備えた車輌としてタンク車輌10を示す。タンク車輌10はし尿回収用バキュームーカーとし、車体11に設けたタンク12には吸引装置(図示せず)が設けられ、これによりし尿の回収・排出を可能としている。
【0035】
図2に示すように、タンク車輌の車体11には、2本の主桁13(13A、13B)が車体11の長手方向に渡って、互いに平行に設けられている。各主桁13には、計量ロードセル20(20A、20B、20C、20D)が各2個ずつ、それぞれ車長方向に対して同じ位置に設置されている。また、計量ロードセル20と傾斜特性が同じである基準ロードセル21を車輌の前方に対して左側の主桁13A上に1個設置し、計量ロードセル20と基準ロードセル21とは同一の傾斜角を持つ面に設置している。即ち、4つの計量ロードセル20と1つの基準ロードセル21を左右の主桁13上に設置し、各ロードセルは、車長方向に長く、角柱状の形状としている。
【0036】
1つの主桁上に設置された2つの計量ロードセルの内、車体11の前方側に位置する計量ロードセル20A、20Cは主桁13上に完全に固定し、一方、車体11の後方側に位置する計量ロードセル20B、20Dはスライド機構を持たせており、主桁13上を車長方向にのみスライド自在な構成としている。なお、計量ロードセル20の定格重量は5tとしている。
【0037】
基準ロードセル21は、主桁上13Aで2つの計量ロードセル20A、20Bの間で、主桁13Aと固定されており、基準ロードセル21の上には、傾斜補正の基準となる重量体22として分銅を載せ、基準ロードセルと分銅は固定されている。なお、基準ロードセル21の定格重量を50kg、分銅の重量を10kgとしている。
【0038】
また、車体11上には傾斜補正を行う演算部15を運転席下に設けており、基準ロードセル21及び計量ロードセル20とケーブル31により接続されている。演算部15には、演算制御装置が搭載されており、上述したように、実際の傾斜面での測定時に基準ロードセル21で計量した重量体22の重量Wsと、水平時に基準ロードセル21で計量した重量体22の重量Wsの値より水平時に対する傾斜時の重量体22の重量の変化割合を計算し、傾斜面での計量ロードセル20の計量値Wiの値により、水平時での計量値Wの結果(W=Wi×(Ws/Ws))を出力する構成としている。
【0039】
車体11には、タンク12を備えており、タンク12は、タンク12の4隅に各々外側下方に向かって突出するように取り付けられた4本のブラケットを介して車体の主桁13上に支えられており、タンク12とブラケットの重量が4個の計量ロードセル20に伝わる構成としている。タンク12の荷重は、4つの計量ロードセル20にほぼ均一にかかるようにされており、各計量ロードセル20の荷重負荷面にて、それぞれタンク12の荷重を受け持っている。
【0040】
具体的には、図3に示すように、タンク12の荷重はブラケット14を介して計量ロードセル20Bの荷重負荷面20Baにてタンク12の荷重を受け持っている。車体11の後方側に設置したスライド機構を有する計量ロードセル20Bは、計量ロードセル20Bが車体11の車長方向(図中の矢印の方向)にスライドする構成としている。具体的には、計量ロードセル20Bの両端部20Bbは、2つのスライドガイド25(25a、25b)にて挟み込まれて保持され、スライドガイドを構成するコ字形状の2つの金物25a、25bとが4本のボルト26により固定されることで、計量ロードセル20Bを支えている。スライドガイド25は、コ字形状の2つの金物(25a、25b)を組み合わせてロ字形状としている。
【0041】
図3、図4(A)(B)(C)に示すように、計量ロードセル20Bはベース板27を介して4本の締結ボルト28により主桁13Aに取り付けている。計量ロードセル20Bには段部20Bcが設けられており、スライドガイド25に挟まれる計量ロードセルの両端部20Bbは、ロードセルの中央部よりも断面積を小さくし、計量ロードセル20Bがスライドガイド25の保持部分29を図中矢印の方向にスライドしても、段部20Bcがストッパーとなり計量ロードセル20Bがスライドガイド25から抜け落ちないような構成としている。また、計量ロードセル20Bの段部20Bcとスライドガイド25の間には隙間30が設けられており、隙間30の長さ分だけスライドガイド25間を、計量ロードセル20Bがスライド可能な構成としている。なお、通常の状態では、計量ロードセル20Bの車長方向の両端面20Bdは、2つのスライドガイドの端面と一致するようにしている。また、ケーブル31を通じて演算部と接続している。
【0042】
計量ロードセル20Bは、荷重負荷面と両端の固定面の間に4ヶ所の荷重検出部32を有する構成とし、荷重検出部32には、計量ロードセル20Bの端面20Beから削孔して歪部33を設け、角柱の中心軸に近い部位に歪ゲージ34(ストレインゲージ)を接着し取り付けている。
【0043】
このように、スライド機構を有する計量ロードセル20B、20Dを設置することにより、計量ロードセル20B、20Dが主桁13上をスライドすることが可能となり、タンク12と車体11に温度差がある場合の熱膨張等をスライドにより吸収することができる。また、計量ロードセル20と傾斜特性を同じとする基準ロードセル21を設置することにより、基準となる重量体22の傾斜による重量変化を読み取り、この値を演算部15で演算し、その結果を計量ロードセル20に適用することで、傾斜補正を行うことができる。従って、いかなる状況においても、タンク12内の重量を正確に、精度良く計測することができる。
【0044】
傾斜補正構造は、具体的には、図5に示すように、計量ロードセル20と、計量ロードセルと傾斜特性が同じである基準ロードセル21を同一傾斜角を持つS面に設置することで、いかなる傾斜面においても、上記2種のロードセルの傾斜による重量変化が等しくなることを利用し、基準ロードセル21上の重量体22の重量変化より、計量ロードセル20に加わる荷重を演算し、傾斜補正を行っている。
【0045】
また、上記実施形態では、スライドガイドにより計量ロードセルにスライド機構を持たせているが、図6に示すように、計量ロードセル40とベース板41とをボルト26により固定し、ベース板41と車体11の主桁13とを締結ボルト28により固定する際に、主桁とベース板41の間にゴム板42を挟むことにより、ゴムの弾性変形により主桁13の車長方向に、計量ロードセル40がスライド可能とするスライド機構を持たせることもできる。
【0046】
なお、計量ロードセル、基準ロードセルの配置位置、配置数は上記実施形態に限定されず、1個または複数個設置することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、車輌上に設置するロードセルのうち、少なくとも1個をスライド可能な構成としているため、熱膨張による応力等の外力の影響を受けずに、精度良くタンク内の貯蔵量を計量することができる。
【0048】
また、基準ロードセルと、計量ロードセル、及びそれらと連結されている演算部を設置しているため、車体が傾斜した場合でも、実際の傾斜角度を検出することなく、傾斜による重量体の重量の変化割合を計算し傾斜補正を行うことができ、いかなる路面状況においても、外力の影響を受けずに、精度良く、タンク内の貯蔵量を計量することができる。
【0049】
従って、車体の大幅な改造をすることなしに、上記のようなロードセルを設置するだけで、容易に安全性に優れた高精度の計量機を備えた車輌を提供することができる。これにより、バキュームカー等のタンクを備えた車輌での計量集配作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明計量機を備えた車輌からなるタンク車輌の概略図である。
【図2】ロードセルの配置構成を示す、タンクを除く車体の概略図である。
【図3】ロードセルとタンクの取り付け状況を示す図である。
【図4】スライド機構を有する計量ロードセルの構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図5】基準ロードセルによる傾斜補正機構を示す図である。
【図6】計量ロードセルのスライド機構の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
10 タンク車輌
11 車体
12 タンク
13 主桁
15 演算部
20 計量ロードセル
20B、20D スライド機構を有する計量ロードセル
21 基準ロードセル
22 重量体
25 スライドガイド

Claims (4)

  1. 被計量物を収容する容器と、計量機を備えた車輌において、上記容器の荷重を受け持つ1個又は複数個のロードセルを車体上に設置し、該ロードセルのうち少なくとも1個は車体上にゴム材を挟んで設置し、該ゴム材の変形により車長方向へスライド可能なスライド機構を有するロードセルとしていることを特徴とする計量機を備えた車輌。
  2. 上記スライド機構を有するロードセルは、少なくとも一部がスライドガイドにより保持され、該スライドガイドにより保持される部分をロードセルがスライドする構成としている請求項1に記載の計量機を備えた車輌。
  3. 上記車体上に複数個設置するロードセルは、上記容器の荷重を受け持つ計量ロードセルと、該計量ロードセルと傾斜特性が同じである基準ロードセルとからなり、これら計量ロードセルと基準ロードセルを車体上で同一の傾斜角を持つ面に設置し、
    上記基準ロードセルの上面に、傾斜補正の基準となる重量体を固定し、
    上記基準ロードセル及び計量ロードセルと接続され傾斜補正を行う演算部を車体上に設けている請求項1または請求項2にに記載の計量機を備えた車輌。
  4. 上記ロードセルは、車体の主桁上に設置されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の計量機を備えた車輌。
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