JP3625995B2 - ゼンマイバネおよびゼンマイバネを使用したコードリール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ゼンマイバネ、詳しくは、コードリール、或いはその他の装置等に使用されるゼンマイバネの改良、ならびにゼンマイバネを使用したコードリールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、弾性を有する長尺状の鋼板を、先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより、鋼板の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板の幅方向の一端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネは広く知られており、例えば電気コードの引き出し巻き込みを行うコードリールに使用されている。コードリールに使用される場合、ゼンマイバネを所定径の渦巻き状にした状態で、図9、図10に示すようにコードリールのケースkのバネ収納部k1内に収納されるが、その際、ゼンマイバネの巻き弾性作用により拡張しようとするため、収納作業が困難である。そのため、従来、ゼンマイバネをケースのバネ収納部の径よりやや小さい径に係止させておく手段が採られている。この従来における係止手段は、図8(B) に示すように、ゼンマイバネdの後端側に、ゼンマイバネdを構成した所定幅の長尺状の鋼板の幅方向の中央部を径外方向に切り起こした係止爪bを設けるとともに、係止爪bから所定距離だけ後方側に隔てた位置における鋼板の幅方向の中央部を穿設することにより係止爪bを嵌挿して係止し得るように形成した係止用孔aを設け、図8(A) に示すように鋼板の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈する状態から巻き弾性により拡張させれば、その渦巻き状を呈する状態で係止爪bが係止用孔aに自然に入り込んで係止させることができ、このようにして、ゼンマイバネdをケースkのバネ収納部k1の径よりやや小さい径に係止させておくようにしたものである。そして、図9に示すように、係止爪bを係止用孔aとを係止させた状態から、コードk2を所定回数巻き付けたケースkに設けた固定軸k3に、ゼンマイバネdの先端側を取付けるとともに、ゼンマイバネの後端側を、ケースk内に回転自在に設けた回転胴k4に係止するようにしてセットし、その後、回転胴k4を、ゼンマイバネdを巻く締める方向(図示のX方向)に2〜3回転させて、所謂ゼンマイバネの予巻き行って係止爪bを係止用孔aから外す。そして、この予巻きした状態を、コードk2をケースk内に完全に巻き込み終えた状態とする。これにより、巻き込んだコードk2をケースk2外に引き出せばそれに伴ってゼンマイバネdが巻き締められて巻き弾性を増し、コードk2を離せばゼンマイバネの巻き弾性によってコードk2が巻き込まれ、上記のゼンマイバネdの予巻き状態で引き出したコードk2を巻き込み終えることができる。尚、コードリールについては更に後述する。
しかしながら、このようにしてケースkのバネ収納部k2の径よりやや小さい径にしたゼンマイバネdを、使用中に係止爪bが係止用孔aに入り込まないように、更に上記の予巻きして使用するため、バネ収納部k2全体に拡がらせて使用できず、ゼンマイバネdの有効回転数を損失させているという課題がある。又、ゼンマイバネdの予巻き行うため、この予巻きした状態で、コードk2を巻き込むことのできる巻き弾性を有するか否かを検査する必要がある。そのため、従来、予巻きした時点でその検査を全てについて行っており、組み付けに時間を要している。更に、このゼンマイバネdにおいては、係止爪bを係止用孔aから外した後、ゼンマイバネdを拡張させようとしても、拡張に際して係止爪bが自然に係止用孔aに入り込んで係止してしまう。従って、係止爪bと係止用孔aとの係止状態の径をゼンマイバネdの使用範囲の最大径に設定しておかなければならず、その結果、例えば使用するコードk2が長く、ケースkのバネ収納部k1の大きさが大きい場合は、係止状態のゼンマイバネdの径も大きくなってしまい、保管や取扱い等に不便をきたす。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、以上の実情に鑑み提案されたもので、ケースに容易に装着でき、組み付け工程の簡略化を図ることができ、しかも、小さい径で係止しておくことのでき、保管や取扱い易くできるゼンマイバネを提供することを第1の目的とする。
本願発明は、上記の特徴を備えたゼンマイバネを使用したコードリールを提供することを第2の目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、弾性を有する長尺状の鋼板2を、先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより、鋼板2の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板2の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネにおいて、このゼンマイバネを構成する鋼板2の後端側に係止手段3が備えられ、この係止手段3から長手方向に所定距離だけ隔てた位置に他の係止手段4が備えられることにより、渦巻き状に巻回された状態で両係止手段3,4が係止し得るようになされ、且つ、その係止位置から巻きしめられることにより両係止手段3,4が係止解除され得るものであり、両係止手段3,4が、鋼板の幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとされることにより、ゼンマイバネを構 成する鋼板2が係止解除状態になって拡張する際の両係止手段3,4の再係止を防止し得るようにしたことを特徴とするゼンマイバネを提供する。
【0005】
本願の第2の発明は、弾性を有する長尺状の鋼板2を、先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより、鋼板2の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板2の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネにおいて、このゼンマイバネを構成する鋼板2の後端側には、係止爪3と、係止用孔4とが備えられ、係止用孔4が、係止爪3から長手方向に所定距離だけ隔てた位置に配位されることにより、渦巻き状に巻回された状態で、係止爪3と係止用孔4とが係止し得るようになされ、これらの係止用孔4と係止爪3とが、鋼板の幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとされることにより、渦巻き状に巻回された鋼板の後端側を巻回の軸方向にずらした状態で、係止爪3と係止用孔4とが係止可能とされ、且つ、鋼板の幅方向の端部を揃えた渦巻き状態で係止爪3が係止用孔4に入りこむことができないようにしたことを特徴とするゼンバイバネを提供する。
【0006】
本願の第3の発明は、弾性を有する長尺状の鋼板2を先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより鋼板2の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板2の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネ1をケース6内に装着し、ケース6内に巻回したコード10を引っ張ることにより、渦巻き状のゼンマイバネ1を巻き締めながらコード10をケース6外に引き出せ、その引き出したコード10を放せば、巻き締めたゼンマイバネ1の巻き弾性により引き出したコード10をケース6内に巻き込み可能としたコードリールにおいて、このゼンマイバネを構成する鋼板2の後端側に係止手段3が備えられ、この係止手段3から長手方向に所定距離だけ隔てた位置に他の係止手段4が備えられることにより、渦巻き状に巻回された状態で両係止手段3,4が係止し得るようになされ、且つ、その係止位置から巻きしめられることにより両係止手段3,4が係止解除され得るものであり、両係止手段3,4が、鋼板の幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとされることにより、ゼンマイバネを構成す る鋼板2が係止解除状態になって拡張する際の両係止手段3,4の再係止を防止し得るようにしたことを特徴とするコードリールを提供する。
【0007】
以上のように構成された本願第1、第2の発明のゼンマイバネ1ならびに第3の発明のコードリールに用いられるゼンマイバネ1においては、渦巻き状に巻回された状態で係止し得る係止手段をなす係止用孔4と係止爪3とを、幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとすることにより渦巻き状に巻回された鋼板の後端側を巻回の軸方向にずらした状態で、係止爪3と係止用孔4とを係止させるものとする。
こうすることにより、係止爪3を係止用孔4から外すと、強制的に巻回の軸方向にずれていたゼンマイバネ1の後端側が成形時の状態に復元し、ゼンマイバネ1の全体が幅方向の略揃った渦巻き状にでき、又、この状態に戻ると、係止爪3と係止用孔4との幅方向の位置がずれるため、従来のようにゼンマイバネ1の巻き弾性による拡張に伴って係止爪3が係止用孔4に入り込むようなことがなく、係止爪3と係止用孔4との再係止を防止できる。従って、例えば図5に示すようにコードリール5のケース6内に設けたゼンマイバネ収納部65に、係止爪3と係止用孔4とを係止した状態で収納した後、その係止を外せばゼンマイバネ1の巻き弾性によって係止爪3が係止用孔4を通過して拡張し、図6に示すようにバネ収納部65全体に拡がらせることができ、従来のようにゼンマイバネ1の有効回転数を損失させるというようなことを防止できる。又、上記のようにゼンマイバネ収納部65に収納した後は、ゼンマイバネ1を僅かに巻き締めれば係止爪3を係止用孔4から外すことができ、従来のように係止用孔4から外れた係止爪3が再度使用中に係止用孔4に入り込まないように十分に巻き締めて予巻きを行わなくて済み、装着作業を簡単なものにできる。又、係止爪3と係止用孔4との係止を、従来の予巻きをした場合の巻き弾性を有する状態に設定しておくようにすれば、ケース6に装着後、従来のように予巻きをした後の巻き弾性を検査しなくても確実に一定の巻き弾性を有する状態で使用でき、従来の予巻きをしてその巻き弾性を検査し終えたものとしてそのまま使用ことも可能となる。従って、装着後の巻き弾性の検査工程を省くことができ、工程を簡素化できる。
更に、従来のものにおいては、係止爪と係止用孔とを係止させた状態から予巻きを行い、その予巻きした状態が、コード10を巻き込み終えた状態に対応するため、ゼンマイバネ1をケース6に装着する場合には、コード10の巻き付け作業を行い、その後、係止爪と係止用孔とを係止させたゼンマイバネ1をセットしなければならない。しかし、本願発明においては、係止爪3と係止用孔4との係止を解除すればその係止状態の径以上に拡張できるため、例えば図7に示すようにコード10をケース6外に引き出してゼンマイバネ1を巻き締めた大きさの状態で係止爪3と係止用孔4とを係止するようにすれば、コード10の巻き付けを行う前にゼンマイバネ1をケース6のゼンマイバネ収納部65にセットし、その後、係止爪3と係止用孔4との係止を解除させてゼンマイバネ1を拡張させれば、それに伴い回転胴71、72も共に回動するため、回転胴71、72の回転を利用して同時にコード10を回転胴71、72に沿わせて巻き付けることができ、コード10の巻き付ける作業を省くことも可能となる。また、このようにして、コード10をケース6外に引き出してゼンマイバネ1を巻き締めた大きさの状態で、係止爪3と係止用孔4とを係止させておくことで、コンパクトなものにでき、保管や取扱いの便利なものにできる。従って、特にコードリール用に適したものにできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図を基に本願発明の一実施形態を具体的に説明する。
図1は、本願発明の一実施形態のゼンマイバネの係止状態の斜視図であり、図2は、ゼンマイバネの後端側の要部拡大斜視図である。
【0009】
本実施形態のゼンマイバネ1は、電気コード等のコードの引き出し巻き込みを行うコードリール用とされており、図3に示すように弾性を有する長尺状の鋼板2を、先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより、鋼板2の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板2の幅方向の両端を略揃えた渦巻き状を呈している。
【0010】
このゼンマイバネ1を構成する鋼板2の先端側には、取付け片1aが備えられている。この取付け片1aは、後述するコードリール5におけるケース6に取り付けるためのもので、鋼板2の先端を所定長さで略直角に折り曲げ成形することにより形成されている。
【0011】
鋼板2の後端側には、引っ掛け片1bと、引っ掛け片1bから長手方向の先端方向に所定距離だけ隔てた位置に配位された係止爪3と、引っ掛け片1bと係止爪3との間に配位された係止用孔4とが備えられている。引っ掛け片1bは、後述のコードリール5における下回転胴72に引っ掛るためのもので、鋼板2の後端を所定長さで径外側に略U字状に折り曲げ成形することにより形成されている。
【0012】
係止爪3と係止用孔4とは、ゼンマイバネ1を所定径の渦巻き状を呈する状態で係止しておくための係止手段をなすもので、係止爪3は、鋼板2の一部を所定の幅及び長さで径外側に切り起こすことにより形成されている。又、この係止爪3は、図2に示すように係止爪3の上下の中心線31が鋼板2の上下の中心線21に略一致する位置に穿設されることにより、鋼板2における幅方向の略中央位置に形成されている。一方、係止用孔4は、鋼板2の一部を係止爪3の長さ及び幅よりやや長く且つ広幅に穿設されることにより、係止爪3を嵌挿し得るようになされている。又、この係止用孔4は、係止用孔4の上下の中心線41が鋼板2の中心線21より図示の上方位置に穿設され、鋼板2における幅方向の上端寄りに形成されており、図3に示すように鋼板2を先端側から順次後端側にかけて巻回して鋼板2の幅方向の上下両端側を略揃えた渦巻き状の状態では、係止爪3の下部側が係止用孔4の下部側における鋼板2に当接し、係止爪3が係止用孔4に入り込むことができないようになされている。
【0013】
このように形成した係止用孔4に係止爪3を入り込ませるには、図3に示すように鋼板2を先端側から順次後端側にかけて巻回して鋼板2の幅方向の両端側を巻回の軸方向に略揃えた渦巻き状に成形した後の後端側を、巻回の軸方向(図示のZ−Y方向)の図示下方側(図示のY方向)に押圧して強制的に位置をずらす。これにより、係止用孔4の中心線41と係止爪3の中心線31とが合致し、係止爪3を係止用孔4に入り込ませることができる。従って、係止爪3を係止用孔4に入り込ませた係止状態の渦巻き状を呈するゼンマイバネ1は、図1に示すように後端側が下方側に位置ずれした状態になっている。
【0014】
以上のように構成したゼンマイバネ1は、係止爪3が係止用孔4に入り込んで所定径の渦巻き状を呈する状態からコードリール5に装着されるが、この装着の説明の前に先立ってコードリール5について簡単に説明する。
【0015】
このコードリール5は、従来から使用されているものと同構成を採るもので、図4に示すように所定厚さの円盤状をなすケース6を備えている。又、このケース6の内部には、回転自在な円板状の上回転胴71と、この上回転胴71と一体に形成された下回転胴72とが備えられており、2つの回転胴71、72によって、ケース6内が上、中、下の3つの空間部61、62、63に区画されている。上空間部61は、第2巻回部61をなし、常時第2巻回部に配位されてケース6外に引き出されることのない部分のコード10を収納する。中空間部62は、第1巻回部62をなし、ケース6外に引き出される部分のコード10を収納する。下空間部63は、下回転胴72の下面から下方に円形状に突設された区画壁72aによって更に、径外側のレバー収納部64と、径内側のゼンマイバネ収納部65とに区画されている。レバー収納部64は、後端側を下回転胴72に回動自在に接続されたストップレバー8が収納され、下回転胴72の回動に伴って、ストップレバー8の先端がケース6の内下面に形成された案内溝(図示せず)を摺動することによって、ケース6から所定長さだけ引き出した第1巻回部62のコード10をその状態で係止し得るようになされている。一方、ゼンマイバネ収納部65は、図5に示すようにゼンマイバネ1の取付け片1aを取り付けるための取付け用溝66aと、ゼンマイバネ1の引っ掛け片1bを引っ掛けるための引っ掛け部67とを備えている。取付け用溝66aは、ケース6の中心部に設けられた固定軸66に、取付け片1aを嵌挿可能な溝を形成することにより形成されており、引っ掛け部67は、区画壁72aの一部がなしている。
【0016】
そして、ゼンマイバネ1は、この図5に示すように係止爪3が係止用孔4に入り込んで所定径の渦巻き状を呈する状態からゼンマイバネ収納部65に、ゼンマイバネ1の取付け片1aが取付け用溝66aに嵌挿されることによりケース6に取り付けられ、引っ掛け片1bが引っ掛け部67に引っ掛けられることにより回転胴71、72に接続され、その状態で、収納される。そして、その後、回転胴71、72を、ゼンマイバネ1を巻き締める方向(図5のX方向)に回動させる。これにより、ゼンマイバネ1が巻き締められて径が小さくなり、係止爪3が係止用孔4から外れる。係止爪3が係止用孔4から一旦外れると、強制的に巻回の軸方向の図示下方側にずれていたゼンマイバネ1の後端側が成形時の状態(図3の状態)に復元し、ゼンマイバネ1の全体が幅方向の両端の略揃った渦巻き状になる。後端側が成形時の状態に戻ると、係止爪3と係止用孔4との位置がずれるため、従来のようにゼンマイバネ1の巻き弾性による拡張に伴って係止爪3が係止用孔4に入り込むようなことがない。従って、係止爪3と係止用孔4との係止を外した後、回転胴71、72の回動を止めればゼンマイバネ1の巻き弾性によって係止爪3が係止用孔4を再度係止することなく通過して拡張し、図6に示すようにバネ収納部65全体に拡がらせることができる。これにより、従来のようにゼンマイバネ1の有効回転数を損失させるというようなことを防止できる。
【0017】
このように構成されたコードリール5は、ケース6外に配位されたコード10の先端を引っぱる。これにより、回転胴71、72がゼンマイバネ1を巻き締める方向(図5のX方向)に回動し、回転胴71、72に沿って巻かれたケース6内のコード10をケース6外に引き出すことができる。引き出した後は、手を放せばストップレバー8の作用により回転胴71、72が停止し、その状態を維持することができる。又、このコード10の引き出しに伴う回転胴71、72の回転により、ゼンマイバネ1が徐々に巻き締められていく。一方、引き出したコード10を僅かに引き出して手を放せばストップレバー8による回転胴71、72の停止が解かれ、巻き締められたゼンマイバネ1を巻き弾性により回転胴71、72が上記と反対方向に回転し、これに伴いケース6外に引き出されたコード10が回転胴71、72に沿って巻かれ、ケース6内に巻き込むことができる。
【0018】
以上のようにしたゼンマイバネ1を使用することにより、ゼンマイバネ収納部65に収納した後は、回転胴71、72を僅かに回転させてゼンマイバネ1を巻き締めれば係止爪3を係止用孔4から外すことができ、しかも、一旦係止が外れれば使用中に係止爪3が係止用孔4に係止することがなく、従来のように係止用孔4から外れた係止爪3が再度使用中に係止用孔4に入り込まないように回転胴71、72を十分に回転させてゼンマイバネ1を巻き締める予巻きを行わなくて済み、装着作業を簡単なものにできる。又、係止爪3と係止用孔4との係止を、従来の予巻きをした場合の巻き弾性を有する状態に設定しておくようにすれば、ケース6に装着後、従来のように予巻きをした後の巻き弾性を検査しなくても確実に一定の巻き弾性を有する状態で使用でき、従来の予巻きをしてその巻き弾性を検査し終えたものとしてそのまま使用ことも可能となる。従って、装着後の巻き弾性の検査工程を省くことができ、工程を簡素化できる。
【0019】
又、従来のものにおいては、係止爪と係止用孔とを係止させた状態から予巻き行い、その予巻きした状態が、コード10を巻き込み終えた状態に対応するため、ゼンマイバネ1をケース6に装着する場合には、コード10を回転胴71、72に沿わせて巻き付け作業を行い、その後、係止爪と係止用孔とを係止させたゼンマイバネ1をセットしなければならない。しかし、本願発明においては、係止爪3と係止用孔4との係止を解除すればその係止状態の径以上に拡張できるため、例えば図7に示すようにコード10をケース6外に引き出してゼンマイバネ1を巻き締めた大きさの状態で係止爪3と係止用孔4とを係止するようにすれば、コード10の巻き付けを行う前にゼンマイバネ1をケース6のゼンマイバネ収納部65にセットし、その後、係止爪3と係止用孔4との係止を解除させてゼンマイバネ1を拡張させれば、それに伴い回転胴71、72も共に回動するため、回転胴71、72の回転を利用して同時にコード10を回転胴71、72に沿わせて巻き付けることができ、コード10の巻き付ける作業を省くことも可能となり、特にコードリール5に使用するゼンマイバネとして適したものにできる。また、このようにして、コード10をケース6外に引き出してゼンマイバネ1を巻き締めた大きさの状態で、係止爪3と係止用孔4とを係止させておくことで、コンパクトなものにでき、保管や取扱いの便利なものにできる。
【0020】
尚、本実施形態では、係止用孔4を係止爪3の後方側に配位させているが、この形態のもに限らず、各々の位置を逆にして係止爪3を係止用孔4の後方側に配位させるとともに、係止爪3を径内側に突設させて係止用孔4に係止し得るようにしても良い。又、本実施形態では、係止用孔4を、鋼板2の幅方向の端部側に配位させ、係止爪3を、鋼板2の幅方向の略中央に配位させることにより、鋼板2の幅方向に対する係止爪3と係止用孔4との互いの位置をずらし、これにより、鋼板2の幅方向の端部を揃えた渦巻き状態で係止爪3が係止用孔4に入りこむことができないようにしているが、この形態のものに限らず、何れか一方を鋼板2の幅方向の端部側に配位させ、或いは双方を、鋼板2の幅方向の反対側の端部側に各々配位させるようにし、鋼板2の幅方向の端部を揃えた渦巻き状態で係止爪3が係止用孔4に入りこむことができないようにしても良く、適宜変更し得る。
【0021】
又、本願発明のゼンマイバネ1を使用するコードリールは、上記形態のものに限らず、従来から使用されているものに使用できる。又、本願発明のゼンマイバネ1の用途は、コードリールに使用するものに限らず、他の種々の装置等にも使用でき、適宜変更できる。
【0022】
【発明の効果】
以上、本願第1、第2の発明のゼンマイバネならびに第3の発明のゼンマイバネを使用したコードリールは、係止手段をなす係止爪3と係止用孔4との係止を外せばゼンマイバネ1の巻き弾性によって係止爪3が係止用孔4に再度係止することなく係止用孔4を通過して拡張し、バネ収納部65全体に拡がらせることができ、従来のようにゼンマイバネ1の有効回転数を損失させるというようなことを防止できる。又、上記のようにゼンマイバネ収納部65に収納した後は、ゼンマイバネ1を僅かに巻き締めれば係止爪3を係止用孔4から外すことができ、従来のように係止用孔4から外れた係止爪3が再度使用中に係止用孔4に入り込まないように十分に巻き締めれて予巻きを行わなくて済み、装着作業を簡単なものにできる。又、係止爪3と係止用孔4との係止を、従来の予巻きをした場合の巻き弾性を有する状態に設定しておくようにすれば、ケース6に装着後、従来のように予巻きをした後の巻き弾性を検査しなくても確実に一定の巻き弾性を有する状態で使用でき、従来の予巻きをしてその巻き弾性を検査し終えたものとしてそのまま使用ことも可能となる。従って、装着後の巻き弾性の検査工程を省くことができ、工程を簡素化できる。
更に、コード10をケース6外に引き出してゼンマイバネ1を巻き締めた大きさの状態で係止爪3と係止用孔4とを係止するようにすれば、コード10の巻き付けを行う前にゼンマイバネ1をケース6のゼンマイバネ収納部65にセットでき、係止爪3と係止用孔4との係止を解除させてゼンマイバネ1を拡張させれば、それに伴い回転胴71、72も共に回動するため、回転胴71、72の回転を利用して同時にコード10を回転胴71、72に沿わせて巻き付けることができ、コード10の巻き付ける作業を省くことも可能となる。また、このようにして、コード10をケース6外に引き出してゼンマイバネ1を巻き締めた大きさの状態で、係止爪3と係止用孔4とを係止させておくことで、コンパクトなものにでき、保管や取扱いの便利なものにできる。従って、コードリール用のゼンマイバネとして特に適したものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態のゼンマイバネの斜視図である。
【図2】本願発明の一実施形態の後端側の要部拡大斜視図である。
【図3】係止片と係止用孔との係止を外した状態のゼンマイバネの斜視図である。
【図4】ゼンマイバネを装着したコードリールの縦断面説明図である。
【図5】コードリールに、係止爪と係止用孔とを係止したゼンマイバネを装着した状態の下方側から見た説明図である。
【図6】コードリールに装着したゼンマイバネの係止爪と係止用孔との係止を解除した状態の下方側から見た説明図である。
【図7】ゼンマイバネの他の実施形態に係り、コードを引き出してゼンマイバネを巻き締めた状態で係止爪と係止用孔とを係止させ、その係止状態でコードリールに装着した状態の下方側から見た説明図である。
【図8】(A) は、従来のゼンマイバネの斜視図、(B) は、従来例における後端側の要部拡大斜視図である。
【図9】コードリールに、係止爪と係止用孔とを係止した従来のゼンマイバネを装着した状態の下方側から見た説明図である。
【図10】コードリールに装着した従来のゼンマイバネの係止爪と係止用孔との係止を解除した状態の説明図である。
【符号の説明】
1 ゼンマイバネ
1a 取付け片
1b 引っ掛け片
2 鋼板
3 係止爪
4 係止用孔
5 コードリール
6 ケース
65 ゼンマイバネ収納部
71 上回転胴
72 下回転胴
Claims (3)
- 弾性を有する長尺状の鋼板(2) を、先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより、鋼板(2) の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板(2) の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネにおいて、
このゼンマイバネを構成する鋼板(2) の後端側に係止手段(3) が備えられ、この係止手段(3) から長手方向に所定距離だけ隔てた位置に他の係止手段(4) が備えられることにより、渦巻き状に巻回された状態で両係止手段(3) (4) が係止し得るようになされ、且つ、その係止位置から巻きしめられることにより両係止手段(3) (4) が係止解除され得るものであり、
両係止手段 (3) (4) が、鋼板の幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとされることにより、ゼンマイバネを構成する鋼板 (2) が係止解除状態になって拡張する際の両係止手段 (3)(4) の再係止を防止し得るようにしたことを特徴とするゼンマイバネ。 - 弾性を有する長尺状の鋼板(2) を、先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより、鋼板(2) の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板(2) の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネにおいて、
このゼンマイバネを構成する鋼板(2) の後端側には、係止爪(3) と、係止用孔(4) とが備えられ、係止用孔(4) が、係止爪(3) から長手方向に所定距離だけ隔てた位置に配位されることにより、渦巻き状に巻回された状態で、係止爪(3) と係止用孔(4) とが係止し得るようになされ、
これらの係止用孔(4) と係止爪(3) とが、鋼板の幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとされることにより、渦巻き状に巻回された鋼板の後端側を巻回の軸方向にずらした状態で、係止爪(3) と係止用孔(4) とが係止可能とされ、且つ、鋼板の幅方向の端部を揃えた渦巻き状態で係止爪(3) が係止用孔(4) に入りこむことができないようにしたことを特徴とするゼンバイバネ。 - 弾性を有する長尺状の鋼板(2) を先端側から順次後端側にかけて巻回成形することにより鋼板(2) の先端側を最径内側に、後端側を最径外側に夫々配して鋼板(2) の幅方向の両端側を略揃えた渦巻き状を呈するゼンマイバネ(1) をケース(6) 内に装着し、ケース(6) 内に巻回したコード(10)を引っ張ることにより、渦巻き状のゼンマイバネ(1) を巻き締めながらコード(10)をケース(6) 外に引き出せ、その引き出したコード(10)を放せば、巻き締めたゼンマイバネ(1) の巻き弾性により引き出したコード(10)をケース(6) 内に巻き込み可能としたコードリールにおいて、
このゼンマイバネを構成する鋼板(2) の後端側に係止手段(3) が備えられ、この係止手段(3) から長手方向に所定距離だけ隔てた位置に他の係止手段(4) が備えられることにより、渦巻き状に巻回された状態で両係止手段(3) (4) が係止し得るようになされ、且つ、その係止位置から巻きしめられることにより両係止手段(3) (4) が係止解除され得るものであり、
両係止手段 (3) (4) が、鋼板の幅方向の一端側からの位置を互いに異なるものとされることにより、ゼンマイバネを構成する鋼板 (2) が係止解除状態になって拡張する際の両係止手段 (3)(4) の再係止を防止し得るようにしたことを特徴とするコードリール。
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